(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057208
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】表示制御方法、表示装置、及び出力装置。
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20240417BHJP
H04L 7/00 20060101ALI20240417BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240417BHJP
G09G 5/12 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
G09G5/00 510V
G09G5/00 550B
H04L7/00 990
H04N5/74 Z
G09G5/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163782
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 和彦
【テーマコード(参考)】
5C058
5C182
5K047
【Fターム(参考)】
5C058BA23
5C058BA35
5C058EA03
5C182AA03
5C182AA04
5C182BB04
5C182BB05
5C182BC03
5C182BC26
5C182CC24
5C182DA64
5K047AA18
(57)【要約】
【課題】複数台のプロジェクターの各々に入力される信号自体に、プロジェクター間で1フレーム以上のずれが発生している場合に、ずれが残ったまま画像の再生が行われてしまう。
【解決手段】第1画像群に含まれる第1基準画像が第1表示装置10-1で表示される第1時刻と、第2画像群に含まれる第2基準画像が第2表示装置10-2で表示される第2時刻との時間差を算出することと、上記の時間差が所定量以上の場合に、上記の時間差に基づいて、第1出力装置20-1が第3画像群を示す第3信号を出力する第1タイミングを調整することと、を含む表示制御方法。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1出力装置から出力された、第1画像群を示す第1信号に基づいて、前記第1画像群を第1表示装置で表示することと、
第2出力装置から出力された、第2画像群を示す第2信号に基づいて、前記第2画像群を第2表示装置で表示することと、
前記第1画像群に含まれる第1基準画像が前記第1表示装置で表示される第1時刻と、前記第2画像群に含まれる第2基準画像が前記第2表示装置で表示される第2時刻との時間差を算出することと、
前記時間差が所定量以上の場合に、前記時間差に基づいて、前記第1出力装置が第3画像群を示す第3信号を出力する第1タイミングを調整することと、
を含む表示制御方法。
【請求項2】
前記時間差が所定量未満の場合に、前記第1タイミングを調整せず、前記時間差に基づいて、前記第1表示装置が前記第1画像群を表示する第2タイミングを調整する、請求項1に記載の表示制御方法。
【請求項3】
前記第1時刻は前記第2時刻より早い、請求項1又は請求項2に記載の表示制御方法。
【請求項4】
光学装置と、
第1出力装置から出力された、第1画像群を示す第1信号に基づいて、前記光学装置を用いて前記第1画像群を表示することと、
前記第1画像群に含まれる第1基準画像を表示する第1時刻と、他の表示装置において、第2出力装置から出力された第2画像群を示す第2信号に基づいて、前記第2画像群に含まれる第2基準画像が表示される第2時刻との時間差を調整する調整信号を生成することと、
前記時間差が所定量以上の場合に、前記第1出力装置に前記調整信号を出力することと、
前記調整信号を前記第1出力装置に出力した場合に、前記第1出力装置から、前記時間差に基づいて調整されたタイミングで出力された、第3画像群を示す第3信号に基づいて、前記第3画像群を表示することと、を実行する制御装置と、を備える表示装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記時間差が所定量未満の場合に、前記第1出力装置に前記調整信号を出力せず、前記時間差に基づいて、前記第1画像群を表示する第2タイミングを調整することを実行する、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
第1画像群を示す第1信号を、第1表示装置に出力することと、
前記第1表示装置において、前記第1信号に基づいて、前記第1画像群に含まれる第1基準画像が表示される第1時刻と、第2表示装置において、他の出力装置から出力された第2画像群を示す第2信号に基づいて、前記第2画像群に含まれる第2基準画像が表示される第2時刻との時間差を調整する調整信号を取得することと、
前記調整信号に基づいて、第3画像群を示す第3信号を前記第1表示装置に出力するタイミングを調整することと、を実行する処理装置と、
を備える出力装置。
【請求項7】
前記処理装置は、前記時間差が所定量以上の場合に、前記調整信号を取得する、請求項6に記載の出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御方法、表示装置、及び出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数台のプロジェクターを用いて1つの画像を表示する、マルチプロジェクションの技術が従来知られている。マルチプロジェクションの実行時において、複数台の画像出力機器が、自身と1対1に対応するプロジェクターに画像を出力する場合、各々の画像出力機器からプロジェクターに出力される垂直同期信号は、通常、互いに同期していない。この結果、複数台のプロジェクターの間で、表示のずれが発生する。
【0003】
また、各プロジェクターに備わるコンテンツ再生機能を使用することにより、複数台のプロジェクターが1つの画像を再生する場合、各プロジェクター内で生成される垂直同期信号が互いに同期していないため、複数台のプロジェクターの間で、表示のずれが発生することがある。
【0004】
