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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057286
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】作業用ゴンドラ装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/04 20060101AFI20240417BHJP
   E04G 3/30 20060101ALI20240417BHJP
   E04G 5/00 20060101ALI20240417BHJP
   B66B 9/187 20060101ALI20240417BHJP
   B66B 7/02 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
E04G5/04 C
E04G3/30 301A
E04G5/00 301D
B66B9/187 A
B66B7/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163920
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】507418474
【氏名又は名称】中日装業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】中村 ▲禊▼
(72)【発明者】
【氏名】中村 英士
【テーマコード(参考)】
2E003
3F301
3F305
【Fターム(参考)】
2E003AA02
2E003AC03
2E003EB06
3F301AA13
3F301BB10
3F301DD07
3F305BD08
(57)【要約】
【課題】ベランダを有する高層マンションなどの高層建築物において、最上階から下層階まで仮設ガイドレールを一連に配置する大がかりな装置を設置することなく、簡易に組立ができ、外壁面への設置自由度が高く、かつ安価な作業用ゴンドラ装置を提供する。
【解決手段】作業用ゴンドラ5を昇降ワイヤ6に沿って昇降可能に備え、建物2の上下方向に配置されるガイドポール10を有し、該ガイドポール10に一の階のベランダ3の手摺部3aに取付ける上側掛着部11と、その前記の一の階より下方に位置する他のベランダ3の手摺部3aに取付ける下側掛着部12と、前記一の階のベランダ3の底部に下方から係止する係止部13とを設け、前記上側掛着部11と前記下側上側掛着部12と前記係止部13により、前記ガイドポール10をベランダ3の外壁面4に着脱可能に取付け、このガイドポール10に、前記作業用ゴンドラ5に連結される引掛部25を装着する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工する建物におけるベランダの外壁面において、作業用ゴンドラを昇降ワイヤに沿って昇降可能に備え、
前記建物の上下方向に配置されるガイドポールを有し、該ガイドポールに一の階のベランダの手摺部に取付ける上側掛着部と、その前記の一の階より下方に位置する他のベランダの手摺部に取付ける下側掛着部と、前記一の階のベランダの底部に下方から係止する係止部とを設け、
前記上側掛着部と前記下側上側掛着部と前記係止部により、前記ガイドポールをベランダの外壁面に着脱可能に取付け、
このガイドポールに、前記作業用ゴンドラに連結される引掛部を装着したことを特徴とする作業用ゴンドラ装置。
【請求項2】
ベランダの外壁面にガイドポールを取付けた状態において、前記上側掛着部と前記下側掛着部は、夫々ガイドポールの下側と外側への移動は抑制するが、上側への移動を抑制せず、
前記係止部は、ガイドポールの上側への移動を抑制するが、下側への移動を抑制しないことを特徴とする請求項1記載の作業用ゴンドラ装置。
【請求項3】
前記係止部は、折り畳み可能なフラップ片を有し、
該フラップ片を起立した状態でベランダの底部の下方から係止することで、該ガイドポールをベランダの外壁面に固定し、
前記フラップ片を折り畳むことで、前記ガイドポールをベランダから取外せるようにしたことを特徴とする請求項1記載の作業用ゴンドラ装置。
【請求項4】
