(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057262
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】対象物支持構造
(51)【国際特許分類】
E04G 5/04 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
E04G5/04 E
E04G5/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163872
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】田中 晋平
(72)【発明者】
【氏名】嘉本 敬樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 大揮
(72)【発明者】
【氏名】中原 洸二
(72)【発明者】
【氏名】西村 昭憲
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊介
(72)【発明者】
【氏名】橋本 光平
(57)【要約】
【課題】支持フレームの浮上り力を適切に負担させながら支持フレームが邪魔になり難い対象物支持構造を提供する。
【解決手段】建物内外方向Xに沿う支持フレーム2の建物外方側X1の端部に対象物3を連結して支持し、支持フレーム2の建物内外方向Xの中間部に位置する被支持部Sを、建物4の鉛直力負担部位4Aに下方側Z2から支持し、支持フレーム2の被支持部Sより建物内方側X2に位置する連結部Cを、建物4の外周柱5における鉛直力負担部位4Aよりも建物内方側X2に位置する浮上り力負担部位4Bに連結する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内外方向に沿う支持フレームの建物外方側の端部に対象物を連結して支持する対象物支持構造であって、
前記支持フレームの前記建物内外方向の中間部に位置する被支持部が、建物の鉛直力負担部位に下方側から支持され、
前記支持フレームの前記被支持部より建物内方側に位置する連結部が、前記建物の外周柱における前記鉛直力負担部位よりも前記建物内方側に位置する浮上り力負担部位に連結されている対象物支持構造。
【請求項2】
前記支持フレームの前記連結部を、前記外周柱の前記建物内方側を向く面に連結している請求項1に記載の対象物支持構造。
【請求項3】
前記支持フレームは、前記外周柱に対して建物外周方向の両側に備えられ、これら一対の前記支持フレームの前記連結部同士が、連結フレームによって互いに連結され、
前記連結フレームは、前記外周柱の前記建物内方側を向く面に連結されている請求項2に記載の対象物支持構造。
【請求項4】
前記支持フレームは、当該支持フレームの前記被支持部が前記建物の外周大梁における前記建物内外方向の中央より建物外方側の部位に支持されるように配置されている請求項1から3の何れか一項に記載の対象物支持構造。
【請求項5】
前記支持フレームは、前記支持フレームの前記被支持部が柱状部材を介して嵩上げられた状態で前記建物の外周大梁に連結され、前記支持フレームの下面の高さが、前記外周大梁上に構築されたスラブの上面の高さと同じとされている請求項1から3の何れか一項に記載の対象物支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内外方向に沿う支持フレームの建物外方側の端部に対象物を連結して支持する対象物支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建物内外方向に沿う支持フレーム(第一部材202,302)の建物外方側の端部に対象物(飛散防止ネットシステム10)を連結して支持する対象物支持構造が示されている。
【0003】