プロジェクター間での垂直同期信号の同期に関して、特許文献1は、複数台のプロジェクターでの表示を同期させる技術を開示している。具体的には、特許文献1に係る発明において、複数台のプロジェクターは、最初に、各々の動作時に参照する時刻の同期を行う。次に、複数台のプロジェクターは、同期された時刻に基づいて、プロジェクター間で、参照同期信号の位相を一致させる。最後に、各プロジェクターは、表示同期信号の位相を、参照同期信号の当該位相と一致させるよう徐々に変化させる。この結果、複数台のプロジェクターの間で、表示同期信号の位相が同一となり、当該複数台のプロジェクター間での表示が同期する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に係る技術においては、表示同期信号の位相と、参照同期信号の位相との当初のずれは、プロジェクターが表示する画像フレームにおける1フレーム以内に収まるものである。このため、特許文献1に係る技術において、位相を調整できる範囲は高々1フレームである。すなわち、複数台のプロジェクターの各々に入力される信号自体に、プロジェクター間で1フレーム以上のずれが発生している場合には、特許文献1に係る技術では対応できず、ずれが残ったまま画像の再生が行われてしまう、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る表示制御方法は、第1出力装置から出力された、第1画像群を示す第1信号に基づいて、前記第1画像群を第1表示装置で表示することと、第2出力装置から出力された、第2画像群を示す第2信号に基づいて、前記第2画像群を第2表示装置で表示することと、前記第1画像群に含まれる第1基準画像が前記第1表示装置で表示される第1時刻と、前記第2画像群に含まれる第2基準画像が前記第2表示装置で表示される第2時刻との時間差を算出することと、前記時間差が所定量以上の場合に、前記時間差に基づいて、前記第1出力装置が第3画像群を示す第3信号を出力する第1タイミングを調整することと、を含む表示制御方法である。
【0008】
また、本発明の一態様に係る表示装置は、光学装置と、第1出力装置から出力された、第1画像群を示す第1信号に基づいて、前記光学装置を用いて前記第1画像群を表示することと、前記第1画像群に含まれる第1基準画像を表示する第1時刻と、他の表示装置において、第2出力装置から出力された第2画像群を示す第2信号に基づいて、前記第2画像群に含まれる第2基準画像が表示される第2時刻との時間差を調整する調整信号を生成することと、前記時間差が所定量以上の場合に、前記第1出力装置に前記調整信号を出力することと、前記調整信号を前記第1出力装置に出力した場合に、前記第1出力装置から、前記時間差に基づいて調整されたタイミングで出力された、第3画像群を示す第3信号に基づいて、前記第3画像群を表示することと、を実行する制御装置と、を備える表示装置である。
【0009】
また、本発明の一態様に係る出力装置は、第1画像群を示す第1信号を、第1表示装置に出力することと、前記第1表示装置において、前記第1信号に基づいて、前記第1画像群に含まれる第1基準画像が表示される第1時刻と、第2表示装置において、他の出力装置から出力された第2画像群を示す第2信号に基づいて、前記第2画像群に含まれる第2基準画像が表示される第2時刻との時間差を調整する調整信号を取得することと、前記調整信号に基づいて、第3画像群を示す第3信号を前記第1表示装置に出力するタイミングを調整することと、を実行する処理装置と、を備える出力装置である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る表示制御システム1の構成を示すブロック図。
【
図2】第1実施形態に係る第1のプロジェクター10-1の構成を示すブロック図。
【
図5】第1の出力装置20-1の構成を示すブロック図。
【
図6】表示制御システム1の動作を示すシーケンス図。
【
図7】表示制御システム1の動作を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る表示制御方法、表示装置、及び出力装置について、図面を参照して説明する。なお、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施形態は、好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0012】
1:第1実施形態
1-1:実施形態の構成
1-1-1:全体構成
図1は、第1実施形態に係る表示制御システム1の構成を示すブロック図である。表示制御システム1は、複数台のプロジェクターを用いたマルチプロジェクションを実行する。
【0013】
表示制御システム1は、画像をスクリーンや壁といった平面に投射するプロジェクターとして、第1の画像P1を投射する第1のプロジェクター10-1と、第2の画像P2を投射する第2のプロジェクター10-2とを備える。第1の画像P1と第2の画像P2とで、1つの画像Pが構成される。
【0014】
また、第1のプロジェクター10-1と第2のプロジェクター10-2とは、壁やスクリーンに投射する各々の投射面が離れるように設置してもよく、接するように設置してもよく、一部の領域を共有するように設置してもよい。
【0015】
なお、表示制御システム1は、一例として、第1のプロジェクター10-1と、第2のプロジェクター10-2との2台のプロジェクターを備える。しかし、表示制御システム1に備わるプロジェクターの台数は、複数台である限り、任意の台数であってよい。第1のプロジェクター10-1及び第2のプロジェクター10-2の各々は、「表示装置」の一例である。また、第1のプロジェクター10-1は、「第1表示装置」の一例である。更に、第2のプロジェクター10-2は「第2表示装置」の一例である。
【0016】
また、表示制御システム1は、第1の出力装置20-1及び第2の出力装置20-2を備える。第1の出力装置20-1は、例えばHDMI(High Definition Multimedia Interface)ケーブルを介して、第1のプロジェクター10-1と通信可能に接続される。同様に、第2の出力装置20-2は、例えばHDMIケーブルを介して、第2のプロジェクター10-2と通信可能に接続される。「HDMI」は登録商標である。第1の出力装置20-1及び第2の出力装置20-2の各々は、「出力装置」の一例である。また、第1の出力装置20-1は「第1出力装置」の一例である。更に、第2の出力装置20-2は「第2出力装置」の一例である。
【0017】
第1のプロジェクター10-1には、第1の画像P1を示す信号が、第1の出力装置20-1から入力される。同様に、第2のプロジェクター10-2には、第2の画像P2を示す信号が、第2の出力装置20-2から入力される。
【0018】
信号は、複数のフレームを有する。また、第1の画像P1及び第2の画像P2の各々は複数の画像を有する画像群である。信号が有する複数のフレームは、第1の画像P1が有する複数の画像又は第2の画像P2が有する複数の画像と1対1に対応する。
【0019】
更に、表示制御システム1は、時刻サーバ30を備える。時刻サーバ30は、表示制御システム1における標準となる標準時刻を計時する。
【0020】
図1に示されるように、第1のプロジェクター10-1、第2のプロジェクター10-2、及び時刻サーバ30は、通信網NETを介して、互いに通信可能に接続される。時刻サーバ30は、通信網NETを介して、第1のプロジェクター10-1及び第2のプロジェクター10-2に対して、標準時刻を提供する。
