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▶ 三菱重工業株式会社の特許一覧

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  • 特開-鉄心ユニット、および、回転子 図1
  • 特開-鉄心ユニット、および、回転子 図2A
  • 特開-鉄心ユニット、および、回転子 図2B
  • 特開-鉄心ユニット、および、回転子 図3
  • 特開-鉄心ユニット、および、回転子 図4
  • 特開-鉄心ユニット、および、回転子 図5
  • 特開-鉄心ユニット、および、回転子 図6A
  • 特開-鉄心ユニット、および、回転子 図6B
  • 特開-鉄心ユニット、および、回転子 図6C
  • 特開-鉄心ユニット、および、回転子 図7
  • 特開-鉄心ユニット、および、回転子 図8
  • 特開-鉄心ユニット、および、回転子 図9
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057272
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】鉄心ユニット、および、回転子
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/02 20060101AFI20240417BHJP
   H02K 1/22 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
H02K1/02 A
H02K1/22
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163885
(22)【出願日】2022-10-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】井野元 誠
(72)【発明者】
【氏名】岡部 良次
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA16
5H601CC01
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD18
5H601GA02
5H601GC12
5H601GE11
5H601HH05
(57)【要約】
【課題】圧粉磁心の形状を維持できると共に鉄心の冷却性能を向上した鉄心ユニット、および、回転子を提供する。
【解決手段】鉄心ユニットは、少なくとも1つの鉄心と、パイプとを備える。少なくとも1つの鉄心にはそれぞれ、第1方向に貫通された圧粉磁心孔が形成される。パイプは第1方向に延在する。さらに、パイプは圧粉磁心孔に差し込まれる。これにより、圧粉磁心の形状を維持できると共に鉄心の冷却性能を向上した鉄心ユニットが実現される。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に貫通された圧粉磁心孔が形成された少なくとも1つの圧粉磁心を含む鉄心と、
前記第1方向に延在し、前記圧粉磁心孔に差し込まれるパイプと、
を備える鉄心ユニット。
【請求項2】
前記パイプは、
周壁と、
前記周壁を径方向に貫通すると共に前記第1方向に沿って延在するスリットと、
を含む、
請求項1に記載の鉄心ユニット。
【請求項3】
前記パイプのパイプ外周面と前記圧粉磁心孔を規定する前記圧粉磁心の圧粉磁心内周面との間に介在する接着剤をさらに備える、
請求項1または2に記載の鉄心ユニット。
【請求項4】
前記パイプ外周面は、外周面凹部または外周面凸部の少なくとも一方を有する、
請求項3に記載の鉄心ユニット。
【請求項5】
前記鉄心の前記第1方向における端部に積み重なるように配置される絶縁体であって、前記第1方向に貫通された絶縁体孔が形成される絶縁体をさらに備え、
前記パイプは、前記絶縁体孔に差し込まれる、
請求項1または2に記載の鉄心ユニット。
【請求項6】
前記第1方向の一方側における前記パイプの一端は、前記一方側における前記絶縁体の端よりも、前記一方側とは反対側に位置する、
請求項5に記載の鉄心ユニット。
【請求項7】
前記鉄心は、前記第1方向に積層された複数の前記圧粉磁心を含み、
前記パイプは、各々の前記圧粉磁心の前記圧粉磁心孔に差し込まれる、
請求項1または2に記載の鉄心ユニット。
【請求項8】
前記鉄心は、
前記第1方向に積層される複数の鋼板を有する鋼板積層体と、
前記鋼板積層体よりも前記第1方向の一方側に配置される前記圧粉磁心であって、前記鉄心の前記一方側における端部を形成する一方側圧粉磁心と、
をさらに含む、
請求項1または2に記載の鉄心ユニット。
【請求項9】
前記パイプは、前記第1方向において前記鉄心よりも長く、且つ、前記鉄心の前記第1方向における一方側の端部から他方側の端部に亘って差し込まれる、
請求項1または2に記載の鉄心ユニット。
【請求項10】
前記パイプは、非磁性材料によって形成される、
請求項1または2に記載の鉄心ユニット。
【請求項11】
前記パイプは、非磁性金属材料によって形成される、
請求項10に記載の鉄心ユニット。
【請求項12】
前記鉄心は、
前記第1方向に積層される複数の鋼板であって、前記第1方向に貫通された鋼板孔がそれぞれに形成される複数の鋼板を含み、
前記鉄心ユニットは、前記パイプのパイプ外周面と前記鋼板孔を規定する前記鋼板の鋼板内周面との間に介在する絶縁部材をさらに備える、
請求項1または2に記載の鉄心ユニット。
【請求項13】
前記パイプは、
パイプ内周面と、
前記パイプ内周面に設けられる内周面凸部または内周面凹部の少なくとも一方と、
をさらに備える、
請求項1または2に記載の鉄心ユニット。
【請求項14】
請求項1または2に記載の複数の鉄心ユニットと、前記第1方向と直交する方向である周方向において前記複数の鉄心ユニットと交互に配置される複数の非磁性体とを含むリングユニットと、
前記リングユニットの前記第1方向の両端部にそれぞれ連結される一対のフランジであって、前記第1方向に延在する回転軸に連結されるようにそれぞれ構成される一対のフランジと、
を備え、
前記各々のフランジには、前記複数の鉄心ユニットの各々の前記パイプの内側空間と連通する少なくとも1つのフランジ孔が形成される、
回転子。
【請求項15】
各々の前記非磁性体は繊維強化複合材料によって形成され、
前記リングユニットは、前記鉄心と前記非磁性体との間に介在する可撓性部材をさらに備える、
請求項14に記載の回転子。
【請求項16】
前記可撓性部材は、エラストマーによって形成される、