この特許文献1の対象物支持構造では、支持フレームの建物内外方向の中間部が、建物の鉛直力負担部位(解体フロア110,120における当て木22,24が載せられている部位)に下方側から支持され、支持フレームの建物内方側の端部が、建物の鉛直力負担部位よりも建物内方側の浮上り力負担部位(解体フロア110,120のスラブ)に連結されている。つまり、支持フレームの建物外方側の端部に対象物を連結して支持することにより、その反力によって支持フレームの建物内方側の端部が浮き上がろうとして浮上り力負担部位に浮上り力として作用するが、支持フレームの建物内方側の端部をアンカーボルトで浮上り力負担部位に連結することで支持フレームの建物内方側の端部が浮き上がることが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような対象物支持構造では、支持フレームが建物内方側に向けて延在しているため邪魔になり易く、邪魔にならないように支持フレームを短くした場合には、浮上り力負担部位に作用する浮上り力が大きくなるために浮上り力負担部位であるスラブが破損してスラブに対する連結が外れる等の不具合が発生する虞がある。
【0006】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、支持フレームに支持した対象物の反力を浮上り力負担部位で適切に負担させながら支持フレームが邪魔になり難い対象物支持構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴構成は、建物内外方向に沿う支持フレームの建物外方側の端部に対象物を連結して支持する対象物支持構造であって、
前記支持フレームの前記建物内外方向の中間部に位置する被支持部が、建物の鉛直力負担部位に下方側から支持され、
前記支持フレームの前記被支持部より建物内方側に位置する連結部が、前記建物の外周柱における前記鉛直力負担部位よりも前記建物内方側に位置する浮上り力負担部位に連結されている点にある。
【0008】
本構成によれば、支持フレームの建物内外方向の中間部に位置する被支持部を建物の鉛直力負担部位に下方側から支持させながら、支持フレームの被支持部より建物内方側に位置する連結部を鉛直力負担部位よりも建物内方側の浮上り力負担部位に連結させることで、建物の鉛直力負担部位に鉛直力を負担させつつ外周柱にて浮上り力を負担させることができる。
そして、浮上り力負担部位が外周柱にあるので、この外周柱より建物内方側に浮上り力負担部位を位置させた場合に比べて支持フレームの長さを短くすることができる。また、このように支持フレームの長さが短くなることにより、支持フレームの被支持部と連結部との間隔が狭くなるため、浮上り力負担部位に作用する浮上り力が大きくなるが、支持フレームの連結部を外周柱に連結させて外周柱を浮上り負担部位とすることで、支持フレームの連結部を建物内方側の梁や床スラブに連結させて浮上り力を引っ張り力として負担させる場合に比べて、浮上り力負担部位に浮上り力を負担させ易くなるため、上述のように浮上り力負担部位に作用する浮上り力が大きくなったとしても浮上り力負担部位によって浮上り力を適切に負担させることができる。
このように、浮上り力を外周柱に負担させることで支持フレームの長さを短くすることができるため、支持フレームに支持した対象物の反力を浮上り力負担部位に適切に負担させながら支持フレームが邪魔になり難くなる。
【0009】
本発明の第2特徴構成は、前記支持フレームの前記連結部を、前記外周柱の前記建物内方側を向く面に連結している点にある。
【0010】
本構成によれば、支持フレームの連結部を、外周柱の建物内方側を向く面に連結することで、支持フレームの連結部を外周柱の建物外周方向を向く面や建物外方側を向く面に連結した場合に比べて被支持部と連結部との間隔を広くすることができるため、支持フレームを外周柱に連結しながら浮上り力負担部位に作用する浮上り力を小さくすることができる。
【0011】
本発明の第3特徴構成は、前記支持フレームは、前記外周柱に対して建物外周方向の両側に備えられ、これら一対の前記支持フレームの前記連結部同士が、連結フレームによって互いに連結され、
前記連結フレームは、前記外周柱の前記建物内方側を向く面に連結されている点にある。
【0012】
本構成によれば、一対の支持フレームの連結部を、連結フレームを介してこれら一対の支持フレームの間に位置する外周柱の建物内方側を向く面に連結することで、一対の支持フレームを外周柱に対して両側から連結することができるため、一対の支持フレームを安定した状態で外周柱に連結させ易くなる。
【0013】
本発明の第4特徴構成は、前記支持フレームは、当該支持フレームの前記被支持部が前記建物の外周大梁における前記建物内外方向の中央より建物外方側の部位に支持されるように配置されている点にある。
