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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057275
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/42 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
B65D5/42 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163890
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 貴史
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BC02
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE19
3E060CE22
3E060CE30
3E060CF05
3E060DA17
3E060EA20
(57)【要約】
【課題】強度を保持したまま、容易に内容物を取り出すことができる包装箱を提供する。
【解決手段】包装箱1の側板2aは、折曲線L1の上端部から折曲線L2上の任意点Pまで延在する折曲線L3を有している。折曲線L2は、その上端部から任意点Pまで延在する斜めの破断線Tが設けられている。天面部4の天面内フラップ4aは、折曲線N1に沿って天面内フラップ4aを包装箱1の外側に折り返して重ねたとき、折曲線L3を超えないように折り曲げ可能な形状となっている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の側板により周壁を構成する側面部と、該側面部の一端側に連接された複数のフラップにより平面状をなす天面部と、該側面部の他端側に連接された複数のフラップにより平面状をなす底面部とからなる包装箱であって、
第1の側板は、前記第1の側板と隣接する第2の側板との間の第1の折曲線の上端部から、前記第1の側板と前記第2の側板の反対側で隣接する第3の側板との間の第2の折曲線上の任意点まで延在し、前記第2の折曲線に対して傾斜した第3の折曲線を有し、
前記第2の折曲線は、上端部から前記任意点まで延在する破断線が設けられ、
前記第1の側板と隣接する前記天面部の第1のフラップは、前記第1の側板との間の第4の折曲線に沿って前記第1のフラップを包装箱の外側に折り返して重ねたとき、前記第3の折曲線を超えないように折り曲げ可能な形状を有していることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
複数の側板により周壁を構成する側面部と、該側面部の一端側に連接された複数のフラップにより平面状をなす天面部と、該側面部の他端側に連接された複数のフラップにより平面状をなす底面部とからなる包装箱であって、
第1の側板は、前記第1の側板と隣接する第2の側板との間の第1の折曲線上の第1の任意点から、前記第1の側板と前記第2の側板の反対側で隣接する第3の側板との間の第2の折曲線上の第2の任意点まで延在し、前記第2の折曲線に対して傾斜した第3の折曲線を有し、
前記第1の折曲線は、上端部から前記第1の任意点まで延在する第1の破断線が設けられ、
前記第2の折曲線は、上端部から前記第2の任意点まで延在し、前記第1の破断線よりも長い第2の破断線が設けられ、
前記第1の側板と隣接する前記天面部の第1のフラップは、前記第1の側板との間の第4の折曲線に沿って前記第1のフラップを包装箱の外側に折り返して重ねたとき、前記第3の折曲線を超えないように折り曲げ可能な形状を有していることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の包装箱において、
前記第1のフラップは、前記第1のフラップ上の折曲線に沿って1回又は複数回折り曲げて、さらに前記第4の折曲線に沿って前記第1のフラップを包装箱の外側に折り返して重ねたとき、前記第3の折曲線を超えない形状である、包装箱。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の包装箱において、
