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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057181
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】エア圧送組付装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/00 20060101AFI20240417BHJP
   B23P 19/02 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
B23P19/00 301D
B23P19/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163722
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】513142806
【氏名又は名称】株式会社カサイ製作所
(71)【出願人】
【識別番号】591153754
【氏名又は名称】株式会社マルセン
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥村 和功
(72)【発明者】
【氏名】谷 直己
(72)【発明者】
【氏名】神田 良生
【テーマコード(参考)】
3C030
【Fターム(参考)】
3C030AA15
3C030BC04
(57)【要約】
【課題】高速にかつ高精度に搬送部品を所望の姿勢となるように位置決めして、搬送部品の軸部を組付相手部材の筒部に挿入することができるエア圧送組付装置を提供する。
【解決手段】エア圧送組付装置1は、搬送部品Waを搬送可能に構成されたチューブ40と、エア圧送によりチューブ40の先端から搬出された搬送部品Waを通過可能な直管孔131aを有する直管部131と、直管部131の先端側に設けられ開閉可能な複数の爪部132と、爪部132が閉状態であり、搬送部品Waの軸部Wa1の先端が芯出用隙間Cに挿通された状態であり、かつ、搬送部品Waの大径頭部Wa2が爪部132に係止された状態である芯出状態において、大径頭部Wa2に対して押出力を付与する押出装置123とを備える。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部(Wa1)および前記軸部の基端に位置する大径頭部(Wa2)を有する搬送部品(Wa)を搬送し、前記搬送部品の前記軸部を、組付相手部材(Wb)の筒部(Wb1)に挿入するためのエア圧送組付装置(1)であって、
前記組付相手部材を保持する保持治具(50)と、
可撓性を有し、前記搬送部品を搬送可能に構成されたチューブ(40)と、
前記搬送部品を前記チューブの基端側に供給する部品供給装置(20)と、
前記チューブの基端側にエアを供給することにより、前記チューブの基端側に供給された前記搬送部品を、前記チューブの先端側に向かって圧送するエア供給装置(30)と、
前記チューブの先端側に接続され、前記チューブの先端から搬出された前記搬送部品を通過可能な直管孔(131a)を有する直管部(131)と、
前記直管部の先端側に設けられ、閉状態を基準状態として開閉可能に構成され、前記閉状態において前記搬送部品の前記軸部が挿通可能な芯出用隙間(C)を形成すると共に前記搬送部品の前記大径頭部に対して係止し、開状態において前記大径頭部が通過可能となるように構成された複数の爪部(132)と、
前記爪部が前記閉状態であり、前記搬送部品の前記軸部の先端が前記芯出用隙間に挿通された状態であり、かつ、前記搬送部品の前記大径頭部が前記爪部に係止された状態である芯出状態において、前記大径頭部に対して押出力を付与する押出装置(123)と、
前記保持治具と前記直管部とを相対移動させる移動装置(70)と、
前記エア供給装置、前記押出装置、および前記移動装置を制御する制御装置(90)と、
を備え、
前記制御装置は、
前記移動装置を制御することにより、前記組付相手部材の前記筒部と前記閉状態における前記爪部により形成される前記芯出用隙間とを対向させ(S6)、
前記エア供給装置を制御して前記チューブに前記エアを供給させることにより、前記搬送部品を前記チューブを介して前記直管部の先端まで圧送すると共に、前記搬送部品および前記爪部を前記芯出状態にし(S5)、
前記芯出状態において前記押出装置を制御して前記大径頭部に前記押出力を付与させることにより前記搬送部品を移動させ、前記搬送部品の前記大径頭部の移動に伴い前記爪部を前記開状態にし、前記搬送部品の前記軸部を前記組付相手部材の前記筒部に挿入させる(S7)、エア圧送組付装置。
【請求項2】
前記爪部は、基端側を支点として前記直管部に揺動可能に設けられ、先端側が開閉可能に構成され、
さらに、弾性材料により環状に形成され、前記直管部の先端側の外周面に配置され、前記爪部の前記基準状態が前記閉状態となるように前記爪部の外面に対して径方向内側へ向かって弾性力を付与し、前記爪部が前記弾性力に抗して揺動することにより前記爪部が前記開状態となるように構成された弾性部材(134)、を備える、請求項1に記載のエア圧送組付装置。
【請求項3】
さらに、前記弾性材料により環状に形成され、前記直管部の先端側の外周面に配置され、前記爪部の基端側の前記支点に係止され、前記爪部の揺動支点を構成する支点形成部材(133)、を備える、請求項2に記載のエア圧送組付装置。
【請求項4】
前記爪部は、
径方向内面のうち先端側に位置し、前記閉状態において前記直管部の軸方向に平行な面により形成された先端内面(132c)、を備え
前記先端内面は、前記閉状態において前記芯出用隙間を形成する、請求項1~3のいずれか1項に記載のエア圧送組付装置。
【請求項5】
前記先端内面は、平面状に形成されている、請求項4に記載のエア圧送組付装置。
【請求項6】
前記爪部は、
前記径方向内面のうち前記先端内面より基端側に位置し、前記閉状態において前記先端内面に近づくほど径方向内側に向かって傾斜する傾斜内面(132d)、をさらに備え、
前記傾斜内面は、
前記閉状態において、エア圧送された前記搬送部品の前記軸部の先端面が当接することで、前記搬送部品の前記軸部を前記芯出用隙間へ誘導するように構成され、前記搬送部品の前記大径頭部を係止し、
前記押出装置により前記搬送部品の前記大径頭部に前記押出力が付与されることで、前記大径頭部の移動に伴い前記爪部の開度を連続的に大きくするように構成されている、請求項4に記載のエア圧送組付装置。
【請求項7】
前記直管部の軸方向視において、周方向に隣り合う前記爪部の前記傾斜内面の隙間が、前記搬送部品の前記軸部の先端面が挿入されない形となるように、前記爪部の大きさおよび配置が設定されている、請求項6に記載のエア圧送組付装置。
【請求項8】
前記爪部は、3つ以上である、請求項7に記載のエア圧送組付装置。
【請求項9】
前記直管部は、前記直管孔の内周面から前記直管部の軸線に対して傾斜した方向に延在する傾斜孔を有し、
前記押出装置は、
可撓性を有し、前記傾斜孔に沿って往復移動可能に設けられ、前記直管孔の内部に突出可能に設けられ、前記芯出状態における前記搬送部品の前記大径頭部に前記押出力を付与する押出部材(123a)、を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載のエア圧送組付装置。
【請求項10】
前記押出部材は、スプリングである、請求項9に記載のエア圧送組付装置。
【請求項11】
前記直管部は、前記直管孔の軸線が鉛直方向に一致するように配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載のエア圧送組付装置。
【請求項12】
前記直管部の前記直管孔の内周面は、径方向断面において円形に形成され、