【0014】
本構成によれば、支持フレームの被支持部からの鉛直力を外周大梁で受けることができながら、支持フレームの被支持部を外周大梁の建物内外方向の中央の部位に支持させた場合に比べて支持フレームの被支持部と連結部との間隔を大きくすることができるため、浮上り力負担部位に作用する浮上り力を小さくすることができる。
【0015】
本発明の第5特徴構成は、前記支持フレームは、前記支持フレームの前記被支持部が柱状部材を介して嵩上げられた状態で前記建物の外周大梁に連結され、前記支持フレームの下面の高さが、前記外周大梁上に構築されたスラブの上面の高さと同じとされている点にある。
【0016】
本構成によれば、支持フレームの被支持部は柱状部材を介して外周大梁に連結されて支持されているため、外周大梁上にコンクリートを打設する前に支持フレームを外周大梁に支持させることができながら、コンクリートを打設した後にスラブ上に支持フレームを位置させた場合と支持フレームの高さを同じにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】第1実施形態の対象物支持構造を建物内方側から見た図
【
図3】第1実施形態の対象物支持構造を外周方向第1側から見た図
【
図4】第2実施形態の対象物支持構造を建物内方側から見た図
【
図5】第2実施形態の対象物支持構造を外周方向第1側から見た図
【
図6】第3実施形態の対象物支持構造を建物内方側から見た図
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1実施形態〕
本発明に係る対象物支持構造の第1実施形態について図面に基づいて説明する。
図1及び
図3に示すように、対象物支持構造1は、建物内外方向Xに沿う支持フレーム2の建物外方側X1の端部に対象物3を連結して支持するように構成されている。本実施形態では、対象物3を、建物4の建物外方側X1を覆う養生枠と外部で作業者が作業するための作業足場とがユニット化された養生ユニットとしている。養生ユニットは、建物4の上下方向Zの中間部位において支持フレーム2に縦フレームの下方側Z2を連結して支持されており、このように支持されている高さよりも上方側Z1で建物4の外周部分を覆っている。尚、
図1では、対象物3の一部を一点鎖線で示している。
【0019】
図3に示すように、支持フレーム2の建物内外方向Xの中間部に位置する被支持部Sが、建物4の鉛直力負担部位4Aに下方側Z2から支持され、支持フレーム2の被支持部Sより建物内方側X2に位置する連結部Cが、建物4の外周柱5における鉛直力負担部位4Aよりも建物内方側X2に位置する浮上り力負担部位4Bに連結されている。対象物支持構造1によって支持されている対象物3の荷重は、主に建物4の鉛直力負担部位4Aで支えられる。また、支持フレーム2の建物外方側X1の端部に対象物3を連結して支持することにより、その反力によって支持フレーム2の被支持部Sより建物内方側X2の部分が浮き上がろうとするが、支持フレーム2の連結部Cが建物4の浮上り力負担部位4Bに連結されていることで支持フレーム2の連結部Cが浮き上がることが防止されている。
【0020】
支持フレーム2の連結部Cが、外周柱5の建物内方側X2を向く面に連結されている。つまり、外周柱5の建物内方側X2を向く面が、建物4の浮上り力負担部位4Bとされている。尚、本実施形態では、連結部Cは、支持フレーム2の建物内方側X2の端部に位置している。
そして、
図1及び
図2に示すように、支持フレーム2は、外周柱5に対して建物外周方向Yの両側に備えられ、これら一対の支持フレーム2の連結部C同士が、連結フレーム13によって互いに連結され、連結フレーム13は、外周柱5の建物内方側X2を向く面に連結されている。
【0021】
次に、支持フレーム2の構成について説明を加えるが、一対の支持フレーム2のうちの外周方向第1側Y1の支持フレーム2を第1支持フレーム2Aと称し、一対の支持フレーム2のうちの外周方向第2側Y2の支持フレーム2を第2支持フレーム2Bと称して説明する。
【0022】
図2及び