【0021】
1-1-2:第1のプロジェクター10-1の構成
図2は、第1実施形態に係る第1のプロジェクター10-1の構成を示すブロック図である。第1のプロジェクター10-1は、投射装置110、処理装置120、記憶装置130、通信装置140、及びインターフェイス回路150を備える。第1のプロジェクター10-1の各要素は、情報を通信するための単体又は複数のバスで相互に接続される。また、第1のプロジェクター10-1の各要素は、単数又は複数の機器で構成され、第1のプロジェクター10-1の一部の要素は省略されてもよい。なお、第2のプロジェクター10-2の構成も、基本的に第1のプロジェクター10-1の構成と同様である。
【0022】
投射装置110は、後述の表示制御部124から取得した信号に基づいて、第1の画像P1をスクリーンや壁といった平面に投射する装置である。投射装置110は、例えば、光源、液晶パネル、投射レンズを含み、光源からの光を、液晶パネルを用いて変調し、変調された光を、投射レンズを介してスクリーンや壁といった平面に投射する。投射装置110は、「光学装置」の一例である。
【0023】
処理装置120は、第1のプロジェクター10-1の全体を制御するプロセッサであり、例えば、単数又は複数のチップで構成される。処理装置120は、例えば、周辺装置とのインターフェイス、演算装置及びレジスタを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成される。なお、処理装置120の機能の一部又は全部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)といったハードウェアによって実現してもよい。処理装置120は、各種の処理を並列的又は逐次的に実行する。
【0024】
記憶装置130は、処理装置120が読取可能な記録媒体であり、処理装置120が実行する制御プログラムPR1を含む複数のプログラムを記憶する。なお、制御プログラムPR1は、図示しない通信網を介して、第1のプロジェクター10-1を管理する他の装置から送信されてもよい。記憶装置130は、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)の少なくとも1つによって構成されてもよい。記憶装置130は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ又は主記憶装置と呼ばれてもよい。
【0025】
通信装置140は、他の装置と通信を行うための、送受信デバイスとしてのハードウェアである。とりわけ本実施形態において、通信装置140は、第1のプロジェクター10-1を、有線又は無線で、第2のプロジェクター10-2、第1の出力装置20-1及び時刻サーバ30と接続するための通信装置である。通信装置140は、例えば、ネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールとも呼ばれる。
【0026】
インターフェイス回路150は、第1の出力装置20-1と通信可能に接続されるインターフェイスである。例えば、インターフェイス回路150は、USB(Universal Serial Bus)又はHDMI(High Definition Multimedia Interface)といったインターフェイスである。「USB」は登録商標である。インターフェイス回路150は、第1の出力装置20-1へ各種情報及び各種信号を送信する機能と、第1の出力装置20-1から各種情報及び各種信号を受信する機能と、を有する。
【0027】
処理装置120は、記憶装置130から制御プログラムPR1を読み出して実行することによって、第1取得部121、同期部122、第2取得部123、表示制御部124、検知部125、第3取得部126、判定部127、生成部128、及び出力部129として機能する。
【0028】
第1取得部121は、通信装置140を介して、時刻サーバ30から標準時刻を取得する。
【0029】
同期部122は、第1のプロジェクター10-1の処理において参照される内部時刻を、第1取得部121が取得した標準時刻に同期させる。同期部122は、例えば、PTP(Precision Time Protocol)又はNTP(Network Time Protocol)といった周知のプロトコル技術を用いることにより、内部時刻と標準時刻とを同期させる。
【0030】
また、第2のプロジェクター10-2に備わる同期部122も、同様に、第2のプロジェクター10-2の処理において参照される内部時刻を、標準時刻に同期させる。この結果、第1のプロジェクター10-1の内部時刻と、第2のプロジェクター10-2の内部時刻との双方が、標準時刻に同期する。
【0031】
第2取得部123は、インターフェイス回路150を介して、第1の出力装置20-1から、第1画像群を示す第1信号を取得する。なお、ここで「第1画像群」は、例えば、表示制御システム1のユーザが本来視聴する予定である画像を表示する前に、第1のプロジェクター10-1が表示する画像である。当該第1画像群は、第1のプロジェクター10-1に入力される信号と、第2のプロジェクター10-2に入力される信号との間のフレームのずれを検知するために表示される。
【0032】
また、第2のプロジェクター10-2に備わる第2取得部123も同様に、インターフェイス回路150を介して、第2の出力装置20-2から、第2画像群を示す第2信号を取得する。なお、ここで「第2画像群」は、例えば、表示制御システム1のユーザが本来視聴する予定である画像を表示する前に、第2のプロジェクター10-2が表示する画像である。当該第2画像群は、第1のプロジェクター10-1に入力される信号と、第2のプロジェクター10-2に入力される信号との間のフレームのずれを検知するために表示される。
【0033】
第1画像群は第1基準画像を含む。第1基準画像は、第1のプロジェクター10-1に入力される第1信号と、第2のプロジェクター10-2に入力される第2信号との間のフレームのずれを検知するために、第1画像群に挿入される画像である。第1基準画像は、一例として、全面が赤色のラスタ画像である。同様に、第2画像群は第2基準画像を含む。第2基準画像は、上記の第1信号と第2信号との間のフレームのずれを検知するために、第2画像群に挿入される画像である。第2基準画像は、一例として、全面が赤色のラスタ画像である。
【0034】
ここで、第1信号において第1基準画像に対応するフレーム数と、第2信号において第2基準画像に対応するフレーム数とは等しい。例えば、第1信号の第kフレームが第1基準画像に対応すると共に、第2信号の第kフレームが第2基準画像に対応する。なお、kは自然数である。
