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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057185
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】遠心圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
F04D29/44 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163738
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森 英文
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 潤也
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AB27
3H130AB42
3H130AC13
3H130AC30
3H130BA53D
3H130BA53F
3H130BA66D
3H130BA66F
3H130DA02X
3H130DC12X
3H130DD03Z
3H130EA07D
3H130EA07F
3H130EB01F
3H130EB05D
3H130EB05F
(57)【要約】
【課題】回転軸に対して追加加工を施すことなく、遠心圧縮機の運転効率の低下を抑制すること。
【解決手段】第2挿通孔26の内側には、第1隙間81と、第2隙間82と、第3隙間83と、第4隙間84と、が設けられている。空気は、第1隙間81から第4隙間84に向かって流れるにつれて次々と減圧されていく。よって、第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙90から第2挿通孔26に流れ込んだ空気の圧力が効率良く減圧される。その結果、第2インペラ43によって圧縮されて第2吐出室に吐出される空気の一部が、第2挿通孔26を介してモータ室内に侵入してしまうことが抑制されている。シムプレート77を利用するだけで、第2挿通孔26の内側に第3隙間83及び第4隙間84を設けることができるため、第2挿通孔26の内側に第3隙間83及び第4隙間84を設けるために、回転軸41に対して追加加工を施す必要が無い。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸、及び前記回転軸と一体的に回転することで空気を圧縮するインペラを含む回転体と、
前記回転軸を回転させるモータと、
前記インペラを収容するインペラ室、前記モータを収容するモータ室、前記インペラ室と前記モータ室とを仕切るとともに前記回転体が挿通される挿通孔が形成されている仕切壁、及び前記インペラによって圧縮された空気が吐出される吐出室を有するハウジングと、
前記回転軸の軸方向で前記回転軸と前記インペラとの間に介在される環状のシムプレートと、を備えた遠心圧縮機であって、
前記回転軸は、前記挿通孔の内側に配置される軸部を有し、
前記軸部は、大径軸部と、前記大径軸部よりも小径であるとともに前記大径軸部から前記インペラ室に向けて延びる小径軸部と、を有し、
前記インペラは、前記インペラの背面から突出するとともに前記挿通孔の内側に配置されるボス部を有し、
前記ボス部は、大径ボス部と、前記大径ボス部よりも小径であるとともに前記大径ボス部から前記モータ室に向けて延びる小径ボス部と、を有し、
前記シムプレートは、前記小径軸部の端面と前記小径ボス部の端面との間に介在されるとともに前記小径軸部及び前記小径ボス部よりも前記回転軸の径方向外側へ突出しており、
前記仕切壁は、前記挿通孔の内周面から前記小径ボス部の外周面に向けて突出する環状の突起部を有し、
前記挿通孔の内側には、
前記挿通孔の内周面と前記大径ボス部の外周面との間に形成される第1隙間と、
前記突起部と前記小径ボス部の外周面との間に形成される第2隙間と、
前記シムプレートと前記挿通孔の内周面との間に形成される第3隙間と、
前記挿通孔の内周面と前記大径軸部の外周面との間に形成される第4隙間と、がこの順で、前記インペラ室から前記モータ室に向けて設けられており、
前記第1隙間、前記第2隙間、前記第3隙間、及び前記第4隙間は、前記挿通孔と前記回転体との間をシールするラビリンスシールを構成することを特徴とする遠心圧縮機。
【請求項2】
前記仕切壁は、
前記インペラ室を区画するとともに前記挿通孔の一部を形成する第1孔を有する第1壁構成体と、
前記モータ室を区画するとともに前記挿通孔の一部を形成する第2孔を有する第2壁構成体と、を有し、
前記突起部は、前記第1孔の内周面から前記小径ボス部の外周面に向けて突出する第1突起部であり、
前記第2壁構成体は、前記第2孔の内周面から前記小径軸部の外周面に向けて突出する環状の第2突起部を有し、
前記挿通孔の内側には、前記第2突起部と前記小径軸部の外周面との間に形成される第5隙間が設けられ、
前記第5隙間は、前記第3隙間と前記第4隙間との間に位置し、前記第1隙間、前記第2隙間、前記第3隙間、前記第4隙間、及び前記第5隙間は、前記挿通孔と前記回転体との間をシールするラビリンスシールを構成することを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項3】
前記シムプレートの線膨張係数は、前記仕切壁の線膨張係数よりも小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遠心圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、遠心圧縮機は、回転軸、及びインペラを含む回転体を備えている。インペラは、回転軸と一体的に回転する。インペラは、空気を圧縮する。遠心圧縮機は、モータと、ハウジングと、を備えている。モータは、回転軸を回転させる。ハウジングは、インペラ室、モータ室、仕切壁、及び吐出室を有している。インペラ室は、インペラを収容する。モータ室は、モータを収容する。仕切壁は、インペラ室とモータ室とを仕切る。吐出室には、インペラによって圧縮された空気が吐出される。仕切壁には、回転体が挿通される挿通孔が形成されている。
【0003】