前記ガイドポールをベランダの外壁面において左右方向に一対配置し、左右の係止部間に張設手段を設け、前記作業用ゴンドラと前記張設手段との間に、施工時における作業用ゴンドラからの外部への塗料等の飛散を抑制する飛散抑制手段を設けたこと特徴とする請求項1又は3記載の作業用ゴンドラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業用ゴンドラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベランダを有する高層マンション等の建物の外壁面の補修、洗浄、塗装等の外壁工事における補修作業は、建物の上方から支持ワイヤで吊り下げられた作業用ゴンドラを昇降可能に設け、その作業用ゴンドラに搭乗した作業者によって行われている。
【0003】
このような作業用ゴンドラは、屋上から支持ワイヤで吊り支持されているため、作業用ゴンドラが壁面から揺れ離れたり、風圧によって揺れたりすることから作業性が悪くなるほか、この離れた外壁面と作業用ゴンドラとの隙間から作業時に使用する塗料等が下方に飛散する問題もある。
【0004】
そこで、前記のような作業用ゴンドラの揺れを防止する方法として、ベランダの外壁面に仮設ガイドレールを取付金具により固定し、この仮設ガイドレールに対しガイドローラを備えた作業用ゴンドラを仮設ガイドレールに備えることにより、作業用ゴンドラの揺れを防止しつつ、作業用ゴンドラを外壁面に沿って昇降可能に設ける方法が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
また、近年は、超高層のマンションなどの高層建築物も建設され、これらの超高層の建物の外壁面に対しても、メンテナンスを施す必要があることから、この仮設ガイドレールを超高層のマンションの最上階から下層階まで仮設して補修作業を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016‐160013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記仮設ガイドレールは長尺なレールをベランダの外壁面に設置する大がかりな装置であり、これを、とりわけ超高層マンションなどの高層建築物において最上階から下層階まで仮設ガイドレールを一連に配置するには大量のレール部材が必要となるとともに、この大がかりな装置をマンションの上層階において取扱うことは困難であった。
【0008】
そこで本発明は、前記の問題点を解決する作業用ゴンドラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、施工する建物におけるベランダの外壁面において、作業用ゴンドラを昇降ワイヤに沿って昇降可能に備え、前記建物の上下方向に配置されるガイドポールを有し、該ガイドポールに一の階のベランダの手摺部に取付ける上側掛着部と、その前記の一の階より下方に位置する他のベランダの手摺部に取付ける下側掛着部と、前記一の階のベランダの底部に下方から係止する係止部とを設け、前記上側掛着部と前記下側上側掛着部と前記係止部により、前記ガイドポールをベランダの外壁面に着脱可能に取付け、このガイドポールに、前記作業用ゴンドラに連結される引掛部を装着したことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、ベランダの外壁面にガイドポールを取付けた状態において、前記上側掛着部と前記下側掛着部は、夫々ガイドポールの下側と外側への移動は抑制するが、上側への移動を抑制せず、前記係止部は、ガイドポールの上側への移動を抑制するが、下側への移動を抑制しないことを特徴とするものである。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記係止部は、折り畳み可能なフラップ片を有し、該フラップ片を起立した状態でベランダの底部の下方から係止することで、該ガイドポールをベランダの外壁面に固定し、前記フラップ片を折り畳むことで、前記ガイドポールをベランダから取外せるようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1又は3記載の発明において、前記ガイドポールをベランダの外壁面において左右方向に一対配置し、左右の係止部間に張設手段を設け、前記作業用ゴンドラと前記張設手段との間に、施工時における作業用ゴンドラからの外部への塗料等の飛散を抑制する飛散抑制手段を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、施工する建物におけるベランダの外壁面において、作業用ゴンドラを昇降ワイヤに沿って昇降可能に備え、前記建物の上下方向に配置されるガイドポールを有し、該ガイドポールに一の階のベランダの手摺部に取付ける上側掛着部と、その前記の一の階より下方に位置する他のベランダの手摺部に取付ける下側掛着部と、前記一の階のベランダの底部に下方から係止する係止部とを設け、前記上側掛着部と前記下側上側掛着部と前記係止部により、前記ガイドポールをベランダの外壁面に着脱可能に取付け、このガイドポールに、前記作業用ゴンドラに連結される引掛部を装着したことから、大量の仮設ガイドレールを高層ビルの全フロアに渡って設置する大がかりな装置を必要とせず、仮設ガイドレールと比較して短尺となるガイドポールを、建物のベランダの外壁面に対し簡易に組立ができ、かつ、施工工程に合わせて適宜移設することで、ベランダの外壁面への設置自由度が高く、かつ安価な作業用ゴンドラ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例1を示すもので作業用ゴンドラ装置を建物のベランダの外壁面に設置した状態を示す斜視図。
図2図1の作業用ゴンドラ装置を拡大した斜視図。
図3】本発明の実施例1に用いる上側掛着部と下側掛着部を示す斜視図。
図4】本発明の実施例1に用いる係止部を折り畳んだ状態を示す斜視図。
図5図4の係止部を起立させ、ベランダに配置して養生シートを備えた状態を示す斜視図。
図6】本発明の実施例2に用いる係止部の折り畳んだ状態を示す側面図。
図7図6の係止部を起立させた状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
[実施例1]
図1は、実施例1に係る作業用ゴンドラ装置1を施工する建物2におけるベランダ3の外壁面4に設置した状態を示す斜視図であり、図2は、その作業用ゴンドラ装置1を拡大した斜視図である。
【0016】
この作業用ゴンドラ装置1は、図1に示すように、施工する建物2におけるベランダ3の外壁面4を、作業用ゴンドラ5にて洗浄、補修、塗装等の作業を行う場合に、作業用ゴンドラ5が外壁面4に対し左右方向に揺動し、また、離反しないように設置されるものである。
【0017】
以下、図1に示すように、建物側を内側A、反対側を外側B、建物の上階側を上側C、下階側を下側Dとし、図1のX-X方向を左右方向、Y-Y方向を上下方向、Z-Z方向を前後方向として説明する。
【0018】
この作業用ゴンドラ5は、建物2の屋上に配設された昇降ワイヤ支持具7から垂下した昇降ワイヤ6によって吊り下げ支持されており、建物2の略垂直状に構成される外壁面4において上下方向(Y-Y方向)へ昇降可能に備え付けられている。
【0019】
昇降ワイヤ支持具7は、屋上における配設位置を左右方向(X-X方向)に変更することにより、吊り下げ状態で昇降ワイヤ6に結合して支持された作業用ゴンドラ5を、外壁面4の左右方向(X-X方向)において、その吊り下げ位置を移動させることができる。
【0020】
なお、前記昇降ワイヤ支持具7及び作業用ゴンドラ5は、1基に限るものではなく、複数基配設して、これらを同時に昇降させ施工することも可能である。
【0021】
前記作業用ゴンドラ5の外周、詳しくは、作業用ゴンドラ5のX―X方向の左右面及び外側Bの背面及び上側Cの上面には養生部材9が設置され、作業用ゴンドラ5内に養生空間9aを形成し、施工時において発生する作業用ゴンドラ5からの塗料や洗浄液などの養生空間9a外部への飛散を防止している。
【0022】
本発明の作業用ゴンドラ装置1は、図2に示すように、建物2のベランダ3の外壁面4において、作業用ゴンドラ5の左右方向における両端に一対配置されるものであり、上下方向に配置されるガイドポール10と、一の階(以降上階ともいう)のベランダ3の手摺部3aに取付ける上側掛着部11と、その一の階より下方に位置する他の(以降下階ともいう)ベランダ3の手摺部3aに取付ける下側掛着部12と、前記上階のベランダ3の底部に下方から係止する係止部13により構成され、これらによりガイドポール10はベランダ3に対し着脱可能に取付られている。
【0023】
前記ガイドポール10には、上側掛着部11と下側掛着部12と係止部13とが、ガイドポール10の上下方向(Y―Y方向)において、その各取付位置が調節可能となるよう設けられている。
【0024】
なお、ガイドポール10の上端付近には上側掛着部11が、下端付近には下側掛着部12が配置され、これらは同じ部品で形成されている。
【0025】
また、ガイドポール10の上下端には止板10bが固設され、前記上側掛着部11と下側掛着部12と係止部13のガイドポール10からの脱落を防止している。