前記第1のフラップは、前記第4の折曲線に沿って前記第1のフラップを包装箱の外側に折り返して重ねたとき、前記第3の折曲線と重なる斜辺を有する多角形状である、包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール板紙等を組み立てて構成される包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、内容物を取り出しやすいように、包装箱上方の取出口を開いた後、さらに側板の一部を切り離して取出口を拡張することができる包装箱が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の箱(カートン)は、側面パネルと天面パネルとの間の折り曲げ位置に形成される稜線(折り曲げ線)の一端から、天面パネルの折り曲げ端縁の長手方向の略中央部に向けて斜めに延びる折り曲げ線が天面パネルに形成されている。これにより、本カートンは、天面パネルの部分的な外方への折り曲げを可能にしている。
【0004】
消費者等がカートンを開封する場合、まず、表示部が印刷された端部側の外フラップと内フラップの糊付けを剥がして開口部を形成する。次いで、天面パネルの外フラップ側の端部とエンドパネルとの糊付けを剥がし、折り曲げ線を介して天面パネルを外方(A方向)に斜めに折り曲げる。これにより、マルチパック(内容物)の天面が一部露出し、消費者等がマルチパックのフィンガーホールに指をかけて、容易にそれを取り出すことができる(特許文献1/段落0012,0013、図1図2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-354231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の包装箱は、エンドパネルの糊付けを剥がし、折り曲げ線に沿って外フラップを外側に折り曲げたとき、当該外フラップが天面パネルに接触するため、うまく折り畳めない。よって、内容物が取り出し難いという問題があった。
【0007】
また、包装箱の側板を上方から何度も折り返して捲りながら開梱して、内容物を取り出す包装箱も知られている。しかし、側板の2箇所に破断線を設ける必要があるため、包装箱としての強度が低下するおそれがあった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、強度を保持したまま、内容物を容易に取り出すことができる包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、第1の発明は、複数の側板により周壁を構成する側面部と、該側面部の一端側に連接された複数のフラップにより平面状をなす天面部と、該側面部の他端側に連接された複数のフラップにより平面状をなす底面部とからなる包装箱であって、
第1の側板は、前記第1の側板と隣接する第2の側板との間の第1の折曲線の上端部から、前記第1の側板と前記第2の側板の反対側で隣接する第3の側板との間の第2の折曲線上の任意点まで延在し、前記第2の折曲線に対して傾斜した第3の折曲線を有し、前記第2の折曲線は、上端部から前記任意点まで延在する破断線が設けられ、
前記第1の側板と隣接する前記天面部の第1のフラップは、前記第1の側板との間の第4の折曲線に沿って前記第1のフラップを包装箱の外側に折り返して重ねたとき、前記第3の折曲線を超えないように折り曲げ可能な形状を有していることを特徴とする。
【0010】
本発明は、側面部と天面部と底面部とからなる包装箱であり、内部に物を収納することができる。この包装箱において、側面部を構成する第1の側板は、第1の折曲線の上端部から第2の折曲線上の任意点まで延在する第3の折曲線を有し、第2の折曲線は、その上端部から前記任意点まで破断線が設けられている。このため、第1の側板の一部を前記破断線で切り離して前記第3の折曲線に沿って折り曲げて、取出口を拡張することができる。
【0011】
また、天面部を構成する第1のフラップは、第4の折曲線に沿って包装箱の外側に折り返して重ねたとき、前記第3の折曲線を超えないように折り曲げ可能な形状を有している。第1のフラップ及び第1の側板は、前記第3の折曲線に沿って折り畳めるようになるため、内容物の取り出しが容易となる。また、破断するのは、破断線に沿った側板の間の部分のみであるため、包装箱としての強度は高く保たれる。
【0012】
上記目的を達成するため、第2の発明は、複数の側板により周壁を構成する側面部と、該側面部の一端側に連接された複数のフラップにより平面状をなす天面部と、該側面部の他端側に連接された複数のフラップにより平面状をなす底面部とからなる包装箱であって、
第1の側板は、前記第1の側板と隣接する第2の側板との間の第1の折曲線上の第1の任意点から、前記第1の側板と前記第2の側板の反対側で隣接する第3の側板との間の第2の折曲線上の第2の任意点まで延在し、前記第2の折曲線に対して傾斜した第3の折曲線を有し、
