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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057178
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】紫外線硬化型粘着剤及び粘着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20240417BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20240417BHJP
   C08G 18/38 20060101ALI20240417BHJP
   C08G 18/66 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J7/38
C08G18/38 055
C08G18/66 007
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163718
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】星野 ちひろ
【テーマコード(参考)】
4J004
4J034
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA14
4J004AB01
4J004AB07
4J004BA02
4J004CA06
4J004CB03
4J004CC02
4J004DB02
4J004FA08
4J034BA08
4J034CA02
4J034CA04
4J034CA15
4J034CB03
4J034CB07
4J034CC03
4J034CC12
4J034CC26
4J034CC45
4J034CC52
4J034CC61
4J034CC62
4J034CC65
4J034CC67
4J034CD05
4J034CD08
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB05
4J034DB07
4J034DC02
4J034DC12
4J034DC35
4J034DC37
4J034DC43
4J034DC50
4J034DD08
4J034DF01
4J034DF02
4J034DF12
4J034DF16
4J034DF20
4J034DF22
4J034DF35
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG05
4J034DG14
4J034DG23
4J034DP12
4J034HA01
4J034HA07
4J034HA08
4J034HB05
4J034HB07
4J034HB08
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4J034HC35
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4J034HC61
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA01
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4J034KA01
4J034KB02
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4J034KD04
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4J034QA03
4J034QB12
4J034QB14
4J034RA08
4J040EF041
4J040EF131
4J040EF281
4J040GA04
4J040JB08
4J040JB09
4J040LA01
(57)【要約】
【課題】有機溶剤を実質的に含まず、高い柔軟性と十分な接着性との両立を達成し且つ塗工性や生産性に優れる紫外線硬化型粘着剤、およびこれを用いた粘着シートを提供すること。
【解決手段】ウレタンポリマー(P)を含み、ウレタンポリマー(P)が、構成モノマーとしてポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、およびイソシアネート基と反応可能な官能基を有するベンゾフェノン化合物(C)を含むことを特徴とする、紫外線硬化型粘着剤により解決される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタンポリマー(P)を含み、
ウレタンポリマー(P)が、構成モノマーとしてポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、およびイソシアネート基と反応可能な官能基を有するベンゾフェノン化合物(C)を含むことを特徴とする、
紫外線硬化型粘着剤。
【請求項2】
前記ウレタンポリマー(P)が、さらにチオール系化合物(D)に由来する残基を有することを特徴とする、請求項1記載の紫外線硬化型粘着剤。
【請求項3】
前記ウレタンポリマー(P)を構成するポリイソシアネート(A)の有するイソシアネート基と、前記イソシアネート基と反応可能な水酸基とのモル数の比(NCO/OH)が0.2~0.9であることを特徴とする請求項1記載の紫外線硬化型粘着剤。
【請求項4】
前記ウレタンポリマー(P)の重量平均分子量が5,000~100,000であることを特徴とする、請求項1記載の紫外線硬化型粘着剤。
【請求項5】
前記ウレタンポリマー(P)を構成するポリオール(B)が、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールのうち少なくともいずれか一方を含むことを特徴とする、請求項1記載の紫外線硬化型粘着剤。
【請求項6】
基材と、請求項1~5いずれか1項記載の紫外線硬化型粘着剤を紫外線硬化してなる粘着剤層とを有する粘着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型粘着剤及び粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着剤は、含有する溶媒成分で、有機溶剤を使用する溶剤型と、水を使用する水溶解型および水分散型に分類される。一方、溶剤を使用しない無溶剤型があり、近年は環境調和や省エネルギーの観点等から、有機溶剤や水を使用せず、溶媒乾燥工程不要な無溶剤型の光硬化型粘着剤が注目されている。
無溶剤型の粘着剤としては、例えばアクリルポリマーとアクリル系の単量体を混合する方法や末端に二重結合を有するウレタンポリマーを用いる方法などが挙げられる(特許文献1、2)。しかしながら、これらの方法は粘度の観点から一般に溶剤型などと比較して低分子量化合物を使用するため、柔軟性が低く接着性も十分ではなく、残存モノマーによる臭気や保存安定性において欠点が挙げられる。また、紫外線照射によるラジカル重合で硬化させるため、酸素による重合阻害を受けやすく、多種の光開始剤や架橋剤の添加が必要となる場合や、紫外線照射時において窒素封入や粘着層を露出させないような処置の必要がある場合などから、粘着剤層を形成する工程が煩雑となり、生産性に課題がある。
他には、(メタ)アクリレートを主成分とする単量体と光架橋性ベンゾフェノン官能基を有する単量体からなる重合体を使用する例もある(特許文献3)。しかしながら、高温で溶融しないと塗工できないホットメルト型であるため、高粘度により取り扱いが困難である上に耐熱性のない基材フィルムには不適であった。
【0003】
以上、有機溶剤を実質的に含まず高温での加熱工程やエージング作業が不要であり、かつ粘着剤として有用な高い柔軟性と十分な接着性を有する、紫外線硬化型粘着剤が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-041034号公報
【特許文献2】特開2004-115771号公報
【特許文献3】特開2006-188687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を鑑み、有機溶剤を実質的に含まず高い柔軟性と十分な接着性を有し且つ塗工性や生産性に優れる紫外線硬化型粘着剤、およびこれを用いた粘着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下[1]~[6]に関する。
【0008】
[1]ウレタンポリマー(P)を含み、ウレタンポリマー(P)が、構成モノマーとしてポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、およびイソシアネート基と反応可能な官能基を有するベンゾフェノン化合物(C)を含むことを特徴とする、紫外線硬化型粘着剤。
【0009】
[2]前記ウレタンポリマー(P)が、さらにチオール系化合物(D)に由来する残基を有することを特徴とする、[1]記載の紫外線硬化型粘着剤。
【0010】
[3]前記ウレタンポリマー(P)を構成するポリイソシアネート(A)の有するイソシアネート基と、前記イソシアネート基と反応可能な水酸基とのモル数の比(NCO/OH)が0.2~0.9であることを特徴とする[1]または[2]記載の紫外線硬化型粘着剤。
【0011】
