(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057160
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】免震装置付き建築物
(51)【国際特許分類】
E02D 27/34 20060101AFI20240417BHJP
E04H 9/02 20060101ALI20240417BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
E02D27/34 B
E04H9/02 331Z
F16F15/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163692
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】522371754
【氏名又は名称】TUS都市開発株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522399781
【氏名又は名称】株式会社構造物LT開発
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】小田 稔
(72)【発明者】
【氏名】村田 義行
【テーマコード(参考)】
2D046
2E139
3J048
【Fターム(参考)】
2D046DA11
2E139AA01
2E139AB03
2E139AC03
2E139AC26
2E139AC27
2E139AD01
2E139CA02
2E139CC02
2E139CC03
2E139CC13
3J048AA01
3J048BA08
3J048DA01
3J048EA38
(57)【要約】
【課題】建築コストの低減が可能な免震装置付き建築物を提供する。
【解決手段】下部側構造体10と上部側構造体20との間に免震装置30が設けられた免震装置付き建築物1であって、上部側構造体20は、下部側構造体10に対して間隔をおいて水平方向に延在する基礎梁23を有し、基礎梁23の下面側は、下部側構造体10との隙間Gが基礎梁23の延在方向の両端部側に対して中央部側が大きくなるように、基礎梁23の延在方向の両端部側のそれぞれから中央部側に向かって斜め上方に延在する一対の傾斜面23aからなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部側構造体と上部側構造体との間に免震装置が設けられた免震装置付き建築物であって、
前記上部側構造体は、前記下部側構造体に対して間隔をおいて水平方向に延在する基礎梁を有し、
前記基礎梁の下面側は、前記下部側構造体との隙間が前記基礎梁の延在方向の両端部側に対して中央部側が大きくなるように、前記基礎梁の延在方向の両端部側のそれぞれから中央部側に向かって斜め上方に延在する一対の傾斜面からなる
免震装置付き建築物。
【請求項2】
前記基礎梁は、延在方向に沿って延びる複数の主筋を有し、
複数の前記主筋のうちの前記基礎梁の下部側に位置する主筋は、前記基礎梁の延在方向の両端部側から中央部側に向かってそれぞれ前記傾斜面に沿って直線状に延在し、中央部側において重ね継手を構成している
請求項1に記載の免震装置付き建築物。
【請求項3】
複数の前記主筋は、前記基礎梁の延在方向の両端部側に位置する部分に設けられ、他の部分よりも強度を向上させた高強度部を有している
請求項2に記載の免震装置付き建築物。
【請求項4】
前記基礎梁は、上面側、下面側および幅方向両側に沿って延在する複数のせん断補強筋を有し、
複数の前記せん断補強筋は、それぞれ、前記基礎梁の上部側に位置する上部側部材と、前記基礎梁の下部側に位置する下部側部材とからなり、
前記上部側部材と前記下部側部材との間には、重ね継手が構成されている
請求項1に記載の免震装置付き建築物。
【請求項5】
前記下部側構造体は、構造体本体と、前記構造体本体の下部から下方に延在する杭と、を有し、
前記杭は、前記構造体本体から伝わる応力を低減可能な部材を介して前記構造体本体に対して接合されている
請求項1に記載の免震装置付き建築物。
【請求項6】
前記基礎梁は、延在方向に沿って延びる複数の主筋を有し、
複数の前記主筋のうちの前記基礎梁の下部側に位置する主筋は、前記基礎梁の延在方向の中央部側に屈曲部を有し、前記屈曲部から両端部側のそれぞれに向かって前記傾斜面に沿って直線状に延在する