請求項15に記載の回転子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鉄心ユニット、および、回転子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧粉磁心を含む鉄心ユニットが知られている。例えば特許文献1は、圧粉磁心によって構成されるステータコアを鉄心ユニットの一例として開示する(同文献の図2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-271713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の鉄心ユニットの圧粉磁心にて例えば引張り応力が発生すると、圧粉磁心の欠損が発生し、鉄心ユニットの形状を維持することが困難になるおそれがある。また、例えば鉄損などに起因して鉄心ユニットの温度は上昇するおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、圧粉磁心の形状を維持できると共に鉄心の冷却性能を向上した鉄心ユニット、および、回転子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態に係る鉄心ユニットは、
第1方向に貫通された圧粉磁心孔が形成された少なくとも1つの圧粉磁心を含む鉄心と、
前記第1方向に延在し、前記圧粉磁心孔に差し込まれるパイプと、
を備える。
【0007】
本開示の一実施形態に係る回転子は、
上記の複数の鉄心ユニットと、前記第1方向と直交する方向である周方向において前記複数の鉄心ユニットと交互に配置される複数の非磁性体とを含むリングユニットと、
前記リングユニットの前記第1方向の両端部にそれぞれ連結される一対のフランジであって、前記第1方向に延在する回転軸に連結されるようにそれぞれ構成される一対のフランジと、
を備え、
前記各々のフランジには、前記複数の鉄心ユニットの各々の前記パイプの内側空間と連通する少なくとも1つのフランジ孔が形成される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、圧粉磁心の形状を維持できると共に鉄心の冷却性能を向上した鉄心ユニット、および、回転子を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る鉄心ユニットの概略図である。
図2A】一実施形態に係る鉄心を示す概略図である。
図2B】他の実施形態に係る鉄心を示す概略図である。
図3】一実施形態に係る鉄心とパイプとの接合構造を示す概略図である。
図4】一実施形態に係るパイプの詳細構造を示す概略図である。
図5】他の実施形態に係る鉄心とパイプとの接合構造を示す概略図である。
図6A】一実施形態に係るパイプを示す概略図である(第1の例示)。
図6B】一実施形態に係るパイプを示す概略図である(第2の例示)。
図6C】一実施形態に係るパイプを示す概略図である(第3の例示)。
図7】一実施形態に係る回転子の概略図である。
図8】一実施形態に係るリングユニットの構成の一部を示す概略図である。
図9】一実施形態に係る磁気ギヤード電気機械の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
【0011】
<1.鉄心ユニット10の概要>
図1は、本開示の一実施形態に係る鉄心ユニット10の概略的な分解斜視図である。電機子に組み込まれてもよい鉄心ユニット10は、第1方向に延在する鉄心60を備える。
電機子の一例としての固定子に鉄心ユニット10が組み込まれる場合には、鉄心60に電機子コイルが巻かれてもよい。電機子の一例としての回転子30(図7参照)に鉄心ユニット10が組み込まれる場合には、鉄心60に電機子コイルが巻かれなくてもよい。第1方向はどのような方向であってもよく、鉛直方向であってもよいし、水平方向であってもよいし、鉛直方向及び水平方向と交差する方向であってもよい。
【0012】
鉄心60の中心部には差込穴68が形成されている。図1で例示される差込穴68は第1方向に貫通された貫通孔であるが、本開示はこれに限定されず、第1方向の片側において差込穴68は閉塞され、もう片側においてのみ開放されていてもよい(詳細は後述する)。鉄心ユニット10は第1方向に延在するパイプ80をさらに備えており、パイプ80は鉄心60の差込穴68に差し込まれている。パイプ80と差込穴68との篏合は締まり嵌め、中間嵌め、または、隙間嵌めのいずれであってもよい。いずれの篏合が採用される場合であっても、差込穴68を規定する内周面とパイプ80との間に接着剤9(図3参照)が介在してもよい。差込穴68に差し込まれたパイプ80(図1参照)は鉄心60を支持する。
【0013】
図1の例では、差込穴68は第1方向視において円形状であり、かつ、パイプ80は円筒状であるが、本開示はこれに限定されない。他の実施形態では、差込穴68は第1方向視において矩形状であってもよく、この場合、パイプ80は四角筒状に形成される。以下の説明では、円形状の単一の差込穴68にパイプ80が差し込まれる例を主として説明する。
【0014】
また図1の例では、単一の差込穴68が形成されているが、本開示はこれに限定されない。他の実施形態では、第1方向と直交する方向に間隔を空けて2つの差込穴68が配置されてもよい(図示は省略する)。この場合、2つの差込穴68はいずれも第1方向に貫通された貫通孔であってもよい。あるいは、2つの差込穴68が第1方向に間隔を空けて配置されてもよい。いずれの実施形態においても、2つのパイプ80がそれぞれ2つの差込穴68に差し込まれてもよい。
【0015】
<2.鉄心60の構造の詳細>
図2A図2Bは、本開示の幾つかの実施形態に係る鉄心60A,60B(60)を示す概略図である。鉄心60A,60B(60)は、少なくとも1つの圧粉磁心70を含む。図2Aで例示される鉄心60Aは、第1方向に連続して積層された複数の圧粉磁心70を含む。図2Bで例示される鉄心60Bは、第1方向に連続して積層される複数の鋼板77を含む鋼板積層体79と、鋼板積層体79の第1方向の両側にそれぞれ配置される一対の圧粉磁心70とを含む。
【0016】
図2A図2Bで例示される各圧粉磁心70の中央部には第1方向に貫通された圧粉磁心孔75が形成されている。圧粉磁心孔75は差込穴68の構成要素である。図2Aの例において、複数の圧粉磁心孔75によって形成される差込穴68A(68)は、第1方向に貫通された貫通孔である。図2Bの例において、各鋼板77の中央部には鋼板孔78が形成されており、差込穴68は、複数の鋼板孔78と2つの圧粉磁心孔75とによって形成される。図2Bの例においても、差込穴68は第1方向に貫通された貫通孔である。
【0017】
上記構成によれば、パイプ80が差し込まれるための圧粉磁心孔75が圧粉磁心70に形成されることで、パイプ80の内側空間を流れる空気が鉄心60を冷却できる。これにより、例えば渦電流の発生などに起因する鉄心60の温度上昇を抑制できる。また、圧粉磁心70は、例えば第1方向における引張応力が発生すると欠損するおそれがある。この点、上記構成によれば、パイプ80が圧粉磁心孔75に差し込まれるため、圧粉磁心70の欠損が起きても、片状の圧粉磁心70が鉄心60から落ちるのを抑制できる。よって、圧粉磁心70の形状を維持できると共に鉄心60の冷却性能を向上した鉄心ユニット10が実現される。
【0018】
