(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057281
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】鼻腔用手技訓練モデルおよび生体モデルセット
(51)【国際特許分類】
G09B 23/28 20060101AFI20240417BHJP
G09B 9/00 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
G09B23/28
G09B9/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163901
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】391036552
【氏名又は名称】株式会社ニッケン
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(72)【発明者】
【氏名】大村 和弘
(72)【発明者】
【氏名】海老沼 隆
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 朋也
【テーマコード(参考)】
2C032
【Fターム(参考)】
2C032CA02
2C032CA06
(57)【要約】
【課題】汎用性に優れる鼻腔用手技訓練モデルおよび生体モデルセットを提供すること。
【解決手段】医療器具を用いて手技の訓練を行うための鼻腔用手技訓練モデルであって、前記医療器具が挿入される孔部を有するケーシングと、前記ケーシング内に択一的に収納、離脱可能に収納され、その収納状態において、前記孔部を介して挿入された前記医療器具によって処理される処理部を有する複数の生体モデルからなる生体モデルセットと、を備え、前記各生体モデルは、前記処理部の構造がそれぞれ異なるものを有することを特徴とする鼻腔用手技訓練モデル。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具を用いて手技の訓練を行うための鼻腔用手技訓練モデルであって、
前記医療器具が挿入される孔部を有するケーシングと、
前記ケーシング内に択一的に収納、離脱可能に収納され、その収納状態において、前記孔部を介して挿入された前記医療器具によって処理される処理部を有する複数の生体モデルからなる生体モデルセットと、を備え、
前記各生体モデルは、前記処理部の構造がそれぞれ異なるものを有することを特徴とする鼻腔用手技訓練モデル。
【請求項2】
前記医療器具は、鉗子であり、
前記複数の生体モデルのうちの1つの生体モデルの前記処理部は、前記鉗子によって破断される破断部である請求項1に記載の鼻腔用手技訓練モデル。
【請求項3】
前記医療器具は、シェーバーであり、
前記複数の生体モデルのうちの1つの生体モデルの前記処理部は、前記シェーバーによって研削される肉片を保持する保持部である請求項1に記載の鼻腔用手技訓練モデル。
【請求項4】
前記医療器具は、ドリルであり、
前記複数の生体モデルのうちの1つの生体モデルの前記処理部は、前記ドリルによって研削される硬質体である請求項1に記載の鼻腔用手技訓練モデル。
【請求項5】
前記生体モデルは、前記処理部と、前記処理部を収納する紙材からなる箱体と、を有する請求項1に記載の鼻腔用手技訓練モデル。
【請求項6】
医療器具が挿入される孔部を有するケーシング内に択一的に収納、離脱可能に収納されて用いられる生体モデルセットであって、
前記ケーシング内に収納された収納状態において、前記孔部を介して挿入された前記医療器具によって処理される処理部を有する複数の生体モデル、を備え、
前記各生体モデルは、前記処理部の構造がそれぞれ異なるものを有することを特徴とする生体モデルセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻腔用手技訓練モデルおよび生体モデルセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、熟練度の低い術者が手技の訓練をするための手術用トレーニング装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されている内視鏡手術用トレーニング装置は、提示部に提示する患部を模擬した対象物を内部に備えた内視鏡手術用トレーニングボックスと、当該内視鏡手術用トレーニングボックス内を撮像するカメラ装置によって撮像された映像を取得して提示部の左眼用プロジェクタ、右眼用プロジェクタによってドーム型スクリーンに表示するための制御装置と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている内視鏡手術用トレーニング装置は、手技の種類が限られており、汎用性に乏しい。
