(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057189
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/155 20060101AFI20240417BHJP
B23Q 17/24 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
B23Q3/155 G
B23Q17/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163743
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有馬 亮輔
【テーマコード(参考)】
3C002
3C029
【Fターム(参考)】
3C002AA03
3C002HH06
3C002KK04
3C029EE04
3C029EE20
(57)【要約】
【課題】レーザの光路に切粉を含むミストが存在する場合であっても、工具の有無の検知精度を向上させる技術を提供する。
【解決手段】複数の工具を把持し、把持された工具のうちの一つを予め定められた位置である工具交換位置に配置する工具マガジンと、工具の内の一つを着脱可能に保持し、工具を回転させる主軸装置と、ワークを保持するワーク保持装置と、ワークにクーラントを供給するクーラント供給装置と、を備える工作機械において、工具マガジンは、回転体と、回転体を回転させる回転駆動装置と、回転体の外周に複数設けられ、工具を把持する工具把持具と、工具交換位置に向けてレーザを照射し、工具交換位置で反射したレーザを検出する、レーザ検出装置と、工具交換位置とレーザ検出装置の間に設けられ、内部をレーザが通過する筒状のケーシングと、ケーシング内に一端側から他端側へ向けてエアを供給するエア供給装置と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工具を把持し、把持された前記工具のうちの一つを予め定められた位置である工具交換位置に配置する工具マガジンと、
前記工具の内の一つを着脱可能に保持し、前記工具を回転させる主軸装置と、
ワークを保持するワーク保持装置と、
前記ワークにクーラントを供給するクーラント供給装置と、を備え、
前記主軸装置と前記ワーク保持装置とが相対的に移動することで前記工具が前記ワークを加工し、
前記主軸装置と前記工具マガジンとが相対的に移動することで、前記主軸装置に保持された前記工具が前記工具交換位置に配置された前記工具と交換される、工作機械において、
前記工具マガジンは、
回転体と、
前記回転体を回転させる回転駆動装置と、
前記回転体の外周に複数設けられ、前記工具を把持する工具把持具と、
前記工具交換位置に向けてレーザを照射し、前記工具交換位置で反射した前記レーザを検出する、レーザ検出装置と、
前記工具交換位置と前記レーザ検出装置の間に設けられ、内部を前記レーザが通過する筒状のケーシングと、
前記ケーシング内に一端側から他端側へ向けてエアを供給するエア供給装置と、を備える、
工作機械。
【請求項2】
請求項1に記載の工作機械であって、
前記主軸装置は、鉛直方向に平行な軸線回りに回転する主軸を備え、
前記回転体は、鉛直方向に平行な軸線回りに回転する、
工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、工具マガジンに収容された工具にレーザを照射して工具の折損の有無を検知する、工作機械の工具折損検知機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工具マガジンの特定の位置にレーザを照射することで、特定の位置の工具の有無を検知し、工具が正しく取り付けられているかを確認することが試みられている。そして、工具マガジンの特定の位置にレーザを照射する際に、レーザの光路に切粉を含むミストが存在する場合であっても、工具の有無の検知精度を向上させる技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の第1の形態によれば、工作機械が提供される。この工作機械は、複数の工具を把持し、把持された前記工具のうちの一つを予め定められた位置である工具交換位置に配置する工具マガジンと、前記工具の内の一つを着脱可能に保持し、前記工具を回転させる主軸装置と、ワークを保持するワーク保持装置と、前記ワークにクーラントを供給するクーラント供給装置と、を備え、前記主軸装置と前記ワーク保持装置とが相対的に移動することで前記工具が前記ワークを加工し、前記主軸装置と前記工具マガジンとが相対的に移動することで、前記主軸装置に保持された前記工具が前記工具交換位置に配置された前記工具と交換され、前記工具マガジンは、回転体と、前記回転体を回転させる回転駆動装置と、前記回転体の外周に複数設けられ、前記工具を把持する工具把持具と、前記工具交換位置に向けてレーザを照射し、前記工具交換位置で反射した前記レーザを検出する、レーザ検出装置と、前記工具交換位置と前記レーザ検出装置の間に設けられ、内部を前記レーザが通過する筒状のケーシングと、前記ケーシング内に一端側から他端側へ向けてエアを供給するエア供給装置と、を備える。