また、遠心圧縮機は、環状のシムプレートを備えている場合がある。シムプレートは、例えば、回転軸の軸方向で回転軸とインペラとの間に介在されている。シムプレートは、回転軸の軸方向で回転軸とインペラとの間に介在されることにより、インペラにおける回転軸の軸方向での位置を調整する。これにより、インペラとハウジングとの間のクリアランスが調整されるため、空気の圧縮効率が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-155696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような遠心圧縮機においては、インペラによって圧縮されて吐出室に吐出される空気の一部が、インペラの背面と仕切壁との間の空隙に流れ込む場合がある。すると、インペラの背面と仕切壁との間の空隙に流れ込んだ空気が、挿通孔を介してモータ室内に洩れてしまう虞がある。その結果、遠心圧縮機において、空気の無駄な圧縮が増えることになるため、運転効率が低下する要因となる。そこで、回転軸に対して追加加工を施すことなく、遠心圧縮機の運転効率の低下を抑制することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する遠心圧縮機は、回転軸、及び前記回転軸と一体的に回転することで空気を圧縮するインペラを含む回転体と、前記回転軸を回転させるモータと、前記インペラを収容するインペラ室、前記モータを収容するモータ室、前記インペラ室と前記モータ室とを仕切るとともに前記回転体が挿通される挿通孔が形成されている仕切壁、及び前記インペラによって圧縮された空気が吐出される吐出室を有するハウジングと、前記回転軸の軸方向で前記回転軸と前記インペラとの間に介在される環状のシムプレートと、を備えた遠心圧縮機であって、前記回転軸は、前記挿通孔の内側に配置される軸部を有し、前記軸部は、大径軸部と、前記大径軸部よりも小径であるとともに前記大径軸部から前記インペラ室に向けて延びる小径軸部と、を有し、前記インペラは、前記インペラの背面から突出するとともに前記挿通孔の内側に配置されるボス部を有し、前記ボス部は、大径ボス部と、前記大径ボス部よりも小径であるとともに前記大径ボス部から前記モータ室に向けて延びる小径ボス部と、を有し、前記シムプレートは、前記小径軸部の端面と前記小径ボス部の端面との間に介在されるとともに前記小径軸部及び前記小径ボス部よりも前記回転軸の径方向外側へ突出しており、前記仕切壁は、前記挿通孔の内周面から前記小径ボス部の外周面に向けて突出する環状の突起部を有し、前記挿通孔の内側には、前記挿通孔の内周面と前記大径ボス部の外周面との間に形成される第1隙間と、前記突起部と前記小径ボス部の外周面との間に形成される第2隙間と、前記シムプレートと前記挿通孔の内周面との間に形成される第3隙間と、前記挿通孔の内周面と前記大径軸部の外周面との間に形成される第4隙間と、がこの順で、前記インペラ室から前記モータ室に向けて設けられており、前記第1隙間、前記第2隙間、前記第3隙間、及び前記第4隙間は、前記挿通孔と前記回転体との間をシールするラビリンスシールを構成する。
【0007】
これによれば、第1隙間、第2隙間、第3隙間、及び第4隙間が、挿通孔と回転体との間をシールするラビリンスシールを構成している。具体的には、例えば、インペラの背面と仕切壁との間の空隙から挿通孔に空気が流れ込んだ場合に、第1隙間を通過することにより空気が絞られる。そして、第1隙間を通過した空気は、第2隙間に至るまでに膨張するとともに第2隙間を通過することにより再度絞られる。さらに、第2隙間を通過した空気は、第3隙間に至るまでに再度膨張するとともに第3隙間を通過することにより再度絞られる。そして、第3隙間を通過した空気は、第4隙間に至るまでに再度膨張するとともに第4隙間を通過することにより再度絞られる。このように、インペラの背面と仕切壁との間の空隙から挿通孔に空気が流れ込んだとしても、空気は、第1隙間から第2隙間及び第3隙間を介した第4隙間までの間で空気が絞られる部分と膨張する部分とを順次通過することになる。したがって、空気が第1隙間から第4隙間に向かって流れるにつれて次々と減圧されていく。よって、インペラの背面と仕切壁との間の空隙から挿通孔に流れ込んだ空気の圧力を効率良く減圧させることができる。その結果、インペラによって圧縮されて吐出室に吐出される空気の一部が、挿通孔を介してモータ室内に洩れてしまうことが抑制されている。その結果、遠心圧縮機において、空気の無駄な圧縮が抑制されるため、遠心圧縮機の運転効率の低下が抑制される。
【0008】
例えば、シムプレートを利用せずに、挿通孔の内側に第3隙間及び第4隙間を設けようとすると、軸部の外周面に環状の凹部を形成する必要がある。したがって、軸部の外周面に凹部を形成するための加工が必要となるため、回転軸に対して追加加工を施す必要がある。そこで、シムプレートを小径軸部及び小径ボス部よりも回転軸の径方向外側へ突出させることにより、第3隙間を形成した。これによれば、既存の構成であるシムプレートを利用するだけで、挿通孔の内側に第3隙間及び第4隙間を設けることができる。以上により、回転軸に対して追加加工を施すことなく、遠心圧縮機の運転効率の低下を抑制することができる。
【0009】
上記遠心圧縮機において、前記仕切壁は、前記インペラ室を区画するとともに前記挿通孔の一部を形成する第1孔を有する第1壁構成体と、前記モータ室を区画するとともに前記挿通孔の一部を形成する第2孔を有する第2壁構成体と、を有し、前記突起部は、前記第1孔の内周面から前記小径ボス部の外周面に向けて突出する第1突起部であり、前記第2壁構成体は、前記第2孔の内周面から前記小径軸部の外周面に向けて突出する環状の第2突起部を有し、前記挿通孔の内側には、前記第2突起部と前記小径軸部の外周面との間に形成される第5隙間が設けられ、前記第5隙間は、前記第3隙間と前記第4隙間との間に位置し、前記第1隙間、前記第2隙間、前記第3隙間、前記第4隙間、及び前記第5隙間は、前記挿通孔と前記回転体との間をシールするラビリンスシールを構成するとよい。
【0010】
これによれば、第2突起部が、第1突起部が形成されている第1壁構成体とは別部材である第2壁構成体に形成されている。したがって、遠心圧縮機の組み立ての際に、小径軸部の端面と小径ボス部の端面との間に介在されているシムプレートを、回転軸の軸方向で第1突起部と第2突起部との間に配置することができる。そして、挿通孔の内側に第5隙間が設けられている。したがって、第5隙間を通過することにより空気が絞られる。よって、第1隙間から第4隙間に向かって流れる空気がさらに減圧され易くなる。したがって、インペラの背面と仕切壁との間の空隙から挿通孔に流れ込んだ空気の圧力をさらに効率良く減圧させることができる。