前記大径頭部は、板状に形成され、
前記直管孔の内周面と前記大径頭部の外周面との間には、前記大径頭部の姿勢が変化可能となる隙間が形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のエア圧送組付装置。
【請求項13】
前記組付相手部材の前記筒部は、貫通形成されており、
前記保持治具は、上面にて前記組付相手部材を保持して、前記組付相手部材の前記筒部に対応する位置に貫通する孔(51)を有し、
さらに、前記搬送部品の挿入時において前記組付相手部材および前記保持治具を挟んだ状態で前記直管部に対向して配置され、前記組付相手部材の前記筒部に前記搬送部品が挿入されたことを検出する検出器(80)を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載のエア圧送組付装置。
【請求項14】
前記移動装置は、前記保持治具を水平方向に移動可能とし、前記直管部を鉛直方向に移動可能とすると共に水平方向に移動規制し、
前記検出器は、移動規制されている、請求項13に記載のエア圧送組付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エア圧送組付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、搬送部品をエア圧送する装置が記載されている。当該装置は、ワークに小物部品を溶接する際に、ワーク側にセットするように小物部品の保持を開くチャックに対し、所定の保持位置に安定して小物部品を供給できる小物部品の供給装置である。
【0003】
小物部品の供給装置は、ワークに溶接する小物部品を保持するチャックが溶接時に開いて小物部品の保持を解除する構成として、チャックの小物部品の保持位置に小物部品を供給する。チャックは、受入口から保持位置まで小物部品を移送可能な移送路を備える。供給装置は、受入口に接続される供給口を有して移送路に小物部品を移送可能な供給シュートと、小物部品を保持位置側に圧送可能に供給シュート内にエアを供給するエア源と、供給口近傍に配設されて、押圧部を保持位置側に移動させてエアで供給された小物部品を保持位置に押し付けて静止させるプッシャとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-66978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、軸部および軸部の基端に位置する大径頭部を有する搬送部品を搬送して、搬送部品の軸部を、組付相手部材の筒部に挿入する作業が存在する。これまで、当該作業は、作業者の手によって行われたり、多軸ロボットハンドによって行われたりしていた。作業者の手であっても、多軸ロボットハンドであっても、搬送部品を1個ずつ把持して、把持した搬送部品を組付相手部材の筒部に挿入しなければならない。つまり、搬送部品1個ずつに対して、把持動作、搬送動作、挿入動作を順に行わなければならない。
【0006】
上記の搬送部品を搬送して、搬送部品の軸部を組付相手部材の筒部に挿入する作業に要する時間の短縮を図ることが求められている。しかし、作業者の手や多軸ロボットハンドにより作業を行う場合には、把持動作の位置と挿入動作の位置とを往復するため、組付作業の短縮を図ることができない。
【0007】
そこで、特許文献1に記載のように、エア圧送の技術を適用することが考えられる。エア圧送の技術を適用すれば、把持動作の位置と挿入動作の位置とを往復する必要がなく、組付作業の短縮を図ることができる。
【0008】
また、搬送部品の軸部を組付相手部材の筒部に挿入する作業においては、組付相手部材の筒部に対して搬送部品の軸部の位置を高精度に位置決めする必要がある。ここで、特許文献1に記載のエア圧送の技術を適用することにより、搬送部品を高速に搬送することはできる。しかし、特許文献1において、搬送部品は、軸部および大径頭部を有する形状ではない。従って、軸部および大径頭部を有する搬送部品を、組付相手部材に対して、所望の姿勢となるように高精度に位置決めするためには、さらなる工夫が必要となる。
【0009】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、高速にかつ高精度に搬送部品を所望の姿勢となるように位置決めして、搬送部品の軸部を組付相手部材の筒部に挿入することができるエア圧送組付装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、軸部および前記軸部の基端に位置する大径頭部を有する搬送部品を搬送し、前記搬送部品の前記軸部を、組付相手部材の筒部に挿入するためのエア圧送組付装置であって、
前記組付相手部材を保持する保持治具と、
可撓性を有し、前記搬送部品を搬送可能に構成されたチューブと、
前記搬送部品を前記チューブの基端側に供給する部品供給装置と、
前記チューブの基端側にエアを供給することにより、前記チューブの基端側に供給された前記搬送部品を、前記チューブの先端側に向かって圧送するエア供給装置と、
前記チューブの先端側に接続され、直管状に形成され、前記チューブの先端から搬出された前記搬送部品を通過可能に構成された直管部と、
前記直管部の先端側に設けられ、閉状態を基準状態として開閉可能に構成され、前記閉状態において前記搬送部品の前記軸部が挿通可能な芯出用隙間を形成すると共に前記搬送部品の前記大径頭部に対して係止し、開状態において前記大径頭部が通過可能となるように構成された複数の爪部と、
前記爪部が前記閉状態であり、前記搬送部品の前記軸部の先端が前記芯出用隙間に挿通された状態であり、かつ、前記搬送部品の前記大径頭部が前記爪部に係止された状態である芯出状態において、前記大径頭部に対して押出力を付与する押出装置と、
前記保持治具と前記直管部とを相対移動させる移動装置と、
前記エア供給装置、前記押出装置、および前記移動装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記移動装置を制御することにより、前記組付相手部材の前記筒部と前記閉状態における前記爪部により形成される前記芯出用隙間とを対向させ、
前記エア供給装置を制御して前記チューブに前記エアを供給させることにより、前記搬送部品を前記チューブを介して前記直管部の先端まで圧送すると共に、前記搬送部品および前記爪部を前記芯出状態にし、
前記芯出状態において前記押出装置を制御して前記大径頭部に前記押出力を付与させることにより前記搬送部品を移動させ、前記搬送部品の前記大径頭部の移動に伴い前記爪部を前記開状態にし、前記搬送部品の前記軸部を前記組付相手部材の前記筒部に挿入させる、エア圧送組付装置にある。
【発明の効果】
【0011】
上記態様によれば、エア供給装置がチューブにエアを供給することにより、搬送部品を、部品供給装置からチューブを介して直管部の先端までエア圧送することができる。従って、部品供給装置から直管部の先端までの搬送の高速化を図ることができる。
【0012】
さらに、搬送部品が直管部の先端までエア圧送された後において、搬送部品および爪部が芯出状態となる。芯出状態とは、爪部が閉状態であり、搬送部品の軸部の先端が芯出用隙間に挿通された状態であり、かつ、搬送部品の大径頭部が爪部に係止された状態である。爪部は、閉状態において、搬送部品の軸部が挿通可能な芯出用隙間を形成する。このように形成された芯出用隙間に、エア圧送されてきた搬送部品の軸部が挿通されることで、搬送部品が芯出しされる。つまり、エア供給装置がチューブにエアを供給することによって、搬送部品は、高速に直管部の先端側に搬送されると共に、高精度に所望の姿勢に位置決めされる。
【0013】