この形態の工作機械によれば、レーザ検出装置から工具交換位置へ向けて照射されるレーザの光路および工具交換位置で反射したレーザの光路は、ケーシングで覆われており、ケーシング内にはエア供給装置によって一端側から他端側へエアが供給されている。そのため、レーザの光路に存在する切粉を含むミストの量を減らすことができ、工具交換位置の工具の有無の検知精度を向上させることができる。
(2)上記形態の工作機械において、前記主軸装置は、鉛直方向に平行な軸線回りに回転する主軸を備え、前記回転体は、鉛直方向に平行な軸線回りに回転してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】ワークが加工されている期間の仕切板の位置を示す図である。
【
図7】レーザ検出装置付近のケーシングの分解斜視図である。
【
図8】ケーシングのY方向に垂直な断面における断面図である。
【
図10】主軸に保持された工具を工具マガジンに把持された一つの工具と交換する方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、工作機械100の斜視図である。
図2は、工作機械100の側面図である。
図1および
図2には、互いに直交する3つの座標軸であるX,Y,Z軸を表す矢印が示されている。Z軸およびX軸は、水平面に平行な座標軸である。Y軸は、鉛直方向に平行な座標軸である。
図1および
図2におけるX,Y,Z軸を表す矢印と、他の図におけるX,Y,Z軸を表す矢印とは、同じ方向を指し示している。向きを特定する場合には、矢印の指し示す方向である正の方向を「+」、矢印の指し示す方向とは反対の方向である負の方向を「-」として、方向表記に正負の符号を併用する。
【0009】
工作機械100は、相互に直交する3つの直進軸と、2つの回転軸と、を駆動軸として有するマシニングセンタである。3つの直進軸は、X軸、Y軸およびZ軸からなり、2つの回転軸は、A軸およびC軸からなる。A軸は、X軸に沿った回転軸である。C軸は、A軸に直交する回転軸である。
【0010】
工作機械100は、ベッド10と、コラム20と、サドル30と、主軸装置40と、クーラント供給装置50と、ワーク保持装置60と、工具マガジン70と、制御部200と、を備える。
【0011】
ベッド10は、床上に配置される。ベッド10は、ワーク支持部11と、マガジン収容部12と、を備える。
【0012】
ワーク支持部11は、ワーク保持装置60を支持する。
【0013】
マガジン収容部12は、ワーク支持部11の+Z方向側かつ+Y方向側に位置する空間であり、内部に工具マガジン70を収容する。マガジン収容部12は、第1底面13と、左壁部14と、右壁部15と、上壁部16と、を有する。第1底面13には、工具マガジン70が設置される。左壁部14は、第1底面13の-X方向側の端部に設けられている。右壁部15は、第1底面13の+X方向側の端部に設けられている。左壁部14および右壁部15は、X軸方向において対向する。左壁部14の上面および右壁部15の上面には、Z軸に沿って延びるZ軸ガイドレール17が設けられている。上壁部16は、左壁部14の上部および右壁部15の上部を繋ぐように、工具マガジン70の上方に設けられている。
【0014】
コラム20は、左壁部14の上面および右壁部15の上面に設けられたZ軸ガイドレール17上に配置される。コラム20は、図示しないZ軸駆動装置によって、Z軸ガイドレール17に案内されながらZ方向に移動可能に設けられる。Z軸駆動装置は、例えば、サーボモータおよびボールねじから構成される。コラム20の-Z方向側の側面には、X軸に沿って延びるX軸ガイドレール21が設けられる。
【0015】
サドル30は、コラム20の-Z方向側の側面に配置され、図示しないX軸駆動装置によって、X軸ガイドレール21に案内されながらX方向に移動可能に設けられる。X軸駆動装置は、例えば、サーボモータおよびボールねじから構成される。
【0016】
主軸装置40は、サドル30の-Z方向側の側面に配置される。主軸装置40の+Z方向側の側面には、Y軸に沿って延びるY軸ガイドレール41が設けられる。サドル30は、図示しないY軸駆動装置によって、Y軸ガイドレール41に案内されながら主軸装置40に対してY方向に相対的に移動可能に設けられる。サドル30が主軸装置40に対して相対的にY方向に移動することで、主軸装置40がY方向に移動する。Y軸駆動装置は、例えば、サーボモータおよびボールねじから構成される。
【0017】
主軸装置40は、主軸42と、工具クランプ装置43と、主軸駆動モータ44と、を備える。主軸42は、Y軸に平行な軸線AX回りに回転可能となるように、主軸装置40に保持される。工具クランプ装置43は、主軸42内に設けられ、ワークWを加工する工具110を主軸42に装着させる。工具110は、工具クランプ装置43が工具110をクランプすることで主軸42に保持され、工具クランプ装置43が工具110をアンクランプすることで主軸42から取り外される。すなわち、主軸42は、工具110を着脱可能に保持する。主軸駆動モータ44は、主軸42を軸線AX回りに回転させる。主軸42が回転することにより、工具110が軸線AX回りに回転する。
【0018】
クーラント供給装置50は、ワークWにクーラントを供給する。クーラント供給装置50は、クーラント貯留槽51と、ポンプ52と、ノズル53と、を備える。クーラント貯留槽51およびポンプ52は、ベッド10の傍に設置される。ノズル53は、主軸装置40に取り付けられる。クーラント供給装置50は、クーラント貯留槽51に貯留されたクーラントをポンプ52で汲み出し、ポンプ52に配管接続されたノズル53にクーラントを送出する。クーラントは、ノズル53の先端からワークWに吹きかけられる。
【0019】
ワーク保持装置60は、主軸42に保持された工具110によって加工されるワークWを保持する。ワーク保持装置60は、テーブル61と、チルト装置62と、ワーク回転装置63と、を備える。
【0020】
テーブル61は、ワーク支持部11に固定される。
【0021】
チルト装置62は、一対のチルトテーブル支持部64と、チルトテーブル65と、を備える。一対のチルトテーブル支持部64は、X方向に対向するように、テーブル61の上面に固定される。チルトテーブル65は、X軸に平行なA軸回りに揺動可能となるように、チルトテーブル支持部64に支持される。チルトテーブル支持部64には、チルトテーブル65をA軸回りに揺動させるための駆動力を付与する図示しないA軸モータが設置される。
【0022】
ワーク回転装置63は、回転テーブル66を備える。回転テーブル66は、A軸に直交するC軸回りに回転可能となるように、チルトテーブル65の底面に設置される。回転テーブル66は、ワークWを保持する保持部67を有する。回転テーブル66には、保持部67をC軸回りに回転させるための駆動力を付与する図示しないC軸モータが設けられる。
【0023】
図3は、工具マガジン70の上面図である。
図4は、工具マガジン70の側面図である。工具マガジン70は、主軸42が保持する工具110と交換される複数の工具110を把持する。工具マガジン70は、回転体71と、工具把持具72と、仕切板73と、回転体支持部74と、レーザ検出装置75と、ケーシング76と、エア供給装置77と、を備える。
【0024】
回転体71は、一部が切り欠けられた円盤形状である。回転体71は、Y軸に平行な軸線BX回りに回転可能に設けられている。回転体71の軸線BXは、円盤状の部分の中心に位置する。
【0025】
工具把持具72は、回転体71の円盤状の部分の外周に円周方向に等間隔に複数設けられている。工具把持具72は、工具110の被把持部112を把持する。工具110の被把持部112は、主軸42に保持される部分である被保持部111の下方に位置する。また、被把持部112の下方には、ワークWを加工する刃部113が形成されている。
【0026】
仕切板73は、板形状であり、その上端が回転体71の円盤の切り欠けられた部分に固定されている。
【0027】
回転体支持部74は、マガジン収容部12の第1底面13上に固定されている。回転体支持部74は、回転体71の下方に設けられ、回転体71が軸線BX回りに回転可能となるように回転体71を支持する。回転体支持部74の内部には、回転体71を軸線BX回りに回転させる回転駆動装置78が収容されている。回転体支持部74と回転体71の間には、減速機79が設けられている。減速機79は、回転駆動装置78の出力軸に接続されており、回転駆動装置78の出力軸の回転を減速して回転体71に伝達する。
【0028】
図5は、ワークWが加工されている期間の仕切板73の位置を示す図である。主軸42に装着された工具110によってワークWが加工されている期間において、回転体71は、回転体71の-Z方向側の端部に仕切板73が位置する位置に固定される。すなわち、仕切板73は、ワークWが加工されている期間において、ワーク保持装置60と工具把持具72に把持された工具110との間に位置する。仕切板73は、ワークWが加工されることで、ワークW付近で発生した切粉を含むクーラントのミストが、マガジン収容部12へ流入することを抑制するシャッターとして機能する。
