(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057243
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】防水装置及び開閉装置
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20240417BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20240417BHJP
E06B 9/24 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B9/17 Z
E06B9/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163849
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】藤森 英樹
(72)【発明者】
【氏名】真部 尚美
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛史
(72)【発明者】
【氏名】本庄 俊章
【テーマコード(参考)】
2E239
【Fターム(参考)】
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して設置することができる防水装置の提供。
【解決手段】開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して設置される防水装置であって、前記開口部の少なくとも下部側を覆うことで、前記開口部の少なくとも下部側の防水性を向上する止水シート11と、前記開口部を上下方向に開閉する開閉体(シャッターカーテンS)を設置するための枠体(シャッター枠の竪枠22,下枠23)に対して、少なくとも止水シート11の一部を止水可能に取り付ける取付部材12と、を備える防水装置1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して設置される防水装置であって、
前記開口部の少なくとも下部側を覆うことで、前記開口部の少なくとも下部側の防水性を向上する止水シートと、
前記開口部を上下方向に開閉する開閉体を設置するための枠体に対して、少なくとも前記止水シートの一部を止水可能に取り付ける取付部材と、を備える防水装置。
【請求項2】
前記取付部材が、前記止水シートを前記枠体に対して押さえつける押さえ部材であり、前記開口部の周囲の部材に対して取り付けられる、請求項1に記載の防水装置。
【請求項3】
前記押さえ部材の取り付け位置の室外側への出幅を調整する出幅調整部材を備える、請求項2に記載の防水装置。
【請求項4】
前記取付部材が、前記止水シートを前記枠体に対して押さえつける押さえ部材であり、前記枠体に対して取り付けられる、請求項1に記載の防水装置。
【請求項5】
前記取付部材が、前記枠体に対して磁力によって取り付けられる、請求項1に記載の防水装置。
【請求項6】
前記取付部材が、前記枠体と前記開閉体の間に挿入されて、前記枠体と前記開閉体の間を止水するように構成された隙間止水取付部材である、請求項1に記載の防水装置。
【請求項7】
前記隙間止水取付部材が、弾性及び遮水性を有する部材で形成され、水平断面における断面形状においてくさび形状を有する、請求項6に記載の防水装置。
【請求項8】
前記枠体の少なくとも下部側を覆い、前記隙間止水取付部材から前記開口部周辺の部材までの間の止水をする枠体カバーを有する、請求項6に記載の防水装置。
【請求項9】
前記止水シートを、シートをコンパクト化した収納状態からシートを展開した展開状態とすることができるように保持するシート保持部を備える、請求項1に記載の防水装置。
【請求項10】
前記シート保持部が、前記止水シートを巻き取る、回転可能な巻き芯を備えている、請求項9に記載の防水装置。
【請求項11】
前記シート保持部が、前記収納状態において前記止水シートを内部に収めるケース部材を備える、請求項9に記載の防水装置。
【請求項12】
前記シート保持部が、前記開口部の下部に設置されるものである、請求項9に記載の防水装置。
【請求項13】
前記シート保持部が、前記開口部の側部又は上部に設置されるものである、請求項9に記載の防水装置。
【請求項14】
前記止水シート若しくは前記止水シートと連続して設けられるシート状部材によって、前記開口部の全体を覆うことができることにより、遮光スクリーンとしても機能するように構成されている、請求項9に記載の防水装置。
【請求項15】
請求項1から14の何れかに記載の防水装置を備えた開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して設置される防水装置及び当該防水装置を備えた開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水害時における、建物等の開口部からの浸水を抑止若しくは低減させるための、開口部に設置する防水装置若しくは止水装置(以下「防水装置」という)が用いられている。
