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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057285
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】作業用ゴンドラにおける振れ止め装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 3/30 20060101AFI20240417BHJP
   B66B 9/187 20060101ALI20240417BHJP
   B66B 7/02 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
E04G3/30 301A
B66B9/187 A
B66B7/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163919
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】507418474
【氏名又は名称】中日装業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】中村 ▲禊▼
(72)【発明者】
【氏名】中村 英士
【テーマコード(参考)】
2E003
3F301
3F305
【Fターム(参考)】
2E003AA02
2E003AC03
2E003EB01
2E003EB06
3F301DD08
3F305AA11
3F305AA21
3F305BD08
(57)【要約】
【課題】超高層マンションなどの高層建築物において、最上階から下層階まで仮設ガイドレールを一連に配置する大がかりな装置を設置することなく、簡易に組立ができ、外壁面への設置自由度が高く、かつ安価な作業用ゴンドラにおける振れ止め装置を提供する。
【解決手段】建物2の外壁面3から外側に突出する支持部材10を前記外壁面3の上下方向において複数個配設し、少なくとも2個の支持部材10に対し前記ガイドポール11を着脱可能に取付け、ガイドポール11を取付ける支持部材10を変更することで、ガイドポール11の外壁面3に対する上下方向の取付位置を変更し、前記外壁面3において作業用ゴンドラ4を昇降ワイヤ6に沿って昇降可能に備え、前記作業用ゴンドラ4に連結される引掛部12を前記ガイドポール11に取付ける。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁面から外側に突出する支持部材を前記外壁面の上下方向において複数個配設し、
少なくとも2個の支持部材に対し前記ガイドポールを着脱可能に取付け、
ガイドポールを取付ける支持部材を変更することで、ガイドポールの外壁面に対する上下方向の取付位置を変更し、
前記外壁面において作業用ゴンドラを昇降ワイヤに沿って昇降可能に備え、
前記作業用ゴンドラに連結される引掛部を前記ガイドポールに取付けたことを特徴とする作業用ゴンドラにおける振れ止め装置。
【請求項2】
前記支持部材は前記ガイドポールが上下方向に移動可能に挿通できる挿通部を有し、
前記ガイドポールに係止棒を突設して、この係止棒を前記支持部材の上面に載置してガイドポールを保持し、
前記係止棒がその内部を上下方向に移動できるとともに、上下に開口する切欠きを挿通部に形成したことを特徴とする請求項1記載の作業用ゴンドラにおける振れ止め装置。
【請求項3】
前記支持部材の挿通部に前記ガイドポールを挿通し、ガイドポールの軸方向における軸芯を中心としてガイドポールを回動可能に備え、
前記支持部材に突設した突部に、前記ガイドポールに突設した係止棒を当接させて、前記ガイドポールの回動を抑制するとともに、ガイドポールの位置を保持させたことを特徴とする請求項1又は2記載の作業用ゴンドラにおける振れ止め装置。
【請求項4】
前記引掛部を、前記ガイドポールに上下方向に摺動可能に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の作業用ゴンドラにおける振れ止め装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業用ゴンドラにおける振れ止め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルやマンション等の建物の外壁面の補修、洗浄、塗装等の外壁工事における補修作業は、建物の上方から支持ワイヤで吊り下げられた作業用ゴンドラを昇降可能に設け、その作業用ゴンドラに搭乗した作業者によって行われている。
【0003】
このような作業用ゴンドラにおいて、単に屋上から支持ワイヤで吊り支持されているものにおいては、作業用ゴンドラが外壁面から揺れ離れたり、風圧によって揺れたりすることから作業性が悪くなるほか、この離れた外壁面と作業用ゴンドラとの隙間から作業時に使用する塗料等が下方に飛散する問題もある。