[4]前記ウレタンポリマー(P)の重量平均分子量が5,000~100,000であることを特徴とする[1]~[3]いずれか記載の紫外線硬化型粘着剤。
【0012】
[5]前記ウレタンポリマー(P)を構成するポリオール(B)が、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールのうち少なくともいずれか一方を含むことを特徴とする、[1]~[4]いずれか記載の紫外線硬化型粘着剤。
【0013】
[6]基材と、[1]~[5]いずれか1項記載の紫外線硬化型粘着剤を紫外線硬化してなる粘着剤層とを有する粘着シート。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、有機溶剤を実質的に含まず高い柔軟性と十分な接着性を有し且つ塗工性や生産性に優れる粘着剤、およびこれを用いた粘着シートを提供することが可能となる。
なお、本発明における優れた生産性とは、高温での加熱工程やエージング作業、紫外線照射時における窒素封入や基材貼着といった粘着剤層を露出させないような処置を必要とせずに、粘着剤を塗工することができ満足な硬化性を有することをいう。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
なお、本明細書で粘着シートとは、基材と、本発明の粘着剤の硬化物からなる粘着層とを含む。本明細書で「テープ」、「フィルム」、および「シート」は同義である。
【0016】
また、本明細書において「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値の範囲として含むものとする。
本明細書中に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、それぞれ独立に一種単独でも二種以上を併用してもよい。
【0017】
本明細書において、「Mw」はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量である。「Mn」はGPC測定によって求めたポリスチレン換算の数平均分子量である。これら重量平均分子量、数平均分子量は、[実施例]の項に記載の方法にて測定することができる。
【0018】
<ウレタンポリマー(P)>
ウレタンポリマー(P)は、ポリイソシアネート(A)、ポリオール(B)、およびベンゾフェノン化合物(C)に由来する残基を有する。ポリイソシアネート(A)と、ポリオール(B)と、イソシアネート基と反応可能な官能基を有するベンゾフェノン化合物(C)と、を反応させることで、ベンゾフェノン骨格をウレタンポリマーに組み込むことができる。
【0019】
ウレタンポリマー(P)を構成するポリイソシアネート(A)の有するイソシアネート基と、前記イソシアネート基と反応可能な水酸基とのモル数の比(NCO/OH)は、0.2~0.9であることが好ましく、0.3~0.8であることがより好ましく、0.3~0.7であることがさらに好ましい。(NCO/OH)を0.2以上とすることで粘度を適度な範囲に調整し易く、(NCO/OH)が1に近づくほどゲル化しやすいため0.9以下が好ましい。
【0020】
ウレタンポリマー(P)の重量平均分子量は、特に制限されないが、5,000~100,000であることが好ましく、5,000~50,000であることがより好ましい。重量平均分子量を5,000~100,000とすることで、ウレタンポリマー(P)の粘度を適度な範囲に調整し易い。
【0021】
ウレタンポリマー(P)の粘度は、特に制限されないが、1,000~100,000mP・s(25℃)であることが好ましく、1,000~50,000mPa・s(25℃)であることがより好ましい。粘度が100,000mP・sを超えると塗加工が困難になる可能性があり、また、1,000mP・s未満だと十分な分子量のポリマーができていない場合がある。
【0022】
<ポリイソシアネート(A)>
ポリイソシアネート(A)としては、公知のものを使用でき、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、および脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0023】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、および4,4’,4’’-トリフェニルメタントリイソシアネート、ω,ω’-ジイソシアネート-1,3-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、および1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0024】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0025】
脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、および1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
【0026】
その他、ポリイソシアネートとしては、上記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ビウレット体、アロファネート体、および3量体(この3量体はイソシアヌレート環を含む。)等が挙げられる。
【0027】
これらの中でも、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、および、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が好ましい。
【0028】
<ポリオール(B)>
ポリオール(B)としては、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、これらの共重合体、およびその他のグリコール類、ブタジエン系ポリオールやひまし油ポリオール等が挙げられる。
ポリオール(B)は、ウレタンポリマー(P)の粘度や塗膜の透明性の観点から、ポリエーテポリオールおよびポリエステルポリオールのうち少なくともいずれか一方を含むことが好ましく、ポリエーテルポリオールを含むことが特に好ましい。
【0029】
ポリエーテルポリオールとしては、公知のものを使用することができる。ポリエーテルポリオールとしては例えば、1分子中に2つ以上の活性水素を有する活性水素含有化合物を開始剤として用い、1種以上のオキシラン化合物を付加重合させて得られる化合物(付加重合物)が挙げられる。
【0030】
前記開始剤としては、水酸基含有化合物およびアミン類等が挙げられる。
具体的には、エチレングリコール(EG)、プロピレングリコール(PG)、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、N-アミノエチルエタノールアミン、イソホロンジアミン、およびキシリレンジアミン等の2官能開始剤;グリセリン、トリメチロールプロパン、およびトリエタノールアミン等の3官能開始剤;ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、および芳香族ジアミン等の4官能開始剤;ジエチレントリアミン等の5官能開始剤等が挙げられる。
オキシラン化合物としては、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、およびブチレンオキシド(BO)等のアルキレンオキシド(AO);テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。
【0031】
ポリエーテルポリオールとしては、分子内に活性水素含有化合物に由来するアルキレンオキシド付加物(「ポリオキシアルキレンポリオール」ともいう。)が好ましい。中でも、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、末端にエチレンオキサイド(EO)を付加させたPPG(PPG-EO)、およびポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコールなどの2官能ポリエーテルポリオール;グリセリンのアルキレンオキシド付加物等の3官能ポリエーテルポリオール等が好ましい。
【0032】
ポリエーテルポリオールの数平均分子量(Mn)は特に制限されず、透明性や柔軟性が効果的に発現することから、200~10,000が好ましく、400~6,000がより好ましく、600~6,000がさらに好ましい。Mnを200~10,000にすることでウレタンポリマー(P)の粘度を適度な範囲に調整し易い。
【0033】
ポリエステルポリオール類としては、例えば、多官能アルコール成分と二塩基酸成分とが縮合反応したポリエステルポリオールが挙げられる。
多官能アルコール成分としては、例えば、上記した2個または3個の水酸基を有するポリオール類が挙げられ、中でも、後述の、式量60~1000のポリオールが主に用いられる。
【0034】
多官能アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、ポリオキシエチレングリコール(付加モル数10以下)、ポリオキシプロピレングリコール(付加モル数10以下)、プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、シクロペンタジエンジメタノール、ダイマージオール等の脂肪族あるいは脂環族ジオール類;