図3に示すように、支持フレーム2は、建物内外方向Xに沿う姿勢で設置されていると共に、上フレーム材8と中間フレーム材9と下フレーム材10との3本のフレーム材を上下方向Zに重なる状態で備えている。上フレーム材8は、対象物3に接続されており、中間フレーム材9及び下フレーム材10は、上フレーム材8の曲げ剛性を高める補剛フレームとして機能している。
上フレーム材8は、3本のフレーム材の最も上方側Z1に位置しており、対象物3に接続される接続部7が建物外方側X1の端部に備えられると共に、後述する連結フレーム13が連結部Cに連結されている。また、上フレーム材8は、一対の溝形鋼とそれらを連結する連結プレートなどから構成されている。
中間フレーム材9は、上下方向Zにおいて上フレーム材8と下フレーム材10との間に位置しており、中間フレーム材9は、角鋼管で構成されている。
下フレーム材10は、3本のフレーム材の最も下方側Z2に位置しており、後述する柱状部材22が連結されている。また、下フレーム材10は、鋼板で構成されている。
図3に示すように、これら上フレーム材8と中間フレーム材9と下フレーム材10とはボルト接合によって一体化されている。
【0023】
図1から
図3に示すように、連結フレーム13は、外周柱5より建物内方側X2に位置していると共に、外周柱5の外周方向第1側Y1から外周方向第2側Y2に亘る状態で建物外周方向Yに沿う姿勢で設置されている。連結フレーム13は、H形鋼によって構成されている。
そして、一対の支持フレーム2の夫々の建物内方側X2の端部(連結部C)は、外周柱5より建物内方側X2に位置しており、第1支持フレーム2Aの連結部Cに、連結フレーム13の外周方向第1側Y1の端部がボルト接合され、第2支持フレーム2Bの連結部Cに、連結フレーム13の外周方向第2側Y2の端部がボルト接合されている。このように、一対の支持フレーム2の建物内方側X2の端部同士が、連結フレーム13によって互いに連結されている。
【0024】
連結フレーム13の建物外周方向Yの中央部に受け部材14が連結され、この受け部材14が、外周柱5における建物内方側X2を向く面に連結されており、支持フレーム2は、連結フレーム13及び受け部材14を介した状態で外周柱5の建物内方側X2を向く面(浮上り力負担部位4B)に連結されている。
【0025】
図1及び
図3に示すように、受け部材14は、連結フレーム13に連結される第1連結板部14Aと、外周柱5の建物内方側X2を向く面に連結される第2連結板部14Bとを備えており、建物外周方向視でL字状に形成されている。受け部材14は、第1連結板部14A及び第2連結板部14Bに連結されたリブ14Cが備えられており、受け部材14はリブ14Cを備えることで補強されている。
【0026】
受け部材14の第1連結板部14Aは、連結フレーム13の連結部Cにボルト接合されている。
また、受け部材14の第2連結板部14Bは、外周柱5における建物内方側X2を向く面にボルト接合されている。この第2連結板部14Bと外周柱5の面とのボルト接合について説明を加えると、外周柱5における建物内方側X2を向く面には、締結用板材15が溶接接合された状態で備えられており、受け部材14の第2連結板部14Bは、締結用板材15に形成されている雌ネジ部(図示せず)にボルトを螺合させることでボルト接合されている。このように、雌ネジ部を有する締結用板材15を外周柱5に溶接接合することで、外周柱5に雌ネジ部を形成することによる外周柱5の断面欠損が回避されている。
【0027】
連結フレーム13は、支持フレーム2より上方側Z1に位置しており、支持フレーム2の上フレーム材8に載置させた状態で上フレーム材8にボルト接合されている。また、受け部材14は、連結フレーム13より上方側Z1に位置しており、連結フレーム13に載置させた状態で連結フレーム13にボルト接合されている。そのため、支持フレーム2は、支持フレーム2より上方側Z1において外周柱5の建物内方側X2を向く面に連結されており、浮上り力負担部位4Bは、支持フレーム2や連結フレーム13より上方側Z1に位置している。
【0028】
支持フレーム2の建物内外方向Xの中間部は、外周柱5の建物内方側X2を向く面より建物外方側X1において外周大梁21に連結されている。外周大梁21は、建物外周方向Yに沿う状態で設置されており、外周柱5の柱梁仕口部24に接合されている。
