IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友重機械工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-極低温冷凍機の圧縮機 図1
  • 特開-極低温冷凍機の圧縮機 図2
  • 特開-極低温冷凍機の圧縮機 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057241
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】極低温冷凍機の圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 35/04 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
F04B35/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163846
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】平塚 善勝
【テーマコード(参考)】
3H076
【Fターム(参考)】
3H076AA02
3H076AA03
3H076BB38
3H076CC03
3H076CC28
3H076CC31
(57)【要約】
【課題】極低温冷凍機の圧縮機にガスばねを搭載しつつ小型化を可能にする。
【解決手段】極低温冷凍機10の圧縮機12は、圧縮機ハウジング20と、圧縮機ハウジング20に配置され、極低温冷凍機10の冷媒ガスの圧縮室22を両者間に形成する圧縮機ピストン24および圧縮機シリンダ26と、を備える。圧縮機ピストン24と圧縮機シリンダ26のうち一方が圧縮機ハウジング20に振動可能に支持された可動体であり、圧縮機ピストン24と圧縮機シリンダ26のうち他方が圧縮機ハウジング20に固定されている。可動体は、その内部にガスばね室32を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温冷凍機の圧縮機であって、
圧縮機ハウジングと、
前記圧縮機ハウジングに配置され、極低温冷凍機の冷媒ガスの圧縮室を両者間に形成する圧縮機ピストンおよび圧縮機シリンダと、を備え、
前記圧縮機ピストンと前記圧縮機シリンダのうち一方が前記圧縮機ハウジングに振動可能に支持された可動体であり、前記圧縮機ピストンと前記圧縮機シリンダのうち他方が前記圧縮機ハウジングに固定されており、
前記可動体は、その内部にガスばね室を有することを特徴とする極低温冷凍機の圧縮機。
【請求項2】
前記圧縮機ハウジングは、固定されたガスばね室ピストンを備え、
前記可動体は、前記ガスばね室を前記ガスばね室ピストンとの間に形成するガスばね室シリンダを備えることを特徴とする請求項1に記載の極低温冷凍機の圧縮機。
【請求項3】
前記圧縮機ハウジング内には、前記圧縮室から区画された冷媒ガス室が形成され、
前記ガスばね室ピストンは、前記ガスばね室を前記冷媒ガス室に接続する冷媒ガス流路を備え、
前記冷媒ガス流路には、流量調整器が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の極低温冷凍機の圧縮機。
【請求項4】
前記流量調整器は、前記圧縮機ハウジングの外から操作可能であることを特徴とする請求項3に記載の極低温冷凍機の圧縮機。
【請求項5】
前記可動体は、前記圧縮機シリンダであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の極低温冷凍機の圧縮機。
【請求項6】
前記可動体は、前記圧縮機ピストンであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の極低温冷凍機の圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極低温冷凍機、例えばスターリング型の極低温冷凍機に適する圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばスターリング冷凍機やスターリング型パルス管冷凍機など、スターリング型の極低温冷凍機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-92331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スターリング型の極低温冷凍機の小型化を目指すための一つの方策として、冷凍機の運転周波数、つまり圧縮機内で振動する振動体(ピストン、またはシリンダ)の共振周波数を高めることが考えられる。そのためには一般に、振動体を支持する板ばねなどの機械的ばねのばね定数を大きくする必要がある。しかし、これと小型化の両立には設計上の難しさがある。なぜなら、小型化により機械的ばねの設置スペースも小さくなり、ばね自体の小型化も求められるなかで、大きなばね定数を確保しようとすると、ばねに応力集中が生じやすくなるためである。