【0029】
レーザ検出装置75は、上壁部16の下面に取り付けられている。レーザ検出装置75は、工具交換位置Pに向けてレーザを照射する照射部と、工具交換位置Pに工具110が存在する場合に工具交換位置Pで反射したレーザを検出する受光部と、を備えている。ここで、工具交換位置Pは、予め定められた位置であり、
図3から
図5に示すように、回転体71の-Z方向側の端部に工具把持具72が位置するように回転体71が回転した状態において、最も-Z方向側に位置する工具把持具72に把持される工具110の位置である。工具交換位置Pは、主軸42への工具110の装着、および、主軸42に装着された工具110の返却が行われる位置である。
【0030】
ケーシング76は、上壁部16の下面に取り付けられている。ケーシング76は、筒状の部材である。ケーシング76は、一端側の開口がレーザ検出装置75の近傍に位置し、他端側の開口が工具交換位置Pの近傍に位置するように、レーザ検出装置75と工具交換位置Pの間に設けられる。ケーシング76の内部には、レーザ検出装置75から照射されたレーザ、および、工具交換位置Pで反射したレーザが通過する。ケーシング76の長手方向は、レーザ検出装置75から照射されるレーザの進行方向と一致する。
【0031】
図6は、ケーシング76の斜視図である。
図7は、レーザ検出装置75付近のケーシング76の分解斜視図である。ケーシング76は、筒状のダクト部81を備える。ダクト部81の一端にはブラケット83が、他端にはブラケット82が固定されている。ブラケット82は、上壁部16の下面に固定される。ブラケット83は、ボルト84によってブラケット85に固定される。ブラケット85は、ボルト86によって上壁部16の下面に固定される。以上のようにして、ダクト部81が上壁部16の下面に固定される。また、レーザ検出装置75は、ボルト89によってブラケット87に固定される。ブラケット87は、ボルト88によってダクト部81に固定される。レーザ検出装置75は、ブラケット87がダクト部81の端部に固定されることで、ケーシング76の一端側に取り付けられる。
【0032】
エア供給装置77は、ケーシング76内に一端側から他端側へ向けてエアを供給する。本実施形態では、エア供給装置77は、ケーシング76内に、レーザ検出装置75側から工具交換位置P側へ向けてエアを供給する。
図3に示すように、エア供給装置77は、エア供給源91と、エア切換弁92と、配管93と、を備える。エア供給源91は、例えば、空気圧縮機である。配管93の内部には、エア供給源91から供給されたエアが流れる。エア切換弁92は、配管93を開放または閉塞させることで、エア供給源91からケーシング76へのエアの供給を開始または停止させる。配管93は、折り曲げ可能な金属製であることが好ましい。配管93は、溶接等によってケーシング76に固定される。
【0033】
図8は、ケーシング76のY方向に垂直な断面における断面図である。配管93は、ダクト部81の側面を貫いており、その端部がダクト部81の内部に位置する。配管93は、ダクト部81内において、配管93内のエアの流れる方向が、レーザ検出装置75から照射されるレーザの進行方向と平行になるように、ダクト部81の内壁に固定される。
【0034】
図9は、制御部200の構成を説明する図である。制御部200は、数値制御装置210と、PLC(Programmable Logic Controller)250と、から構成される。
【0035】
数値制御装置210は、CPU211と、記憶部212と、表示部213と、を備える。表示部213は、例えば、液晶ディスプレイである。記憶部212は、工具交換プログラムを記憶する。また、記憶部212には、工作機械100を動作させるためのプログラム等が記憶される。CPU211は、記憶部212に記憶されたプログラムを実行することにより、工作機械100の各部を制御する。数値制御装置210は、Z軸サーボアンプ221と、X軸サーボアンプ222と、Y軸サーボアンプ223と、A軸サーボアンプ224と、C軸サーボアンプ225と、主軸回転サーボアンプ226と、回転駆動装置アンプ227と、に駆動指令を出力する。
【0036】
Z軸サーボアンプ221は、数値制御装置210からの指令に応じてZ軸駆動装置を制御し、コラム20をZ方向に移動させる。X軸サーボアンプ222は、数値制御装置210からの指令に応じてX軸駆動装置を制御し、サドル30をX方向に移動させる。Y軸サーボアンプ223は、数値制御装置210からの指令に応じてY軸駆動装置を制御し、主軸装置40をY方向に移動させる。