【0035】
例えば、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ) ベンゼン、4,4’-メチレンジフェノール、4,4’-(2-ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’-ジヒドロキシビフェノール、o-,m- ,及びp-ジヒドロキシベンゼン、4,4’-イソプロピリデンフェノール、あるいはビスフェノールA やビスフェノールF等のビスフェノール類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させてなるビスフェノール類等の芳香族ジオール類;
【0036】
例えば、1,1,1-トリメチロールブタン、1,1,1-トリメチロールペンタン、1,1,1-トリメチロールヘキサン、1,1,1-トリメチロールヘプタン、1,1,1-トリメチロールオクタン、1,1,1-トリメチロールノナン、1,1,1-トリメチロールデカン、1,1,1-トリメチロールウンデカン、1,1,1-トリメチロールドデカン、1,1,1-トリメチロールトリデカン、1,1,1-トリメチロールテトラデカン、1,1,1-トリメチロールペンタデカン、1,1,1-トリメチロールヘキサデカン、1,1,1-トリメチロールヘプタデカン、1,1,1-トリメチロールオクタデカン、1,1,1-トリメチロールナノデカン、1,1,1-トリメチロール-sec-ブタン、1,1,1-トリメチロール-tert-ペンタン、1,1,1-トリメチロール-tert-ノナン、1,1,1-トリメチロール-tert-トリデカン、1,1,1-トリメチロール-tert-ヘプタデカン、1,1,1-トリメチロール-2-メチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロール-3-メチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロール-2-エチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロール-3-エチル-ヘキサン、1,1,1-トリメチロールイソヘプタデカンなどのトリメチロール分岐アルカン類、トリメチロールブテン、トリメチロールヘプテン、トリメチロールペンテン、トリメチロールヘキセン、トリメチロールヘプテン、トリメチロールオクテン、トリメチロールデセン、トリメチロールドデセン、トリメチロールトリデセン、トリメチロールペンタデセン、トリメチロールヘキサデセン、トリメトロールヘプタデセン、トリメチロールオクタデセン、1,2,6-ブタントリオール、1,2,4-ブタントリオール、グリセリン等の3官能トリオール類;
【0037】
さらには、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等4官能以上のアルコール類を挙げることができ、それぞれを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
二塩基酸成分としては、脂肪族系、脂環族系、及び芳香族系が挙げられ、それぞれ特に制限が無く使用できる。
脂肪族系二塩基酸としては、より具体的には、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、スベリン酸、マレイン酸、クロロマレイン酸、フマル酸、ドデカン二酸、ピメリン酸、シトラコン酸、グルタル酸、イタコン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらの脂肪族ジカルボン酸及びその無水物が利用できる。又、無水コハク酸の誘導体(メチル無水コハク酸物、2,2-ジメチル無水コハク酸、ブチル無水コハク酸、イソブチル無水コハク酸、ヘキシル無水コハク酸、オクチル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、フェニル無水コハク酸等)、無水グルタル酸の誘導体(無水グルタル酸、3-アリル無水グルタル酸、2,4-ジメチル無水グルタル酸、2,4-ジエチル無水グルタル酸、ブチル無水グルタル酸、ヘキシル無水グルタル酸等)、無水マレイン酸の誘導体(2-メチル無水マレイン酸、2,3-ジメチル無水マレイン酸、ブチル無水マレイン酸、ペンチル無水マレイン酸、ヘキシル無水マレイン酸、オクチル無水マレイン酸、デシル無水マレイン酸、ドデシル無水マレイン酸、2,3-ジクロロ無水マレイン酸、フェニル無水マレイン酸、2,3-ジフェニル無水マレイン酸等)等の無水物誘導体も利用できる。
【0039】
脂環族系二塩基酸としては、より具体的には、例えば、脂環族ジカルボン酸としては、例えば、ダイマー酸、シクロプロパン-1α,2α-ジカルボン酸、シクロプロパン-1α,2β-ジカルボン酸、シクロプロパン-1β,2α-ジカルボン酸、シクロブタン-1,2-ジカルボン酸、シクロブタン-1α,2β- ジカルボン酸、シクロブタン-1α,3β-ジカルボン酸、シクロブタン-1α,3α-ジカルボン酸、(1R)-シクロペンタン-1β,2α-ジカルボン酸、trans-シクロペンタン-1,3-ジカルボン酸、(1β,2β)-シクロペンタン-1,3-ジカルボン酸、(1β,3β)-シクロペンタン-1,3-ジカルボン酸、(1S,2S)-1,2-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,1-シクロヘプタンジカルボン酸、クバン-1,4-ジカルボン酸、2,3-ノルボルナンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の飽和脂環属ジカルボン酸や、1-シクロブテン-1,2-ジカルボン酸、3-シクロブテン-1,2-ジカルボン酸、1-シクロペンテン-1,2-ジカルボン酸、4-シクロペンテン-1,3-ジカルボン酸、1-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、2-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、4-シクロヘキセン-1,3-ジカルボン酸、2,5-ヘキサジエン-1α,4α-ジカルボン酸等の環内に不飽和二重結合が1もしくは2個有した不飽和脂環族ジカルボン酸が挙げられ、これらの脂環族ジカルボン酸及びその無水物等が利用できる。
【0040】
また、ヘキサヒドロ無水フタル酸の誘導体(3-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸、4-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸)、テトラヒドロ無水フタル酸の誘導体(1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸、3-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸、4-メチル-1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニル-1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸等)等の水素添化した無水フタル酸誘導体も脂環族ジカルボン酸無水物として利用できる。
【0041】
芳香族系二塩基酸としては、より具体的には、例えば、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、o-フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、2,5-ジメチルテレフタル酸、2,2’-ビフェニルジカルボン酸、4,4-ビフェニルジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、1,2-アズレンジカルボン酸、1,3-アズレンジカルボン酸、4,5-アズレンジカルボン酸、(-)-1,3-アセナフテンジカルボン酸、1,4-アントラセンジカルボン酸、1,5-アントラセンジカルボン酸、1,8-アントラセンジカルボン酸、2,3-アントラセンジカルボン酸、1,2-フェナントレンジカルボン酸、4,5-フェナントレンジカルボン酸、3,9-ペリレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸や、無水フタル酸、4-メチル無水フタル酸等の芳香族ジカルボン酸無水物が挙げられ、これらの芳香族ジカルボン酸及びその無水物等が利用できる。
【0042】
さらに、無水クロレンド酸、無水ヘット酸、ビフェニルジカルボン酸無水物、無水ハイミック酸、エンドメチレン-1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸、メチル-3,6-エンドメチレン-1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、1-シクロペンテン-1,2-ジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、1,8-ナフタレンジカルボン酸無水物、オクタヒドロ-1,3-ジオキソ-4,5-イソベンゾフランジカルボン酸無水物等の酸無水物類も二塩基酸として使用可能である。それぞれを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0043】