【0005】
そこで、振動体に作用するガスばねを追加し、ガスばねと機械的ばねの合計でばね定数を大きくすることが提案される。しかし、ガスばねの追加には相応の容積を要するので、これも極低温冷凍機の小型化に逆行しうる。
【0006】
本発明のある態様の例示的な目的のひとつは、極低温冷凍機の圧縮機にガスばねを搭載しつつ小型化を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によると、極低温冷凍機の圧縮機は、圧縮機ハウジングと、圧縮機ハウジングに配置され、極低温冷凍機の冷媒ガスの圧縮室を両者間に形成する圧縮機ピストンおよび圧縮機シリンダと、を備える。圧縮機ピストンと圧縮機シリンダのうち一方が圧縮機ハウジングに振動可能に支持された可動体であり、圧縮機ピストンと圧縮機シリンダのうち他方が圧縮機ハウジングに固定されている。可動体は、その内部にガスばね室を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、極低温冷凍機の圧縮機にガスばねを搭載しつつ、極低温冷凍機を小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係る極低温冷凍機を概略的に示す図である。
図2】変形例に係る極低温冷凍機の圧縮機を概略的に示す図である。
図3】他の実施の形態に係る極低温冷凍機の圧縮機を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。説明および図面において同一または同等の構成要素、部材、処理には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。図示される各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。実施の形態は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0011】
図1は、実施の形態に係る極低温冷凍機10を概略的に示す図である。この実施の形態では、極低温冷凍機10は、単段式のスターリング冷凍機であり、圧縮機12と、接続管14と、コールドヘッドとも称される膨張器16とを備える。
【0012】
圧縮機12は、一例として、対向して同軸に配置された2つの圧縮機ユニットを有する、いわゆる対向二気筒型のリニア圧縮機として構成されている。圧縮機12は、圧縮機ハウジング20と、圧縮機ハウジング20に配置され、極低温冷凍機10の冷媒ガスの圧縮室22を両者間に形成する圧縮機ピストン24および圧縮機シリンダ26と、圧縮機12を駆動する圧縮機モータ28とを備える。2つの圧縮機ユニットは合体され、圧縮機ハウジング20を共通としている。
【0013】
極低温冷凍機10の冷媒ガス(作動ガスとも呼ばれる)は、典型的にヘリウムガスが使用される。ただし、これに限られず、適切な他のガスを冷媒ガスとして用いることも可能である。冷媒ガスは、極低温冷凍機10内に充填され封入されている。
【0014】
圧縮機12においては、圧縮機ハウジング20が周囲圧力よりも高圧の冷媒ガスを気密に保持する圧力容器であり、冷媒ガスは圧縮機ハウジング20内に封入されている。また、圧縮機ハウジング20内には、圧縮室22から区画された冷媒ガス室30が形成される。圧縮室22は接続管14を通じて膨張器16に接続されるのに対して、冷媒ガス室30は圧縮機ハウジング20内の閉鎖空間である。冷媒ガス室30の圧力は、冷媒ガスの封入圧、言い換えれば圧縮室22での圧力振動の中間圧におおむね一致する。
【0015】
この実施の形態では、圧縮機12は、シリンダ可動型である。よって、圧縮機シリンダ26が圧縮機ハウジング20に振動可能に支持された可動体(振動体)であり、圧縮機ピストン24が圧縮機ハウジング20に固定されている。圧縮機シリンダ26は、圧縮機ハウジング20の内部容積を圧縮室22と冷媒ガス室30とに仕切る。圧縮室22は、圧縮機ピストン24内に形成されるガス通路を通じて接続管14に接続される。