そして、芯出しされた搬送部品の大径頭部に、押出装置が押出力を付与することによって、爪部が開状態となることで、搬送部品が芯出しされた姿勢を維持しつつ、組付相手部材に組付けられる。具体的には、搬送部品の軸部が組付相手部材の筒部に挿入される。従って、搬送部品を高速にかつ高精度に搬送部品を所望の姿勢となるように位置決めして、搬送部品の軸部を組付相手部材の筒部に挿入することができる。
【0014】
以上のごとく、上記態様によれば、高速にかつ高精度に搬送部品を所望の姿勢となるように位置決めして、搬送部品の軸部を組付相手部材の筒部に挿入することができるエア圧送組付装置を提供することができる。
【0015】
なお、請求の範囲に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態における組付対象を示す断面図。
図2】実施形態におけるエア圧送組付装置を示す正面図。
図3図2のIII方向(X方向)から見た図。
図4図2のIV-IV断面図であって、エア圧送組付装置の部品供給エリア(下段エリア)の平面図。
図5図2のV-V断面図であって、エア圧送組付装置の部品挿入エリア(上段エリア)の平面図。
図6】エア圧送組付装置の部品挿入エリア(上段エリア)の拡大正面図。
図7図6のVII方向から見た図。
図8図6のVIII方向から見た図であって、保持治具移動装置を除く図。
図9】エア圧送組付装置を構成する部品挿入ノズルユニットを示す部分拡大側面図。
図10】エア圧送組付装置を構成する部品挿入ノズルユニットを示す部分拡大断面図。
図11図10のXI方向から見た拡大図。
図12図10のXII-XII拡大断面図。
図13】エア圧送により搬送部品を組付相手部材に組み付ける手順を示すフローチャート。
図14】エア圧送された搬送部品がチューブから直管部に排出されたときの部品挿入ノズルユニットの部分断面図。ただし、直管部の部分については、図11のXIV-XIV断面に対応する。
図15】エア圧送された搬送部品が爪部の傾斜内面に当接したときの部品挿入ノズルユニットの部分断面図。
図16】エア圧送された搬送部品が爪部の先端内面にて芯出しされたときの部品挿入ノズルユニットの部分断面図。
図17】押出装置が搬送部品の押出を開始したときの部品挿入ノズルユニットの部分断面図。
図18】押出装置による搬送部品の押出途中の部品挿入ノズルユニットの部分断面図。
図19】押出装置による搬送部品の押出途中の部品挿入ノズルユニットの部分断面図。
図20】押出装置による搬送部品の押出完了時の部品挿入ノズルユニットの部分断面図。
図21】押出装置が元の位置へ戻った状態の部品挿入ノズルユニットの部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態1)
1.組付対象Wの例
組付対象Wの例について図1を参照して説明する。図1に示すように、組付対象は、組付対象部材としての搬送部品Waと、搬送部品Waが組付けられる組付相手部材Wbとを備える。図1は、一部の搬送部品Waが、組付相手部材Wbに組付けられた状態であって、他の一部の搬送部品Waが、組付相手部材Wbに組付けられる直前の状態の断面図を示す。
【0018】
組付対象部材である搬送部品Waは、例えば、硬質樹脂により形成されている。搬送部品Waは、軽量の金属により形成されていてもよい。ただし、搬送部品Waは、エア圧送できる程度の質量とされる。
【0019】
組付対象部材である搬送部品Waは、軸部Wa1と、軸部Wa1の基端(図1の上端)に位置する大径頭部Wa2とを有する。軸部Wa1は、例えば、円柱状や多角柱状などの柱状、円筒状や多角筒状などの筒状に形成されている。本形態では、軸部Wa1は、円柱状を例にあげる。軸部Wa1の先端面は、平面状に形成されている。ただし、軸部Wa1の先端面は、僅かに突出するような曲面や先細錐面などに形成されていてもよい。
【0020】
大径頭部Wa2は、軸部Wa1の基端に一体的に形成され、軸部Wa1の外周面の外接円よりも大きな外接円を有する。本形態においては、大径頭部Wa2は、板状に形成されている。例えば、大径頭部Wa2は、円板状、または、一部に切欠を有する略円板状に形成されている。大径頭部Wa2は、軸部Wa1にほぼ同軸上に位置する。
【0021】
搬送部品Waは、六角ボルトや穴付きボルトに近似した形状を有する。ただし、搬送部品Waの軸部Wa1は、ねじを有しない。また、本形態における搬送部品Waは、ボルトに比べると、軸部Wa1の外径に対する大径頭部Wa2の厚みが薄い。
【0022】
組付相手部材Wbは、例えば、硬質樹脂により形成されている。組付相手部材Wbは、金属により形成されていてもよい。組付相手部材Wbは、例えば、ケース状に形成されており、複数の筒部Wb1を有する。筒部Wb1は、搬送部品Waの軸部Wa1が挿入可能な大きさに形成されており、大径頭部Wa2が挿入不能な大きさに形成されている。つまり、筒部Wb1の内径は、搬送部品Waの軸部Wa1の外径よりも僅かに大きく、大径頭部Wa2の外径よりも小さい。さらに、本形態においては、筒部Wb1は、図1の上面から下面に亘って貫通形成されている。
【0023】
なお、搬送部品Waおよび組付相手部材Wbは、図1とは異なる形状とすることができる。すなわち、搬送部品Waと組付相手部材Wbは、搬送部品Waの軸部Wa1が組付相手部材Wbの筒部Wb1に挿入するような関係であれば良い。
【0024】
2.エア圧送組付装置1の全体構成
エア圧送組付装置1は、搬送部品Waを搬送し、搬送部品Waの軸部Wa1を組付相手部材Wbの筒部Wb1に挿入するための装置である。エア圧送組付装置1の全体構成について図2図5を参照して説明する。図2および図3に示すように、エア圧送組付装置1は、支持本体10として、フレーム11、上段板12、および、下段板13を備える。フレーム11は、複数の柱部材、複数の梁部材などにより、例えば、矩形枠状に形成されている。
【0025】
上段板12は、フレーム11の上下方向の中間に位置し、フレーム11に固定されている。上段板12は、下段エリアである部品供給エリアA1と、エア圧送組付装置1の上段エリアである部品挿入エリアA2とを区画する。そして、上段板12は、部品挿入エリアA2の設置面として機能する。下段板13は、フレーム11における上段板12よりも下方の位置に固定される。つまり、下段板13は、フレーム11が設置される床付近に固定されている。下段板13は、部品供給エリアA1の設置面として機能する。
【0026】
エア圧送組付装置1は、部品供給エリアA1に、搬送部品Waを供給する部品供給装置20と、エア供給装置30とを備える。エア圧送組付装置1は、部品供給エリアA1と部品挿入エリアA2とに跨って配置され、部品供給エリアA1から部品挿入エリアA2へ搬送部品Waを搬送するチューブ40を備える。エア圧送組付装置1は、部品挿入エリアA2に、組付相手部材Wbを保持する保持治具50、搬送部品Waを挿入するための部品挿入ノズルユニット60、保持治具50と部品挿入ノズルユニット60とを相対移動させる移動装置70、搬送部品Waが組付相手部材Wbに挿入されたことを検出するための検出器80を備える。
【0027】
部品供給エリアA1の構成について、図2図4を参照して説明する。部品供給装置20は、搬送部品Waを1個ずつ、チューブ40の基端41側へ供給することができるように構成されている。本形態では、部品供給装置20は、図2図4に示すように、例えば、パーツフィーダ21と、切出装置22とを備える。パーツフィーダ21は、複数の搬送部品Waを収容しており、駆動することにより最終端において複数の搬送部品Waを1列に整列した状態で搬送する。
【0028】
切出装置22は、例えば、エアや油圧などのシリンダ装置により構成されており、パーツフィーダ21により1列に整列搬送された最終端において、搬送部品Waを1個ずつ切り出す処理を行う。切出装置22の切出元位置は、パーツフィーダ21の最終端に対応し、切出装置22の切出先位置は、チューブ40の基端41に対応する。つまり、切出装置22は、パーツフィーダ21の最終端から、チューブ40の基端41側へ、搬送部品Waを供給する。