【0006】
本発明の目的は、汎用性に優れる鼻腔用手技訓練モデルおよび生体モデルセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記に記載の本発明により達成される。
(1) 本発明の鼻腔用手技訓練モデルは、医療器具を用いて手技の訓練を行うための鼻腔用手技訓練モデルであって、
前記医療器具が挿入される孔部を有するケーシングと、
前記ケーシング内に択一的に収納、離脱可能に収納され、その収納状態において、前記孔部を介して挿入された前記医療器具によって処理される処理部を有する複数の生体モデルからなる生体モデルセットと、を備え、
前記各生体モデルは、前記処理部の構造がそれぞれ異なるものを有することを特徴とする。
【0008】
(2) 本発明の鼻腔用手技訓練モデルでは、前記医療器具は、鉗子であり、
前記複数の生体モデルのうちの1つの生体モデルの前記処理部は、前記鉗子によって破断される破断部であることが好ましい。
【0009】
(3) 本発明の鼻腔用手技訓練モデルでは、前記医療器具は、シェーバーであり、
前記複数の生体モデルのうちの1つの生体モデルの前記処理部は、前記シェーバーによって研削される肉片を保持する保持部であることが好ましい。
【0010】
(4) 本発明の鼻腔用手技訓練モデルでは、前記医療器具は、ドリルであり、
前記複数の生体モデルのうちの1つの生体モデルの前記処理部は、前記ドリルによって研削される硬質体であることが好ましい。
【0011】
(5) 本発明の鼻腔用手技訓練モデルでは、前記生体モデルは、前記処理部と、前記処理部を収納する紙材からなる箱体と、を有することが好ましい。
【0012】
(6) 本発明の生体モデルセットは、医療器具が挿入される孔部を有するケーシング内に択一的に収納、離脱可能に収納されて用いられる生体モデルセットであって、
前記ケーシング内に収納された収納状態において、前記孔部を介して挿入された前記医療器具によって処理される処理部を有する複数の生体モデル、を備え、
前記各生体モデルは、前記処理部の構造がそれぞれ異なるものを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、汎用性に優れる鼻腔用手技訓練モデルおよび生体モデルセットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の鼻腔用手技訓練モデルの実施形態にかかる斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す鼻腔用手技訓練モデルの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す鼻腔用手技訓練モデルの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す鼻腔用手技訓練モデルの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、生体モデルの一例を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、生体モデルの一例を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、生体モデルの一例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、生体モデルの一例を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、生体モデルの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の鼻腔用手技訓練モデルの実施形態にかかる斜視図である。
図2は、
図1に示す鼻腔用手技訓練モデルの分解斜視図である。
図3は、
図1に示す鼻腔用手技訓練モデルの分解斜視図である。
図4は、
図1に示す鼻腔用手技訓練モデルの分解斜視図である。
図5~
図9は、生体モデルの一例を示す斜視図である。
【0016】