請求項1に記載の免震装置付き建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下部側構造体と上部側構造体と間に免震装置が設けられた免震装置付き建築物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の免震装置付き建築物としては、下部側構造体と上部側構造体との間に免震装置を設け、地震による地盤の揺れを上部側構造体に伝わり難くすることによって、上部側構造体の揺れを抑制するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の免震装置付き建築物は、下部側構造体に免震ピットが形成され、免震ピットに設置された免震装置を介して下部側構造体が上部側構造体を支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の免震装置付き建築物は、免震装置、機械設備、電気設備等の点検を行う作業者が免震ピットを移動可能とするために、上部側構造体の下部に位置する基礎梁の下面と免震ピットの底部との間に作業者が移動可能な隙間(例えば、600mm)を形成する必要がある。このため、従来の免震装置付き建築物は、下部側構造体の高さ寸法を大きく形成する必要があると同時に、高さ寸法が大きい下部側構造体を地中に設置するために、根切り深さを大きくする必要があり、建築コストが増加するおそれがある。
【0006】
本発明の目的とするところは、建築コストの低減が可能な免震装置付き建築物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る免震装置付き建築物は、下部側構造体と上部側構造体との間に免震装置が設けられた免震装置付き建築物であって、前記上部側構造体は、前記下部側構造体に対して間隔をおいて水平方向に延在する基礎梁を有し、前記基礎梁の下面側は、前記下部側構造体との隙間が前記基礎梁の延在方向の両端部側に対して中央部側が大きくなるように、前記基礎梁の延在方向の両端部側のそれぞれから中央部側に向かって斜め上方に延在する一対の傾斜面からなる。
【0008】
また、本発明に係る免震装置付き建築物は、好ましくは、前記基礎梁が、延在方向に沿って延びる複数の主筋を有し、複数の前記主筋のうちの前記基礎梁の下部側に位置する主筋が、前記基礎梁の延在方向の両端部側から中央部側に向かってそれぞれ前記傾斜面に沿って直線状に延在し、中央部側において重ね継手を構成している。
【0009】
また、本発明に係る免震装置付き建築物は、好ましくは、複数の前記主筋が、前記基礎梁の延在方向の両端部側に位置する部分に設けられ、他の部分よりも強度を向上させた高強度部を有している。
【0010】
また、本発明に係る免震装置付き建築物は、好ましくは、前記基礎梁が、上面側、下面側および幅方向両側に沿って延在する複数のせん断補強筋を有し、複数の前記せん断補強筋が、それぞれ、前記基礎梁の上部側に位置する上部側部材と、前記基礎梁の下部側に位置する下部側部材とからなり、前記上部側部材と前記下部側部材との間に、重ね継手が構成されている。
【0011】
また、本発明に係る免震装置付き建築物は、好ましくは、前記下部側構造体が、構造体本体と、前記構造体本体の下部から下方に延在する杭と、を有し、前記杭が、前記構造体本体から伝わる応力を低減可能な部材を介して前記構造体本体に対して接合されている。
【0012】
また、本発明に係る免震装置付き建築物は、好ましくは、前記基礎梁が、延在方向に沿って延びる複数の主筋を有し、複数の前記主筋のうちの前記基礎梁の下部側に位置する主筋が、前記基礎梁の延在方向の中央部側に屈曲部を有し、前記屈曲部から両端部側のそれぞれに向かって前記傾斜面に沿って直線状に延在する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、下部側構造体と上部側構造体の基礎梁の下面との隙間における基礎梁の延在方向の中央部側の部分を人が通過することが可能な大きさに形成することによって、下部側構造体の高さ寸法を大きく形成することなく免震ピットを人が移動可能となるとともに、根切り深さを大きくすることなく下部側構造体を地中に設置することが可能となるので、建築コストの低減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る免震装置付き建築物の要部断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態に係る基礎梁の断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第2実施形態に係る免震装置付き建築物の要部断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第3実施形態に係る免震装置付き建築物の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