【0029】
エア供給装置30は、チューブ40の基端41側に設けられており、チューブ40の基端41側にエアを供給することができるように構成されている。エア供給装置30は、チューブ40の基端41側にエアを供給することにより、チューブ40の基端41側に供給された搬送部品Waを、チューブ40の先端42側に向かって圧送する。なお、エア供給装置30は、エア供給源と接続するバルブ(図示しない)などを有する。
【0030】
図2および図3に示すように、チューブ40は、可撓性を有しており、搬送部品Waを搬送可能に構成されている。チューブ40は、搬送部品Waの搬送中において、搬送部品Waの軸部Wa1が進行方向前方を維持するように形成されている。つまり、チューブ40の内径は、搬送部品Waの大径頭部Wa2の外接円直径よりも僅かに大きい程度である。チューブ40は、途中での搬送部品Waの詰まりを視認できるようにするために、透明または半透明とすることが好ましい。
【0031】
部品挿入エリアA2の構成について、図2図3図5を参照して説明する。保持治具50は、組付相手部材Wbを保持する。本形態においては、保持治具50は、テーブルを構成し、上面に組付相手部材Wbを載置した状態で保持する。保持治具50は、図示しないクランプ装置を備えるようにしても良い。本形態においては、保持治具50は、後述する移動装置70を構成する保持治具移動装置71により、上段板12に対して、X方向およびY方向に移動可能に構成されている。
【0032】
また、保持治具50は、中央に鉛直方向(Z方向)に貫通する孔51を有する。孔51は、例えば、矩形孔を図示するが、任意の形状とすることができる。この孔51は、搬送部品Waが組付相手部材Wbに挿入されたことを検出器80により検出可能とするために形成されている。そして、保持治具50は、孔51の周縁にて、組付相手部材Wbを載置する。従って、孔51は、載置された組付相手部材Wbの筒部Wb1に対応する位置に貫通形成されている。
【0033】
部品挿入ノズルユニット60は、チューブ40の先端42側に接続される。部品挿入ノズルユニット60は、後述する移動装置70を構成するノズル移動装置72により、上段板12に対してZ方向に移動可能に構成されている。部品挿入ノズルユニット60は、チューブ40の先端42から搬出された搬送部品Waを芯出しした状態で一時保持する。さらに、部品挿入ノズルユニット60は、芯出しした状態で一時保持した搬送部品Waを、ノズル先端から押し出して、組付相手部材Wbに挿入する。部品挿入ノズルユニット60の詳細は、後述する。
【0034】
移動装置70は、保持治具50と部品挿入ノズルユニット60とを相対移動させる装置である。本形態においては、移動装置70は、保持治具移動装置71と、ノズル移動装置72とを備える。保持治具移動装置71は、保持治具50を、上段板12に対してX方向およびY方向に移動させる。ノズル移動装置72は、部品挿入ノズルユニット60を、上段板12に対してZ方向に移動させる。移動装置70の詳細は、後述する。
【0035】
検出器80は、例えば、光学式のセンサである。検出器80は、上段板12の上面であって、部品挿入ノズルユニット60に対してZ方向に対向して配置される。本形態においては、検出器80は、上段板12に固定されており、移動規制されている。
【0036】
ここで、部品挿入ノズルユニット60により搬送部品Waが組付相手部材Wbに挿入される時においては、挿入された搬送部品Waおよび組付相手部材Wbは、部品挿入ノズルユニット60の直下に位置する。この状態において、組付相手部材Wbを保持する保持治具50も、部品挿入ノズルユニット60の直下に位置する。
【0037】
つまり、搬送部品Waの挿入時において、部品挿入ノズルユニット60と検出器80との間に、挿入された搬送部品Wa、組付相手部材Wb、保持治具50を挟んだ位置関係となる。ただし、保持治具50は、孔51を有するため、検出器80の光路は、保持治具50の孔51に位置しており、保持治具50で塞ぐ状態にはならない。さらに、組付相手部材Wbの筒部Wb1は、上下方向に貫通している。従って、検出器80の検出光は、保持治具50の孔51を通過し、さらに組付相手部材Wbの筒部Wb1の下開口を通過して、搬送部品Waに到達する。そのため、検出器80は、搬送部品Waが組付相手部材Wbの筒部Wb1に挿入されたことを検出できる。
【0038】
制御装置90は、部品供給装置20、エア供給装置30、部品挿入ノズルユニット60、移動装置70を制御する。
【0039】
3.移動装置70の構成
移動装置70の構成について図6図8を参照して説明する。移動装置70は、保持治具移動装置71と、ノズル移動装置72とを備える。
【0040】
本形態においては、保持治具移動装置71は、上段板12に対して、保持治具50を水平2軸方向であるX方向およびY方向に移動させる。保持治具移動装置71は、中間テーブル101、Y方向ガイド102、Y方向駆動装置103、X方向ガイド104、X方向駆動装置105を備える。
【0041】
中間テーブル101は、上段板12の上面から距離を隔てて対向して設けられている。Y方向ガイド102は、上段板12の上面にY方向に延びるように配置されており、中間テーブル101をY方向に移動可能にガイドする。Y方向駆動装置103は、回転モータおよびボールねじにより構成される駆動機構やリニアモータ機構などであり、駆動により、中間テーブル101をY方向ガイド102に沿って移動させる。Y方向駆動装置103は、制御装置90により制御される。
【0042】
X方向ガイド104は、中間テーブル101の上面にX方向に延びるように配置されており、保持治具50をX方向に移動可能にガイドする。X方向駆動装置105は、回転モータおよびボールねじにより構成される駆動機構やリニアモータ機構などであり、駆動により、保持治具50をX方向ガイド104に沿って移動させる。X方向駆動装置105は、制御装置90により制御される。
【0043】
ノズル移動装置72は、上段板12に対して、部品挿入ノズルユニット60を鉛直方向であるZ方向に移動させる。ノズル移動装置72は、門型支持部材111、Z方向駆動装置112を備える。
【0044】
門型支持部材111は、門型形状に形成されており、上段板12の上面に固定される。門型支持部材111は、両側の柱の間に、保持治具移動装置71が設けられており、保持治具50および組付相手部材Wbが移動可能な領域を形成する。Z方向駆動装置112は、回転モータおよびボールねじにより構成される駆動機構やリニアモータ機構などであり、駆動により、部品挿入ノズルユニット60をZ方向に移動させる。Z方向駆動装置112は、制御装置90により制御される。
【0045】
4.部品挿入ノズルユニットの構成
部品挿入ノズルユニットの構成について図6図8を参照して説明する。部品挿入ノズルユニット60は、チューブ40の先端42から搬出された搬送部品Waを芯出しした状態で一時保持し、芯出しした状態で一時保持した搬送部品Waを、ノズル先端から押し出して、組付相手部材Wbに挿入する。
【0046】
部品挿入ノズルユニット60は、ユニット支持体121、部品挿入ノズル122、押出装置123を備える。ユニット支持体121は、ノズル移動装置72のZ方向駆動装置112のZスライダに固定される。ユニット支持体121は、チューブ40の先端側の軸線が鉛直方向に一致するように、チューブ40の先端側を保持する。
【0047】
部品挿入ノズル122は、ユニット支持体121に保持され、チューブ40の先端側に接続される。部品挿入ノズル122は、チューブ40の先端42から搬出された搬送部品Waを芯出しした状態で一時保持する。さらに、部品挿入ノズル122は、押出装置123により搬送部品Waに押出力が付与された場合に、芯出しした状態で一時保持された搬送部品Waを、ノズル先端から排出可能に構成されている。部品挿入ノズル122の詳細は、後述する。