又、β-ブチロラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、γ-カプロラクトン、γ-ヘプタノラクトン、α-メチル-β-プロピオラクトン等のラクトン類等の、環状エステル化合物の開環重合により得られるポリエステルポリオールも使用できる。
【0044】
ポリエステルポリオールの数平均分子量(Mn)は特に制限されないが、中でも200~10,000が好ましく、400~6,000がより好ましく、600~6,000がさらに好ましい。Mnを200~10,000にすることでウレタンポリマー(P)の粘度を適度な範囲に調整し易い。
【0045】
ポリカーボネートポリオール類は、下記一般式(1)で示される構造を、その分子中に有するものであり、公知のポリカーボネートポリオールを使用することができる。
一般式(1):
-[-O-R1-O-CO-]m-
(式中、R1は2価の有機残基、mは1以上の整数を表す。)
【0046】
ポリカーボネートポリオールは、例えば、(1)グリコール又はビスフェノールと炭酸エステルとの反応、(2)グリコール又はビスフェノールにアルカリの存在下でホスゲンを作用させる反応などで得られる。
【0047】
(1)の製法で用いられる炭酸エステルとして具体的には、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどが挙げられる。
【0048】
ポリカーボネートポリオールの市販品としては、クラレ株式会社のクラレポリオールCシリーズを用いることができる。その中でもPMHC-1050、PMHC-2050、C-1090、C-2090、C-1065N、C-2065N、C-1015N、C-2015Nは、柔軟性があり好ましく併用することができる。
【0049】
その他のグリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等の、2個の水酸基を有する化合物が挙げられる。
【0050】
(1)及び(2)の製法で用いられるグリコール又はビスフェノールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール; あるいはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール類; ビスフェノール類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたビスフェノール類; 等も用いることができる。これらの化合物は、1種又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0051】
ブタジエン系ポリオールとしては、例えば、末端に2つ以上の水酸基を有し、1,2-ビニル部位、1,4-シス部位、1,4-トランス部位またはそれらが水素化された構造を有し、直鎖状若しくは分岐状のポリブタジエンが挙げられる。水素化する程度は、水素化する前に存在する二重結合部位の全てが水素化されていることが好ましいが、本発明においては、若干の二重結合部位が残存していても良い。
【0052】
ひまし油ポリオールとしては、例えば、ひまし油から誘導されるポリオール、またはひまし油を変性して得られるポリオールであってよい。
【0053】
上記ひまし油から誘導されるポリオールとしては、例えば、このグリセリンエステルのリシノレイン酸の一部をオレイン酸に置換したもの、ひまし油を鹸化して得られるリシノレイン酸を短分子ポリオールとエステル化したもの、これらとひまし油との混合物等、ひまし油由来の脂肪酸エステルポリオールであってよい。
【0054】
上記ひまし油を変性して得られるポリオールとしては、例えば、植物油変性ポリオール、芳香族骨格(例えばビスフェノールA等)を有する変性ポリオール等が挙げられる。植物油変性ポリオールは、グリセリンエステルのリシノレイン酸の一部を、他の植物より得られる脂肪酸、例えば大豆油、なたね油、オリーブ油等より得られるリノール酸、リノレン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸に置換して得られるものである。
【0055】
ひまし油由来ポリオールの市販品としては、例えば、伊藤製油社製のURIC HF-1300、Y-403、HF-2009等が挙げられる。
【0056】
その他ポリオールの数平均分子量(Mn)は、100~8,000が好ましい。
【0057】
<ベンゾフェノン化合物(C)>
ベンゾフェノン化合物(C)は、イソシアネート基と反応可能な官能基と、ベンゾフェノン骨格とを有する。イソシアネート基と反応可能な官能基としては、水酸基、アミノ基、スルホ基、チオール基などがあげられる。ベンゾフェノン化合物(C)は、既存の化合物を用いても、2種以上の化合物を反応させて得られる化合物を用いても良く、特に制限されることはない。
【0058】
イソシアネート基と反応可能な官能基と、ベンゾフェノン骨格とを有する既存の化合物としては、例えば、2-ヒドロキシベンゾフェノン、3-ヒドロキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホベンゾフェノン、2-アミノベンゾフェノン、4-アミノベンゾフェノン、3-アミノベンゾフェノン、2,2’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、2,4’-ジアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
【0059】
2種以上の化合物を反応させてベンゾフェノン化合物(C)を得るための方法は特に制限されることは無いが、例えば以下の方法で(メタ)アクリロイル基を有するベンゾフェノン化合物のチオール付加物を合成することができる。
1)チオール基以外のイソシアネート基と反応可能な官能基を有し、且つチオール基を有する化合物(チオール系化合物(D))に対して、ベンゾフェノン骨格および(メタ)アクリロイル基を有する化合物(E)を付加させる。
2)アミノ基以外のイソシアネート基と反応可能な官能基を有し、且つアミノ基を有する化合物(D’)に対して、ベンゾフェノン骨格および(メタ)アクリロイル基を有する化合物(E)を付加させる。
【0060】
イソシアネート基と反応可能な官能基を有するチオール系化合物(D)としては、例えば、メルカプトメタノール、2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-1-プロパノール、1-メルカプト-2-ブタノール、2-メルカプト-3-ブタノール、1,2-ジメルカプト-3-プロパノール、1,3-ジメルカプト-2-プロパノール、2,3-ジメルカプト-1-ブタノール、2,4-ジメルカプト-1-ブタノール、3,4-ジメルカプト-1-ブタノール、1,3-ジメルカプト-2-ブタノール、1,4-ジメルカプト-2-ブタノール、3,4-ジメルカプト-2-ブタノール、トリメチロールプロパンジメルカプトアセテート、トリペルカプトペンタエリスリトール《3-メルカプト-2,2-ビス(メルカプトメチル)プロパン-1-オール;CAS:500283-12-5》、ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトアセテート)、ジペンタエリトリトールペンタキス(3-メルカプトプロピオナート)、1-メルカプト-1,1-メタンジオール、1-メルカプト-1,1-エタンジオール、3-メルカプト-1,2プロパンジオール《チオグリセロール》、2-メルカプト-1,2-プロパンジオール、2-メルカプト-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メルカプトエチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1-メルカプト-2,2-プロパンジオール、2-メルカプトエチル-2-メチル-1,3プロパンジオール、2-メルカプトエチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ジメルカプト-1,2-エタンジオール、ジメルカプトペンタエリスリトール《1,3-プロパジオール,2,2-ビス(メルカプトメチル);CAS:19333-66-5》等が挙げられる。
【0061】
これらのチオール系化合物(D)の中でも、反応制御の観点では、チオール基1つと、イソシアネート基と反応可能な官能基を2つ以下有する化合物を使用することが好ましい。さらにイソシアネートとの反応性やポリマーとの相溶性の観点から具体的には、2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-1-プロパノール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオールの使用が特に好ましい。
【0062】
アミノ基以外のイソシアネート基と反応可能な官能基を有し、且つアミノ基を有する化合物(D’)としては、例えば、メタノールアミン、2-アミノエタノール、2-アミノプロパノール、3-アミノ-1-プロパノール、1-アミノ-2-ブタノール、2-アミノ-3-ブタノール、1,2-ジアミノ-3-プロパノール、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、2,3-ジアミノ-1-ブタノール、2,4-ジアミノ-1-ブタノール、3,4-ジアミノ-1-ブタノール、1,3-ジアミノ-2-ブタノール、1,4-ジアミノ-2-ブタノール、3,4-ジアミノ-2-ブタノール等が挙げられる。