【0011】
上記遠心圧縮機において、前記シムプレートの線膨張係数は、前記仕切壁の線膨張係数よりも小さいとよい。
これによれば、例えば、シムプレートの線膨張係数が、仕切壁の線膨張係数以上である場合に比べると、インペラからシムプレートに熱が伝わって、シムプレートが熱膨張したとしても、シムプレートが仕切壁に接触してしまうことが回避され易くなる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、回転軸に対して追加加工を施すことなく、遠心圧縮機の運転効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態における遠心圧縮機の断面図である。
図2】遠心圧縮機の一部分を拡大して示す断面図である。
図3】遠心圧縮機の一部分を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、遠心圧縮機を具体化した一実施形態を図1図3にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態の遠心圧縮機は、燃料電池車に搭載されている。遠心圧縮機は、燃料電池スタックに供給される空気を圧縮する。
【0015】
<遠心圧縮機10の基本構成>
図1に示すように、遠心圧縮機10は、ハウジング11を備えている。ハウジング11は、金属材料製である。ハウジング11は、例えば、アルミニウム製である。ハウジング11は、モータハウジング12、第1コンプレッサハウジング13、第2コンプレッサハウジング14、第1プレート15、第2プレート16、及び第3プレート17を有している。
【0016】
モータハウジング12は、端壁12aと、周壁12bと、を有している。端壁12aは、板状である。周壁12bは、端壁12aの外周部から筒状に延びている。第1プレート15は、モータハウジング12の周壁12bの開口側の端部に連結されている。第1プレート15は、モータハウジング12の周壁12bの開口を閉塞している。そして、モータハウジング12及び第1プレート15によってモータ室18が区画されている。したがって、ハウジング11は、モータ室18を有している。
【0017】
第2プレート16は、モータハウジング12の端壁12aの外面に連結されている。第2プレート16は、第2プレート16の厚み方向がモータハウジング12の端壁12aの厚み方向に一致した状態で、モータハウジング12の端壁12aに取り付けられている。
【0018】
遠心圧縮機10は、モータ20を備えている。モータ20は、モータ室18に収容されている。したがって、モータ室18は、モータ20を収容する。モータハウジング12は、モータ20を取り囲んでいる。
【0019】
遠心圧縮機10は、第1軸受保持部21を備えている。第1軸受保持部21は、第1プレート15の中央部からモータ室18内に突出している。したがって、第1プレート15は、第1軸受保持部21を有している。第1軸受保持部21は、円筒状である。
【0020】
第1プレート15は、室形成凹部22を有している。室形成凹部22は、第1プレート15におけるモータハウジング12とは反対側の端面に形成されている。室形成凹部22は、円孔状である。第1軸受保持部21の内側は、第1プレート15を貫通して室形成凹部22の底面に開口している。室形成凹部22の軸心と第1軸受保持部21の軸心とは一致している。
【0021】
第3プレート17は、第1プレート15におけるモータハウジング12とは反対側の端面に連結されている。第3プレート17は、第3プレート17の厚み方向が第1プレート15の厚み方向に一致した状態で、第1プレート15に取り付けられている。第3プレート17は、第1挿通孔23を有している。第1挿通孔23は、第3プレート17の中央部に形成されている。第1挿通孔23の軸心は、室形成凹部22の軸心、及び第1軸受保持部21の軸心と一致している。そして、室形成凹部22と第3プレート17とによって、スラスト軸受収容室24が区画されている。スラスト軸受収容室24は、第1軸受保持部21の内側に連通している。また、スラスト軸受収容室24は、第1挿通孔23に連通している。
【0022】
遠心圧縮機10は、第2軸受保持部25を備えている。第2軸受保持部25は、モータハウジング12の端壁12aの中央部からモータ室18内に突出している。したがって、モータハウジング12は、第2軸受保持部25を有している。第2軸受保持部25は、円筒状である。
【0023】
ハウジング11は、第2挿通孔26を有している。第2挿通孔26は、モータハウジング12の端壁12aの中央部、及び第2プレート16の中央部を貫通している。第2挿通孔26は、第2軸受保持部25の内側に連通している。第2挿通孔26の軸心は、第2軸受保持部25の軸心と一致している。
【0024】
第1コンプレッサハウジング13は、空気が吸入される円孔状の第1吸入口27を有する筒状である。第1コンプレッサハウジング13は、第1吸入口27の軸心が、第1挿通孔23の軸心と一致した状態で第3プレート17における第1プレート15とは反対側の端面に連結されている。第1吸入口27は、第1コンプレッサハウジング13における第3プレート17とは反対側の端面に開口している。第1吸入口27には、図示しないエアクリーナによって清浄化された空気が流れる。
【0025】
遠心圧縮機10は、第1インペラ室28、第1吐出室29、及び第1ディフューザ流路30を備えている。第1インペラ室28、第1吐出室29、及び第1ディフューザ流路30は、第1コンプレッサハウジング13と第3プレート17との間に形成されている。したがって、ハウジング11は、第1インペラ室28を有している。第1プレート15及び第3プレート17は、第1インペラ室28とモータ室18とを仕切る仕切壁を構成している。第1インペラ室28は、第1吸入口27に連通している。第1吐出室29は、第1インペラ室28の周囲で第1吸入口27の軸心周りに延びている。第1ディフューザ流路30は、第1インペラ室28と第1吐出室29とを連通している。第1インペラ室28は、第1挿通孔23に連通している。
【0026】
遠心圧縮機10は、第1吐出通路31を有している。第1吐出通路31の第1端は、第1吐出室29に連通している。第1吐出通路31の第2端は、第1コンプレッサハウジング13の外周面に開口している。