【0026】
図3は、前記上側掛着部11と下側掛着部12を示す斜視図である。
【0027】
図3に示すように、上側掛着部11は、縦移動部15と横移動部16より構成され、縦移動部15はガイドポール10を軸とする上下方向(Y-Y方向)、横移動部16は縦移動部15を軸とする前後方向(Z―Z方向)への位置決めが可能となっている。
【0028】
前記縦移動部15は、円筒状の基部15aと、この基部15aの横側面に固設される支軸15bより構成され、基部15aはガイドポール10に対し上下方向に摺動可能に設けられている。
【0029】
また支軸15bは、前記基部15aの軸芯に対し直交方向に延設され、その支軸15bの長さはベランダ3の手摺部3aの厚みよりも長尺に設定されている。
【0030】
支軸15bの先端には抜止片15cが固設され、前記横移動部16が支軸15bから脱落することを防止している。
【0031】
基部15aの側面には、基部貫通孔15dが複数個開口しており、該基部貫通孔15dと前記ガイドポール10のポール貫通孔10aとを通じて固定ボルト14を挿通し、図示しないナットで締め付けることで、基部15aは、ガイドポール10に対し固定されると共に、複数のポール貫通孔10aの何れかに取付位置を変更することで、ガイドポール10の上下方向(Y-Y方向)において位置決め可能に設けられている。
【0032】
前記横移動部16は、円筒状の係合筒16aと、この係合筒16aの下側面において延設された抑止棒16bより構成され、支軸15bに設置されている。
【0033】
係合筒16aは前記支軸15bに対し左右方向に摺動可能に設けられ、前記基部15aの側面と抜止片15cとの間を移動可能とし、この係合筒16aの軸芯に対する垂直方向において抑止棒16bが垂下している。
【0034】
前記支軸15bと係合筒16aの側面には、支軸貫通孔15eと係合筒貫通孔16cが複数個開口しており、支軸貫通孔15eと係合筒貫通孔16cとを通じて固定ボルト14を挿通し、図示しないナットで締め付けることで、係合筒16aは、支軸15bに対し固定されると共に、複数の支軸貫通孔15eの何れかに取付位置を変更することで、その前後方向(Z-Z方向)において位置決め可能に設けられている。
【0035】
また、ガイドポール10の中間付近には係止部13が装着されており、図4はこの係止部13を折畳んだ状態を示す斜視図で、図5は、起立させてベランダ3に配置させた状態を示す斜視図である。
【0036】
図4に示すように、係止部13は、前記ガイドポール10に対し摺動可能に設けられる円筒状の揺動軸部20aと、これと連結する折り畳み可能なフラップ片20bと、フラップ片20bの起立した状態を支持するアーム部20cと、このアーム部20cが嵌合すると共に、ガイドポール10に摺動可能に設けられる掛止部21から構成される。
【0037】
前記揺動軸部20aには揺動軸孔20dが設けられ、前記フラップ片20bの一端に設けられたフラップ軸孔20eと揺動軸孔20dとに、軸ボルト22が貫通して軸支されることにより、軸ボルト22を回転軸としてフラップ片20bが揺動可能に設けられ、水平姿勢となる起立した状態と垂下姿勢となる折り畳んだ状態とに変位させることができる。
【0038】
また、フラップ片20bの中央付近には、アーム支持孔20fが設けられ、このアーム支持孔20fと、前記アーム部20cの一端に設けられたアーム軸孔20gとに、アーム軸ボルト23を貫通させて軸支することにより、アーム軸ボルト23を回転軸としてアーム部20cが揺動可能に取付けられている。
【0039】
アーム部20cの他端には、外周の一部が開口する引掛孔20hが形成されており、図5に示すように、フラップ片20bを上方へ揺動させ、前記掛止部21に形成された留軸21aに引掛孔20hを嵌合させることで、前記フラップ片20bがアーム部20cに支持され起立した状態となる。
このフラップ片20bがベランダ3の底部に配置されることで、ガイドポール10はベランダ3に固定される。
【0040】
また、フラップ片20bを折り畳んだ状態とする場合には、前記引掛孔20hを上方へ付勢して留軸21aから引掛孔20hを外すことで、フラップ片20bとアーム部20cは自重で垂下し、ガイドポール10のベランダ3に対する固定が解除される。
【0041】
フラップ片20bの先端には軸受部20iが形成され、この軸受部20iと作業用ゴンドラ5の左右方向における他端に設けられた対となる作業用ゴンドラ装置1の軸受部20iとの間には、張設手段となるワイヤ24が設けられている。