【0035】
表示制御部124は、第2取得部123が取得した第1信号に基づいて、投射装置110を用いて、第1画像群を表示する。
【0036】
また、第2のプロジェクター10-2に備わる表示制御部124も同様に、第2取得部123が取得した第2信号に基づいて、投射装置110を用いて、第2画像群を表示する。
【0037】
検知部125は、表示制御部124によって、第1基準画像が表示された時刻を検知する。当該時刻は、「第1時刻」の一例である。
【0038】
また、第2のプロジェクター10-2に備わる検知部125も同様に、第2基準画像が表示された時刻を検知する。当該時刻は、「第2時刻」の一例である。
【0039】
第3取得部126は、通信装置140を介して、第2のプロジェクター10-2から、第2時刻を取得する。
【0040】
判定部127は、検知部125が検知した第1時刻と、第3取得部126が取得した第2時刻のうち、いずれの時刻が早いかを判定する。また、判定部127は、第1時刻と第2時刻との時間差を算出する。その上で、判定部127は、当該時間差が1フレーム分以上か、1フレーム分未満かを判定する。
【0041】
生成部128は、判定部127が算出した時間差を調整する調整信号を生成する。
【0042】
図3及び
図4は、調整信号の説明図である。より具体的には、
図3は、第1のプロジェクター10-1によって第1基準画像が表示される第1時刻と、第2のプロジェクター10-2によって第2基準画像が表示される第2時刻との間のずれが、1フレーム分以上である場合を示す。一方で、
図4は、第1時刻と第2時刻との間のずれが、1フレーム分未満である場合を示す。なお、
図3及び
図4に示される例は、第1時刻が第2時刻よりも早い場合を示す。
【0043】
図3の(a)に示されるパルス波の山の各々は、1つのフレームに対応する。また、斜線でマーキングされているフレームは、第1基準画像又は第2基準画像に対応する。
図3の(a)に示されるように、第1のプロジェクター10-1が第1基準画像を表示する第1時刻は、t1である。また、第2のプロジェクター10-2が第2基準画像を表示する第2時刻は、t2である。ここで、t1とt2との間の時間差をT1とする。
【0044】
図3の(a)において、生成部128は、T1を、4フレームちょうどに対応する時間T2と、1フレーム未満の時間T3とに分割する。その上で、生成部128は、
図3の(b)に示されるように、第1の出力装置20-1からの第3信号の出力タイミングをT2遅らせる第1調整信号と、
図3の(c)に示されるように、第1のプロジェクター10-1による画像の表示タイミングをT3遅らせる第2調整信号とを生成する。ここで、「第3信号」は、第3画像群を示す信号である。「第3画像群」は、例えば、表示制御システム1のユーザが本来視聴する予定である画像であり、第1基準画像及び第2基準画像は含まれていないことが好ましい。また、第1の出力装置20-1からの第3信号の出力タイミングは、「第1タイミング」の一例である。第1のプロジェクター10-1による第3画像群の表示タイミングは、「第2タイミング」の一例である。また、上記の1フレームは、「所定量」の一例である。
【0045】
なお、T1が4フレームちょうどに対応する時間である場合、すなわちT3=0である場合には、生成部128は、第1のプロジェクター10-1による画像の表示タイミングをT3遅らせる第2調整信号は生成しなくてもよい。
【0046】
また、第1のプロジェクター10-1において、第1の出力装置20-1から出力される第3信号は、第2取得部123が取得する。その上で、表示制御部124は、第2取得部123が取得した第3信号に基づいて、投射装置110を用いて、第3画像群を表示する。
【0047】
同様に、第2のプロジェクター10-2において、第2取得部123は、第2の出力装置20-2から出力される第4信号を取得する。「第4信号」は、第4画像群を示す信号である。「第4画像群」は、表示制御システム1のユーザが本来視聴する予定だった画像である。その上で、第2の出力装置20-2に備わる表示制御部124は、第2取得部123が取得した第4信号に基づいて、投射装置110を用いて、第4画像群を表示する。
【0048】
図4の(a)に示されるように、t1とt2との間の時間差T1が、1フレーム分に満たない場合には、生成部128は、
図4の(b)に示されるように、第1のプロジェクター10-1による画像の表示タイミングをT1遅らせる第2調整信号を生成する。
【0049】
なお、
図3及び
図4に示される例において、上記のように、第1時刻と第2時刻との間のずれが1フレーム分未満の時間差である場合には、第1のプロジェクター10-1が当該ずれに対応する時間だけ、第3画像群の表示タイミングを遅らせる。一方で、第1時刻と第2時刻との間のずれが1フレーム分以上の時間差である場合には、当該1フレーム分以上の時間差のうち、フレーム単位の時間差に対応する時間だけ、第1の出力装置20-1が第3信号の出力タイミングを遅らせる。また、1フレーム分未満の時間差に対応する時間だけ、第1のプロジェクター10-1が第3画像群の表示タイミングを遅らせる。しかし、これは、第1のプロジェクター10-1が、第3画像群の表示タイミングを遅らせることのできる範囲が、1フレーム未満であることを想定している。第1のプロジェクター10-1によって、第3画像群の表示タイミングを遅らせることのできる範囲が、1フレーム分以上である場合には、当該範囲に応じて、T1のT2及びT3への分割の仕方は変更される。例えば、
図3の(a)において、第1のプロジェクター10-1が第3画像群の表示タイミングを遅らせることのできる範囲が、2フレーム分未満である場合には、3フレーム分の時間差に対応する時間だけ、第1の出力装置20-1が第3信号の出力タイミングを遅らせてもよい。それと共に、1フレーム以上2フレーム未満の時間差に対応する時間だけ、第1のプロジェクター10-1が第3画像群の表示タイミングを遅らせてもよい。
【0050】
図2において、出力部129は、生成部128が生成した調整信号を出力する。具体的には、出力部129は、生成部128が生成した第1調整信号を、第1の出力装置20-1に出力する。一方で、出力部129は、生成部128が生成した第2調整信号を、表示制御部124に出力する。表示制御部124は、第2調整信号に基づいて調整されたタイミングで、第2取得部123が取得した第3信号に基づいて第3画像群を表示する。
【0051】
この結果、上記の表示制御方法は、複数台のプロジェクター10の各々に入力される信号自体に、プロジェクター10間で1フレーム以上のずれが発生している場合に、ずれを解消することができる。より詳細には、上記の表示制御方法は、プロジェクター10自体が画像の再生タイミングを調整可能な範囲が1フレーム分未満に過ぎなかったとしても、プロジェクター10に信号が入力されるタイミングを1フレーム分以上調整することで、プロジェクター10間での画像表示の1フレーム分以上のずれを解消できる。更に、上記の表示制御方法は、複数のプロジェクター10間の同期再生機能も併用することで、出力装置20間の同期精度が低くても、より精度の高い同期再生が可能となる。
