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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057229
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】クーラントスルー切削工具
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/28 20060101AFI20240417BHJP
   B23B 27/10 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
B23C5/28
B23B27/10
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163825
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】505280299
【氏名又は名称】益壯企業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】陳 立誠
【テーマコード(参考)】
3C046
【Fターム(参考)】
3C046BB07
(57)【要約】
【課題】生産コストが低く、かつ冷却効果の高いクーラントスルー切削工具を提供することを目的としている。
【解決手段】クーラントスルー切削工具であって、柄部と切削部を含み、柄部は工作機械のシャンク穴に取り付けられる部位であって、長尺状を呈すると共にその外周壁面はシャンク穴の穴壁に密着に嵌合可能であり、柄部の外周壁面上にクーラントガイド溝が形成され、クーラントガイド溝は、柄部の長手方向に延び、シャンク穴の穴壁と組み合わせてクーラント流路を形成し、クーラント流路の一端がクーラント供給システムに連結され、切削部は、シャンク穴の外部に露出するように柄部の先端部に形成されると共に、切れ刃又は交換可能な切削チップを備え、クーラント供給システムからのクーラント液は、クーラントガイド溝により形成されたクーラント流路を介して切削部から吐出されることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械のシャンク穴に取り付けられる、クーラントスルー切削工具であって、柄部と切削部を含み、該工作機械具のシャンク穴の一端がクーラント供給システムに連結され、該切削工具が該シャンク穴の他端に取り付けられ、
前記柄部は、長尺状を呈すると共に、両端部はそれぞれ、柄先端部と柄後端部であり、該柄部の外周壁面と前記シャンク穴の穴壁とは密着嵌合され、該柄部の外周壁面上に、少なくとも一つのクーラントガイド溝が形成され、該各少なくとも一つのクーラントガイド溝は、該柄部の長手方向に延び、該シャンク穴の穴壁と組み合わせてクーラント流路を形成し、該クーラント流路の一端が前記クーラント供給システムに連結され、
前記切削部は、前記シャンク穴の外部に露出するように前記柄部の柄先端部に形成されると共に、少なくとも一つの切れ刃、又は少なくとも一つの交換可能な切削チップを備え、
前記クーラント供給システムからのクーラント液は、前記各少なくとも一つのクーラントガイド溝により形成されたクーラント流路を介して該切削部から吐出されることを特徴とするクーラントスルー切削工具。
【請求項2】
前記少なくとも一つのクーラントガイド溝の断面積が、前記柄部から前記切削部に向かって徐々に小さくなることを特徴とする請求項1に記載のクーラントスルー切削工具。
【請求項3】
前記各少なくとも一つのクーラントガイド溝が直線的に延びることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクーラントスルー切削工具。
【請求項4】
前記各少なくとも一つのクーラントガイド溝の一端は、前記柄後端部に延在し、該柄後端部の端面に開口が形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のクーラントスルー切削工具。
【請求項5】
前記切削部は円盤状を呈し、その直径は前記柄部の直径よりも大きく、該切削部上に複数の切れ刃が設置され、該複数の切れ刃が該切削部の外周壁面を囲繞に配置されることを特徴とする請求項1に記載のクーラントスルー切削工具。
【請求項6】
前記切削部はロッド状を呈し、その直径は前記柄部の直径よりも小さく、該切削部上に、前記少なくとも一つの切削チップが着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のクーラントスルー切削工具。