【0048】
押出装置123は、部品挿入ノズル122に芯出しした状態で一時保持された搬送部品Waに対して押出力を付与する。押出装置123は、ユニット支持体121に保持され、部品挿入ノズル122に隣接した位置に設けられる。押出装置123は、押出部材123aと、押出駆動装置123bとを備える。
【0049】
押出部材123aは、可撓性を有する棒状に形成されており、部品挿入ノズル122の内部に進入可能に設けられている。押出部材123aは、部品挿入ノズル122の軸線である鉛直方向に対して、傾斜した方向に延びるように配置されている。傾斜角度は、水平方向に対する角度よりも、鉛直方向に対する角度が小さくなるように設定されている。
【0050】
押出部材123aは、例えば、スプリングにより構成されることにより、可撓性を有する。ただし、押出部材123aは、部品挿入ノズル122に芯出しした状態で一時保持された搬送部品Waに対して、先端により押出力を付与することができるように構成されている。従って、押出部材123aは、可撓性を有しつつも、必要な軸力を発揮することができるように構成されている。押出部材123aは、スプリングの他に、金属ワイヤや樹脂ワイヤを適用することもできる。
【0051】
押出駆動装置123bは、押出部材123aを軸線方向に進退可能(往復移動可能)とする。押出駆動装置123bは、例えば、シリンダにより構成され、シリンダロッドが押出部材123aに取り付けられる。押出駆動装置123bは、シリンダに代えて、回転モータおよびボールねじにより構成される駆動機構やリニアモータ機構を適用することもできる。
【0052】
5.部品挿入ノズルユニット60の詳細構成
部品挿入ノズルユニット60を構成する部品挿入ノズル122、押出装置123の押出部材123aの詳細構成について図9図12を参照して説明する。図9図12において、部品挿入ノズル122および押出装置123は、基準状態を示す。部品挿入ノズル122は、直管部131、複数の爪部132、支点形成部材133、弾性部材134を備える。
【0053】
直管部131は、例えば、金属または硬質樹脂により、鉛直方向の軸線を有する筒状に形成される。直管部131は、内部に、直管孔131aを有する。直管孔131aの内周面は、径方向断面において円形に形成されている。直管孔131aは、全長に亘って同一内径に形成されている。
【0054】
直管孔131aは、鉛直方向に延在する。つまり、直管部131は、直管孔131aの軸線が鉛直方向に一致するように、ユニット支持体121(図6に示す)に保持されている。さらに、直管部131の基端側、すなわち、直管孔131aの基端側(図10の上端)が、チューブ40の先端42側に接続されている。直管孔131aは、チューブ40の先端42から搬出された搬送部品Waを通過可能に形成されている。詳細には、直管孔131aの内周面と搬送部品Waの大径頭部Wa2の外周面との間には、大径頭部Wa2の姿勢が変化可能となる僅かな隙間が形成されている。
【0055】
直管部131は、直管孔131aの内周面から直管部131の軸線に対して傾斜した方向に延在する傾斜孔131bを有する。傾斜孔131bは、直管孔131aの内周面に開口を有する。傾斜孔131bは、押出部材123aが往復移動する。従って、傾斜孔131bの内径は、押出部材123aの外径よりも僅かに大きい。
【0056】
直管部131は、先端側(図10の下側)に、複数のスリット131cを有する。本形態においては、直管部131は、周方向に等間隔に、3つのスリット131cを有する。ただし、直管部131は、3つ以上のスリット131cを有していれば良く、例えば、4つのスリット131cを有しても良い。
【0057】
直管部131は、外周面において、スリット131cが形成されている軸方向範囲のうち基端側(図10の上側)に、周方向全周に亘る第一環状溝131dを有する。さらに、直管部131は、外周面において、スリット131cが形成されている軸方向範囲のうち中間部に、周方向全周に亘る第二環状溝131eを有する。
【0058】
爪部132は、例えば、金属または硬質樹脂により形成される。爪部132は、直管部131の複数のスリット131cのそれぞれに配置される。従って、本形態においては、3つの爪部132が配置される。爪部132は、直管部131の先端側に設けられる。爪部132は、閉状態を基準状態として開閉可能に構成される。本形態においては、爪部132は、基端側(図10の上側)を支点として直管部131に揺動可能に設けられ、先端側(図10の下側)が直管部131の径方向に開閉可能に構成される。
【0059】
爪部132は、径方向外面のうち基端側(図10の上側)に、フック部132aを有する。フック部132aは、上側に凸となるようなU字状に形成されている。フック部132aは、直管部131の第一環状溝131dに対応する位置に位置する。
【0060】
爪部132は、径方向外面のうち中間部に、外周側に開口する溝132bを有する。溝132bは、フック部132aよりも、爪部132の先端側(図10の下側)に位置する。溝132bは、直管部131の第二環状溝131eに対応する位置に位置する。
【0061】
爪部132は、径方向内面のうち先端側に位置し、閉状態において直管部131の軸方向に平行な面により形成された先端内面132cを有する。本形態においては、先端内面132cは、平面状に形成されている。ただし、先端内面132cは、湾曲凹状に形成しても良い。3つの爪部132が基準状態としての閉状態である場合において、爪部132の先端内面132cは、搬送部品Waの軸部Wa1(二点鎖線にて示す円形状)が挿通可能な芯出用隙間Cを形成する。芯出用隙間Cは、軸部Wa1の芯出しを可能とする大きさであるため、芯出用隙間Cの内接円が、軸部Wa1の外接円より僅かに大きい程度に設定されている。
【0062】
爪部132は、径方向内面のうち先端内面132cより基端側(図10の上側)に位置する傾斜内面132dを有する。本形態においては、傾斜内面132dは、先端内面132cに連続して設けられている。傾斜内面132dは、爪部132が基準状態としての閉状態である場合において、先端内面132cに近づくほど径方向内側に向かって傾斜する。本形態においては、傾斜内面132dは、平面状に形成されている。
【0063】
傾斜内面132dは、閉状態において、チューブ40を介して圧送された搬送部品Waの軸部Wa1の先端面(軸方向端面)が当接することで、搬送部品Waの軸部Wa1を芯出用隙間Cへ誘導するように構成されている。さらに、傾斜内面132dは、閉状態において、搬送部品Waの大径頭部Wa2を係止する。つまり、爪部132が閉状態において、大径頭部Wa2が傾斜内面132dに当接することで、大径頭部Wa2が通過不能となる。
【0064】
さらに、図12に示すように、直管部131に軸方向視において、周方向に隣り合う爪部132の傾斜内面132dの隙間が、搬送部品Waの軸部Wa1の先端面が挿入されない形となるように、爪部132の大きさおよび配置が設定されている。このことは、搬送部品Waの軸部Wa1の先端面が、周方向に隣り合う爪部132の傾斜内面132dの隙間に位置する場合において、軸部Wa1の先端面の一部が、傾斜内面132dに必ず当接する状態となることを意味する。
【0065】
爪部132は、上述したように、直管部131に開閉可能に設けられている。爪部132は、開状態において、搬送部品Waの大径頭部Wa2が通過可能となるように構成されている。つまり、爪部132は、開状態において、直管部131の直管孔131aと同等以上に拡開できるように構成されている。
【0066】