前記第1の折曲線は、上端部から前記第1の任意点まで延在する第1の破断線が設けられ、前記第2の折曲線は、上端部から前記第2の任意点まで延在し、前記第1の破断線よりも長い第2の破断線が設けられ、
前記第1の側板と隣接する前記天面部の第1のフラップは、前記第1の側板との間の第4の折曲線に沿って前記第1のフラップを包装箱の外側に折り返して重ねたとき、前記第3の折曲線を超えないように折り曲げ可能な形状を有していることを特徴とする。
【0013】
本発明の包装箱において、側面部を構成する第1の側板は、第1の折曲線の第1の任意点から第2の折曲線上の第2の任意点まで延在する第3の折曲線を有する。また、第1の折曲線、第2の折曲線は、それぞれ上端部から各任意点まで延在する破断線が設けられるが、第2の折曲線上の破断線の方が第1の折曲線上の破断線よりも長いため、第3の折曲線は第2の折曲線に対して傾斜する。よって、第1の側板の一部を両破断線で切り離して前記第3の折曲線に沿って折り曲げて、取出口を拡張することができる。
【0014】
また、天面部を構成する第1のフラップは、第4の折曲線に沿って包装箱の外側に折り返して重ねたとき、前記第3の折曲線を超えないように折り曲げ可能な形状を有している。第1のフラップ及び第1の側板は、前記第3の折曲線に沿って折り畳めるようになるため、包装箱としての強度は高く保ちながら、内容物の取り出しが容易に行える。
【0015】
本発明の包装箱において、前記第1のフラップは、前記第1のフラップ上の折曲線に沿って1回又は複数回折り曲げて、さらに前記第4の折曲線に沿って前記第1のフラップを包装箱の外側に折り返して重ねたとき、前記第3の折曲線を超えない形状であることが好ましい。
【0016】
第1のフラップは、例えば、前記第1のフラップ上の折曲線に沿って1回折り曲げて、さらに第4の折曲線に沿って包装箱の外側に折り返して重ねたとき、第3の折曲線を超えない形状(矩形状等)であればよい。これにより、包装箱は、第1フラップの形状に限られず、取出口を拡張することができる。
【0017】
また、本発明の包装箱において、前記第1のフラップは、前記第4の折曲線に沿って前記第1のフラップを包装箱の外側に折り返して重ねたとき、前記第3の折曲線と重なる斜辺を有する多角形状であることが好ましい。
【0018】
第1のフラップは多角形状を有しており、前記第3の折曲線に沿って前記第1のフラップ及び前記第1の側板を折り曲げると、前記第3の折曲線と前記斜辺が重なる。このため、前記斜辺を支点として前記第1の側板を容易に折り曲げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】包装箱(封かん状態)の斜視図である。
図2】第1実施形態の包装箱の段ボール板紙の平面図である。
図3】包装箱の天面部を開いた状態を示した図である。
図4】包装箱の側板を破断線に沿って破断させた状態を示した図である。
図5】包装箱の側板を折曲線に沿って折り曲げた状態を示した図である。
図6】包装箱から内容物を取り出す様子を示した図である。
図7】第1実施形態(変形例)の包装箱の段ボール板紙の平面図である。
図8】第2実施形態の包装箱の段ボール板紙の平面図である。
図9】包装箱の側板を折曲線に沿って折り曲げた状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る包装箱について説明する。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、包装箱1は第1実施形態に係るA式の段ボール箱(封かん状態)の斜視図であり、内部に物を収納することができる。包装箱1は、周壁を構成する4つの側面部2と、平面状の天面部4と、平面状の底面部6と構成される。
【0022】
詳細は後述するが、側面部2を構成する側板2aと側板2bとの間の折曲線L2上には破断線T(ミシン目)が設けられ、切り離すことが可能である。また、側板2aには斜めの折目線L3が設けられているため、側板2aの上側部分は折目線L3に沿って包装箱1の外側に折り曲げることが可能である。
【0023】
図2は、包装箱1の組み立て前の状態の段ボール板紙1xを示している。包装箱1は、図示する段ボール板紙1xを折り曲げて組み立てられる包装箱である。以下では、段ボール板紙1xの詳細を説明する。
【0024】
段ボール板紙1xは、側面部2を構成する側板2a~2d及び止代2e、天面部4を構成する天面内フラップ4a,4c及び天面外フラップ4b,4d、底面部6を構成する底面内フラップ6a,6c及び底面外フラップ6b,6dを備えている。
【0025】
