(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057169
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】バッテリー充電装置
(51)【国際特許分類】
F03G 3/00 20060101AFI20240417BHJP
F03G 7/00 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
F03G3/00 B
F03G7/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163703
(22)【出願日】2022-10-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-06
(71)【出願人】
【識別番号】522399806
【氏名又は名称】三国谷 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(72)【発明者】
【氏名】三国谷 昇
(72)【発明者】
【氏名】三国谷 守
(57)【要約】
【課題】車両の荷重を受けても損傷を受ける度合を軽減することができ、耐久性を有すると共に、発電効率の高いバッテリー充電装置を提供すること。
【解決手段】車両の荷重を受けて収縮することで圧縮空気を生成する空気圧縮器2と、空気圧縮器からの圧縮空気を蓄積する圧力タンク4と、圧力タンクからの圧縮空気を受けて発電する発電機5とからなるバッテリー充電装置であって、空気圧縮器は、内部に空気室2fが形成されると共に側壁に蛇腹体2cが形成されて、車両の荷重を受けた際に蛇腹体が収縮し、車両の荷重が解かれた状態で蛇腹体が伸長復帰するベローズ容器2bと、蛇腹体が収縮するときに開弁して空気室からの圧縮空気を圧力タンクに向かって送り出す圧縮空気導出弁2hと、蛇腹体が伸長復帰するときに開弁して空気室に向かって空気を導入する空気導入弁2gが備えられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行路上に配置され、車両の荷重を受けて収縮することで圧縮空気を生成する空気圧縮器と、前記空気圧縮器からの圧縮空気を蓄積する圧力タンクと、前記圧力タンクからの圧縮空気を受けて発電する発電機とからなるバッテリー充電装置であって、
前記空気圧縮器は、
内部に空気室が形成されると共に側壁に蛇腹体が形成されて、前記車両の荷重を受けた際に前記蛇腹体が収縮し、車両の荷重が解かれた状態で前記蛇腹体が伸長復帰するベローズ容器と、
前記蛇腹体が収縮するときに開弁して前記空気室からの圧縮空気を前記圧力タンクに向かって送り出す圧縮空気導出弁と、
前記蛇腹体が伸長復帰するときに開弁して前記空気室に向かって空気を導入する空気導入弁と、
を備えたことを特徴とするバッテリー充電装置。
【請求項2】
空気圧縮器を構成する前記ベローズ容器内には、コイルスプリングの各端部が、車両の荷重を受けた際の前記蛇腹体の伸縮方向に向かって収容されていることを特徴とする請求項1に記載のバッテリー充電装置。
【請求項3】
前記コイルスプリングは、各端部のコイル径に対して、中央部のコイル径が縮小されていることを特徴とする請求項2に記載のバッテリー充電装置。
【請求項4】
前記圧力タンクから空気圧縮器を構成する前記ベローズ容器の空気室に向かって、圧縮空気を戻す戻り弁が配置され、前記戻り弁を介して前記空気室に戻される圧縮空気により、収縮状態の前記蛇腹体の伸長復帰を早める動作がなされることを特徴とする請求項1に記載のバッテリー充電装置。
【請求項5】
前記空気圧縮器は、車両の走行路上に敷設された扁平状のハウジング内に収容され、前記ハウジングの天面に形成された開口に、空気圧縮器を構成する前記ベローズ容器の頂部が突出した状態で配置され、前記ハウジングの天面が前記車両の荷重を受けることで、前記ベローズ容器における蛇腹体の過度の収縮変形を阻止する収縮止めの機能を果たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のバッテリー充電装置。