特許文献1には、このような防水装置として、防水シート若しくは止水シートを用いるものに関する技術が開示されており、特許文献2には、防水板を用いるものに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-140563号公報
【特許文献2】特開2017-061793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の防水装置は、建物等の開口部のうち、特に入口(即ち、基本的に開口の下端が地面と略同一レベルである箇所)に設けられるものであり、建物等の窓(開口の下端が地面よりも高い位置に形成されている開口部)に対して設けられる防水装置はなかった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して設置することができる防水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して設置される防水装置であって、前記開口部の少なくとも下部側を覆うことで、前記開口部の少なくとも下部側の防水性を向上する止水シートと、前記開口部を上下方向に開閉する開閉体を設置するための枠体に対して、少なくとも前記止水シートの一部を止水可能に取り付ける取付部材と、を備える防水装置。
【0007】
(構成2)
前記取付部材が、前記止水シートを前記枠体に対して押さえつける押さえ部材であり、前記開口部の周囲の部材に対して取り付けられる、構成1に記載の防水装置。
【0008】
(構成3)
前記押さえ部材の取り付け位置の室外側への出幅を調整する出幅調整部材を備える、構成2に記載の防水装置。
【0009】
(構成4)
前記取付部材が、前記止水シートを前記枠体に対して押さえつける押さえ部材であり、前記枠体に対して取り付けられる、構成1に記載の防水装置。
【0010】
(構成5)
前記取付部材が、前記枠体に対して磁力によって取り付けられる、構成1又は4に記載の防水装置。
【0011】
(構成6)
前記取付部材が、前記枠体と前記開閉体の間に挿入されて、前記枠体と前記開閉体の間を止水するように構成された隙間止水取付部材である、構成1に記載の防水装置。
【0012】
(構成7)
前記隙間止水取付部材が、弾性及び遮水性を有する部材で形成され、水平断面における断面形状においてくさび形状を有する、構成6に記載の防水装置。
【0013】
(構成8)
前記枠体の少なくとも下部側を覆い、前記隙間止水取付部材から前記開口部周辺の部材までの間の止水をする枠体カバーを有する、構成6又は7に記載の防水装置。
【0014】
(構成9)
前記止水シートを、シートをコンパクト化した収納状態からシートを展開した展開状態とすることができるように保持するシート保持部を備える、構成1から8の何れかに記載の防水装置。
【0015】
(構成10)
前記シート保持部が、前記止水シートを巻き取る、回転可能な巻き芯を備えている、構成9に記載の防水装置。
【0016】
(構成11)
前記シート保持部が、前記収納状態において前記止水シートを内部に収めるケース部材を備える、構成9又は10に記載の防水装置。
【0017】
(構成12)
前記シート保持部が、前記開口部の下部に設置されるものである、構成9から11の何れかに記載の防水装置。
【0018】
(構成13)
前記シート保持部が、前記開口部の側部又は上部に設置されるものである、構成9から11の何れかに記載の防水装置。
【0019】
(構成14)
前記止水シート若しくは前記止水シートと連続して設けられるシート状部材によって、前記開口部の全体を覆うことができることにより、遮光スクリーンとしても機能するように構成されている、構成9から13の何れかに記載の防水装置。
【0020】
(構成15)
構成1から14の何れかに記載の防水装置を備えた開閉装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明の防水装置若しくはこれを備えた開閉装置によれば、開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して防水装置を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る実施形態1の防水装置の取り付け状態を示す概略垂直断面図
【
図2】実施形態1の防水装置の取り付け状態を示す概略水平断面図
【
図6】実施形態2の防水装置の取り付け状態を示す概略垂直断面図
【
図7】実施形態2の防水装置の取り付け状態を示す概略水平断面図
【
図10】実施形態3の防水装置の取り付け状態を示す概略垂直断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0024】
<実施形態1>
図1、2は、本発明に係る実施形態1の防水装置を窓シャッターに取り付けた状態を示す概略図であり、
図1:概略垂直断面図、
図2:概略水平断面図である。