なお、鉄心60の温度上昇は渦電流の発生に限定されない。例えば、鉄心60に電機子コイルが巻かれる実施形態においては、電機子コイルにおける通電によって生じた熱が鉄心60に伝わり、鉄心60の温度が上昇することもある。当該実施形態においても、圧粉磁心孔75に差し込まれたパイプ80の内側空間を空気が流れることで、鉄心60の冷却性能の向上が期待できる。また、差込穴68は、第1方向に貫通された貫通孔であることに限定されない。より具体的には、図2Bの鋼板77に鋼板孔78が形成されていなくてもよい。この場合、鋼板積層体79の両側にそれぞれ配置される2つの圧粉磁心70によって2つの差込穴68が形成される。つまり、2つの差込穴68が第1方向に間隔を空けて配置される。2つの差込穴68はいずれも鋼板積層体79によって閉塞される(つまり、各差込穴68の第1方向における片側は鋼板積層体79によって閉塞される。)。当該実施形態においては、2つのパイプ80がそれぞれ2つの圧粉磁心孔75に差し込まれる。この場合でも、パイプ80の内側空間を空気が流れることができるため、鉄心60の冷却性能の向上は期待できる。また、片状の圧粉磁心70が鉄心60から落ちるのを抑制することもできる。
【0019】
本開示の必須の構成ではないが、図2A図2Bの例では、鉄心60A,60B(60)よりも第1方向に長い単一のパイプ80が、鉄心60における一方側の端部から他方側の端部に亘って差し込まれている。上記構成によれば、鉄心60を貫通するようにパイプ80が差し込まれるため、パイプ80は鉄心60をより強固に支持することができ、鉄心ユニット10の機械的強度を向上できる。
【0020】
また、図2Aの例では上述のように、鉄心60A(60)は第1方向に連続して積層された複数の圧粉磁心70を含み、単一のパイプ80が各々の圧粉磁心孔75に差し込まれる。また、図2Bの例では、鉄心60B(60)は、鋼板積層体79を挟んで第1方向に積層された2つの圧粉磁心70を含み、単一のパイプ80が各々の圧粉磁心孔75に差し込まれる。上記構成によれば、鉄心60が複数の圧粉磁心70を含むことで、鉄心60を形成する各圧粉磁心70の小型化が実現される。これにより、鉄心60の組立工程において各圧粉磁心70をパイプ80に差し込む作業を簡易にできる。また、圧粉磁心70の小型化が実現されることによって、圧粉磁心70の成形工程を担う成形機に求められる成形圧力を低減し、圧粉磁心70の製造を易化できる。
なお、上述したように、図2Bの鋼板77に鋼板孔78が形成されていなくてもよく、鉄心60の両端部に配置される2つの圧粉磁心70にそれぞれ2本のパイプ80が差し込まれてもよい。この場合、各パイプ80は第1方向において鉄心60よりも短い。当該実施形態においても、鉄心60が複数の圧粉磁心70を含むので、各圧粉磁心70の小型化が実現される。従って、上記利点は得られる。
【0021】
本開示の一実施形態に係るパイプ80は、非磁性材料によって形成されることが好ましく、非磁性金属材料によって形成されることがさらに好ましい。非磁性金属材料としては、例えばアルミニウム、オーステナイト系ステンレス、または、銅などが挙げられる。上記構成によれば、パイプ80が非磁性材料によって形成されることで、パイプ80の磁化に伴うヒステリシス損の発生を抑制できると共に、鉄心60による磁束の変調機能を維持することができる。また、パイプ80が非磁性金属材料によって形成されることで、パイプ80の熱伝導率が向上し、圧粉磁心70からパイプ80への熱伝導性を向上できる。なお、パイプ80は、樹脂材料などの非金属の非磁性材料によって形成されてもよい。この場合であっても、パイプ80の磁化に伴うヒステリシス損の発生の抑制および鉄心60による磁束の変調機能の維持という上記利点は得られる。
【0022】
図2Bの例において、第1方向における一方側の鉄心60の端部を形成する圧粉磁心70は一方側圧粉磁心71であり、他方側の端部を形成する圧粉磁心70は他方側圧粉磁心72である。一方側圧粉磁心71は鋼板積層体79よりも第1方向の一方側に配置され、他方側圧粉磁心72は鋼板積層体79よりも第1方向の他方側に配置される。上記構成によれば、一方側圧粉磁心71が設けられることで、鉄心60の一方側の端部で発生する傾向の高い漏れ磁束を抑制でき、鉄心60において渦電流が発生するのを抑制できる。よって、鉄心60の温度上昇を抑制できる。また、他方側圧粉磁心72が設けられることで、同様の理由により鉄心60の温度上昇を抑制できる。なお、一方側圧粉磁心71と鋼板積層体79との間に少なくとも1つの圧粉磁心70がさらに配置されてもよい。同様に、他方側圧粉磁心72と鋼板積層体79との間に少なくとも1つの圧粉磁心70がさらに配置されてもよい。いずれの実施形態においても、上記利点は得られる。
【0023】
また、本開示の一実施形態に係るパイプ80の厚さは、圧粉磁心孔75の内径の最小値に対して10%以下である。上記構成によれば、パイプ80を薄くすることができるので、パイプ80の内側空間を流れる空気と圧粉磁心70との熱交換を促進することができ、鉄心ユニット10の冷却性能の向上が期待できる。
【0024】
<3.絶縁体110>
図1に戻り、本開示の一実施形態に係る鉄心ユニット10は、鉄心60の第1方向の端部に積み重なるように配置された絶縁体110をさらに備える。絶縁体110は、鉄心ユニット10の第1方向における端部を形成する。図1で例示される絶縁体110は、第1方向に厚さを有する板状である。一例として、絶縁体110を形成する材料は繊維強化複合材料(FRP;Fiber Reinforced Plastics)であり、より詳細にはガラス繊維強化プラスチック(GFRP;Glass Fiber Reinforced Plastics)である。絶縁体110を形成する材料の他の例として、樹脂材料またはセラミック材料などが採用されてもよい。また、図1の例では、鉄心60に対して第1方向の両側にそれぞれ絶縁体110が配置される。各絶縁体110の中央部には第1方向に貫通された絶縁体孔115が形成されており、各絶縁体孔115は、鉄心60の差込穴68と第1方向に対向する。そして、本開示の一実施形態に係るパイプ80は、差込穴68のみならず絶縁体孔115にも差し込まれている。より具体的には一例として、パイプ80の第1方向における端部は絶縁体孔115に収容されている。つまり、パイプ80は絶縁体孔115から鉄心ユニット10とは反対側に突出してはいない。パイプ80と絶縁体孔115との篏合は締まり嵌め、中間嵌め、または、隙間嵌めのいずれであってもよい。
【0025】
上記構成によれば、鉄心60の端部に積み重なるように配置された絶縁体110の絶縁体孔115にパイプ80が差し込まれることで、パイプ80を圧粉磁心孔75から外れにくくできる。従って、鉄心ユニット10の機械的強度は向上する。また、絶縁体110が設けられることで、鉄心60の第1方向における端部で発生する傾向の高い漏れ磁束を抑制でき、鉄心60において渦電流が発生するのを抑制できる。よって、鉄心60の温度上昇を抑制することもできる。
また、圧粉磁心70の欠損が生じた場合であっても、鉄心60の端部に積み重なるように絶縁体110は、片状の圧粉磁心70が鉄心60から落ちるのを抑制する機能を果たすことができる。
【0026】
