(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057176
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】二重偏波レーダ装置及び調整方法
(51)【国際特許分類】
G01S 13/95 20060101AFI20240417BHJP
G01S 13/28 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
G01S13/95
G01S13/28 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163713
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】中川 幸彦
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB08
5J070AB13
5J070AD17
5J070AE12
5J070AF01
(57)【要約】
【課題】短パルスエコーと長パルスエコーのレベル、及び水平偏波と垂直偏波の位相差である偏波間位相差ΦDPを短パルスエコーと長パルスエコーとで一致させることを自動で行う二重偏波レーダ装置及び調整方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る二重偏波レーダ装置301の送信機11は、一定周波数の短パルスと、パルス内で周波数が一様に変化する長パルスと、を生成すること、及び短パルスと長パルスをアンテナ12から2偏波の送信波で送信する。受信機13は、アンテナ12で捉えた反射波を復調して、偏波毎に短パルスと長パルスのエコーを取得する。調整器14は、アンテナ12から送信する前の送信波を偏波毎に復調し、復元した短パルスと長パルスから補正値を検出する。ここで、補正値は、偏波毎の短パルスとルスとのレベル差、及び前記短パルスと長パルスのそれぞれの偏波間位相差の差分である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ、送信機、受信機、及び調整器を備える二重偏波レーダ装置であって、
前記送信機は、一定周波数の短パルスと、前記短パルスよりパルス長が長く、パルス内で周波数が一様に変化する長パルスと、を生成すること、及び前記短パルスと前記長パルスを前記アンテナから2偏波の送信波で送信することを行い、
前記受信機は、前記アンテナで捉えた前記送信波の反射波を偏波毎に復調して、偏波毎に前記短パルスと前記長パルスのエコーを取得することを行い、
前記調整器は、前記アンテナから送信する前の前記送信波を偏波毎に復調して、前記短パルスと前記長パルスを復元すること、及び復元した前記短パルスと前記長パルスから補正値を検出することを行い、
前記補正値が、偏波毎の前記短パルスと前記長パルスとのレベル差、及び前記短パルスと前記長パルスのそれぞれの偏波間位相差の差分である
ことを特徴とする二重偏波レーダ装置。
【請求項2】
前記調整器は、前記受信機が取得した前記エコーを前記補正値で補正することを特徴とする請求項1に記載の二重偏波レーダ装置。
【請求項3】
前記調整器は、前記送信機が送信する前記送信波を前記補正値で補正することを特徴とする請求項1に記載の二重偏波レーダ装置。
【請求項4】
アンテナ、送信機、及び受信機を備える二重偏波レーダ装置の調整方法であって、
前記送信機が、一定周波数の短パルスと、前記短パルスよりパルス長が長く、パルス内で周波数が一様に変化する長パルスと、を生成すること、及び前記短パルスと前記長パルスを前記アンテナから2偏波の送信波で送信することを行い、
前記受信機が、前記アンテナで捉えた前記送信波の反射波を偏波毎に復調して、偏波毎に前記短パルスと前記長パルスのエコーを取得することを行っているときに、
前記アンテナから送信する前の前記送信波を偏波毎に復調して、前記短パルスと前記長パルスを復元すること、及び復元した前記短パルスと前記長パルスから補正値を検出することを行い、
前記補正値が、偏波毎の前記短パルスと前記長パルスとのレベル差、及び前記短パルスと前記長パルスのそれぞれの偏波間位相差の差分である
ことを特徴とする調整方法。
【請求項5】
前記受信機が取得した前記エコーを前記補正値で補正することを特徴とする請求項4に記載の調整方法。
【請求項6】
