(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057309
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】列車管理支援装置、列車管理支援方法及び列車管理支援プログラム
(51)【国際特許分類】
B61L 27/18 20220101AFI20240417BHJP
B61L 27/40 20220101ALI20240417BHJP
B61L 25/02 20060101ALI20240417BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20240417BHJP
【FI】
B61L27/18
B61L27/40
B61L25/02 Z
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163954
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下田 良征
(72)【発明者】
【氏名】島田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】栢野 政義
(72)【発明者】
【氏名】千種 健二
(72)【発明者】
【氏名】金森 巧
【テーマコード(参考)】
5H161
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161BB02
5H161EE20
5H161FF01
5H161JJ01
5H161JJ29
5H161JJ40
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】駅間で停車した列車に派遣される人員に対して、派遣先の列車に向かう際に使用するべき経路を提示することを可能とする列車管理支援装置、列車管理支援方法及び列車管理支援プログラムを提供する。
【解決手段】鉄道の駅間で停車した列車である駅間停車列車が存在する場合に、当該列車の停車位置に関する情報である在線位置情報D2を取得する第1取得手段(通信部13)と、駅間停車列車に人員を派遣する際に使用するべき経路である派遣経路を決定する派遣経路決定手(制御部11)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道の駅間で停車した列車である駅間停車列車が存在する場合に、当該列車の停車位置に関する情報である停車位置情報を取得する第1取得手段と、
前記駅間停車列車に人員を派遣する際に使用するべき経路である派遣経路を決定する派遣経路決定手段と、
を備えることを特徴とする列車管理支援装置。
【請求項2】
前記列車が走行する線路に関する情報である線路情報を取得する第2取得手段を備え、
前記派遣経路決定手段は、前記線路情報を用いて、前記派遣経路を決定することを特徴とする請求項1に記載の列車管理支援装置。
【請求項3】
前記線路情報は、前記線路内に入ることが可能な地点である進入可能地点に関する情報を含み、
前記派遣経路決定手段は、前記進入可能地点のうち前記停車位置から最も近い地点から前記線路内に入る経路を、前記派遣経路として決定することを特徴とする請求項2に記載の列車管理支援装置。
【請求項4】
前記進入可能地点は、前記線路内に入ることが可能な設備が設けられた地点を含むことを特徴とする請求項3に記載の列車管理支援装置。
【請求項5】
前記進入可能地点は、前記線路周辺の地形が前記線路内に入ることが可能な地形である地点を含むことを特徴とする請求項3に記載の列車管理支援装置。
【請求項6】
前記列車が走行する線路の周辺の各地方公共団体に発せられた避難指示に係る情報を取得する第3取得手段を備え、
前記派遣経路決定手段は、前記避難指示が発せられた地方公共団体を通過する経路を避けて、前記派遣経路を決定することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の列車管理支援装置。
【請求項7】
前記駅間停車列車に派遣する人員である派遣人員を決定する派遣人員決定手段を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の列車管理支援装置。
【請求項8】
前記駅間停車列車に派遣可能な人員である派遣可能人員のリストに係る情報である人員リスト情報を取得する第4取得手段と、
前記人員リスト情報に含まれる各派遣可能人員の位置情報である派遣可能人員位置情報を取得する第5取得手段と、
を備え、
前記派遣人員決定手段は、前記停車位置情報と、前記派遣可能人員位置情報と、を用いて、前記派遣人員を決定することを特徴とする請求項7に記載の列車管理支援装置。
【請求項9】
前記派遣人員決定手段は、道路の混雑状況に係る情報を用いて、前記派遣人員を決定することを特徴とする請求項7に記載の列車管理支援装置。
【請求項10】
前記派遣人員決定手段は、道路の混雑状況に係る情報を用いて、前記派遣可能人員位置情報に係る位置から、前記停車位置情報に係る位置まで最も短時間で到着できる人員を、前記派遣人員と決定することを特徴とする請求項8に記載の列車管理支援装置。
【請求項11】
前記駅間停車列車が複数存在する場合に、前記駅間停車列車に人員を派遣する優先順位を決定する優先順位決定手段を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の列車管理支援装置。
【請求項12】
前記駅間停車列車に乗車している乗客の乗車人数又は乗車率に関する情報を取得する第6取得手段を備え、
前記優先順位決定手段は、前記第6取得手段が取得した情報を用いて、前記優先順位を決定することを特徴とする請求項11に記載の列車管理支援装置。
【請求項13】
鉄道の駅間で停車した列車である駅間停車列車が存在する場合に、当該列車の停車位置に関する情報である停車位置情報を取得する取得ステップと、
前記駅間停車列車に人員を派遣する際に使用するべき経路である派遣経路を決定する派遣経路決定ステップと、
を含むことを特徴とする列車管理支援方法。
【請求項14】
コンピュータを、
鉄道の駅間で停車した列車である駅間停車列車が存在する場合に、当該列車の停車位置に関する情報である停車位置情報を取得する取得手段、
前記駅間停車列車に人員を派遣する際に使用するべき経路である派遣経路を決定する派遣経路決定手段、