支持フレーム2は、支持フレーム2の中間部が柱状部材22を介して嵩上げられた状態で建物4の外周大梁21に連結され、支持フレーム2の下面の高さが、外周大梁21上に構築されたスラブ23の上面の高さと同じとされている。また、支持フレーム2を設置する際に外周大梁21上にスラブ23が構築されている場合は、支持フレーム2は、スラブ23に載置された状態でアンカーボルト等によって支持フレーム2の中間部がスラブ23に直接連結される。つまり、例えば、
図1に示すように、一対の支持フレーム2のうちの第1支持フレーム2Aの下方側Z2にはスラブ23が構築されており、一対の支持フレーム2のうちの第2支持フレーム2Bの下方側Z2にはスラブ23が構築されていない場合でも、第2支持フレーム2Bに対して柱状部材22を利用することで、第2支持フレーム2Bを第1支持フレーム2Aと同じ高さに設置できるように構成されている。
尚、
図1には、スラブ23が一部構築された状態を図示しており、
図2から
図4については、構築されるスラブ23を破線で示し、第1支持フレーム2Aについても柱状部材22を利用して設置している状態を示している。
【0029】
図3に示すように、支持フレーム2は、当該支持フレーム2の被支持部Sが建物4の外周大梁21における建物内外方向Xの中央より建物外方側X1の部位に支持されるように配置されている。説明を加えると、外周大梁21は、H形鋼で構成されており、上下のフランジの間にウェブが位置する姿勢で建物外周方向Yに沿って設置されている。そして、柱状部材22の建物内外方向Xの中心が、外周大梁21のウェブより建物外方側X1に位置しており、支持フレーム2は、その柱状部材22を介して外周大梁21に支持されている。つまり、支持フレーム2の被支持部Sは、外周大梁21におけるウェブより建物外方側X1の部分に下方側Z2から支持されており、外周大梁21におけるウェブより建物外方側X1の部分に鉛直力負担部位4Aが位置している。
【0030】
外周大梁21の柱梁仕口部24側の第1梁部材25には、カーテンウォールを外周大梁21に組み付けるファスナーを取り付けるためのファスナー取付部27が備えられている。ファスナー取付部27には、外周大梁21の上下のフランジとウェブとに亘って溶接接合されている複数のガセットプレート27Aや隣接するガセットプレート27Aに亘って溶接接合されている補強プレート27B等が備えられている。柱状部材22がファスナー取付部27と上下方向視で重なる状態で、支持フレーム2が柱状部材22を介して外周大梁21に支持されている。つまり、外周大梁21におけるファスナー取付部27が備えられていることによって強度が高められている補強部位に鉛直力負担部位4Aが設定されており、支持フレーム2の被支持部Sが、外周大梁21の補強部位に下方側Z2から支持されている。尚、外周大梁21は、外周柱5の柱梁仕口部24に溶接接合された第1梁部材25と、この第1梁部材25にボルト接合されている第2梁部材26とを備えており、ファスナー取付部27は第1梁部材25に備えられていると共に支持フレーム2が柱状部材22を介して第1梁部材25に支持されている。また、
図1では、ファスナー取付部27の図示は省略している。
【0031】
上述の如く、支持フレーム2の建物内外方向Xの中間部(被支持部S)を建物4の鉛直力負担部位4Aに下方側Z2から支持させながら、支持フレーム2の建物内方側X2の端部(連結部C)を鉛直力負担部位4Aよりも建物内方側X2にある外周柱5の建物内方側X2を向く面に連結させることで、建物4の鉛直力負担部位4Aに鉛直力を負担させつつ外周柱5にて浮上り力を負担させることができる。また、浮上り力負担部位4Bが外周柱5にあるので、この外周柱5より建物内方側X2に浮上り力負担部位4Bを位置させた場合に比べて支持フレーム2の長さを短くすることができる。
【0032】
〔第2実施形態〕
次に、対象物支持構造1の第2実施形態について図面に基づいて説明する。
尚、この第2実施形態で例示する対象物支持構造1は、上記の第1実施形態で例示した対象物支持構造1とは、外周柱5に連結する位置等が異なり、これに応じて、対象物支持構造1の構成が異なることから、以下においては、第1実施形態と異なる点を主に説明し、同じ構成については説明を省略する。
【0033】
図4及び
図5に示すように、支持フレーム2の連結部Cが、外周柱5の建物外周方向Yを向く面に連結されている。つまり、外周柱5の建物外周方向Yを向く面を、建物4の浮上り力負担部位4Bとしている。