図1および
図2は本発明の第1実施形態を示すものであり、
図1は免震装置付き建築物の要部断面図であり、
図2は基礎梁の断面図である。
【0016】
本実施形態の免震装置付き建築物1は、例えば、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)や鉄筋コンクリート造(RC造)の集合住宅建築物として用いられる。
【0017】
免震装置付き建築物1は、地面を掘削して地中に設置される下部側構造体10と、下部側構造体10の上方に配置される上部側構造体20と、下部側構造体10と上部側構造体20との間に設置される複数の免震装置30と、を備えている。
【0018】
下部側構造体10は、
図1に示すように、構造体本体としてのベタ基礎11と、ベタ基礎11の下部から下方に延在する杭12と、を有している。
【0019】
ベタ基礎11は、上部側構造体20の下方の全体にわたって水平面状に延在し、外周部が周方向にわたって上方に延在する壁部11aを形成することで、上面側に免震装置30が設置される免震ピット11bが形成されている。
【0020】
杭12は、円柱状の部材であり、上端部がベタ基礎11の下面に連結され、下端側を地盤の強度が高い支持層に到達させることによって、下部側構造体10を支持層に支持させるようになっている。また、杭12の上端部は、例えば、プレキャストコンクリート製のリング12aを介してベタ基礎11の下面に固定することによって、ベタ基礎11から杭12に伝わる応力を低減するようになっている。ここで、免震装置付き建築物1における杭12には、引抜力が作用しないため、ベタ基礎11と杭12との間に引張定着筋の設置を要しない。
【0021】
上部側構造体20は、柱21の下端部が連結される複数の上部側フーチング22と、隣り合う上部側フーチング22を連結するように設けられ、ベタ基礎11に対して間隔をおいて水平方向に延在する基礎梁23と、を備えている。
【0022】
上部側フーチング22は、柱21の外形寸法および基礎梁23の幅寸法よりも大きく形成され、荷重の大部分が作用する。上部側フーチング22の下面には、免震装置30が配置される。
【0023】
基礎梁23の上面側には、水平方向に延在する平面が形成されている。また、基礎梁23の下面側は、基礎梁23の延在方向の両端部側のそれぞれから中央部側に向かって斜め上方に延在する一対の傾斜面23aからなる。即ち、基礎梁23は、延在方向の両端部側に対して中央部側の梁せいが小さく形成されている。したがって、基礎梁23の下面と下部側構造体10のベタ基礎11の上面との隙間Gは、基礎梁23の延在方向の両端部側に対して中央部側が大きくなる。ベタ基礎11の上面と基礎梁23の下面との隙間Gにおける基礎梁23の延在方向の中央部側の部分は、免震ピット11bを移動する人が通過可能な大きさ(例えば、650mm)に形成されている。
【0024】
基礎梁23は、延在方向に沿って延びる複数の主筋23bと、延在方向に間隔をおいて配置され、上面側、下面側および幅方向両側に沿って延在する複数のせん断補強筋23cと、を有している。
【0025】
複数の主筋23bは、それぞれ、上部側フーチング22および基礎梁23にわたって配置され、基礎梁23の上面または下面に沿って延在する鉄筋である。複数の主筋23bのうちの基礎梁23の下面側に配置される主筋23bは、基礎梁23の延在方向の両端部側のそれぞれから中央部側に向かって傾斜面23aに沿って直線状に延在し、中央部側において交差させることで、重ね継手23b1を構成している。重ね継手23b1は、主筋23bの外径の50倍の長さに形成されている。
【0026】
複数のせん断補強筋23cは、
図2に示すように、それぞれ、基礎梁23の上面側および幅方向両側の上部側に配置される上部側部材23c1と、基礎梁23の下面側および幅方向両側の下部側に配置される下部側部材23c2と、からなる。上部側部材23c1および下部側部材23c2は、それぞれ、鉄筋の両端側を屈曲することによってコ字状に形成され、両端部に180°フックが形成されている。せん断補強筋23cは、上部側部材23c1の両端側と、下部側部材23c2の両端側を重ね合わせることによって、重ね継手23c3を構成している。重ね継手23c3は、せん断補強筋23cの外径の少なくとも40倍の長さに形成されている。せん断補強筋23cは、上部側部材23c1と下部側部材23c2との間に構成される重ね継手23c3の長さを調整することによって、上下方向の大きさが調整可能である。