【0016】
圧縮機シリンダ26と圧縮機ピストン24は同軸に配置され、圧縮機シリンダ26内に圧縮機ピストン24が挿入されている。圧縮機シリンダ26と圧縮機ピストン24はともに、軸方向(図1においては左右方向)に細長く延びている。圧縮機シリンダ26の振動方向は、圧縮機シリンダ26および圧縮機ピストン24の軸方向に一致する。
【0017】
圧縮機シリンダ26は、その内部にガスばね室32を有する。ガスばね室32は、ガスばね室ピストン34とガスばね室シリンダ36との間に形成され、冷媒ガス室30から区画されている。ガスばね室ピストン34とガスばね室シリンダ36は、圧縮機シリンダ26に対して圧縮機ピストン24とは反対側で、冷媒ガス室30に配置されている。
【0018】
ガスばね室ピストン34は、圧縮機ハウジング20に固定されている。圧縮機ピストン24が圧縮機ハウジング20の軸方向中央部に配置されるのに対して、ガスばね室ピストン34は圧縮機ハウジング20の軸方向端部に配置されている。ガスばね室ピストン34は、圧縮機ハウジング20に一体形成されていてもよい。
【0019】
ガスばね室シリンダ36は、圧縮機シリンダ26に対して圧縮機ピストン24とは反対側で、圧縮機シリンダ26に固定されている。ガスばね室シリンダ36は、圧縮機ハウジング20内で圧縮機シリンダ26ともに移動可能である。ガスばね室シリンダ36は、圧縮機シリンダ26と背向しており、ガスばね室ピストン34が内部に挿入されている。ガスばね室シリンダ36およびガスばね室シリンダ36は、圧縮機ピストン24および圧縮機シリンダ26と同軸に配置されている。ガスばね室シリンダ36は、圧縮機シリンダ26に一体形成されていてもよい。
【0020】
圧縮機12が駆動されるときガスばね室32の圧力は変動するが、圧縮機12が動作していないときのガスばね室32の圧力は冷媒ガス室30の圧力に等しい。ガスばね室32は、ガスばね室ピストン34とガスばね室シリンダ36との間のクリアランスを通じて冷媒ガス室30に連通していてもよい。
【0021】
圧縮機モータ28は、その駆動により圧縮機シリンダ26を振動させて圧縮室22に冷媒ガスの圧力振動を生成するように構成される。圧縮機モータ28は、圧縮機ハウジング20に取り付けられ、冷媒ガス室30に配置されている。
【0022】
圧縮機モータ28は、一例として、磁石可動式のリニア振動アクチュエータである。圧縮機モータ28は、内ヨーク28a、永久磁石28b、コイル28c、外ヨーク28d、ヨーク支持体28eを有する。よって、圧縮機モータ28の可動部は、永久磁石28bにより構成され、圧縮機モータ28の静止部は、内ヨーク28a、コイル28c、外ヨーク28d、ヨーク支持体28eにより構成される。
【0023】
圧縮機モータ28のこれら構成要素は、圧縮機シリンダ26を囲むようにして圧縮機シリンダ26と同軸に配置されている。圧縮機シリンダ26が圧縮機12の中心軸上に位置し、そこから径方向に外側に向かって、内ヨーク28a、永久磁石28b、コイル28c、外ヨーク28dの順に配置されている。内ヨーク28aと外ヨーク28dは、ヨーク支持体28eに固定されている。永久磁石28bは、内ヨーク28aと外ヨーク28dの間に配置されるように圧縮機シリンダ26に固定されており、圧縮機シリンダ26は永久磁石28bと一体に移動可能である。ヨーク支持体28eは、圧縮機ハウジング20に固定されている。
【0024】
なお、外ヨーク28d及び/またはヨーク支持体28eは、圧縮機ハウジング20の一部であってもよく、例えば、周囲環境から冷媒ガス室30を隔離する圧縮機ハウジング20の圧力隔壁の一部を構成してもよい。
【0025】
圧縮機シリンダ26は、支持構造、例えばフレクシャベアリング38を介して圧縮機ハウジング20に連結されている。フレクシャベアリング38は例えば、冷媒ガス室30に配置された1つ又は複数の板ばねを備えており、板ばねは、圧縮機シリンダ26の振動方向(すなわち軸方向)に柔軟であり、振動方向に垂直な方向(例えば、径方向、周方向)に剛である。よって、圧縮機シリンダ26は、フレクシャベアリング38を介して、径方向および周方向の変位は規制されつつ軸方向には変位できるように圧縮機ハウジング20に弾性的に支持される。この実施の形態では、圧縮機シリンダ26ごとに2つのフレクシャベアリング38が設けられ、一方のフレクシャベアリング38が圧縮機シリンダ26を、他方がガスばね室シリンダ36を支持している。
【0026】