支点形成部材133は、直管部131の先端側(図10の下側)に配置され、爪部132の揺動支点を構成する。本形態においては、支点形成部材133は、環状に形成されており、複数の爪部132に対して共通の揺動支点を構成する。
【0067】
本形態においては、支点形成部材133は、弾性材料により環状に形成されている。支点形成部材133は、例えば、Oリングである。支点形成部材133は、直管部131の第一環状溝131dに嵌め込まれている。従って、支点形成部材133は、直管部131に対して軸方向に位置決めされ、かつ、径方向内側に縮径することが規制されている。
【0068】
さらに、支点形成部材133は、爪部132の基端側の揺動支点に係止される。詳細には、支点形成部材133は、爪部132のフック部132aに係合する。従って、支点形成部材133は、爪部のフック部132aに対して、直管部131の径方向内側にも径方向外側にも係止される。つまり、支点形成部材133は、第一環状溝131dに嵌め込まれ、かつ、フック部132aに嵌め込まれることで、爪部132の揺動支点を位置決めすることができる。
【0069】
支点形成部材133に環状の弾性材料を適用することにより、支点形成部材133と爪部132との隙間を小さくすることができる。特に、支点形成部材133に、Oリングなどの粘弾性体を適用することで、より隙間を小さくすることができる。このことにより、揺動支点としての位置精度を高くできる。また、支点形成部材133を環状に形成することにより、支点形成部材133が嵌め込まれる直管部131の第一環状溝131dの加工が容易となる。
【0070】
なお、支点形成部材133は、環状の弾性材料として、金属製のスナップリングなどを適用しても良い。支点形成部材133は、爪部132のそれぞれの揺動支点を構成するピン部材を適用することもできる。
【0071】
弾性部材134は、爪部132の基準状態が閉状態となるように、爪部に対して径方向内側へ向かって弾性力を付与する。ただし、弾性部材134は、爪部132が基準状態となる閉状態において、爪部132の先端内面132cによって芯出用隙間Cが形成されるように位置決めする機能も有する。そして、弾性部材134は、爪部132が弾性力に抗して揺動することにより爪部132が開状態となるように構成されている。
【0072】
本形態においては、弾性部材134は、弾性材料により環状に形成されている。弾性部材134は、例えば、Oリングである。つまり、弾性部材134は、複数の爪部132に対して共通の弾性力を付与する部材を構成する。ただし、弾性部材134は、爪部132のそれぞれ独立に弾性力を付与する構成としても良い。
【0073】
さらに、本形態においては、弾性部材134は、直管部131の第二環状溝131eに嵌め込まれている。従って、弾性部材134は、直管部131に対して軸方向に位置決めされ、かつ、径方向内側に縮径することが規制されている。さらに、弾性部材134は、爪部132の溝132bに係合する。従って、弾性部材134は、爪部132が開状態となる場合において、爪部132の溝132bに対して径方向内側への弾性力を付与する構成となる。
【0074】
弾性部材134にOリングなどの粘弾性体を適用することにより、弾性部材134と爪部132との隙間を小さくすることができる。特に、弾性部材134が動作する際において、弾性部材134と爪部132との隙間を小さくすることができる。このことにより、爪部132の基準状態における位置決め精度および動作中の位置精度を高くできる。また、弾性部材134を環状に形成することにより、弾性部材134が嵌め込まれる直管部131の第二環状溝131eの加工が容易となる。
【0075】
押出装置123の押出部材123aは、図10に示すように、傾斜孔131bに沿って往復移動可能に設けられており、直管孔131aの内部に突出可能に設けられている。ここで、直管部131において、直管孔131aと傾斜孔131bとは、角度を有している。そして、押出部材123aは、スプリングによって構成されることで、可撓性を有する。従って、押出部材123aは、変形しながら、押出部材123aが傾斜孔131bから直管孔131aへ突出することができる。
【0076】
そして、爪部132が閉状態であって搬送部品Waが爪部132によって芯出しされている状態において、押出部材123aは、搬送部品Waの大径頭部Wa2に対して押出力を付与する。つまり、押出部材123aは、大径頭部Wa2に対して押出力を付与することで、搬送部品Waを直管部131の先端から外へ押し出す。
【0077】
6.組付方法
エア圧送組付装置1により、組付相手部材Wbに搬送部品Waを組み付ける方法(工程)について、図13のフローチャートと、各過程の状態を示す図14図21を参照して説明する。
【0078】
図13に示すように、制御装置90がパーツフィーダ21を制御することにより、パーツフィーダ21により搬送部品Waを整列搬送する(S1)。続いて、制御装置90が切出装置22を制御することにより、搬送部品Waを1個、パーツフィーダ21の最終端から、チューブ40の基端41側へ切り出す(S2)。
【0079】
続いて、制御装置90がエア供給装置30を制御することにより、チューブ40の基端41側にエアを供給する(S4)。そうすると、図14に示すように、チューブ40の基端41側に位置する搬送部品Waが、チューブ40を介して、直管部131の先端まで圧送される。図14に示すように、直管部131の直管孔131aにおいて、搬送部品Waは、僅かに傾斜した姿勢となり得る。
【0080】
このとき、図14に示すように、爪部132は、弾性部材134の作用によって、基準状態としての閉状態である。爪部132が閉状態の場合には、複数の爪部132の先端内面132cが、直管部131の直管孔131aの内周面よりも径方向内側に位置する。そして、複数の爪部132の先端内面132cによって、芯出用隙間Cが形成されている。芯出用隙間Cは、搬送部品Waの軸部Wa1が挿通可能な大きさであって、搬送部品Waの大径頭部Wa2が通過不能な大きさである。
【0081】
さらに、図14に示すように、爪部132の傾斜内面132dは、直管部131の直管孔131aの内部に張り出している。従って、図15に示すように、搬送部品Waがエア圧送によって直管部131の先端側へ搬送されると、直管孔131aにて搬送部品Waが傾斜した姿勢で搬送されている場合には、搬送部品Waの軸部Wa1の先端面が、傾斜内面132dに当接する。
【0082】
図15に示すように、搬送部品Waの軸部Wa1の先端面が傾斜内面132dに当接することで、傾斜内面132dに沿って誘導される。そうすると、図16に示すように、軸部Wa1が芯出用隙間Cに挿通された状態となる。さらに、芯出用隙間Cは、搬送部品Waの大径頭部Wa2よりも小さいため、大径頭部Wa2が傾斜内面132dに当接して係止される。このようにして、搬送部品Waは、搬送部品Waの軸部Wa1の先端が芯出用隙間Cに挿通された状態であり、かつ、搬送部品Waの大径頭部Wa2が爪部132の傾斜内面132dに係止された状態となる。
【0083】
芯出用隙間Cの内接円が、軸部Wa1の外接円より僅かに大きい程度に設定されているため、閉状態の爪部132の先端内面132cによって、搬送部品Waの軸部Wa1の芯出しがされる。仮に、直管孔131aにおいて搬送部品Waが傾斜していない場合には、搬送部品Waの軸部Wa1が傾斜内面132dに当接することなく、直ちに芯出しされる。
【0084】
図16における爪部132および搬送部品Waの状態が、芯出状態である。つまり、芯出状態とは、爪部132が閉状態であり、搬送部品Waの軸部Wa1の先端が芯出用隙間Cに挿通された状態であり、かつ、搬送部品Waの大径頭部Wa2が爪部132に係止された状態である。
【0085】
一方、図13に示すように、S2~S5の実行中に、制御装置90が移動装置70を制御することにより、保持治具50および直管部131を位置決めする(S6)。このようにして、組付相手部材Wbの筒部Wb1と、閉状態における爪部132により形成される芯出用隙間Cとを対向させた状態とする。