【0037】
主軸42は、コラム20の移動に伴ってZ軸方向へ移動し、サドル30の移動に伴ってX軸方向へ移動し、主軸装置40の移動に伴ってY方向へ移動する。主軸42がワーク保持装置60に対して相対的に移動することで、主軸42に保持された工具110によってワークWが加工される。また、主軸42が工具マガジン70に対して相対的に移動することで、主軸42に保持された工具110が、工具交換位置Pに配置された工具110と交換される。
【0038】
A軸サーボアンプ224は、数値制御装置210からの指令に応じてA軸モータを制御し、チルトテーブル65をA軸回りに揺動させる。C軸サーボアンプ225は、数値制御装置210からの指令に応じてC軸モータを制御し、回転テーブル66をC軸回りに回転させる。
【0039】
主軸回転サーボアンプ226は、数値制御装置210からの指令に応じて主軸駆動モータ44を制御し、主軸42を軸線AX回りに回転させる。
【0040】
回転駆動装置アンプ227は、数値制御装置210からの指令に応じて回転駆動装置78を制御し、回転体71を軸線BX回りに回転させる。
【0041】
PLC250は、数値制御装置210からの指令に応じて、ラダープログラムを実行することで、工具クランプ装置43と、レーザ検出装置75と、エア切換弁92を制御する。PLC250は、工具クランプ装置43を制御し、工具110をクランプまたはアンクランプさせる。また、PLC250は、レーザ検出装置75を制御し、工具交換位置Pへ向けてレーザを照射させる。また、PLC250は、エア切換弁92を制御し、エア供給源91からケーシング76へのエアの供給を開始、または、エアの供給を停止させる。
【0042】
図10は、主軸42に保持された工具110を、工具マガジン70に把持された一つの工具110と交換する方法を示す工程図である。主軸42に保持された工具110と工具マガジン70に把持された工具110との交換は、記憶部212に記憶された工具交換プログラムをCPU211が実行することによって実行される。
【0043】
まず、ステップS10において、エア切換弁92が配管93を解放してエア供給源91からケーシング76へのエアの供給を開始することにより、ケーシング76内に、レーザ検出装置75側から工具交換位置P側へ向けてエアが供給される。
【0044】
次に、ステップS20において、回転体71が軸線BX回りに回転され、主軸42に保持されている工具110が返却される空の工具把持具72が工具交換位置Pに配置される。
【0045】
次に、ステップS30において、レーザ検出装置75から工具交換位置Pへ向けてレーザが照射される。
【0046】
次に、ステップS40において、工具交換位置Pに配置された工具把持具72に工具110が把持されているか否かが判定される。具体的には、レーザ検出装置75が工具交換位置Pで反射されたレーザを検出した場合は、工具交換位置Pに工具110が存在すると判定される。レーザ検出装置75が工具交換位置Pで反射されたレーザを検出しなかった場合は、工具交換位置Pに工具110は存在しないと判定される。
【0047】
ステップS40で工具交換位置Pに工具110が存在すると判定された場合は、工具110の交換は中止される。具体的には、ステップS120において、表示部213に警告が表示される。そして、ステップS130において、ケーシング76内へのエアの供給が停止される。
【0048】
ステップS40で工具交換位置Pに工具110が存在しないと判定された場合は、ステップS50において、主軸42が+Z方向へ移動することで、主軸42が工具交換位置Pへ移動される。そして、主軸42に保持された工具110の被把持部112が工具把持具72に把持されることで、工具110が工具マガジン70に返却される。工具110が工具マガジン70に返却された後、工具クランプ装置43は、工具110をアンクランプする。
【0049】
次に、ステップS60において、主軸装置40が+Y方向に移動されて、工具把持具72に把持された工具110が主軸42から離脱する。
【0050】
次に、ステップS70において、回転体71が軸線BX回りに回転されることにより、主軸42に保持されていた工具110と交換される工具110である次工具120が工具交換位置Pに配置される。
【0051】
次に、ステップS80において、レーザ検出装置75から工具交換位置Pへ向けてレーザが照射される。
【0052】
次に、ステップS90において、工具交換位置Pの工具110の有無が判定される。工具交換位置Pの工具110の有無の判定は、ステップS40と同様に行われる。工具交換位置Pに工具110が存在しないと判定された場合は、工具110の交換は中止される。具体的には、ステップS120において、表示部213に警告が表示される。そして、ステップS130において、ケーシング76内へのエアの供給が停止される。
