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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057195
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20240417BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20240417BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240417BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20240417BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240417BHJP
   G02F 1/133 20060101ALN20240417BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALN20240417BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/34 J
G09G3/20 621E
G09G3/20 622K
G09G3/20 622Q
G09G3/20 622R
G09G3/20 621A
G09G3/20 622D
G09G3/20 612T
G09G3/20 622N
G09G3/20 680A
G09G3/20 621F
G09G3/20 641R
G09G5/36 520P
G09G5/00 550C
G02F1/133 550
G02F1/133 580
G02F1/13357
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163755
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小村 真一
(72)【発明者】
【氏名】松島 寿治
【テーマコード(参考)】
2H193
2H391
5C006
5C080
5C182
【Fターム(参考)】
2H193ZC35
2H193ZE03
2H193ZG04
2H193ZG14
2H193ZG34
2H193ZG45
2H193ZH39
2H193ZH52
2H193ZJ04
2H193ZR10
2H391AA13
2H391AB04
2H391AB08
2H391CB03
2H391CB12
2H391CB23
2H391CB52
2H391FA03
2H391FA06
5C006AA14
5C006AA16
5C006AA22
5C006AC11
5C006AC22
5C006AF42
5C006AF44
5C006AF51
5C006AF52
5C006AF61
5C006AF71
5C006AF73
5C006BB16
5C006BB29
5C006BC03
5C006BF16
5C006BF38
5C006BF44
5C006EA01
5C006EC08
5C006FA12
5C006FA16
5C006FA29
5C080AA10
5C080BB06
5C080CC03
5C080DD02
5C080DD07
5C080DD08
5C080EE19
5C080EE29
5C080EE30
5C080FF03
5C080FF11
5C080FF13
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ06
5C080KK01
5C182AA03
5C182AB33
5C182AC43
5C182BA29
5C182BA46
5C182BA56
5C182BC01
5C182BC22
5C182BC25
5C182CA21
5C182CA54
5C182CB45
5C182CC24
5C182DA41
(57)【要約】
【課題】高精細表示パネルにおいてフレームレートの低下を抑制することができる表示装置を提供する。
【解決手段】複数の画素が第1方向に並ぶ複数の画素行が第1方向に直交する第2方向に並ぶ表示領域を有する表示パネルと、複数の画素行を走査して駆動信号を供給する走査回路と、表示パネルに向けて光を照射する光源と、光源の発光タイミングを制御する光源制御回路と、を備える。表示領域は、第2方向に複数の領域に分割され、第2方向に連続して並ぶ複数の画素行を含む第1領域と、第1領域を除く第2領域と、を含む。走査回路は、第1領域の画素行を順次走査し、第2領域において第2方向に連続して並ぶ複数の画素行を同時走査する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が第1方向に並ぶ複数の画素行が前記第1方向に直交する第2方向に並ぶ表示領域を有する表示パネルと、
前記複数の画素行を走査して駆動信号を供給する走査回路と、
前記表示パネルに向けて光を照射する光源と、
前記光源の発光タイミングを制御する光源制御回路と、
を備え、
前記表示領域は、前記第2方向に複数の領域に分割され、
前記第2方向に連続して並ぶ複数の画素行を含む第1領域と、
前記第1領域を除く第2領域と、
を含み、
前記走査回路は、
前記第1領域の画素行を順次走査し、
前記第2領域において前記第2方向に連続して並ぶ複数の画素行を同時走査する、
表示装置。
【請求項2】
前記第2領域は、
前記第2方向に連続して並ぶ複数の画素行を含み、前記第1領域に接する第3領域と、
前記第3領域を除く第4領域と、
を含み、
前記第3領域において同時走査する画素行の数は、前記第4領域において同時走査する画素行の数よりも少ない、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2領域は、
前記第1領域に接しており、前記第2方向に連続して並ぶ複数の画素行を含み、
さらに前記第2方向に順次接する複数の領域を含み、
前記第2領域において、同時走査する画素行の数は、各領域で異なる、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示領域において1画面の表示を行う1フレーム期間は、
前記光源が発光する発光期間と、
前記第1領域に含まれる画素行を走査する第1駆動期間と、
前記第2領域に含まれる画素行を走査する第2駆動期間と、
を含む、
請求項1から3の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記発光期間の直後に前記第1駆動期間が設けられている、
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記発光期間は、前記第1領域に含まれる画素の応答期間の完了タイミングから、次フレームにおける前記第1駆動期間の開始タイミングまでの期間内に設けられている、
