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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057225
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】接合テープ供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/18 20060101AFI20240417BHJP
   B65H 21/00 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
B65H19/18
B65H21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163820
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】513263282
【氏名又は名称】SANDO TECH株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】平岡 雅啓
(72)【発明者】
【氏名】塚 賢
(72)【発明者】
【氏名】丹田 宗次郎
【テーマコード(参考)】
3F064
【Fターム(参考)】
3F064BB06
3F064BB07
3F064BB24
(57)【要約】
【課題】ウエブ継ぎ装置のロールに接合テープを容易に取り付けできるようにする。
【解決手段】ウエブW1,W2同士を接合テープTを介して接続するために、ウエブW1,W2に接するロールSの外周面の所定位置に接合テープTを吸着させて、ロールSの回転とともにウエブW1,W2に接合テープTを貼着するウエブ継ぎ装置Cに用いられ、ロールSの所定位置に接合テープTを送り出す接合テープ送り出し部Uと、所定位置に至った接合テープTを切断する接合テープ切断装置60と、接合テープTの切断箇所を押圧する接合テープ押さえ装置70とを備えている接合テープ供給装置とした。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエブ(W1,W2)同士を接合テープ(T)を介して接続するために、前記ウエブ(W1,W2)に接するロール(S)の外周面の所定位置に前記接合テープ(T)を吸着させて、前記ロール(S)の回転とともに前記ウエブ(W1,W2)に前記接合テープ(T)を貼着するウエブ継ぎ装置(C)に用いられ、
前記ロール(S)の前記所定位置に前記接合テープ(T)を送り出す接合テープ送り出し部(U)と、前記所定位置に至った前記接合テープ(T)を切断する接合テープ切断装置(60)と、前記接合テープ(T)の切断箇所を押圧する接合テープ押さえ装置(70)とを備えている接合テープ供給装置。
【請求項2】
前記接合テープ送り出し部(U)は、ロール状に巻回された前記接合テープ(T)を前記ロール(S)の軸方向一端に繰り出す供給部(40)と、前記供給部(40)によって繰り出された前記接合テープ(T)の先端を前記ロール(S)の軸方向一端側から軸方向他端側へ向かって引く引張動作部(50)とを備えている請求項1に記載の接合テープ供給装置。
【請求項3】
前記供給部(40)は、前記接合テープ(T)を表裏から挟む対の挟持部材(43a,43b)を備え、前記引張動作部(50)が備えるチャック(52)は前記対の挟持部材(43a,43b)の端縁から突出する前記接合テープ(T)の先端を掴むとともに、前記ロール(S)に沿って設けられたガイド(51)に案内されて軸方向へ移動する請求項2に記載の接合テープ供給装置。
【請求項4】
前記対の挟持部材(43a,43b)の少なくとも一方に、前記対の挟持部材(43a,43b)間の前記接合テープ(T)を吸引するテープ吸引部(44)を備えている請求項3に記載の接合テープ供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラスチックフィルム、プラスチックシート、紙、又は金属泊等の各種のシート状物を対象とするウエブ継ぎ装置に用いられる接合テープ供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフィルム、プラスチックシート、紙、金属泊、その他各種の可撓性のある素材からなるシート状物(以下、ウエブと称する。)を継ぐ際に、各種の継ぎ装置が用いられている。この種の継ぎ装置はウエブ継ぎ装置とも呼ばれ、走行する長手状のウエブ(以下、今、送り込まれているウエブを「旧ウエブ」という。)に対して、前後方向(走行方向)に延びる新しいウエブ(以下、「新ウエブ」と称する。)の先端を接合テープを介して接続する(継ぐ)ものである。
【0003】
例えば、特許文献1では、旧ウエブ及び新ウエブの重合わせ部分における切断予定箇所を、その前後でウエブ保持具によって挟持した上で、旧ウエブ及び新ウエブを所定箇所で切断する。そして、切断した旧ウエブの後端縁及び新ウエブの先端縁をウエブ保持具の吸引面で吸引保持しつつ、旧ウエブ及び新ウエブの不要部分を除去し、旧ウエブの後端縁及び新ウエブの先端縁の一方の面側をウエブ保持具の吸引面で吸引保持しつつ、他方の面側に接合テープを貼着している。
【0004】