【0086】
本形態においては、制御装置90が保持治具移動装置71を制御することにより、保持治具50をXY方向に移動して、保持治具50に保持された組付相手部材Wbの筒部Wb1を直管部131の下方に位置決めする。また、制御装置90がノズル移動装置72を制御することにより、直管部131をZ方向の下方へ移動して、直管部131の先端を組付相手部材Wbの筒部Wb1の近傍に位置決めする。
【0087】
ここで、保持治具50および直管部131の位置決めのための動作は、S2~S5のいずれのタイミングでも良い。ただし、当該動作は、S2~S3のタイミングに行うのが好ましい。つまり、搬送部品Waをエア圧送する際に直管部131を位置決めした状態とすることで、チューブ40が動いていない状態とすることができる。つまり、搬送部品Waのエア圧送を安定して行うことができる。
【0088】
また、図16においては、搬送部品Waの軸部Wa1の先端の一部が、組付相手部材Wbの筒部Wb1に挿入している。つまり、搬送部品Waは、複数の爪部132により芯出しされると共に、軸部Wa1の先端が筒部Wb1に挿入されることにより芯出しされる。ただし、搬送部品Waが芯出しされた状態において、搬送部品Waの軸部Wa1の一部が、組付相手部材Wbの筒部Wb1に挿入されていない状態としても良い。この場合、搬送部品Waの軸部Wa1は、組付相手部材Wbの筒部Wb1の上方に位置する。このとき、搬送部品Waは、複数の爪部132による芯出しがされる。
【0089】
続いて、図13および図17図20に示すように、芯出状態において制御装置90が押出装置123を制御することにより、押出部材123aにより搬送部品Waの大径頭部Wa2に押出力を付与する(S7)。そして、押出装置123の押出部材123aにより搬送部品Waを押し出す。そうすると、図17図20に示すように、搬送部品Waの大径頭部Wa2の移動に伴い爪部132を開状態にし、搬送部品Waの軸部Wa1が組付相手部材Wbの筒部Wb1にさらに挿入される。図20に示すように、搬送部品Waの軸部Wa1が組付相手部材Wbの筒部Wb1に完全に挿入された状態となる。
【0090】
ここで、押出部材123aにより搬送部品Waの大径頭部Wa2に押出力が付与されることで、大径頭部Wa2は、傾斜内面132dに当接したまま、下方へ移動する。つまり、大径頭部Wa2の移動に伴い、傾斜内面132dは、爪部132の開度を連続的に大きくするように作用する。
【0091】
なお、図16に示す芯出状態において、搬送部品Waの軸部Wa1の先端の一部が、組付相手部材Wbの筒部Wb1に挿入されていない場合には、押出部材123aにより押圧力が付与されることにより、搬送部品Waの軸部Wa1の先端の一部が、組付相手部材Wbの筒部Wb1に挿入する状態となる。その後、さらに押出部材123aにより押圧力が付与されることにより、図20に示すように、搬送部品Waの軸部Wa1が組付相手部材Wbの筒部Wb1に完全に挿入された状態となる。
【0092】
続いて、検出器80により、搬送部品Waの軸部Wa1が、組付相手部材Wbの筒部Wb1に、挿入されたことを検出し、検出結果を記録する(S8)。その後、図21に示すように、押出装置123を初期状態に戻す(S9)。
【0093】
ここで、本形態においては、保持治具移動装置71は、保持治具50を水平方向のXY方向に移動可能とし、鉛直方向のZ方向へは移動規制されている。一方、ノズル移動装置72は、直管部131をZ方向に移動可能とし、XY方向には移動規制されている。そして、検出器80は、上段板12に移動規制されている。詳細には、図20に示すように、搬送部品Waの挿入時において、検出器80は、組付相手部材Wbおよび保持治具50を挟んだ状態で直管部131に対向して配置されている。従って、検出器80は、組付相手部材Wbの筒部Wb1の直下に位置しているため、検出器80の光路上に、筒部Wb1が位置する。従って、検出器80により、搬送部品Waの軸部Wa1が、組付相手部材Wbの筒部Wb1に、挿入されたことを検出することができる。
【0094】
続いて、検出器80による検出結果において、搬送部品Waが筒部Wb1に挿入されていないことを検出した場合には(S10:Yes)、制御装置90が、処理を終了する。この場合、制御装置90は、アラームを出力するようにしても良い。
【0095】
検出器80による検出結果において、搬送部品Waが筒部Wb1に正しく挿入されていた場合には(S10:No)、組付相手部材Wbに、次の挿入箇所としての筒部Wb1が存在するか否かを判定する(S11)。次の挿入箇所としての筒部Wb1が存在する場合には(S11:Yes)、再びS2、S6に戻り、処理を繰り返す。
【0096】
次の挿入箇所としての筒部Wb1が存在しない場合には(S11:No)、次の組付相手部材Wbが存在するか否かを判定する(S12)。次の組付相手部材Wbが存在する場合には(S12:Yes)、制御装置90が保持治具移動装置71を制御して、保持治具50を交換作業位置としてのY方向手前側に移動する。作業者により新たな組付相手部材Wbに交換された後に(S13)、再び、S2,S6から処理を繰り返す。なお、組付相手部材Wbの交換作業は、作業者が行うようにしたが、図示しないロボットを備える場合には、ロボットにより行うようにしても良い。次の組付相手部材Wbが存在しない場合には(S12:No)、組付処理を終了する。
【0097】
7.実施形態の効果
上記実施形態によれば、エア供給装置30がチューブ40にエアを供給することにより、搬送部品Waを、部品供給装置20からチューブ40を介して直管部131の先端までエア圧送することができる。従って、部品供給装置20から直管部131の先端までの搬送の高速化を図ることができる。
【0098】
さらに、搬送部品Waの軸部Wa1を組付相手部材Wbの筒部Wb1に確実に挿入するためには、部品挿入ノズル122の先端を、組付相手部材Wbの筒部Wb1にできるだけ近づけることが求められる。上記実施形態によれば、部品挿入ノズル122の先端、すなわち直管部131の先端および複数の爪部132を含む構造を小型化することができる。従って、直管部131の先端を組付相手部材Wbの筒部Wb1に近づけることができ、搬送部品Waの軸部Wa1を、組付相手部材Wbの筒部Wb1に確実に挿入することができる。
【0099】
さらに、搬送部品Waが直管部131の先端までエア圧送された後において、搬送部品Waおよび爪部132が芯出状態となる。芯出状態とは、爪部132が閉状態であり、搬送部品Waの軸部Wa1の先端が芯出用隙間Cに挿通された状態であり、かつ、搬送部品Waの大径頭部Wa2が爪部132に係止された状態である。爪部132は、閉状態において、搬送部品Waの軸部Wa1が挿通可能な芯出用隙間Cを形成する。このように形成された芯出用隙間Cに、エア圧送されてきた搬送部品Waの軸部Wa1が挿通されることで、搬送部品Waが芯出しされる。つまり、エア供給装置30がチューブ40にエアを供給することによって、搬送部品Waは、高速に直管部131の先端側に搬送されると共に、高精度に所望の姿勢に位置決めされる。
【0100】
そして、芯出しされた搬送部品Waの大径頭部Wa2に、押出装置123が押出力を付与することによって、爪部132が開状態となることで、搬送部品Waが芯出しされた姿勢を維持しつつ、組付相手部材Wbに組付けられる。具体的には、搬送部品Waの軸部Wa1が組付相手部材Wbの筒部Wb1に挿入される。従って、搬送部品Waを高速にかつ高精度に搬送部品Waを所望の姿勢となるように位置決めして、搬送部品Waの軸部Wa1を組付相手部材Wbの筒部Wb1に挿入することができる。
【0101】