本実施形態の防水装置1は、家屋の掃き出し窓に設けられた窓シャッター(開閉装置)に対して設置される防水装置であって、窓シャッターの少なくとも下部側を覆うことで、窓シャッターの少なくとも下部側の防水性を向上する止水シートと、シャッターカーテン(開口部を上下方向に開閉する開閉体)を設置するためのシャッター枠(枠体)に対して、少なくとも止水シートの一部を止水可能に取り付ける取付部材と、を備えている。掃き出し窓は、「開口の下端が地面より高い位置にある開口部」を構成するものであり、掃き出し窓に設けられる窓シャッターは、「開口の下端が地面より高い位置にある開口部」に設置されているものである。
【0025】
窓シャッター2は、上部に位置するシャッターケース21と、シャッターカーテンSの開閉動作(上下動)を両サイドでガイドするガイドレール221を有する竪枠22と、下枠23と、を有するシャッター枠(枠体)と、を備え、家屋の壁に形成された開口部に設けられたサッシ窓等の掃き出し窓部分(特に図示せず)に設置される(例えば、シャッター枠がサッシ枠に対して取り付けられる)。
シャッターケース21の内部には、スプリングシャフト等を備えることによりシャッターカーテンSの重量をキャンセル若しくは軽減して巻き取る、巻取り機構が備えられている。
なお、窓シャッター自体は、シャッター枠を有する従来の任意の窓シャッターに対して、本実施形態の防水装置の概念を適用できるものであるため、巻取り機構やその他の窓シャッター自体の構造に関するこれ以上の詳しい説明を省略する。同様に、サッシ窓についても従来の任意のサッシ窓を利用できるものであるため、ここでの図示や説明を省略する。
【0026】
本実施形態の防水装置1は、
止水シート11と、
シャッター枠(枠体)に対して止水シート11を取り付ける取付部材であり、止水シート11をシャッター枠(枠体)に対して押さえつける押さえ部材12と、
止水シート11と押さえ部材12との間に設けられるシール部材121と、
押さえ部材12の取り付け位置の室外側への出幅を調整する出幅調整部材13と、
を備え、シャッター枠(枠体)に対して設置されて、窓シャッター(開口部)の下部側を止水するものである。
【0027】
止水シート11の基本的な態様は、正面視で(
図1の左側からみた場合、
図2では上側から見た場合に)略矩形の部材であり、例えばポリ塩化ビニル等の、遮水性及び可撓性を有する部材で形成されている。
止水シート11は、平時においては取り付けられておらず、水害予想時等において、押さえ部材12を用いてシャッター枠に対して取り付けられるものである。
【0028】
押さえ部材12は、止水シート11の両サイドと下端にわたる止水シート11の三方に対して連続して設けられ、止水シート11の端部をシャッター枠(枠体)に対して押さえつける部材であり、正面視でU字状(シャッター枠の両竪枠22と下枠23に沿った形状)の部材である。
押さえ部材12は、止水シート11を押さえる押さえ面123と、開口部の周囲の部材(本実施形態では壁面W)に対する取り付けを行うための取付面122と、を有し、断面視でクランク状の形状を有している。
押さえ面123の室内側にはシール部材121が備えられている。シール部材は遮水性を有しており、また、弾性を有していることが好ましく、軟質ゴム、発泡ゴムやウレタンなどの樹脂を用いて形成される。また、水膨張材(水を吸うことで膨張して隙間をふさぎ、止水する部材)を用いてもよい(以下の各シール部材についても同様である)。
【0029】
出幅調整部材13は、押さえ部材12を開口部の周囲の部材(本実施形態では壁面W)に取り付ける際に、シャッター枠の壁面に対する出幅の相違を吸収させるための部材であり、本実施形態ではアジャスターボルト131とこれと螺合するナット132によって構成されている。アジャスターボルト131が壁面Wに対して固定され、ボルト部分が押さえ部材12の取付面122に形成された取付穴に挿通されて、ナット132を螺合することで、押さえ部材12の取り付けが行われるものである。出幅調整部材13は、正面視でU字状の押さえ部材12に対して、両サイドの上下方向に複数個所、及び、下端の幅方向に複数個所設けられる。
【0030】
上記構成により、止水シート11がシャッター枠に対して止水可能に取り付けられ、窓シャッター(開口部)の下部側(止水シート11が設けられる範囲)が止水される。
以上のごとく、本実施形態によれば、開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して防水装置を設置することができる。窓シャッター自体(或いは、サッシ窓)の構成は従来のもののままとすることが可能であり、既存の窓シャッター製品に対して安価かつ手軽に止水対策を行うことが可能である。
近年の水害による被害の甚大化に伴い、床上浸水の被害も増大しており、床上浸水の被害を防止若しくは低減することのニーズが高まっている。床上浸水の被害を防止若しくは低減するためには、掃き出し窓における止水が不可欠である。本実施形態の防水装置1によれば、窓シャッターを有する掃き出し窓に対して、安価かつ手軽に止水対策を行うことができるため、非常に有用である。