として機能させることを特徴とする列車管理支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車管理支援装置、列車管理支援方法及び列車管理支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば災害時においては、多数の物品について保守作業を要することから、保守作業を要する物品に対して人員を効率的に派遣することが求められる。そこで、災害時に保守作業を要する物品に対して派遣する人員を決定することを目的としたシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄道事業者においては、災害時等に、駅間(線路上の駅と駅との間の地点)で停車した列車に対して、車両の保守作業や乗客の救助等のために人員を派遣することを要する場合があるが、列車は線路上に停車していることから、このような列車に対して人員を派遣する際に使用できる経路は限定される。したがって、駅間で停車した列車に人員を派遣するに際しては、派遣する人員に対して、派遣先の列車に向かう際に使用するべき適切な経路を提示することが求められる。
しかしながら、特許文献1に記載のシステムは、鉄道事業者において利用することを想定したものではなく、派遣する人員を決定することはできても、派遣先の列車に向かう際に使用するべき適切な経路を提示することを可能とするものではなかった。
【0005】
本発明の課題は、駅間で停車した列車に派遣される人員に対して、派遣先の列車に向かう際に使用するべき経路を提示することを可能とする列車管理支援装置、列車管理支援方法及び列車管理支援プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、列車管理支援装置において、
鉄道の駅間で停車した列車である駅間停車列車が存在する場合に、当該列車の停車位置に関する情報である停車位置情報を取得する第1取得手段と、
前記駅間停車列車に人員を派遣する際に使用するべき経路である派遣経路を決定する派遣経路決定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の列車管理支援装置において、
前記列車が走行する線路に関する情報である線路情報を取得する第2取得手段を備え、
前記派遣経路決定手段は、前記線路情報を用いて、前記派遣経路を決定することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の列車管理支援装置において、
前記線路情報は、前記線路内に入ることが可能な地点である進入可能地点に関する情報を含み、
前記派遣経路決定手段は、前記進入可能地点のうち前記停車位置から最も近い地点から前記線路内に入る経路を、前記派遣経路として決定することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の列車管理支援装置において、
前記進入可能地点は、前記線路内に入ることが可能な設備が設けられた地点を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の列車管理支援装置において、
前記進入可能地点は、前記線路周辺の地形が前記線路内に入ることが可能な地形である地点を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の列車管理支援装置において、
前記列車が走行する線路の周辺の各地方公共団体に発せられた避難指示に係る情報を取得する第3取得手段を備え、
前記派遣経路決定手段は、前記避難指示が発せられた地方公共団体を通過する経路を避けて、前記派遣経路を決定することを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の列車管理支援装置において、
前記駅間停車列車に派遣する人員である派遣人員を決定する派遣人員決定手段を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の列車管理支援装置において、
前記駅間停車列車に派遣可能な人員である派遣可能人員のリストに係る情報である人員リスト情報を取得する第4取得手段と、
前記人員リスト情報に含まれる各派遣可能人員の位置情報である派遣可能人員位置情報を取得する第5取得手段と、
を備え、
前記派遣人員決定手段は、前記停車位置情報と、前記派遣可能人員位置情報と、を用いて、前記派遣人員を決定することを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の列車管理支援装置において、
前記派遣人員決定手段は、道路の混雑状況に係る情報を用いて、前記派遣人員を決定することを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の列車管理支援装置において、
前記派遣人員決定手段は、道路の混雑状況に係る情報を用いて、前記派遣可能人員位置情報に係る位置から、前記停車位置情報に係る位置まで最も短時間で到着できる人員を、前記派遣人員と決定することを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の列車管理支援装置において、
前記駅間停車列車が複数存在する場合に、前記駅間停車列車に人員を派遣する優先順位を決定する優先順位決定手段を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の列車管理支援装置において、
前記駅間停車列車に乗車している乗客の乗車人数又は乗車率に関する情報を取得する第6取得手段を備え、
前記優先順位決定手段は、前記第6取得手段が取得した情報を用いて、前記優先順位を決定することを特徴とする。
【0018】
請求項13に記載の発明は、列車管理支援方法において、
鉄道の駅間で停車した列車である駅間停車列車が存在する場合に、当該列車の停車位置に関する情報である停車位置情報を取得する取得ステップと、
前記駅間停車列車に人員を派遣する際に使用するべき経路である派遣経路を決定する派遣経路決定ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0019】
請求項14に記載の発明は、列車管理支援プログラムにおいて、
コンピュータを、
鉄道の駅間で停車した列車である駅間停車列車が存在する場合に、当該列車の停車位置に関する情報である停車位置情報を取得する取得手段、
前記駅間停車列車に人員を派遣する際に使用するべき経路である派遣経路を決定する派遣経路決定手段、