周壁の一部となる側板2a(本発明の「第1の側板」)は、折曲線N1(本発明の「第4の折曲線」)を介して天面部4の天面内フラップ4aが連接され、折曲線N2を介して底面部6の底面内フラップ6aが連接されている。この折曲線N1,N2は、段ボール板紙1xの折り曲げを容易にするための線であり、この点は後述する他の折曲線も同様である。側板2aの左右方向のサイズは、後述する側板2b,2dよりも僅かに小さくなっている(側板2a,2cは短側面)。
【0026】
側板2aの右側端部は、折曲線L1(本発明の「第1の折曲線)」を介して側板2d(本発明の「第2の側板」)が連設されている。側板2aの左側端部は、折曲線L2(本発明の「第2の折曲線」)を介して側板2bが連設されている。また、側板2aは、折曲線L1の上端部から折曲線L2上の任意点Pまで延在し、折曲線L1,L2に対して傾斜した折目線L3(本発明の「第3の折曲線」)が設けられている。
【0027】
折曲線L2上には破断線Tが設けられ、側板2aの一端が破断線Tに沿って切り離せるようになっている。なお、破断線Tは、折曲線L2の上端部から、折曲線L2の半分以下の位置まで延在していることが好ましい。これにより、側板2aの上側部分は、折目線L3に沿って折り曲げることができる。
【0028】
天面内フラップ4a(本発明の「第1のフラップ」)は、天面部4を構成する一対の内フラップの1つである。天面内フラップ4aの左側端部は、スリットS2を介して天面外フラップ4bが連設されている。また、天面内フラップ4aの右側端部は、スリットS1を介して天面外フラップ4dが連設されている。
【0029】
天面内フラップ4aは、その上辺と折曲線N1とが平行で、外側に折り曲げたとき折曲線L3と重なる斜辺Hを有する台形状である。よって、天面内フラップ4aと天面外フラップ4dとの間のスリットS1は、図示するような三角形状となっている。
【0030】
天面内フラップ4aは、折曲線N1に沿って包装箱1の外側に折り返して重ねたとき、折曲線L3を超えない形状であればよい。天面内フラップ4aがこのような形状であれば、側板2aを破断線Tに沿って切り離し、折曲線L3に沿って折り曲げたとき、天面内フラップ4aが側板2aの折り曲げられずに残った部分に接触しないため、包装箱1が開き易くなる。
【0031】
底面内フラップ6aは、底面部6を構成する一対の内フラップの1つである。底面内フラップ6aの左側端部は、スリットS5を介して底面外フラップ6bが連設されている。また、また、底面内フラップ6aの右側端部は、スリットS4を介して底面外フラップ6bが連設されている。
【0032】
側板2b(本発明の「第3の側板」)は長側面であり、折曲線N1を介して天面外フラップ4bが連接され、折曲線N2を介して底面外フラップ6bが連接されている。側板2bの右側端部は、折曲線L4を介して側板2cが連設されている。
【0033】
天面外フラップ4bは、天面部4を構成する一対の外フラップの1つである。また、天面外フラップ4bの左側端部は、スリットS3を介して天面内フラップ4cが連設されている。底面外フラップ6bは、底面部6を構成する一対の外フラップの1つである。底面外フラップ6bの左側端部は、スリットS6を介して底面内フラップ6cが連設されている。
【0034】
側板2cは、折曲線N1を介して天面内フラップ4cが連接され、折曲線N2を介して底面内フラップ6cが連接されている。天面内フラップ4cは、天面部4を構成する一対の内フラップの1つである。また、底面内フラップ6cは、底面部6を構成する一対の内フラップの1つである。
【0035】
側板2dは、折曲線N1を介して天面外フラップ4dが連接され、折曲線N2を介して底面外フラップ6dが連接されている。天面外フラップ4dは、天面部4を構成する一対の外フラップの1つである。また、底面外フラップ6dは底面部6を構成する一対の外フラップの1つである。
【0036】
側板2dの右側端部には、折曲線L5を介して止代2eが連設されている。止代2eは、段ボール板紙1xの態様によって連接される位置を変更可能である。すなわち、止代2eは、包装箱1を展開したときの両端部に位置する側板2a~2dの組み合わせのうち、一方の側板の端部に連設されていればよい。
【0037】
次に、図3図6を参照して、包装箱1の開封手順について説明する。なお、包装箱1の内部には、包装箱1よりも小型の小箱10,11が収納されている。
【0038】
図3は、包装箱1の天面部4を開封した状態を示している。作業者は、天面外フラップ4bと天面外フラップ4dとの間を張り合わせたテープを剥がし、天面外フラップ4b,4dを開く。さらに、天面内フラップ4a,4cをそれぞれ開く。包装箱1内に小箱10,11が隙間なく収納されている場合、当該小箱10,11は取り出し難い状態といえる。