【請求項6】
前記ハウジング内には複数の空気圧縮器が収容され、各空気圧縮器のそれぞれのベローズ容器に対応して、前記ハウジングの天面にはそれぞれ開口が形成されて、前記ハウジングの天面に形成された各開口に、前記各ベローズ容器の頂部が、それぞれ突出した状態で配置することで、圧縮空気生成ユニットを構成していることを特徴とする請求項5に記載のバッテリー充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の荷重を利用して圧縮空気を生成し、圧縮空気により発電してバッテリーを充電するバッテリー充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車道路上などにおいて、自動車車両が通過するときの車両の荷重を利用して、シリンダ・ピストンを収縮させて圧縮空気を生成し、この圧縮空気を用いて発電して、バッテリーを充電する技術が特許文献1及び2に示されている。
【0003】
図6は、特許文献1に開示された車両の荷重を利用した発電システムを示しており、道路上には一端部が回動可能に軸支された可動板21が取り付けられ、この可動板21の他端部側の自由端は、スプリング22によって道路から斜めに浮かした状態に設置されている。
車両23が可動板21の一端側から進行すると、可動板21は車両23の荷重によって水平状態に倒れ、この時に受ける圧力がシリンダ・ピストン24を収縮させて圧縮空気を生成し、この圧縮空気を用いて発電することで、バッテリー28が充電される。
【0004】
なお、
図6に示す符号25は前記シリンダ・ピストン24からの圧縮空気を受ける空気貯留タンク、符号26は空気貯留タンク25からの空気圧によって回転駆動されるエアーモーター、符号27はエアーモーター26からの回転駆動力を受ける発電機、符号28は発電機27からの電力を受けて充電されるバッテリーを示す。
【0005】
一方、
図7は特許文献2に開示された車両の荷重を利用した発電システムの一部を示しており、道路面31に受圧板32がスプリング33によって突出した状態で配置される。
車両34の走行により受圧板32に車両34の荷重が加わることで、受圧板32に連動する地中に埋設されたシリンダ・ピストン35が収縮し、これにより圧縮空気が生成される。この圧縮空気は逆止弁36を介してエアーモーターに送られ、特許文献1に示された例と同様に発電機を駆動させる。発電機からの電力により、バッテリーを充電することについても開示されている。
【0006】
さらに、
図8は特許文献3に開示された車両の荷重を利用した発電システムの一部を示している。これは道路面41の車両42の走行方向に沿って、弾性変形が可能な配管、すなわちホース43が配置される。そして、ホース43の長手方向に沿って走行する車両42のタイヤ42aによって、ホース43が押し潰される。これにより、ホース43内の水が、車両42の走行方向に向かって押し流される。このホース43内の水の流れのエネルギーが水車を回し、水車により発電機を駆動することで、電力を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-324628号公報
【特許文献2】特開2014-515078号公報
【特許文献3】特開2014-137045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に開示された発電システムによると、車両23は回動可能に軸支された可動板21の一端部側から進入する必要があり、車両23が可動板21の他端部側から進入する場合においては、道路から浮いた状態の可動板21の自由端側が、車両23に接触するなどして車両23及び発電システムの可動板21などの相互が損傷する恐れがある。
また、特許文献2に開示された発電システムにおいては、タイヤによる荷重を受ける受圧板32は、垂直な軸棒などを介してシリンダ・ピストン35に連結されるので、タイヤに回転力が加わった場合には、受圧板32を介して前記軸棒に曲げ方向の応力が加わることになる。このために、この発電システムは構造的に耐久性に乏しいものであるといえる。
【0009】