【0042】
このワイヤ24と作業用ゴンドラ5の前面との間において養生シート26が架設されることにより、作業用ゴンドラ5の前面から上階のベランダ3の底部までを閉塞し、塗料等の飛散を抑制する飛散抑制手段を構成している。なお、張設手段はワイヤ24に限らず、軸受部20i、20i間に棒形状の部材などの用いても良い。
【0043】
前記揺動軸部20aと掛止部21の側面には、揺動軸部貫通孔20jと掛止部貫通孔21bが複数個開口しており、ポール貫通孔10aと揺動軸部貫通孔20j、及び、ポール貫通孔10aと掛止部貫通孔21bとに通じて固定ボルト14を挿通し図示しないナットで締め付けることで、係止部13はガイドポール10に対し固定されると共に、複数のポール貫通孔10aの何れかに固定位置を変更することで、その上下方向(Y-Y方向)における位置決め手段を構成している。
【0044】
また、図2に示すように、前記ガイドポール10には引掛部25がガイドポール10に対し着脱可能に装着されており、この引掛部25は作業用ゴンドラ5に搭載されたウインチ4aの巻取ワイヤ4bに連結されている。
【0045】
作業用ゴンドラ5は前記ウインチ4aの巻取操作を行うと、外壁面4側(内側A方向)へ引っ張られるように付勢され、その巻取量を調節することで、外壁面4と作業用ゴンドラ5との距離を調整することができる。
【0046】
次に、作業用ゴンドラ装置1を用いた作業方法について説明する。
【0047】
まず、作業者が作業用ゴンドラ5に搭乗し、施工作業を行う建物2の外壁面4に作業用ゴンドラ5を移動させて、その作業階のベランダ3に本実施例の作業用ゴンドラ装置1を設置する。
【0048】
設置手順はこの手順に限られるものでは無いが、本実施例では、最初にガイドポール10に対し上側掛着部11を固定し、係止部13と下側掛着部12は固定せず上下方向(Y-Y方向)に移動可能に備え、係止部13のフラップ片20bは折り畳んだ状態とする。
【0049】
この時、ガイドポール10の上下両端には止板10bが固設されていることから、係止部13と下側掛着部12がガイドポール10から抜け落ちることは無い。
【0050】
次に、上側掛着部11を施工する階、すなわち上階のベランダ3の手摺部3aに掛着させた後、下階のベランダ3の手摺部3aに取付ける下側掛着部12の縦移動部15をガイドポール10の上方へ摺動させ、抑止棒16bの下端を下階のベランダ3の手摺部3aの上端よりも上側へ上昇させる。
【0051】
そして、ガイドポール10を建物2の内側Aへ付勢して下側掛着部12の横移動部16を下階のベランダ3の内部空間に位置させながら下階のベランダ3の手摺部3aの上端に縦移動部15が当接するまで降下させ、その当接した位置において縦移動部15の基部15aを固定ボルト14でガイドポール10に固定する。
【0052】
次に、上側掛着部11と下側掛着部12における横移動部16,16を建物2の外側B方向へ移動させ、抑止棒16b,16bが上階と下階のベランダ3の内側の壁に当接する位置まで摺動させて、その位置で係合筒16a,16aを支軸15b,15bに固定ボルト14で固定し、上階と下階のベランダ3をガイドポール10と抑止棒16b,16bとで挟持させる。
【0053】
そして、係止部13を上階のベランダ3の底面付近まで上昇させ、フラップ片20bを起立した状態にし、アーム部20cを留軸21aに掛けてフラップ片20bを起立させ、フラップ片20bを上階のベランダ3の底面に当接させながら、その位置において揺動軸部20aと掛止部21をガイドポール10に固定ボルト14で固定する。
【0054】
これにより、本発明の作業用ゴンドラ装置1は、上階と下階の相互のベランダ3に対し上側掛着部11と下側掛着部12により下側Dと外側Bの移動が抑制され、かつ、係止部13により上側Cへの移動も抑制されることから、ベランダ3からの作業用ゴンドラ装置1の脱落を阻止できる。
【0055】
つまり、上側掛着部11と下側掛着部12は、夫々、ガイドポール10の下側と外側への移動は抑制するが、上側への移動は抑制されず、前記係止部13は、ガイドポール10の上側への移動を抑制するが、下側への移動を抑制しない状態となることより、ガイドポール10はベランダ3に固定される。
【0056】
そのため、ベランダ3の手摺部3aとベランダ3の底部に対し、特有な金具などを用いた締め付けによる固定及び解除によらず、作業用ゴンドラ装置1の着脱が行える。
【0057】