として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、駅間で停車した列車に派遣される人員に対して、派遣先の列車に向かう際に使用するべき経路を提示することを可能とする列車管理支援装置、列車管理支援方法及び列車管理支援プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係る列車管理支援システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る列車管理支援システムの在線状況等の確認時の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図3】実施形態に係る列車管理支援システムのダイヤグラムから地図への遷移時の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図4】実施形態に係る列車管理支援システムの地図からダイヤグラムへの遷移時の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図5】実施形態に係る列車管理支援システムの駅間所在列車表示から地図への遷移時の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図6】実施形態に係る列車管理支援システムの駅間停車列車への派遣人員、派遣経路の決定時の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図7】実施形態に係る列車管理支援システムの駅間停車列車からの避難経路の決定時の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図8】実施形態に係る列車管理支援システムの地方公共団体が発する情報に基づく運行停止区間の決定時の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図9】実施形態に係る列車管理支援システムの地方公共団体が発する情報に基づく車両疎開指示時の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図10】実施形態に係る列車管理支援システムの災害時の駅間停車列車の移動要否等の判定時の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図11】実施形態に係る列車管理支援システムの土砂災害危険時のアラートの発出時の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図12】実施形態に係る列車管理支援システムの第1在線状況閲覧画面を示す図である。
【
図13】実施形態に係る列車管理支援システムの第2在線状況閲覧画面を示す図である。
【
図14】実施形態に係る列車管理支援システムの第3在線状況閲覧画面を示す図である。
【
図15】実施形態に係る列車管理支援システムの第5在線状況閲覧画面を示す図である。
【
図16】実施形態に係る列車管理支援システムの列車遅延時のアイコンの遷移を示す図であり、(a)は列車アイコンのみが表示された状態、(b)は列車アイコンに加えて第1遅延表示が表示された状態、(c)は列車アイコンに加えて第2遅延表示が表示された状態を示す図である。
【
図17】実施形態に係る列車管理支援システムの施設別災害情報表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、
図1から
図17に基づいて、本発明の実施形態である列車管理支援システム100について説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されるものではない。
【0023】
[第1 構成の説明]
列車管理支援システム100は、
図1に示すように、列車管理支援システム100を管理・運営する鉄道事業者が保有する各種サーバ、すなわち、管理サーバ1、地図情報サーバ2、列車情報サーバ3、人員情報サーバ4、災害情報サーバ5及び路線情報サーバ6と、鉄道事業者の各職員が使用する端末装置である職員端末7と、を備えて構成され、これら装置の間は、通信ネットワークNを介して接続されている。
【0024】
なお、上記各サーバは、必ずしも別個に設けられていることを要せず、単一の装置が、これら複数のサーバとしての機能を兼ねていてもよい。
また、反対に、上記各サーバは、必ずしも単一の装置によって実現されていることを要せず、複数台の装置が通信ネットワークNを介して接続されることで、各サーバとしての機能が実現されていてもよい。
【0025】
[1 管理サーバ]
管理サーバ1は、例えば、列車管理支援システム100を管理・運営する鉄道事業者が保有するコンピュータであり、他のサーバから取得した情報を用いて、後述の動作の説明において述べる処理を行う。
管理サーバ1は、
図1に示すように、例えば、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、を備えて構成されている。
【0026】
[(1) 制御部]
制御部11は、管理サーバ1の動作を制御する部分であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、記憶部12に記憶されたプログラムデータとCPUとの協働により、管理サーバ1の各部を統括制御する。
【0027】
[(2) 記憶部]
記憶部12は、管理サーバ1の運用に必要となる各種情報が記憶される部分であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリ等により構成され、後述の動作の説明において述べる管理サーバ1の動作に必要となるデータ及び管理サーバ1において生成されるデータを、制御部11から読み書き可能に記憶する。
また、記憶部12には、管理サーバ1を動作させるための制御部11への各種命令を含むプログラムが記憶されており、後述の動作の説明において述べる管理サーバ1の動作は、記憶部12に記憶されたプログラムに従ってなされることとなる。
【0028】
[(3) 通信部]
通信部13は、管理サーバ1と、列車管理支援システム100を構成する他の装置との間の通信に用いられる部分であり、例えば、通信用IC(Integrated Circuit)及び通信コネクタなどを有する通信インターフェイスであり、制御部11の制御の元、所定の通信プロトコルを用いて、通信ネットワークNを介したデータ通信を行う。
【0029】
[2 地図情報サーバ]
地図情報サーバ2は、例えば、列車管理支援システム100を管理・運営する鉄道事業者が保有するコンピュータであり、後述のように、地図情報D1を記憶し、管理サーバ1へと送信する。
【0030】
地図情報サーバ2は、