また、第1方向の一方側におけるパイプ80の一端87は、一方側における絶縁体110の端111よりも、一方側とは反対側(即ち他方側)に位置してもよい(図3図5参照)。鉄心ユニット10が後述の回転子30(図7参照)に組み込まれる実施形態においては、回転子30の構成部品であるエンドリング31と上述の鉄心60とによって絶縁体110は挟まれる。この点、パイプ80の一端87が、絶縁体110の端111よりも他方側に位置することで、絶縁体孔115に収容されている一端87と、金属製であってもよいエンドリング31との接触は回避される。これにより、鉄心60とエンドリング31とが意図せず導通するのを避けることができる。
但し、本開示は、パイプ80の一端87と絶縁体110の端111が、第1方向において互いに同じ位置にある実施形態を除外しない(図4参照)。また、本開示は、パイプ80の一端87が絶縁体110の端111よりも一方側に位置する実施形態を除外しない(図示外)。
【0027】
<4.鉄心60A(60)とパイプ80との接合構造>
図3は、本開示の一実施形態に係る鉄心60A(60)とパイプ80との接合構造を示す概略的な断面図である。同図で示される既述の鉄心60Aには、絶縁体110が第1方向において積み重なっている。
【0028】
圧粉磁心70は圧粉磁心孔75を規定する圧粉磁心内周面76を有し、絶縁体110は絶縁体孔115を規定する絶縁体内周面116を有し、パイプ80はパイプ外周面89を有する。図3で例示されるパイプ80は、圧粉磁心孔75と絶縁体孔115とに差し込まれている。パイプ外周面89は、圧粉磁心内周面76と軸方向において重なる部位と、絶縁体内周面116と軸方向において重なる部位とを有する。なお、パイプ80の軸方向は第1方向と一致する。
【0029】
図3の例では、圧粉磁心内周面76とパイプ外周面89との間に接着剤9が介在する。同図の例では、鉄心60Aの一方向における略全長に亘って接着剤9があり、より詳細には、鉄心60Aを構成する全ての圧粉磁心70の圧粉磁心内周面76と、パイプ外周面89との間に接着剤9が介在する。但し、接着剤9は、パイプ外周面89と圧粉磁心内周面76との間のみに介在することに本開示は限定されない。同図で例示されるように絶縁体内周面116とパイプ外周面89との間に接着剤9は介在してもよい。また、接着剤9は、絶縁性を有することが好ましく、絶縁性および非磁性を有することがさらに好ましい。
【0030】
上記構成によれば、パイプ外周面89と圧粉磁心内周面76との間に接着剤9が介在するので、欠損により生じた片状の圧粉磁心70が鉄心60から落ちるのを抑制できる。また、パイプ外周面89と圧粉磁心内周面76とが接着剤9を介して密着できるので、圧粉磁心70からパイプ80への熱伝導性をさらに向上できる。
なお、鉄心ユニット10は、絶縁体110を備えなくてもよい。また、鉄心60Aに代えて鉄心60B(図2B)に接着剤9が配置されてもよい。より具体的には、差込穴68Bを形成する内周面(つまり、圧粉磁心内周面76と後述の鋼板内周面176)とパイプ外周面89との間に接着剤9が配置されてもよい。当該実施形態においても、上記利点は得られる。
【0031】
図4は、パイプ80の一例であるパイプ80A(80)の詳細構造を示す概略図である。同図のパイプ80Aは鉄心60Aの差込穴68Aに差し込まれている。パイプ80Aのパイプ外周面89A(89)は、外周面凹部181または外周面凸部183の少なくとも一方を有する。同図では、外周面凹部181と外周面凸部183の双方が設けられており、より詳細な一例として、複数の外周面凹部181が第1方向に間隔を空けて設けれており、複数の外周面凸部183が第1方向に間隔を空けて設けられている。外周面凹部181または外周面凸部183は、パイプ外周面89Aに対してブラスト加工、ローレット加工、または、筋彫り加工などの機械加工を施すことで形成される。なお、外周面凹部181または外周面凸部183の少なくとも一方は、パイプ外周面89の全面に亘って形成されてもよいし、パイプ外周面89Aのうちで圧粉磁心内周面76と軸方向に重なる部位のみに形成されてもよい。また、パイプ外周面89Aには、外周面凹部181または外周面凸部183のいずれか一方のみが設けられてもよい。さらに、外周面凸部183はパイプ外周面89とは別体の部材であってもよい。上記構成によれば、外周面凹部181または外周面凸部183の少なくとも一方が設けられることで、パイプ外周面89A(89)と圧粉磁心内周面76との間に介在する接着剤9の量が増大する。これにより、欠損により生じた片状の圧粉磁心70が鉄心60A(60)から落ちるのをさらに抑制できる。
【0032】
なお本開示の必須の構成要素ではないが、パイプ80A(80)は、パイプ内周面86と、パイプ内周面86に設けられた内周面凸部861または内周面凹部863の少なくとも一方とをさらに備えてもよい。図4の例では内周面凸部861と内周面凹部863の双方が設けられている。内周面凸部861は、一例としてパイプ内周面86とは別体のフィンであり、パイプ80Aの周方向の全長に亘って延在する。そして、複数の内周面凸部861が軸方向に沿って間隔を空けて配置されている。内周面凹部863は、パイプ内周面86に設けられた溝であり、パイプ80Aの周方向の全長に亘って延在する。そして、複数の内周面凹部863が軸方向に沿って間隔を空けて配置されている。内周面凸部861は、パイプ内周面86のうち鉄心60Aの差込穴68Aと軸方向に重なる部位に設けられていることが好ましく、内周面凹部863も同様である。なお、パイプ内周面86には、内周面凸部861または内周面凹部863のいずれか一方のみが設けられてもよい。また、パイプ内周面86のうちで、絶縁体内周面116と軸方向に重なる部位に内周面凸部861または内周面凹部863が設けられてもよい(図4の例では、パイプ内周面86の当該部位に内周面凹部863が設けられている)。内周面凸部861または内周面凹部863の少なくとも一方が設けられるパイプ80は、例えばライフル管である。
【0033】
上記構成によれば、パイプ内周面86と空気との熱交換が促進されるので、鉄心60A(60)の冷却性能を向上できる。なお、パイプ80Aが鉄心60Aの差込穴68Aに差し込まれていることに本開示は限定されない。パイプ80Aは、鉄心60B(図2B参照)の差込穴68Bに差し込まれてもよい。この場合、内周面凸部861と内周面凹部863は、差込穴68Bを形成する内周面(圧粉磁心内周面76と後述の鋼板内周面176)と軸方向において重なるように配置されてもよい。
【0034】
<5.鉄心60B(60)とパイプ80との接合構造>
図5は、本開示の他の実施形態に係る鉄心60B(60)とパイプ80との接合構造を示す概略的な断面図である。同図で示される既述の鉄心60Bには、絶縁体110が第1方向において積み重なっている。上述の通り、鉄心60Bは、複数の鋼板77を有する含む鋼板積層体79を含む。そして、各鋼板77は、第1方向に貫通された鋼板孔78を規定する鋼板内周面176を有する。
【0035】
パイプ80は、差込穴68B(68)と絶縁体孔115とに差し込まれている。図5で例示されるパイプ80のパイプ外周面89は、圧粉磁心内周面76と軸方向において重なる部位と、鋼板内周面176と軸方向において重なる部位と、絶縁体内周面116と軸方向において重なる部位とを有する。