請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
少なくとも前記表示領域上における前記第2方向のユーザの視点を検出する視線検出センサを備え、
前記第1領域は、前記表示領域上における前記視点の検出位置を含む、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記発光期間に対する前記第1駆動期間の相対的な開始タイミングは、前記表示領域上における前記視点の検出位置に依らず略一定である、
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1駆動期間の直後に前記第2駆動期間が設けられ、当該第2駆動期間と次フレームにおける第1駆動期間との間に設けられるブランキング期間は、前記表示領域上における前記視点の検出位置に依らず略一定である、
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記光源は、前記第2方向に分割された複数の発光領域を有し、
前記複数の発光領域のうち、前記第1領域に重なる発光領域の発光期間の直後に前記第1駆動期間が設けられている、
請求項4に記載の表示装置。
【請求項11】
前記光源は、前記第2方向に分割された複数の発光領域を有し、
前記複数の発光領域のうち、前記第1領域に重なる発光領域の発光期間は、前記第1領域に含まれる画素の応答期間の完了タイミングから、次フレームにおける第1駆動期間の開始タイミングまでの期間内に設けられ、前記複数の発光領域のうち、前記第2領域に重なる発光領域の発光期間は、前記第2領域に含まれる画素の応答期間の完了タイミングから、次フレームにおける第2駆動期間の開始タイミングまでの期間内に設けられている、
請求項4に記載の表示装置。
【請求項12】
少なくとも前記表示領域上における前記第2方向のユーザの視点を検出する視線検出センサを備え、
前記第1領域は、前記表示領域上における前記視点の検出位置を含む、
請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第1領域に重なる発光領域の発光期間に対する前記第1駆動期間の相対的な開始タイミングは、前記表示領域上における前記視点の検出位置に依らず略一定である、
請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記第1駆動期間の直後に前記第2駆動期間が設けられ、当該第2駆動期間と次フレームにおける第1駆動期間との間に設けられるブランキング期間は、前記表示領域上における前記視点の検出位置に依らず略一定である、
請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
複数の画素が第1方向に並ぶ複数の画素行が前記第1方向に直交する第2方向に並ぶ表示領域を有する表示パネルと、
前記複数の画素行を走査して駆動信号を供給する走査回路と、
前記表示パネルに向けて光を照射する光源と、
前記光源の発光タイミングを制御する光源制御回路と、
を備え、
前記表示領域は、前記第2方向に複数の領域に分割され、
前記第2方向に連続して並ぶ複数の画素行を含む第1領域と、
前記第1領域を除く第2領域と、
を含み、
前記走査回路は、
前記第1領域の画素行を順次走査し、
前記第2領域において複数の画素行を飛び越し走査する、
表示装置。
【請求項16】
前記第2領域は、
前記第2方向に連続して並ぶ複数の画素行を含み、前記第1領域に接する第3領域と、
前記第3領域を除く第4領域と、
を含み、
前記第3領域において飛び越し走査する画素行の数は、前記第4領域において飛び越し走査する所定ライン数よりも少ない、
請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記第2領域は、
前記第1領域に接しており、前記第2方向に連続して並ぶ複数の画素行を含み、
さらに前記第2方向に順次接する複数の領域を含み、
前記第2領域において、飛び越し走査する画素行の数は、各領域で異なる、
請求項15に記載の表示装置。
【請求項18】
前記表示領域において1画面の表示を行う1フレーム期間は、
前記光源が発光する発光期間と、
前記第1領域に含まれる画素行を走査する第1駆動期間と、
前記第2領域に含まれる画素行を走査する第2駆動期間と、
を含む、
請求項15から17の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項19】
前記発光期間の直後に前記第1駆動期間が設けられている、
請求項18に記載の表示装置。
【請求項20】
前記発光期間は、前記第1領域に含まれる画素の応答期間の完了タイミングから、次フレームにおける前記第1駆動期間の開始タイミングまでの期間内に設けられている、
請求項18に記載の表示装置。
【請求項21】
少なくとも前記表示領域上における前記第2方向のユーザの視点を検出する視線検出センサを備え、
前記第1領域は、前記表示領域上における前記視点の検出位置を含む、
請求項20に記載の表示装置。
【請求項22】
前記発光期間に対する前記第1駆動期間の相対的な開始タイミングは、前記表示領域上における前記視点の検出位置に依らず略一定である、
請求項21に記載の表示装置。
【請求項23】
前記第1駆動期間の直後に前記第2駆動期間が設けられ、当該第2駆動期間と次フレームにおける第1駆動期間との間に設けられるブランキング期間は、前記表示領域上における前記視点の検出位置に依らず略一定である、
請求項22に記載の表示装置。
【請求項24】
前記光源は、前記第2方向に分割された複数の発光領域を有し、
前記複数の発光領域のうち、前記第1領域に重なる発光領域の発光期間の直後に前記第1駆動期間が設けられ、
前記複数の発光領域のうち、前記第2領域に重なる発光領域の発光期間の直後に前記第2駆動期間が設けられている、
請求項18に記載の表示装置。
【請求項25】
前記光源は、前記第2方向に分割された複数の発光領域を有し、
前記複数の発光領域のうち、前記第1領域に重なる発光領域の発光期間は、前記第1領域に含まれる画素の応答期間の完了タイミングから、次フレームにおける第1駆動期間の開始タイミングまでの期間内に設けられ、
前記複数の発光領域のうち、前記第2領域に重なる発光領域の発光期間は、前記第2領域に含まれる画素の応答期間の完了タイミングから、次フレームにおける第2駆動期間の開始タイミングまでの期間内に設けられている、
請求項18に記載の表示装置。
【請求項26】
少なくとも前記表示領域上における前記第2方向のユーザの視点を検出する視線検出センサを備え、
前記第1領域は、前記表示領域上における前記視点の検出位置を含む、
請求項25に記載の表示装置。
【請求項27】