【0039】
図4は、包装箱1の側板2aを破断線Tに沿って破断させた状態を示している。図示するように、作業者は天面内フラップ4aを包装箱1の外側方向に折り曲げた後、側板2aの上方を摘み、破断線Tに沿ってゆっくりと側板2aを切り離す。
【0040】
図5は、包装箱1の側板2aを折曲線L3に沿って折り曲げた状態を示している。
【0041】
作業者は、側板2aの角部(破断させた側)を摘んだ状態で、側板2aを折曲線L3に沿って、包装箱1の外側方向に折り曲げる。ここで、天面内フラップ4aの斜辺Hは折曲線L3と重なるため、斜辺Hが支点となって側板2aを容易に折り曲げることができる。また、天面内フラップ4a(破線)は側板2aと重なり、側板2aの折り曲げられずに残った部分とは接触しないため、折り畳み易い。
【0042】
図6は、包装箱1から内容物を取り出す様子を示している。
【0043】
図示するように、包装箱1は取出口が大きくなる。このため、作業者が折り曲げられた側板2a側から上側に収められた小箱10の側板に指を掛け、また、側板2aと対向する側板2c側では包装箱1との隙間に指を入れて、小箱10を容易に取り出すことができる。
【0044】
破断線Tが折曲線L2の下方まで達しているため、作業者は、包装箱1の下側に収められた小箱11を視認することができる。すなわち、小箱11についても、作業者が折り曲げられた側板2a側から小箱11に指を掛け、また、側板2c側では包装箱1との隙間に指を入れて小箱11を取り出すことができる。
【0045】
このように、第1実施形態に係る包装箱1は、側板の1つ(側板2a)に上述の破断線Tと折曲線L3を設ける。開封時に天面部4の天面内フラップ4aと側板2aを重ねて折り畳み、破断させることで取出口が大きくなる。このため、作業者は、内容物を容易に取り出すことができる。さらに、破断するのは、破断線Tに沿った側板2aと側板2bとの間の部分のみであるため、包装箱としての強度は高く保たれる。
【0046】
天面内フラップ4aは、天面内フラップ4aを包装箱1の外側に折り曲げて側板2aと重ねたとき、折曲線L3を超えない形状(多角形状)であればよい。このとき、天面内フラップ4aの斜辺Hの両端(又は一部分)が少なくとも折曲線L3と重なるようにすると、重なった点が支えとなり折り曲げ易い。
【0047】
図7は、包装箱1’(変形例)の組み立て前の状態の段ボール板紙1yを示している。
【0048】
図示するように、段ボール板紙1yの天面内フラップ4a’は、その上辺と折曲線N1とが平行な矩形状である。天面内フラップ4a’は、スリットS1に沿った当該上辺と垂直な辺の端部(折曲線N1側)から、当該上辺に延びる斜めの折曲線L6を有している。
【0049】
天面内フラップ4a’は、折曲線L6に沿って包装箱1’の外側に折り返し、さらに折曲線N1に沿って包装箱1’の外側に折り返して重ねたとき、折曲線L3と折曲線L6とが重なるようになっている。包装箱1’の取出口を拡張するとき、まず側板2aを破断線Tに沿って切り離し、次いで天面内フラップ4a’を2回折り曲げて折曲線L3と折曲線L6とが重なるようにする。天面内フラップ4a’は、側板2aの折り曲げられずに残った部分に接触しないため、包装箱1’が開き易くなる。
【0050】
天面内フラップ4a’は、1回又は複数回折り曲げて、さらに折曲線N1に沿って天面内フラップ4a’を包装箱1の外側に折り返して重ねたとき、側板2aの折曲線L3を超えない形状であればよく、矩形状には限られない。
【0051】
[第2実施形態]
次に、図8及び図9を参照して、第2実施形態に係る包装箱20について説明する。なお、第1実施形態の包装箱1と同じ構成については同じ符号を付し、一部説明を省略する。
【0052】
図8は、包装箱20の組み立て前の状態の段ボール板紙20xを示している。包装箱20は、図示する段ボール板紙20xを折り曲げて組み立てられる包装箱である。以下では、段ボール板紙20xの詳細を説明する。
【0053】
段ボール板紙20xは、側面部2を構成する側板2b,2c,2d,2f及び止代2e、天面部4を構成する天面内フラップ4f,4c及び天面外フラップ4b,4d、底面部6を構成する底面内フラップ6a,6c及び底面外フラップ6b,6dを備えている。
【0054】
周壁の一部となる側板2f(本発明の「第1の側板」)は、折曲線N1(本発明の「第4の折曲線」)を介して天面部4の天面内フラップ4fが連接され、折曲線N2を介して底面部6の底面内フラップ6aが連接されている。
【0055】