また、特許文献2では、旧ウエブの走行経路の途中に上下方向に対向する上側貼り付けロール及び下側貼り付けロールを設け、上側貼り付けロールよりも走行経路の前段側に旧ウエブ用の切断刃を設けている。新ウエブの先端が下側貼り付けロールに吸着されるとともに、上側又は下側の少なくとも一方の貼り付けロールに接合テープが吸着される。上側貼り付けロール及び下側貼り付けロールとの間に旧ウエブを介在して両者を接圧するとともに、切断刃によって旧ウエブを接圧点の前段で切断し、上側貼り付けロール及び下側貼り付けロールを走行方向へ回転させて、接合テープを旧ウエブの切断端及び新ウエブの先端に接着することで、旧ウエブの切断端と新ウエブの先端とを継いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-305950号公報
【特許文献2】特許第5865401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のウエブ継ぎ装置では、旧ウエブと新ウエブを重ね合わせて切断した後、接合テープを貼着して旧ウエブと新ウエブを継ぐまで、継ぎ装置からのウエブの送り出しは停止される。継ぎ装置からのウエブ送り出しの停止中は、継ぎ装置の後段に設けたアキューム装置等によってウエブの供給が続けられる。しかし、継ぎに要する時間が長ければ、必要な蓄積量が多くなってアキューム装置等が大型化するという問題がある。
【0007】
また、特許文献2のウエブ継ぎ装置では、継ぎに要する時間の短縮が可能であるが、上側貼り付けロールや下側貼り付けロールに接合テープを手作業で取り付ける(吸着させる)必要がある。このため、作業の容易化、迅速化の点で改善の余地がある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、ウエブ継ぎ装置のロールに接合テープを容易に且つ迅速に取り付けできるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、この発明は、ウエブ同士を接合テープを介して接続するために、前記ウエブに接するロールの外周面の所定位置に前記接合テープを吸着させて、前記ロールの回転とともに前記ウエブに前記接合テープを貼着するウエブ継ぎ装置に用いられ、前記ロールの前記所定位置に前記接合テープを送り出す接合テープ送り出し部と、前記所定位置に至った前記接合テープを切断する接合テープ切断装置と、前記接合テープの切断箇所を押圧する接合テープ押さえ装置を備えている接合テープ供給装置を採用した。
【0010】
ここで、前記接合テープ送り出し部は、ロール状に巻回された前記接合テープを前記ロールの軸方向一端に繰り出す供給部と、前記供給部によって繰り出された前記接合テープの先端を前記ロールの軸方向一端側から軸方向他端側へ向かって引く引張動作部とを備えている構成を採用できる。
【0011】
また、前記供給部は、前記接合テープを表裏から挟む対の挟持部材を備え、前記引張動作部が備えるチャックは前記対の挟持部材の端縁から突出する前記接合テープの先端を掴むとともに、前記ロールに沿って設けられたガイドに案内されて軸方向へ移動する構成を採用できる。
【0012】
さらに、前記対の挟持部材の少なくとも一方に、前記対の挟持部材間の前記接合テープを吸引するテープ吸引部を備えている構成を採用できる。
【発明の効果】
【0013】
この発明は、継ぎ装置の貼り付けロールに接合テープを容易に取り付けできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の一実施形態を示す全体図
図2図1の要部拡大平面図
図3A】旧ウエブと新ウエブを継ぐ際の工程を示す模式図
図3B】旧ウエブと新ウエブを継ぐ際の工程を示す模式図
図3C】旧ウエブと新ウエブを継ぐ際の工程を示す模式図
図3D】旧ウエブと新ウエブを継ぐ際の工程を示す模式図
図3E】旧ウエブと新ウエブを継ぐ際の工程を示す模式図
図3F】旧ウエブと新ウエブを継ぐ際の工程を示す模式図
図3G】旧ウエブと新ウエブを継ぐ際の工程を示す模式図
図3H】旧ウエブと新ウエブを継ぐ際の工程を示す模式図
図3I】旧ウエブと新ウエブを継ぐ際の工程を示す模式図
図3J】旧ウエブと新ウエブを継ぐ際の工程を示す模式図
図3K】旧ウエブと新ウエブを継ぐ際の工程を示す模式図
図3L】旧ウエブと新ウエブを継ぐ際の工程を示す模式図
図4A】旧ウエブと新ウエブを継ぐ際の工程を示す模式図
図4B】旧ウエブと新ウエブを継ぐ際の工程を示す模式図
図4C】旧ウエブと新ウエブを継ぐ際の工程を示す模式図
図4D】旧ウエブと新ウエブを継ぐ際の工程を示す模式図
図5A】接合テープ供給装置を示し、接合テープがセットされた状態を示す一部切断正面図
図5B】接合テープ供給装置を示し、チャックが接合テープ側へ移動する様子を示す一部切断正面図
図5C】接合テープ供給装置を示し、チャックが接合テープを掴む様子を示す一部切断正面図
図5D】接合テープ供給装置を示し、チャックが接合テープを引っ張る様子を示す一部切断正面図
図5E】接合テープ供給装置を示し、接合テープ切断装置及び接合テープ押さえ装置が下降して、接合テープを切断した後に押圧を行う様子を示す一部切断正面図
図5F】接合テープ供給装置を示し、接合テープ切断装置及び接合テープ押さえ装置が上昇した状態を示す一部切断正面図
図6】チャックの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。この実施形態のウエブ継ぎ装置Cは、図1に示すように、複数のロールを備えた巻出装置R(二軸ターレット自動巻き出し装置)からフィルムが繰り出されるエリアに設置される。ウエブ継ぎ装置Cの後段には、図示しないアキューム装置やダンサーローラ装置等を介してフィルム洗浄装置等が設置される。ここで扱うフィルムを、以下「ウエブW」と称する。
【0016】
