(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057260
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
H01L21/52 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163869
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591132955
【氏名又は名称】株式会社秋田新電元
(74)【代理人】
【識別番号】100110858
【弁理士】
【氏名又は名称】柳瀬 睦肇
(74)【代理人】
【識別番号】100172627
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 亘
(72)【発明者】
【氏名】金子 剛大
【テーマコード(参考)】
5F047
【Fターム(参考)】
5F047AA02
5F047AB01
5F047BA01
(57)【要約】
【課題】半導体チップの電極面の周囲のパッシベーション膜にはんだが接触することを防止することで、特性や信頼性が低下することを抑制した半導体装置を提供する。
【解決手段】本発明は、電極面11と、前記電極面11の端に位置するパッシベーション膜12とを有する半導体チップ10と、テラス面21を有する接続子20と、を有し、前記半導体チップ10の前記電極面11は、はんだ30により前記接続子20の前記テラス面21に電気的に接続されており、前記テラス面21は第1溝22を有し、前記第1溝22は、前記電極面11上に位置し、且つ前記パッシベーション膜12より前記電極面11の中央側に位置し、前記第1溝22内には前記はんだ30が入り込んでいる半導体装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極面と、前記電極面の端に位置するパッシベーション膜とを有する半導体チップと、
テラス面21を有する接続子と、
を有し、
前記半導体チップの前記電極面は、はんだにより前記接続子の前記テラス面に電気的に接続されており、
前記テラス面は第1溝を有し、
前記第1溝は、前記電極面上に位置し、且つ前記パッシベーション膜より前記電極面の中央側に位置し、
前記第1溝内には前記はんだが入り込んでいることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
平面視において、前記電極面の周囲は前記パッシベーション膜により囲まれており、
前記第1溝は、前記電極面の周囲を囲むように配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記テラス面は、前記第1溝より深さが浅い第2溝を有し、
前記第2溝は、前記第1溝より前記電極面の中央側に位置し、
前記第2溝内には前記はんだが入り込んでいることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3において、
平面視において、前記第2溝は格子状に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1又は2において、
前記半導体チップにおける前記電極面に対して反対側の面は、はんだによりリードフレームに電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1又は2において、
前記半導体チップは、ダイオード、サイリスタ又はトランジスタを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
板状の母材の下面下に凸部を有する受けダイを配置し、且つ前記母材の上面上にパンチを配置し、前記母材を上面から前記パンチで打ち出すことにより、前記母材の下面にテラス面を突出させるとともに、突出してくる前記テラス面を前記受けダイにより受け止めることで前記テラス面に第1溝を形成する工程(a)と、
前記母材を加工することで、前記テラス面を有する接続子を形成する工程(b)と、
電極面と、前記電極面の端に位置するパッシベーション膜とを有する半導体チップを用意する工程(c)と、
前記電極面上にはんだを塗布する工程(d)と、
前記はんだ上に前記接続子の前記テラス面を載置する工程(e)と、
前記はんだを加熱することで、前記はんだを前記テラス面の前記第1溝内に入り込ませた状態で、前記はんだによりに前記接続子の前記テラス面に前記半導体チップの前記電極面を電気的に接続させる工程(f)と、
を有し、
前記工程(f)の後の前記第1溝は、前記電極面上に位置し、且つ前記パッシベーション膜より前記電極面の中央側に位置することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記工程(c)は、前記電極面に対して反対側の面がはんだによりリードフレームに電気的に接続された半導体チップを用意する工程であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項7又は8において、
前記工程(b)は、前記母材の外形成形加工を施した後に、曲げ加工を行い、切断して個片化した接続子を形成する工程であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項7又は8において、