特許文献3に開示された発電システムにおいては、道路面41に配置されたホース43の長手方向に沿って、車両のタイヤ42aがホース43を押し潰すようにして走行する必要があり、ホース43の途中でタイヤの走行軌跡が外れる場合には、満足な発電効率を得ることができないという問題を有している。
【0010】
この発明は、前記した特許文献1~3に示された従来の発電システムの問題点を解消しようとするものであり、車両の荷重により損傷を受ける度合を軽減することができると共に、耐久性を有し、発電効率の高いバッテリー充電装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記した課題を解決するためになされたこの発明に係るバッテリー充電装置は、請求項1に記載のとおり、車両の走行路上に配置され、車両の荷重を受けて収縮することで圧縮空気を生成する空気圧縮器と、前記空気圧縮器からの圧縮空気を蓄積する圧力タンクと、前記圧力タンクからの圧縮空気を受けて発電する発電機とからなるバッテリー充電装置であって、前記空気圧縮器は、内部に空気室が形成されると共に側壁に蛇腹体が形成されて、前記車両の荷重を受けた際に前記蛇腹体が収縮し、車両の荷重が解かれた状態で前記蛇腹体が伸長復帰するベローズ容器と、前記蛇腹体が収縮するときに開弁して前記空気室からの圧縮空気を前記圧力タンクに向かって送り出す圧縮空気導出弁と、前記蛇腹体が伸長復帰するときに開弁して前記空気室に向かって空気を導入する空気導入弁とを備えたことを特徴とする。
【0012】
前記したこの発明に係るバッテリー充電装置に用いられる空気圧縮器は、内部に空気室が形成され、側壁に蛇腹体が形成されたベローズ容器と、蛇腹体が収縮するときに開弁する圧縮空気導出弁と、蛇腹体が伸長復帰するときに開弁する空気導入弁からなるベローズポンプが備えられる。
従って、ベローズポンプによる前記空気圧縮器を車両の走行路に配置することで、車両のタイヤによってベローズ容器の頂部に荷重を加えることができる。これにより得られる圧縮空気を利用して発電機を駆動することで、車両の走行方向に関係なく所定の発電電力を得ることができる。また、ベローズ容器は、例えばゴムなどの可撓性の素材により成形することができるので、車両のタイヤの回転応力を受けても垂直方向及び水平方向に比較的柔軟に変形して、損傷を受ける度合は低く、耐久性に優れたバッテリー充電装置を提供することに寄与できる。
【0013】
また、この発明に係るバッテリー充電装置は、請求項2に記載のとおり、空気圧縮器を構成するベローズ容器内には、コイルスプリングの各端部が、車両の荷重を受けた際の前記蛇腹体の伸縮方向に向かって収容される。
さらに、請求項3に記載のとおり、コイルスプリングは、各端部のコイル径に対して、中央部のコイル径が縮小されていることが望ましい。
【0014】
ベローズ容器内にコイルスプリングを備える前記した空気圧縮器によると、連続して通過する車両のタイヤによる荷重を受けてベローズ容器は収縮作用を受けると共に、コイルスプリングの作用により収縮状態のベローズ容器は素早く伸長復帰する。従って、圧縮空気の生成効率を向上させた空気圧縮器を提供することができる。
加えて、各端部のコイル径に対して、中央部のコイル径が縮小されたコイルスプリング用いることで、車両の走行に伴って、タイヤに接するベローズ容器の頂部は比較的柔軟に首振り運動をしつつ荷重を受けることになる。これにより、車両の荷重により損傷を受け難い空気圧縮器を得ることができる。
【0015】
また、この発明に係るバッテリー充電装置においては、請求項4に記載のとおり、圧力タンクから空気圧縮機を構成するベローズ容器の空気室に向かって、圧縮空気を戻す戻り弁が配置され、前記戻り弁を介して前記空気室に戻される圧縮空気により、収縮状態の前記蛇腹体の伸長復帰を早める動作がなされる構成も採用することができる。
【0016】
この請求項4に記載の構成においても、ベローズポンプによる空気圧縮器は、連続して通過するタイヤによる荷重に反応して、圧縮空気を生成することが可能となり、圧縮空気の生成効率を向上させることに寄与できる。
【0017】