前記第1領域に重なる発光領域の発光期間に対する前記第1駆動期間の相対的な開始タイミングは、前記表示領域上における前記視点の検出位置に依らず略一定である、
請求項26に記載の表示装置。
【請求項28】
前記第1駆動期間の直後に前記第2駆動期間が設けられ、当該第2駆動期間と次フレームにおける第1駆動期間との間に設けられるブランキング期間は、前記表示領域上における前記視点の検出位置に依らず略一定である、
請求項27に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
HMD(Head Mounted Display:頭部装着ディスプレイ)をユーザの眼前に配置し、視点移動に伴って画像の表示を変更するVR(Virtual Reality:仮想現実)システムが知られている。従来、液晶表示装置を用いた構成において、フレーム画像の入力に対して全ての画素の応答が完了してから全領域を一括で照明するよう光源を点灯させる技術が開示されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-136495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
VRシステムでは、表示映像を拡大表示するため、表示パネルの高精細化が求められている。他方、表示パネルの高精細化によって1フレームの画素書き込み期間が長くなり、低精細表示パネルと同様のフレームレートの維持が困難となる場合がある。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたもので、高精細表示パネルにおいてフレームレートの低下を抑制することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る表示装置は、複数の画素が第1方向に並ぶ複数の画素行が前記第1方向に直交する第2方向に並ぶ表示領域を有する表示パネルと、前記複数の画素行を走査して駆動信号を供給する走査回路と、前記表示パネルに向けて光を照射する光源と、前記光源の発光タイミングを制御する光源制御回路と、を備え、前記表示領域は、前記第2方向に複数の領域に分割され、前記第2方向に連続して並ぶ複数の画素行を含む第1領域と、前記第1領域を除く第2領域と、を含み、前記走査回路は、前記第1領域の画素行を順次走査し、前記第2領域において前記第2方向に連続して並ぶ複数の画素行を同時走査する。
【0007】
本開示の一態様に係る表示装置は、複数の画素が第1方向に並ぶ複数の画素行が前記第1方向に直交する第2方向に並ぶ表示領域を有する表示パネルと、前記複数の画素行を走査して駆動信号を供給する走査回路と、前記表示パネルに向けて光を照射する光源と、前記光源の発光タイミングを制御する光源制御回路と、を備え、前記表示領域は、前記第2方向に複数の領域に分割され、前記第2方向に連続して並ぶ複数の画素行を含む第1領域と、前記第1領域を除く第2領域と、を含み、前記走査回路は、前記第1領域の画素行を順次走査し、前記第2領域において複数の画素行を飛び越し走査する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、表示システムの主要構成を示す図である。
図2図2は、表示装置の主要構成を示す図である。
図3図3は、図2のA-A断面図である。
図4図4は、実施形態1に係る表示装置のブロック構成の一例を示す模式図である。
図5図5は、実施形態1に係る表示パネルの構成例を示す模式図である。
図6図6は、比較例に係る表示装置の1フレーム期間における駆動期間、応答期間、発光期間の第1例を示すタイムチャートである。
図7図7は、比較例に係る表示装置の1フレーム期間における駆動期間、応答期間、発光期間の第2例を示すタイムチャートである。
図8A図8Aは、表示パネルとユーザの目との相対関係の一例を示す模式図である。
図8B図8Bは、表示パネルとユーザの目との相対関係の一例を示す模式図である。
図9図9は、実施形態1に係る表示装置の1フレーム期間における駆動期間、応答期間、発光期間の第1例を示すタイムチャートである。
図10図10は、実施形態1に係る表示装置の1フレーム期間における駆動期間、応答期間、発光期間の第2例を示すタイムチャートである。
図11図11は、実施形態1の変形例1に係る表示装置の1フレーム期間における駆動期間、応答期間、発光期間の例を示すタイムチャートである。
図12図12は、実施形態1の変形例2に係る表示装置の1フレーム期間における駆動期間、応答期間、発光期間の例を示すタイムチャートである。
図13図13は、実施形態1の変形例3に係る表示装置の1フレーム期間における駆動期間、応答期間、発光期間の例を示すタイムチャートである。
図14図14は、実施形態2に係る表示装置のブロック構成の一例を示す模式図である。
図15図15は、実施形態2に係る表示パネルの構成例を示す模式図である。
図16図16は、実施形態2に係る表示装置の1フレーム期間の分割例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
(実施形態1)
図1は、表示システムの主要構成を示す図である。図2は、表示装置の主要構成を示す図である。図3は、図2のA-A断面図である。表示システムは、表示装置50と、情報処理装置10とを備える。表示装置50は、VRゴーグルGに一体化されている。VRゴーグルGは、表示装置50が有する2つの表示部52A,52Bとユーザの視線とを合わせるよう、表示装置50をユーザの頭部近傍で支持する器具である。
【0011】
VRゴーグルGは、ユーザの頭部に装着して使用されるゴーグルであれば良く、VR映像を表示するためのゴーグルに限らず、AR(Augmented Reality)、MR(Mixed Reality)等の映像を表示するためのゴーグルであってもよい。
【0012】
情報処理装置10は、表示装置50に画像を出力する。情報処理装置10は、例えばケーブル55を介して表示装置50と接続される。ケーブル55は、情報処理装置10と表示装置50との間で信号を伝送する。当該信号は、情報処理装置10から表示装置50に出力される画像信号Sig2を含む。情報処理装置10と表示装置50との接続の具体的形態は、ケーブル55を介するものに限られず、無線による通信を介するものであってもよい。
【0013】
表示装置50は、例えば図2図3に示すように、筐体51、2つの表示部52A,52B、インタフェース53、多軸センサ部54、基板57及び信号処理回路20等を有する。
【0014】
筐体51は、表示装置50が有する他の各構成を保持する。例えば、筐体51は、表示部52Aと表示部52Bとを予め定められた所定の間隔をあけて並んだ状態で保持する。図2に示す例では、表示部52Aと表示部52Bとの間に仕切り51aが設けられているが、仕切り51aはなくてもよい。
【0015】