接続管14は、圧縮機12を膨張器16に接続する。すなわち、接続管14を通じて、圧縮機12と膨張器16との間で相互に双方向に冷媒ガスを流すことができるように圧縮機12と膨張器16とが接続される。よって、圧縮機12により生成される冷媒ガスの圧力振動は、接続管14を介して膨張器16に伝達され、それにより膨張器16内に圧力振動を誘起することができる。なお、接続管14は、フレキシブル管であってもよいし、剛性管であってもよい。
【0027】
膨張器16は、公知の構成を適宜採用しうる。よって、膨張器16の具体的な内部構成について、ここでは詳述しない。
【0028】
このような構成により、圧縮機12において圧縮機モータ28のコイル28cに交流電流が供給されるとコイル28cの周りに交番磁場が発生し、この磁場と永久磁石28bとの磁気的な相互作用によって、永久磁石28bとともに圧縮機シリンダ26が駆動される。すなわち、圧縮機モータ28は、圧縮機ハウジング20に対して圧縮機シリンダ26をその長手方向に振動させる。それにより圧縮室22の容積が振動的に増減し、圧縮室22内の冷媒ガスの圧力振動が生成される。一例として、圧力振動の平均圧力は例えばメガパスカルのオーダ、例えば約1~3MPaの範囲にあり、圧力振幅は例えば約0.5~1MPa以内の範囲にあり、周波数は例えば約50~60Hzの範囲にあってもよい。
【0029】
圧縮室22での冷媒ガスの圧力振動は、接続管14を介して膨張器16に伝達される。圧縮機12と膨張器16との間に冷凍サイクル(例えば、具体的には、逆スターリングサイクル)が構成され、極低温冷凍機10は、極低温冷却を提供することができる。
【0030】
この実施の形態では、圧縮機12にガスばね室32が設けられている。ガスばね室32は、圧縮機モータ28によって圧縮機12が駆動されるとき、内部の冷媒ガス圧が圧縮機シリンダ26に作用するガスばねとして働く。圧縮機シリンダ26を振動体とする共振系のばね定数は、このガスばねとフレクシャベアリング38との合計により増加される。フレクシャベアリング38への負荷の増大を抑えながら、共振周波数を高め、すなわち極低温冷凍機10の運転周波数を高めることができる。これは、より小型の冷凍機で同じ冷凍能力を出すことが可能となることを意味するから、極低温冷凍機10の小型化に役立つ。
【0031】
ガスばねを設置するための別の設計案として、圧縮機ハウジングの端部にガスばね室を追加的に付加することが考えられる。この場合、追加されるガスばね室の分だけ圧縮機ハウジングが軸方向に延長されるか、ハウジング端部にガスばね室に相当する出っ張りが形成され、圧縮機ハウジングの大型化を招きがちである。
【0032】
これに対して、実施の形態では、ガスばね室32は、圧縮機シリンダ26の内部に設けられている。このようにすれば、内部スペースを有効利用して圧縮機ハウジング20の大型化を避けつつ圧縮機12にガスばね室32を組み込むことができる。
【0033】
図2は、変形例に係る極低温冷凍機の圧縮機12を概略的に示す図である。上述の実施の形態と同様に、圧縮機シリンダ26は、その内部にガスばね室32を有する。ガスばね室32は、圧縮機ハウジング20に固定されたガスばね室ピストン34と圧縮機シリンダ26に固定されたガスばね室シリンダ36との間に形成されている。
【0034】
ガスばね室32のばね定数を調節可能であることが望ましい。そこで、図2に示されるように、ガスばね室ピストン34は、ガスばね室32を冷媒ガス室30に接続する冷媒ガス流路40を備え、冷媒ガス流路40には、流量調整器42が設けられてもよい。流量調整器42は、圧縮機ハウジング20に設置されてもよい。流量調整器42は、例えば、冷媒ガス流路40に配置されたニードル弁体42aを有するニードル弁であってもよい。
【0035】
流量調整器42は、圧縮機ハウジング20の外から操作可能であってもよい。例えば、流量調整器42がニードル弁である場合、流量調整器42は、圧縮機ハウジング20の外側に設けられた調整ねじなどの操作部42bを備えてもよい。圧縮機ハウジング20の外から操作部42bを操作することにより、冷媒ガス流路40内でニードル弁体42aを進退させ、冷媒ガス流路40の冷媒ガス流量を調整することができる。
【0036】
流量調整器42を用いて、ガスばね室シリンダ36の振動によりガスばね室32の容積が増減するときの冷媒ガス流路40の冷媒ガス流量を調整し、ガスばね室32のばね定数を調節することができる。これにより圧縮機シリンダ26の共振周波数ひいては極低温冷凍機の運転周波数を変更し、極低温冷凍機の冷凍能力を向上または最適化することができる。流量調整器42は圧縮機ハウジング20の外から操作することができ、この調節作業を行ううえで便利である。