【0031】
なお、本実施形態では、出幅調整部材として、アジャスターボルトを用いるものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、押さえ部材の開口部の周囲の部材に対する取り付け位置の室外側への出幅を調整することが可能な任意の機構を用いることができる。
図3には、出幅調整部材の別の一例を示した。
図3の出幅調整部材13´は、開口部の周囲の部材に固定されるナットボルト131´と、取付面122に形成された取付穴に挿通され、ナットボルト131´に螺合するノブボルト132´によって構成されている。
【0032】
また、本実施形態では、押さえ部材が壁面Wに取り付けられるもの例としているが本発明をこれに限るものではなく、例えば、シャッター枠(枠体)に対して押さえ部材が取り付けられるもの等であってもよい。
図4には、このようなものの例を示した。
図4の例における押さえ部材12´は、シャッター枠に対する取り付けを行うための取付面122´を有しており、断面視でL字状の形状を有している点で実施形態1の押さえ部材12と相違し、その他の点においては、実施形態1の押さえ部材12と同様である。
取付面122´は、竪枠22の側面側(若しくは下枠23の底面側(図示せず))に面して、竪枠22(若しくは下枠23)に対してネジ止めされる。なお、固定方法をねじ止めに限るものではなく、取付面を竪枠(若しくは下枠)に固定することができる任意の固定方法を用いることができる。
【0033】
また、本実施形態では、押さえ部材によって止水シートを取り付けるものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、止水シートをシャッター枠に対して止水可能に取り付けることができる任意の方法を用いるものであって良い。
図5にはこのようなものの一例として、磁石によって止水シートをシャッター枠に取り付けるものの例を示した。
図5の例では、止水シート11の両サイドと下端にわたって連続して設けられた(止水シートの三方に設けられた)磁石111を有している。磁石111はネオジム等の強力な磁力を有する部材で構成され、シャッター枠との間の止水性能を持たせるために適宜被膜される等して止水シート11に対して取り付けられている。なお、磁石111が止水シート11に対して室外側に設けられるもの(止水シート11を磁石とシャッター枠で挟む構成)であってもよい。
シャッター枠自体が磁性体で形成されている場合や、シャッター枠の内部に設けられている補強材が磁性体である場合、
図5の例を用いることで、シンプルな防水装置とすることができる。
なお、シャッター枠が磁性体でない場合においても、シャッター枠の両サイドと下端にわたって連続して正面視でU字状となる磁性体の部材を、シール部材を介する等して止水可能にシャッター枠に対して取り付けることにより、
図5の例を用いることができる。この場合には、シャッター枠に取り付ける部材を磁石として、止水シート側を磁性体とするものであってもよい。
ここでは、止水シートをシャッター枠(枠体)に取り付けるための取付部材が磁力によって取り付けられるものを例としたが、止水シートをシャッター枠(枠体)に取り付ける取付部材として、ポリ塩化ビニルテープ等の止水可能なテープ部材を用いるものであってもよい。
【0034】
<実施形態2>
図6、7は、実施形態2の防水装置を窓シャッターに取り付けた状態を示す概略図であり、
図6:シャッター枠の下部付近を示す概略垂直断面図、
図7:概略水平断面図である。
本実施形態の防水装置1-2は、実施形態1と同様に窓シャッターに対して設置される防水装置である。窓シャッター自体については、その形状は実施形態1と相違しているが、その概念は実施形態1と同様であるため、実施形態1と同様の概念となる構成については同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0035】
本実施形態の防水装置1-2は、
止水シート11-2と、
止水シート11-2の取付部材であり、且つ、シャッター枠(枠体)とシャッターカーテンS(開閉体)の間に挿入されてこれらの間を止水するように構成された隙間止水取付部材112と、
隙間止水取付部材112から開口部周辺の部材(本実施形態では壁面W)までの間の止水をする枠体カバー14と、
止水シート11-2に対して室内側となる位置において下枠23に対して設けられ、止水シート11-2の下端側と面接触して、下部の止水を行う止水シート取付下枠17と、
枠体カバー14と開口部周辺の部材(本実施形態では壁面W)との間を止水するシール部材141、及び、枠体カバー14と隙間止水取付部材112との間を止水するシール部材142と、
を備え、シャッター枠(枠体)に対して設置されて、窓シャッター(開口部)の下部側を止水するものである。
【0036】
止水シート11-2自体は、実施形態1の止水シート11と同様に、正面視で略矩形の部材であり、遮水性及び可撓性を有する部材で形成されている。
止水シート11-2の幅方向(
図6における奥行方向、