表示部52A,52Bは、それぞれ独立して動作可能に設けられた表示パネルである。実施形態1では、表示部52A,52Bは、それぞれが表示パネル40及び光源60を有する液晶表示パネルである。
【0016】
表示パネル40は、信号処理回路20からの信号に基づいて駆動制御される。表示パネル40は、例えば第1基板42、第2基板43等を有する。第1基板42と第2基板43との間には、図示しない液晶層を形成する液晶が封止されている。光源60は、表示パネル40を背面から照明する。表示パネル40は、信号処理回路20からの信号及び光源60からの光により画像を表示させる。
【0017】
インタフェース53は、ケーブル55を接続可能に設けられている接続部である。具体的には、インタフェース53は、例えばHDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)インタフェースとUSB(Universal Serial Bus)とを統合したインタフェースである。図示しないが、ケーブル55は、情報処理装置10側でHDMI(登録商標)インタフェースとUSBインタフェースとに分岐している。
【0018】
多軸センサ部54は、表示装置50が配置される表示装置50の動きを検知するためのセンサである。表示システムにおいて、VRゴーグルGに一体化された表示装置50がユーザの頭部に装着されることで、ユーザの動きを検知することができるセンサである。多軸センサ部54及び信号処理回路20は、基板57に設けられた回路である。また、インタフェース53は、基板57を介して表示部52A,52B、多軸センサ部54及び信号処理回路20と接続されている。
【0019】
表示装置50は、例えばインタフェース53を介して接続された情報処理装置10から電力の供給を受けて動作するが、独自の電源を有していてもよい。
【0020】
図4は、実施形態1に係る表示装置のブロック構成の一例を示す模式図である。図5は、実施形態1に係る表示パネルの構成例を示す模式図である。実施形態1に係る表示装置50は、主要なブロック構成として、信号処理回路20、表示パネル40、及び光源60を有する。
【0021】
また、本開示において、表示装置50は、視線検出センサ8を有する。視線検出センサ8は、アイトラッキング技術によりユーザの視点を計測するセンサである。信号処理回路20には、視線検出センサ8の出力信号が入力される。
【0022】
表示パネル40は、複数の画素48がX方向(第1方向)及びY方向(第2方向)に並ぶ表示領域41が設けられている。本開示において、視線検出センサ8は、少なくとも表示領域41上のY方向の視点を検出可能な態様であれば良い。視線検出センサ8による視線検出手法及び具体的な構成により本発明が限定されるものではない。
【0023】
画素48は、図5に示すように、例えば、第1色(例えば、赤色(R))、第2色(例えば、緑色(G))、又は第3色(例えば、青色(B))を表示する。第1色、第2色及び第3色は、赤色、緑色及び青色に限られず、補色などでもよく、互いに色が異なっていればよい。すなわち、画素48には、3色のうちいずれか1色が割り当てられている。図5に示す例では、第1色(例えば、赤色(R))、第2色(例えば、緑色(G))、又は第3色(例えば、青色(B))を表示する各画素48がX方向に並ぶストライプ配列の画素構成を有する構成を例示している。なお、画素48は、4色以上の色が割り当てられてもよい。
【0024】
表示パネル40は、例えば透過式のカラー液晶表示パネルである。表示パネル40には、各画素48の画素電極が設けられる位置に重なり、第1色を通過させる第1カラーフィルタ、第2色を通過させる第2カラーフィルタ、又は第3色を通過させる第3カラーフィルタが配置されている。
【0025】
表示パネル40の液晶層に含まれる液晶分子は、画素電極の電位に対応して配向を決定する。これによって画素48の光透過率が制御される。
【0026】
また、表示パネル40は、信号出力回路31と、走査回路32とを有する。
【0027】
信号出力回路31は、信号処理回路20からの映像信号に対応した所定の電位を有する画像信号を、表示パネル40に出力する。信号出力回路31は、信号線DTLによって表示パネル40と電気的に接続されている。
【0028】
走査回路32は、表示パネル40における画素48の動作(光透過率)を制御するためのスイッチング素子のON/OFFを制御する。当該スイッチング素子は、例えば薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)である。走査回路32は、走査線SCLによって表示パネル40と電気的に接続されている。
【0029】
走査回路32は、所定数の走査線SCLに対して駆動信号を出力し、駆動信号が出力された走査線SCLと接続されている画素48を駆動する。画素48のスイッチング素子は、駆動信号に対応してONされ、信号線DTLを介して画像信号に対応した電位を画素48の画素電極及び電位保持部(キャパシタ等)に伝送する。走査回路32は、駆動信号を出力する走査線SCLをシフトさせることで、表示パネル40を走査する。
【0030】
複数の走査線SCLは、Y方向に並ぶ。各走査線SCLは、X方向に延出する。X方向に並ぶ画素48は、走査線SCLを共有する。従って、同一の走査線SCLを共有する画素48が駆動信号に応じて駆動されるタイミングは同一になる。以下の説明では、X方向に並ぶ複数の画素48を「画素行」とも称する。走査回路32は、表示領域41においてY方向に並ぶ画素行を走査して駆動信号を供給する。
【0031】
走査回路32による走査では、画素行1から画素行Nに向かって駆動信号の出力対象が遷移する。あるいは、画素行Nから画素行1に向かって駆動信号の出力対象が遷移する態様であっても良い。なお、Nは、表示パネル40の表示領域41における走査線SCLの本数を示す。すなわち、表示パネル40の表示領域41における画素行の総数はNである。本開示では、画素行1から画素行Nに向かって駆動信号の出力対象が遷移する例について説明する。
【0032】
光源60は、表示パネル40の背面に配置されている。光源60は、表示パネル40に向けて光を照射することで、表示パネル40を照明する。
【0033】
図4に示すように、光源60は、複数の発光領域Lを有する。複数の発光領域Lは、Y方向に並ぶ。各発光領域Lは、個別の発光体を有する。発光体は例えばLED(Light Emitting Diode)であるが、これに限られるものでなく、各発光領域Lで個別に発光制御可能な構成であればよく、例えば偏光したレーザー光を出射する半導体レーザーなどのレーザー光源等であってもよい。複数の発光体は光源制御回路61と接続される。光源制御回路61は、信号処理回路20の動作制御下で各発光体の発光タイミング、発光時間及び発光強度を制御する。すなわち、信号処理回路20は、複数の発光領域Lの各々からの発光を制御する制御部として機能する。なお、図4で例示する発光領域Lの数は実際の発光領域Lの数を示すものでなく、あくまで模式的なものである。同様に、図5における画素行の数等、各種の構成数の例示については実際の数を示すものでなく、あくまで模式的なものである。なお、本実施形態では、複数の発光体は、後述する発光期間において同時に発光する態様である。この場合、光源60は、表示パネル40の表示領域41の全面に光を照射する1つの発光領域Lを有する態様であっても良い。