【0036】
本例では、パイプ外周面89と鋼板内周面176との間に少なくとも介在する絶縁部材120がさらに配置される。同図で例示される絶縁部材120は、パイプ外周面89および鋼板内周面176の間と、パイプ外周面89および圧粉磁心内周面76の間と、パイプ外周面89および絶縁体内周面116の間とに配置される。絶縁部材120は、パイプ外周面89を絶縁コーティングすることで形成されてもよいし、樹脂材料、セラミック材料、またはゴム材料によって形成される部材であってもよい。
【0037】
一般に、外表面に絶縁被膜が形成された鋼板材(図示外)に打ち抜き加工が実行されることで、鋼板内周面176を備える鋼板77が得られる。従って、鋼板内周面176には絶縁被膜が形成されていない。そのため、積層された複数の鋼板77のいずれかで渦電流が発生すると、電流が鋼板内周面176を経由して他の鋼板77に流れるおそれがある。つまり、電流が鋼板積層体79を第1方向に流れるおそれがある。この点、上記構成によれば、パイプ外周面89と鋼板内周面176との間に絶縁体110が配置されるので、いずれかの鋼板77で生じた電流が鋼板積層体79を第1方向に流れるのを抑制できる。
【0038】
<6.パイプ80のスリット85>
図6A図6Cは、パイプ80の一例としてのパイプ81,82,83(80)を示す概略図である。図6A図6Cで例示されるパイプ81~83は、周壁84A,84B,84C(84)と、パイプ80の径方向に周壁84を貫通するスリット85A,85B,85C(85)とを含む。スリット85A,85B,85Cは第1方向に沿って延在する。より詳細には、スリット85A,85Bは第1方向に沿って直線状に延在し、スリット85Cは第1方向に沿って螺旋状に延在する。
【0039】
また、図6A図6Cで例示されるように、スリット85A,85C(85)は、パイプ81,83(80)の第1方向における一方側の端部から他方側の端部に亘って形成されてもよる。つまり、スリット85A,85Cは第1方向の一方側と他方側とに開放される。また、図6Bで例示されるように、スリット85B(85)は、第1方向の一方側に開放される一方で、スリット85Bの他方側には開放されない。この場合、スリット85Bの第1方向における他方側の端部は、パイプ82(80)の他方側の端部よりも一方側に位置する。また、詳細な図示は省略するが、スリット85の第1方向における両端部は、第1方向において開放されてなくてもよい。即ち、スリット85の第1方向における両端部は、パイプ80の第1方向における両端部に対して、パイプ80の第1方向の中央側に位置してもよい。また、パイプ80に形成されるスリット85の本数は1本であることが好ましく、これによりパイプ80の構造を簡易にできる。
【0040】
上記構成によれば、スリット85が設けられているため、鉄心ユニット10の製造工程において、パイプ80を軸心側に圧縮した状態で差込穴68に差し込むことができる。差し込みの完了後、圧縮されていたパイプ80が軸心から遠ざかるように広がり、パイプ80の周壁84の少なくとも一部は差込穴68を構成する内周面(より詳細には一例として、圧粉磁心内周面76)に押し当たる。これにより、圧粉磁心70からパイプ80への熱伝導性が向上するので、鉄心ユニット10の冷却性能はさらに向上する。
【0041】
<7.鉄心ユニット10が組み込まれた回転子30の例示>
図7図8を参照し、鉄心ユニット10が組み込まれた回転子30を例示する。回転子30は、第1方向と直交する方向である周方向に回転するように構成されており、例えば磁気ギヤード電気機械1(図9参照)を構成する回転軸5に連結される(磁気ギヤード電気機械1の構成の概要は後述する)。第1方向は回転子30の軸方向と一致し、回転軸5は第1方向に延在する。以下の説明では、回転子30の軸線を基準とした径方向を単に「径方向」という場合がある。
【0042】
図7は、一実施形態に係る回転子30の概略図である。回転子30は、周方向に延在するリングユニット50を備える。リングユニット50は、複数の鉄心ユニット10と、複数の非磁性体52とを含む。複数の鉄心ユニット10と複数の非磁性体52は、周方向に交互に配置されており、各鉄心ユニット10は、周方向の両側に位置する一対の非磁性体52によって挟まれている。同図の例では、リングユニット50の第1方向の両端部にはそれぞれ、回転子30の構成要素としての一対のエンドリング31が設けられている。エンドリング31は、周方向に延在すると共に、第1方向に厚さを有する板状である。
【0043】
回転子30は、リングユニット50の第1方向の両端部にそれぞれ連結される一対のフランジ41をさらに備え、各フランジ41は回転軸5に連結されるように構成される。フランジ41の構成の詳細例は、以下の通りである。フランジ41は、周方向に延在するリング部42と、リング部42から径方向の内側に延在する複数の延在部47と、延在部47の内側端部に連結する軸連結部48とを備える。本例のリング部42は、第1方向に厚さを有する板状であり、エンドリング31を介してリングユニット50の端部に連結する(即ち、フランジ41はリングユニット50の端部に間接的に連結する。)。軸連結部48は第1方向に沿った円筒状であり、軸連結部48の内周面は回転軸5(図9参照)に連結される。
【0044】
さらに、フランジ41のリング部42には、鉄心ユニット10の各々のパイプ80(図2A図2B参照)の内側空間と第1方向に連通する少なくとも1つのフランジ孔43が形成される。図7の例では、フランジ孔43は、エンドリング31に形成された複数のエンドリング孔(図示外)と第1方向に対向しており、複数のエンドリング孔はそれぞれ複数の鉄心ユニット10の絶縁体孔115(図1参照)と第1方向に対向する。これにより、フランジ孔43はパイプ80の内側空間に連通し、回転子30の回転に伴って空気がパイプ80の内側空間を流れることができる。
【0045】
より詳細な構成例を説明すると、少なくとも1つのフランジ孔43は、周方向に間隔を空けて配置された複数のフランジ孔43であり、複数のフランジ孔43はそれぞれ複数のエンドリング孔と第1方向に対向する。但し本開示は上記構成に限定されない。他の実施形態に係るリング部42は、周方向に延在する板状のリングであることに代えて、周方向に延在する枠状(換言すると中空状)のリングであってもよい。この場合、枠の内側に形成される単一の開放孔がフランジ孔43に該当する。従って、フランジ孔43の個数は1個となる。また、回転子30は一対のエンドリング31を備えなくてもよい。この場合、リング部42がリングユニット50の端部に直接的に連結してもよい。そして、パイプ80の一端87が、絶縁体110の端111よりも第1方向の他方側に位置する場合(図3図5参照)、パイプ80の一端87と金属製であってもよいリング部42との接触が回避されることで、鉄心60とリングユニット50との意図しない導通を避けることができる。
【0046】