図1に示すように、管理サーバ1と同様、例えば、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、を備えて構成されている。
【0031】
制御部21及び通信部23の構成は、それぞれ管理サーバ1における制御部11及び通信部13と変わるところはない。
記憶部22は、管理サーバ1における記憶部12と同様に、例えば、HDD、半導体メモリ等により構成され、地図情報D1が記憶される。
【0032】
[3 列車情報サーバ]
列車情報サーバ3は、例えば、列車管理支援システム100を管理・運営する鉄道事業者が保有するコンピュータであり、後述のように、在線位置情報D2、乗車率情報D3、運行計画情報D4及び経過時間情報D5を記憶し、管理サーバ1へと送信する。
【0033】
列車情報サーバ3は、
図1に示すように、管理サーバ1と同様、例えば、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、を備えて構成されている。
【0034】
制御部31及び通信部33の構成は、それぞれ管理サーバ1における制御部11及び通信部13と変わるところはない。
記憶部32は、管理サーバ1における記憶部12と同様に、例えば、HDD、半導体メモリ等により構成され、在線位置情報D2、乗車率情報D3、運行計画情報D4及び経過時間情報D5が記憶される。
【0035】
[4 人員情報サーバ]
人員情報サーバ4は、例えば、列車管理支援システム100を管理・運営する鉄道事業者が保有するコンピュータであり、後述のように、人員一覧情報D17及び人員位置情報D18を記憶し、管理サーバ1へと送信する。
【0036】
人員情報サーバ4は、
図1に示すように、管理サーバ1と同様、例えば、制御部41と、記憶部42と、通信部43と、を備えて構成されている。
【0037】
制御部41及び通信部43の構成は、それぞれ管理サーバ1における制御部11及び通信部13と変わるところはない。
記憶部42は、管理サーバ1における記憶部12と同様に、例えば、HDD、半導体メモリ等により構成され、人員一覧情報D17及び人員位置情報D18が記憶される。
【0038】
[5 災害情報サーバ]
災害情報サーバ5は、例えば、列車管理支援システム100を管理・運営する鉄道事業者が保有するコンピュータであり、後述のように、避難指示情報D19、降水量情報D25、河川水位情報D26、大雨警報危険度分布情報D33及び土砂災害影響範囲情報D34を記憶し、管理サーバ1へと送信する。
【0039】
災害情報サーバ5は、
図1に示すように、管理サーバ1と同様、例えば、制御部51と、記憶部52と、通信部53と、を備えて構成されている。
【0040】
制御部51及び通信部53の構成は、それぞれ管理サーバ1における制御部11及び通信部13と変わるところはない。
記憶部52は、管理サーバ1における記憶部12と同様に、例えば、HDD、半導体メモリ等により構成され、避難指示情報D19、降水量情報D25、河川水位情報D26、大雨警報危険度分布情報D33及び土砂災害影響範囲情報D34が記憶される。
【0041】
[6 路線情報サーバ]
路線情報サーバ6は、例えば、列車管理支援システム100を管理・運営する鉄道事業者が保有するコンピュータであり、後述のように、路線情報D20、停車禁止エリア情報D30及び被災状況情報D31を記憶し、管理サーバ1へと送信する。
【0042】
路線情報サーバ6は、
図1に示すように、管理サーバ1と同様、例えば、制御部61と、記憶部62と、通信部63と、を備えて構成されている。
【0043】
制御部61及び通信部63の構成は、それぞれ管理サーバ1における制御部11及び通信部13と変わるところはない。
記憶部62は、管理サーバ1における記憶部12と同様に、例えば、HDD、半導体メモリ等により構成され、路線情報D20、停車禁止エリア情報D30及び被災状況情報D31が記憶される。
【0044】
[7 職員端末]
職員端末7は、鉄道事業者の職員のそれぞれが所持する、例えば、スマートフォン、タブレット端末等の情報機器であり、後述のように、管理サーバ1から受信した情報の表示等に用いられる。
図1においては職員端末7を一つしか図示していないが、実際には、鉄道事業者の職員のそれぞれが所持する多数の職員端末7が、管理サーバ1と通信ネットワークNを介して接続されている。
【0045】
職員端末7は、
図1に示すように、例えば、管理サーバ1と同様に、制御部71と、記憶部72と、通信部73と、を備えると共に、さらに、表示部74と、操作部75と、位置情報取得部76と、を備えて構成されている。
【0046】
制御部71及び通信部73の構成は、それぞれ管理サーバ1における制御部11及び通信部13と変わるところはない。
記憶部72は、管理サーバ1における記憶部12と同様に、例えば、HDD、半導体メモリ等により構成され、後述の動作の説明において述べるように職員端末7を動作させるための制御部71への各種命令を含むプログラムが記憶されている。
【0047】
表示部74は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイを備え、制御部71から出力された表示制御信号に基づいた画像を当該ディスプレイに表示する。
【0048】
操作部75は、例えば、文字入力キー、数字入力キー、その他各種機能に対応付けられたキーを有するキーボード等を備え、職員端末7の使用者からの操作入力を受け付けて、操作入力に応じた操作信号を制御部71へと出力する。操作部75は、例えば、表示部74と一体的に形成されたタッチパネル等であってもよい。
【0049】
位置情報取得部76は、職員端末7の所在位置に関する情報を取得する部分であり、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機が用いられる。GPS受信機は、GPSを構成する複数のGPS衛星から提供される測位用電波であるGPS信号を受信し、これを用いて、職員端末7、ひいては職員端末7を所持する鉄道事業者の職員の位置情報を取得する。
なお、位置情報取得部76は、職員端末7の位置情報を取得可能なものであればよく、GPS受信機には限られない。例えば、その他の衛星測位システムに係る信号の受信機等を使用してもよい。
【0050】
[8 通信ネットワーク]
通信ネットワークNは、例えば、インターネット、電話回線網、携帯電話通信網、無線LAN通信網等であり、
図1に示すように、列車管理支援システム100を構成する各装置の間を接続する。
通信ネットワークNとしては、上記のように列車管理支援システム100を構成する各装置間を接続し、これらの間でデータの送受信を行うことが可能なものであれば特に限定されない。