前記送信機が送信する前記送信波を前記補正値で補正することを特徴とする請求項4に記載の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二重偏波レーダ装置及び調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、気象レーダのようなレーダ装置は、増幅器として電子管から長寿命の半導体素子を用いた固体化パルスレーダに変更されてきている。また、従来の単偏波(水平偏波)のみではなく、2偏波(水平と垂直)でレーダ検出することが主流となってきている。
【0003】
固体化パルスレーダは、高出力が不可のためパルス圧縮技術を用いた長パルス(FM変調パルス)出力をすることが多い。ここで、長パルスは近距離レンジの検出ができないことから、レーダ装置は、短距離レンジを担当する短パルス(無変調パルス)と長距離レンジを担当する長パルス(FM変調パルス)を併用する。つまり、レーダ装置は短パルスと長パルスを併用し、それぞれの反射パルス(短パルスエコーと長パルスエコー)を短距離と長距離の接続点にて接続し、短距離から長距離までを探知する。
【0004】
レーダ装置は、この短距離と長距離の接続点にて、短パルスエコーと長パルスエコーのレベルを一致させることと、水平偏波と垂直偏波の位相差である偏波間位相差ΦDP(ファイデーピー)を短パルスエコーと長パルスエコーとで一致させることが必要である。しかし、短パルスと長パルスを送信するときのパワーアンプによるドループ現象で両パルスに利得差と位相差が生じる場合、短距離から長距離までを探知することが困難となる。
【0005】
例えば、特許文献1では、短パルスと長パルスに生じた位相差(ΦDP)を反射波(短パルスエコーと長パルスエコー)を用いて検出し、補正することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、レーダ装置についての調整、すなわち、短パルスエコーと長パルスエコーのレベルを一致させることと、水平偏波と垂直偏波の位相差である偏波間位相差ΦDP(ファイデーピー)を短パルスエコーと長パルスエコーとで一致させることは、エコーデータをオシロスコープ、又は、後段のデータ処理系で作業員が確認しながら手動にて調整をしていた。
【0008】
一方、特許文献1が開示する手法は、偏波間位相差ΦDPを短パルスエコーと長パルスエコーとで一致させる調整を自動で行うことができるが、短パルスエコーと長パルスエコーのレベルを一致させることはできず、作業員の手動で調整せざるを得なかった。つまり、従来技術は、短パルスエコーと長パルスエコーのレベルを一致させることと、水平偏波と垂直偏波の位相差である偏波間位相差ΦDP(ファイデーピー)を短パルスエコーと長パルスエコーとで一致させることの双方を自動で行うことが困難という課題があった。
【0009】
そこで、本発明は、前記課題を解決するために、短パルスエコーと長パルスエコーのレベルを一致させることと、水平偏波と垂直偏波の位相差である偏波間位相差ΦDPを短パルスエコーと長パルスエコーとで一致させることの双方を自動で行うことができる二重偏波レーダ装置及び調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る二重偏波レーダ装置は、受信した反射波の復調経路とは別に、アンテナ前のパワーアンプ出力から分岐したファレンス信号を復調し、の短長パルスのレベルとΦDPを比較することとした。
【0011】
具体的には、本発明に係る二重偏波レーダ装置は、アンテナ、送信機、受信機、及び調整器を備える二重偏波レーダ装置であって、
前記送信機は、一定周波数の短パルスと、前記短パルスよりパルス長が長く、パルス内で周波数が一様に変化する長パルスと、を生成すること、及び前記短パルスと前記長パルスを前記アンテナから2偏波の送信波で送信することを行い、
前記受信機は、前記アンテナで捉えた前記送信波の反射波を偏波毎に復調して、偏波毎に前記短パルスと前記長パルスのエコーを取得することを行い、
前記調整器は、前記アンテナから送信する前の前記送信波を偏波毎に復調して、前記短パルスと前記長パルスを復元すること、及び復元した前記短パルスと前記長パルスから補正値を検出することを行い、
前記補正値が、偏波毎の前記短パルスと前記長パルスとのレベル差、及び前記短パルスと前記長パルスのそれぞれの偏波間位相差の差分である
ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る調整方法は、アンテナ、送信機、及び受信機を備える二重偏波レーダ装置の調整方法であって、
前記送信機が、一定周波数の短パルスと、前記短パルスよりパルス長が長く、パルス内で周波数が一様に変化する長パルスと、を生成すること、及び前記短パルスと前記長パルスを前記アンテナから2偏波の送信波で送信することを行い、
前記受信機が、前記アンテナで捉えた前記送信波の反射波を偏波毎に復調して、偏波毎に前記短パルスと前記長パルスのエコーを取得することを行っているときに、
前記アンテナから送信する前の前記送信波を偏波毎に復調して、前記短パルスと前記長パルスを復元すること、及び復元した前記短パルスと前記長パルスから補正値を検出することを行い、
前記補正値が、偏波毎の前記短パルスと前記長パルスとのレベル差、及び前記短パルスと前記長パルスのそれぞれの偏波間位相差の差分である
ことを特徴とする。
【0013】
偏波毎に、アンテナから空中に放射される前の短パルスと長パルスをリファレンス信号として取得し、これを反射波と同じように復調することでパワーアンプによる短パルスと長パルスのレベル差と偏波間位相差ΦDPの双方を取得できる。反射波を使用しないので、任意の時刻に自動で短パルスと長パルスのレベル差と偏波間位相差ΦDPの双方を取得できる。
【0014】
従って、本発明は、短パルスエコーと長パルスエコーのレベルを一致させることと、水平偏波と垂直偏波の位相差である偏波間位相差ΦDPを短パルスエコーと長パルスエコーとで一致させることの双方を自動で行うことができる二重偏波レーダ装置及び調整方法を提供することができる。
【0015】
本発明に係る二重偏波レーダ装置の前記調整器は、前記受信機が取得した前記エコーを前記補正値で補正してもよい。本構成は、当該補正値を反射波の受信信号にフィードフォワードする。
【0016】
本発明に係る二重偏波レーダ装置の前記調整器は、前記送信機が送信する前記送信波を前記補正値で補正してもよい。本構成は、当該補正値を発射前のパルス波にフィードバックする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、短パルスエコーと長パルスエコーのレベルを一致させることと、水平偏波と垂直偏波の位相差である偏波間位相差ΦDPを短パルスエコーと長パルスエコーとで一致させることの双方を自動で行うことができる二重偏波レーダ装置及び調整方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る二重偏波レーダ装置を説明する図である。
【
図2】本発明に係る二重偏波レーダ装置の調整方法を説明する図である。
【
図3】本発明に係る二重偏波レーダ装置を説明する図である。
【
図4】本発明に係る二重偏波レーダ装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0020】
図1は、本実施形態に係る二重偏波レーダ装置301を説明する図である。二重偏波レーダ装置301は、アンテナ12、送信機11、受信機13、及び調整器14を備える。
送信機11は、一定周波数の短パルスと、前記短パルスよりパルス長が長く、パルス内で周波数が一様に変化する長パルスと、を生成すること、及び前記短パルスと前記長パルスをアンテナ12から2偏波の送信波で送信する。
受信機13は、アンテナ12で捉えた前記送信波の反射波を偏波毎に復調して、偏波毎に前記短パルスと前記長パルスのエコーを取得する。
調整器14は、アンテナ12から送信する前の前記送信波を偏波毎に復調して、前記短パルスと前記長パルスを復元すること、及び復元した前記短パルスと前記長パルスから補正値を検出する。ここで、補正値は、偏波毎の前記短パルスと前記長パルスとのレベル差、及び前記短パルスと前記長パルスのそれぞれの偏波間位相差の差分である。
【0021】
なお、機能部15は、受信機が取得した短パルスエコーと長パルスエコーを短距離と長距離の接続点にて接続し、短距離から長距離までシームレスに対象物(雨や雲など)を探知する機能をもつ。
【0022】
図2は、本発明に係る二重偏波レーダ装置301の調整方法を説明する図である。まず、送信機11が、一定周波数の短パルスと、前記短パルスよりパルス長が長く、パルス内で周波数が一様に変化する長パルスと、を生成する(ステップS01)。定常の対象物探知であれば、送信機11が、前記短パルスと前記長パルスをアンテナ12から2偏波の送信波で送信すること(ステップS02)、及び受信機13が、アンテナ12で捉えた前記送信波の反射波を偏波毎に復調して、偏波毎に前記短パルスと前記長パルスのエコーを取得すること(ステップS03)を行う。そして、機能部15で短パルスエコーと長パルスエコーを処理して対象物の検知を行う(ステップS04)。