【0063】
アミノ基以外のイソシアネート基と反応可能な官能基を有し、且つアミノ基を有する化合物(D’)は、1級アミノ基を2個以上有する化合物に、水酸基および(メタ)アクリロイル基を少なくとも1個有する化合物と、ベンゾフェノン骨格および(メタ)アクリロイル基を有する化合物(E)をマイケル付加反応させる方法で得ることもできる。
【0064】
前記1級アミノ基を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリアミノプロパン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、1-メチルアミノ-2,3-プロパンジオール、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、N-(3-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、(2-ヒドロキシエチルプロピレン)ジアミン、(ジ-2-ヒドロキシエチルエチレン)ジアミン、(ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレン)ジアミン、(2-ヒドロキシプロピルエチレン)ジアミン、(ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレン)ジアミン、ピペラジン等の脂肪族ポリアミン;イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン等の脂環式ポリアミン;フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、2,4-トリレンジアミン、2,6-トリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン,3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ビス-(sec-ブチル)ジフェニルメタン等の芳香族ジアミン;及びダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミン;末端に一級又は二級アミノ基を有するデンドリマー等が挙げられる。
これらの中でも、イソホロンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンは、マイケル付加反応の制御が容易であるため好ましい。
【0065】
ベンゾフェノン骨格および(メタ)アクリロイル基を有する化合物(E)としては、例えば、4-アクリロイルオキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-アクリロイルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-(2-アクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-(2-メタクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-(2-メチル-2-アクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン等が挙げられる。なお、ベンゾフェノンおよび(メタ)アクリロイル基を有する化合物(E)は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0066】
ベンゾフェノン骨格および(メタ)アクリロイル基を有する化合物(E)の含有量は、ウレタンポリマー(P)を構成する成分の合計100質量%中に0.01~10質量%が好ましく、0.1~9質量%がより好ましく、1~8質量%がさらに好ましい。化合物(E)を0.01~10質量%含有することで、粘着力と保持力を高度に両立できる。
【0067】
<触媒>
前記チオール系化合物(D)、もしくは、アミノ基以外のイソシアネート基と反応可能な官能基を有し且つアミノ基を有する化合物(D’) とベンゾフェノン骨格および(メタ)アクリロイル基を有する化合物(E)との反応、あるいは、後述のウレタンポリマー(P)の製造の際に、反応促進のため、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。例えば、3級アミン系化合物、有機金属系化合物等が挙げられ、単独でもあるいは複数を使用することもできる。
【0068】
3級アミン系化合物としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N-メチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン(別名:DBU)等が挙げられ、場合によっては単独、もしくは併用することもできる。
【0069】
有機金属系化合物としては、錫系化合物、非錫系化合物を挙げることができる。
錫系化合物としては、例えば、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラルレート(別名:DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、2-エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
非錫系化合物としては、例えば、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライドなどのチタン系、オレイン酸鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛等の鉛系、安息香酸コバルト、2-エチルヘキサン酸コバルト等のコバルト系、ナフテン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛等の亜鉛系、ナフテン酸ジルコニウム等のジルコニウム系が挙げられる。
【0070】
触媒の種類および添加量は、反応が良好に進む範囲で適宜設計することができる。
上記触媒の中で、N,N-ジメチルベンジルアミン、ジアザビシクロウンデセン(別名:DBU)、ジブチル錫ジラウレート(別名:DBTDL)、ジオクチル錫ジラウレート(別名:DOTDL)、2-エチルヘキサン酸錫等が反応性や衛生性の点で好ましい。
【0071】
<ウレタンポリマー(P)の製造方法>
ウレタンポリマー(P)の製造方法としては特に制限されず、公知の重合法を適用することができ、イソシアネート化合物(A)およびポリオール(B)と、イソシアネート基と反応可能な官能基を有するベンゾフェノン化合物(C)とを反応させることで得られる。
重合手順は特に制限されず、
手順1)イソシアネート化合物(A)、ポリオール(B)、イソシアネート基と反応可能な官能基を有するベンゾフェノン化合物(C)、必要に応じて触媒等を一括してフラスコに仕込む手順;
手順2)ポリオール(B)、イソシアネート基と反応可能な官能基を有するベンゾフェノン化合物(C)、必要に応じて触媒等をフラスコに仕込み、これにイソシアネート化合物(A)を滴下添加する手順が挙げられる。
【0072】
触媒を使用する場合の反応温度は、好ましくは100℃未満、より好ましくは80~95℃である。反応温度が100℃ 以上では、反応速度および重合安定性等の制御が困難となり、所望の分子量を有するポリウレタンポリオール(P)の生成が困難となる恐れがある。
触媒を使用しない場合の反応温度は、好ましくは100℃ 以上、より好ましくは110℃ 以上である。触媒を使用しない場合の反応時間は、好ましくは3時間以上である。
【0073】
≪紫外線硬化型粘着剤≫
本発明の紫外線硬化型粘着剤は、前述のウレタンポリマー(P)を含む。なお、本明細書において、紫外線硬化型粘着剤は単に粘着剤と記載する場合がある。
【0074】
ベンゾフェノン骨格は、紫外線照射により励起して高エネルギー状態となり、水素原子を引き抜き、架橋構造を形成することから、架橋基として機能する。
ベンゾフェノン骨格をウレタンポリマー(P)に組み込むことで、紫外線照射による励起状態においてウレタンポリマー(P)の分子間に架橋構造を効率的に形成させることができる。ウレタンポリマー(P)を含む本発明の粘着剤は自己重合可能であることから、光開始剤の使用量を低減することができる。
【0075】
<有機溶剤>
本発明の粘着剤は、有機溶剤を含まないことが好ましいが、有機溶剤を含有することも可能である。有機溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、n-プロパノール、及びイソプロパノール等が挙げられる。これらの有機溶剤は単独で用いても2種で以上を併用してもよい。これら有機溶剤を添加して、粘着剤の粘度を調整することもできるし、粘着剤を加温して粘度を低下させることもできる。
【0076】
<粘着付与樹脂>
本発明の粘着剤は、必要に応じて粘着付与樹脂を含むことができる。粘着付与樹脂を添加することで、粘着力をさらに向上させることができる。粘着付与樹脂は、例えば、ロジン系粘着付与樹脂、合成炭化水素系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、等が挙げられる。