【0027】
複数の免震装置30は、それぞれ、例えば、ゴム板および鋼板を交互に積層することによって形成され、下部側構造体10のベタ基礎11と上部側構造体20の上部側フーチング22との間に設置される。免震装置30は、下部側構造体10に対する上部側構造体20の水平方向の移動を許容するとともに、下部側構造体10に対して上部側構造体20を所定位置に戻す力を付与する。免震装置30は、上下方向の大きさが小さいものが好ましい。
【0028】
以上のように構成された免震装置付き建築物1において、下部側構造体10と上部側構造体20との間に免震装置30が設けられているため、下部側構造体10に伝わる地震の水平力は、免震装置30を介して上部側構造体20に伝わる。このため、上部側構造体20は、下部側構造体10の移動に対して遅い速度で水平方向に移動する。また、上部側構造体20は、下部側構造体10に対する地震の水平力の入力が停止されると、免震装置30の復元力によって下部側構造体10の水平方向の所定位置に戻る。
【0029】
また、下部側構造体10のベタ基礎11の上面と上部側構造体20の基礎梁23の下面との隙間Gにおける基礎梁23の延在方向の中央部側の部分は、人が通過することが可能な大きさに形成されている。このため、免震装置、機械設備、電気設備等の点検を行う作業者は、ベタ基礎11の上面と基礎梁23の延在方向の中央部側の下面との間を通過することによって、免震ピット11bの移動が可能である。
【0030】
このように、本実施形態の免震装置付き建築物によれば、下部側構造体10と上部側構造体20との間に免震装置30が設けられた免震装置付き建築物1であって、上部側構造体20は、下部側構造体10に対して間隔をおいて水平方向に延在する基礎梁23を有し、基礎梁23の下面側は、下部側構造体10との隙間Gが基礎梁23の延在方向の両端部側に対して中央部側が大きくなるように、基礎梁23の延在方向の両端部側のそれぞれから中央部側に向かって斜め上方に延在する一対の傾斜面23aからなる。
【0031】
これにより、下部側構造体10のベタ基礎11の上面と上部側構造体20の基礎梁23の下面との隙間Gにおける基礎梁23の延在方向の中央部側の部分を人が通過することが可能な大きさに形成することによって、下部側構造体10の高さ寸法を大きく形成することなく免震ピット11bを人が移動可能となるとともに、根切り深さを大きくすることなく下部側構造体10を地中に設置することが可能となり、建築コストの低減を図ることが可能となる。
【0032】
また、基礎梁23は、延在方向に沿って延びる複数の主筋23bを有し、複数の主筋23bのうちの基礎梁23の下部側に位置する主筋23bは、基礎梁23の延在方向の両端部側から中央部側に向かってそれぞれ傾斜面23aに沿って直線状に延在し、中央部側において重ね継手23b1を構成している、ことが好ましい。
【0033】
これにより、基礎梁23の下部側に位置する主筋23bを屈曲する加工を必要とすることなく、基礎梁23の下面側の形状に沿って主筋23bを配置することが可能となるので、建築現場における工数の低減を図ることが可能となる。
【0034】
また、基礎梁23は、上面側、下面側および幅方向両側に沿って延在する複数のせん断補強筋23cを有し、複数のせん断補強筋23cは、それぞれ、基礎梁23の上部側に位置する上部側部材23c1と、基礎梁23の下部側に位置する下部側部材23c2とからなり、上部側部材23c1と下部側部材23c2との間には、重ね継手23c3が構成されている、ことが好ましい。
【0035】
これにより、延在方向の位置に応じて梁せいが異なる基礎梁23において、上下方向の大きさの異なる複数種類のせん断補強筋を必要とすることなく、重ね継手23c3の長さを調整することによって異なる上下方向の大きさのせん断補強筋23cを構成することができるので、建築コストの低減を図ることが可能となる。
【0036】
また、下部側構造体10は、ベタ基礎11と、ベタ基礎11の下部から下方に延在する杭12と、を有し、杭12は、ベタ基礎11から伝わる応力を低減可能なリング12aを介してベタ基礎11に対して接合されている、ことが好ましい。