【0004】
そこで、前記のような作業用ゴンドラの揺れを防止する方法として、外壁面に仮設ガイドレールを取付金具により固定し、この仮設ガイドレールに対しガイドローラを備えた作業用ゴンドラを仮設ガイドレールに備えることにより、作業用ゴンドラの揺れを防止しつつ、作業用ゴンドラを外壁面に沿って昇降可能に設ける方法が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
また、近年は、マンションなどの高層建築物も建設され、これらの超高層の建物の外壁面に対しても、メンテナンスを施す必要があることから、この仮設ガイドレールを最上階から下層階まで仮設して補修作業を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011‐32067
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記仮設ガイドレールは長尺なレールを外壁面に設置する大がかりな装置であり、これを、とりわけ超高層マンションなどの高層建築物において最上階から下層階まで仮設ガイドレールを一連に配置するには大量のレール部材が必要となるとともに、この大がかりな装置を上層階において取扱うことは困難であった。
【0008】
そこで本発明は、前記の問題点を解決する作業用ゴンドラの振れ止め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、建物の外壁面から外側に突出する支持部材を前記外壁面の上下方向において複数個配設し、少なくとも2個の支持部材に対し前記ガイドポールを着脱可能に取付け、ガイドポールを取付ける支持部材を変更することで、ガイドポールの外壁面に対する上下方向の取付位置を変更し、前記外壁面において作業用ゴンドラを昇降ワイヤに沿って昇降可能に備え、前記作業用ゴンドラに連結される引掛部を前記ガイドポールに取付けたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記支持部材は前記ガイドポールが上下方向に移動可能に挿通できる挿通部を有し、前記ガイドポールに係止棒を突設して、この係止棒を前記支持部材の上面に載置してガイドポールを保持し、前記係止棒がその内部を上下方向に移動できるとともに、上下に開口する切欠きを挿通部に形成したことを特徴とするものである。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記支持部材の挿通部に前記ガイドポールを挿通し、ガイドポールの軸方向における軸芯を中心としてガイドポールを回動可能に備え、前記支持部材に突設した突部に、前記ガイドポールに突設した係止棒を当接させて、前記ガイドポールの回動を抑制するとともに、ガイドポールの位置を保持させたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記引掛部を、前記ガイドポールに上下方向に摺動可能に設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、建物の外壁面から外側に突出する支持部材を前記外壁面の上下方向において複数個配設し、少なくとも2個の支持部材に対し前記ガイドポールを着脱可能に取付け、ガイドポールを取付ける支持部材を変更することで、ガイドポールの外壁面に対する上下方向の取付位置を変更し、前記外壁面において作業用ゴンドラを昇降ワイヤに沿って昇降可能に備え、前記作業用ゴンドラに連結される引掛部を前記ガイドポールに取付けたことにより、大量の仮設ガイドレールを高層ビルの全フロアに渡って設置する大がかりな装置を必要とせず、仮設ガイドレールと比較して短尺となるガイドポールを、施工する外壁面に対し移動させながら適宜設置することで、簡易に組立ができ、外壁面への設置自由度が高く、かつ安価な作業用ゴンドラにおける振れ止め装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例を示すもので作業用ゴンドラにおける振れ止め装置を建物の外壁面に設置した状態を示す斜視図。
図2図1の作業用ゴンドラにおける振れ止め装置を拡大した斜視図。
図3】本発明の実施例に用いる支持部材を示す斜視図。
図4】本発明の実施例に用いるガイドポールを示す斜視図。
図5図3の支持部材にガイドポールを挿通した状態を示す斜視図。
図6】(a)はガイドポールを上段の支持部材に挿通させた状態を示し、(b)はガイドポールを上端と下段の支持部材に設置した状態を示す斜視図。
図7】ガイドポールの係止棒に引掛部を通過させた状態を示す斜視図。