図8は、本開示の一実施形態に係るリングユニット50の構成の一部を示す概略図である。同図では、周方向が紙面左右方向と一致するに図示される。非磁性体52は既述のFRPによって形成される。FRPは、例えば、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP;Glass Fiber Reinforced Plastics)、または、炭素繊維強化プラスチック(CFRP;Carbon Fiber Reinforced Plastics)などであってもよい。
【0047】
さらにリングユニット50は、鉄心60と非磁性体52との間に介在する可撓性部材150を備える。可撓性部材150は、鉄心60よりもヤング率が小さく、かつ、第1方向に弾性変形可能な部材である。可撓性部材150は、例えば、ゴム、樹脂、または、エラストマーによって形成される。可撓性部材150はシート状であることが好ましい。また、同図の例では、第1方向における鉄心60の全長に亘って、可撓性部材150は鉄心60と非磁性体52との間に介在する。
【0048】
上記構成によれば、非磁性体52が繊維強化複合材料であることで、非磁性体52の絶縁性が確保されると共に、回転子30の軽量化および高剛性化が実現される。他方で、FRPによって形成される非磁性体52の線膨張係数は圧粉磁心70の線膨張係数よりも小さい。このため、圧粉磁心70と非磁性体52とが直接的に接触する構成を有する回転子30の温度が上昇すると、圧粉磁心70よりも非磁性体52の方が第1方向に延びる。結果、非磁性体52の膨張に起因する引張応力が熱応力として圧粉磁心70にて発生し、機械的な強度が比較的弱い圧粉磁心70は破損する可能性がある。つまり、圧粉磁心70の欠損が起こる可能性がある。この点、上記構成によれば、可撓性部材150には、非磁性体52に接触する部位と鉄心60に接触する部位とがあり、両部位の第1方向における延伸量を違えることが可能となる。つまり、可撓性部材150は圧粉磁心70に発生する熱応力を低減できる。これにより、回転子30は圧粉磁心70の破壊を抑制できる。
【0049】
一実施形態に係る可撓性部材150は、熱可塑性のエラストマーによって形成される。上記構成によれば、エラストマーに接着機能が含まれるので、鉄心60、非磁性体52、および、可撓性部材150を接合するための単独の接着材料を用意する必要がない。よって、回転子30の構成を簡易化できる。
【0050】
さらに、図3の例では、可撓性部材150と同一材料によって形成される可撓性部材151,152が、鉄心ユニット10の径方向の外側面と内側面にそれぞれ配置される。本例の可撓性部材150~152は、一体的に形成されたエラストマーからなるシート材であり、鉄心ユニット10を包むように設けられる。さらに、同図の回転子30は、リングユニット50を径方向の外側から覆う外カバー55Aと、リングユニット50を径方向の内側から覆う内カバー55Bとをさらに備える。本例の外カバー55Aと内カバー55Bは、CFRP等を繊維基材に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグ材である。外カバー55Aと内カバー55Bは接着剤層59を介して可撓性部材151,152に密着することで、リングユニット50に接合される。外カバー55Aと内カバー55Bがリングユニット50の周方向の全長に亘って設けられることで、リングユニット50を補強することができる。
【0051】
<8.鉄心ユニット10が組み込まれた回転子30の例示>
図9は、回転子30を備える磁気ギヤード電気機械1の概略図である。磁気ギヤード電気機械1は第1方向に延在する回転軸5を備え、回転子30は上述の通り一対のフランジ41を備える。各フランジ41は回転軸5に直接的に連結される。磁気ギヤード電気機械1は、さらに、一対のフランジ41の間において回転軸5によってベアリングを介して支持される磁石回転子15を備える。磁石回転子15は、鉄心ユニット10よりも内側において周方向に並ぶ複数の回転子磁石19を備える。また、磁気ギヤード電気機械1は、鉄心ユニット10よりも径方向の外側で固定された固定子20を備える。固定子20は、周方向に並ぶ複数の固定子磁石29と、複数の固定子磁石29を支持する固定子継鉄25と、固定子継鉄25に巻かれた電機子コイルとしてのコイル27とを含む。そして、コイル27は電力系統6に電気的に接続される。上記構造を有する磁気ギヤード電気機械1においては、鉄心ユニット10は磁極片ユニットとして機能し、回転子30は磁極片回転子として機能する。
【0052】
回転軸5は外部回転機器7に連結されている。磁気ギヤード電気機械1は、例えば、電力系統6から電力の供給を受けて外部回転機器7を駆動する磁気ギヤードモータである。磁気ギヤードモータとしての磁気ギヤード電気機械1の動作原理は以下の通りである。コイル27の通電によって発生する回転磁界によって、磁石回転子15が回転する。複数の回転子磁石19および複数の固定子磁石29に対する複数の鉄心ユニット10の相対的な位置関係が変化し、磁石回転子15と固定子20の間の磁束が変調されて、回転子30が回転軸5と共に回転する。回転軸5から外部回転機器7にトルクが伝達されて外部回転機器7は駆動できる。
【0053】
なお、磁気ギヤード電気機械1は磁気ギヤードモータに代えて磁気ギヤード発電機であってもよい。この場合、外部回転機器7が回転軸5を駆動する構成が採用されればよい。回転軸5と共に回転子30が回転すると、複数の回転子磁石19および複数の固定子磁石29に対する複数の鉄心ユニット10の相対的な位置関係が変化し、磁石回転子15が回転する。回転子30と磁石回転子15の回転に伴って起こる電磁誘導によってコイル27に電流が発生し、電力系統6に電力が供給される。
【0054】
鉄心ユニット10を備える回転子30では、既述の理由によって冷却性能を向上できる。また、磁気ギヤード電気機械1の作動に伴って、遠心力、振動、または電磁力の少なくとも1つが鉄心ユニット10に作用するため、圧粉磁心70の欠損が起こるおそれがある。この場合であっても、既述の理由によって、回転子30は圧粉磁心70が鉄心ユニット10から落ちるのを抑制できる。
【0055】
<9.その他>
鉄心ユニット10が回転子30に組み込まれることに本開示は限定されない。鉄心ユニット10は上述した磁気ギヤード電気機械1の固定子20に組み込まれてもよい。あるいは、アキシャルギャップモータを構成する固定子(図示外)に、鉄心ユニット10が組み込まれてもよい。
【0056】
<10.まとめ>
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0057】
1)本開示の少なくとも一実施形態に係る鉄心ユニット(10)は、
第1方向に貫通された圧粉磁心孔(75)が形成された少なくとも1つの圧粉磁心(70)を含む鉄心(60)と、
前記第1方向に延在し、前記圧粉磁心孔に差し込まれるパイプ(80)と、
を備える。
【0058】
上記1)の構成によれば、パイプが差し込まれる圧粉磁心孔が圧粉磁心に形成されることで、パイプの内側空間を流れる空気が鉄心を冷却できる。これにより、例えば渦電流の発生または電機子コイルの通電などに起因する鉄心の温度上昇を抑制できる。また、例えば第1方向における引張応力が発生すると圧粉磁心は欠損するおそれがある。この点、上記1)の構成によれば、パイプが圧粉磁心孔に差し込まれるため、圧粉磁心の欠損が起きても、片状の圧粉磁心が鉄心から落ちるのを抑制できる。よって、圧粉磁心の形状を維持できると共に鉄心の冷却性能を向上した鉄心ユニットが実現される。