図1に示すように、鼻腔用手技訓練モデル1は、鼻腔手術において、病変部位の研削、除去、生体組織の切開、縫合、剥離等をする医療器具100等を用いた手技の訓練に用いられる。また、鼻腔用手技訓練モデル1は、各種医療器具の操作性、安全性および有効性の試験等に用いることもできる。
【0017】
医療器具100としては、
図1に示すような、内視鏡100Aや、鉗子100B等が挙げられる。また、後述するが、医療器具100として、縫合具、ドリル、シェーバー等も用いられる。
【0018】
図1および
図2に示すように、鼻腔用手技訓練モデル1は、ケーシング2と、固定部3と、複数の生体モデル40からなる生体モデルセット4と、フェイスマスク5と、を備える。ケーシング2内に生体モデル40を択一的に収納した状態で手技の訓練に用いられる。
【0019】
ケーシング2は、ケーシング本体21と、蓋体22と、を備える。
ケーシング本体21は、底部211と、側壁部212と、側壁部213と、側壁部214と、側壁部215と、スペーサー216と、を有する。
【0020】
底部211、側壁部212、側壁部213、側壁部214および側壁部215は、それぞれ、板状をなし、底部211の縁部から側壁部212、側壁部213、側壁部214および側壁部215が立設するよう組み立てられている。側壁部212および側壁部214が対向しており、側壁部213および側壁部215が対向している。
【0021】
図示の構成では、底部211、側壁部212、側壁部213、側壁部214および側壁部215は、それぞれが別体で構成され、互いに組み立てられた構成である。ただし、この構成に限定されず、底部211、側壁部212、側壁部213、側壁部214および側壁部215は、一体的に形成されていてもよい。
【0022】
スペーサー216は、底部211、側壁部212、側壁部213、側壁部214および側壁部215によって囲まれた部分に設けられている。
図2に示すように、スペーサー216は、複数の板材が組み立てられたものであり、各々の板材は、底部211、側壁部212、側壁部213、側壁部214および側壁部215のいずれかに固定されている。このスペーサー216上に、後述する生体モデル40が配置される。
【0023】
図2に示すように、蓋体22は、側壁部212、側壁部213、側壁部214および側壁部215の、底部211と反対側に形成された開口の一部を塞ぐものである。蓋体22は、ケーシング本体21に対し、着脱可能となっている。
【0024】
蓋体22は、ケーシング本体21に対し着脱可能な枠状の蓋体本体221と、蓋体本体221に装着される鼻腔形成部23と、を有する。
【0025】
図3に示すように、鼻腔形成部23は、第1部材23Aと、第2部材23Bと、を有する。第1部材23Aは、両端が同方向に折り曲げて形成された板状の部材である。第2部材23Bは、箱状の部材である。これらは、
図2に示すように、重ねられた状態で蓋体本体221に着脱可能に装着される。
【0026】
図3に示すように、第1部材23Aは、中央部に貫通孔231Aが形成されている。また、第1部材23Aは、貫通孔231Aの内側に向かって突出し、鼻柱に見立てた突出部232Aを有する。
【0027】
第2部材23Bは、鼻腔に見立てた一対の貫通孔231Bおよび貫通孔232Bと、突出部232Aが挿入される貫通孔233Bを有する。
【0028】
このような第1部材23Aと、第2部材23Bと、を組み立てた状態、すなわち、第2部材23Bを第1部材23Aの両端部が折り返された部分の内側に挿入し、かつ、突出部232Aを貫通孔233Bに挿入した状態では、貫通孔231Aおよび貫通孔231Bが連通し、貫通孔231Aおよび貫通孔232Bが連通する。これにより、貫通孔231Bまたは貫通孔232Bを介してケーシング2内部に医療器具100を挿入することができる(
図1参照)。
【0029】
図4に示すように、底部211の裏側、すなわち、スペーサー216と反対側には、固定部3が設置されている。固定部3は、ケーシング2を、例えば机の上等の設置面200に固定する機能を有する。固定部3は、底部211の裏面に固定された基部31と、設置面200に固定される吸着パッド32と、基部31および吸着パッド32を連結する連結部33と、を有する。
【0030】
このようなケーシング2の構成材料としては、特に限定されないが、硬質な樹脂材料で構成される。なお、ケーシング2の各部は、1枚の厚紙を切り出して製造されたものであってもよく、複数枚の紙を重ねて接合した接合体を切り出して製造されたものであってもよい。