図8図7の引掛部が係止棒に当接した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態を図1乃至図8に示す実施例に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の作業用ゴンドラにおける振れ止め装置1を建物2の外壁面3に設置した状態を示す斜視図であり、図2は、その作業用ゴンドラにおける振れ止め装置1の一部を拡大した斜視図である。
【0017】
この作業用ゴンドラにおける振れ止め装置1は、図1に示すように、建物2の外壁面3を、作業用ゴンドラ4にて洗浄、補修、塗装等の作業を行う場合に、作業用ゴンドラ4が外壁面3に対し左右方向に揺動したり、外壁面3から離れたりせずに外壁面3に対し一定の間隔をもって昇降できるように設置されるものである。
【0018】
以下、図1に示すように、建物側を内側A、反対側を外側B、建物の上階側を上側C、下階側を下側Dとし、図1のX-X方向を左右方向、Y-Y方向を上下方向、Z-Z方向を前後方向として説明する。
【0019】
この作業用ゴンドラ4は、建物2の屋上に配設された昇降ワイヤ支持具7から垂下した昇降ワイヤ6によって吊り下げ支持されており、建物2の略垂直状に構成される外壁面3において上下方向(Y-Y方向)へ昇降可能に備え付けられている。
【0020】
昇降ワイヤ支持具7は、屋上における配設位置を左右方向(X-X方向)に変更することにより、吊り下げ状態で昇降ワイヤ6に結合して支持された作業用ゴンドラ4を、外壁面3の左右方向(X-X方向)において、その吊り下げ位置を移動させることができる。
【0021】
また、図1及び図2に示すように、作業用ゴンドラ4には、伸縮機能を備えた伸縮部8が作業用ゴンドラ4の両側面における上段と中段に一対固設され、緩衝機能を備えた伸縮部8の先端部8aが外壁面3に当接することで、作業用ゴンドラ4の本体と外壁面3との衝突を防止すると共に、前記伸縮機能によって作業用ゴンドラ4と外壁面3との間隔を任意の幅に設定できるようになっている。
【0022】
なお、前記昇降ワイヤ支持具7及び作業用ゴンドラ4は、1基に限るものではなく、複数基配設して同時に昇降させ施工することも可能である。
【0023】
前記作業用ゴンドラ4の移動領域周辺には養生部材9が設置されており、該養生部材9は、支持アーム9aと架設ワイヤ9bと養生ネット9cから構成されている。
【0024】
前記支持アーム9aは外壁面3から外側Bに向かって所定量突出し、上下、左右方向に隣接する支持アーム9a,9aとの間には架設ワイヤ9bが張設されている。
【0025】
該架設ワイヤ9bは支持アーム9aにおける外側Bの先端部と内側Aの壁側部に接続され、上下、左右方向において対峙する他方の支持アーム9aの先端部と壁側部に渡って夫々架設されている。
【0026】
前記架設ワイヤ9b,9bの間には養生ネット9cを、作業用ゴンドラ4の外側Bと左右方向X-Xの両側と下側Dに配設することで、作業用ゴンドラ4が移動可能な養生空間9dを形成し、施工時において発生する作業用ゴンドラ4からの塗料や洗浄液などの養生空間9d外部への飛散を防止している。
【0027】
本発明の作業用ゴンドラにおける振れ止め装置1は、図2に示すように、外壁面3に固設される支持部材10と、この支持部材10に挿通されるガイドポール11と、ガイドポール11に装着される引掛部12により構成されている。
【0028】
図3は、支持部材10を示す斜視図である。
【0029】
前記支持部材10は、図3に示すように、円筒状の挿通部20と、挿通部20の側面に溶接された雄ねじからなる固定螺子21と、挿通部20の上方において突設された突部22により構成されている。
【0030】
挿通部20には、上下方向に通じる貫通孔20aが形成され、挿通部20の一方の側面には、上下に開口する切欠き20bが形成されている。
【0031】
前記切欠き20bと挿通部20における反対側の側面には、前記固定螺子21が挿通部20に溶接され、該固定螺子21の他端を外壁面3に予め打ち込まれたアンカー24に螺合させることにより、支持部材10を外壁面3の外側Bに固定している。
【0032】
前記突部22は、図3に示すように、挿通部20の上端において左右に一対設けられ、くの字状に屈曲した突部22の下端となる基部22aを、挿通部20の上端部側面に溶接し、突部22の上端となる係止片22bが挿通部20の上端より上側において拡径方向に向かって傾斜するように固設されている。
【0033】
前記突部22の傾斜形状により、後述するガイドポール11が、貫通孔20aに上方から挿通される際に、貫通孔20aの中心から挿入位置が多少外れても、ガイドポール11の下端が、この突部22に当接し求芯方向に案内されることで、ガイドポール11を挿通部20に挿通し易くしている。
【0034】
前記支持部材10は、図1に示すように、吊り下げ支持され昇降する作業用ゴンドラ4の左右両端が位置する外壁面3において、左右に一対設置すると共に、外壁面3の上下方向(Y-Y方向)において所定の間隔で複数個配設されるものであり、建物2の各階の外壁面3に少なくとも一つ設置される。