巻出装置Rの旧巻出軸R1から長手状のウエブWを送り出していくと、いずれ巻出装置Rの旧巻出軸R1に巻回されたウエブWの終端部に至る。このとき、別の巻出軸である新巻出軸R2から新しいウエブを繰り出し、旧いウエブWの後端と新しいウエブWの先端とを接合テープTで継ぐことになる。この新旧のウエブWの接続をウエブ継ぎ装置Cで行う。今、ウエブ継ぎ装置Cに送り込まれているウエブWを旧ウエブW1と称し、新しいウエブWを新ウエブW2と称する。また、実施形態では、接合テープTを表裏2枚使うことから、これを接合テープT1,T2と称する。なお、図の一部では理解がしやすいように、旧ウエブW1、新ウエブW2、接合テープTの厚さを強調して描いている。
【0017】
ウエブ継ぎ装置Cでは、旧巻出軸R1から引き出されて一方向に走行する旧ウエブW1の後端と、新巻出軸R2から一方向に引き出された新ウエブW2の先端とを接合テープT1,T2を介して接続するために、旧ウエブW1又は新ウエブW2に接する円筒状ロールの外周面の所定位置に接合テープT1,T2を吸着させ、その円筒状ロールの回転とともに、旧ウエブW1の後端及び新ウエブW2の先端又はそのいずれかに接合テープT1,T2を貼着している。
【0018】
まず、ウエブ継ぎ装置Cの全体構成及び作用について説明する。
【0019】
ウエブ継ぎ装置Cは、図1及び図2に示すように、四角枠状のフレームFに支持されている。旧ウエブW1が走行し、その走行経路の上方に上側貼り付けロール1が、下方に下側貼り付けロール2が設けられている。上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2はそれぞれ断面円形の筒状部材で構成され、その周面の一部が多数の貫通孔を有するパンチングメタルによって形成されて、その部分が接合テープT1,T2の吸着部1a,2aとなっている(図2参照)。吸着部1a,2aに接合テープT1,T2が対面すると、筒状部材の内部空間の負圧によって、その接合テープT1,T2はそれぞれ対応する上側貼り付けロール1又は下側貼り付けロール2の表面に吸着される。図1及び図2における符号3は旧ウエブW1の案内ロール、符号4は吸気ホース4を示し、図示しない吸気手段(負圧発生手段)に接続されている。吸気手段の吸引により筒状部材の内部は負圧になり、吸着部1a,2aでの吸引力を生じさせる。
【0020】
上側貼り付けロール1は、その周面が樹脂又はゴムによる弾性面となっている。また、上側貼り付けロール1の軸には回転停止位置調整用のウエイト1bが取付けられている(図2参照)。ウエイト1bによって上側貼り付けロール1は、常時、軸回り所定の回転位置で停止するようになっている。この実施形態では、ウエイト1bの作用によって、他の拘束力がなければ、図4Aに示すように、接合テープT1が上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2の接圧点xから所要角度θ1、例えば、137.5度に位置するように、上側貼り付けロール1が軸回り回転して停止するようになっている。
【0021】
上側貼り付けロール1のウエブ走行経路の前段には、前後方向に並列する対のバキュームボックス5,5が設けられている(図1参照)。この対のバキュームボックス5,5の間に、上下方向に進退自在の切断刃6が位置している。前段(図1において左側)のバキュームボックス5は、エアシリンダ5aによって支持ブロック7に対して昇降可能となっている。また、切断刃6も支持ブロック7に対してエアシリンダ等によって昇降可能である。上側貼り付けロール1、後段のバキュームボックス5、エアシリンダ5aは支持ブロック7に取付けられており、支持ブロック7はフレームFに固定されたエアシリンダ8によって昇降可能である。エアシリンダ8によって支持ブロック7が下降すると、上側貼り付けロール1、対のバキュームボックス5,5及び切断刃6が旧ウエブW1の走行経路に接し、対のバキュームボックス5,5によってウエブW1が吸着されて動かないように固定支持される。その固定された状態で、切断刃6が下降することによって旧ウエブW1が切断される。なお、上側貼り付けロール1への接合テープT1の供給は、後述の接合テープ供給装置D(図5A図5F参照)によって行われる。
【0022】
下側貼り付けロール2は、旧ウエブW1と新ウエブW2とを継ぐ前段の待機位置で、図4Aに示すように、吸着部2aに吸着された接合テープT2の先端が、接圧点xから図中反時計回り方向に所要角度θ2、例えば、68.8度に位置するようになっている。また、下側貼り付けロール2は、接圧点xから図中時計回り方向に所要角度θ3、例えば、概ね30度から90度の範囲で決定された或る角度だけ回転された位置で、転移ロール16が接圧(ニップ)するようになっている。下側貼り付けロール2の回転位置θ2及び上側貼り付けロール1の回転位置θ1は、上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2の接圧時点におけるその接圧点xから上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2が回転した際に、接合テープT1,T2が重なり合うように(接圧点xから接合テープT1,T2までの上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2の外周面弧長が同じとなるように)設定するものである。この実施形態では、上側貼り付けロール1の外径:125mm、下側貼り付けロール2の外径:250mmとしたため、前者θ1を接圧点xから137.5度の位置、後者θ2を接圧点xから68.8度の位置としている。θ1,θ2の位置は、上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2の外径に応じて適宜に設定することができる。