【0053】
ステップS90で工具交換位置Pに工具110が存在すると判定された場合、ステップS100において、主軸42が-Y方向に移動することで、主軸42が工具交換位置Pに移動される。そして、工具クランプ装置43が工具交換位置Pに配置された次工具120をクランプすることで、主軸42に次工具120が保持される。
【0054】
次に、ステップS110において、主軸装置40が-Z方向に移動されることで、主軸42に保持された次工具120の工具把持具72による把持が解除される。
【0055】
最後に、ステップS130において、エア切換弁92が配管93を閉塞することにより、ケーシング76内へのエアの供給が停止される。以上で説明した一連の工程により、主軸42に保持された工具110と、工具マガジン70に把持された次工具120との交換が完了する。
【0056】
以上で説明した第1実施形態における工作機械100によれば、主軸42に保持された工具110と工具マガジン70に把持されている工具110との交換が行われる場合に、エア供給装置77によってケーシング76内にエアが供給され、レーザ検出装置75から工具交換位置Pに向けてレーザが照射されることで、工具交換位置Pの工具110の有無が判定される。レーザ検出装置75から照射されるレーザの光路および工具交換位置Pで反射したレーザの光路は、ケーシング76で覆われており、ケーシング76内にはエア供給装置77によって一端側から他端側へエアが供給されている。そのため、ワークWが加工されることによりワーク保持装置60付近で切粉を含むクーラントのミストが発生した場合でも、切粉を含むミストがケーシング76の内部に流れ込むことを抑制でき、レーザ検出装置75と工具交換位置Pの間の切粉を含むミストの量を減らすことができる。そのため、レーザ検出装置75から工具交換位置Pへ向けて照射されたレーザがミスト中の切粉で反射されることによって、工具交換位置Pの工具110の有無が誤って判定されることを抑制できる。
【0057】
また、本実施形態では、工具交換位置Pに配置された工具把持具72に主軸42に保持されている工具110が返却される前に、工具交換位置Pの工具把持具72に工具110が把持されているか否かが判定され、工具交換位置Pの工具把持具72に工具110が把持されていると判定された場合は、工具110の交換は中止される。そのため、工具交換位置Pの工具把持具72、すなわち、主軸42に保持されている工具110が返却される工具把持具72に、ユーザーが誤って他の工具110を取り付けていた場合でも、主軸42に保持されている工具110と工具交換位置Pの工具把持具72に把持されている工具110とが衝突して工具110が破損することを抑制できる。
【0058】
B.他の実施形態:
(B-1)上記実施形態では、ケーシング76内には、工具110の交換が行われる場合にエアが供給される。これに対して、ケーシング76内には、ワークWの加工が開始されてから終了するまで常にエアが供給されてもよい。
【0059】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
10…ベッド、11…ワーク支持部、12…マガジン収容部、13…第1底面、14…左壁部、15…右壁部、16…上壁部、17…Z軸ガイドレール、20…コラム、21…X軸ガイドレール、30…サドル、40…主軸装置、41…Y軸ガイドレール、42…主軸、43…工具クランプ装置、44…主軸駆動モータ、50…クーラント供給装置、51…クーラント貯留槽、52…ポンプ、53…ノズル、60…ワーク保持装置、61…テーブル、62…チルト装置、63…ワーク回転装置、64…チルトテーブル支持部、65…チルトテーブル、66…回転テーブル、67…保持部、70…工具マガジン、71…回転体、72…工具把持具、73…仕切板、74…回転体支持部、75…レーザ検出装置、76…ケーシング、77…エア供給装置、78…回転駆動装置、79…減速機、81…ダクト部、82…ブラケット、83…ブラケット、84…ボルト、85…ブラケット、86…ボルト、87…ブラケット、88…ボルト、89…ボルト、91…エア供給源、92…エア切換弁、93…配管、100…工作機械、110…工具、111…被保持部、112…被把持部、113…刃部、120…次工具、200…制御部、210…数値制御装置、211…CPU、212…記憶部、213…表示部、221…Z軸サーボアンプ、222…X軸サーボアンプ、223…Y軸サーボアンプ、224…A軸サーボアンプ、225…C軸サーボアンプ、226…主軸回転サーボアンプ、227…回転駆動装置アンプ、250…PLC、P…工具交換位置、W…ワーク