【請求項7】
前記各少なくとも一つのクーラントガイド溝の一端が、前記切削部まで延在することを特徴とする請求項1に記載のクーラントスルー切削工具。
【請求項8】
前記切削部はロッド状を呈し、その外環壁面上に前記複数の切れ刃が配設され、前記各少なくとも一つのクーラントガイド溝の一端が、該切削部に向かって、隣り合う該両切れ刃の間までに延在することを特徴とする請求項1に記載のクーラントスルー切削工具。
【請求項9】
前記切削部はロッド状を呈すると共に、その上に複数の切屑排出螺旋溝が形成され、前記各少なくとも一つのクーラントガイド溝の一端が、該切削部に向かって延び、前記複数の切屑排出螺旋溝のうちの一つに連結されることを特徴とする請求項1に記載のクーラントスルー切削工具。
【請求項10】
前記クーラントスルー切削工具がエンドミルであることを特徴とする請求項5から請求項9のいずれか1項に記載のクーラントスルー切削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械に適用される切削工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工作機械は切削加工時に大量の熱及び大量の切削屑が発生するため、加工時に切削加工箇所にクーラント液を噴出して冷却及び切削屑の除去を行う。
【0003】
一般的な工作機械では、クーラント液がクーラント供給管路を介して切削工具の近傍付近に送られ、独立した噴出ノズルから切削工具の切れ刃に噴出されるが、クーラント供給管路が工作機械の作業空間の一部を占有したり、あるいは加工中に干渉を引き起こしたりするので、使い勝手が悪かった。
【0004】
故に、図10及び図11に示すように、その後、クーラント供給管路及び噴出ノズルが干渉しやすいという問題を解消するために、内部にクーラント供給路911を有する切削工具91が開発された。このような切削工具91は、工作機械92(例えば、自動旋盤の主軸中心のクーラント供給システム)から供給されるクーラント液が、クーラント供給路911の内方側端部から切削工具に流入し、切削工具91の外周面の孔穴から切削加工箇所に噴出され、このような設計により、クーラント供給管路を設けるための空間を節約することができると共に、加工中の冷却効果及び切削屑の排除効果の向上を図ることができる。
【0005】
しかしながら、このようなクーラント供給路911を有する切削工具91は、以下に示すような欠点を有する。
【0006】
欠点1:切削工具91内のクーラント供給路911は、切削工具91に複数の長穴が穿設されているが、切削工具91は高硬度の金属材料からなることから、穿孔加工を施すことが困難であり、その結果、生産コストの上昇を招いてしまう。
【0007】
欠点2:切削工具91の外端には、交換可能な切削チップを装着するか、または、そのもの自体が切れ刃となっており、切削工具91の内部のクーラント供給路911は、その切削チップあるいは切れ刃を避けるために、切削工具91の内方側端部から外方側端部まで直線的に延びることができず、その外方側端部に近い位置で方向を変えざるを得なくなり、その結果、加工中に噴出されるクーラント液がワーク93によって遮られて切削加工箇所に到達できなくなる可能性があるので、冷却効果及び切削屑の排除効果の低下に繋がる。
【0008】
欠点3:上述したように、クーラント供給路911は、直線的に延びることができず、方向変更を強いられることから、流れ抵抗が高くなるので(つまり吐出量が少ない)、冷却効果及び切削屑の排除効果に更なる影響を及ぼしてしまう。
【0009】
よって、従来技術のクーラント供給路を有する切削工具は、改善する必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、生産コストが低く、かつ冷却効果及び切削屑の排除効果の高いクーラントスルー切削工具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、工作機械のシャンク穴に取り付けられる、クーラントスルー切削工具を提案しており、当該クーラントスルー切削工具は、柄部と切削部を含み、該工作機械具のシャンク穴の一端がクーラント供給システムに連結され、該切削工具が該シャンク穴の他端に取り付けられ、