【0023】
下側貼り付けロール2は、大エアシリンダ11a及び小エアシリンダ11bによって昇降自在なベース10に取り付けられている(図1及び図2参照)。ベース10は、大エアシリンダ11aによって所要高さ(例えば、300mm)昇降し、小エアシリンダ11bによってさらに所要高さ(例えば、25mm)昇降する。また、ベース10には、下側貼り付けロール2を軸回り回転及び停止するロータリーアクチュエータ12が取り付けられている。下側貼り付けロール2の前段には、大エアシリンダ14a及び小エアシリンダ14bによって昇降可能な待機位置用バキュームボックス13が設けられている。さらに、その前段には、エアシリンダ15aによって昇降可能な昇降ロール15が設けられている。
【0024】
フレームFの前面(図1において右側面)には、表面にフッ素樹脂コーティング等の非貼着処理がなされた転移ロール16が設けられている。転移ロール16はアームを介してロータリーアクチュエータ17に接続されており、アームは、ロータリーアクチュエータ17の動作によって起伏自在である。この起伏動作により、転移ロール16は下側貼り付けロール2に対して接圧及び退避可能となっている。転移ロール16は、常時は下側貼り付けロール2から退避しており、ロータリーアクチュエータ17によってアームが倒伏することによって、下側貼り付けロール2に接圧する。転移ロール16も、断面円形の筒状部材で構成されたロールSである。転移ロール16は、その周面の一部が多数の貫通孔を有するパンチングメタルによって形成されて、その部分が接合テープT2の吸着部16aとなっている(図2参照)。転移ロール16の吸着部16aに接合テープT2が供給された後、筒状部材の内部空間の負圧によって、接合テープT2は転移ロール16の表面に吸着される。転移ロール16の内部空間は、上側貼り付けロール1と同様に図示しない吸気手段(負圧発生手段)に接続されている。転移ロール16への接合テープT2の供給は、上側貼り付けロール1に設けられた接合テープ供給装置Dとは別の、転移ロール16用の接合テープ供給装置Dによって行われる。
【0025】
フレームFの上部には、送り出しロール18及びその送り出しロール18の回転を規制するロール回転ストッパ19が設けられている(図1参照)。ロール回転ストッパ19は、エアシリンダ20によって前後に進退可能となっている。この進退により、ロール回転ストッパ19が進行して送り出しロール18に旧ウエブW1を介在して接圧すると、旧ウエブW1の走行は停止する。
【0026】
ウエブ継ぎ装置Cの作用について、以下、図3Aから図3Lに基づいて説明する。図3Aに示すように、ウエブ継ぎ装置Cに対して図中左側から旧ウエブW1が送り出され、旧ウエブW1は一方向へ(図中右側へ)走行しながら、送り出しロール18を経て下流側のアキューム装置等へ送り出されている。この走行状態において、今走行している旧ウエブW1の終端が近くなると、又は、終端が近くなる前の適宜の時点で、待機位置用バキュームボックス13が上昇して、待機位置用バキュームボックス13の上面と下側貼り付けロール2の上面が同一高さになる。続いて、待機位置用バキュームボックス13内が吸気され、同時に又は続いて、巻出装置Rの他のロールから交換用のウエブである新ウエブW2を引き出し、待機位置用バキュームボックス13に吸着させるとともに、その新ウエブW2の先端W2’を下側貼り付けロール2上に掛ける。このとき、図3Aに示すように、新ウエブW2の先端W2’を下側貼り付けロール2の側面に沿って下方へ垂らして、その幅方向(図中の奥行方向)へのセンタリングを手動によって行う。
【0027】
つぎに、上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2の内部空間を吸気することで吸着可能状態とする。この吸着可能状態で又はその前段で、上側貼り付けロール1の吸着部1aに、接合テープ供給装置Dを用いて接合テープT1を供給する。接合テープT1は、その非貼着面bをロール側にしてそれを吸引力で吸着させ、粘着力を有する貼着面aがロールの外径側となる。この後、上側貼り付けロール1を押し戻して定位置(図4Aに示す所要角度θ1の位置)にセットする。このとき、この上側貼り付けロール1はウエイト1bによってその定位置にセットされる。すなわち、図4Aに示すように、接合テープT1が上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2の接圧点xから所要角度θ1:137.5度に位置される。
【0028】
また、下側貼り付けロール2の吸着部2aを、待機位置(図4Aに示す所要角度θ2の位置)から所要角度、例えば、図中時計回りに180度回転した貼着準備位置にセットする(図3B参照)。続いて、転移ロール16を倒して下側貼り付けロール2に対して新ウエブW2を介在した状態で接圧するとともに、その転移ロール16内を吸気する。この状態で、下側貼り付けロール2から垂れ下がっている新ウエブW2の先端を、転移ロール16に対して図中の反時計回り方向に巻き付ける(図3C参照)。転移ロール16に巻き付けられた新ウエブW2の先端縁を、その幅全長に亘って手によって切断する。その切断端が新ウエブW2の先端となり、切り離された縁片は適宜に除去する。転移ロール16には、その幅方向全長に亘ってカッター溝が形成されて新ウエブW2を通り抜けた切断刃を逃がすようになっている。
【0029】