【0027】
第2コンプレッサハウジング14は、空気が吸入される円孔状の第2吸入口32を有する筒状である。第2コンプレッサハウジング14は、第2吸入口32の軸心が、第2挿通孔26の軸心と一致した状態で第2プレート16におけるモータハウジング12とは反対側の端面に連結されている。第2吸入口32は、第2コンプレッサハウジング14における第2プレート16とは反対側の端面に開口している。
【0028】
遠心圧縮機10は、第2インペラ室33、第2吐出室34、及び第2ディフューザ流路35を備えている。第2インペラ室33、第2吐出室34、及び第2ディフューザ流路35は、第2コンプレッサハウジング14と第2プレート16との間に形成されている。したがって、ハウジング11は、第2インペラ室33を有している。モータハウジング12の端壁12a、及び第2プレート16は、第2インペラ室33とモータ室18とを仕切る仕切壁を構成している。第2インペラ室33は、第2吸入口32に連通している。第2吐出室34は、第2インペラ室33の周囲で第2吸入口32の軸心周りに延びている。第2ディフューザ流路35は、第2インペラ室33と第2吐出室34とを連通している。第2インペラ室33は、第2挿通孔26に連通している。
【0029】
遠心圧縮機10は、第2吐出通路36を有している。第2吐出通路36の第1端は、第2吐出室34に連通している。第2吐出通路36の第2端は、第2コンプレッサハウジング14の外周面に開口している。第2吐出通路36には、供給配管37が接続されている。供給配管37は、燃料電池スタック38に接続されている。供給配管37の第1端は、第2吐出通路36に接続されている。供給配管37の第2端は、燃料電池スタック38に接続されている。第2吐出室34は、第2吐出通路36及び供給配管37を介して燃料電池スタック38に接続されている。
【0030】
遠心圧縮機10は、接続配管39を備えている。接続配管39の第1端は、第1吐出通路31に連通している。接続配管39の第2端は、第2吸入口32に連通している。接続配管39内には、第1吐出室29から第1吐出通路31に吐出された空気が流れる。そして、接続配管39内を通過した空気は、第2吸入口32を介して第2インペラ室33に吸入される。
【0031】
遠心圧縮機10は、回転体40を備えている。回転体40は、回転軸41、第1インペラ42、第2インペラ43、及び支持部44を含む。回転軸41は、ハウジング11内に収容されている。
【0032】
回転軸41は、モータハウジング12の軸線に沿って延びた状態で、モータ室18を横切っている。回転軸41の軸方向は、モータハウジング12の軸方向に一致している。回転軸41の第1端部は、モータ室18から第1軸受保持部21の内側、スラスト軸受収容室24、及び第1挿通孔23を通過して、第1インペラ室28内に突出している。したがって、第1挿通孔23は、回転体40が挿通される挿通孔である。このように、ハウジング11は、第1インペラ室28とモータ室18とを仕切るとともに回転体40が挿通される第1挿通孔23が形成されている仕切壁を有している。
【0033】
回転軸41の第2端部は、モータ室18から第2軸受保持部25の内側、及び第2挿通孔26を通過して、第2インペラ室33内に突出している。したがって、第2挿通孔26は、回転体40が挿通される挿通孔である。このように、ハウジング11は、第2インペラ室33とモータ室18とを仕切るとともに回転体40が挿通される第2挿通孔26が形成されている仕切壁を有している。
【0034】
第1インペラ42は、回転軸41の第1端に連結されている。第1インペラ42は、第1インペラ室28に収容されている。したがって、第1インペラ室28は、第1インペラ42を収容する。第1インペラ42は、回転軸41と一体的に回転することで第1インペラ室28に吸入された空気を圧縮する。したがって、第1インペラ42は、空気を圧縮するインペラである。よって、第1インペラ室28は、インペラを収容するインペラ室である。
【0035】
第2インペラ43は、回転軸41の第2端に連結されている。第2インペラ43は、第2インペラ室33に収容されている。したがって、第2インペラ室33は、第2インペラ43を収容する。第2インペラ43は、回転軸41と一体的に回転することで第2インペラ室33に吸入された空気を圧縮する。したがって、第2インペラ43は、空気を圧縮するインペラである。よって、第2インペラ室33は、インペラを収容するインペラ室である。したがって、ハウジング11は、インペラを収容するインペラ室を有している。第2インペラ43は、第1インペラ42によって圧縮された後の空気を圧縮する。
【0036】
支持部44は、回転軸41の外周面から環状に突出している。支持部44は、円板状である。支持部44は、回転軸41の外周面から径方向外側へ環状に突出した状態で、回転軸41の外周面に固定されている。したがって、支持部44は、回転軸41とは別体である。支持部44は、スラスト軸受収容室24内に配置されている。支持部44は、回転軸41と一体的に回転する。
【0037】
遠心圧縮機10は、シール部材45を備えている。シール部材45は、第1挿通孔23と回転軸41との間に設けられている。シール部材45は、第1インペラ室28からモータ室18に向かう空気の洩れを抑制する。シール部材45は、例えば、シールリングである。
【0038】
モータ20は、筒状のロータ47と、筒状のステータ48と、を備えている。ロータ47は、回転軸41に固定されている。ステータ48は、ハウジング11に固定されている。ロータ47は、ステータ48の径方向内側に配置されている。ロータ47は、回転軸41と一体的に回転する。ロータ47は、回転軸41に固定された円筒状のロータコア49と、ロータコア49に設けられた図示しない複数の永久磁石と、を有している。ステータ48は、ロータ47を取り囲んでいる。ステータ48は、円筒状のステータコア50と、コイル51と、を有している。ステータコア50は、モータハウジング12の内周面に固定されている。コイル51は、ステータコア50に巻回されている。
【0039】
回転軸41は、図示しないバッテリからコイル51に電流が流れることによって、ロータ47と一体的に回転する。したがって、モータ20は、回転軸41を回転させる。モータ20は、回転軸41の軸方向において、第1インペラ42と第2インペラ43との間に配置されている。