前記柄部は、長尺状を呈すると共に、両端部はそれぞれ、柄先端部と柄後端部であり、該柄部の外周壁面と前記シャンク穴の穴壁とは密着嵌合され、該柄部の外周壁面上に、少なくとも一つのクーラントガイド溝が形成され、該各少なくとも一つのクーラントガイド溝は、該柄部の長手方向に延び、該シャンク穴の穴壁と組み合わせてクーラント流路を形成し、該クーラント流路の一端が前記クーラント供給システムに連結され、
前記切削部は、前記シャンク穴の外部に露出するように前記柄部の柄先端部に形成されると共に、少なくとも一つの切れ刃、又は少なくとも一つの交換可能な切削チップを備え、前記クーラント供給システムからのクーラント液は、前記各少なくとも一つのクーラントガイド溝により形成されたクーラント流路を介して該切削部から吐出されることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るクーラントスルー切削工具の使用方法は、既存の切削工具と同じである。尚、本発明に係るクーラントスルー切削工具は、クーラント供給システムを備えた工作機械、例えば主軸中心にクーラント供給手段を有するフライス盤の工作機械に装着されることにより、柄部のクーラントガイド溝がクーラント流路となることから、クーラントを吐出することが可能となる。
【0013】
前述した技術特徴によれば、本発明に係るクーラントスルー切削工具は、以下に示すような利点を有する。
【0014】
利点1:本発明に係るクーラントスルー切削工具は、その柄部の外周壁面上にクーラントガイド溝を加工形成するだけで、工作機械のシャンク穴の穴壁と組み合わせて通路(クーラント流路)とすることができることから、工作機械に取り付けられた後クーラントを吐出することが可能となるので、生産コストを大幅に削減することができる。具体的に説明すると、本発明に係るクーラントスルー切削工具は、従来技術における切削工具の中心に、穴あけ加工に代えて、外周壁面に溝入れ加工でクーラント吐出機能を実現することにより、外周壁面の溝入れ加工の難易度が穴あけ加工に比べてはるか低くなるので、生産コストを大幅に削減することができる。
【0015】
利点2:クーラントガイド溝が柄部の外周壁面上において、柄部の長手方向に沿って形成されることにより、クーラント液が自然に切れ刃あるいは切削チップに向かって吐出され(切削部が柄部よりも細い場合)、又は、切削部の外表面に沿って切れ刃あるいは切削チップに流れるので(切削部が柄部よりも太い場合)、切削加工中にワークの遮蔽によるクーラント液の冷却及び切屑排出効果の喪失を回避することができる。
【0016】
利点3:上述したように、本発明に係るクーラントガイド溝は、その加工形成位置及び加工形成形状により、簡単に直線的に加工形成することができ、該クーラントガイド溝を流れるクーラント液の流れ抵抗を最小限に抑えることができることから、従来技術における屈曲するように形成されたクーラント流路による流れ抵抗の損失を回避できるので、冷却及び切屑排出効果を向上させることができる。
【0017】
さらに、本発明に係るクーラントスルー切削工具の少なくとも一つのクーラントガイド溝の断面積が、前記柄部から前記切削部に向かって徐々に小さくなることを特徴とする。
【0018】
前記各少なくとも一つのクーラントガイド溝が直線的に延びることを特徴とする。
【0019】
前記各少なくとも一つのクーラントガイド溝の一端は、前記柄後端部に延在し、該柄後端部の端面に開口が形成されることを特徴とする。
【0020】
前記切削部は円盤状を呈し、その直径は前記柄部の直径よりも大きく、該切削部上に複数の切れ刃が設置され、該複数の切れ刃が該切削部の外周壁面を囲繞に配置されることを特徴とする。
【0021】
前記切削部はロッド状を呈し、その直径は前記柄部の直径よりも小さく、該切削部上に、前記少なくとも一つの切削チップが着脱可能に取り付けられることを特徴とする。
【0022】
前記各少なくとも一つのクーラントガイド溝の一端が、前記切削部まで延在することを特徴とする。
【0023】
前記切削部はロッド状を呈し、その外環壁面上に前記複数の切れ刃が配設され、前記各少なくとも一つのクーラントガイド溝の一端が、該切削部に向かって、隣り合う該両切れ刃の間までに延在することを特徴とする。
【0024】
前記切削部はロッド状を呈すると共に、その上に複数の切屑排出螺旋溝が形成され、前記各少なくとも一つのクーラントガイド溝の一端が、該切削部に向かって延び、前記複数の切屑排出螺旋溝のうちの一つに連結されることを特徴とする。
【0025】
本発明に係るクーラントスルー切削工具はエンドミルであることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1好適な実施例の斜視図である。