【0037】
図3は、他の実施の形態に係る極低温冷凍機10の圧縮機12を概略的に示す図である。上述の実施の形態では、圧縮機12がシリンダ可動型である場合を例として説明したが、図3に示されるように、圧縮機12は、ピストン可動型であってもよい。ガスばね室32は、ピストン可動型の圧縮機12に適用されてもよい。
【0038】
圧縮機12は、対向して同軸に配置された2つの圧縮機ユニットを有する、いわゆる対向二気筒型のリニア圧縮機として構成されている。圧縮機12は、圧縮機ハウジング20と、圧縮機ハウジング20に配置され、極低温冷凍機10の冷媒ガスの圧縮室22を両者間に形成する圧縮機ピストン24および圧縮機シリンダ26と、圧縮機12を駆動する圧縮機モータ28とを備える。
【0039】
圧縮機ピストン24が圧縮機ハウジング20に振動可能に支持された可動体(振動体)であり、圧縮機シリンダ26が圧縮機ハウジング20に固定されている。圧縮機シリンダ26は、圧縮機ハウジング20の一部であってもよい。圧縮機ハウジング20内には、圧縮機ピストン24によって圧縮室22から区画された冷媒ガス室30が形成される。圧縮室22は、接続管14に接続されている。
【0040】
圧縮機ピストン24は、その内部にガスばね室32を有する。ガスばね室32は、ガスばね室ピストン34とガスばね室シリンダ36との間に形成され、冷媒ガス室30から区画されている。ガスばね室ピストン34は、圧縮機ハウジング20に固定されている。ガスばね室シリンダ36は、圧縮室22とは反対側で圧縮機ピストン24の端部に形成され、ガスばね室ピストン34が内部に挿入されている。
【0041】
圧縮機モータ28は、圧縮機ハウジング20に取り付けられ、冷媒ガス室30に配置されている。上述の実施の形態と同様に、圧縮機モータ28は一例として、磁石可動式のリニア振動アクチュエータであり、内ヨーク28a、永久磁石28b、コイル28c、外ヨーク28dを有する。圧縮機ピストン24およびガスばね室シリンダ36は、フレクシャベアリング38を介して圧縮機ハウジング20に連結されている。
【0042】
ガスばね室32は、圧縮機モータ28によって圧縮機12が駆動されるとき、内部の冷媒ガス圧が振動する圧縮機ピストン24に作用するガスばねとして働く。このようにしても、上述の実施の形態と同様に、極低温冷凍機10の圧縮機12にガスばねを搭載しつつ、極低温冷凍機10を小型化することが可能となる。
【0043】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。ある実施の形態に関連して説明した種々の特徴は、他の実施の形態にも適用可能である。組合せによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態それぞれの効果をあわせもつ。
【0044】
図3に示される実施の形態においても、図2の実施の形態と同様に、ガスばね室ピストン34は、ガスばね室32を冷媒ガス室30に接続する冷媒ガス流路40を備え、冷媒ガス流路40には、流量調整器42が設けられてもよい。流量調整器42は、例えば、冷媒ガス流路40に配置されたニードル弁体42aを有するニードル弁であってもよい。流量調整器42は、圧縮機ハウジング20の外から操作可能であってもよい。例えば、流量調整器42がニードル弁である場合、流量調整器42は、圧縮機ハウジング20の外側に設けられた調整ねじなどの操作部42bを備えてもよい。
【0045】
上述の実施の形態では、単段式のスターリング型の極低温冷凍機を例として説明しているが、ある実施の形態においては、極低温冷凍機10は、二段式のスターリング型の極低温冷凍機(すなわち、二段式のスターリング冷凍機、または二段式のスターリング型パルス管冷凍機)として構成することも可能である。
【0046】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用の一側面を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0047】
10 極低温冷凍機、 12 圧縮機、 20 圧縮機ハウジング、 22 圧縮室、 24 圧縮機ピストン、 26 圧縮機シリンダ、 30 冷媒ガス室、 32 ガスばね室、 34 ガスばね室ピストン、 36 ガスばね室シリンダ、 40 冷媒ガス流路、 42 流量調整器。
図1
図2
図3