【0040】
遠心圧縮機10は、第1ラジアル軸受52を備えている。第1ラジアル軸受52は円筒状である。第1ラジアル軸受52は、第1軸受保持部21に保持されている。第1ラジアル軸受52は、回転軸41におけるモータ20よりも回転軸41の第1端部寄りに位置する部位を回転可能に支持する。
【0041】
遠心圧縮機10は、第2ラジアル軸受53を備えている。第2ラジアル軸受53は円筒状である。第2ラジアル軸受53は、第2軸受保持部25に保持されている。第2ラジアル軸受53は、回転軸41におけるモータ20よりも回転軸41の第2端部寄りに位置する部位を回転可能に支持する。
【0042】
第1ラジアル軸受52及び第2ラジアル軸受53は、モータ20を回転軸41の軸方向で挟んだ両側の位置で回転軸41をラジアル方向で回転可能に支持する。なお、「ラジアル方向」とは、回転軸41の軸方向に対して直交する方向である。
【0043】
遠心圧縮機10は、スラスト軸受54を備えている。スラスト軸受54は、スラスト軸受収容室24に収容されている。したがって、スラスト軸受収容室24は、スラスト軸受54を収容する。スラスト軸受54は、支持部44をスラスト方向で回転可能に支持する。したがって、スラスト軸受54は、支持部44を介して回転軸41を回転可能に支持する。なお、「スラスト方向」とは、回転軸41の軸線方向に対して平行な方向である。
【0044】
第1吸入口27を介して第1インペラ室28に吸入された空気は、第1インペラ42の回転によって加速されながら、第1ディフューザ流路30に送り込まれて、第1ディフューザ流路30を通過することにより昇圧される。そして、第1ディフューザ流路30を通過した空気は、第1吐出室29に吐出される。第1吐出室29に吐出された空気は、第1吐出通路31に吐出される。第1吐出通路31に吐出された空気は、接続配管39及び第2吸入口32を介して第2インペラ室33に吸入される。第2インペラ室33に吸入された空気は、第2インペラ43の回転によって加速されながら、第2ディフューザ流路35に送り込まれて、第2ディフューザ流路35を通過することにより昇圧される。そして、第2ディフューザ流路35を通過した空気は、第2吐出室34に吐出される。第2吐出室34に吐出された空気は、第2吐出通路36に吐出される。第2吐出通路36に吐出された空気は、供給配管37を介して燃料電池スタック38に供給される。したがって、遠心圧縮機10は、燃料電池スタック38に対して空気を供給する。燃料電池スタック38に供給された空気に含まれる酸素は、燃料電池スタック38の発電に寄与する。
【0045】
回転体40は、回転軸41、及び回転軸41と一体的に回転することで燃料電池スタック38に供給される空気を圧縮する第1インペラ42及び第2インペラ43を含む。したがって、回転体40は、インペラを含む。第2吐出通路36及び供給配管37は、燃料電池スタック38に空気を供給する供給流路55を構成している。そして、第2吐出室34は、第2インペラ43によって圧縮された空気が吐出されるとともに供給流路55が接続されている吐出室である。したがって、ハウジング11は、供給流路55が接続されている吐出室を有している。
【0046】
遠心圧縮機10は、導入通路56を備えている。導入通路56は、第1プレート15に形成されている。導入通路56の第1端は、第1プレート15の外周面に開口している。導入通路56の第2端は、スラスト軸受収容室24に連通している。
【0047】
導入通路56の第1端には、分岐配管57が接続されている。分岐配管57は、供給配管37の途中から分岐されている。分岐配管57の第1端は、供給配管37に接続されている。分岐配管57の第2端は、導入通路56の第1端に接続されている。分岐配管57の途中には、インタークーラ58が設けられている。インタークーラ58は、分岐配管57内を流れる空気を冷却する。
【0048】
供給配管37を流れる空気の一部は、分岐配管57に流れ込む。分岐配管57を流れる空気は、インタークーラ58によって冷却される。これにより、インタークーラ58を通過した空気は、第2吐出室34に吐出された空気の温度よりも低い温度となる。そして、インタークーラ58によって冷却された空気は、導入通路56、スラスト軸受収容室24、及び第1軸受保持部21の内側を通過してモータ室18内へ導入される。したがって、導入通路56は、第2インペラ43によって圧縮された空気の一部を、第2吐出室34に吐出された空気の温度よりも低い温度の状態でモータ室18内へ導入する。
【0049】
遠心圧縮機10は、排出路59を備えている。排出路59は、モータハウジング12の端壁12aに形成されている。排出路59の第1端は、第2挿通孔26に連通している。排出路59の第2端は、モータハウジング12の端壁12aの外周面に開口している。したがって、排出路59は、ハウジング11の外部に連通している。そして、モータ室18内から第2軸受保持部25の内側を通過して第2挿通孔26内に流れ込んだ空気は、排出路59を介してハウジング11の外部へ排出される。
【0050】
図2に示すように、第2インペラ43は、背面43aから先端に向かうに従って徐々に縮径した筒状である。第2インペラ43の背面43aは、第2プレート16に対向している。よって、第2プレート16は、第2インペラ43の背面43aに対向する対向面16aを有している。第2インペラ43は、貫通孔43hを有している。貫通孔43hの軸線は、第2インペラ43の回転軸線に一致している。なお、第2インペラ43の回転軸線は、回転軸41の軸線でもある。
【0051】
<第1孔61及び第2孔64>
第2プレート16は、第2挿通孔26の一部を形成する第1孔61を有している。第1孔61は、第2プレート16の中央部を貫通している。第1孔61は、第1大径孔62及び第1小径孔63を有している。第1大径孔62は、対向面16aに連続している。第1小径孔63は、第1小径孔63の孔径が第1大径孔62の孔径よりも小さい。第1小径孔63は、第1大径孔62における対向面16aとは反対側の端部に連続している。第2プレート16は、第2インペラ室33を区画する第1壁構成体である。
【0052】