【0051】
[第2 動作の説明]
次に、本実施形態に係る列車管理支援システム100の動作について説明する。
列車管理支援システム100の動作は、大きく分けて、平常時動作(ステップS11からステップS14)及び災害時動作(ステップS21からステップS26)からなる。
【0052】
[1 平常時動作]
まず、列車管理支援システム100の平常時の動作について、
図2から
図5のフローチャートに従って説明する。
なお、この場合の平常時とは災害が発生していない状態をいい、個々の列車のトラブルに起因する遅延が生じているのみであれば平常時に含まれるものとする。
【0053】
[(1) ステップS11:在線状況等の確認]
まず、列車管理支援システム100を利用して列車の在線状況等を確認する際の動作について、
図2のフローチャートに従って説明する。
【0054】
[ア 動作の流れ]
本システムを利用して各列車の在線状況等を確認する場合、鉄道会社の職員は、職員端末7の操作部75を使用して所定の操作を行い、職員端末7と管理サーバ1との接続状態を確立する。
職員端末7との接続状態が確立されると、管理サーバ1は、地図情報サーバ2から、地図情報D1を取得する(ステップS11-1)。
【0055】
地図情報D1は、本システムによって管理される列車が走行する可能性のある全地域の地図に係る情報である。地図の形式等は特に限定されない。
また、地図情報D1に係る地図は、当該地域内に位置する線路、駅及び列車の車両基地の位置に係る情報、当該地域内に位置する地方公共団体の地理的範囲(地方公共団体の地図上の境界)に係る情報、当該地域内を流れる河川の位置に係る情報、当該地域内の各地点の標高に係る情報、当該地域内を走る道路の混雑状況に係る情報等を含む。
【0056】
具体的な取得方法としては、例えば、管理サーバ1の制御部11が、通信部13から通信ネットワークNを介して、地図情報サーバ2へと地図情報D1を送信する旨の所定の指令を送信し、これを受信した地図情報サーバ2において、制御部21が、記憶部22に記憶された地図情報D1を通信部23から通信ネットワークNを介して管理サーバ1へと送信し、管理サーバ1は、地図情報サーバ2から送信されたデータを通信部13によって受信することによって、地図情報D1を取得すればよい。
【0057】
続いて、管理サーバ1の制御部11は、列車情報サーバ3から、地図情報D1に係る地域内に位置する各列車の在線位置(列車の線路上における位置)に係る情報である在線位置情報D2と、地図情報D1に係る地域内に位置する各列車の乗車率(乗車人数/定員)に係る情報である乗車率情報D3と、地図情報D1に係る地域内に位置する各列車の運行計画に係る情報である運行計画情報D4と、地図情報D1に係る地域内に位置する各列車の前駅を出発してからの経過時間に係る情報である経過時間情報D5と、を取得する(ステップS11-2)。
運行計画情報D4は、各列車が停車する駅に係る情報並びに各停車駅への到着時間及び出発時間を含む各列車がどのようなスケジュールで運行されるかが分かる情報である。
なお、在線位置情報D2、乗車率情報D3、運行計画情報D4及び経過時間情報D5を取得する列車は、貨物列車や回送中の列車等を含む地図情報D1に係る地域内に位置する全列車としてもよいし、旅客を運送中の列車のみに限定してもよい。
【0058】
具体的な取得方法としては、管理サーバ1の制御部11が、通信部13から通信ネットワークNを介して、列車情報サーバ3へと、在線位置情報D2、乗車率情報D3、運行計画情報D4及び経過時間情報D5を送信する旨の所定の指令を送信し、これを受信した列車情報サーバ3において、制御部31が、記憶部32に記憶された在線位置情報D2、乗車率情報D3、運行計画情報D4及び経過時間情報D5を通信部33から通信ネットワークNを介して管理サーバ1へと送信し、管理サーバ1は、列車情報サーバ3から送信されたデータを通信部13によって受信することによって、在線位置情報D2、乗車率情報D3、運行計画情報D4及び経過時間情報D5を取得すればよい。
【0059】
続いて、管理サーバ1の制御部11は、
図12に示すような第1在線状況閲覧画面G1を生成する(ステップS11-3)。
第1在線状況閲覧画面G1は、
図12に示すように、地図が表示される地図表示G11と、ダイヤグラムが表示されるダイヤグラム表示G12と、路線情報が表示される路線情報表示G13と、を表示する画面である。
【0060】
地図表示G11には、ステップS11-1で取得した地図情報D1に係る地域全域の地図が表示される。
【0061】
ダイヤグラム表示G12には、ステップS11-2で取得した運行計画情報D4にもとづき、特定の路線を走行中の列車に係るダイヤグラムが表示される。
ダイヤグラム表示G12は、路線選択欄G121と、方面選択欄G122と、ダイヤグラム表示欄G123と、を含む。
【0062】
路線選択欄G121は、ダイヤグラム表示欄G123に表示させる路線を選択するための入力欄であり、職員端末7を使用する鉄道事業者の職員が、操作部75を用いた操作によって路線を選択できるように構成されている。
初期状態として選択されている路線は任意であり、前回の使用時にダイヤグラム表示欄G123に表示させた路線が自動的に選択されているようにしてもよいし、特定の路線が自動的に選択されているようにしてもよい。
【0063】
方面選択欄G122は、ダイヤグラム表示欄G123に表示させる列車の方面を選択するための入力欄であり、職員端末7を使用する鉄道事業者の職員が、操作部75を用いた操作によって方面を選択できるように構成されている。列車の方面としては、例えば、全方面、上り、下り、〇〇行き等が考えられる。
初期状態として選択されている方面は任意であり、前回の使用時にダイヤグラム表示欄G123に表示させた方面が自動的に選択されているようにしてもよいし、特定の方面が自動的に選択されているようにしてもよい。
【0064】
ダイヤグラム表示欄G123は、路線選択欄G121で選択された路線の、方面選択欄G122で選択された方面の列車についてのダイヤグラムが表示される表示欄である。具多的期には、ダイヤグラム表示欄G123は、駅名が表示される駅名表示欄G1231と、各列車の運行計画を示すグラフが表示されるグラフ表示欄G1232と、各列車の列車番号が表示される列車番号表示欄G1233と、を含む。
【0065】
路線情報表示G13には、ステップS11-2で取得した乗車率情報D3及び各列車の定員に基づいて乗車人数の合計(総乗車人数)が表示されると共に、ステップS11-2で取得した経過時間情報D5に基づいて遅延時間の合計(総遅延時間)が表示される。