【0052】
また、第1時刻が第2時刻よりも早い場合、出力部129は、判定部127による時間差の算出結果を、第2のプロジェクター10-2に出力する。この場合、第2のプロジェクター10-2に備わる第3取得部126は、当該時間差の算出結果を取得する。その上で、第2のプロジェクター10-2に備わる判定部127は、当該時間差が1フレーム分以上か、1フレーム分未満かを判定する。
【0053】
また、第2のプロジェクター10-2において、出力部129は、第2時刻を第1のプロジェクター10-1に出力する。
【0054】
1-1-3:第1の出力装置20-1の構成
図5は、第1実施形態に係る第1の出力装置20-1の構成を示すブロック図である。第1の出力装置20-1は、処理装置210、記憶装置220、通信装置230、及びインターフェイス回路240を備える。第1の出力装置20-1の各要素は、情報を通信するための単体又は複数のバスで相互に接続される。また、第1の出力装置20-1の各要素は、単数又は複数の機器で構成され、第1の出力装置20-1の一部の要素は省略されてもよい。なお、第2の出力装置20-2の構成も、基本的に第1の出力装置20-1の構成と同様である。
【0055】
処理装置210は、第1の出力装置20-1の全体を制御するプロセッサであり、例えば、単数又は複数のチップで構成される。処理装置210は、例えば、周辺装置とのインターフェイス、演算装置及びレジスタを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成される。なお、処理装置210の機能の一部又は全部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)といったハードウェアによって実現してもよい。処理装置210は、各種の処理を並列的又は逐次的に実行する。
【0056】
記憶装置220は、処理装置210が読取可能な記録媒体であり、処理装置210が実行する制御プログラムPR2を含む複数のプログラムを記憶する。なお、制御プログラムPR2は、図示しない通信網を介して、第1の出力装置20-1を管理する他の装置から送信されてもよい。記憶装置220は、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)の少なくとも1つによって構成されてもよい。記憶装置220は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ又は主記憶装置と呼ばれてもよい。
【0057】
通信装置230は、他の装置と通信を行うための、送受信デバイスとしてのハードウェアである。とりわけ本実施形態において、通信装置230は、第1の出力装置20-1を、有線又は無線で、第1のプロジェクター10-1と接続するための通信装置である。通信装置230は、例えば、ネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールとも呼ばれる。
【0058】
インターフェイス回路240は、第1のプロジェクター10-1と通信可能に接続されるインターフェイスである。例えば、インターフェイス回路240は、USB(Universal Serial Bus)又はHDMI(High Definition Multimedia Interface)といったインターフェイスである。「USB」は登録商標である。インターフェイス回路240は、第1のプロジェクター10-1へ各種情報及び各種信号を送信する機能と、第1のプロジェクター10-1から各種情報及び各種信号を受信する機能と、を有する。
【0059】
処理装置210は、記憶装置220から制御プログラムPR2を読み出して実行することによって、第1取得部211、出力部212、第2取得部213、及び調整部214として機能する。
【0060】
第1取得部211は、第1の出力装置20-1の外部装置、又は記憶装置220から、画像を示す画像情報を取得する。とりわけ、第1取得部211は、第1画像群又は第3画像群を示す画像情報を取得する。
【0061】
また、第2の出力装置20-2に備わる第1取得部211も同様に、第2の出力装置20-2の外部装置、又は記憶装置220から、画像を示す画像情報を取得する。とりわけ、第2の出力装置20-2に備わる第1取得部211は、第2画像群又は第4画像群を示す画像情報を取得する。
【0062】
出力部212は、インターフェイス回路240を介して、第1画像群を示す第1信号を、第1のプロジェクター10-1に出力する。また出力部212は、第3画像群を示す第3信号を、第1のプロジェクター10-1に出力する。
【0063】
また、第2の出力装置20-2に備わる出力部212も同様に、インターフェイス回路240を介して、第2画像群を示す第2信号を、第2のプロジェクター10-2に出力する。また出力部212は、第4画像群を示す第4信号を、第2のプロジェクター10-2に出力する。
【0064】
第2取得部213は、通信装置230を介して、第1のプロジェクター10-1から、第1調整信号を取得する。なお、第2取得部213は、「取得部」の一例である。
【0065】
また、第2の出力装置20-2に備わる第2取得部213も同様に、通信装置230を介して、第2のプロジェクター10-2から、第1調整信号を取得する。
【0066】
調整部214は、第2取得部213が取得した第1調整信号に基づいて、出力部212が、第3画像群を示す第3信号を、第1のプロジェクター10-1に出力するタイミングを調整する。
【0067】
また、第2の出力装置20-2に備わる調整部214も同様に、第2取得部213が取得した第1調整信号に基づいて、出力部212が、第4画像群を示す第4信号を、第2のプロジェクター10-2に出力するタイミングを調整する。
【0068】
1-2:実施形態の動作
図6及び
図7は、第1実施形態に係る表示制御システム1の動作を示すシーケンス図である。
【0069】
ステップS1において、第1の出力装置20-1に備わる処理装置210は、出力部212として機能する。処理装置210は、第1のプロジェクター10-1に対して、第1画像群を示す第1信号を出力する。また、第1のプロジェクター10-1に備わる処理装置120は、第2取得部123として機能する。処理装置120は、第1の出力装置20-1から、第1画像群を示す第1信号を取得する。
【0070】