モータハウジング12の端壁12aは、第2挿通孔26の一部を形成する第2孔64を有している。第2孔64は、モータハウジング12の端壁12aの中央部を貫通している。第2孔64は、第2大径孔65及び第2小径孔66を有している。第2大径孔65は、第2軸受保持部25の内側に連続している。第2小径孔66は、第2小径孔66の孔径が第2大径孔65の孔径よりも小さい。第2小径孔66は、第2大径孔65における第2軸受保持部25とは反対側の端部に連続している。第2小径孔66の孔径は、第1小径孔63の孔径と同じである。モータハウジング12の端壁12aは、モータ室18を区画する第2壁構成体である。したがって、仕切壁は、第1壁構成体と、第2壁構成体と、を有している。
【0053】
<軸部71>
回転軸41は、軸部71を有している。軸部71は、回転軸41のうち、第2挿通孔26の内側に配置されている部分である。軸部71は、大径軸部72と、小径軸部73と、を有している。大径軸部72は、モータ室18から第2軸受保持部25の内側、及び第2孔64の第2大径孔65を通過して、第2孔64の第2小径孔66の内側に至るまで延びている。
【0054】
図3に示すように、大径軸部72の端面72aは、第2小径孔66の内側に位置している。小径軸部73は、大径軸部72よりも小径である。図2及び図3に示すように、小径軸部73は、大径軸部72の端面72aから第2インペラ室33に向けて延びている。大径軸部72の軸心と小径軸部73の軸心とは一致している。図3に示すように、小径軸部73は、大径軸部72の端面72aから第2孔64の第2小径孔66を通過して、第1孔61の第1小径孔63の内側に至るまで延びている。小径軸部73の端面73aは、第1孔61の第1小径孔63の内側に位置している。なお、回転軸41は、貫通部41eを有している。貫通部41eは、小径軸部73の端面73aから延びて第2インペラ43の貫通孔43h内を貫通している。
【0055】
<ボス部74>
第2インペラ43は、円筒状のボス部74を有している。ボス部74は、第2インペラ43の背面43aの中央部から突出している。ボス部74の内側は、貫通孔43hに連通している。回転軸41は、ボス部74の内側及び貫通孔43hを通過している。ボス部74は、第2挿通孔26に入り込んでいる。したがって、ボス部74は、第2挿通孔26の内側に配置されている。ボス部74は、回転体40における第2挿通孔26の内側に位置する部分である。
【0056】
ボス部74は、大径ボス部75と、小径ボス部76と、を有している。大径ボス部75は、第2インペラ43の背面43aに連続している。大径ボス部75の外径は、大径軸部72の外径と同じである。大径ボス部75は、第2インペラ43の背面43aから第1孔61の第1大径孔62の内側を通過して、第1孔61の第1小径孔63の内側に至るまで延びている。大径ボス部75の端面75aは、第1小径孔63の内側に位置している。
【0057】
小径ボス部76は、大径ボス部75よりも小径である。小径ボス部76は、大径ボス部75の端面75aからモータ室18に向けて延びている。大径ボス部75の軸心と小径ボス部76の軸心とは一致している。小径ボス部76の端面76aは、第1小径孔63の内側に位置している。小径ボス部76の外径は、小径軸部73の外径と同じである。小径ボス部76の端面76aは、小径軸部73の端面73aと回転軸41の軸方向で向かい合っている。
【0058】
<シムプレート77>
遠心圧縮機10は、シムプレート77を備えている。シムプレート77は、円環状である。シムプレート77は、小径軸部73の端面73aと、小径ボス部76の端面76aとの間に介在されている。したがって、シムプレート77は、回転軸41の軸方向で回転軸41と第2インペラ43との間に介在されている。回転軸41の軸線からシムプレート77の外周縁までの距離は、大径ボス部75の外径、及び大径軸部72の外径と同じになっている。よって、シムプレート77は、小径軸部73及び小径ボス部76よりも回転軸41の径方向外側へ突出している。
【0059】
シムプレート77は、金属材料製である。シムプレート77は、例えば、ステンレス鋼製である。シムプレート77の線膨張係数は、第2プレート16の線膨張係数よりも小さい。したがって、シムプレート77の線膨張係数は、仕切壁の線膨張係数よりも小さい。
【0060】
シムプレート77は、回転軸41の軸方向で回転軸41と第2インペラ43との間に介在されることにより、第2インペラ43における回転軸41の軸方向での位置を調整する。これにより、第2インペラ43と第2コンプレッサハウジング14との間のクリアランスが調整されるため、空気の圧縮効率が向上する。
【0061】
<第1突起部78及び第2突起部79>
第2プレート16は、突起部としての第1突起部78を有している。したがって、仕切壁は、突起部を有している。第1突起部78は、第1小径孔63の内周面から小径ボス部76の外周面に向けて突出する円環状である。したがって、突起部は、第1孔61の内周面から小径ボス部76の外周面に向けて突出する第1突起部78である。よって、第1突起部78は、第2挿通孔26の内周面から小径ボス部76の外周面に向けて突出している。第1突起部78の内径は、大径ボス部75の外径よりも小さい。
【0062】
モータハウジング12の端壁12aは、第2突起部79を有している。したがって、第2壁構成体は、第2突起部79を有している。第2突起部79は、第2小径孔66の内周面から小径軸部73の外周面に向けて突出する円環状である。したがって、第2突起部79は、第2孔64の内周面から小径軸部73の外周面に向けて突出している。第2突起部79の内径は、大径軸部72の外径よりも小さい。第2突起部79の内径は、第1突起部78の内径と同じである。
【0063】
<第1隙間81、第2隙間82、第3隙間83、第4隙間84、及び第5隙間85>
第2挿通孔26の内側には、第1隙間81と、第2隙間82と、第3隙間83と、第4隙間84と、第5隙間85と、が設けられている。第1隙間81は、第1小径孔63の内周面と大径ボス部75の外周面との間に形成されている。したがって、第1隙間81は、第2挿通孔26の内周面と大径ボス部75の外周面との間に形成されている。
【0064】
第2隙間82は、第1突起部78と小径ボス部76の外周面との間に形成されている。第3隙間83は、シムプレート77と第1小径孔63の内周面との間に形成されている。したがって、第3隙間83は、シムプレート77と第2挿通孔26の内周面との間に形成されている。
【0065】
第4隙間84は、第2小径孔66の内周面と大径軸部72の外周面との間に形成されている。したがって、第4隙間84は、第2挿通孔26の内周面と大径軸部72の外周面との間に形成されている。第5隙間85は、第2突起部79と小径軸部73の外周面との間に形成されている。第1隙間81、第2隙間82、第3隙間83、第4隙間84、及び第5隙間85それぞれの流路断面積は同じである。