図2】本発明の第1好適な実施例を工作機械に用いた状態を示す側面視断面図である。
図3図2のA―A線断面図である。
図4】本発明の第1好適な実施例において、切削加工対象物のワークの側面に溝入れ加工を施した様子を示す側面視断面図である。
図5】本発明の第1好適な実施例において、クーラント供給システムと工具ホルダとの連結関係を示す模式図である。
図6】本発明の第2好適な実施例の側面図である。
図7A】本発明の第3好適な実施例の斜視図である。
図7B】本発明の第3好適な実施例の側面視断面図である。
図8】本発明の第4好適な実施例の側面図である。
図9】本発明の第5好適な実施例の側面図である。
図10】従来技術における内部にクーラント流路を有する切削工具により、切削加工対象物のワークの側面に溝入れ加工を施す様子を示した側面視断面図である。
図11】従来技術における他の内部にクーラント流路を有する切削工具を示す側面視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1図3及び図5に示すように、本発明のクーラントスルー切削工具10は、シャンク穴921の一端に挿設されており、当該シャンク穴921の他端は、クーラント供給システム922(図5を参照)に連結され、該クーラント供給システム922は、クーラント液をシャンク穴921に供給し、クーラントスルー切削工具10から吐出させる。
【0028】
尚、ここでの工作機械92はフライス盤であり、本発明に係るクーラントスルー切削工具10はエンドミルであることが好ましい。前記クーラントスルー切削工具10は、工具ホルダ923を介して工作機械92の主軸924に取り付けられる(図2を参照)。前記シャンク穴921は、工具ホルダ923を挿設するための貫通穴であり、前記クーラント供給システム922は、シャンク穴921に創設された工具ホルダ923の頂端部に連結され、シャンク穴921の上方開口にクーラント液を注入する。また、本発明のクーラントスルー切削工具10は、シャンク穴921の下方開口から上方に挿入して保持される。本実施例におけるクーラント供給システム922は、フライス盤の主軸中心にクーラント液を供給するシステムであるが、これは既存技術であるため、ここではそれに関する説明を省略する。
【0029】
前記クーラントスルー切削工具10は、柄部11及び切削部12を含み、該柄部11は、長尺状を呈するが、円棒状であることが好ましく、該柄部11の外周壁面とシャンク穴921の穴壁とは、嵌合によって密接状態で装着可能であることから、クーラントスルー切削工具10は工作機械92に強固に挟持固定される。
【0030】
前記柄部11の外周壁面上に複数のクーラントガイド溝111が形成されており、各クーラントガイド溝111は、柄部11の長手方向に沿って延設されていると共に、シャンク穴921の穴壁と組み合わせることによりクーラント流路112を形成する。クーラント流路112の一端には、クーラント供給システム922が接続されており、該クーラント供給システム922は、クーラント流路112のその端部にクーラント液を注入する。尚、本発明に係るクーラントガイド溝111は直線的に延びることが好ましい。また、本実施例におけるクーラントガイド溝111は、柄部11上のみに形成されているが、これに限定されるものではなく、必要に応じて切削部12まで延設されていてもよい。
【0031】
前記柄部11の両端部はそれぞれ、柄先端部113と柄後端部114であり、該柄後端部114はシャンク穴921内に差し込まれる。前記各クーラントガイド溝111の一端は、前記柄後端部114に向かって延びることにより、柄後端部114の端面に、クーラント液が流入するための開口が形成される。前記クーラントガイド溝111の他端は、柄先端部113まで延びることが好ましいが、これに限定されるものではなく、シャンク穴921から露出するまで延設されていれば、どのような構成であってもよい。
【0032】
前記切削部12は、シャンク穴921の外部に露出するように柄部11の柄先端部113に形成されると共に、一つまたは複数の切れ刃121を含む。具体的に説明すると、切削部12は円盤状を呈することが好ましく、切れ刃121は切削部12の外周壁面上に配設されている。尚、本実施例では、前記切削部12の直径が柄部11の直径よりも大きいため、切削部12はワーク93の側面に溝入れ加工を施すことができる。
【0033】
図4に示すように、クーラント供給システム922からのクーラント液は、各クーラントガイド溝111により形成されたクーラント流路112を介して切削部12から吐出され、該吐出されたクーラント液は、切削部12の外表面に沿って切れ刃121に流れ、該切削部12がワーク93の側面に溝入れ加工を施す際には、切削加工箇所にクーラント液が絶えず供給されており、冷却及び切屑の排出が途切れることなく行われる。