【0034】
信号処理回路20は、情報処理装置10からの入力信号ISに応じて信号出力回路31、走査回路32及び光源制御回路61の動作タイミングを制御するための各種の信号を出力することで、表示装置50による表示出力内容を制御する。
【0035】
表示装置50には、入力信号ISとして、フレームレートに応じた数のフレーム画像信号が順次入力される。フレームレートは、所定時間(例えば、1秒間)に表示されるフレーム画像の数を示す。表示領域41はフレームレートに応じて、周期的に走査が繰り返されるとともにフレーム画像に応じた画像信号が各画素48に与えられることで、表示出力内容が更新される。
【0036】
ここで、実施形態1の説明に先立ち、走査回路32の走査による画素48の駆動タイミングと各画素行の画素48の応答完了タイミングとの関係、及び、各画素行の画素48の応答完了タイミングと光源60による発光タイミングとの関係の基本的な考え方について、図6を参照して説明する。以下、図6以降を参照した説明では、1つのフレーム画像に対応する画像信号を各画素48に与えるための期間を1フレーム期間1Fとする。
【0037】
図6は、比較例に係る表示装置の1フレーム期間における駆動期間、応答期間、発光期間の第1例を示すタイムチャートである。図7は、比較例に係る表示装置の1フレーム期間における駆動期間、応答期間、発光期間の第2例を示すタイムチャートである。図6に示す第1例は、表示パネル40の解像度が4K(N=2160)である例を示している。図7に示す第2例は、表示パネル40の解像度が8K(N=4320)である高精細表示パネルである例を示している。
【0038】
比較例における走査回路32による走査では、画素行1から画素行Nに向かって駆動信号の出力対象が順次遷移する。すなわち、比較例において、走査回路32は、表示領域41の全域で各画素行に順次駆動信号を供給する。
【0039】
画素48の液晶分子は、駆動信号に応じて駆動されたタイミング(以下、「駆動タイミングSS」とも称する)に与えられた画像信号に応じた配向になるよう制御される。係る液晶分子が画像信号に対応した配向になる動作を完了するタイミング(以下、「応答完了タイミングSE」とも称する)は、当該画素48の駆動タイミングSSよりも後のタイミングになる。
【0040】
図6に示す例では、1フレーム期間1F中には各画素行が1回駆動される。フレーム画像の更新に応じて、1フレーム期間1F後に次のフレーム画像に対応した走査が行われる。本開示では、画素行1の駆動タイミングSS(1)から画素行Nの駆動タイミングSS(N)までの期間を「駆動期間S」とし、駆動タイミングSSから応答完了タイミングSEまでの期間を「応答期間D」とする。また、画素行Nの駆動タイミングSS(N)から次の1フレーム期間1Fにおける画素行1の駆動タイミングSS(1)まので期間を「ブランキング期間BL」とする。
【0041】
なお、応答期間Dは、画素48において想定される応答時間の最大値であって、各画素48の実際の応答完了までの時間を個別に反映したものでない。
【0042】
全ての発光領域Lが同一のタイミングで表示パネル40に光を照射する場合、駆動期間Sの後、画素行Nの各画素48の応答期間D(N)を経た後の発光期間LTに光を発する。すなわち、ブランキング期間BLは、画素行Nの各画素48の応答期間D(N)に発光期間LTを加算した期間以上となる(BL≧D(N)+LT)。
【0043】
ここで、図6に示す4K解像度の表示パネル40と図7に示す8K解像度の表示パネル40とで応答期間Dは同一であるものとする。図6に示す4K解像度の表示パネル40におけるフレーム周波数が90[Hz]、すなわち1フレーム期間1Fが11.1[ms]である場合、図7に示す8K解像度の表示パネル40における1フレーム期間1Fは11.1[ms]よりも大きくなり、図6に示す4K解像度の表示パネル40よりもフレームレートが低下することとなる。他方、仮に、同一のフレームレートで図7に示す8K解像度の表示パネル40の駆動制御を行った場合、一点鎖線から二点鎖線までの領域では十分な応答期間が得られず、二点鎖線より下の領域では走査線SCLに駆動信号が供給されないこととなる。
【0044】
以下、フレームレートを低下させることなく高精細表示パネルでの駆動が可能な駆動方法について説明する。
【0045】
図8A及び図8Bは、表示パネルとユーザの目との相対関係の一例を示す模式図である。図9は、実施形態1に係る表示装置の1フレーム期間における駆動期間、応答期間、発光期間の第1例を示すタイムチャートである。図10は、実施形態1に係る表示装置の1フレーム期間における駆動期間、応答期間、発光期間の第2例を示すタイムチャートである。ここでは、図7に示す比較例の第2例と同様に、表示パネル40の解像度が8K(N=4320)である高精細表示パネルである例を示している。
【0046】
ユーザがVRゴーグルGを装着した際、表示パネル40に表示される画像は、レンズ(不図示)によってユーザの目Eの網膜に結像する。本開示において、表示装置50の表示領域41上におけるY方向の視野角は、表示領域41のY方向の中心位置を0[deg]として、上方向(+方向)に+50[deg]、下方向(-方向)に-50[deg]としている。
【0047】
視線検出センサ8は、例えば、VRゴーグルGの筐体BO内に配置され、ユーザの目EのY方向の視点を追跡する。本開示では、表示装置50の表示領域41上におけるY方向の視点位置を含む所定の領域を第1領域として、当該第1領域の画素行を順次走査(線順次走査)し、第1領域外の第2領域においてY方向に連続して並ぶ複数の画素行を同時走査(複数ライン同時走査)する。
【0048】
例えば、図8A及び図9に示すように、表示領域41上におけるY方向の視点の検出位置が表示領域41のY方向の位置0[deg]であるとき、表示領域41のY方向の位置0[deg]を中心として、上方向(+方向)に+10[deg]となる位置から、下方向(-方向)に-10[deg]となる位置までの領域を第1領域とし、上方向(+方向)に+10[deg]となる位置よりも上の領域、及び、下方向(-方向)に-10[deg]となる位置よりも下の領域を第2領域とする。
【0049】
図9に示す例では、第1領域内の画素行N/2-nから画素行N/2+nの走査線SCLに順次駆動信号を供給し、第2領域内の画素行1から画素行N/2-n-1、及び、画素行N/2+n+1から画素行Nの走査線SCLを3本ずつ束ねて駆動信号を供給する。なお、本開示では、第1領域内の画素行の総数を2nとしている。