路線情報表示G13は、路線選択欄G131と、方面選択欄G132と、総乗車人数表示欄G133と、総遅延時間表示欄G134と、を含む。
【0066】
路線選択欄G131は、総乗車人数表示欄G133及び総遅延時間表示欄G134に表示させる路線を選択するための入力欄であり、職員端末7を使用する鉄道事業者の職員が、操作部75を用いた操作によって路線を選択できるように構成されている。
初期状態として選択されている路線は任意であり、前回の使用時に総乗車人数表示欄G133及び総遅延時間表示欄G134に表示させた路線が自動的に選択されているようにしてもよいし、特定の路線が自動的に選択されているようにしてもよい。
【0067】
方面選択欄G132は、総乗車人数表示欄G133及び総遅延時間表示欄G134に表示させる列車の方面を選択するための入力欄であり、職員端末7を使用する鉄道事業者の職員が、操作部75を用いた操作によって方面を選択できるように構成されている。列車の方面としては、例えば、全方面、上り、下り、〇〇行き等が考えられる。
初期状態として選択されている方面は任意であり、前回の使用時に総乗車人数表示欄G133及び総遅延時間表示欄G134に表示させた方面が自動的に選択されているようにしてもよいし、特定の方面が自動的に選択されているようにしてもよい。
【0068】
総乗車人数表示欄G133は、路線選択欄G131で選択された路線の、方面選択欄G132で選択された方面の全ての列車の乗車人数の合計が、時間帯毎の棒グラフで表示される表示欄である。
総遅延時間表示欄G134は、路線選択欄G131で選択された路線の、方面選択欄G132で選択された方面の全ての列車の遅延時間の合計が、時間帯毎の棒グラフで表示される表示欄である。
【0069】
第1在線状況閲覧画面G1を生成すると、管理サーバ1の制御部11は、当該画面に係るデータ(第1在線状況閲覧画面データD6)を、当該画面を表示部74に表示する旨の指令と共に、通信部13から通信ネットワークNを介して、職員端末7へと送信する(ステップS11-4)。
【0070】
通信部73によって第1在線状況閲覧画面データD6を受信した職員端末7においては、制御部71が、管理サーバ1の指令に従って、受信した第1在線状況閲覧画面データD6に基づき、第1在線状況閲覧画面G1を、表示部74に表示させる(ステップS11-5)。
【0071】
なお、第1在線状況閲覧画面G1が表示部74に表示された後には、所定の時間間隔で再度ステップS11-2からS11-5の工程が繰り返される。これによって、職員端末7の表示部74に表示された第1在線状況閲覧画面G1が所定の時間間隔で更新され、職員端末7の表示部74には、常に最新の情報に基づく第1在線状況閲覧画面G1が表示されることとなる。
このように、リアルタイムに最新の情報が表示される画面に更新される点は、後述の第2在線状況閲覧画面G1A、第3在線状況閲覧画面G1B、第4在線状況閲覧画面、第5在線状況閲覧画面G1C及び第6在線状況閲覧画面についても同様である。
【0072】
第1在線状況閲覧画面G1が表示部74に表示されると、職員端末7を使用する鉄道事業者の職員は、操作部75を用いて所定の操作を行い、地図表示G11に表示される地域の範囲を設定する(ステップS11-6)。設定方法は職員端末7を使用する鉄道事業者の職員が任意の表示範囲を設定できるものであれば特に限定されない。
【0073】
職員端末7において表示範囲が設定されると、設定された表示範囲に係る情報である表示範囲情報D7が通信部73から通信ネットワークNを介して管理サーバ1へと送信され(ステップS11-7)、当該情報を受信した管理サーバ1において、制御部11が、
図13に示すような第2在線状況閲覧画面G1Aを生成する(ステップS11-8)。
【0074】
第2在線状況閲覧画面G1Aは、第1在線状況閲覧画面G1について、地図表示G11を、表示範囲情報D7に従って表示範囲が限定された地図表示G11Aに替えたものである。なお、第1在線状況閲覧画面G1と第2在線状況閲覧画面G1Aとは、画面上に表示されたアイコン(拡大アイコンG117及び縮小アイコンG118)の操作による表示範囲の調整に伴って、シームレスに切り替えることができるようにしてもよい。
【0075】
また、表示される地域の範囲が所定の範囲より狭い場合、地図表示G11Aは、
図13に示すように、当該地域内に存在する鉄道の線路の表示である線路表示G111と、線路表示G111に係る線路上に存在する駅を示すアイコンである駅アイコンG112と、線路表示G111に係る線路上に存在する列車を示すアイコンである列車アイコンG113とを含む。また列車アイコンG113の上方には、当該列車の列車番号の表示である列車番号表示G116が表示される。
【0076】
列車アイコンG113は、
図13に示すように、地図表示G11Aの線路表示G111上の列車位置から、上方へと直方体が立ちあがるようにして表示されるアイコンであり、その高さは、ステップS11-2で取得した乗車率情報D3に係る当該列車の乗車率に応じたものとなる。すなわち、乗車率情報D3に係る乗車率が高いほど列車アイコンG113の高さが高くなる。
なお、アイコンの高さは、乗車率に比例して漸次的に変動するようにしてもよいし、所定の第1の乗車率未満だと第1の高さ、所定の第1の乗車率以上、所定の第2の乗車率未満だと第2の高さ、所定の第2の乗車率以上、所定の第3の乗車率未満だと第3の高さ、所定の第3の乗車率以上だと第4の高さというように、段階的に変動するようにしてもよい。漸次的な場合、段階的な場合のいずれも、列車アイコンG113の高さが乗車率情報D3に係る乗車率に応じて変動する場合に含まれるものとする。
【0077】
また、列車アイコンG113としては、駅に停車している列車と駅間に所在している列車とで異なる表示とすることで、駅に停車している列車と駅間に所在している列車とを区別できるようにすることが好ましい。
図13においては、駅間に所在している列車については進行方向を向く三角形が3つ表示されるのに対し、駅で停車している列車については真ん中の三角形が四角形になる場合について図示している。
【0078】
なお、列車アイコンG113を表示させる列車としては、ステップS11-2で、地図情報D1に係る地域内に位置する全列車についての在線位置情報D2、乗車率情報D3、運行計画情報D4及び経過時間情報D5を取得した場合には、地図表示G11Aの表示範囲内に位置する全列車とすればよい。
また、ステップS11-2で、地図情報D1に係る地域内に位置する旅客を運送中の列車についてのみ在線位置情報D2、乗車率情報D3、運行計画情報D4及び経過時間情報D5を取得した場合には、地図表示G11Aの表示範囲内に位置する旅客を運送中の列車についてのみ、列車アイコンG113を表示させればよい。