【0023】
二重偏波レーダ装置301を調整するときに、アンテナ12から送信する前の前記送信波を偏波毎に復調して、前記短パルスと前記長パルスを復元すること(ステップS13)、及び復元した前記短パルスと前記長パルスから補正値を検出すること(ステップS14)を行う。前述のように、前記補正値は、偏波毎の前記短パルスと前記長パルスとのレベル差、及び前記短パルスと前記長パルスのそれぞれの偏波間位相差の差分である。得られた補正値は、送信機11又は受信機13で使用される(ステップS15)。
【0024】
(実施例1)
補正値を受信機13で使用する具体例を
図3を用いて説明する。本例の調整器14は、受信機13が取得した前記エコーを前記補正値で補正することを特徴とする。つまり、本例は、発射する前のパルス波から得た補正値を反射波を受信した信号にフィードフォワードする構成である。
【0025】
(1)パルス生成器(h1、v1)でパルス波waを生成する。
パルス生成器(h1、v1)は、それぞれ水平偏波(以下、H偏波)用と垂直偏波(以下、V偏波)用のパルス波waをデジタルデータを用いて生成する。
図5(A)は、パルス波waを説明する図である。
図5(A)に示すように、パルス生成器(h1、v1)は、短パルスW1と長パルスW2を時間をずらし、違う周波数で発生する。短パルスW1は無変調(周波数が無変化)で1~2μs程度の時間幅、長パルスW2はチャープ変調(FM変調)で32~128μs程度の時間幅をもつ。
なお、
図3では、パルス生成器h1がH偏波用の短パルスW1と長パルスW2を生成し、パルス生成器v1がV偏波用の短パルスW1と長パルスW2を生成するが、単一のパルス生成器が短パルスW1と長パルスW2を生成し、後段でH偏波用とV偏波用のパルス波に分岐する構成でもよい。
【0026】
(2)DAC(h2、v2)でパルス波waをデジタル/アナログ変換する。
(3)送信機TX(h3、v3)でパルス波waをRFレーダ周波数に変換する。
(4)パワーアンプPA(h4、v4)でRFレーダ周波数のパルス波waを増幅する。
(5)RFレーダ周波数のパルス波waはサーキュレータ(h5、v5)を経由してアンテナ11から2偏波で送信される。
【0027】
(6)アンテナ11は対象物(雨雲等)からの反射波(2偏波)を受信する。反射波には短パルスが反射された短パルスエコーと長パルスが反射された長パルスエコーが含まれる。
(7)H偏波の反射波とV偏波の反射波は、それぞれ受信機RX(h7、v7)でIF帯に周波数変換される。
(8)周波数変換された反射波はADC(h8、v8)でアナログ/デジタル変換される。
(9)直交復調器(h9、v9)は、短パルスと長パルスの周波数の違いを利用して、H偏波とV偏波の反射波をそれぞれ短パルスエコーと長パルスエコーに分離する。
直交復調器は、復調しようとする受信信号を2分岐し、一方にベースバンド領域の基本波を乗算、他方に当該基本波の位相を90°ずらした信号を乗算して信号を復調する。このとき、基本波の周波数を、短パルスの周波数とすれば短パルスエコーが復調され、長パルスの中心波長とすれば長パルスエコーが復調できる。つまり、直交復調器(h9、v9)は、基本波の周波数を違えることで反射波を短パルスエコーと長パルスエコーに分離する。
(10)パルス圧縮器(h10、v10)は、長パルスの時間幅が短パルスの時間幅となる圧縮率で長パルスエコーをパルス圧縮する。
図5(B)は、短パルスエコーと圧縮された長パルスエコーの波形W3である。
【0028】
機能部15は、近距離領域に短パルスエコー、長距離領域に長パルスエコーとなるように接続点で短パルスエコーと圧縮された長パルスエコーを連結する。このとき、二重偏波レーダ装置として、下記の特性を一致させる必要がある。
(A)H偏波とV偏波それぞれにおける短パルスエコーと長パルスエコーの利得
(B)短パルスエコーのΦDPと長パルスエコーのΦDP
二重偏波レーダ装置301は、上記特性を一致させるために調整器14を備え、上記(A)と(B)を自動で補正する。
【0029】