【0034】
尚、クーラントガイド溝111の断面積は、柄部11から切削部12に向かって徐々に縮小することが好ましく、クーラント流路112が徐々に狭くなることにより、クーラント流路112を流れるクーラント液の流速を増大させることができる。具体的に述べると、クーラントガイド溝111の幅及び/又は深さはいずれも、柄部11から切削部12に向かって漸減するが、これに限定されることではない。
【0035】
図6に示すように、本発明の第2の好適な実施例は、第1の好適な実施例とほぼ同じであるが、切削部12Aがロッド状を呈する点と、切削部12Aの直径が柄部11Aの直径よりも小さい点、切削部12A上に複数の切屑排出螺旋溝123Aが設けられる点において異なる。本実施例では、切削部12A自体に切れ刃が形成されておらず、代わりに切削部12Aに一つ又は複数の切削チップ122Aが着脱可能に取り付けられている。また、柄部11Aにおいては、各クーラントガイド溝111Aの両端がそれぞれ、柄後端部114Aの端面及び柄先端部113Aの端面まで延びることにより開口が形成される。尚、第2好適な実施例におけるクーラントスルー切削工具10Aは、エンドミル又はフェイスミルであることが好ましい。
【0036】
図7A及び図7Bに示すように、本発明の第3の好適な実施例は、第2の好適な実施例とほぼ同じであるが、切削部12Bがテーパ状を呈する点と、切削チップ122Bがクーラントスルー切削工具10Bの中心軸に沿って切削部12Bの外端部に着脱可能に取り付けられている点において異なる。また、本実施例のクーラントガイド溝111Bは、柄先端部113に延びてから、さらに切削部12Bまで延設されている。
【0037】
図8に示すように、本発明の第4の好適な実施例は、第2の好適な実施例とほぼ同じであるが、ロッド状の切削部12Cの外周面に複数の切れ刃121Cが形成されている点において異なる。尚、ここでの各切れ刃121Cは螺旋状に延びていることが好ましい。また、本実施例の各クーラントガイド溝111Cの一端は、柄先端部113Cに延びてから、さらに、切削部12C向かって隣り合う両切れ刃121Cの間まで延びている。
【0038】
より具体的に述べると、前記切削部12C上に複数の切屑排出螺旋溝123Cが形成されているが、好ましくは、該各切屑排出螺旋溝123Cは、隣り合う両切れ刃121Cの間に形成されると共に、各クーラントガイド溝111Cの一端が、うちの一つの切屑排出螺旋溝123Cと連結され、これにより、クーラント液による切屑排出効果を高めることができる。
【0039】
図9に示すように、本発明の第5の好適な実施例は、第2の好適な実施例とほぼ同じであり、各クーラントガイド溝111Dの両端がそれぞれ柄後端部114Dの端面及び柄先端部113Dの端面に延びて開口を形成しているが、本実施例の切削チップ122Dが円盤状であり交換可能である点において異なる。
【0040】
要するに、本発明に係るクーラントスルー切削工具10は、その柄部11の外周壁面上に加工形成されたクーラントガイド溝111を有することから、工作機械92に取り付けられるとクーラントを吐出することが可能となるので、生産コストを大幅に削減することができる。また、前記クーラントガイド溝111が柄部11の長手方向に沿って形成されることにより、クーラント液が自然に切れ刃121または切削チップ122Aに向かって吐出され(切削部12が柄部11よりも細い場合)、又は、切削部12の外表面に沿って切れ刃121または切削チップ122Aに流れるので(切削部12が柄部11よりも太い場合)、切削加工中にワークの遮蔽によるクーラント液の冷却及び切屑排出効果の喪失を回避することができる。さらに、クーラントガイド溝111が直線的に形成されていることにより、クーラント液の流れ抵抗を最小限に抑えることができるので、従来技術における、屈曲状に形成されたクーラント流路による流れ抵抗の損失を回避し、冷却及び切屑排出効果を向上させることができる。
【0041】
以上の説明は、本発明の好適な実施形態に過ぎず、本発明に対して何ら限定を行うものではない。本発明について、比較的好適な実施形態をもって上記のとおり開示したが、これは本発明を限定するものではなく、すべての当業者が、本発明の技術構想を逸脱しない範囲において、本発明の技術の本質に基づいて上記の実施形態に対して行ういかなる簡単な修正、変更及び修飾も、依然としてすべて本発明の技術構想の範囲内にある。