そして、転移ロール16の吸着部16aに、接合テープ供給装置Dによって接合テープT2が供給され、所定位置に吸着される。このとき、接合テープT2の幅方向の中央線が新ウエブW2の切断端縁と一致するように、接合テープT2が新ウエブW2に貼着される(図3C参照)。ここで、下側貼り付けロール2と転移ロール16とが互いに接圧した接圧点から吸着部16aまでの転移ロール16の図中反時計回り方向への周長が、その接圧点から下側貼り付けロール2の吸着部2aまでの図中時計回り方向への周長と同じとなっている。
【0030】
新ウエブW2の先端及び接合テープT2が転移ロール16に吸着している状態で、待機位置用バキュームボックス13の吸気を停止するとともに、待機位置用バキュームボックス13を下降させる。その後又は同時に、図3Cに矢印で示すように、ロータリーアクチュエータ12によって下側貼り付けロール2を図中反時計回りに180度回転させる。下側貼り付けロール2の回転に伴って転移ロール16は図中時計回りに回転して、接合テープT2付きの新ウエブW2を下側貼り付けロール2側へ送り出す。接合テープT2が貼着された新ウエブW2の先端が下側貼り付けロール2の吸着部2aに対応した位置に至った時、又は前に、転移ロール16内の吸気を止めることによって、接合テープT2付の新ウエブW2の先端部は下側貼り付けロール2に転移し吸着される。
【0031】
接合テープT2付の新ウエブW2の先端部が、下側貼り付けロール2の吸着部2aに転移し、その転移位置から下側貼り付けロール2が図中反時計回りに所定角度回転した時点が待機位置であり、これを図3Dに示す。この待機位置は、図4Aに示すように、接合テープT2が上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2の接圧点xから所要角度θ2:68.8度に位置する(貼着準備位置から180度に相当)。この角度θ2の調整は、接合テープT2付の新ウエブW2の先端部が下側貼り付けロール2に吸着された後、調整することもできる。
【0032】
なお、接合テープT2の転移ロール16から下側貼り付けロール2への転移は、転移ロール16の表面に非貼着処理がなされているため、円滑になされる。また、接合テープT2及び新ウエブW2の先端は転移ロール16に吸着されているが、その新ウエブW2と下側貼り付けロール2との摩擦力等によって、接合テープT2等は転移ロール16から下側貼り付けロール2へ容易に転移する。このとき、下側貼り付けロール2の吸気力を転移ロール16の吸気力に対して強くしたり、転移時には、転移ロール16の吸気を中止したりする等の手段を講じることができる。その後、図3Dに示すように転移ロール16を起立させることで、転移ロール16を下側貼り付けロール2から退去させる。このとき又はその前後において、待機位置用バキュームボックス13内の再吸気を行って新ウエブW2を保持することができる。
【0033】
以上の作用によって、旧ウエブW1及び新ウエブW2の継ぎ合わせ(スプライス)の準備は完了する(図3Dの状態)。この時点まで、旧ウエブW1の走行は継続している。継ぎ合わせの準備が完了した後、継ぎ合わせ準備の完了スイッチを押す(ONする)と、図3Dから図3Eに示すように、下側貼り付けロール2、待機位置用バキュームボックス13及び昇降ロール15が上昇(例えば、300mm上昇)する。昇降ロール15及び待機位置用バキュームボックス13の上昇によって、下側貼り付けロール2からの新ウエブW2の大きな垂れ下がりが防止され、弱い吸着力であっても、下側貼り付けロール2から新ウエブW2が脱落することが防止される。さらに、上昇完了スイッチを押す(ONする)と、図3Eから図3Fに示すように、まず、ロール回転ストッパ19が進行して旧ウエブW1を介在して送り出しロール18に接圧するとともに、旧ウエブW1の巻出装置Rが停止し、旧ウエブW1の走行が停止する。ロール回転ストッパ19の送り出しロール18への接圧によって、アキューム装置からの旧ウエブW1への引っ張り力は阻止され、ウエブ継ぎ装置C内の旧ウエブW1にはテンションがかかっていない状態となる。
【0034】
続いて、図3Gに示すように、下側貼り付けロール2がさらに上昇(例えば、25mm)するとともに、上側貼り付けロール1が下降(例えば、20mm)し、上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2が旧ウエブW1を介在して接圧(ニップ)する。この接圧時、下側貼り付けロール2は、弾性表面を有する上側貼り付けロール1に、例えば2mm食い込んで、旧ウエブW1を確実にニップする。この作用と同時に又は後に、待機位置用バキュームボックス13への吸気を停止する。なお、下側貼り付けロール2の表面も弾性表面とすることができ、また、下側貼り付けロール2のみを弾性表面とすることもできる。
【0035】
上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2の接圧と同時に又はその接圧後、図3Hに示すように、旧ウエブW1の切断保持用バキュームボックス5,5が吸気されて、切断保持用バキュームボックス5,5間の旧ウエブW1を支持するとともに、切断刃6によって旧ウエブW1を切断する。このとき、切断線の両側の旧ウエブW1を吸気して支持しているため、その切れ端が垂れ下がることなく、その切断が円滑に成される。なお、切断線における上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2の接圧点xからの距離は、接圧点xから上側貼り付けロール1の接合テープT1の幅方向中心点までのロール周長、及び、接圧点xから下側貼り付けロール2の接合テープT1の幅方向中心点までのロール周長とほぼ同じに設定されている。