【0035】
また、図4に示すように、前記ガイドポール11は、上下方向(Y-Y方向)に長尺な円筒状の管材であって、少なくとも施工するビルの1階分の高さに相当する長さを有するが、施工効率に合わせ複数階分の高さに相当する長さに設定してもよい。
【0036】
また、そのガイドポール11の上端及び下端付近の側面には、螺子状で頭部25aを有する係止棒25が、ガイドポール11の側面から外側に向かって夫々同方向に突設されている。
【0037】
図5は前記ガイドポール11を支持部材10に挿通した斜視図で、図6はガイドポール11を支持部材10に装着した斜視図である。
【0038】
図5に示すように、前記ガイドポール11は、その外径が、前記挿通部20の貫通孔20aの内のり寸法より小径に設定され、ガイドポール11の端部を貫通孔20aに上下方向から挿入できると共に、ガイドポール11のE-E軸が軸方向となる軸芯を中心として回動可能に貫通孔20aに挿通される。
【0039】
また、ガイドポール11の側面に突設された係止棒25の突出方向を、支持部材10の切欠き20bの開口方向に合わせ、係止棒25を切欠き20bに上下方向から通過させることでガイドポール11が挿通部20を貫通移動可能となっている。
【0040】
そして、図6(a)に示すように、一つの(以下上側ともいう)支持部材10を通過したガイドポール11は、その支持部材10より下方に位置する他の(以下下側ともいう)支持部材10に挿通させ、前記の係止棒25が挿通部20の突部22より建物2の内側Aに位置するようにE-E軸を軸芯として回動させた後、図6(b)に示すように、係止棒25を突部22より建物2の内側Aへ移動させ挿通部20の上面に載置することで、ガイドポール11が支持部材10から抜け落ちることなく保持され外壁面3に対し装着される。
【0041】
前記構造により、ガイドポール11は上側と下側の少なくとも2個の支持部材10,10に対し着脱可能に設けられ、また、前記装着手順と逆の手順で操作することで、ガイドポール11を支持部材10から容易に取外すことができる。
【0042】
また、この取外した前記ガイドポール11を下方に摺動させ、前記下側の支持部材10を、上側の支持部材10として利用し、この上側として利用する支持部材10より下方に位置する他の支持部材10を下側の支持部材10として、ガイドポール11を取付ける支持部材10を変更することで、ガイドポール11の外壁面3に対する上下方向における取付位置を変更可能としている。
【0043】
また、ガイドポール11がE-E軸の軸芯方向において不用意に回動したとしても、ガイドポール11に突設された係止棒25が突部22に当接し外側Bへの回動を抑制することで、係止棒25の切欠き20bへの移動を阻止しガイドポール11の脱落を防止している。
【0044】
前記ガイドポール11には、引掛部12が取付けられており、図7はその取付及び引掛部12の上下方向への摺動状態を示す斜視図で、図8は係止棒25への係止状態を示す斜視図である。
【0045】
引掛部12は、図7に示すように大径部12aと小径部12bとを一連に結合させた環状部材であり、大径部12aの内径はガイドポール11の外径よりも大きく形成され、小径部12bの長手方向の内径は、係止棒25の突出長よりも長い半小判状に形成されている。
【0046】
前記引掛部12の環状部材の形状により、引掛部12は大径部12aでガイドポール11の外周を囲みながらガイドポール11を上下方向(Y-Y方向)に摺動可能に取付けられ、引掛部12が係止棒25と当接する際には、半小判状の小径部12bを係止棒25の突出方向に合わせて配置し、係止棒25を小径部12b内に挿通させることで、当該引掛部12をガイドポール11の全長に渡って移動させることができる。
【0047】
また、図2に示すように、前記小径部12bには、付勢手段15となるウインチ13の保持ワイヤ14が接続されており、作業用ゴンドラ4に搭載されたウインチ13の巻取操作を行うと、引掛部12に連結された作業用ゴンドラ4がガイドポール11に引き寄せられるように外壁面3側(内側A方向)へ付勢される。
【0048】
なお、図8に示すように、引掛部12は、ガイドポール11から突出する係止棒25との相対的な配置によって上下方向への移動が抑制されるものであり、引掛部12がガイドポール11を上下に摺動しても、施工時において図7から図8の突出方向へ回動した係止棒25に、引掛部12が当接することで、引掛部12がガイドポール11から抜出ることを防止している。
【0049】
更に、ガイドポール11が支持部材10から脱落するような場合には、前記引掛部12が係止棒25へ当接することにより、引掛部12からガイドポール11が抜出することなく、ガイドポール11は引掛部12と連結するウインチ13に支持され下方へ落下することは無い。
【0050】
次に、作業用ゴンドラにおける振れ止め装置1を用いた作業方法について説明する。