また、作業用ゴンドラ装置1は、作業用ゴンドラ5の左右方向において対となるように、もう一台配置され、前記フラップ片20bを起立させることで養生シート26が作業用ゴンドラ5の下方前面において架設され、作業用ゴンドラ5からベランダ3の内側へ渡る空間が養生される。
【0058】
そして、ガイドポール10に引掛部25を装着し、ウインチ4aの巻取量を調整して作業用ゴンドラ5と外壁面4との距離を調節し、このウインチ4aの牽引により作業用ゴンドラ5の揺動や、外壁面4に対する離反が防止される。
【0059】
なお、ガイドポール10をベランダ3から取外す場合には、フラップ片20bを折り畳み状態とすることでベランダ3の下方からの固定を解除でき、次の作業階に移動する際には、既にガイドポール10の上階と下階のベランダ3に対する取付位置調整が完了していることより、そのままガイドポール10を上昇させてベランダ3から外側Bへ抜出し、次の作業階のベランダ3の手摺部3aへ上側掛着部11と下側掛着部12を同時に掛着させた後、係止部13を起立した状態として移設することができる。
【0060】
以上の構成により、本発明の作業用ゴンドラ装置1によれば、大量の仮設ガイドレールを高層ビルの全フロアに渡って設置することなく、短尺のガイドポール10を施工するベランダ3の外壁面4に対し適宜取付けることで、簡易でかつ安価な作業用ゴンドラ5における作業用ゴンドラ装置を提供できる。
【0061】
また、本装置はベランダ3の外壁面4に、簡易でかつピンポイントに設置することが可能であることから、必要最小限の範囲の作業面を設定して施工することができる。
【0062】
更に、ガイドポール10のベランダ3への固定及び解除は、フラップ片20bの揺動操作のみで行えることから、ガイドポール10の他の階への移設作業が容易かつ素早く行える。
【0063】
また、係止部13のフラップ片20bに養生シート26を取付けたことから、係止部13によるガイドポール10のベランダ3への固定と、養生シート26の架設手段の設置が同時に行えることから、一つの部材でベランダ3への固定と養生シート26の設置が兼用され、装置の簡素化を図ることができる。
【0064】
更に、この養生シート26は上階のベランダ3の底面に対し設置されることから、作業用ゴンドラ5から建物2の外部への塗料の飛散が防止されることは基より、下階のベランダ3の内側及び床面への飛散も防止することができる。
【0065】
また、前記のウインチ4aに接続された引掛部25が、ガイドポール10に装着されていることより、作業用ゴンドラ5からガイドポール10への付勢力が生じ、作業用ゴンドラ5が建物2の外壁面4から離反及び左右方向へ揺動することを防止でき、更に、誤って作業用ゴンドラ5が想定量を超えて昇降しても、引掛部25がガイドポール10に設けられた止板10b又は上側掛着部11及び係止部13の何れかに係止して、その逸脱した移動を阻止することができる。
【0066】
更に、作業用ゴンドラ装置1が作業階のベランダ3から誤って脱落するようなことがあっても、前記引掛部25が止板10b又は上側掛着部11又は係止部13の何れかへ係止することにより引掛部25がガイドポール10から抜出ることはなく、引掛部25に連結されたウインチ4aが作業用ゴンドラ装置1を牽引し、作業用ゴンドラ装置1の地面への落下を防止することができる。
【0067】
[実施例2]
図6は、実施例2に係る作業用ゴンドラ装置1の係止部13を折畳んだ状態を示す側面図で、図7は、係止部13を起立させた状態を示す側面図である。
【0068】
実施例2の係止部13は、実施例1のアーム部20cを、上アーム部27aと下アーム部27bに分け、上アーム部27aと下アーム部27bとの間を節28にて連結し、この節27を回転軸として上アーム部27aと下アーム部27bを屈折することにより、フラップ片20bを折り畳めるようにしたものである。
【0069】
本実施例によれば、フラップ片20bを持ち上げながら、上アーム部27aと下アーム部27bが直線状になるように前記節28を押し込むことで、フラップ片20bを起立した状態に支持でき、逆に、この節28を引き出せば、フラップ片20bを折り畳むことができ、当該操作を容易に行うことが出来る。
【符号の説明】
【0070】
1 作業用ゴンドラ装置
2 建物
3 ベランダ
3a 手摺部
4 外壁面
5 作業用ゴンドラ
6 昇降ワイヤ
10 ガイドポール
11 上側掛着部
12 下側掛着部
13 係止部
20b フラップ片
24 ワイヤ(張設手段)
25 引掛部
26 養生シート(飛散抑制手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7