また、請求項5に記載のとおり、この発明に係るバッテリー充電装置における空気圧縮器は、車両の走行路上に敷設された扁平状のハウジング内に収容され、前記ハウジングの天面に形成された開口に、空気圧縮器を構成する前記ベローズ容器の頂部が突出した状態で配置され、前記ハウジングの天面が前記車両の荷重を受けることで、前記ベローズ容器における蛇腹体の過度の収縮変形を阻止する収縮止めの機能を果たす構成とすることが望ましい。
【0018】
さらに、請求項6に記載のとおり、前記ハウジング内には複数の空気圧縮器が収容され、各空気圧縮器のそれぞれのベローズ容器に対応して、前記ハウジングの天面にはそれぞれ開口が形成されて、前記ハウジングの天面に形成された各開口に、前記各ベローズ容器の頂部が、それぞれ突出した状態で配置することで、圧縮空気生成ユニットを構成することが望ましい。
【0019】
前記した構成によると、ハウジングの天面が車両の荷重を受けることができるので、ベローズ容器における蛇腹体の過度の収縮変形阻止することができる。従って、ベローズ容器には走行するタイヤによる過度な荷重が加わるのを抑制することができ、空気圧縮器の耐久性を向上させることができる。
そして、前記ハウジング内に複数の空気圧縮器を備えて圧縮空気生成ユニットを構成することで、圧縮空気の生成効率を格段に向上させることができ、これにより発電効率を向上させたバッテリー充電装置を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、車両の荷重により損傷を受ける度合を軽減することができると共に、耐久性を有し、発電効率の高いバッテリー充電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】この発明に係るバッテリー充電装置の全体構成を示した模式図である。
【
図2】空気圧縮器の第1の実施形態を示した断面構造図である。
【
図3】ハウジング内に複数の空気圧縮器を備えた圧縮空気生成ユニットの断面構造図である。
【
図4】圧縮空気生成ユニット以降の配管等の接続構成を示した模式図である。
【
図5】空気圧縮器の第2の実施形態を示した断面構造図である。
【
図6】車両の荷重を利用した従来の発電システムの第1の例を示した模式図である。
【
図7】同じく従来の発電システムの第2の例を示した模式図である。
【
図8】同じく従来の発電システムの第3の例を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明に係るバッテリー充電装置は、冒頭において記述したとおり、自動車車両の荷重を利用して圧縮空気を生成し、圧縮空気によりエアーモーターを駆動して発電し、バッテリーを充電するものである。その基本構成が
図1に示す模式図に示されている。
図1において、符号1は空気取入れダクトを示しており、この空気取入れダクト1において取入れられた空気は、複数の空気圧縮機2が備えられた圧縮空気生成ユニット3に送られる。
【0023】
この圧縮空気生成ユニット3の構成は後で説明するが、車両が走行する路上に配置され、車両の荷重を利用して各空気圧縮機2により圧縮空気を得るものであり、生成された圧縮空気は、圧力タンク4に送られて蓄積される。
前記圧力タンク4からの圧縮空気は、エアーモーターを備える発電機5に供給される。
圧縮空気により駆動されるエアーモーターは、このエアーモーターに直結された発電機5を駆動し、発電機5からの電力を受けるバッテリー6は充電される。
【0024】
なお、
図1に示す符号8aは空気取入れダクト1から圧縮空気生成ユニット3に空気を導入する空気導入管を示し、符号8bは圧縮空気生成ユニット3からの圧縮空気を、圧力タンク4に送る圧縮空気導出管である。また、符号8cは圧力タンク4から、エアーモーターを備える発電機5に圧縮空気を送る圧縮空気供給管であり、符号8dは前記エアーモーターにおける空気放出管である。
さらに、符号9aは発電機5からの発電電力をバッテリー6に給電する給電線であり、符号9bはバッテリー6から外付け機器に電力を供給する外部接続線を示す。
【0025】
図2は、圧縮空気生成ユニット3に備えられる空気圧縮機2の第1の実施形態を一部断面図で示している。