側板2fの右側端部は、折曲線L1(本発明の「第1の折曲線」)を介して側板2d(本発明の「第2の側板」)が連設されている。また、側板2fの左側端部は、折曲線L2(本発明の「第2の折曲線)」を介して側板2bが連設されている。側板2fは、折曲線L1上(上端部を除く)の任意点Pa(本発明の「第1の任意点」)から折曲線L1上の任意点Pb(本発明の「第2の任意点」)まで延在し、折曲線L1,L2に対して傾斜した折目線L3’(本発明の「第3の折曲線」)が設けられている。
【0056】
折曲線L1上には、折曲線L1の上端部から任意点Paまで延在する破断線T1が設けられ、側板2fが破断線T1に沿って切り離せるようになっている。破断線T1の長さは、天面内フラップ4fの天面外フラップ4dと隣接する短辺Iの長さに等しい。
【0057】
また、折曲線L2上には、折曲線L2の上端部から任意点Pbまで延在する破断線T2が設けられ、側板2fが破断線T2に沿って切り離せるようになっている。破断線T2は、折曲線L2の上端部から折曲線L2の半分以下の位置まで延在していることが好ましい。また、破断線T2を破断線T1よりも長くすることで、折目線L3’を折曲線L1,L2に対して傾斜させる。これにより、側板2fの上側部分は、折目線L3’に沿って折り曲げることができる。
【0058】
なお、破断線T1は、折曲線L2の半分未満の長さであることが好ましい。破断線T1,T2が共に折曲線L1,L2の半分以上の長さがある場合、包装箱20の強度が低下するおそれがあるためである。
【0059】
天面内フラップ4f(本発明の「第1のフラップ」)は、天面部4を構成する一対の内フラップの1つである。図示するように、天面内フラップ4fは、上辺と折曲線N1とが平行で、外側に折り曲げたとき折曲線L3’と重なる斜辺Hを有する五角形状である。よって、天面内フラップ4fと天面外フラップ4dとの間のスリットS1は、図示するような三角形状となっている。
【0060】
図9は、包装箱20の側板2fを折曲線L3’に沿って折り曲げた状態を示している。
【0061】
図示するように、作業者は天面内フラップ4fを包装箱20の外側方向に折り曲げた後、側板2fの上方を摘み、破断線T1,T2に沿ってゆっくりと側板2fを切り離す。
【0062】
その後、作業者は、側板2fを摘んだ状態で、側板2fを折曲線L3’に沿って、包装箱20の外側方向に折り曲げる。ここで、天面内フラップ4fの斜辺Hは折曲線L3’と重なるため、斜辺Hが支点となって側板2fを容易に折り曲げることができる。また、天面内フラップ4f(破線)は側板2fと重なり、側板2fの折り曲げられずに残った部分とは接触しないため、折り畳み易い。
【0063】
このように、包装箱20は、第1実施形態の包装箱1と比較しても内容物の取出口が大きくなる。このため、作業者は、折り曲げられた側板2f側から上側に収められた小箱10の側板に指を掛け、また、側板2fと対向する側板2c側では包装箱20との隙間に指を入れて小箱10を容易に取り出すことができる。小箱11についても、作業者は、折り曲げられた側板2f側から小箱11に指を掛け、また、側板2fと対向する側板2c側では包装箱1との隙間に指を入れて小箱11を取り出すことができる。
【0064】
第1実施形態と同様であるが、天面内フラップ4fは、天面内フラップ4fを包装箱20の外側に折り曲げて側板2fと重ねたとき、折曲線L3’を超えない形状(多角形状)であればよい。このとき、天面内フラップ4fの斜辺Hの両端(又は一部分)が少なくとも折曲線L3’と重なるようにすると、重なった点が支えとなり折り曲げ易い。そして、開封時に天面内フラップ4fと側板2fを重ねて折り畳み、破断させることで取出口が大きくなる。このため、作業者は、内容物を容易に取り出すことができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、図2において、破断線T及び折曲線L3は、長側面の側板2b,2dに設けられていてもよい。また、包装箱20の天面内フラップ4fを、斜辺Hの位置(図8参照)に折曲線を有する矩形状として、2回折り曲げて折曲線L3’と斜辺Hの位置の折曲線とが重なるような態様としてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1,1’,20…包装箱、1x,20x…段ボール板紙、2…側面部、2a~2d,2f…側板、2e…止代、4…天面部、4a,4a’,4c,4f…天面内フラップ、4b,4d…天面外フラップ、6…底面部、6a,6c…底面内フラップ、6b,6d…底面外フラップ、H…斜辺、I…短辺、L1~L6,L3’,N1,N2…折曲線、P,Pa,Pb…任意点、S1~S6…スリット、T,T1,T2…破断線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9