前記工程(c)の前記半導体チップは、平面視において、前記電極面の周囲が前記パッシベーション膜により囲まれており、
前記工程(f)の後の前記第1溝は、前記電極面上に位置し、且つ前記パッシベーション膜より前記電極面の中央側に位置し、且つ前記電極面の周囲を囲むように配置されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項7又は8において、
前記工程(a)は、前記テラス面を前記受けダイにより受け止めることで、前記テラス面に第1溝及び前記第1溝より深さが浅い第2溝を形成する工程であり、
前記第2溝は、前記第1溝より前記電極面の中央側に位置し、
前記工程(f)の後の前記第2溝内には前記はんだが入り込んでいることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置はリードフレームを有し、リードフレーム上には、はんだにより半導体チップの下面が電気的に接続されている。半導体チップの上面は電極面を有し、平面視において電極面の周囲にはパッシベーション膜が形成されている。半導体チップの電極面上には、はんだにより接続子の下側のテラス面が電気的に接続されている。即ち、半導体チップの電極面と接続子のテラス面がはんだにより接続されている。このテラス面には溝が形成されていない。これに関連する事項が特許文献1に開示されている。
【0003】
上記の半導体チップの上面の電極面に比べて接続子の下側のテラス面が大きい場合、電極面からはみ出したはんだがパッシベーション膜に接触することで、沿面放電の発生、半導体装置の特性や信頼性を低下させるおそれがある。
【0004】
そこで、上記の半導体装置において、電極面からはみ出したはんだがパッシベーション膜に接触することを抑制することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の種々の態様は、半導体チップの電極面の周囲のパッシベーション膜にはんだが接触することを防止することで、特性や信頼性が低下することを抑制した半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に本発明の種々の態様について説明する。
【0008】
[1]電極面と、前記電極面の端に位置するパッシベーション膜とを有する半導体チップと、
テラス面を有する接続子と、
を有し、
前記半導体チップの前記電極面は、はんだにより前記接続子の前記テラス面に電気的に接続されており、
前記テラス面は第1溝を有し、
前記第1溝は、前記電極面上に位置し、且つ前記パッシベーション膜より前記電極面の中央側に位置し、
前記第1溝内には前記はんだが入り込んでいることを特徴とする半導体装置。
【0009】
本発明の一態様に係る上記[1]の半導体装置によれば、接続子のテラス面が第1溝を有し、第1溝は、半導体チップの電極面上に位置し、且つパッシベーション膜より電極面の内側に位置する。このため、第1溝内にはんだが入り込むことができ、それにより、パッシベーション膜にはんだが接触することを防止できる。
【0010】
[2]上記[1]において、
平面視において、前記電極面の周囲は前記パッシベーション膜により囲まれており、
前記第1溝は、前記電極面の周囲を囲むように配置されていることを特徴とする半導体装置。
【0011】
本発明の一態様に係る上記[2]の半導体装置によれば、平面視において、半導体チップの電極面の周囲はパッシベーション膜により囲まれており、第1溝は、電極面の周囲を囲むように配置されている。つまり、第1溝は、電極面上に位置し、且つパッシベーション膜より内側に配置されている。そのため、第1溝内にはんだを誘導することができ、それによりパッシベーション膜にはんだが接触することを防止できる。その結果、半導体装置の特性や信頼性が低下することを抑制できる。
【0012】
[3]上記[1]又は[2]において、
前記テラス面は、前記第1溝より深さが浅い第2溝を有し、
前記第2溝は、前記第1溝より前記電極面の中央側に位置し、
前記第2溝内には前記はんだが入り込んでいることを特徴とする半導体装置。
【0013】
本発明の一態様に係る上記[3]の半導体装置によれば、接続子のテラス面は、第1溝より深さが浅い第2溝を有し、第2溝は、第1溝より電極面の中央側に位置する。これにより、第2溝内にはんだを誘導することができ、それにより、パッシベーション膜にはんだが接触することを防止できる。その結果、半導体装置の特性や信頼性が低下することを抑制できる。
【0014】
[4]上記[3]において、
平面視において、前記第2溝は格子状に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【0015】
本発明の一態様に係る上記[4]の半導体装置によれば、第2溝が格子状に配置されることで、第2溝にはんだを均一性良く誘導することができ、電極面上及びテラス面上それぞれに均一性良くはんだを配置することができる。
【0016】
[5]上記[1]又は[2]において、
前記半導体チップにおける前記電極面に対して反対側の面は、はんだによりリードフレームに電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【0017】