ステップS2において、第2の出力装置20-2に備わる処理装置210は、出力部212として機能する。処理装置210は、第2のプロジェクター10-2に対して、第2画像群を示す第2信号を出力する。また、第2のプロジェクター10-2に備わる処理装置120は、第2取得部123として機能する。処理装置120は、第2の出力装置20-2から、第2画像群を示す第2信号を取得する。
【0071】
ステップS3において、第1のプロジェクター10-1に備わる処理装置120は、表示制御部124として機能する。処理装置120は、ステップS1において取得した第1信号に基づいて、投射装置110を用いて、第1画像群を表示する。
【0072】
ステップS4において、第2のプロジェクター10-2に備わる処理装置120は、表示制御部124として機能する。処理装置120は、ステップS2において取得した第2信号に基づいて、投射装置110を用いて、第2画像群を表示する。
【0073】
ステップS5において、第1のプロジェクター10-1に備わる処理装置120は、検知部125として機能する。処理装置120は、表示制御部124によって、第1基準画像が表示された第1時刻を検知する。
【0074】
ステップS6において、第2のプロジェクター10-2に備わる処理装置120は、検知部125として機能する。処理装置120は、表示制御部124によって、第2基準画像が表示された第2時刻を検知する。
【0075】
ステップS7において、第2のプロジェクター10-2に備わる処理装置120は、出力部129として機能する。処理装置120は、第2時刻を、第1のプロジェクター10-1に出力する。また、第1のプロジェクター10-1に備わる処理装置120は、第3取得部126として機能する。処理装置120は、第2のプロジェクター10-2から、第2時刻を取得する。
【0076】
ステップS8において、第1のプロジェクター10-1に備わる処理装置120は、判定部127として機能する。処理装置120は、第1時刻と第2時刻との時間差を算出する。
【0077】
ステップS9において、第1のプロジェクター10-1に備わる処理装置120は、判定部127として機能する。処理装置120は、ステップS5で検知した第1時刻と、ステップS7で取得した第2時刻のうち、いずれの時刻が早いかを判定する。第1時刻の方が第2時刻よりも早いか、第1時刻と第2時刻が同一の時刻である場合(ステップS9:第1時刻)には、第1のプロジェクター10-1に備わる処理装置120は、ステップS11の動作を実行する。第2時刻の方が第1時刻よりも早い場合(ステップS9:第2時刻)には、第1のプロジェクター10-1に備わる処理装置120は、ステップS10の動作を実行する。
【0078】
ステップS10において、第1のプロジェクター10-1に備わる処理装置120は、出力部129として機能する。処理装置120は、ステップS8において算出した時間差を、第2のプロジェクター10-2に出力する。第2のプロジェクター10-2に備わる処理装置120は、第3取得部126として機能する。処理装置120は、第1のプロジェクター10-1から、ステップS8において算出した時間差を取得する。その後、第2のプロジェクター10-2に備わる処理装置120は、ステップS16の処理を実行する。
【0079】
ステップS11において、第1のプロジェクター10-1に備わる処理装置120は、判定部127として機能する。処理装置120は、ステップS8で算出された時間差が、1フレーム分以上であるか、1フレーム分未満であるかを判定する。ステップS8で算出された時間差が1フレーム分以上である場合(ステップS11:YES)には、第1のプロジェクター10-1に備わる処理装置120は、ステップS12の処理を実行する。ステップS8で算出された時間差が1フレーム分未満である場合(ステップS11:NO)には、第1のプロジェクター10-1に備わる処理装置120は、ステップS14の処理を実行する。
【0080】
ステップS12において、第1のプロジェクター10-1に備わる処理装置120は、出力部129として機能する。処理装置120は、第1の出力装置20-1に、第1調整信号を出力する。また、第1の出力装置20-1に備わる処理装置210は、第2取得部213として機能する。処理装置210は、第1のプロジェクター10-1から、第1調整信号を取得する。
【0081】
ステップS13において、第1の出力装置20-1に備わる処理装置210は、調整部214として機能する。処理装置210は、ステップS12において取得した第1調整信号に基づいて、第3画像群を示す第3信号を、第1のプロジェクター10-1に出力するタイミングを調整する。
【0082】
ステップS14において、第1のプロジェクター10-1に備わる処理装置120は、出力部129として機能する。処理装置120は、表示制御部124に、第2調整信号を出力する。また、処理装置120は、表示制御部124として機能する。処理装置120は、出力部129から、第2調整信号を取得する。
【0083】
ステップS15において、第1のプロジェクター10-1に備わる処理装置120は、表示制御部124として機能する。処理装置120は、ステップS14において取得した第2調整信号に基づいて、第3画像群を表示するタイミングを調整する。
【0084】
ステップS16において、第2のプロジェクター10-2に備わる処理装置120は、判定部127として機能する。処理装置120は、ステップS8で算出された時間差が、1フレーム分以上であるか、1フレーム分未満であるかを判定する。ステップS8で算出された時間差が1フレーム分以上である場合(ステップS16:YES)には、第2のプロジェクター10-2に備わる処理装置120は、ステップS17の処理を実行する。ステップS8で算出された時間差が1フレーム分未満である場合(ステップS16:NO)には、第2のプロジェクター10-2に備わる処理装置120は、ステップS19の処理を実行する。
【0085】
ステップS17において、第2のプロジェクター10-2に備わる処理装置120は、出力部129として機能する。処理装置120は、第2の出力装置20-2に、第1調整信号を出力する。また、第2の出力装置20-2に備わる処理装置210は、第2取得部213として機能する。処理装置210は、第2のプロジェクター10-2から、第1調整信号を取得する。
【0086】
ステップS18において、第2の出力装置20-2に備わる処理装置210は、調整部214として機能する。処理装置210は、ステップS17において取得した第1調整信号に基づいて、第4画像群を示す第4信号を、第2のプロジェクター10-2に出力するタイミングを調整する。
【0087】
ステップS19において、第2のプロジェクター10-2に備わる処理装置120は、出力部129として機能する。処理装置120は、表示制御部124に、第2調整信号を出力する。また、処理装置120は、表示制御部124として機能する。処理装置120は、出力部129から、第2調整信号を取得する。