【0036】
旧ウエブW1の切断が完了すれば、図3Iに示すように、切断保持用バキュームボックス5,5への吸気を停止し、ロータリーアクチュエータ12によって下側貼り付けロール2を図中の時計回り方向へに所定角度回転させ(例えば、180度)、この回転に伴って上側貼り付けロール1は反時計回りに回転する。下側貼り付けロール2の回転時、切断保持用バキュームボックス5の吸気力は、旧ウエブW1の移動に支障がない程度であるため、バキュームボックス5への吸気を停止しなくてもよく、旧ウエブW1がバキュームボックス5から離れた後に吸気を停止してよい。下側貼り付けロール2の回転に伴い、図3Jに示すように、旧ウエブW1及び新ウエブW2は、互いに接圧する上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2によって送り出される。前段の待機位置において、旧ウエブW1の切断線における上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2の接圧点xからの距離は、その接圧点xから下側貼り付けロール2の接合テープT1の幅方向中心点までのロール周長とほぼ同じに設定されている。このため、図4Bに示すように、旧ウエブW1の後端の切断端と新ウエブW2の先端が突き合って接続した状態となる。
【0037】
旧ウエブW1の後端と新ウエブW2の先端が突き合い、上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2が回転すると、図4Cに示すように、新ウエブW2の先端に貼着された接合テープT2の前半分が旧ウエブW1の後端下面に貼着されるとともに、上側貼り付けロール1に吸着されていた接合テープT1が、新ウエブW2の先端及び旧ウエブW1の後端表面に、突き合わせ線を境にして前後に跨って貼着される。このため、表裏両方の接合テープT1,T2によって、旧ウエブW1及び新ウエブW2が接合され、継ぎ合わせされる。このとき、旧ウエブW1及び新ウエブW2の突き合わせ部分はピッタリでなくても、接合テープT1、T2がウエブW1、W2に亘って貼着される限りにおいて、若干の間隙があってもよい。
【0038】
旧ウエブW1及び新ウエブW2の継ぎ合わせが完了すれば、上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2の吸気を停止するとともに、下側貼り付けロール2を、図3Kに示すように反時計回りに反転(例えば、180度)させることで、新ウエブW2の弛みを除去する。その後、ロール回転ストッパ19が後退して旧ウエブW1の接圧を開放し、ウエブ継ぎ装置C内の旧ウエブW1及び新ウエブW2の走行が可能となり、後段の工程にあるアキューム装置に送り出される。この作用に伴って、図3Lに示すように、上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2を昇降させるとともに、待機位置用バキュームボックス13を下降させる。
【0039】
昇降ロール15は、適宜に、上昇して新ウエブW2を所要高さで支持し、垂れ下がることを防止する。このため、下側貼り付けロール2への新ウエブW2の吸着力を低くしても剥がれることはない。吸着力を高くすると剥がれにくくなるが、剥がれにくいと、接合テープT1、T2による接合部分が、上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2から離れにくくなる。このため、これらの作用が円滑に行われるようにその吸着力を適宜に設定する。切断線よりも巻出装置R側に残存した旧ウエブW1は、適宜の時期に巻出装置Rによって巻き取られる。旧ウエブW1及び新ウエブW2の継ぎ合わせが完了し、巻出装置R(二軸ターレット自動巻き出し装置)の新巻出軸R2と旧巻出軸R1が上下に反転して、前者が旧巻出軸R1、後者が新巻出軸R2となる。これにより、旧巻出軸R1から新ウエブW2が繰り出されて、新ウエブW2はウエブ継ぎ装置C内を走行した後、後段のアキューム装置に送り込まれる。このとき、図3Lに示すように、昇降ロール15が上昇して新ウエブW2が下側貼り付けロール2や待機位置用バキュームボックス13に干渉しないようになっている。
【0040】
なお、下側貼り付けロール2に対して表裏両面が貼着面となった両面接合テープT3を吸着させれば、図4Dに示すように、旧ウエブW1の後端と新ウエブW2の先端の間に接合テープT3が介在された継ぎ目となる。このとき、旧ウエブW1及び新ウエブW2の端が重なるように、下側貼り付けロール2の吸着部2aを、その重なり代(例えば、接合テープT3の幅の半分以上)だけ、図中の時計回り方向に所要角度進めた位置に設定したり、あるいは、待機位置における上側貼り付けロール1及び下側貼り付けロール2の接圧点xから接合テープT3の幅方向中心点までのロール周長に対し、旧ウエブW1の切断点の接圧点xからの距離を長くすることで対応する。なお、両面に貼着面を有する接合テープT3を用いる場合は、図4Dに示すように、接合テープT3が新ウエブW2の上表面に貼着される。
【0041】
つぎに、接合テープ供給装置Dの構成及び作用について、図5A図5Fに基づいて説明する。接合テープ供給装置Dは、上側貼り付けロール1及び転移ロール16の各ロールにそれぞれ設けられている。以下、接合テープ供給装置Dが設けられるロールを、ロールSと称する。この実施形態では、上側貼り付けロール1及び転移ロール16がロールSに相当する。また、以下、接合テープT1,T2,T3を、接合テープTと総称する。なお、これらの接合テープ供給装置Dを含むウエブ継ぎ装置Cの動作は、予めプログラムが入力された制御部によって自動的に制御されている。