[6]上記[1]又は[2]において、
前記半導体チップは、ダイオード、サイリスタ又はトランジスタを有することを特徴とする半導体装置。
【0018】
[7]板状の母材の下面下に凸部を有する受けダイを配置し、且つ前記母材の上面上にパンチを配置し、前記母材を上面から前記パンチで打ち出すことにより、前記母材の下面にテラス面を突出させるとともに、突出してくる前記テラス面を前記受けダイにより受け止めることで前記テラス面に第1溝を形成する工程(a)と、
前記母材を加工することで、前記テラス面を有する接続子を形成する工程(b)と、
電極面と、前記電極面の端に位置するパッシベーション膜とを有する半導体チップを用意する工程(c)と、
前記電極面上にはんだを塗布する工程(d)と、
前記はんだ上に前記接続子の前記テラス面を載置する工程(e)と、
前記はんだを加熱することで、前記はんだを前記テラス面の前記第1溝内に入り込ませた状態で、前記はんだによりに前記接続子の前記テラス面に前記半導体チップの前記電極面を電気的に接続させる工程(f)と、
を有し、
前記工程(f)の後の前記第1溝は、前記電極面上に位置し、且つ前記パッシベーション膜より前記電極面の中央側に位置することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0019】
本発明の一態様に係る上記[7]の半導体装置の製造方法によれば、板状の母材の下面下に凸部を有する受けダイを配置し、且つ前記母材の上面上にパンチを配置し、前記母材を上面から前記パンチで打ち出すことにより、前記母材の下面にテラス面を突出させるとともに、突出してくる前記テラス面を前記受けダイにより受け止めることで前記テラス面に第1溝を形成する工程(a)を有する。これにより、工程(f)において、はんだを接続子のテラス面の第1溝内に入り込ませることができる。それにより、パッシベーション膜にはんだが接触することを防止できる。その結果、半導体装置の特性や信頼性が低下することを抑制できる。
【0020】
[8]上記[7]において、
前記工程(c)は、前記電極面に対して反対側の面がはんだによりリードフレームに電気的に接続された半導体チップを用意する工程であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0021】
[9]上記[7]又は[8]において、
前記工程(b)は、前記母材の外形成形加工を施した後に、曲げ加工を行い、切断して個片化した接続子を形成する工程であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0022】
[10]上記[7]又は[8]において、
前記工程(c)の前記半導体チップは、平面視において、前記電極面の周囲が前記パッシベーション膜により囲まれており、
前記工程(f)の後の前記第1溝は、前記電極面上に位置し、且つ前記パッシベーション膜より前記電極面の中央側に位置し、且つ前記電極面の周囲を囲むように配置されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0023】
本発明の一態様に係る上記[10]の半導体装置の製造方法によれば、工程(f)の後の第1溝は、電極面上に位置し、且つパッシベーション膜より前記電極面の中央側に位置し、且つ前記電極面の周囲を囲むように配置されている。そして、はんだを接続子のテラス面の第1溝内に入り込ませることにより、パッシベーション膜にはんだが接触することを防止できる。その結果、半導体装置の特性や信頼性が低下することを抑制できる。
【0024】
[11]上記[7]又は[8]において、
前記工程(a)は、前記テラス面を前記受けダイにより受け止めることで、前記テラス面に第1溝及び前記第1溝より深さが浅い第2溝を形成する工程であり、
前記第2溝は、前記第1溝より前記電極面の中央側に位置し、
前記工程(f)の後の前記第2溝内には前記はんだが入り込んでいることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明の種々の態様によれば、半導体チップの電極面の周囲のパッシベーション膜にはんだが接触することを防止することで、特性や信頼性が低下することを抑制した半導体装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】(A)は本発明の一態様に係る半導体装置における接続子20のテラス面21を示す平面図、(B)は本発明の一態様に係る半導体装置のチップ搭載部の断面図、(C)は(B)に示す半導体チップ10の端部を拡大した断面図である。
【
図2】(A)から(D)は、本発明の一態様に係る半導体装置における接続子20を作製する工程を順に説明するための上面図及び断面図である。
【
図3】(A)から(E)は、本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0028】
(第1の実施形態)
本発明の一態様に係る上記[1]の半導体装置は、電極面11と、前記電極面11の端に位置するパッシベーション膜12とを有する半導体チップ10と、テラス面21を有する接続子20と、を有し、前記半導体チップ10の前記電極面11は、はんだ30により前記接続子20の前記テラス面21に電気的に接続されており、前記テラス面21は第1溝22を有し、前記第1溝22は、前記電極面11上に位置し、且つ前記パッシベーション膜12より前記電極面11の中央側に位置し、前記第1溝22内には前記はんだ30が入り込んでいることを特徴とする。