【0066】
第2挿通孔26の内側には、第1径路86、第2径路87、第3径路88、及び第4径路89が設けられている。第1径路86は、第1隙間81と第2隙間82とを繋ぐ。第2径路87は、第2隙間82と第3隙間83とを繋ぐ。第3径路88は、第3隙間83と第5隙間85とを繋ぐ。第4径路89は、第5隙間85と第4隙間84とを繋ぐ。そして、第2挿通孔26の内側には、第1隙間81、第1径路86、第2隙間82、第2径路87、第3隙間83、第3径路88、第5隙間85、第4径路89、及び第4隙間84によってラビリンスシールが形成されている。
【0067】
したがって、第2挿通孔26の内側には、第1隙間81と、第2隙間82と、第3隙間83と、第4隙間84と、がこの順で、第2インペラ室33からモータ室18に向けて設けられている。そして、第1隙間81、第2隙間82、第3隙間83、及び第4隙間84は、第2挿通孔26と回転体40との間をシールするラビリンスシールを構成する。本実施形態では、第5隙間85は、第3隙間83と第4隙間84との間に位置している。そして、第1隙間81、第2隙間82、第3隙間83、第4隙間84、及び第5隙間85は、第2挿通孔26と回転体40との間をシールするラビリンスシールを構成する。
【0068】
[実施形態の作用]
次に、本実施形態の作用について説明する。
スラスト軸受54は、導入通路56からスラスト軸受収容室24内に導入された空気によって冷却される。スラスト軸受収容室24内の空気は、第1軸受保持部21の内側を通過する。第1ラジアル軸受52は、第1軸受保持部21の内側を通過する空気によって冷却される。第1軸受保持部21の内側を通過した空気は、モータ室18内へ導入される。モータ20は、モータ室18に導入された空気によって冷却される。したがって、遠心圧縮機10においては、第2インペラ43によって圧縮された空気の一部を、第2吐出室34に吐出された空気の温度よりも低い温度の状態でモータ室18内へ導入することにより、モータ20を冷却する。モータ室18内に導入された空気は、第2軸受保持部25の内側を通過する。第2ラジアル軸受53は、第2軸受保持部25の内側を通過する空気によって冷却される。第2軸受保持部25の内側を通過した空気は、排出路59を介してハウジング11の外部へ排出される。
【0069】
ところで、第2インペラ43によって圧縮されて第2吐出室34に吐出される空気の一部が、第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙90に流れ込む場合がある。そして、空隙90に流れ込んだ空気は、空隙90から第2挿通孔26に流れ込む。このように、例えば、第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙90から第2挿通孔26に空気が流れ込んだ場合に、第1隙間81を通過することにより空気が絞られる。そして、第1隙間81を通過した空気は、第1径路86を介して第2隙間82に至るまでに膨張するとともに第2隙間82を通過することにより再度絞られる。さらに、第2隙間82を通過した空気は、第2径路87を介して第3隙間83に至るまでに再度膨張するとともに第3隙間83を通過することにより再度絞られる。そして、第3隙間83を通過した空気は、第3径路88を介して第5隙間85に至るまでに再膨張するとともに第5隙間85を通過することにより再度絞られる。さらに、第5隙間85を通過した空気は、第4径路89を介して第4隙間84に至るまでに再膨張するとともに第4隙間84を通過することにより再度絞られる。このように、空気は、第1隙間81から第2隙間82、第3隙間83、及び第5隙間85を介した第4隙間84までの間で空気が絞られる部分と膨張する部分とを順次通過することになる。したがって、空気が第1隙間81から第4隙間84に向かって流れるにつれて次々と減圧されていく。よって、第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙90から第2挿通孔26に流れ込んだ空気の圧力が効率良く減圧される。その結果、第2インペラ43によって圧縮されて第2吐出室34に吐出される空気の一部が、第2挿通孔26を介してモータ室18内に侵入してしまうことが抑制されている。
【0070】
[実施形態の効果]
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)第2挿通孔26の内側には、第1隙間81と、第2隙間82と、第3隙間83と、第4隙間84と、が設けられている。第1隙間81、第2隙間82、第3隙間83、及び第4隙間84は、第2挿通孔26と回転体40との間をシールするラビリンスシールを構成している。これによれば、例えば、第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙90から第2挿通孔26に空気が流れ込んだ場合に、第1隙間81を通過することにより空気が絞られる。そして、第1隙間81を通過した空気は、第2隙間82に至るまでに膨張するとともに第2隙間82を通過することにより再度絞られる。さらに、第2隙間82を通過した空気は、第3隙間83に至るまでに再度膨張するとともに第3隙間83を通過することにより再度絞られる。そして、第3隙間83を通過した空気は、第4隙間84に至るまでに再度膨張するとともに第4隙間84を通過することにより再度絞られる。このように、空気は、第1隙間81から第2隙間82及び第3隙間83を介した第4隙間84までの間で空気が絞られる部分と膨張する部分とを順次通過することになる。したがって、空気が第1隙間81から第4隙間84に向かって流れるにつれて次々と減圧されていく。よって、第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙90から第2挿通孔26に流れ込んだ空気の圧力を効率良く減圧させることができる。その結果、第2インペラ43によって圧縮されて第2吐出室34に吐出される空気の一部が、第2挿通孔26を介してモータ室18内に洩れてしまうことが抑制されている。その結果、遠心圧縮機10において、空気の無駄な圧縮が抑制されるため、遠心圧縮機10の運転効率の低下が抑制される。
【0071】