また、ケーシング2の各部は、表面に撥水処理が施されたものであってもよい。
【0031】
図2に示すように、ケーシング2の高さ(最大高さ)Hは、特に限定されず、5cm以上50cm以下であることが好ましく、6cm以上8cm以下であることがより好ましい。
【0032】
ケーシング2の幅(最大幅)Wは、特に限定されず、4cm以上50cm以下であることが好ましく、5cm以上8cm以下であることがより好ましい。
【0033】
ケーシング2の長さ(最大長さ)Lは、特に限定されず、5cm以上50cm以下であることが好ましく、6cm以上18cm以下であることがより好ましい。
【0034】
図4に示すように、基部31は、円盤状をなし、連結部33の先端部を挿入、抜去可能な挿入孔311を有する。連結部33の先端部を挿入孔311に挿入した状態では、その挿入状態を維持することができる程度に嵌合するが、抜去も可能である。
【0035】
吸着パッド32は、設置面200に吸着することにより、設置面200に固定されるものである。吸着パッド32は、設置面200に吸着した状態で、設置面200と遠ざかる方向に引っ張ると設置面200から離脱する。
【0036】
連結部33は、関節331を有し、関節331回りに回転することができる。これにより、ケーシング2の設置面200に対する角度を調整することができる。よって、多彩な訓練を行うことができる。
【0037】
なお、固定部3としては、設置面200に着脱可能に固定され、ケーシング2に着脱可能に固定され、ケーシング2の設置面200に対する角度を調整可能であれば、上記構成に限定されない。
【0038】
次に、生体モデルセット4について説明する。
生体モデルセット4は、
図5~
図9に示すような生体モデル40を有する。生体モデル40は、ハウジング41(箱体)と、ハウジング41に設置された処理部42を有する。生体モデル40は、ケーシング2内に択一的に収納、離脱可能に収納され、その収納状態において、訓練が行われる。
【0039】
ハウジング41は、ケーシング2内のスペーサー216上に設置される箱体である。ハウジング41は、底部411と、側壁部412と、側壁部413と、側壁部414と、側壁部415と、を有する。
【0040】
側壁部412、側壁部413、側壁部414および側壁部415は、底部411の縁部から立設している。側壁部412および側壁部414が対向しており、側壁部413および側壁部415が対向し、底部411と反対側に開口が形成されている。
【0041】
底部411、側壁部412、側壁部413、側壁部414および側壁部415は、それぞれが別体で構成され、互いに組み立てられたものであってもよく、一体的に形成されていてもよい。
【0042】
ハウジング41は、開口が底部411と反対側に位置する向きでケーシング本体21内に設置され、その後、蓋体22がケーシング本体21に設置される。この状態において、鼻腔形成部23の、貫通孔231Aまたは貫通孔232Aを介して医療器具100を挿入し、ハウジング41内の処理部42に対して処置を行う訓練を行うことができる。
【0043】
図2に示すように、ハウジング41の高さ(最大高さ)hは、特に限定されず、4cm以上30cm以下であることが好ましく、5cm以上10cm以下であることがより好ましい。
【0044】
ハウジング41の幅(最大幅)wは、特に限定されず、3cm以上30cm以下であることが好ましく、4cm以上10cm以下であることがより好ましい。
【0045】
ハウジング41の長さ(最大長さ)lは、特に限定されず、3cm以上30cm以下であることが好ましく、4cm以上10cm以下であることがより好ましい。
【0046】
次に、処理部42について説明する。なお、
図5~
図9に示す生体モデル40では、処理部42の構成が異なっている。以下では、
図5に示す生体モデル40を生体モデル40Aと言い、
図6に示す生体モデル40を生体モデル40Bと言い、
図7に示す生体モデル40を生体モデル40Cと言い、
図8に示す生体モデル40を生体モデル40Dと言い、
図9に示す生体モデル40を生体モデル40Eと言う。
【0047】
また、
図5に示す処理部42を処理部42Aと言い、
図6に示す処理部42を処理部42Bと言い、
図7に示す処理部42を処理部42Cと言い、
図8に示す処理部42を処理部42Dと言い、
図9に示す処理部42を処理部42Eと言う。
【0048】
(生体モデル40A)