【0037】
これにより、下部側構造体10においてベタ基礎11と杭12とを連結するための主筋を必要としないため、下部側構造体10に大きなフーチングを形成する必要がなく、根切り深さを小さくすることが可能となる。
【0038】
<第2実施形態>
図3は、本発明の第2実施形態を示すものであり、免震装置付き建築物の要部断面図である。前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0039】
本実施形態の免震装置付き建築物1は、上部側構造体20の上部側フーチング22および基礎梁23に配置される主筋23bは、上部側フーチング22および基礎梁23の延在方向の両端部側に位置する部分に設けられ、他の部分よりも強度を向上させた高強度部23b2を有している。
【0040】
高強度部23b2は、主筋23bとして用いられる鉄筋の対象となる部分に対して熱処理を施すことによって、その他の部分よりも強度を向上させている。
【0041】
以上のように構成された免震装置付き建築物1は、上部側構造体20における大きな応力が作用する上部側フーチング22および基礎梁23の両端部側に位置する主筋23bに高強度部23b2が位置している。
【0042】
このように、本実施形態の免震装置付き建築物によれば、前記実施形態と同様に、下部側構造体10のベタ基礎11の上面と上部側構造体20の基礎梁23の下面との隙間Gにおける基礎梁23の延在方向の中央部側の部分を人が通過することが可能な大きさに形成することによって、下部側構造体10の高さ寸法を大きく形成することなく免震ピット11bを人が移動可能となるとともに、根切り深さを大きくすることなく下部側構造体10を地中に設置することが可能となり、建築コストの低減を図ることが可能となる。
【0043】
また、複数の主筋23bは、基礎梁23の延在方向の両端部側に位置する部分に設けられ、他の部分よりも強度を向上させた高強度部23b2を有している、ことが好ましい。
【0044】
これにより、使用する主筋の外径寸法を大きくしたり、使用する主筋の本数を多くしたりすることなく、大きな応力が作用する基礎梁の両端部側において必要な強度を確保することが可能となるので、鉄筋の使用量の低減を図ることが可能となる。
【0045】
<第3実施形態>
図4は、本発明の第3実施形態を示すものであり、免震装置付き建築物の要部断面図である。前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0046】
本実施形態の免震装置付き建築物1は、複数の主筋23bのうちの基礎梁23の下部側に位置する主筋23bが、基礎梁23の延在方向の中央部側に屈曲部23b3を有し、屈曲部23b3から両端部側のそれぞれに向かって傾斜面23aに沿って直線状に延在するように形成している。
【0047】
以上のように構成された免震装置付き建築物1において、基礎梁23の下部側に位置する主筋23bは、基礎梁23の延在方向の中央部側に屈曲部23b3が位置し、両端部側のそれぞれに向かって傾斜面23aに沿って直線状に延在している。
【0048】
このように、本実施形態の免震装置付き建築物によれば、前記実施形態と同様に、下部側構造体10のベタ基礎11の上面と上部側構造体20の基礎梁23の下面との隙間Gにおける基礎梁23の延在方向の中央部側の部分を人が通過することが可能な大きさに形成することによって、下部側構造体10の高さ寸法を大きく形成することなく免震ピット11bを人が移動可能となるとともに、根切り深さを大きくすることなく下部側構造体10を地中に設置することが可能となり、建築コストの低減を図ることが可能となる。
【0049】
また、基礎梁23は、延在方向に沿って延びる複数の主筋23bを有し、複数の主筋23bのうちの基礎梁23の下部側に位置する主筋23bは、基礎梁23の延在方向の中央部側に屈曲部23b3を有し、屈曲部23b3から両端部側のそれぞれに向かって傾斜面23aに沿って直線状に延在する、ことが好ましい。
【0050】
これにより、基礎梁の延在方向の中央部側に重ね継手が構成されないため、主筋としての鉄筋の使用量を低減すること可能となる。
【符号の説明】
【0051】
1 免震装置付き建築物
10 下部側構造体
11 ベタ基礎
12 杭
12a リング
20 上部側構造体
23 基礎梁
23a 傾斜面
23b 主筋
23b1 重ね継手
23b2 高強度部
23b3 屈曲部
23c せん断補強筋
23c1 上部側部材
23c2 下部側部材
23c3 重ね継手
30 免震装置