例えば、シムプレート77を利用せずに、第2挿通孔26の内側に第3隙間83及び第4隙間84を設けようとすると、軸部71の外周面に環状の凹部を形成する必要がある。したがって、軸部71の外周面に凹部を形成するための加工が必要となるため、回転軸41に対して追加加工を施す必要がある。そこで、シムプレート77を小径軸部73及び小径ボス部76よりも回転軸41の径方向外側へ突出させることにより、第3隙間83を形成した。これによれば、既存の構成であるシムプレート77を利用するだけで、第2挿通孔26の内側に第3隙間83及び第4隙間84を設けることができる。以上により、回転軸41に対して追加加工を施すことなく、遠心圧縮機10の運転効率の低下を抑制することができる。
【0072】
(2)第2突起部79が、第1突起部78が形成されている第2プレート16とは別部材であるモータハウジング12の端壁12aに形成されている。したがって、遠心圧縮機10の組み立ての際に、小径軸部73の端面73aと小径ボス部76の端面76aとの間に介在されているシムプレート77を、回転軸41の軸方向で第1突起部78と第2突起部79との間に配置することができる。そして、第2挿通孔26の内側に第5隙間85が設けられている。したがって、第5隙間85を通過することにより空気が絞られる。よって、第1隙間81から第4隙間84に向かって流れる空気がさらに減圧され易くなる。したがって、第2インペラ43の背面43aと第2プレート16との間の空隙90から第2挿通孔26に流れ込んだ空気の圧力をさらに効率良く減圧させることができる。
【0073】
(3)シムプレート77の線膨張係数は、第2プレート16の線膨張係数よりも小さい。例えば、シムプレート77の線膨張係数が、第2プレート16の線膨張係数以上である場合を考える。この場合に比べると、第2インペラ43からシムプレート77に熱が伝わって、シムプレート77が熱膨張したとしても、シムプレート77が第2プレート16に接触してしまうことが回避され易くなる。
【0074】
(4)第2インペラ43によって圧縮されて第2吐出室34に吐出される空気の一部が、第2挿通孔26を介してモータ室18内に洩れてしまうことが抑制されている。したがって、第2インペラ43によって圧縮されて第2吐出室34に吐出される空気の一部が、第2挿通孔26を介してモータ室18内に侵入することで、モータ室18内に侵入した空気によってモータ20が暖められてしまうといった問題が生じ難くなる。よって、第2インペラ43によって圧縮された空気の一部を、第2吐出室34に吐出された空気の温度よりも低い温度の状態でモータ室18内へ導入することにより、モータ20を効率良く冷却することができる。その結果、遠心圧縮機10の耐久性の向上を図ることができる。
【0075】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0076】
○ 実施形態において、第2インペラ室33とモータ室18とを仕切る仕切壁が、例えば、第2プレート16のみによって構成されていてもよい。この場合、モータハウジング12は、例えば、筒状である。そして、モータハウジング12の開口が第2プレート16によって閉塞される。このように、第2インペラ室33とモータ室18とを仕切る仕切壁が、第2プレート16のみによって構成されている場合、遠心圧縮機10は、第2突起部79が削除された構成となる。このように、遠心圧縮機10は、第2突起部79を備えておらず、第2挿通孔26の内側に、第5隙間85が設けられていない構成であってもよい。
【0077】
○ 実施形態において、例えば、シムプレート77の線膨張係数が、第2プレート16の線膨張係数以上であってもよい。
○ 実施形態において、第1隙間81、第2隙間82、第3隙間83、第4隙間84、及び第5隙間85それぞれの流路断面積が異なっていてもよい。
【0078】
○ 実施形態において、シムプレート77は、例えば、鉄製であってもよい。シムプレート77は、シムプレート77の線膨張係数が第2プレート16の線膨張係数よりも小さい材質であるのが好ましい。
【0079】
○ 実施形態において、導入通路56は、第1インペラ42によって圧縮された空気の一部をモータ室18内へ導入してもよい。第1インペラ42によって圧縮された空気の温度は、第2インペラ43によって圧縮されて第2吐出室34に吐出される空気の温度よりも低い。要は、導入通路56は、第2吐出室34に吐出された空気の温度よりも低い温度の状態でモータ室18内へ空気を導入すればよい。
【0080】
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、第2インペラ43を備えていない構成であってもよい。この場合、第1挿通孔23の内側に、第1隙間81と、第2隙間82と、第3隙間83と、第4隙間84と、第5隙間85と、が設けられている。
【0081】
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、第2インペラ43に代えて、タービンホイールを備えている構成であってもよい。
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、燃料電池車に搭載されていなくてもよい。要は、遠心圧縮機10は、車両に搭載されるものに限定されるものではない。
【0082】
○ 実施形態において、遠心圧縮機10は、燃料電池スタック38に供給される空気を圧縮するために用いられるものに限らない。要は、遠心圧縮機10は、空気を圧縮するものであればよい。
【符号の説明】
【0083】
10…遠心圧縮機、11…ハウジング、12a…第2壁構成体である端壁(仕切壁)、15…第1プレート(仕切壁)、16…第1壁構成体である第2プレート(仕切壁)、17…第3プレート(仕切壁)、18…モータ室、20…モータ、23…第1挿通孔(挿通孔)、26…第2挿通孔(挿通孔)、28…第1インペラ室(インペラ室)、33…第2インペラ室(インペラ室)、34…吐出室である第2吐出室、40…回転体、41…回転軸、42…第1インペラ(インペラ)、43…第2インペラ(インペラ)、43a…背面、61…第1孔、64…第2孔、71…軸部、72…大径軸部、73…小径軸部、73a…端面、74…ボス部、75…大径ボス部、76…小径ボス部、76a…端面、77…シムプレート、78…第1突起部(突起部)、79…第2突起部、81…第1隙間、82…第2隙間、83…第3隙間、84…第4隙間、85…第5隙間。
図1
図2
図3