なお、ステップS11-2では地図情報D1に係る地域内に位置する全列車についての情報を取得した上で、ステップS11-8で、地図表示G11Aの表示範囲内に位置する旅客を運送中の列車についての情報のみを抽出し、抽出した列車についてのみ列車アイコンG113が表示されるようにして第2在線状況閲覧画面G1Aを生成することも可能である。
【0079】
第2在線状況閲覧画面G1Aを生成すると、管理サーバ1の制御部11は、当該画面に係るデータ(第2在線状況閲覧画面データD8)を、当該画面を表示部74に表示する旨の指令と共に、通信部13から通信ネットワークNを介して、職員端末7へと送信する(ステップS11-9)。
【0080】
通信部73によって第2在線状況閲覧画面データD8を受信した職員端末7においては、制御部71が、管理サーバ1の指令に従って、受信した第2在線状況閲覧画面データD8に基づき、第2在線状況閲覧画面G1Aを、表示部74に表示させる(ステップS11-10)。
【0081】
[イ 効果の説明]
本実施形態に係る列車管理支援システム100によれば、上記のようにして列車の在線状況等を確認できることにより、以下の効果を得ることができる。
【0082】
すなわち、本実施形態によれは、管理サーバ1において、地図情報サーバ2から地図情報D1を取得し、列車情報サーバ3から在線位置情報D2及び乗車率情報D3を取得し、これらに基づいて第2在線状況閲覧画面G1Aを生成し、当該画面に係るデータである第2在線状況閲覧画面データD8を職員端末7へと送信することで、職員端末7において、第2在線状況閲覧画面G1Aを、表示部74に表示させる。
これによって、管理サーバ1の制御部11が、地図情報D1に基づく地図表示G11Aを職員端末7の表示部74に表示させると共に、地図表示G11A上に、列車の走行位置を示すアイコンである列車アイコンG113を、列車の乗車率に応じて高さが変動するようにして表示させることとなる。
【0083】
したがって、職員端末7を使用する鉄道事業者の職員は、第2在線状況閲覧画面G1Aに表示された列車アイコンG113の高さを見るのみで列車の乗車率を把握できることから、列車の混雑状況に係る情報を、職員端末7を利用する鉄道事業者の職員に対し、視覚的に認識し易い状態で提供することが可能となる。
【0084】
[(2) ステップS12:ダイヤグラムから地図への遷移]
続いて、ダイヤグラム上で選択された列車について地図上に在線状況等を表示させる際の動作について、
図3のフローチャートに従って説明する。
【0085】
[ア 動作の流れ]
ステップS11-10で第2在線状況閲覧画面G1Aが表示部74に表示された状態で、職員端末7を使用する鉄道事業者の職員が、ダイヤグラム表示G12にダイヤグラムが表示された列車のうち特定の列車の在線状況、具体的には在線位置及び混雑状況を確認したい場合、ダイヤグラム表示G12から当該列車を選択する(ステップS12-1)。
【0086】
具体的には、路線選択欄G121から希望する路線を選択し、方面選択欄G122か希望する方面を選択した上で、表示されたダイヤグラム表示欄G123中の列車番号表示欄G1233に表示された列車番号の一覧から、在線状況を確認したい列車に係る列車番号を、操作部75を用いてクリック、タップ等の操作をすることによって選択すればよい。
【0087】
職員端末7においてダイヤグラム表示G12から特定の列車が選択されると、職員端末7の制御部71は、ダイヤグラムから選択された列車に係る情報であるダイヤグラム選択列車情報D9を通信部73から通信ネットワークNを介して管理サーバ1へと送信し(ステップS12-2)、当該情報を受信した管理サーバ1において、制御部11が、
図14に示すような第3在線状況閲覧画面G1Bを生成する(ステップS12-3)。
【0088】
第3在線状況閲覧画面G1Bは、第2在線状況閲覧画面G1Aについて、地図表示G11Aを、表示される地図の範囲をステップS12-1で選択された列車の在線位置の周囲とし、ステップS12-1で選択された列車に係る列車アイコンG113を表示すると共に、当該列車の詳細に係る表示である列車詳細表示G114が表示される地図表示G11Bに替えたものである。
【0089】
列車詳細表示G114は、
図14に示すように、ステップS12-1で選択された列車の詳細情報、具体的には、前駅、次駅、列車番号、所属区所、編成番号、乗車人数/車両数、乗車率及び遅延時間が表示される表示欄である。
【0090】
第3在線状況閲覧画面G1Bを生成すると、管理サーバ1の制御部11は、当該画面に係るデータ(第3在線状況閲覧画面データD10)を、当該画面を表示部74に表示する旨の指令と共に、通信部13から通信ネットワークNを介して、職員端末7へと送信する(ステップS12-4)。
【0091】
通信部73によって第3在線状況閲覧画面データD10を受信した職員端末7においては、制御部71が、管理サーバ1の指令に従って、受信した第3在線状況閲覧画面データD10に基づき、第3在線状況閲覧画面G1Bを、表示部74に表示させる(ステップS12-5)。
【0092】
[イ 効果の説明]
本実施形態に係る列車管理支援システム100によれば、上記のようにして表示をダイヤグラムから地図へと遷移させることができることにより、以下の効果を得ることができる。
【0093】
すなわち、本実施形態によれば、管理サーバ1において、列車情報サーバ3から運行計画情報D4を取得し、これらに基づいて第2在線状況閲覧画面G1Aを生成し、当該画面に係るデータである第2在線状況閲覧画面データD8を職員端末7へと送信することで、職員端末7において、第2在線状況閲覧画面G1Aに含まれるダイヤグラム表示G12を、表示部74に表示させる。
【0094】
その上で、ダイヤグラム表示G12のダイヤグラム表示欄G123にダイヤグラムが表示された列車のうち一つが職員端末7を使用する鉄道事業者の職員によって選択された際に、選択された列車の走行位置を含む地図に係る表示である地図表示G11B上に、選択された列車の走行位置を示す列車アイコンG113が表示される第3在線状況閲覧画面G1Bを生成し、当該画面に係るデータである第3在線状況閲覧画面データD10を職員端末7へと送信することで、職員端末7において、第3在線状況閲覧画面G1Bを、表示部74に表示させる。
これによって、ダイヤグラム表示欄G123にダイヤグラムが表示された列車のうち、職員端末7を使用する鉄道事業者の職員によって選択された列車の走行位置を含む地図に係る表示である地図表示G11Bを表示部74に表示させると共に、地図表示G11B上に、職員端末7を使用する鉄道事業者の職員によって選択された列車の走行位置を示す列車アイコンG113を表示させることができる。