【0059】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の鉄心ユニットであって、
前記パイプは、
周壁(84)と、
前記周壁を径方向に貫通すると共に前記第1方向に沿って延在するスリット(85)と、
を含む。
【0060】
上記2)の構成によれば、スリットが設けられているため、鉄心ユニットの製造工程において、パイプを軸心側に圧縮した状態で差込穴に差し込むことができる。差し込みの完了後、圧縮されていたパイプが軸心から遠ざかるように広がり、パイプの周壁の少なくとも一部は圧粉磁心内周面に押し当たる。これにより、圧粉磁心からパイプへの熱伝導性が向上するので、鉄心ユニットの冷却性能はさらに向上する。
【0061】
3)幾つかの実施形態では、上記1)または2)に記載の鉄心ユニットであって、
前記パイプのパイプ外周面(89)と前記圧粉磁心孔を規定する前記圧粉磁心の圧粉磁心内周面(76)との間に介在する接着剤(9)をさらに備える。
【0062】
上記3)の構成によれば、パイプ外周面と圧粉磁心内周面との間に接着剤が介在するので、欠損により生じた片状の圧粉磁心が鉄心から落ちるのを抑制できる。また、パイプ外周面と圧粉磁心内周面が接着剤を介して密着できるので、圧粉磁心からパイプへの熱伝導性をさらに向上できる。
【0063】
4)幾つかの実施形態では、上記3)に記載の鉄心ユニットであって、
前記パイプ外周面は、外周面凹部(181)または外周面凸部(183)の少なくとも一方を有する。
【0064】
上記4)の構成によれば、パイプ外周面と圧粉磁心内周面との間に介在する接着剤の量が増大するので、欠損により生じた片状の圧粉磁心が鉄心から落ちるのをさらに抑制できる。
【0065】
5)幾つかの実施形態では、上記1)から4)のいずれかに記載の鉄心ユニットであって、
前記鉄心の前記第1方向における端部に積み重なるように配置される絶縁体(110)であって、前記第1方向に貫通された絶縁体孔(115)が形成される絶縁体をさらに備え、
前記パイプは、前記絶縁体孔に差し込まれる。
【0066】
上記5)の構成によれば、鉄心の端部に積み重なるように配置された絶縁体の絶縁体孔にパイプが差し込まれることで、パイプを圧粉磁心孔から外れにくくできる。従って、鉄心ユニットの機械的強度は向上する。また、絶縁体が設けられることで、鉄心の第1方向における端部で発生する傾向の高い漏れ磁束を抑制でき、鉄心において渦電流が発生するのを抑制できる。よって、鉄心の温度上昇を抑制することもできる。
【0067】
6)幾つかの実施形態では、上記5)に記載の鉄心ユニットであって、
前記第1方向の一方側における前記パイプの一端(87)は、前記一方側における前記絶縁体の端(111)よりも、前記一方側とは反対側に位置する。
【0068】
上記6)の構成によれば、鉄心ユニットが組付けられる他のユニット(例えば回転子30)の構成部品(例えばエンドリング31)とパイプの一端が接触することが回避される。これにより、当該構成部品と鉄心とが意図せず導通するのを避けることができる。
【0069】
7)幾つかの実施形態では、上記1)から6)のいずれかに記載の鉄心ユニットであって、
前記鉄心は、前記第1方向に積層された複数の前記圧粉磁心を含み、
前記パイプは、各々の前記圧粉磁心の前記圧粉磁心孔に差し込まれる。
【0070】
上記7)の構成によれば、鉄心が複数の圧粉磁心を含むことで、鉄心を形成する各圧粉磁心の小型化が実現される。これにより、鉄心の組立工程における各圧粉磁心をパイプに差し込む作業を簡易にできる。また、圧粉磁心の小型化が実現されることによって、圧粉磁心の成形工程で使用される成形機の成形圧力を低減し、圧粉磁心の製造を易化できる。
【0071】
8)幾つかの実施形態では、上記1)から7)のいずれかに記載の鉄心ユニットであって、
前記鉄心は、
前記第1方向に積層される複数の鋼板(77)を有する鋼板積層体(79)と、
前記鋼板積層体よりも前記第1方向の一方側に配置される前記圧粉磁心であって、前記鉄心の前記一方側における端部を形成する一方側圧粉磁心(71)と、
をさらに含む。
【0072】
上記8)の構成によれば、鉄心の第1方向における端部が一方側圧粉磁心によって形成されることで、鉄心の一方側の端部で発生する傾向の高い漏れ磁束を抑制でき、鉄心において渦電流が発生するのを抑制できる。よって、鉄心の温度上昇を抑制できる。
【0073】
9)幾つかの実施形態では、上記1)から8)のいずれかに記載の鉄心ユニットであって、
前記パイプは、前記第1方向において前記鉄心よりも長く、且つ、前記鉄心の前記第1方向における一方側の端部から他方側の端部に亘って差し込まれる。
【0074】
上記9)の構成によれば、鉄心を貫通するようにパイプが差し込まれるため、パイプは鉄心をより強固に支持することができ、鉄心ユニットの機械的強度を向上できる。
【0075】
10)幾つかの実施形態では、上記1)から9)のいずれかに記載の鉄心ユニットであって、
前記パイプは、非磁性材料によって形成される。
【0076】
上記10)の構成によれば、パイプの磁化に伴うヒステリシス損の発生を抑制できると共に、鉄心による磁束の変調機能を維持できる。
【0077】
11)幾つかの実施形態では、上記10)に記載の鉄心ユニットであって、
前記パイプは、非磁性金属材料によって形成される。
【0078】
上記11)の構成によれば、パイプの熱伝導率が向上するので、圧粉磁心からパイプへの熱伝導性をさらに向上できる。
【0079】
12)幾つかの実施形態では、上記1)から11)のいずれかに記載の鉄心ユニットであって、
前記鉄心は、
前記第1方向に積層される複数の鋼板(77)であって、前記第1方向に貫通された鋼板孔(78)がそれぞれに形成される複数の鋼板を含み、
前記鉄心ユニットは、前記パイプのパイプ外周面(89)と前記鋼板孔を規定する前記鋼板の鋼板内周面(176)との間に介在する絶縁部材(120)をさらに備える。
【0080】
一般に、鋼板内周面には絶縁被膜が形成されていないため、いずれかの鋼板で渦電流が発生すると、該電流は、鋼板内周面を経由して鋼板積層体を第1方向に流れるおそれがある。この点、上記12)の構成によれば、パイプ外周面と鋼板内周面との間に絶縁部材が配置されるので、いずれかの鋼板で生じた電流が鋼板積層体を第1方向に流れるのを抑制できる。
【0081】
13)幾つかの実施形態では、上記1)から12)のいずれかに記載の鉄心ユニットであって、
前記パイプは、
パイプ内周面(86)と、
前記パイプ内周面に設けられる内周面凸部(861)または内周面凹部(863)の少なくとも一方と、
をさらに備える。
【0082】
上記13)の構成によれば、パイプ内周面と空気との熱交換が促進されるので、鉄心の冷却性能を向上できる。
【0083】
14)本開示の少なくとも一実施形態に係る回転子(30)は、