図7における左右方向)の両端部には、隙間止水取付部材112が、止水シート11-2の上端から下端まで延在している。
隙間止水取付部材112は、シール部材であり、弾性及び遮水性を有する部材で形成され、
図7に示されるように、水平断面における断面形状において、それぞれ幅方向の両端を先端とした、くさび形状を有している。
当該くさび形状部分が、ガイドレール221のガイド溝と、これにガイドされているシャッターカーテンSとの間に押し込まれるように挿入されて、止水シート11-2の取り付けが行われる。隙間止水取付部材112がガイドレール221とシャッターカーテンSの間のすき間の形状にフィットするように弾性変形して、これらの間の止水が行われ、且つ、当該弾性変形によって生じる弾性力に基づく係合力によって、止水シート11-2の取り付けも行われるものである。
【0037】
枠体カバー14は、
図7に示されるように、開口部周辺の部材(本実施形態では壁面W)から、シャッター枠(竪枠22)を介して隙間止水取付部材112に至るまで、それぞれの部材に沿うような形状にて構成されている(枠体カバーの形状は、それぞれの部材の形状の別に応じて、適宜変更される得るものである)。
枠体カバー14と開口部周辺の部材(本実施形態では壁面W)との間にはシール部材141が設けられ、枠体カバー14と隙間止水取付部材112との間にはシール部材142が設けられることにより、開口部周辺の部材(本実施形態では壁面W)から隙間止水取付部材112に至る間の止水が行われる。
【0038】
止水シート取付下枠17は、下枠23に取り付けられた幅方向に延在する部材である。止水シート取付下枠17は、発泡材、発泡材付きアルミ、発泡材付き鋼材等によって形成され、幅方向の両端部において枠体カバー14と止水可能に接続されており、これにより両脇及び下方の三方において止水性を有している。
止水シート取付下枠17は、止水シート11-2に対して室内側に設けられており、水害時において水圧が室外側からかかると、当該水圧によって止水シート11-2が室内側へと押圧される。これによって止水シート11-2の下端部が止水シート取付下枠17に押し付けられて止水シート11-2の下端側と面接触して止水機能が発揮される。
なお、止水シート取付下枠17の下枠23に対する取り付けは、両者を止水可能に取り付けることができる任意の方法(例えば、ねじや接着による固定や、磁力を用いた固定など)を用いることができる。止水シート取付下枠が下枠と一体的に形成されるものであっても良い。
【0039】
上記の構成により、窓シャッター(開口部)の下部側(枠体カバー及び止水シートが設けられる範囲)が止水される。なお、止水シートが、シャッターカーテンの外側に配される構成とすることにより、水圧が室外側からかかった際には、止水シートはシャッターカーテンによって保持される。
以上のごとく、本実施形態によれば、開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して防水装置を設置することができる。窓シャッター自体の構成は従来のもののままとすることが可能であり、既存の窓シャッター製品に対して比較的安価かつ手軽に止水対策を行うことが可能である。
【0040】
なお、本実施形態では、止水シート取付下枠の一例として、止水シート取付下枠17を例としているが、本発明をこれに限るものではなく、「枠体との間で止水可能に止水シートを保持する」ことができるものであればよい。
図8(下部付近の概略垂直断面図)には、止水シート取付下枠の別の例を示した。
図8(a)の例における防水装置1-2´は、上部側に開口する断面視で略コ字状の止水シート取付下枠17´を備えており、止水シート取付下枠17´によって幅方向に延びる溝が構成される。また、止水シート11-2´の下端部には、係合止水部113が幅方向に延在して設けられている。
止水シート取付下枠17´の溝の幅(
図8(a)における左右方向)と同等以上の幅をもって形成された係合止水部113が、溝の中に挿入されることによって、下部側の止水が行われるものである。係合止水部113が、止水シートよりも厚く形成されていることによって、水害時の水圧を受けて溝の奥へと入り込む作用を得られる水圧受け面として機能するため、止水機能を高めることができる。
なお、
図8(a)では、溝が上部側に開口するものを例としたが、開口の方向は任意の方向とし得る。
図8(b)には、溝が室外側に開口したものの例(止水シート取付下枠17´´)を示した。
図8(c)は、係合止水部を止水シートの下端部に形成するのではなく、止水シートとは別部材(幅方向に延在するバー部材)としたものの例である。止水シートの下端部を折り返すようにして止水シート取付下枠17´の溝部に挿入し、当該折り返し部分の内側にバー部材である係合止水部113´を押し込むように挿入することで、下部側の止水がされる。なお、ここでは止水シートの下端部を折り返すものを例としたが、折り返しが必須というものではない。
図8で示した各止水シート取付下枠に関し、下枠23とは別体で形成されたものを下枠23に取り付けるようにしてもよい(止水可能な任意の取り付け方法を採用してよい)し、下枠23と一体的に形成してもよい点は、実施形態2の説明と同様である。