まず、作業者が作業用ゴンドラ4に搭乗し、建物2の外壁面3における所定の位置にアンカー24を打ち込み、このアンカー24に固定螺子21を螺合して支持部材10を設置する。
【0051】
次に、ガイドポール11を施工する階の外壁面3における上部に位置させ、図5に示すように、そのガイドポール11の下端側の係止棒25を、上段の支持部材10の切欠き20bの開口方向に合わせながら、ガイドポール11を支持部材10における挿通部20の貫通孔20aへ上方から挿通する。
【0052】
そして、図6(a)に示すように、上段の支持部材10を通過したガイドポール11に引掛部12を取付けた後、図6(b)に示すように、ガイドポール11をE-E軸を軸芯として回動させ、係止棒25を突部22よりも建物2の内側Aへ配置し支持部材10の上面に載置させるようにして、ガイドポール11の下端を下段の支持部材10に挿通させる。
【0053】
次に、作業用ゴンドラ4に備え付けられた伸縮部8の長さを調節して、作業用ゴンドラ4を、伸縮部8を介し外壁面3に当接させながら、作業用ゴンドラ4を昇降操作させ施工面へ移動させたのち、図2に示すように、引掛部12が接続されたウインチ13を巻取操作することにより、作業用ゴンドラ4が外壁面3側へ付勢されつつ、その付勢力を伸縮部8が受け止めることで、作業用ゴンドラ4とガイドポール11との間に張力が生じ、作業用ゴンドラ4が強風に煽られるような場合でも、揺動することなく安定的に外壁面3に対し保持される。
【0054】
作業者はガイドポール11の全長において前記操作を行いながら作業用ゴンドラ4を昇降させ対象階に対する施工を行った後、次の階の施工のためガイドポール11を下階へ下降させる。
【0055】
すなわち、作業用ゴンドラ4におけるウインチ13のテンションを緩めて、ガイドポール11との間に生じた張力を緩めた後、ガイドポール11を少量上方へ持上げ、E-E軸を軸芯として係止棒25を建物2の外側B方向に回動させ切欠き20bの上部へと移動させる。
【0056】
そして、前記切欠き20b内に係止棒25を通過させながら、ガイドポール11の下端を下階の支持部材10へ到達させた後、前記と同様にガイドポール11を挿通部20へ装着させ、その階
の施工を行う。
【0057】
以上の構成により、本発明の作業用ゴンドラにおける振れ止め装置1によれば、短尺のガイドポール11を施工する外壁面3に対し適宜設置することで、大量の仮設ガイドレールを高層ビルの全フロアに渡って設置することなく、簡易でかつ安価な作業用ゴンドラ4における振れ止め装置を提供できる。
【0058】
また、本装置は外壁面3においてピンポイントで設置することが可能であることから、必要最小限の範囲の作業面において施工することができる。
【0059】
また、前記のように支持部材10に突部22を設けたことにより、本実施例において作業頻度が多くなるガイドポール11の着脱作業に対し、ガイドポール11が突部22により求心方向へ案内されて下層階の支持部材10へのガイドポール11の挿通作業が効率的に行えると共に、この突部22がガイドポール11の係止棒25の回動を抑制するロック機能も兼用することで、部品構造が簡素化されつつ、作業操作性も上げることができる。
【0060】
更に、ガイドポール11の回動操作のみによりガイドポール11の着脱機能を構成したことから、作業用ゴンドラ4内からの作業者の操作でも容易に着脱操作が行え、誤操作を防止することができる。
【0061】
また、ガイドポール11の他の階への移設は、上段若しくは下段の支持部材10のどちらかに、ガイドポール11の上端若しくは下端が常に挿通されながら上下方向(Y-Y方向)において直線的に移設可能であることから、ガイドポール11が完全に支持部材10から外れることはなく、移設時のガイドポール11の落下を抑制できる。
【0062】
なお、引掛部12はガイドポール11への付勢力を生じさせるだけでなく、引掛部12をガイドポール11に設けられた係止棒25と当接するように設けたことから、ガイドポール11が支持部材10から脱落するようなことがあっても、係止棒25が引掛部12に引っ掛かり、ガイドポール11が保持ワイヤ14に吊るされてその落下を防止できる。
【0063】
また、作業用ゴンドラ4が想定量を超えて昇降してもこの引掛部12が上下の支持部材10,10に係止し保持ワイヤ14に引張られることからその逸脱する移動を阻止することができる。
【0064】
従って、引掛部12においても、上記各機能を兼用し、ガイドポール11への付勢力と落下防止と作業用ゴンドラ4の逸脱移動の阻止の各機能を有し本装置の簡素化と効率化が図られる。
【符号の説明】
【0065】
1 作業用ゴンドラにおける振れ止め装置
2 建物
3 外壁面
4 作業用ゴンドラ
6 昇降ワイヤ
10 支持部材
11 ガイドポール
12 引掛部
20 挿通部
20b 切欠き
22 突部
25 係止棒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8