この空気圧縮機2には、箱型のベース部材2aが備えられ、このベース部材2a上にベローズ容器2bが搭載されている。このベローズ容器2bは円筒状の側壁に蛇腹体2cが形成されており、ベローズ容器2bの一方の端部が閉塞されて閉塞部が上向きに配置され、これがベローズ容器2bの頂部2dを構成している。この頂部2dに対向するベローズ容器2bの開口部2e側が、前記ベース部材2aに対して直立した姿勢で取り付けられている。そして、ベローズ容器2bの内部は、中空状の空気室2fを構成している。
【0026】
前記ベース部材2a内には、ベローズ容器2bの開口部2eに対峙して、空気導入弁2gと圧縮空気導出弁2hが配置されている。すなわち、圧縮空気導出弁2hは、ベローズ容器2bの蛇腹体2cが、車両の荷重を受けて垂直方向に収縮するときに開弁して、空気室2fからの圧縮空気を圧力タンク4に向かって送り出す機能を果たし、空気導入弁2gは、車両の荷重が解かれて蛇腹体2cが伸長復帰するときに開弁して、前記空気室2fに向かって空気を導入する機能を果たす。
【0027】
前記ベース部材2aには、前記した圧力タンク4から後述する戻り弁7を介して、ベローズ容器2bの空気室2fに向かって圧縮空気の一部を戻す圧縮空気導入孔2iが形成されている。これにより、車両の荷重を受けて収縮状態にされた蛇腹体2cの伸長復帰を早めることができる。
【0028】
なお、ベース部材2aには、後述する圧縮空気生成ユニット3内に配管された空気の分岐導入管3f、圧縮空気の集合導出管3g、戻り空気の分配管3hが接続されている。
空気の分岐導入管3fは、前記した空気導入弁2gに接続され、圧縮空気の集合導出管3gは、前記した圧縮空気導出弁2hに接続されている。また、戻り空気の分配管3hは、圧縮空気導入孔2iに接続されている。
【0029】
また、ベース部材2aの上面周縁部には、ベローズ容器2bの下底部を囲むようにして起立壁2jが形成されており、この起立壁2jの上端部に沿って金属リング2kが配置されている。さらに、ベローズ容器2bの頂部2d付近を取り囲むようにして、金属リング3eが配置されており、この金属リング3eは圧縮空気生成ユニット3を構成する後述するハウジング3aの天面3bに形成された開口3cに沿って取り付けられている。
【0030】
図3は、圧縮空気生成ユニット3を断面図で示している。この圧縮空気生成ユニット3には、車両の走行路上に敷設される扁平状のハウジング3aが備えられる。このハウジング3aの車両の走行方向に沿った左右の両端部には、適度な勾配を有するスロープ3dが形成されており、このスロープ3dの勾配は、適宜選定が可能である。また、このハウジング3aは走行路に、半埋め込みの状態で用いることもできる。
【0031】
このハウジング3aは、好ましくは硬質なゴム材により形成され、ハウジング3aの天面3bに形成された複数の開口3cに、前記した空気圧縮器2を構成するベローズ容器2bの頂部2dが突出した状態で配置されている。そして、ハウジング3aの天面3bが前記車両の荷重を受けることで、前記したベローズ容器2bにおける蛇腹体2cの過度の収縮変形を阻止する収縮止めの機能を果たしている。なお、
図3においては、
図2に示すハウジング3aの天面開口3cに取り付けた金属リング3eの記載は省略されている。
【0032】
この場合、さらに過度な垂直方向の荷重を受ける場合には、
図2に示したハウジング3aの開口3cに取り付けた金属リング3eは、空気圧縮機2のベース部材2aに取り付けた第二の金属リング2kに当接し、ベローズ容器2bに対して過度な荷重が加わるのを阻止するストッパーとして働くように構成されている。これにより、空気圧縮機2に対して重度な損傷を与えるのを阻止することができる。
【0033】
前記ハウジング3a内には、空気導入管8aを介してもたらされる空気取入れダクト1からの空気を、各空気圧縮器2に供給する空気分岐導入管3fが、各空気圧縮器2の空気導入弁2gに向かって配置されており、また、各空気圧縮器2の圧縮空気導出弁2hからの圧縮空気を、圧縮空気導出管8bに向かって導く集合導出管3gが配置されている。