【0042】
ロールSは断面円形を成す中空の筒状部材30で構成され、その軸方向両端に支持軸32を備えている。また、筒状部材30の周面の一部に、ロールS内外の空間を連通する複数の貫通孔31aを備えている。貫通孔31aは、ロールSの軸方向に沿って帯状に分布し、その帯状に分布する貫通孔31a群のエリアが、接合テープTの吸着部31(上側貼り付けロール1の吸着部1a,転移ロール16の吸着部16aに相当)となっている。
【0043】
また、図5A図5Fは、ロールSを含む接合テープ供給装置Dの全体図である。図5Aに示すように、接合テープ供給装置Dは、ロールSの所定位置に接合テープTを送り出す接合テープ送り出し部Uと、所定位置に至った接合テープTを切断する接合テープ切断装置60と、接合テープTの切断箇所を押圧する接合テープ押さえ装置70とを備えている。図5A図5Fにおける符号33a,33bは、ロールSをフレームFに対して軸回り回転可能に支持する軸受を示している。
【0044】
まず、接合テープ送り出し部Uについて説明する。
【0045】
接合テープ送り出し部Uは、テープ巻出装置41に巻回された接合テープTを、図5A図5F中におけるロールSの右側部分(軸方向一端の側)に繰り出す供給部40と、供給部40によって繰り出された接合テープTの先端を、図5A図5F中の左側部分(軸方向他端の側)へ向かって引く引張動作部50とを備えている。供給部40は、並列する複数のローラ42a,42b,42c,42dと、それらのうち駆動対象となるローラ42bを回転させる駆動装置42e等を備えている。まず、装置にセットされる接合テープTは、図5Aに示すように、テープ巻出装置41側のローラ42a付近から進入し、水平方向に進んだ後、ローラ42cの位置で下向きに向きを変え、さらにローラ42dの位置で水平方向へ向きを変えてロールSの軸方向一端に至る。
【0046】
供給部40の最下流部には、接合テープTを表裏から挟む対の挟持部材43a,43bが設けられている。対の挟持部材43a,43bのうち、下方の挟持部材43bは接合テープTに摺接するフラットな受け台で、上方の挟持部材43aは、モータ等の駆動力によって回転するローラである。接合テープTは、挟持部材43aの回転に伴って、また、ローラ42b側からの送り出しによって、対の挟持部材43a,43bの間を進行する。また、供給部40は、対の挟持部材43a,43b間に挟まれた接合テープTを吸引するテープ吸引部44を備えている。この実施形態では、下方の挟持部材43bに負圧供給源44cから引き出された通路44aが通じており、その通路44aは、下方の挟持部材43bの上面(上方の挟持部材43aとの対向面)に開口している。
【0047】
また、この実施形態では、対の挟持部材43a,43bのうち、下方をフラットな受け台で、上方は回転自在のローラとしているが、対の挟持部材43a,43bの態様は、この実施形態には限定されず、例えば、対の挟持部材43a,43bのそれぞれを、接合テープTの表面又は裏面に摺接するフラットな部材としてもよい。この場合、通路44aは、下方の挟持部材43bの上面(上方の挟持部材43aとの対向面)に開口していてもよいし、上方の挟持部材43aの下面(下方の挟持部材43bとの対向面)に開口していてもよい。
【0048】
引張動作部50は、対の挟持部材43a,43bの出口側の端縁から突出する接合テープTの先端を掴むとともに、ロールSの軸方向に沿って設けられたガイド51に案内されて軸方向へ移動するチャック52を備えている。チャック52は、ガイド51に対してスライド自在に支持されており、自身が備えるモータ等の駆動装置53によって、そのガイド51の方向に沿って往復移動が可能である。また、ガイド51とともにチャック52は上下方向へ移動することができる。なお、チャック52の上下方向への移動機構は省略することもできる。
【0049】
チャック52は、図5A及び図6に示すように、ガイド51に支持される基板52aと、その基板52aに取り付けられた対の爪52b,52cを備えている。以下、対の爪52b,52cのうち、上方に位置するものを上部爪52b、下方に位置するものを下部爪52cと称する。上部爪52b及び下部爪52cは、同じく駆動装置53によって接触状態と離反状態とに切り替えられる。上部爪52b及び下部爪52cの接離動作により、接合テープTの先端を掴んだり(把持したり)、あるいは、離したり(解放したり)することができる。
【0050】
ロールSに対して接合テープTを供給する際は、まず、図5Aに示すように、対の挟持部材43a,43bの出口側の端縁から接合テープTの先端が突出する状態とし、チャック52を軸方向一端側(図中の右側部分)に移動させる。そして、チャック52を、図5Bに鎖線で示す位置から軸方向一端側の実線で示す位置へと移動させる。ここで、図5Bに示すように、チャック52の上部爪52bに対して下部爪52cは下降しており、両者は離反している。図5Cに示すように、上部爪52b及び下部爪52cを互いに接近させて、上部爪52b及び下部爪52cの間で接合テープTの先端を把持する。接合テープTの先端を把持する際のチャック52の軸方向位置及び高さは予め制御部に記憶されている。チャック52を、図5Dに示す軸方向一端側の鎖線の位置から、軸方向他端側の実線の位置まで移動させる。これにより、接合テープTの先端は軸方向他端側へ移動し、接合テープTの先端が所定の位置に達した際にチャック52の移動が停止する。このとき、非貼着面b’はロール側、粘着力を有する貼着面a’がロールの外径側となる。このとき、テープ吸引部44は、接合テープTを吸着して保持している。また、チャック52の移動が停止した後、吸着部31によってロールSの表面に接合テープTを吸着させてもよい。