【0050】
また、例えば、図8B及び図10に示すように、表示領域41上におけるY方向の視点の検出位置が表示領域41のY方向の位置+40[deg]であるとき、表示領域41のY方向の位置+40[deg]を中心として、上方向(+方向)に+50[deg]となる位置から、上方向(+方向)に+30[deg]となる位置までの領域を第1領域とし、上方向(+方向)に+30[deg]となる位置よりも下の領域を第2領域とする。
【0051】
図10に示す例では、第1領域内の画素行1から画素行2nの走査線SCLに順次駆動信号を供給し、第2領域内の画素行2n+1から画素行Nの走査線SCLを3本ずつ束ねて駆動信号を供給する。
【0052】
このように、本開示では、表示領域41をY方向に複数の領域に分割し、分割した領域ごとにY方向の解像度を変えている。より具体的には、表示領域41上における視点の検出位置を含み、且つ、Y方向に連続して並ぶ複数の画素行を含む領域を第1領域とし、第1領域を除く領域を第2領域としている。そして、表示領域41において1画面の表示を行う1フレーム期間1Fにおいて、第1領域に含まれる画素行を順次走査する駆動期間S1(第1駆動期間)と、第2領域においてY方向に連続して並ぶ複数の画素行を同時走査する駆動期間S2(第2駆動期間)と、を設けている。これにより、例えば、図9及び図10に示す例では、第2領域における駆動期間S2(第2駆動期間)は、各画素行の走査線SCLに順次駆動信号を供給する場合の1/3となり、図7に示す比較例の第2例よりも1フレーム期間1Fにおける全体の駆動期間Sを短縮することができる。この結果として、フレームレートを低下させることなく、表示領域41全域での画像表示が可能となる。
【0053】
視覚的な解像度や色の識別度は、ユーザの視点付近で高く、視点から遠ざかるに従い低下する。本開示において、第2領域の画像表示は、Y方向の解像度が表示パネル40の本来の解像度よりも低い低精細表示となるが、上述したように、表示装置50の表示領域41上におけるY方向の視点位置を含む所定の領域を第1領域として、当該第1領域内の各画素行の走査線SCLを順次走査することにより、識別度の高い第1領域では高精細表示が維持される。
【0054】
本開示において、光源60の発光期間LTとして許容される発光許容期間LTrangeは、第1領域に含まれる画素48の応答期間、より具体的には、第1領域の下端の画素行(図9では画素行N/2+n、図10では画素行2n)の応答期間D(図9では画素行N/2+nの応答期間D(N/2+n)、図10では画素行2nの応答期間D(2n))の完了タイミングから、次フレームにおける第1領域の駆動期間S1(第1駆動期間)の開始タイミングまでの期間内とされる。これにより、発光期間LTが次フレームの第1領域における駆動期間S1と重ならないようにしている。このため、視覚的な識別度が高い第1領域において動画のぼやけが発生することを防ぐことができる。
【0055】
なお、図9及び図10に示す例では、光源60の発光期間LTの直後に、第1領域の駆動期間S1(第1駆動期間)を設けた例を示している。この場合、図9に示す例では、第2領域において光源60の発光期間LTと次フレームの駆動期間Sとが重なっている。このため、第2領域において動画のぼやけが発生することとなるが、上述したように、第2領域では視覚的な識別度が低いため許容される。
【0056】
(変形例1)
図11は、実施形態1の変形例1に係る表示装置の1フレーム期間における駆動期間、応答期間、発光期間の例を示すタイムチャートである。ここでは、図7に示す比較例の第2例と同様に、表示パネル40の解像度が8K(N=4320)である高精細表示パネルである例を示している。
【0057】
実施形態1では、図9及び図10に示すように、表示領域41上におけるY方向の視点により駆動期間Sと発光期間LTとの相対的な時間にズレが生じ、この結果として、ブランキング期間BLと発光期間LTとの相対的な時間にズレが生じている。このため、信号処理回路20における走査回路32及び光源制御回路61の動作タイミング制御に不都合を生じる可能性がある。
【0058】
図11に示す実施形態1の変形例1において、発光期間LTに対する第1領域の駆動期間S1(第1駆動期間)の相対的な開始タイミングは、表示領域41上におけるY方向の視点に依らず略一定とし、さらに、第1領域の駆動期間S1の直後に第2領域の駆動期間S2(第2駆動期間)を設け、当該第2領域の駆動期間S2と次フレームにおける第1領域の駆動期間S1との間に設けられるブランキング期間BLは、表示領域41上におけるY方向の視点位置に依らず略一定である。これにより、駆動期間Sと発光期間LTとの相対的な時間ズレに起因するブランキング期間BLと発光期間LTとの相対的な時間にズレを生じることなく、信号処理回路20における走査回路32及び光源制御回路61の動作タイミング制御が容易となる。
【0059】
(変形例2)
図12は、実施形態1の変形例2に係る表示装置の1フレーム期間における駆動期間、応答期間、発光期間の例を示すタイムチャートである。ここでは、図7に示す比較例の第2例と同様に、表示パネル40の解像度が8K(N=4320)である高精細表示パネルである例を示している。
【0060】
図12に示す実施形態1の変形例2では、Y方向に並ぶ複数の発光領域Lの発光期間をずらしている。
【0061】
図12では、第1領域に重なる発光領域Lの発光期間LT1の直後に、第1領域の駆動期間S1(第1駆動期間)を設けた例を示している。これに限定されず、実施形態1の変形例2において、第1領域に重なる発光領域Lの発光期間LT1として許容される発光許容期間LT1rangeは、第1領域の下端の画素行の応答期間D1の完了タイミングから、次フレームにおける第1領域の駆動期間S1の開始タイミングまでの期間内とされる。これにより、第1領域における発光期間LT1が次フレームの第1領域における駆動期間S1と重ならないようにしている。このため、実施形態1と同様に、視覚的な識別度が高い第1領域において動画のぼやけが発生することを防ぐことができる。
【0062】
また、図12では、第2領域に重なる発光領域Lの発光期間LT2の直後に、第2領域の駆動期間S2(第2駆動期間)を設けた例を示している。これに限定されず、実施形態1の変形例2において、第2領域に重なる発光領域Lの発光期間LT2として許容される発光許容期間LT2rangeは、第2領域の下端の画素行の応答期間D2の完了タイミングから、次フレームにおける第2領域の駆動期間S2の開始タイミングまでの期間内とされる。これにより、第2領域における発光期間LT2が次フレームの第2領域における駆動期間S2と重ならないようにしている。このため、第1領域よりも視覚的な識別度が相対的に低い第2領域においても、動画のぼやけを防ぐことができる。
【0063】