【0077】
ロジン系粘着付与樹脂は、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンの未変性ロジンをアルコールなどでエステル化したロジンエステルや、未変性ロジンを変性した不均化ロジン、重合ロジン、水添ロジンなどの変性ロジン、これら変性ロジンをさらにアルコールなどでエステル化した不均化ロジンエステル、重合ロジンエステル、水添ロジンエステルなどの変性ロジンエステル、未変性ロジンにフェノールを付加したロジンフェノール等が好ましい。これらの中でも粘着力及び透明性がより向上するためロジンエステル、及び変性ロジンエステルが好ましい。なお、ロジンエステル及び変性ロジンエステルには、エステル化に用いたアルコールなどの水酸基の一部が未反応で残存している場合もある。エステル化に用いるアルコールは、メタノールなどの単官能アルコール、エチレングリコールなどの2官能アルコール、グリセリンなどの3官能アルコール、及びペンタエリスリトールなどの4官能アルコールが挙げられるが、アクリル系共重合体との相溶性を考慮すると3官能以下のアルコールが好ましい。
【0078】
合成炭化水素系粘着剤付与樹脂は、例えば、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。
【0079】
テルペン系粘着付与樹脂は、例えば、α-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、ジペンテン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、酸変性テルペン樹脂、スチレン化テルペン樹脂、及びスチレン-脂肪族炭化水素系共重合体樹脂等が挙げられる。
【0080】
粘着付与樹脂は共重合体(A)100質量部に対して1~50質量部使用することが好ましく、1~30質量部がより好ましい。粘着付与樹脂を1~50質量部用いることで粘着力と凝集力をより容易に両立することができる。
【0081】
<可塑剤>
本発明の粘着剤は必要に応じて、可塑剤を含むことができる。可塑剤を添加することで、より良好な濡れ性を付与することができる。可塑剤としては特に制限されないが、例えば、脂肪酸エステル系可塑剤、ポリエーテルエステル系可塑剤、ヒドロキシカルボン酸エステル系可塑剤、およびリン酸エステル系可塑剤等が挙げられる。
【0082】
可塑剤の配合量は特に制限されないが、ウレタンポリオール(P)100質量部に対して、10~80質量部が好ましく、より好ましくは15~50質量部である。可塑剤(D)の含有量がこの範囲であることで、糊残りをしない程度に凝集力を担保しつつ、粘着力を適度の調整することができる。
【0083】
本発明の粘着剤は、光硬化性の向上等を目的として、必要に応じて任意の光開始剤を含有させることができる。例えば、紫外線反応性基としてベンゾフェノン構造を有するポリマーを含む粘着剤ように、ポリマーが紫外線照射により単独で硬化する能力を有する場合、光開始剤の使用は任意である。
光開始剤の例としては、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2 -ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4- モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1- オン、ビスアシルフォスフィンオキシド、アシルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2,6-ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジエトキシホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ベンゾインアルキルエーテル(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、n-ブチルベンゾインエーテルなど)、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、p-tert-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルジクロロアセトフェノン、ベンジル、ベンゾイル、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン類(2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン)、ジベンゾスベロン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ベンザルアセトン、ビアセチル、α,α-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、テトラメチルチウラムジスルフィド、α,α’-アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、メチルベンゾイルフォルメート、2,2-ジエトキシアセトフェノン、アシロキシムエステル、塩素化アセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、4’-イソプロピル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、フェニルグリオキシル酸メチル、o-ベンゾイル安息香酸メチル、p-ジメチルアミノ安息香酸メチル、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾ- ル、10-ブチル-2-クロロアクリドン、カンファーキノン、3-ケトクマリン、アントラキノン類(例えば、アントラキノン、2-エチルアントラキノン、α-クロロアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノンなど)、アセナフセン、4,4’-ジメトキシベンジル、4,4’-ジクロロベンジルなどが挙げられる。光開始剤の市販の例としては、BASF社のイルガキュアおよびオムニラッド、メルク社のダロキュア、ベルシコール社のベルシキュアの商標名で販売されているものが挙げられる。
【0084】
これらの光開始剤は、1種を単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。また、光開始剤と、増感剤とを併用してもよい。光開始剤の使用量は、粘着剤100質量%中、1質量%以下が好ましい。
【0085】
本発明の粘着剤は、任意の重合禁止剤を含むことができる。重合禁止剤の例としては、3,5-bis-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル(メトキノン)、p-tert-ブチルカテコールメトキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルクレゾール、フェノチアジン、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジフェニルアミン、ジニトロベンゼン等を用いることができる。これらの重合禁止剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0086】
本発明の粘着剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、他の任意成分を含むことができる。他の任意成分としては、樹脂、充填剤、金属粉、着色剤(顔料等)、箔状物、軟化剤、導電剤、酸化防止剤、光安定剤、シランカップリング剤、表面潤滑剤、レベリング剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、重合禁止剤、および消泡剤等が挙げられる。
【0087】
充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、および酸化チタン等が挙げられる。
【0088】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤等のラジカル連鎖禁止剤;硫黄系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤等の過酸化物分解剤等が挙げられる。
【0089】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、およびステアリン-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系酸化防止剤;
2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’- メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、および3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のビスフェノール系酸化防止剤;