また、支持フレーム2は、外周柱5に対して建物外周方向Yの両側に備えられており、一対の支持フレーム2のうちの第1支持フレーム2Aの連結部Cが、外周柱5の外周方向第1側Y1を向く面に連結され、一対の支持フレーム2のうちの第2支持フレーム2Bの連結部Cが、外周柱5の外周方向第2側Y2を向く面に連結されている。このように本実施形態では、一対の支持フレーム2の夫々の連結部Cが、外周柱5の建物外周方向Yを向く面に連結されている。
【0034】
そして、第1支持フレーム2Aの連結部Cに受け部材14が連結され、この受け部材14が外周柱5における外周方向第1側Y1を向く面に連結されており、支持フレーム2は、受け部材14を介した状態で外周柱5の外周方向第1側Y1を向く面(浮上り力負担部位4B)に連結されている。
また、第2支持フレーム2Bの連結部Cに受け部材14が連結され、この受け部材14が外周柱5における外周方向第2側Y2を向く面に連結されており、支持フレーム2は、受け部材14を介した状態で外周柱5の外周方向第2側Y2を向く面(浮上り力負担部位4B)に連結されている。
【0035】
受け部材14は、支持フレーム2の連結部Cにボルト接合されている第1連結板部14Aと、外周柱5における外周方向第1側Y1を向く面又は外周方向第2側Y2を向く面にボルト接合されている第2連結板部14Bとを備えており、建物内外方向視でL字状に形成されている。この第2連結板部14Bと外周柱5の面とのボルト接合について説明を加えると、外周柱5における外周方向第1側Y1を向く面及び外周方向第2側Y2を向く面には、締結用板材15が溶接接合された状態で備えられており、受け部材14の第2連結板部14Bは、締結用板材15に形成されている雌ネジ部(図示せず)にボルトを螺合させることでボルト接合されている。
本実施形態では、
図5に示すように、支持フレーム2における柱状部材22が連結されている範囲の建物内外方向Xの中央部を被支持部Sとし、支持フレーム2における受け部材14が連結されている範囲の建物内外方向Xの中央部を連結部Cとしており、これによって連結部Cが被支持部Sより建物内方側X2に位置している。
【0036】
受け部材14は、支持フレーム2より上方側Z1に位置しており、支持フレーム2に載置させた状態で支持フレーム2にボルト接合されている。そのため、支持フレーム2は、支持フレーム2より上方側Z1において外周柱5の外周方向第1側Y1を向く面や外周方向第2側Y2を向く面に連結されており、浮上り力負担部位4Bは、支持フレーム2より上方側Z1に位置している。
【0037】
〔第3実施形態〕
次に、対象物支持構造1の第3実施形態について図面に基づいて説明する。
尚、この第3実施形態で例示する対象物支持構造1は、上記の第1実施形態で例示した対象物支持構造1とは、支持フレーム2を連結する外周柱5の本数等が異なり、これに応じて、対象物支持構造1の構成が異なることから、以下においては、第1実施形態と異なる点を主に説明し、同じ構成については説明を省略する。
【0038】
図6に示すように、支持フレーム2は、建物外周方向Yに並ぶ一対の外周柱5の間に、建物外周方向Yに並ぶ状態で一対備えられており、これら一対の支持フレーム2の連結部C同士が、連結フレーム13によって互いに連結され、連結フレーム13は、一対の外周柱5の双方の建物内方側X2を向く面に連結されている。
【0039】
連結フレーム13は、外周柱5より建物内方側X2に位置していると共に、建物外周方向Yに並ぶ一対の外周柱5の一方から他方に亘る状態で建物外周方向Yに沿う姿勢で設置されている。
そして、一対の支持フレーム2の夫々の連結部Cは、外周柱5より建物内方側X2に位置しており、第1支持フレーム2Aの連結部C及び第2支持フレーム2Bの連結部Cに、連結フレーム13の建物外周方向Yの中間部がボルト接合されている。このように、一対の支持フレーム2の連結部C同士が、連結フレーム13によって互いに連結されている。
【0040】