さらに、ハウジング3a内には各空気圧縮器2の圧縮空気導入孔2iに、圧縮空気を導入する戻り空気の分配管3hが配置されており、この分配管3hは後述する戻り弁7及び圧力タンク4に至る圧縮空気戻り管8eに接続されている。
【0034】
図4は、圧縮空気生成ユニット3以降の配管等の接続構成を示した模式図である。圧縮空気生成ユニット3からの圧縮空気は、圧縮空気導出管8bを介して圧力タンク4に供給される。なお、圧力タンク4には、安全弁4a及び圧力計4bが設けられており、圧力タンク4の下底部には水抜きのためのドレーン開口4cが形成されている。
【0035】
また、圧力タンク4からは圧縮空気戻り管8eを介して、圧縮空気生成ユニット3の各空気圧縮機2に向けて圧縮空気が戻される。前記圧縮空気戻り管8eには戻り弁7が配置されており、この戻り弁7によって空気圧縮器2のベローズ容器2bに戻される圧力空気量を制御可能に構成されている。
なお、
図4に示された圧力タンク4以降のエアーモーター付きの発電機5と、この発電機5の発電電力を受けて充電されるバッテリー6の配置構成は、
図1に基づいて説明した構成と同一であり、その説明は省略する。
【0036】
図5は、圧縮空気生成ユニット3に備えられる空気圧縮機2の第2実施形態を示している。なお、
図5に示した空気圧縮機2においては、
図2に示した空気圧縮機2の第1実施形態における各部と同一の機能を果たす部分を同一符号で示している。従って、個々の説明は省略する。
この空気圧縮機2の第2実施形態においては、ベローズ容器2b内に、コイルスプリング11が収容されており、コイルスプリング11の上下の各端部が、車両の荷重を受けた際の蛇腹体2cの伸縮方向に向かって収容されている。
【0037】
前記コイルスプリング11は、その下端部がスプリング係止ボルト12によって、ベース部材2aの中央部に取り付けられており、コイルスプリング11の上端部は、ベローズ容器2bの頂部2d付近に内設された円環状のスプリング受け13に接している。
この構成により、車両の荷重を受けて垂直方向に収縮されるベローズ容器2bは、車両の荷重が解かれると同時に、コイルスプリング11の弾発作用を受けて、蛇腹体2cを即座に伸長復帰させることができる。
また、コイルスプリング11は、上下のスプリング端部11a,11bのコイル径がほぼ等しく成形されているのに対して、スプリング中央部11cのコイル径は、上下のスプリング端部11a,11bのコイル径よりも縮小されている。
【0038】
従って、車両の走行に伴ってタイヤに接するベローズ容器2bの頂部2dは、比較的柔軟に首振り運動をしつつ荷重を受けることになる。これにより、比較的硬質な金属素材により成形されたコイルスプリング11と、例えばゴム素材により成形されたベローズ容器2bとの間で、過度な摩擦や圧接作用を受ける度合が少なくなり、耐久性の高い空気圧縮機2を提供することができる。
また、
図5に示した第2実施形態の空気圧縮機2においては、コイルスプリング11が用いられているので、
図2に示した第1実施形態の空気圧縮機2に示すように、圧力タンク4から空気圧縮機2に対して圧縮空気を戻す必要がない。これにより、圧縮空気の消費を抑えることができ、圧縮空気の生成効率を向上させることができる。
【0039】
図5に示した第2実施形態の空気圧縮機2によると、ベローズ容器2b内に収容されたコイルスプリング11の弾発作用により、ベローズ容器2bの蛇腹体2cに対して伸長復帰させる作用を与えるので、
図2に示したようにベローズ容器2bに圧縮空気を戻すための圧縮空気導入孔2iと、この圧縮空気導入孔2iに圧縮空気を送る配管構成は不要となる。
従って、
図5に示した空気圧縮機2を採用する場合には、
図3に示した戻り空気の分配管3h、
図4に示した圧縮空気戻り管8e及び戻り弁7は不要となる。
【0040】
なお、この実施の形態におけるバッテリー6は、いわば定電圧回路としての機能を果たし、前記した圧縮空気生成ユニット3上を通過する車両の多少にかかわらず、バッテリー6からは所定の電圧を維持した状態で、外付けの機器に対して安定した電力を供給することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 空気取入れダクト