(変形例3)
図13は、実施形態1の変形例3に係る表示装置の1フレーム期間における駆動期間、応答期間、発光期間の例を示すタイムチャートである。ここでは、図7に示す比較例の第2例と同様に、表示パネル40の解像度が8K(N=4320)である高精細表示パネルである例を示している。
【0064】
図13に示す実施形態1の変形例3において、第2領域は、第1領域に接する第3領域と、第3領域を除く第4領域とを含む態様としている。また、第3領域内において同時走査する画素行の数は、第4領域内において同時走査する画素行の数よりも少ない。
【0065】
図13に示す実施形態1の変形例3では、表示領域41上におけるY方向の視点の検出位置が表示領域41のY方向の位置0[deg]であるとき、表示領域41のY方向の位置0[deg]を中心として、上方向(+方向)に+5[deg]となる位置から、下方向(-方向)に-5[deg]となる位置までの領域を第1領域とし、上方向(+方向)に+10[deg]となる位置よりも上の領域、及び、下方向(-方向)に-10[deg]となる位置よりも下の領域を第2領域とする。
【0066】
さらに、実施形態1の変形例3では、上方向(+方向)に+10[deg]となる位置から、上方向(+方向)に+5[deg]となる位置までの領域、及び、下方向(-方向)に-5[deg]となる位置から、下方向(-方向)に-10[deg]となる位置までの領域を第3領域とし、上方向(+方向)に+10[deg]となる位置よりも上の領域、及び、下方向(-方向)に-10[deg]となる位置よりも下の領域を第4領域としている。
【0067】
そして、第1領域内の画素行N/2-n/2から画素行N/2+n/2の走査線SCLに順次駆動信号を供給し、第3領域内の画素行N/2-n+1から画素行N/2-n/2-1、及び、画素行N/2+n/2+1から画素行N/2+n-1の走査線SCLを3本ずつ束ねて駆動信号を供給し、第4領域内の画素行1から画素行N/2-n-1、及び、画素行N/2+n+1から画素行Nの走査線SCLを10本ずつ束ねて駆動信号を供給する。
【0068】
これにより、第3領域における駆動期間は、各画素行の走査線SCLに順次駆動信号を供給する場合の1/3となり、第4領域における駆動期間は、各画素行の走査線SCLに順次駆動信号を供給する場合の1/10となる。このため、実施形態1よりもさらに1フレーム期間における全体の駆動期間Sを短縮することができる。この結果として、例えば、光源60の発光期間LTとして許容される発光許容期間LTrangeやブランキング期間BLが実施形態1よりも広くなる。あるいは、実施形態1よりもフレームレートを高くすることができる。
【0069】
(実施形態2)
図14は、実施形態2に係る表示装置のブロック構成の一例を示す模式図である。図15は、実施形態2に係る表示パネルの構成例を示す模式図である。実施形態2に係る表示装置50aは、主要なブロック構成として、信号処理回路20a、表示パネル40a、及び光源60aを有する。実施形態2に係る表示装置50aにおいて、表示パネル40aは、例えばフィールドシーケンシャル方式で駆動されるアクティブマトリクス型のカラー液晶表示パネルである。
【0070】
信号処理回路20aは、情報処理装置10からの入力信号ISに応じて信号出力回路31a、走査回路32a及び光源制御回路61aの動作を制御するための各種の信号を出力することで、表示装置50aによる表示出力内容を制御する。
【0071】
実施形態2に係る表示装置50aにおいて、光源60aは、複数の発光部62を備えている。光源60aは、光源制御回路61aと接続される。光源60aは、サイド光源と呼ばれ、例えば、光源60aから照射された光が表示パネル40aを構成する基板の内部を伝搬し、散乱状態となっている液晶がある画素48aで散乱され、基板の外部に放射される。
【0072】
発光部62は、第1色(例えば、赤色)の発光体63Rと、第2色(例えば、緑色)の発光体63Gと、第3色(例えば、青色)の発光体63Bを備えている。光源制御回路61aは、信号処理回路20aからの光源制御信号に基づいて、第1色の発光体63R、第2色の発光体63G及び第3色の発光体63Bのそれぞれを時分割で発光するように制御する。このように、第1色の発光体63R、第2色の発光体63G及び第3色の発光体63Bは、フィールドシーケンシャル方式で駆動される。光源制御信号は、例えば、画素48aへの入力階調値に応じて設定される発光部62の光量の情報を含む信号である。例えば、暗い画像が表示される場合、発光部62の光量は小さく設定される。明るい画像が表示される場合、発光部62の光量は大きく設定される。
【0073】
実施形態1において説明したカラーフィルタ方式の表示パネル40を用いた構成では、第1色を通過させる第1カラーフィルタ、第2色を通過させる第2カラーフィルタ、又は第3色を通過させる第3カラーフィルタを各画素48の画素電極に重なる位置に設け、1フレーム期間1Fにおいて、第1色、第2色、及び第3色を表示する画素を同時に駆動することによってカラー画像を表示するが、フィールドシーケンシャル方式の表示パネル40aでは、1フレーム期間1Fにおいて各画素48aを時分割駆動することにより、1フレーム期間1Fに第1色、第2色及び第3色の画像を表示する。人間の眼には、時間的な分解能の制限があり、残像が発生するので、1フレーム期間1Fに3色の合成された画像が認識される。なお、1フレーム期間1Fに第1色、第2色、第3色及び第4色の画像を表示する態様であっても良い。
【0074】
図16は、実施形態2に係る表示装置の1フレーム期間の分割例を示すタイムチャートである。本開示では、1フレーム期間1Fを3分割し、第1色(例えば、赤色)、第2色(例えば、緑色)及び第3色(例えば、青色)の画像を表示する例について説明する。ここでは、図7に示す比較例の第2例と同様に、表示パネル40aの解像度が8K(N=4320)である高精細表示パネルである例を示している。
【0075】
図16に示すように、フィールドシーケンシャル方式の実施形態2に係る表示装置50aにおいて、1フレーム期間1Fは、第1サブフレーム期間RF、第2サブフレーム期間GF、及び第3サブフレーム期間BFに均等に3分割される。具体的には、1フレーム期間1Fが11.1[ms]である場合、第1サブフレーム期間RF、第2サブフレーム期間GF、及び第3サブフレーム期間BFは、それぞれ3.7[ms]となる。
【0076】
第1サブフレーム期間RFに第1色用の駆動期間SRが設けられ、第2サブフレーム期間GFに第2色用の駆動期間SGが設けられ、第3サブフレーム期間BFに第3色用の駆動期間SBが設けられている。
【0077】