連結フレーム13の建物外周方向Yの両端部に受け部材14が連結され、連結フレーム13の外周方向第1側Y1の端部に連結された受け部材14が、支持フレーム2に対して外周方向第1側Y1にある外周柱5に連結され、連結フレーム13の外周方向第2側Y2の端部に連結された受け部材14が、支持フレーム2に対して外周方向第2側Y2にある外周柱5に連結されており、支持フレーム2は、連結フレーム13及び受け部材14を介した状態で一対の外周柱5の夫々の建物内方側X2を向く面(浮上り力負担部位4B)に連結されている。本実施形態では、連結フレーム13の上方側Z1には、補強フレーム28が建物外周方向Yに沿う姿勢で且つ連結フレーム13と重なる位置に設置されており、補強フレーム28が連結フレーム13に連結されることによって連結フレーム13の曲げ剛性が高められている。
【0041】
支持フレーム2は、その建物内外方向Xの中間部が板状部材29を介してスラブ23に連結され、支持フレーム2の下面の高さが、スラブ23の上面の高さより高くなっている。
つまり、スラブ23が打設された後、そのスラブ23によって支持フレーム2の被支持部Sが板状部材29を介した状態で支持されるように対象物支持構造1が設置される。また、板状部材29はスラブ23に載置された状態でアンカーボルト等によって接合されており、スラブ23に鉛直力負担部位4Aが位置している。
【0042】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0043】
(1)上記第1から第3実施形態では、浮上り力負担部位4Bを、支持フレーム2より上方側Z1に位置させる構成を例として説明した。しかし、支持フレーム2と浮上り力負担部位4Bとの高さ関係は適宜変更してもよい。例えば、連結フレーム13を、支持フレーム2の上面に連結させて支持フレーム2より上方側Z1に位置させると共に、受け部材14を、連結フレーム13の下面に連結させて連結フレーム13より下方側Z2に位置させることで、浮上り力負担部位4Bを、連結フレーム13より下方側Z2に位置させて支持フレーム2と同じ高さに位置させる構成としてもよい。
【0044】
(2)上記第1実施形態及び第2実施形態では、支持フレーム2を、外周柱5に対して建物外周方向Yの両側に備える構成を例として説明した。しかし、支持フレーム2を、外周柱5に対して建物外周方向Yの一方側にのみ備える構成でもよい。
【0045】
(3)上記第1実施形態及び第2実施形態では、支持フレーム2を、当該支持フレーム2の被支持部Sが建物4の外周大梁21における建物内外方向Xの中央より建物外方側X1の部位に支持されるように配置する構成と例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、支持フレーム2を、当該支持フレーム2の被支持部Sが建物4の外周大梁21における建物内外方向Xの中央の部位に支持されるように配置する等、外周大梁21が支持フレーム2を支持する位置は適宜変更してもよい。
【0046】
(4)上記第1実施形態及び第2実施形態では、支持フレーム2の下面の高さをスラブ23の上面高さと同じとする構成を例として説明した。しかし、柱状部材22の上下方向Zの長さを長くする等によって、支持フレーム2の下面の高さをスラブ23の上面高さより高くしてもよい。
また、上記第3実施形態では、支持フレーム2の下面の高さをスラブ23の上面高さより高くする構成を例として説明した。しかし、支持フレーム2を直接にスラブ23に接合する等によって、支持フレーム2の下面の高さをスラブ23の上面高さと同じとしてもよい。
【0047】
(5)上記実施形態では、支持フレーム2を、上フレーム材8と中間フレーム材9と下フレーム材10との3本のフレーム材で構成する例を説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、中間フレーム材9の下面に柱状部材22を固定して中間フレーム材9に下フレーム材10の機能を備えることで支持フレーム2を2本のフレーム材で構成したり上フレーム材8のみで構成して支持フレーム2を構成するフレーム材の本数を変える、中間フレーム材9を角形フレームに代えてH形鋼で構成してフレーム材の形状を変更する等、支持フレーム2の構成は適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 対象物支持構造
2 支持フレーム
3 対象物
4 建物
4A 鉛直力負担部位
4B 浮上り力負担部位
5 外周柱
13 連結フレーム
21 外周大梁
22 柱状部材
23 スラブ
C 連結部
S 被支持部
X 建物内外方向
X1 建物外方側
X2 建物内方側
Y 建物外周方向
Z2 下方側