2 空気圧縮器
2a ベース部材
2b ベローズ容器
2c 蛇腹体
2d 頂部
2e 開口部
2f 空気室
2g 空気導入弁
2h 圧縮空気導出弁
2i 圧縮空気導入孔
2j 起立壁
2k 金属リング
3 圧縮空気生成ユニット
3a ハウジング
3b 天面
3c 開口
3d スロープ
3e 金属リング
3f 空気分岐導入管
3g 圧縮空気の集合導入管
3h 戻り空気の分配管
4 圧力タンク
4a 安全弁
4b 圧力計
5 発電機(エアーモーター付き)
6 バッテリー
7 戻り弁
8a 空気導入管
8b 圧縮空気導出管
8c 圧縮空気供給管
8d 空気放出管
8e 圧縮空気戻り管
9a 給電線
9b 外部接続線
11 コイルスプリング
11a,11b スプリング端部
11c スプリング中央部
12 スプリング係止ボルト
13 スプリング受け
【手続補正書】
【提出日】2023-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行路上に配置され、車両の荷重を受けて収縮することで圧縮空気を生成する空気圧縮器と、前記空気圧縮器からの圧縮空気を蓄積する圧力タンクと、前記圧力タンクからの圧縮空気を受けて発電する発電機とからなるバッテリー充電装置であって、
前記空気圧縮器は、
内部に空気室が形成されると共に側壁に蛇腹体が形成されて、前記車両の荷重を受けた際に前記蛇腹体が収縮し、車両の荷重が解かれた状態で前記蛇腹体が伸長復帰するベローズ容器と、
前記蛇腹体が収縮するときに開弁して前記空気室からの圧縮空気を前記圧力タンクに向かって送り出す圧縮空気導出弁と、
前記蛇腹体が伸長復帰するときに開弁して前記空気室に向かって空気を導入する空気導入弁と、を備え、
空気圧縮器を構成する前記ベローズ容器内には、コイルスプリングの各端部が、車両の荷重を受けた際の前記蛇腹体の伸縮方向に向かって収容されており、
前記コイルスプリングは、各端部のコイル径に対して、中央部のコイル径が縮小されていることを特徴とするバッテリー充電装置。
【請求項2】
前記空気圧縮器は、車両の走行路上に敷設された扁平状のハウジング内に収容され、前記ハウジングの天面に形成された開口には、当該開口に沿って金属リングが取り付けられ、空気圧縮器を構成する前記ベローズ容器の頂部が、金属リングから突出した状態で配置されると共に、前記ベローズ容器を搭載したベース部材には、第二の金属リングが取り付けられて、前記金属リングに対して前記第二の金属リングが当接可能に配置され、
前記金属リングと前記第二の金属リングとにより、前記ハウジングの天面が前記車両の荷重を受けることで、前記ベローズ容器における蛇腹体の過度の収縮変形を阻止する収縮止めの機能を果たすことを特徴とする請求項1に記載のバッテリー充電装置。
【請求項3】
前記ハウジング内には複数の空気圧縮器が収容され、各空気圧縮器のそれぞれのベローズ容器に対応して、前記ハウジングの天面にはそれぞれ開口が形成され、
前記ハウジングの天面に形成された各開口に取り付けられた前記各金属リングに、前記各ベローズ容器の頂部を前記各金属リングからそれぞれ突出した状態で配置すると共に、前記ベローズ容器を搭載したベース部材には、前記第二の金属リングが取り付けられることで、圧縮空気生成ユニットを構成していることを特徴とする請求項2に記載のバッテリー充電装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
前記した課題を解決するためになされたこの発明に係るバッテリー充電装置は、請求項1に記載のとおり、車両の走行路上に配置され、車両の荷重を受けて収縮することで圧縮空気を生成する空気圧縮器と、前記空気圧縮器からの圧縮空気を蓄積する圧力タンクと、前記圧力タンクからの圧縮空気を受けて発電する発電機とからなるバッテリー充電装置であって、前記空気圧縮器は、内部に空気室が形成されると共に側壁に蛇腹体が形成されて、前記車両の荷重を受けた際に前記蛇腹体が収縮し、車両の荷重が解かれた状態で前記蛇腹体が伸長復帰するベローズ容器と、前記蛇腹体が収縮するときに開弁して前記空気室からの圧縮空気を前記圧力タンクに向かって送り出す圧縮空気導出弁