【0029】
以下に詳細に説明する。
図1(A)は、本発明の一態様に係る半導体装置における接続子20のテラス面21を示す平面図、(B)は本発明の一態様に係る半導体装置のチップ搭載部の断面図であり、(C)は(B)に示す半導体チップ10の端部を拡大した断面図である。
【0030】
図1(B)に示すように、半導体装置は半導体チップ10を有し、この半導体チップ10の上面側には接続子20が配置され、半導体チップ10の下面側にはリードフレーム40が配置された構造となってている。なお、半導体チップ10は、ダイオード、サイリスタ又はトランジスタを有するとよい。
【0031】
図1(B)、(C)に示すように、半導体チップ10の上面は電極面11を有し、この電極面11の端にはパッシベーション膜12が形成されている。即ち、平面視において、電極面11の周囲はパッシベーション膜12により囲まれている。
【0032】
また、
図1(A)、(B)に示すように、半導体装置は接続子20を有し、この接続子20はテラス面21を有している。このテラス面21には2つの第1溝22が形成されている。第1溝22の各々は、
図1(A)に示すように四角形の角を曲線にした形状を有している。半導体チップ10の電極面11と接続子20のテラス面21は
図1(B)に示すようにはんだ30により接続されている。この状態において、第1溝22の各々は、半導体チップ10の電極面11上に位置し、且つパッシベーション膜12より電極面11の中央側に位置し、第1溝22内にははんだ30が入り込んでいる(
図1(C)参照)。なお、第1溝22の各々は、半導体チップ10の電極面11の周囲を囲むように配置されている。
【0033】
図1(C)に示すように、接続子20のテラス面21は、第1溝22より深さが浅い第2溝23を有している。即ち、
図1(A)~(C)に示すように、第1溝22はテラス面20の外周側に位置する外周溝であって深溝であり、平面視において第2溝23は格子状に配置された格子溝であって浅溝である。また第2溝23は、平面視において第1溝22より電極面11の中央側に位置している。また第2溝23内にははんだ30が入り込んでいる。
【0034】
図1(B)、(C)に示すように、半導体チップ10における電極面11に対して反対側の面(下面)は、はんだ31によりリードフレーム40に電気的に接続されている。
【0035】
本実施形態によれば、接続子20のテラス面21が第1溝22を有し、第1溝22は、半導体チップ10の電極面11上に位置し、且つパッシベーション膜12より電極面11の中央側に位置する(
図1(B)参照)。このため、第1溝22内にはんだ30が入り込むことで、パッシベーション膜12にはんだ30が接触することを防止できる。なお、パッシベーション膜12は、例えばガラスからなる膜であるとよい。
【0036】
また、本実施形態では、平面視において、半導体チップ10の電極面11の周囲はパッシベーション膜12により囲まれており、第1溝22は、電極面11の周囲を囲むように配置されている。つまり、第1溝22は、電極面11上に位置し、且つパッシベーション膜12より内側に配置されている。そのため、第1溝22内にはんだ30を誘導することができ、それによりパッシベーション膜12にはんだ30が接触することを防止できる。その結果、半導体装置の特性や信頼性が低下することを抑制できる。
【0037】
また、本実施形態では、接続子20のテラス面21は、第1溝22より深さが浅い第2溝23を有し、第2溝23は、第1溝22より電極面11の中央側に位置する(
図1(A)、(C)参照)。これにより、第2溝23内にはんだ30を誘導することができ、それにより、パッシベーション膜12にはんだ30が接触することを防止できる。その結果、半導体装置の特性や信頼性が低下することを抑制できる。
また、本実施形態では、
図1(A)に示すように第2溝23が格子状に配置されることで、第2溝23にはんだ30を均一性良く誘導することができ、電極面11上及びテラス面21上それぞれに均一性良くはんだを配置することができる。
【0038】
(第2の実施形態)
本発明の一態様に係る上記[7]の半導体装置の製造方法は、板状の母材100の下面下に凸部を有する受けダイ101を配置し、且つ前記母材100の上面上にパンチ102を配置し、前記母材100を上面から前記パンチ102で打ち出すことにより、前記母材100の下面にテラス面21を突出させるとともに、突出してくる前記テラス面21を前記受けダイ101により受け止めることで前記テラス面21に第1溝22を形成する工程(a)と、前記母材100を加工することで、前記テラス面21を有する接続子20を形成する工程(b)と、電極面11と、前記電極面11の端に位置するパッシベーション膜12とを有する半導体チップ10を用意する工程(c)と、前記電極面11上にはんだ30を塗布する工程(d)と、前記はんだ30上に前記接続子20の前記テラス面21を載置する工程(e)と、前記はんだ30を加熱することで、前記はんだ30を前記テラス面21の前記第1溝22内に入り込ませた状態で、前記はんだ30によりに前記接続子20の前記テラス面21に前記半導体チップ10の前記電極面11を電気的に接続させる工程(f)と、を有し、前記工程(f)の後の前記第1溝22は、前記電極面11上に位置し、且つ前記パッシベーション膜12より前記電極面11の中央側に位置することを特徴とする。