1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)タン、1,3,5-トリメチル- 2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-[メチレン-3-3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-t-ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、および1,3,5-トリス(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H、3H、5H)トリオン、トコフェノール等の高分子型フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
【0090】
硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’-チオジプロピオネート、およびジステアリル3,3’-チオジプロピオネート等が挙げられる。
【0091】
リン系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、およびフェニルジイソデシルホスファイト等が挙げられる。
【0092】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤および紫外線安定剤等が挙げられる。
【0093】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、[ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート]、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、およびメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート等が挙げられる。
【0094】
紫外線安定剤としては、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、[2,2’- チオビス(4-tert-オクチルフェノラート)]-n-ブチルアミンニッケル、ニッケルコンプレックス-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル-リン酸モノエチレート、ニッケル-ジブチルジチオカーバメート、ベンゾエートタイプのクエンチャー、およびニッケル-ジブチルジチオカーバメート等が挙げられる。
【0095】
≪粘着シート≫
本発明の粘着シートは、基材、及び本発明の粘着剤から形成した粘着剤層を備える。また別の態様として、芯材の両面に粘着剤層を有する両面粘着シート、または基材及び芯材を有さず粘着剤層のみで構成されたキャスト粘着シートも好ましい。前記粘着剤層は、粘着剤を基材上に塗工し、乾燥後、紫外線を照射することで形成できる。または、粘着剤を剥離性シートまたは基材上に塗工し、乾燥して粘着剤層を形成し紫外線を照射後、基材または剥離シートを貼り合わせることで形成できる。なお粘着剤層の基材と接しない面に剥離性シートを貼り合わせて保管するのが通常であり、剥離シートは、粘着シートを被着体に貼着する際に剥離される。
【0096】
前記基材としては特に制限されず、樹脂シート、紙、および金属箔等が挙げられる。
基材は、これら基材の少なくとも一方の面に任意の1つ以上の層が積層された積層シートであってもよい。基材の粘着層を形成する側の面には、必要に応じて、コロナ放電処理およびアンカーコート剤塗布等の易接着処理が施されていてもよい。
【0097】
樹脂シートの構成樹脂としては特に制限されず、ポリエチレンテレフタレート(PET) 等のエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂; ナイロン66等のアミド系樹脂;ウレタン系樹脂(発泡体を含む);これらの組合せ等が挙げられる。
ポリウレタンシートを除く樹脂シートの厚みは特に制限されず、好ましくは15~300μmである。ポリウレタンシート(発泡体を含む)の厚みは特に制限されず、好ましくは20~50,000μmである。
【0098】
紙としては特に制限されず、普通紙、コート紙、およびアート紙等が挙げられる。
金属箔の構成金属としては特に制限されず、アルミニウム、銅、およびこれらの組合せ等が挙げられる。
【0099】
剥離シートとしては特に制限されず、樹脂シートまたは紙等の基材シートの表面に剥離剤塗布等の公知の剥離処理が施された公知の剥離シートを用いることができる。
【0100】
粘着シートは、公知の方法にて製造することができる。
はじめに、基材シートの表面に本発明の粘着剤を塗工して、本発明の粘着剤からなる塗工層を形成する。塗布方法は公知方法を適用でき、ロールコーター法、コンマコーター法、ダイコーター法、リバースコーター法、シルクスクリーン法、およびグラビアコーター法等が挙げられる。
次に粘着剤の塗工後、紫外線照射することにより粘着剤層が得られるが、前記紫外線照射する方法としては、例えば、キセノンランプ、キセノン-水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ等の公知の紫外線光照射装置を用いる方法が挙げられる。粘着剤層の厚み(乾燥後の厚み)は用途によって異なるが、好ましくは0.1~200μmである。
次に必要に応じて、公知方法により粘着剤層の露出面に剥離シートを貼着する。
以上のようにして、片面粘着シートを製造することができる。
上記操作を両面に行うことで、両面粘着シートを製造することができる。
【0101】
上記方法とは逆に、剥離シートの表面に本発明の粘着剤を塗工して、本発明の粘着剤からなる塗工層を形成し、次いで塗工層を紫外線照射により硬化して、本発明の粘着剤の硬化物からなる粘着剤層を形成し、粘着剤層の露出面に基材シートを積層してもよい。
【0102】
前記紫外線照射の積算光量としては、好ましくは10~200mJ/cm、より好ましくは20~150mJ/cmの範囲である。10~200mJ/cmとすることで、基材劣化を生じずに硬化を進行させることができる。なお紫外線の積算光量は、へレウス株式会社製UVチェッカー「UV Power Puck II」を用いてUV-Cの波長域において測定した値を基準とする。
【0103】
本発明では、ベンゾフェノン骨格をウレタンポリマーに(P)に組み込むことで、良好な粘着力と凝集力を両立することができる。
本発明の粘着剤では、粘着層の紫外線照射時に、窒素封入や剥離シートまたは基材の貼着による酸素阻害抑制のための処置を行うことなく、粘着剤を硬化させることができ、塗工性に優れる。
本発明の粘着剤を使用した粘着シートは、基材密着性も良好である。
【実施例0104】
以下に、実施例をもって本発明をより具体的に説明するが、以下の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例) であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。なお、実施例で「部」とあるのは「重量部」を、「%」とあるのは「重量%」を意味する。
また、表中の空欄は配合していないことを表す。
【0105】
なお、共重合体の重量平均分子量(Mw)の測定は、次の方法により行なった。
【0106】
<重量平均分子量(Mw)の測定>
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定した。測定条件は以下の通りである。なお、MwおよびMnはいずれも、ポリスチレン換算値である。
装置名:SHIMADZU Prominence(株式会社島津製作所製)
カラム:TOSOH製 TSKgelGMHを2本直列に連結
検出器:示差屈折率検出器(RID-10A)
移動相溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:1.0ml/min
カラム温度:40℃
試料濃度:0.1%
試料注入量:100μL
【0107】
<ウレタンプレポリマー(P)の粘度>
ウレタンプレポリマー(P)の25℃での粘度の測定は、調製後、蓋付きガラス瓶内に入れて25℃の恒温水槽に浸漬させた後、1時間後に粘度測定を実施した。粘度は、B型粘度計(東機産業社製「TVB10形粘度計」)を用いて測定した。
【0108】
[ベンゾフェノン化合物(C)の製造例]
<ベンゾフェノン化合物(C-1)>
撹拌機、温度計を備えた丸底フラスコに、4-アクリロイルオキシベンゾフェノン70部、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール30部、触媒としてN,N-ジメチルベンジルアミン0.01部を仕込んだ。常圧下、攪拌しながら加温した。反応温度は徐々に上昇させ、80℃で3時間攪拌した。その後、赤外分光分析(IR分析)にて残存チオールのピークの消失を確認して反応を終了し、ベンゾフェノン化合物(C-1)を得た。
【0109】
<ベンゾフェノン化合物(C-2)>
ベンゾフェノン化合物(C-2)においては、4-アクリロイルオキシベンゾフェノンの量を70部から76.4部に、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール30部を2-メルカプトエタノール23.6部に変更した以外は、前記ベンゾフェノン化合物(C-1)と同様にして、ベンゾフェノン化合物(C-2)を得た。
【0110】
<ベンゾフェノン化合物(C-3)>