と、前記蛇腹体が伸長復帰するときに開弁して前記空気室に向かって空気を導入する空気導入弁とを備え、空気圧縮器を構成する前記ベローズ容器内には、コイルスプリングの各端部が、車両の荷重を受けた際の前記蛇腹体の伸縮方向に向かって収容されており、前記コイルスプリングは、各端部のコイル径に対して、中央部のコイル径が縮小されていることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項1に記載したベローズ容器内にコイルスプリングを備える前記した空気圧縮器によると、連続して通過する車両のタイヤによる荷重を受けてベローズ容器は収縮作用を受けると共に、コイルスプリングの作用により収縮状態のベローズ容器は素早く伸長復帰する。従って、圧縮空気の生成効率を向上させた空気圧縮器を提供することができる。
加えて、各端部のコイル径に対して、中央部のコイル径が縮小されたコイルスプリング用いることで、車両の走行に伴って、タイヤに接するベローズ容器の頂部は比較的柔軟に首振り運動をしつつ荷重を受けることになる。これにより、車両の荷重により損傷を受け難い空気圧縮器を得ることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
また、この発明に係るバッテリー充電装置においては、圧力タンクから空気圧縮機を構成するベローズ容器の空気室に向かって、圧縮空気を戻す戻り弁が配置され、前記戻り弁を介して前記空気室に戻される圧縮空気により、収縮状態の前記蛇腹体の伸長復帰を早める動作がなされる構成も採用することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
前記段落[0015]に記載の発明においても、ベローズポンプによる空気圧縮器は、連続して通過するタイヤによる荷重に反応して、圧縮空気を生成することが可能となり、圧縮空気の生成効率を向上させることに寄与できる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
また、請求項2に記載のとおり、この発明に係るバッテリー充電装置における空気圧縮器は、車両の走行路上に敷設された扁平状のハウジング内に収容され、前記ハウジングの天面に形成された開口には、当該開口に沿って金属リングが取り付けられ、空気圧縮器を構成する前記ベローズ容器の頂部が、金属リングから突出した状態で配置されると共に、前記ベローズ容器を搭載したベース部材には、第二の金属リングが取り付けられて、前記金属リングに対して前記第二の金属リングが当接可能に配置され、前記金属リングと前記第二の金属リングとにより、前記ハウジングの天面が前記車両の荷重を受けることで、前記ベローズ容器における蛇腹体の過度の収縮変形を阻止する収縮止めの機能を果たす構成とすることが望ましい。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
さらに、請求項3に記載のとおり、前記ハウジング内には複数の空気圧縮器が収容され、各空気圧縮器のそれぞれのベローズ容器に対応して、前記ハウジングの天面にはそれぞれ開口が形成され、前記ハウジングの天面に形成された各開口に取り付けられた前記各金属リングに、前記各ベローズ容器の頂部を前記各金属リングからそれぞれ突出した状態で配置すると共に、前記ベローズ容器を搭載したベース部材には、前記第二の金属リングが取り付けられることで、圧縮空気生成ユニットを構成することが望ましい。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
前記した構成によると、ハウジングの天面が車両の荷重を受けることができるので、ベローズ容器における蛇腹体の過度の収縮変形を阻止することができる。従って、ベローズ容器には走行するタイヤによる過度な荷重が加わるのを抑制することができ、空気圧縮器の耐久性を向上させることができる。
そして、前記ハウジング内に複数の空気圧縮器を備えて圧縮空気生成ユニットを構成することで、圧縮空気の生成効率を格段に向上させることができ、これにより発電効率を向上させたバッテリー充電装置を提供することが可能となる。