【0039】
以下に詳細に説明する。
図2(A)から(D)は、本発明の一態様に係る半導体装置における接続子20を作製する工程を順に説明するための上面図及び断面図である。この接続子20は、第1の実施形態と同様のものである。
【0040】
図2(A)に示すように、板状の母材(フープ材)100のテラス部121の下面下に凸部を有する受けダイ101を配置する。また母材100のテラス部121の上面上にパンチ102を配置する。次いで、母材100のテラス部121を上面からパンチ102で打ち出すことにより、母材100のテラス部121の下面にテラス面21を突出させるとともに、突出してくるテラス面21を受けダイ101により受け止めることでテラス面21に
図1(A)~(C)に示す第1溝22を形成する。受けダイ101の凸部は第1溝22を形成するためのものである。
【0041】
また、上記の受けダイ101に、
図1(A)~(C)に示す第1溝22及び第1溝22より深さが浅い第2溝23を形成するための凸部を予め形成しておけば、
図2(A)に示すようにテラス部121のテラス面21を受けダイ101により受け止めることで、テラス面21に第1溝22及び前記第1溝22より深さが浅い第2溝23を形成することができる。なお、第1の実施形態と同様に、第2溝23は、第1溝22より電極面11の中央側に位置し、且つ格子状に配置されている(
図1参照)。
【0042】
次に、母材100を加工することで、テラス部121のテラス面21を有する接続子20を形成する。
詳細には、
図2(B)に示すように、母材100の外形100aを成形する加工を施す。次いで、
図2(C)に示すように外径100aを有する母材100に曲げ加工を行うことで、母材100に曲げ部140を形成する。次いで、
図2(D)に示すように、母材100を切断面150で切断して個片化する。このようにして曲げ部140の一方側にテラス部121のテラス面21が形成されるとともに曲げ部140の他方側に端子160が形成された接続子20が作製される。なお、
図2(A)~(D)では、一つの接続子20を製造する工程を示しているが、複数の接続子20を同時に製造することも可能である。
【0043】
この後、
図1(B)に示す電極面11と、この電極面11の端に位置するパッシベーション膜12とを有する半導体チップ10を用意する。この半導体チップ10は、平面視において、電極面11の周囲がパッシベーション膜12により囲まれている。
【0044】
次に、
図3(A)、(B)に示すように、半導体チップ10の電極面11に対して反対側の面を、はんだ31によりリードフレーム40に電気的に接続する。
詳細には、
図3(A)に示すように、リードフレーム40を用意し、このリードフレーム40の一方側及び他方側の各々にはんだ31を塗布する。次いで、
図3(B)に示すように、リードフレーム40の一方側に半導体チップ10を搭載することで、リードフレーム40の一方側のはんだ31と半導体チップ10の下面が接続される。次いで、半導体チップ10の電極面11上にはんだ30を塗布する。
【0045】
この後、
図3(C)に示すように、はんだ30上に、フラックス塗布ノズル131によりフラックス130を塗布する。
【0046】
次に、
図3(D)に示すように、はんだ30上に接続子20のテラス面21を載置するとともに、はんだ31上に接続子20の端子160を載置する。
【0047】
この後、
図3(E)リフロー工程により、はんだ30、31を加熱することで、はんだ30を接続子20のテラス面21の第1溝22及び第2の溝23内に入り込ませた状態で、はんだ30によりに接続子20のテラス面21に半導体チップ10の電極面11が電気的に接続される。これとともに、リードフレーム40の一方側と半導体チップ10の下面がはんだ31により電気的に接続され、リードフレーム40の一方側と接続子20の端子160がはんだ31により電気的に接続される。
【0048】
本実施形態によれば、接続子20のテラス面21が第1溝22を有し、第1溝22は、半導体チップ10の電極面11上に位置し、且つパッシベーション膜12より電極面11の中央側に位置し、且つ電極面11の周囲を囲むように配置されている。このため、第1溝22内にはんだ30が入り込むことで、パッシベーション膜12にはんだ30が接触することを防止できる。
【0049】
また、本実施形態では、接続子20のテラス面21に、第1溝22及び第1溝22より深さが浅い第2溝23を形成し、第2溝23が、第1溝22より電極面11の中央側に位置することにより、第2溝23内にはんだ30を誘導することができ、それにより、パッシベーション膜12にはんだ30が接触することを防止できる。その結果、半導体装置の特性や信頼性が低下することを抑制できる。
【符号の説明】
【0050】
10 半導体チップ
11 電極面
12 パッシベーション膜
20 接続子
21 テラス面
22 第1溝
23 第2溝
30 はんだ
40 リードフレーム
100 母材
101 受けダイ
102 パンチ