【0041】
なお、止水シート取付下枠を設けずに、下部側の止水を行うようにしてもよい。
図9(下部付近の概略垂直断面図)には、止水シート取付下枠を設けないものの例を示した。
図9の例における防水装置1-2´´では、止水シート11-2´´の下端側に折り返し部分114を設け、当該折り返し部分をシャッターカーテンSによって下枠23に対して押さえつけることで、下部側の止水がされるものである。折り返し部分114は、例えば発泡シール材等で形成した、柔軟性及び弾性を有するシール部材で構成することが好ましい。
【0042】
<実施形態3>
図10は、実施形態3の防水装置を窓シャッターに取り付ける状態を示す概略垂直断面図である。
本実施形態の防水装置1-3は、実施形態1と同様に窓シャッターに対して設置される防水装置である。窓シャッター自体については、実施形態1と同様であるため、実施形態1と同様の概念となる構成については同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0043】
本実施形態の防水装置1-3は、
止水シート11-3と、
止水シート11-3をコンパクト化した収納状態からシートを展開した展開状態とすることができるように保持するシート保持部15と、
実施形態1と同様の押さえ部材12(及び出幅調整部材13(不図示))と、
を備え、窓シャッターに対して設置されて少なくともその下部側を止水するものであって、シート保持部を開口部の周辺(本実施形態ではシャッターケース)に設置し、シート保持部から止水シートを引き出すように展開させることで、水害予想時等における止水シートの設置の容易化及び収納の容易化が図られた防水装置である。
【0044】
止水シート11-3自体は、実施形態1の止水シート11と同様に、正面視で略矩形の部材であり、遮水性及び可撓性を有する部材で形成されているものであるが、
図10からも理解されるように、上下方向において、開口部の上下方向の長さと同等以上の長さを有している。
【0045】
シート保持部15は、止水シート11-3を内部に収納するケース部材と、ケース部材内で回転可能に保持され、止水シート11-3を巻き取る巻き芯と、を備えている。止水シート11-3の上部側が接続されている巻き芯は、ロールスクリーン等と同様の構成により、止水シート11-3を巻き取るように(回転するように)付勢されている。これらにより、シート保持部15は、シートを巻き取って内部に収めた収納状態からシートを引き出して展開した展開状態とすることができる。
シート保持部15は、ねじ止め等の各種の固定方法によって、シャッターケース21に対して固定されている。
【0046】
押さえ部材12(及び出幅調整部材13(不図示))は実施形態1で説明したものと同様の概念であり、引き下ろした止水シート11-3を、シャッター枠に対して止水可能に取り付けるものである。
【0047】
本実施形態の防水装置1-3は、上述のように、平時はシート保持部15が窓シャッターの上部に設置されており、水害予想時等において、止水シート11-3を引き出し(展開し)て、押さえ部材12によって止水シート11-3で押さえつけることで、少なくとも窓シャッター(開口部)の下部側を止水するものである。
即ち、防水装置の設置方法として、
シート保持部を、開口部の周辺に設置するステップと、
止水シートを展開して、開口部の少なくとも下部側を覆うステップと、
押さえ部材によって、枠体、パネル体、外壁若しくは基礎の何れかに対して、止水シートを押さえつけるステップと、
を有しているものである。
なお、本実施形態では、窓シャッターの上部に予め(常時)シート保持部を設置しておくものとしているが、シート保持部(及び止水シート)の取り付けを水害予想時等に随時行うものであってもよい。
【0048】
以上のごとく、本実施形態によれば、開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して防水装置を設置することができる。窓シャッター自体の構成は従来のもののままとすることが可能であり、既存の窓シャッター製品に対して安価かつ手軽に止水対策を行うことが可能である。
【0049】
なお、止水シート11-3の上部に遮光スクリーン(シート状部材)を連結することで、通常時は遮光スクリーンとして使用できるようにしてもよい。止水シート11-3の上部に遮光スクリーンを連結することに替えて、止水シート自体を遮光スクリーンとして利用するものであってもよい。止水シート自体では遮光性が無い場合には、止水シートに遮光性を有するシートを重畳するようにしても(積層シートとしても)よいし、全てを遮光スクリーンとしたものの下部側に、止水シートを積層したようなものとしてもよい。
【0050】
本実施形態では、押さえ部材12(及び出幅調整部材13(不図示))によって止水シート11-3を、シャッター枠に対して止水可能に取り付けるものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、止水シートをシャッター枠に対して止水可能に取り付けることができる任意の方法を用いるものであって良い(例えば、