図5に示すように、生体モデル40Aは、鉗子を用いて、病変部位またはその周辺の軟骨を粉砕する手技の訓練を行うためのものであり、処理部42Aを有する。
【0049】
処理部42Aは、基部421Aと、基部421Aに設けられた粉砕部422Aと、を有する。
【0050】
基部421Aは、シート状をなし、その両端部が一方向に折り曲げられた形状をなしている。基部421Aは、その厚さ方向が、側壁部412、414が対向する方向に沿った向きでハウジング41内に配置される。また、基部421Aの折り曲げられた部分は、側壁部413、415とそれぞれ接している。基部421Aの折り曲げられた部分は、側壁部413、415とそれぞれ接合されている。ただし、これらは、接合されていなくてもよい。この場合、
図6に示すように、基部421Aの向きを変更するという簡単な方法によって、生体モデル40Bとして使用することができる。さらに、先端部の傾斜角度が異なる鉗子に併せて訓練を行うことができる。
【0051】
粉砕部422Aは、例えばシリコンなどの軟質な部材で構成されている。粉砕部422Aは、シート状をなし、その中央部に貫通孔423Aが形成されている。貫通孔423Aは、開口面の形状が六角形をなしている。ただし、この構成に限定されず、貫通孔423Aの開口面の形状は、例えば、円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、七角形以上の多角形等であってもよい。
【0052】
粉砕部422Aの色は、特に限定されないが、ハウジング41の色や、基部421Aの色とは異なる色であることが好ましい。
【0053】
このような生体モデル40Aをケーシング2に挿入した状態で、
図1に示すように内視鏡100Aおよび鉗子100Bを用いて訓練を行うことができる。具体的には、内視鏡100Aで粉砕部422Aおよび貫通孔423Aを視認しつつ、鉗子100Bを用いて、貫通孔423Aの縁部の任意の位置を粉砕する。これにより、鉗子100Bのハンドリング性の向上のための訓練を行うことができる。
【0054】
(生体モデル40B)
図6に示すように、生体モデル40Bは、鉗子を用いて、病変部位またはその周辺の軟骨を粉砕する手技の訓練を行うためのものであり、処理部42Bを有する。処理部42Bは、処理部42Aと同様の構成であり、設置向きが異なる。
【0055】
なお、鉗子としては、特開2022-80983号公報に記載されているようなものが挙げられる。
【0056】
基部421Aは、その厚さ方向が、底部411の厚さ方向に沿った向きでハウジング41内に配置される。また、基部421Aは、底部411とは離間して設置される。基部421Aの折り曲げられた部分は、側壁部413、415とそれぞれ接している。
【0057】
このような生体モデル40Bをケーシング2に挿入した状態で、
図1に示すように内視鏡100Aおよび鉗子100Bを用いて訓練を行うことができる。具体的には、内視鏡100Aで粉砕部422Aおよび貫通孔423Aを視認しつつ、鉗子100Bを用いて、貫通孔423Aの縁部の任意の位置を粉砕する。これにより、鉗子100Bのハンドリング性の向上のための訓練を行うことができる。特に、生体モデル40Aを用いた場合とは、鉗子100Bの挿入角度が異なる訓練を行うことができる。
【0058】
このように、医療器具100は、鉗子であり、複数の生体モデル40のうちの1つの生体モデル40の処理部42は、鉗子によって破断される破断部である。これにより、鉗子のハンドリング性の向上のための訓練を行うことができる。
【0059】
(生体モデル40C)
図7に示すように、生体モデル40Cは、縫合具を用いて、病変部位の周辺の生体組織を縫合する訓練を行うためのものであり、処理部42Cを有する。処理部42Cは、被縫合部421Cを有する。被縫合部421Cは、少なくとも2枚以上のシートで構成され、それらの厚さ方向が一致した向きで積層された積層体で構成される。
【0060】
本実施形態では、被縫合部421Cは、3枚のシート422C、423C、424Cが積層された積層体で構成される。すなわち、シート422Cの両面側にシート423Cが積層され、
図7中右側にシート424Cが積層されている。シート422Cは硬質なシートであり、シート423Cおよびシート424Cは、例えばシリコン等で構成される軟質なシートである。これらは、接着剤や粘着テープを介して固定されている。また、これらは、それぞれの厚さ方向が、側壁部413および側壁部415が対向する方向と一致した状態でケーシング2内に配置される。また、シート424Cには、スリットが形成されており、このスリットを介した両側を縫合する訓練が行われる。