(5a)パワーアンプPA(h4、v4)の出力(短パルスと長パルス)から方向性結合器(h5a、v5a)で電力の一部をH偏波とV偏波のリファレンスとして分岐する。このリファレンスはエコーが含まれない短パルスと長パルスである。
(11)このリファレンスは、それぞれ受信機RX(h11、v11)でIF帯に周波数変換される。
(12)周波数変換されたリファレンスはADC(h12、v12)でアナログ/デジタル変換される。
(13)直交復調器(h13、v13)は、H偏波とV偏波のリファレンスをそれぞれ短パルスエコーと長パルスエコーに分離する。
(14)パルス圧縮器(h14、v14)は、短パルスの時間幅となるように長パルスを圧縮する。
【0030】
上記(A)の特性を合わせる補正を行う。
(15)電力検出器(h15、v15)で、H偏波及びV偏波それぞれについて短パルスと長パルスの電力を検出する。
(16)レベル比較器(h16、v16)で、H偏波及びV偏波それぞれについて、短パルスと長パルスのレベル差を検出する。
(17)受信機13の長パルスエコー側回路に配置した利得調整器(h17、v17)で長パルスエコーの利得を補正する。この利得の補正により、H偏波とV偏波それぞれにおける長パルスエコー又は短パルスエコーの利得が一致する。
図3では、利得調整器(h17、v17)が長パルスエコー側回路に配置されているが、短パルスエコー側回路に配置してもよい。
【0031】
上記(B)の特性を合わせる補正を行う。
(18)位相検出器(h18、v18)で、H偏波及びV偏波それぞれについて短パルスと長パルスの位相を検出する。
(19)ΦDP検出器(hv19)で、H偏波及びV偏波それぞれについて短パルスと長パルスの位相から短パルスのΦDPと長パルスのΦDPを検出する。
(20)ΦDP比較器(hv20)で短パルスのΦDPと長パルスのΦDPの差を検出する。
(21)受信機13の長パルスエコー側回路に配置した移相器v21でV偏波の長パルスの位相を補正する。この利得の補正により、短パルスエコーと長パルスエコーのΦDPが一致する。
図3では、移相器v21が長パルスエコー側回路に配置されているが、短パルスエコー側回路に配置してもよい。
【0032】
(実施例2)
補正値を送信機11で使用する具体例を
図4を用いて説明する。本例の調整器14は、送信機11が送信する前記送信波を前記補正値で補正することを特徴とする。つまり、本例は、発射する前のパルス波から得た補正値を反射波を送信する信号にフィードバックする構成である。
【0033】
本実施例の二重偏波レーダ装置301は、
図3の二重偏波レーダ装置301に対し、補正値の通知先が異なる。つまり、本実施例の二重偏波レーダ装置301も、手順(1)から手順(16)まで、及び手順(18)から手順(20)までについては、実施例1の説明と同じである。本例では、手順が異なる部分のみ説明する。
【0034】
上記(A)の特性を合わせる補正を行う。
手順(16)の後、次の手順を行う。
(27)送信機11の長パルス側回路に配置した利得調整器(h27、v27)で、送信前の長パルスの利得を補正する。この利得の補正により、H偏波とV偏波それぞれにおける長パルスエコー又は短パルスエコーの利得が受信機13において一致する。
図4では、利得調整器(h27、v27)が長パルス側回路に配置されているが、短パルス側回路に配置してもよい。
【0035】
上記(B)の特性を合わせる補正を行う。
手順(20)の後、次の手順を行う。
(31)送信機11の長パルス側回路に配置した移相器v31でV偏波の長パルスの位相を補正する。この利得の補正により、短パルスエコーと長パルスエコーのΦDPが受信機13において一致する。
図4では、移相器v31が長パルス側回路に配置されているが、短パルス側回路に配置してもよい。
【0036】
(発明の効果)
従来、上記特性(A)と特性(B)の調整を、作業員がエコーデータをオシロスコープ、又は、後段データ処理系で確認しながら手動にて行っていたが、本発明により自動調整が可能となり、検査や現場作業時の工数軽減を図ることができる。また、当該調整を定期的に行うことで、経年変化によるズレも自動で対応可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る二重偏波レーダ装置は、気象レーダ信号処理装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
11:送信機
12:アンテナ
13:受信機
14:調整器
15:機能部
301:二重偏波レーダ装置