図16に示す実施形態2においても、実施形態1の変形例3と同様に、表示領域41上におけるY方向の視点の検出位置が表示領域41のY方向の位置0[deg]であるとき、表示領域41のY方向の位置0[deg]を中心として、上方向(+方向)に+5[deg]となる位置から、下方向(-方向)に-5[deg]となる位置までの領域を第1領域とし、上方向(+方向)に+10[deg]となる位置よりも上の領域、及び、下方向(-方向)に-10[deg]となる位置よりも下の領域を第2領域とする。
【0078】
さらに、上方向(+方向)に+10[deg]となる位置から、上方向(+方向)に+5[deg]となる位置までの領域、及び、下方向(-方向)に-5[deg]となる位置から、下方向(-方向)に-10[deg]となる位置までの領域を第3領域とする。
【0079】
そして、第1サブフレーム期間RF、第2サブフレーム期間GF、及び第3サブフレーム期間BFの第1領域内の画素行N/2-n/2から画素行N/2+n/2の走査線SCLに順次駆動信号を供給し、第1サブフレーム期間RF、第2サブフレーム期間GF、及び第3サブフレーム期間BFの第2領域内の画素行1から画素行N/2-n-1、及び、画素行N/2+n+1から画素行Nの走査線SCLを10本ずつ束ねて駆動信号を供給する。これにより、第1サブフレーム期間RF、第2サブフレーム期間GF、及び第3サブフレーム期間BFの第2領域における駆動期間は、各画素行の走査線SCLに順次駆動信号を供給する場合の1/10となる。
【0080】
また、第1サブフレーム期間RF、第2サブフレーム期間GF、及び第3サブフレーム期間BFの第3領域内の画素行N/2-n+1から画素行N/2-n/2-1、及び、画素行N/2+n/2+1から画素行N/2+n-1の走査線SCLを3本ずつ束ねて駆動信号を供給する。これにより、第1サブフレーム期間RF、第2サブフレーム期間GF、及び第3サブフレーム期間BFの第3領域における駆動期間は、各画素行の走査線SCLに順次駆動信号を供給する場合の1/3となる。
【0081】
本開示において、光源60aの発光体63Rの発光期間LTRとして許容される発光許容期間は、第1サブフレーム期間RFにおける第1領域の下端の画素行(図16では画素行N/2+n/2)の応答期間の完了タイミングから、次フレーム(第2サブフレーム期間GF)における第1領域の駆動期間SG1(第1駆動期間)の開始タイミングまでの期間内とする。また、光源60aの発光体63Gの発光期間LTGとして許容される発光許容期間は、第2サブフレーム期間GFにおける第1領域の下端の画素行(図16では画素行N/2+n/2)の応答期間の完了タイミングから、次フレーム(第3サブフレーム期間BF)における第1領域の駆動期間SB1(第1駆動期間)の開始タイミングまでの期間内とする。また、光源60aの発光体63Bの発光期間LTBとして許容される発光許容期間は、第3サブフレーム期間BFにおける第1領域の下端の画素行(図16では画素行N/2+n/2)の応答期間の完了タイミングから、次フレーム(第1サブフレーム期間RF)における第1領域の駆動期間SR1(第1駆動期間)の開始タイミングまでの範囲とする。これにより、視覚的な識別度が高い第1領域において動画の色ぼやけが発生することを防ぐことができる。
【0082】
なお、図16に示す例では、第1サブフレーム期間RFの第2領域において、発光期間LTBと第1サブフレーム期間RFの駆動期間SRとが重なっている。また、第2サブフレーム期間GFの第2領域において、発光期間LTRと第2サブフレーム期間GFの駆動期間SGとが重なっている。また、第3サブフレーム期間BFの第2領域において、発光期間LTGと第3サブフレーム期間BFの駆動期間SBとが重なっている。このため、第2領域において動画の色ぼやけが発生することとなるが、実施形態1において説明したように、第2領域では視覚的な識別度が低いため許容される。
【0083】
なお、実施形態2においても、各サブフレーム期間において、各発光期間LTR,LTG,LTBに対する第1領域の駆動期間SR1,SG1,SB1(第1駆動期間)の開始タイミングは、表示領域41上におけるY方向の視点に依らず略一定とし、さらに、第1領域の駆動期間の直後に第2領域の駆動期間(第2駆動期間)を設け、当該第2領域の駆動期間と次サブフレームにおける第1領域の駆動期間との間に設けられるブランキング期間BLを、表示領域41上におけるY方向の視点位置に依らず略一定とする。これにより、駆動期間SRと発光期間LTRとの相対的な時間ズレ、駆動期間SGと発光期間LTGとの相対的な時間ズレ、及び駆動期間SBと発光期間LTBとの相対的な時間ズレに起因するブランキング期間BLと各発光期間LTR,LTG,LTBとの相対的な時間にズレを生じることなく、信号処理回路20aにおける走査回路32a及び光源制御回路61aの動作タイミング制御が容易となる。
【0084】
上述した各実施形態では、表示領域41(41a)内の第1領域に含まれる画素行を順次走査し、第2領域においてY方向に連続して並ぶ複数の画素行を同時走査する例について説明したが、これに限定されず、例えば、表示領域41(41a)内の第1領域に含まれる画素行を順次走査し、第2領域において複数の画素行を飛び越し走査する態様であっても良い。
【0085】
また、上述した各実施形態では、視線検出センサ8により計測した表示領域41,41a上のY方向の視点位置を含む領域を第1領域として設定し、当該第1領域の画素行を順次走査する例について説明したが、本開示はこれに限定されず、表示領域41,41aのY方向の所定位置(例えば中心位置)を含む領域を第1領域として設定する態様であっても良い。この場合には、必ずしも視線検出センサ8を設けていなくても良い。
【0086】
以上、本開示の好適な実施の形態を説明したが、本開示はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0087】
8 視線検出センサ
10 情報処理装置
20,20a 信号処理回路
31,31a 信号出力回路
32,32a 走査回路
40,40a 表示パネル
41,41a 表示領域
48,48a 画素
50,50a 表示装置
51 筐体
52A,52B 表示部
53 インタフェース
54 多軸センサ部
55 ケーブル
60,60a 光源
61,61a 光源制御回路
62 発光部
63R,63G,63B 発光体
BL ブランキング期間
BO 筐体(VRゴーグル)
D 応答期間
DTL 信号線
G VRゴーグル
LT,LT1,LT2,LTB,LTG,LTR 発光期間
LTrange,LT1range,LT2range 発光許容期間
S,SB,SG,SR 駆動期間
S1,SB1,SG1,SR1 駆動期間(第1駆動期間)
S2 駆動期間(第2起動期間)
SE 応答完了タイミング
SS 駆動タイミング
SCL 走査線
図1
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図8A
図8B
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図16