また、爪部132は、基端側を支点として直管部131に揺動可能に設けられ、先端側が開閉可能に構成されている。エア圧送組付装置1は、さらに、弾性材料により環状に形成され、直管部131の先端側の外周面に配置され、爪部132の基準状態が閉状態となるように爪部132の外面に対して径方向内側へ向かって弾性力を付与し、爪部132が弾性力に抗して揺動することにより爪部132が開状態となるように構成された弾性部材134を備える。
【0102】
弾性部材134を用いることにより、爪部132の開閉動作を可能としている。従って、駆動装置を用いることなく、爪部132の開閉動作を行うことができる。さらに、弾性部材134を環状の弾性材料により形成することにより、弾性部材134と爪部132との隙間を小さくすることができる。特に、弾性部材134が動作する際において、弾性部材134と爪部132との隙間を小さくすることができる。このことにより、爪部132の基準状態における位置決め精度および動作中の位置精度を高くできる。また、弾性部材134を環状に形成することにより、弾性部材134が嵌め込まれる直管部131の第二環状溝131eの加工が容易となる。このように、爪部132を高精度に動作させることができ、爪部132の揺動機構を簡易な構成とすることができ、エア圧送組付装置1の小型化を図ることができる。
【0103】
また、エア圧送組付装置1は、さらに、弾性材料により環状に形成され、直管部131の先端側の外周面に配置され、爪部132の基端側の支点に係止され、爪部132の揺動支点を構成する支点形成部材133を備える。支点形成部材133を環状の弾性材料により形成することにより、支点形成部材133と爪部132との隙間を小さくすることができる。特に、支点形成部材133に、Oリングなどの粘弾性体を適用することで、より隙間を小さくすることができる。このことにより、揺動支点としての位置精度を高くできる。また、支点形成部材133を環状に形成することにより、支点形成部材133が嵌め込まれる直管部131の第一環状溝131dの加工が容易となる。このように、支点形成部材133を環状の弾性材料により形成することで、高精度な揺動支点を実現でき、さらに、支点構造を簡易な構成とすることができ、エア圧送組付装置1の小型化を図ることができる。
【0104】
また、爪部132は、径方向内面のうち先端側に位置し、閉状態において直管部131の軸方向に平行な面により形成された先端内面132cを備える。そして、先端内面132cは、閉状態において芯出用隙間Cを形成する。このような構成により、搬送部品Waの芯出しを高精度にすることができる。
【0105】
また、先端内面132cは、平面状に形成されている。これにより、先端内面132cの加工精度を高くすることができ、その結果、搬送部品Waの芯出し精度を高くすることができる。そして、先端内面132cを平面状に形成することにより、先端内面132cと搬送部品Waの軸部Wa1との間に隙間を形成することができる。このことにより、軸部Wa1による芯出用隙間Cへの挿入性が良好となる。
【0106】
また、爪部132は、径方向内面のうち先端内面132cより基端側に位置し、閉状態において先端内面132cに近づくほど径方向内側に向かって傾斜する傾斜内面132dをさらに備える。そして、傾斜内面132dは、閉状態において、エア圧送された搬送部品Waの軸部Wa1の先端面が当接することで、搬送部品Waの軸部Wa1を芯出用隙間Cへ誘導するように構成され、搬送部品Waの大径頭部Wa2を係止する。さらに、傾斜内面132dは、押出装置123により搬送部品Waの大径頭部Wa2に押出力が付与されることで、大径頭部Wa2の移動に伴い爪部132の開度を連続的に大きくするように構成されている。
【0107】
このように、傾斜内面132dにより、搬送部品Waの芯出し精度を高くすることができると共に、搬送部品Waが押し出される際に滑らかに搬送部品Waを移動させることができる。従って、搬送部品Waを組付相手部材Wbの筒部Wb1に、確実に挿入することができる。
【0108】
また、直管部131の軸方向視において、周方向に隣り合う爪部132の傾斜内面132dの隙間が、搬送部品Waの軸部Wa1の先端面が挿入されない形となるように、爪部132の大きさおよび配置が設定されている。これにより、搬送部品Waが確実に芯出しされる状態にできる。
【0109】
また、爪部132は、3つ以上である。これにより、安定して、搬送部品Waを芯出しすることができる。
【0110】
また、直管部131は、直管孔131aの内周面から直管部131の軸線に対して傾斜した方向に延在する傾斜孔131bを有する。そして、押出装置123は、可撓性を有する押出部材123aを有する。押出部材123aは、傾斜孔131bに沿って往復移動可能に設けられ、直管孔131aの内部に突出可能に設けられ、芯出状態における搬送部品Waの大径頭部Wa2に押出力を付与する。押出部材123aにより、搬送部品Waに押出力を確実に付与することができる。
【0111】
また、押出部材123aは、スプリングである。これにより、押出部材123aが、可撓性を有しつつ、搬送部品Waの大径頭部Wa2に対する押出力を確実に発生させることができる。
【0112】
また、直管部131は、直管孔131aの軸線が鉛直方向に一致するように配置される。この場合、直管孔131aに搬送されてきた搬送部品Waは、エア圧送による力と、搬送部品Waの重力とにより、直管部131の先端側へ移動する。そして、エア圧送による力の方向と、搬送部品Waの重力の方向とが、一致するため、搬送部品Waの芯出しを安定させることができる。
【0113】
また、直管部131の直管孔131aの内周面は、径方向断面において円形に形成されている。搬送部品Waの大径頭部Wa2は、板状に形成されている。そして、直管孔131aの内周面と大径頭部Wa2の外周面との間には、大径頭部Wa2の姿勢が変化可能となる隙間が形成されている。直管孔131aを搬送される搬送部品Waは姿勢が変化し得る。しかし、直管部131の構成により、確実に、搬送部品Waを芯出しすることができる。
【0114】
また、組付相手部材Wbの筒部Wb1は、貫通形成されている。さらに、保持治具50は、上面にて組付相手部材Wbを保持して、組付相手部材Wbの筒部Wb1に対応する位置に貫通する孔51を有する。また、エア圧送組付装置1は、検出器80を備える。検出器80は、搬送部品Waの挿入時において組付相手部材Wbおよび保持治具50を挟んだ状態で直管部131に対向して配置され、組付相手部材Wbの筒部Wb1に搬送部品Waが挿入されたことを検出する。これにより、搬送部品Waが組付相手部材Wbに挿入されたタイミングにおいて、検出器80により、搬送部品Waが確実に挿入されたか否かを検出できる。これにより、検査工程を別途設ける必要がなく、検査工程に要する時間を削減できる。
【0115】
また、移動装置70は、保持治具50を水平方向に移動可能とし、直管部131を鉛直方向に移動可能とすると共に水平方向に移動規制し、検出器80は、移動規制されている。これにより、検出器80による搬送部品Waの検出を、安定して行うことができる。
【符号の説明】
【0116】
W 組付対象
Wa 搬送部品
Wa1 軸部
Wa2 大径頭部
Wb 組付相手部材
Wb1 筒部
1 エア圧送組付装置
20 部品供給装置
30 エア供給装置
40 チューブ
50 保持治具
51 孔
70 移動装置
80 検出器
90 制御装置
123 押出装置
123a 押出部材
131 直管部
131a 直管孔
131b 傾斜孔
132 爪部
132c 先端内面
132d 傾斜内面
133 支点形成部材
134 弾性部材
C 芯出用隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図17
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図20
図21