図4、5で説明した構成とするもの等であってもよい)。
【0051】
また、本実施形態では、シート保持部にシートが巻き取られて収納されているものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、例えば、シートが、引き出し可能なように、アコーディオン状に折り畳まれてシート保持部に収納されているようなものであってもよい。
【0052】
本実施形態では、開口部の上部(シャッターケース)に対してシート保持部が取り付けられるものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、開口部の側部や下部にシート保持部を設置するものであってもよい。
図11には、このようなものの例を示した。
図11の防水装置1-3´は、
図11からも理解されるように、平時はシート保持部15´が窓シャッターの下部(下枠23)に設置されており、水害予想時等において、シート保持部15を下部から上部へ持ち上げるようにして、止水シート11-3´を引き出し(展開し)て、窓シャッターの下部側を止水シート11-3´によって覆うものである。
【0053】
シート保持部15´は、取付部材16によって、着脱可能に保持されることで、平時は窓シャッターの下部に設置されている。水害予想時等においては、シート保持部15´を取付部材16から取り外して上方へ持ち上げるようにすることで、容易に止水シート11-3´を展開することができる。即ち、「止水シートの展開を、前記シート保持部を移動させながら行う」ことができるものである。
取付部材16は、窓シャッターの下枠23(若しくは、壁面Wや、土台水切り或いは建物の基礎等(不図示)の開口部下部周辺の部材)に対して取り付けられ、シート保持部15´を保持するフック部材等を備えることにより、シート保持部15´を着脱可能に保持する。
【0054】
止水シート11-3´の展開時には、シャッター枠に対する止水性を得るために、止水シート11-3´を、実施形態1で説明した押さえ部材12(或いは
図4、5で説明した構成等)によって、シャッター枠に対して取り付ける。なお、止水シート11-3´の下端側については、予めシャッター枠(下枠23)に対して、止水可能に取り付けておくことで、止水シート11-3´の展開時のシャッター枠への取り付けを、幅方向の両端部のみとすることができる。
また、上部へと移動させたシート保持部15´を保持するための保持部材若しくは固定部材(例えばシャッター枠に対するネジ止めやフック掛け等)を設けるようにしてもよい。
【0055】
ここでは、シート保持部15を下部に設置して、止水シートを上部へと展開するものを例としたが、シート保持部15を幅方向の一方端部に設置して、止水シートを横方向に展開するものであってもよい。
また、実施形態3及び
図11の例からも理解されるように、止水シートの展開は、壁面等に固定されたシート保持部から止水シートを引き出すようにするものであってもよいし、シート保持部を移動させることで止水シートの展開を行うものであってもよい。
【0056】
実施形態では、シート保持部が止水シートのみを収納するものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、シート保持部が止水シート以外の部材(特に、本発明に係る防水装置に関する部材)も収納可能に構成されているものであってもよい。例えば、シート保持部によって、各押さえ部材も収納若しくは係止できるように構成することによって、より利便性を向上することができる。
【0057】
なお、各実施形態においては、窓シャッターが設けられる対象として、掃き出し窓を例として説明したが、本発明をこれに限るものではなく、腰高窓等に対しても、上記各実施形態で説明した概念を適用することができる。
【0058】
また、各実施形態では、防水装置として、窓シャッター(開口部)の下部側(窓シャッターの一部)を覆うものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、可能であれば窓シャッター(開口部)の全体を覆うようにするもの(止水部材を、窓シャッターの全体を覆う大きさで形成するもの)であってもよい。
【0059】
各実施形態では、窓シャッターが単体で構成されるものを例としたが、本発明に係る防水装置の適用対象をこれに限るものではなく、窓シャッターとして機能する任意の装置(例えば、サッシとシャッターが一体的に構成されているもの等)に、本発明に係る防水装置を適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1...防水装置
11...止水シート
112...隙間止水取付部材
12...押さえ部材(取付部材)
13...出幅調整部材
14...枠体カバー
15...シート保持部
2...窓シャッター(開閉装置)
22...竪枠(枠体)
221...ガイドレール
23...下枠(枠体)
S...シャッターカーテン(開閉体)