【0061】
また、ハウジング41は、シート422C、423C、424Cを支持する支持部416を有する。支持部416は、シート422C、423C、424Cが一括して挿入されるスリットを有する傾斜板で構成される。支持部は、底部411および側壁部412に対して傾斜した状態で設置されている。
【0062】
このような生体モデル40Cをケーシング2に挿入した状態で、内視鏡100Aおよび縫合針を把持する持針器を用いて訓練を行うことができる。具体的には、内視鏡100Aでシート422C、423C、424Cを視認しつつ、縫合針を把持した状態で持針器を挿入し、例えば、シート423Cを跨いで、シート422C、424Cを縫合する訓練を行うことができる。
【0063】
なお、持針器としては、特開2021-151339号公報に記載されているようなものが挙げられる。
【0064】
(生体モデル40D)
図8に示すように、生体モデル40Dは、シェーバーを用いて、病変部位またはその周辺の生体組織を研削する訓練を行うためのものであり、処理部42Dを有する。処理部42Dは、例えば、肉片300を保持する2本の保持棒421D(保持部)を有する。肉片300としては、特に限定されないが、例えば、生物の肝臓等が挙げられる。
【0065】
保持棒421Dは、基端部が底部411、または、側壁部413、415に固定され先端部がハウジング41の内部に位置している。保持棒421Dに肉片300を突き刺すことにより、訓練が可能な状態となる。
【0066】
保持棒421Dは、例えば針金のように変形可能で、かつ、変形後の形状を維持することができる構成であることが好ましい。
【0067】
このような生体モデル40Dをケーシング2に挿入した状態で、内視鏡100Aおよびシェーバーを用いて訓練を行うことができる。具体的には、内視鏡100Aで肉片300を視認しつつ、シェーバーを挿入し、肉片300の所望の位置をシェーバーで研削する訓練を行うことができる。
【0068】
なお、シェーバーとしては、特表2013-515590号公報の
図9Aに記載されているようなものが挙げられる。
【0069】
このように、医療器具100は、シェーバーであり、複数の生体モデル40のうちの1つの生体モデル40の処理部42は、シェーバーによって研削される肉片300を保持する保持部である保持棒421Dを有する。これにより、肉片300の所望の位置をシェーバーで研削する訓練を行うことができる。
【0070】
(生体モデル40E)
図9に示すように、生体モデル40Eは、ドリルを用いて、血管の周辺の生体組織を研削する訓練を行うためのものであり、処理部42Eを有する。処理部42Eは、血管に見立てた管体421Eと、管体421Eの外周部を被覆する被覆部422Eと、を有する。
【0071】
管体421Eは、例えば、樹脂材料等の軟質な材料で構成された中空体で構成されている。管体421Eは、一端部が閉塞され、他端部には、図示しない加圧ポンプが接続されており、内部に液体400が充填されている。液体400としては、生理食塩水や、真水等を用いることができる。
【0072】
被覆部422Eは、例えば、石膏等の硬質な部材で構成される。被覆部422Eは、ハウジング41の内部に位置し、ドリルによって研削される部分である。被覆部422Eは、ハウジング41内に設けられた支持部417によって支持されている。支持部417は、側壁部412、414に設けられた貫通孔で構成されている。
【0073】
このような生体モデル40Eをケーシング2に挿入した状態で、内視鏡100Aおよびドリルを用いて訓練を行うことができる。具体的には、内視鏡100Aで被覆部422Eを視認しつつ、ドリルを挿入し、管体421Eを研削しない程度に被覆部422Eの所望の位置をドリルで研削する訓練を行うことができる。
【0074】
液体400は、大気圧よりも高い圧力で充填されていることが好ましい。これにより、ドリルで管体421Eを研削してしまった場合、その損傷部位から液体400が噴き出し、よりリアルな訓練を行うことができる。
【0075】
液体400の色は、特に限定されないが、赤色であるのが好ましい。これにより、よりリアルな訓練を行うことができる。
【0076】
なお、ドリルとしては、特開2013-244390号公報に記載されているようなものが挙げられる。
【0077】