ベンゾフェノン化合物(C-3)においては、4-アクリロイルオキシベンゾフェノンの量を70部から80.5部に、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール30部をアミノエタノール19.5部に変更した以外は、前記ベンゾフェノン化合物(C-1)と同様にして、ベンゾフェノン化合物(C-3)を得た。
【0111】
(実施例1)
<ウレタンポリマー(P-1)を含む紫外線硬化型粘着剤の製造>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管を備えたフラスコに、IPDI(イソホロンジイソシアネート)14.6部、ポリエーテルポリオール(三洋化成工業製:商品名PP-3000)80.4部、前記のように合成したベンゾフェノン化合物(C-1)5.0部、触媒としてジオクチル錫ジラウレート0.01部を仕込み攪拌しながら80℃まで徐々に昇温し、3時間反応させた。
赤外分光分析(IR分析)にて残存イソシアネート基の消失を確認した上で、内溶液を冷却して反応を終了させ、ウレタンポリマー(P-1)を含む紫外線硬化型粘着剤を得た。
ウレタンポリマー(P-1)の主な配合組成、NCO/OH比、および得られたウレタンポリマーのMwを表1に示す。
【0112】
(実施例2~20)
<ウレタンポリマー(P-2)~(P-20)を含む紫外線硬化型粘着剤の製造>
ウレタンポリマー(P-2)~(P-20)の製造においては、表1に記載したイソシアネート(A)の種類、ポリオール(B)の種類、ベンゾフェノン化合物(C)の種類、およびこれらの配合比を変更した以外はウレタンポリマー(P-1)と同様の操作で、ウレタンポリマー(P-2)~(P-20)を含む紫外線硬化型粘着剤を得た。
【0113】
(実施例21~23)
<紫外線硬化型粘着剤の製造>
表4に記載の粘着付与剤または可塑剤をウレタンポリマー(P-4)に添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例21~23の紫外線硬化型粘着剤を得た。
【0114】
[ウレタンポリマー(P’)の製造例]
<ウレタンポリマー(P’-1)>
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を装備したフラスコに、ポリエーテルポリオール(三洋化成工業製:商品名PP-3000)85.2部、触媒としてジオクチル錫ジラウレート0.01部を仕込んだ。次に窒素ガスを吹き込みながら系内を80℃まで昇温し、均一に溶解した後、イソホロンジイソシアネート8.2質量部を加え、3時間攪拌しながら保温した。その後、窒素ガスの吹き込みを中止し、2-ヒドロキシエチルアクリレート6.6部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.06部を加え、3時間攪拌しながら保温し、外分光分析(IR分析)にて残存イソシアネートのピークの消失を確認して反応を終了し、Mw2,4000のウレタンポリマー(P’-1)を得た。
【0115】
(比較例1~5)
表5に記載の反応性架橋剤や光開始剤をウレタンポリマー(P’-1)に添加した以外は、実施例1と同様にして、比較例1~5の紫外線硬化型粘着剤を得た。
【0116】
例示化合物は以下の表1、2 に具体的に示すが、これらに限られるものではない。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
【0119】
表1および2の略号を以下に記載する。
IPDI:イソホロンジイソシアネート
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
(B-1):PP-400(三洋化成社製)、2官能ポリエーテルポリオール、Mn400
(B-2):PP-1000(三洋化成社製)、2官能ポリエーテルポリオール、Mn1,000
(B-3):PP-3000:サンニックスPP-3000(三洋化成社製)、2官能ポリエーテルポリオール、Mn3,000
(B-4):AM-302(アデカ社製)、3官能ポリエーテルポリオール、Mn3,000
(B-5):PREMOL7012(AGC社製)、3官能ポリエーテルポリオール、Mn10,000
(B-6):クラレポリオールP-3010(クラレ社製)、2官能ポリエステルポリオール、Mn3,000
(C-1):前記ベンゾフェノン化合物(C)の製造例参照
(C-2):前記ベンゾフェノン化合物(C)の製造例参照
(C-3):前記ベンゾフェノン化合物(C)の製造例参照
(C-4):4-ヒドロキシベンゾフェノン
【0120】
(実施例1)
<粘着シートの製造>
前記で得られたウレタンポリマー(P-1)を含む紫外線硬化型粘着剤を、厚さ25μmの基材(ポリエチレンテレフタレート製、以下、PETシートという)上に、厚さが30μmになるようにコンマコーターで塗工し、塗工層を形成した。
次いで、紫外線照射装置を用いて、積算光量50mJ/m(高圧水銀ランプ、照射強度120W/cm)となるように照射した後、この粘着剤層に、厚さ38μmの剥離性シート(ポリエチレンテレフタレート製)を貼り合せることで「PETシート/粘着剤層/剥離性シート」という構成の粘着シートを得た。
【0121】
(実施例2~23、比較例1~5)
<粘着シートの製造>
実施例2~21、比較例1~5の粘着剤を用いた以外は実施例1の粘着シートの製造と同様にして、実施例2~21、比較例1~5の粘着シートを得た。
【0122】
《粘着シートの評価》
得られた粘着シートを以下の方法で評価した。結果を表3~5に示す。
(1)粘着力
得られた粘着シートを幅25mm・縦100mmの大きさに切り出した。23℃、相対湿度50%雰囲気下、前記粘着シートから剥離性シートを剥がして露出した粘着剤層をステンレス(SUS)板に貼り付け、2kgロールで1往復圧着した。24時間放置した後に引張試験機を用いて180度方向に300mm/分の速度で引き剥がす180°ピール試験において粘着力を測定し、下記の評価基準に基づいて評価を行った。(JIS Z 0237:2000に準拠)
A:「粘着力が1.0N以上であり、非常に良好。」
B:「粘着力が0.5N以上1.0N未満であり、良好。」
C:「粘着力が0.01N以上0.5N未満であり、実用可。」
D:「粘着力が0.01N未満であり、実用不可。」
【0123】
(2)保持力
得られた粘着シートを幅25mm・長さ100mmの大きさに切り取り、試料とした。次いで23℃-50%RH雰囲気下、JIS Z 0237に準拠して、試料から剥離性シートを剥がし、露出した粘着剤層の先端部幅25mm・長さ25mm部分を研磨したステンレス(SUS)板に貼着し、2kgロールで1往復圧着した後、40℃雰囲気で1kgの荷重をかけ、7万秒保持した。評価は、SUS板から試料が落下した場合はその秒数を示す。試料が落下しなかった場合は、粘着剤層とSUS板の接着先端部が、荷重により下にずれたmm数を示す。評価基準を以下に示す。
A:「試料のずれが0.05mm未満、非常に良好。」
B:「試料のずれが0.05mm以上0.2mm未満であり、良好。」
C:「試料のずれが0.2mm以上で落下なし、実用可。」
D:「試料が落下、実用不可。」
【0124】
(3)塗工性
粘着剤の塗工性を評価した。評価基準を以下に示す。
A:「50℃以下で塗工可能である、非常に良好。」
B:「50~70℃程度加温すると塗工可能である、良好。」
C:「70~100℃程度加温すると塗工可能である、実用可。」
D:「100℃以上加温しないと塗工不可である、実用不可。」
(4)生産性
下記の方法でゲル分率を測定することにより、基材を貼り合わせた状態あるいは窒素封入下での紫外線照射の必要性などといった生産性を評価した。
紫外線照射後の粘着剤の硬化物からなる粘着層を備えた粘着シートを所定の大きさに切り取り、前記粘着シートから剥離性シートを剥がして露出した粘着剤層をSUS200メッシュ(目開き:0.077mm、線経:0.05mm)に貼り付けた後、酢酸エチルに浸漬し、50℃で24時間抽出した後、100℃で30分乾燥後、下記数式(1)でゲル分率を算出。
式(1) ゲル分率(質量%)=(G2/G1)×100
G1:酢酸エチルで抽出する前の粘着層の質量
G2:酢酸エチルで抽出・乾燥した後の粘着層の質量
A:「ゲル分率が30%以上、優れている。」
B:「ゲル分率が10%以上30%未満、実用可。」
D:「ゲル分率が10%未満、実用不可。」
【0125】
【表3】
【0126】
【表4】
【0127】
【表5】
【0128】
表4、5の略号を以下に記載する。
<粘着付与樹脂>
KE-364C:ロジン系粘着付与樹脂(荒川化学社製)
ニカノールLL:キシレン系粘着付与樹脂(三菱ガス化学社製)
ATBC:アセチルクエン酸トリブチル
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
イルガキュア184:1-ヒドロキシシクロヘキサン-1-イルフェニルケトン(チバガイギー社製)
ベンゾフェノン:ジフェニルケトン(東京化成工業社製)
【0129】
本発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、適宜設計変更が可能である。
【0130】
本発明の粘着剤は、表3、4の実施例1~23に示すように、高い粘着力と保持力および良好な塗工性や生産性を示している。これに対して表5の比較例1~5は物性および塗工性や生産性が劣ることが分かった。