【0088】
ステップS20において、第2のプロジェクター10-2に備わる処理装置120は、表示制御部124として機能する。処理装置120は、ステップS19において取得した第2調整信号に基づいて、第4画像群を表示するタイミングを調整する。
【0089】
ステップS21において、第1の出力装置20-1に備わる処理装置210は、出力部212として機能する。処理装置210は、第3画像群を示す第3信号を、第1のプロジェクター10-1に出力する。また、第1のプロジェクター10-1に備わる処理装置120は、第2取得部123として機能する。処理装置120は、第1の出力装置20-1から第3信号を取得する。
【0090】
ステップS22において、第1のプロジェクター10-1に備わる処理装置120は、表示制御部124として機能する。処理装置120は、ステップS15において調整されたタイミングで、第3画像群を表示する。
【0091】
ステップS23において、第2の出力装置20-2に備わる処理装置210は、出力部212として機能する。処理装置210は、第4画像群を示す第4信号を、第2のプロジェクター10-2に出力する。また、第2のプロジェクター10-2に備わる処理装置120は、第2取得部123として機能する。処理装置120は、第2の出力装置20-2から第4信号を取得する。
【0092】
ステップS24において、第2のプロジェクター10-2に備わる処理装置120は、表示制御部124として機能する。処理装置120は、ステップS20において調整されたタイミングで、第4画像群を表示する。
【0093】
なお、上記の一連の処理において、ステップS9で、第1時刻が第2時刻より早いか、第1時刻と第2時刻とが同一の時刻であると判定された場合には、第1のプロジェクター10-1及び第1の出力装置20-1は、ステップS11~S15の処理を実行し、第2のプロジェクター10-2及び第2の出力装置20-2は、ステップS16~S20の処理は実行しない。一方、ステップS9で、第2時刻が第1時刻より早いと判定された場合には、第1のプロジェクター10-1及び第1の出力装置20-1は、ステップS11~S15の処理を実行せず、第2のプロジェクター10-2及び第2の出力装置20-2は、ステップS16~S20の処理を実行する。また、ステップS9での判定結果を問わず、第1のプロジェクター10-1及び第1の出力装置20-1は、ステップS21~S22の処理を実行し、第2のプロジェクター10-2及び第2の出力装置20-2は、ステップS23~S24の処理を実行する。
【0094】
2:変形例
本開示は、以上に例示した実施形態に限定されない。具体的な変形の態様を以下に例示する。
【0095】
2-1:変形例1
第1実施形態に係る表示制御システム1においては、第1のプロジェクター10-1が第1時刻を検知していた。また、第2のプロジェクター10-2が第2時刻を検知した後、第1のプロジェクター10-1に第2時刻を出力していた。その上で、第1のプロジェクター10-1が、第1時刻と第2時刻のうちいずれの時刻が早いかを判定すると共に、第1時刻と第2時刻との時間差を算出し、算出した時間差が1フレーム分以上か、1フレーム分未満かを判定していた。しかし、第1のプロジェクター10-1が第2のプロジェクター10-2に対して第1時刻を出力し、第2のプロジェクター10-2が第1のプロジェクター10-1に対して第2時刻を出力してもよい。その上で、第1のプロジェクター10-1と第2のプロジェクター10-2の各々が、第1時刻と第2時刻のうちいずれの時刻が早いかを判定してもよい。更に、第1のプロジェクター10-1と第2のプロジェクター10-2の各々が、第1時刻と第2時刻との時間差を算出し、算出した時間差が1フレーム分以上か、1フレーム分未満かを判定してもよい。
【0096】
あるいは、第1のプロジェクター10-1が第2のプロジェクター10-2に対して第1時刻を出力し、第2のプロジェクター10-2が第1のプロジェクター10-1に対して第2時刻を出力した後、第1のプロジェクター10-1が第1時刻と第2時刻の双方を、第1の出力装置20-1に出力してもよい。同様に、第2のプロジェクター10-2が第1時刻と第2時刻の双方を、第2の出力装置20-2に出力してもよい。その上で、第1の出力装置20-1と第2の出力装置20-2の各々が、第1時刻と第2時刻のうちいずれの時刻が早いかを判定してもよい。更に、第1の出力装置20-1と第2の出力装置20-2の各々が、第1時刻と第2時刻との時間差を算出し、算出した時間差が1フレーム分以上か、1フレーム分未満かを判定してもよい。この場合、第1の出力装置20-1は、第1調整信号を内部処理に用いた上で、第1のプロジェクター10-1に対して第2調整信号を出力する。同様に、第2の出力装置20-2は、第1調整信号を内部処理に用いた上で、第2のプロジェクター10-2に対して第2調整信号を出力する。
【0097】
あるいは、第1のプロジェクター10-1が第1時刻と第2時刻の双方を、第2のプロジェクター10-2、第1の出力装置20-1、及び第2の出力装置20-2とは異なる外部装置に出力してもよい。同様に、第2のプロジェクター10-2が第1時刻と第2時刻の双方を、第1のプロジェクター10-1、第1の出力装置20-1、及び第2の出力装置20-2とは異なる外部装置に出力してもよい。この場合、当該外部装置が、第1時刻と第2時刻のうちいずれの時刻が早いかを判定すると共に、第1時刻と第2時刻との時間差を算出し、算出した時間差が1フレーム分以上か、1フレーム分未満かを判定してもよい。その上で、当該外部装置が、第1のプロジェクター10-1、第2のプロジェクター10-2、第1の出力装置20-1、及び第2の出力装置20-2に判定結果を出力してもよい。あるいは、当該外部装置が、当該判定結果に基づいて、第1調整信号及び第2調整信号を生成してもよい。この場合、当該外部装置が、第1の出力装置20-1又は第2の出力装置20-2に第1調整信号を出力する。更に、当該外部装置が、第1のプロジェクター10-1又は第2のプロジェクター10-2に第2調整信号を出力する。
【0098】
2-2:変形例2
第1実施形態に係る表示制御システム1においては、第1のプロジェクター10-1と第2のプロジェクター10-2とで、1つの画像Pを分割するタイリングを実行することを前提としていた。しかし、第1のプロジェクター10-1と第2のプロジェクター10-2とで、同一の画像を重ね合わせて投射するスタッキングに対して、上記の技術を用いてもよい。
【0099】
2-3:変形例3