【0051】
チャック52の上部爪52b及び下部爪52cは、図6に示すように、チャック52の移動方向(ロールSの軸方向)に対して直交する断面において、接合テープTの幅方向に沿って湾曲している。この実施形態では、上部爪52bの下面及び下部爪52cの上面が、それぞれ接合テープTの幅方向中央が上方へ突出するように湾曲している。これにより、接合テープTの保持をより安定したものとしている。なお、上部爪52bの下面及び下部爪52cの上面の湾曲方向を逆にして、それぞれ接合テープTの幅方向中央が下方へ突出するように湾曲させてもよい。
【0052】
次に、図5Eに示すように、接合テープ切断装置60及び接合テープ押さえ装置70を動作させる。
【0053】
接合テープ切断装置60は、下方に突出する切断刃61を備えている。接合テープ切断装置60は、フレームFに設けたガイド62に案内されて軸方向へ移動するとともに、任意の位置で上下方向に移動することができる。接合テープ切断装置60の軸方向移動及び上下方向移動は、自身が備えるモータ等の駆動装置(図示せず)によって行うことができる。その上下方向移動によって、接合テープ切断装置60は、ロールS上の所定位置に至った接合テープTの後端を切断することができる。なお、この切断位置は、旧ウエブW1又は新ウエブW2の幅方向一端側の端縁に合致する位置としている。切断箇所よりもテープ巻出装置41側の接合テープTは、次回に旧ウエブW1と新ウエブW2を継ぐ際に利用される。すなわち、その切断箇所の接合テープTの先端が、次回の作業においてチャック52によって把持されることになる。
【0054】
つぎに、接合テープ押さえ装置70は、接合テープTの切断箇所を押圧することで、接合テープTの切断縁における吸着部31からの浮き上がりを修正する。この押圧は、接合テープ押さえ装置70が下向きに突出して備える押さえ部71によって行われる。この実施形態では、押さえ部71は、ロールSの軸方向に沿ってそのロールSの外面に触れながら転動するローラ(以下、ローラ71と称する)としている。ここで、接合テープ切断装置60は、接合テープTを掴んだまま引っ張った状態で、その接合テープTを切断する。このため、テープ吸引部44によって基材を吸着させることで、切断時における基材の移動(接合テープTが切断刃61側へ引っ張られることや、供給部40側へ戻ること)を防止している。なお、押さえ部71は非粘着性の素材とし、接合テープTの粘着力に対して接着しないようになっている。
【0055】
図5Eに示すように、接合テープ切断装置60及び接合テープ押さえ装置70は、一体に軸方向へ移動する動作ユニットVを構成している。まず、動作ユニットVが横方向へ移動して、概ねの位置合わせをする。接合テープTの切断時は、切断刃61が下降して接合テープTを切断する。同時にローラ71が下降して接合テープTを押圧する。その後、切断刃61は上昇する。接合テープTを押圧する際に、ローラ71は回転しながら軸方向へ移動する。ローラ71の軸方向移動は、動作ユニットV全体を移動させることなく、接合テープ押さえ装置70が備えるスライド機構によって可能である。接合テープ押さえ装置70の作用により、接合テープTが浮き上がりなく吸着部31に吸着していれば、旧ウエブW1及び新ウエブW2の継ぎ箇所の仕上がり精度が向上する。最後に、図5Fに示すように、接合テープ切断装置60及び接合テープ押さえ装置70を上昇させ、接合テープTの吸着作業を終了する。
【0056】
なお、ロールSが転移ロール16である場合は、吸着部31に接合テープTを吸着させる作業の前段で、新ウエブW2の先端がロールSに巻き付けられた状態となっている。そして、接合テープTの幅方向の中央線が、新ウエブW2の切断端縁と一致するように、接合テープTが新ウエブW2に貼着されることになる。ロールSが上側貼り付けロール1である場合は、旧ウエブW1はロールSに巻き付けられていないので、接合テープTの全体がロールSの外周面に直接貼着されることになる。
【0057】
上記の実施形態では、ウエブ継ぎ装置Cが備える上側貼り付けロール1及び転移ロール16が、接合テープ供給装置Dを備えるロールSに相当するものとして、この発明の構成を説明した。ただし、この実施形態には限定されず、ウエブ同士を接合テープTを介して接続するために、ウエブに接するロールSの外周面に接合テープTを吸着させてロールSの回転とともにウエブに接合テープTを貼着する各種装置において、この発明の接合テープ供給装置Dを適用できる。また、上記の実施形態では、ウエブ(シート状物)Wとして、プラスチックフィルム、プラスチックシート等を想定して発明の構成を説明したが、それ以外にも、各種の樹脂素材、各種の可撓性のある素材からなるシートやフィルム等のように、ロール状に巻き取り可能な薄手状の素材であれば、この発明を適用できる。
【符号の説明】
【0058】
30 筒状部材
31a 貫通孔
40 供給部
43a,43b 挟持部材
44 テープ吸引部
50 引張動作部
51 ガイド
52 チャック
60 接合テープ切断装置
70 接合テープ押さえ装置
C ウエブ継ぎ装置
D 接合テープ供給装置
R 巻出装置
S ロール
T,T1,T2,T3 接合テープ
U 接合テープ送り出し部
V 動作ユニット
W1 旧ウエブ
W2 新ウエブ
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図3L
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6