上記1)乃至12)の何れかに記載の複数の鉄心ユニット(10)と、前記第1方向と直交する方向である周方向において前記複数の鉄心ユニットと交互に配置される複数の非磁性体(52)とを含むリングユニット(50)と、
前記リングユニットの前記第1方向の両端部にそれぞれ連結される一対のフランジ(34)であって、前記第1方向に延在する回転軸に連結されるようにそれぞれ構成される一対のフランジと、
を備え、
前記各々のフランジには、前記複数の鉄心ユニットの各々の前記パイプ(80)の内側空間と連通する少なくとも1つのフランジ孔(43)が形成される。
【0084】
上記14)の構成によれば、上記1)と同様の理由によって、圧粉磁心の形状を維持できると共に鉄心の冷却性能を向上した回転子が実現される。
【0085】
15)幾つかの実施形態では、上記14)に記載の回転子(30)であって、
各々の前記非磁性体は繊維強化複合材料によって形成され、
前記リングユニットは、前記鉄心と前記非磁性体との間に介在する可撓性部材(150)をさらに備える。
【0086】
上記14)の構成によれば、非磁性体が繊維強化複合材料であることで、非磁性体の絶縁性が確保されると共に、回転子の軽量化および高剛性化が実現される。他方で、繊維強化複合材料によって形成される非磁性体の線膨張係数は圧粉磁心の線膨張係数よりも小さい。このため、圧粉磁心と非磁性体とが直接的に接触する構成を有する回転子の温度が上昇すると、圧粉磁心よりも非磁性体の方が第1方向に延びる。結果、非磁性体の膨張に起因する引張応力が熱応力として圧粉磁心に発生し、機械的な強度が比較的弱い圧粉磁心は破損する可能性がある。つまり、圧粉磁心の欠損が起こる可能性がある。この点、上記15)の構成によれば、可撓性部材には、非磁性体に接触する部位と鉄心に接触する部位とがあり、両部位の第1方向における延伸量を違えることが可能となる。つまり、可撓性部材は圧粉磁心に発生する熱応力を低減できる。これにより、回転子は圧粉磁心の破壊を抑制できる。
【0087】
16)幾つかの実施形態では、上記15)に記載の回転子であって、
前記可撓性部材は、エラストマーによって形成される。
【0088】
上記16)の構成によれば、エラストマーに接着機能が含まれるので、鉄心、非磁性体、および、可撓性部材を接合するための単独の接着材料を用意する必要がない。よって、回転子の構成を簡易化できる。
【符号の説明】
【0089】
5 :回転軸
9 :接着剤
10 :鉄心ユニット
30 :回転子
41 :フランジ
43 :フランジ孔
50 :リングユニット
52 :非磁性体
60 :鉄心
70 :圧粉磁心
71 :一方側圧粉磁心
75 :圧粉磁心孔
76 :圧粉磁心内周面
77 :鋼板
78 :鋼板孔
79 :鋼板積層体
80(80A,81~83) :パイプ
84 :周壁
85 :スリット
86 :パイプ内周面
87 :一端
89 :パイプ外周面
110 :絶縁体
111 :端
115 :絶縁体孔
120 :絶縁部材
150 :可撓性部材
176 :鋼板内周面
181 :外周面凹部
183 :外周面凸部
861 :内周面凸部
863 :内周面凹部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-04-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に貫通された圧粉磁心孔が形成された少なくとも1つの圧粉磁心を含む鉄心と、
前記第1方向に延在し、前記圧粉磁心孔に差し込まれるパイプと、
を備え
前記パイプは、
周壁と、
前記周壁を径方向に貫通すると共に前記第1方向に沿って延在するスリットと、
を含み、
前記スリットは、前記第1方向の少なくとも一方側に開放される、
鉄心ユニット。
【請求項2】
前記パイプのパイプ外周面と前記圧粉磁心孔を規定する前記圧粉磁心の圧粉磁心内周面との間に介在する接着剤をさらに備える、
請求項1に記載の鉄心ユニット。
【請求項3】
前記パイプ外周面は、外周面凹部または外周面凸部の少なくとも一方を有する、
請求項に記載の鉄心ユニット。
【請求項4】
第1方向に貫通された圧粉磁心孔が形成された少なくとも1つの圧粉磁心を含む鉄心と、
前記第1方向に延在し、前記圧粉磁心孔に差し込まれるパイプと、
前記鉄心の前記第1方向における一方側の端部に積み重なるように配置される一方側絶縁体であって、前記第1方向に貫通された絶縁体孔が形成される一方側絶縁体と、
を備え、
前記パイプは、前記第1方向の前記一方側における前記パイプの一端が前記一方側絶縁体の端よりも前記第1方向の他方側に位置するように、前記絶縁体孔に差し込まれる、
鉄心ユニット。
【請求項5】
前記鉄心は、前記第1方向に積層された複数の前記圧粉磁心を含み、
前記パイプは、各々の前記圧粉磁心の前記圧粉磁心孔に差し込まれる、
請求項1または4に記載の鉄心ユニット。
【請求項6】
前記鉄心は、
前記第1方向に積層される複数の鋼板を有する鋼板積層体と、
前記鋼板積層体よりも前記第1方向の一方側に配置される前記圧粉磁心であって、前記鉄心の前記一方側における端部を形成する一方側圧粉磁心と、
をさらに含む、
請求項1または4に記載の鉄心ユニット。
【請求項7】
前記パイプは、前記第1方向において前記鉄心よりも長く、且つ、前記鉄心の前記第1方向における一方側の端部から他方側の端部に亘って差し込まれる、
請求項1または4に記載の鉄心ユニット。
【請求項8】
前記パイプは、非磁性材料によって形成される、
請求項1または4に記載の鉄心ユニット。
【請求項9】
前記パイプは、非磁性金属材料によって形成される、
請求項に記載の鉄心ユニット。
【請求項10】
前記鉄心は、
前記第1方向に積層される複数の鋼板であって、前記第1方向に貫通された鋼板孔がそれぞれに形成される複数の鋼板を含み、
前記鉄心ユニットは、前記パイプのパイプ外周面と前記鋼板孔を規定する前記鋼板の鋼板内周面との間に介在する絶縁部材をさらに備える、
請求項1または4に記載の鉄心ユニット。
【請求項11】
前記パイプは、
パイプ内周面と、
前記パイプ内周面に設けられる内周面凸部または内周面凹部の少なくとも一方と、
をさらに備える、
請求項1または4に記載の鉄心ユニット。
【請求項12】
第1方向に貫通された圧粉磁心孔が形成された少なくとも1つの圧粉磁心を含む鉄心と、前記第1方向に延在し、前記圧粉磁心孔に差し込まれるパイプとを各々が含む複数の鉄心ユニットと、前記第1方向と直交する方向である周方向において前記複数の鉄心ユニットと交互に配置される複数の非磁性体とを含むリングユニットと、
前記リングユニットの前記第1方向の両端部にそれぞれ連結される一対のフランジであって、前記第1方向に延在する回転軸に連結されるようにそれぞれ構成される一対のフランジと、
を備え、
前記各々のフランジには、前記複数の鉄心ユニットの各々の前記パイプの内側空間と連通する少なくとも1つのフランジ孔が形成される、
回転子。
【請求項13】
各々の前記非磁性体は繊維強化複合材料によって形成され、
前記リングユニットは、前記鉄心と前記非磁性体との間に介在する可撓性部材をさらに備える、
請求項1に記載の回転子。
【請求項14】
前記可撓性部材は、エラストマーによって形成される、
請求項1に記載の回転子。