上記の実施例において、第1基準画像、及び第2基準画像は、全面が赤色のラスタ画像であった。しかし、全面が赤色のラスタ画像はあくまで一例であって、第1基準画像、及び第2基準画像は、全面が赤色のラスタ画像に限定されない。例えば、第1基準画像、及び第2基準画像は、所定の文字及び記号のうち少なくとも一方を含む画像であってもよい。具体的には、第1のプロジェクター10-1及び第2のプロジェクター10-2によって表示される領域は、ユーザに視認される有効領域と、有効領域の外部に位置し、且つユーザに視認されない無効領域とを備える。第1基準画像、及び第2基準画像は、無効領域の画像として、所定の文字及び記号のうち少なくとも一方を含んでもよい。
【0100】
2-4:変形例4
上記の実施例に係る技術を、直視型のマイクロディスプレイに適用してもよい。
【0101】
3:本開示のまとめ
以下、本開示のまとめを付記する。
(付記1)第1出力装置から出力された、第1画像群を示す第1信号に基づいて、前記第1画像群を第1表示装置で表示することと、第2出力装置から出力された、第2画像群を示す第2信号に基づいて、前記第2画像群を第2表示装置で表示することと、前記第1画像群に含まれる第1基準画像が前記第1表示装置で表示される第1時刻と、前記第2画像群に含まれる第2基準画像が前記第2表示装置で表示される第2時刻との時間差を算出することと、前記時間差が所定量以上の場合に、前記時間差に基づいて、前記第1出力装置が第3画像群を示す第3信号を出力する第1タイミングを調整することと、を含む表示制御方法。
【0102】
これにより、上記の表示制御方法は、複数台の表示装置の各々に入力される信号自体に、表示装置間で1フレーム以上のずれが発生している場合でも、ずれを解消することができる。より詳細には、表示装置自体が画像の表示タイミングを調整可能な範囲が1フレーム分未満に過ぎなかったとしても、上記の表示制御方法は、表示装置に信号が入力されるタイミングを1フレーム分以上調整することで、表示装置間での画像表示の1フレーム分以上のずれを解消できる。
【0103】
(付記2)前記時間差が所定量未満の場合に、前記第1タイミングを調整せず、前記時間差に基づいて、前記第1表示装置が前記第1画像群を表示する第2タイミングを調整する、付記1に記載の表示制御方法。
【0104】
これにより、上記の表示制御方法は、一例として表示装置間での信号のずれが1フレーム未満の場合に、表示装置のみでずれを調整することで、表示制御システム1全体での負荷を低減できる。
【0105】
(付記3)前記第1時刻は前記第2時刻より遅い、付記1又は付記2の表示制御方法。
【0106】
これにより、第1出力装置と第2出力装置とのうち、信号を出力するタイミングの早い出力装置に対応する表示装置のずれ量を調整できる。
【0107】
(付記4)光学装置と、第1出力装置から出力された、第1画像群を示す第1信号に基づいて、前記光学装置を用いて前記第1画像群を表示することと、前記第1画像群に含まれる第1基準画像を表示する第1時刻と、他の表示装置において、第2出力装置から出力された第2画像群を示す第2信号に基づいて、前記第2画像群に含まれる第2基準画像が表示される第2時刻との時間差を調整する調整信号を生成することと、前記時間差が所定量以上の場合に、前記第1出力装置に前記調整信号を出力することと、前記調整信号を前記第1出力装置に出力した場合に、前記第1出力装置から、前記時間差に基づいて調整されたタイミングで出力された、第3画像群を示す第3信号に基づいて、前記第3画像群を表示することと、を実行する制御装置と、を備える表示装置。
【0108】
これにより、上記の表示装置は、複数台の表示装置の各々に入力される信号自体に、表示装置間で1フレーム以上のずれが発生している場合に、ずれが残ったまま画像の再生が行われてしまう、という課題を解決できる。より詳細には、表示装置自体が画像の表示タイミングを調整可能な範囲が1フレーム分未満に過ぎなかったとしても、上記の表示装置は、表示装置に信号が入力されるタイミングを1フレーム分以上調整することで、表示装置間での画像表示の1フレーム分以上のずれを解消できる。更に、上記の表示装置は、複数の表示装置間の同期再生機能も併用することで、出力装置間の同期精度が低くても、より精度の高い同期再生が可能となる。
【0109】
(付記5)前記制御装置は、前記時間差が所定量未満の場合に、前記第1出力装置に前記調整信号を出力せず、前記時間差に基づいて、前記第1画像群を表示する第2タイミングを調整することを実行する、付記4に記載の表示装置。
【0110】
これにより、上記の表示装置は、一例として表示装置間での信号のずれが1フレーム未満の場合に、表示装置のみでずれを調整することで、表示制御システム1全体での負荷を低減できる。
【0111】
(付記6)第1画像群を示す第1信号を、第1表示装置に出力することと、前記第1表示装置において、前記第1信号に基づいて、前記第1画像群に含まれる第1基準画像が表示される第1時刻と、第2表示装置において、他の出力装置から出力された第2画像群を示す第2信号に基づいて、前記第2画像群に含まれる第2基準画像が表示される第2時刻との時間差を調整する調整信号を取得することと、前記調整信号に基づいて、第3画像群を示す第3信号を前記第1表示装置に出力するタイミングを調整することと、を実行する処理装置と、を備える出力装置。
【0112】
これにより、上記の出力装置は、複数台の表示装置の各々に入力される信号自体に、表示装置間で1フレーム以上のずれが発生している場合でも、ずれを解消することができる。より詳細には、表示装置自体が画像の表示タイミングを調整可能な範囲が1フレーム分未満に過ぎなかったとしても、上記の表示制御方法は、表示装置に信号が入力されるタイミングを1フレーム分以上調整することで、表示装置間での画像表示の1フレーム分以上のずれを解消できる。
【0113】
(付記7)前記処理装置は、前記時間差が所定量以上の場合に、前記調整信号を取得する、付記6に記載の出力装置。
【0114】
これにより、上記の出力装置は、当該所定量を一例として1フレーム分と定めることで、表示装置自体が画像の表示タイミングを調整可能な範囲が1フレーム分未満に過ぎなかったとしても、表示装置に信号が入力される第1タイミングを1フレーム分以上調整することにより、表示装置間での信号の1フレーム以上のずれを解消できる。
【符号の説明】
【0115】
1…表示制御システム、10…プロジェクター、10ー1…第1のプロジェクター、10-2…第2のプロジェクター、20…出力装置、20-1…第1の出力装置、20-2…第2の出力装置、30…時刻サーバ、110…投射装置、120…処理装置、121…第1取得部、122…同期部、123…第2取得部、124…表示制御部、125…検知部、126…第3取得部、127…判定部、128…生成部、129…出力部、130…記憶装置、140…通信装置、150…インターフェイス回路、210…処理装置、211…第1取得部、212…出力部、213…第2取得部、214…調整部、220…記憶装置、230…通信装置、240…インターフェイス回路、P…画像、P1…第1の画像、P2…第2の画像、PR1,PR2…制御プログラム