【符号の説明】
【0042】
10、10A、10B クーラントスルー切削工具
11、11A 柄部
111、111A、111B、111C、111D クーラントガイド溝
112 クーラント流路
113、113A、113B、113D 柄先端部
114、114A、114D 柄後端部
12、12A、12B、12C 切削部
121、121C 切れ刃
122A、122B、122D 切削チップ
123A、123C 切屑排出螺旋溝
91 切削工具
911 クーラント供給路
92 工作機械
921 シャンク穴
922 クーラント供給システム
923 工具ホルダ
924 主軸
93 ワーク
A-A 断面線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械のシャンク穴に取り付けられる、クーラントスルー切削工具であって、柄部と切削部を含み、該工作機械のシャンク穴の一端がクーラント供給システムに連結され、該クーラントスルー切削工具が該シャンク穴の他端に取り付けられ、
前記柄部は、長尺状を呈すると共に、両端部はそれぞれ、柄先端部と柄後端部であり、該柄部の外周壁面と前記シャンク穴の穴壁とは密着嵌合され、該柄部の外周壁面上に、少なくとも一つのクーラントガイド溝が形成され、該各少なくとも一つのクーラントガイド溝は、該柄部の長手方向に延び、該シャンク穴の穴壁と組み合わせてクーラント流路を形成し、該クーラント流路の一端が前記クーラント供給システムに連結され、
前記切削部は、前記シャンク穴の外部に露出するように前記柄部の柄先端部に形成されると共に、少なくとも一つの切れ刃、又は少なくとも一つの交換可能な切削チップを備え、
前記クーラントガイド溝の幅及び深さは、前記少なくとも一つのクーラントガイド溝の断面積が、前記柄後端部から前記切削部に向かって徐々に小さくなるように、前記柄部の柄後端部から切削部に向かって漸減し、そして、前記クーラント供給システムからのクーラント液は、前記各少なくとも一つのクーラントガイド溝により形成されたクーラント流路を介して該切削部から吐出されることを特徴とするクーラントスルー切削工具。
【請求項2】
前記各少なくとも一つのクーラントガイド溝が直線的に延びることを特徴とする請求項1に記載のクーラントスルー切削工具。
【請求項3】
前記各少なくとも一つのクーラントガイド溝の一端は、前記柄後端部に延在し、該柄後端部の端面に開口が形成されることを特徴とする請求項1に記載のクーラントスルー切削工具。
【請求項4】
前記切削部は円盤状を呈し、その直径は前記柄部の直径よりも大きく、該切削部上に複数の切れ刃が設置され、該複数の切れ刃が該切削部の外周壁面を囲繞するように配置されることを特徴とする請求項1に記載のクーラントスルー切削工具。
【請求項5】
前記切削部はロッド状を呈し、その直径は前記柄部の直径よりも小さく、該切削部上に、前記少なくとも一つの切削チップが着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のクーラントスルー切削工具。
【請求項6】
前記各少なくとも一つのクーラントガイド溝の一端が、前記切削部まで延在することを特徴とする請求項1に記載のクーラントスルー切削工具。
【請求項7】
前記切削部はロッド状を呈し、その外環壁面上に前記複数の切れ刃が配設され、前記各少なくとも一つのクーラントガイド溝の一端が、該切削部に向かって、隣り合う該両切れ刃の間までに延在することを特徴とする請求項1に記載のクーラントスルー切削工具。
【請求項8】
前記切削部はロッド状を呈すると共に、その上に複数の切屑排出螺旋溝が形成され、前記各少なくとも一つのクーラントガイド溝の一端が、該切削部に向かって延び、前記複数の切屑排出螺旋溝のうちの一つに連結されることを特徴とする請求項1に記載のクーラントスルー切削工具。
【請求項9】
前記クーラントスルー切削工具がエンドミルであることを特徴とする請求項5から請求項のいずれか1項に記載のクーラントスルー切削工具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
尚、クーラントガイド溝111の断面積は、柄部11の柄後端部114から切削部12に向かって徐々に縮小することが好ましく、クーラント流路112が徐々に狭くなることにより、クーラント流路112を流れるクーラント液の流速を増大させることができる。具体的に述べると、クーラントガイド溝111の幅及び/又は深さはいずれも、柄部11の柄後端部114から切削部12に向かって漸減するが、これに限定されることではない。