このように、医療器具100は、ドリルであり、複数の生体モデル40のうちの1つの生体モデル40の処理部42は、ドリルによって研削される硬質体である被覆部422Eを有する。これにより、被覆部422Eの所望の位置をドリルで研削する訓練を行うことができる。
【0078】
このような鼻腔用手技訓練モデル1は、ケーシング2と、固定部3と、複数の生体モデル40からなる生体モデルセット4と、フェイスマスク5と、を1セットとして販売することができる。そして、購入者は、生体モデルセット4から1つの生体モデル40を選択して、
図1に示すように組み立てて所望の訓練を行うことができる。これにより、鼻腔用手技訓練モデル1によって、多彩な訓練が可能となる。
【0079】
また、複数の生体モデル40からなる生体モデルセット4を1セットとして販売することも可能である。また、複数の生体モデル40を単体で、または2つ以上を選択的に販売することも可能である。各生体モデル40は、1度使用すると基本的には破棄されるため、連続して同じ訓練を行いたい場合には、所望の生体モデル40を選択して購入することができる。
【0080】
以上説明したように、鼻腔用手技訓練モデル1は、医療器具100を用いて手技の訓練を行うためのものである。鼻腔用手技訓練モデル1は、医療器具100が挿入される孔部である貫通孔231B、232Bを有するケーシング2と、ケーシング2内に択一的に収納、離脱可能に収納され、その収納状態において、貫通孔231B、232Bを介して挿入された医療器具100によって処理される処理部42を有する複数の生体モデル40からなる生体モデルセット4と、を備え、各生体モデル40は、処理部42の構造がそれぞれ異なるものを有する。これにより、多彩な訓練を行うことができ、汎用性に優れる。
【0081】
また、生体モデルセット4は、医療器具100が挿入される孔部である貫通孔231B、232Bを有するケーシング2内に択一的に収納、離脱可能に収納されて用いられるものである。また、生体モデルセット4は、ケーシング2内に収納された収納状態において、貫通孔231B、232Bを介して挿入された医療器具100によって処理される処理部42を有する複数の生体モデル40、を備える。そして、各生体モデル40は、処理部42の構造がそれぞれ異なるものを有する。これにより、多彩な訓練を行うことができ、汎用性に優れる。
【0082】
なお、生体モデルセット4には、同じ種類、すなわち、同じ処理部42を有する生体モデル40が含まれていてもよい。
【0083】
また、前述したように、生体モデル40は、処理部42と、処理部42を収納する紙材からなる箱体であるハウジング41と、を有する。これにより、生体モデル40を用いた訓練が完了した後、ハウジング41の破棄が容易となる。
【0084】
以上、本発明の鼻腔用手技訓練モデルおよび生体モデルセットを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、鼻腔用手技訓練モデルおよび生体モデルセットを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 鼻腔用手技訓練モデル
2 ケーシング
3 固定部
4 生体モデルセット
5 フェイスマスク
21 ケーシング本体
22 蓋体
23 鼻腔形成部
23A 第1部材
23B 第2部材
31 基部
32 吸着パッド
33 連結部
40 生体モデル
40A 生体モデル
40B 生体モデル
40C 生体モデル
40D 生体モデル
40E 生体モデル
41 ハウジング
42 処理部
42A 処理部
42B 処理部
42C 処理部
42D 処理部
42E 処理部
100 医療器具
100A 内視鏡
100B 鉗子
200 設置面
211 底部
212 側壁部
213 側壁部
214 側壁部
215 側壁部
216 スペーサー
221 蓋体本体
231A 貫通孔
231B 貫通孔
232A 突出部
232B 貫通孔
233B 貫通孔
300 肉片
311 挿入孔
331 関節
400 液体
411 底部
412 側壁部
413 側壁部
414 側壁部
415 側壁部
416 支持部
417 支持部
421A 基部
421C 被縫合部
421D 保持棒
421E 管体
422A 粉砕部
422C シート
422E 被覆部
423A 貫通孔
423C シート
424C シート
W 幅(最大幅)
w 幅(最大幅)
L 長さ(最大長さ)
l 長さ(最大長さ)
H 高さ(最大高さ)
h 高さ(最大高さ)