【0095】
したがって、職員端末7を利用する鉄道事業者の職員は、ダイヤグラムから選択した列車に係る情報を地図上で確認することが可能となり、列車の運行計画に係る情報と、地図上での在線位置に係る情報とを紐付けて把握することが容易となる。
【0096】
[(3) ステップS13:地図からダイヤグラムへの遷移]
続いて、地図上で選択された列車についてのダイヤグラムを表示させる際の動作について、
図4のフローチャートに従って説明する。
【0097】
[ア 動作の流れ]
ステップS11-10で第2在線状況閲覧画面G1Aが表示部74に表示された状態で、職員端末7を使用する鉄道事業者の職員が、地図表示G11Aに列車アイコンG113が表示された列車のうち特定の列車のダイヤグラムを確認したい場合、地図表示G11Aから当該列車を選択する(ステップS13-1)。
【0098】
具体的には、地図表示G11A上に表示された列車アイコンG113から、ダイヤグラムを確認したい列車に係る列車アイコンG113を、操作部75を用いてクリック、タップ等の操作をすることによって選択すればよい。
【0099】
職員端末7において地図表示G11A上に表示された列車アイコンG113から特定の列車に係るアイコンが選択されると、職員端末7の制御部71は、地図表示G11Aから選択された列車に係る情報である地図選択列車情報D11を通信部73から通信ネットワークNを介して管理サーバ1へと送信し(ステップS13-2)、当該情報を受信した管理サーバ1において、制御部11が、第4在線状況閲覧画面を生成する(ステップS13-3)。
【0100】
第4在線状況閲覧画面は、第2在線状況閲覧画面G1Aについて、ダイヤグラム表示G12を、路線選択欄G121において地図選択列車情報D11に係る列車が走行する路線が選択され、方面選択欄G122において地図選択列車情報D11に係る列車が向かう方面が選択された状態とすることで、ダイヤグラム表示欄G123に地図選択列車情報D11に係る列車のダイヤグラムが表示されるようにしたものである。
【0101】
第4在線状況閲覧画面を生成すると、管理サーバ1の制御部11は、当該画面に係るデータ(第4在線状況閲覧画面データD12)を、当該画面を表示部74に表示する旨の指令と共に、通信部13から通信ネットワークNを介して、職員端末7へと送信する(ステップS13-4)。
【0102】
通信部73によって第4在線状況閲覧画面データD12を受信した職員端末7においては、制御部71が、管理サーバ1の指令に従って、受信した第4在線状況閲覧画面データD12に基づき、第4在線状況閲覧画面を、表示部74に表示させる(ステップS13-5)。
【0103】
[イ 効果の説明]
本実施形態に係る列車管理支援システム100によれば、上記のようにして表示を地図からダイヤグラムへと遷移させることができることにより、以下の効果を得ることができる。
【0104】
すなわち、本実施形態によれば、管理サーバ1において、列車情報サーバ3から運行計画情報D4を取得し、これらに基づいて第2在線状況閲覧画面G1Aを生成し、当該画面に係るデータである第2在線状況閲覧画面データD8を職員端末7へと送信することで、職員端末7において、第2在線状況閲覧画面G1Aに含まれるダイヤグラム表示G12を、表示部74に表示させる。
【0105】
その上で、地図表示G11A上に列車アイコンG113が表示された列車のうち一つが職員端末7を使用する鉄道事業者の職員によって選択された際に、選択された列車の運行計画を示すダイヤグラムを表示するダイヤグラム表示G12を含む第4在線状況閲覧画面を生成し、当該画面に係るデータである第4在線状況閲覧画面データD12を職員端末7へと送信することで、職員端末7において、第4在線状況閲覧画面を、表示部74に表示させる。
これによって、地図表示G11A上に列車アイコンG113が表示された列車のうち、職員端末7を使用する鉄道事業者の職員によって選択された列車の運行計画を示すダイヤグラムを含むダイヤグラム表示G12を、表示部74に表示させることができる。
【0106】
したがって、職員端末7を利用する鉄道事業者の職員は、地図から選択した列車の運行計画を確認することが可能となり、列車の地図上における位置に係る情報と、運行計画に係る情報とを紐付けて把握することが容易となる。
【0107】
[(4) ステップS14:駅間所在列車表示から地図への遷移]
続いて、鉄道の駅間に位置している列車である駅間所在列車の一覧を表示させ、かつ当該一覧から選択された列車について地図上に在線状況等を表示させる際の動作について、
図5のフローチャートに従って説明する。
【0108】
[ア 動作の流れ]
ステップS11-10で第2在線状況閲覧画面G1Aが表示部74に表示された状態で、職員端末7を使用する鉄道事業者の職員が、鉄道の駅間(線路上の駅と駅との間の地点)に位置している列車(以下「駅間所在列車」という。)の一覧を確認したい場合、操作部75を用いて所定の操作を行い、当該操作が行われると、制御部71は、上記操作が行われた旨の情報である駅間所在列車表示指示情報D13を、通信部73から通信ネットワークNを介して管理サーバ1へと送信する(ステップS14-1)。
【0109】
通信部13によって駅間所在列車表示指示情報D13を受信した管理サーバ1においては、制御部11が、
図15に示すような第5在線状況閲覧画面G1Cを生成する(ステップS14-2)。
【0110】
第5在線状況閲覧画面G1Cは、第2在線状況閲覧画面G1Aについて、駅間所在列車の一覧が表示される駅間所在列車表示G14が、地図表示G11Aに重ねて表示されるようにしたものである。
【0111】
駅間所在列車表示G14には、
図15に示すように、各駅間所在列車について、路線名、方面、列車番号、走行中の区間、車両数、乗車人数/定員(乗車率)及び前駅出発後の経過時間が表示される。また各駅間所在列車について、前駅出発後の経過時間が長い順に並べて表示される。
駅間所在列車の抽出方法は特に限定されないが、例えば、ステップS11-2で取得した各列車の在線位置情報D2と、ステップS11-1で取得した地図情報D1に含まれる各駅の位置と、を対比し、各列車の所在位置が駅であるか駅以外の位置であるかを判別することによって抽出すればよい。
【0112】
また、駅間所在列車表示G14には、
図15に示すように、表示される駅間所在列車の条件を設定する条件設定欄G141が設けられ、職員端末7を使用する鉄道事業者の職員が、操作部75を用いた操作によって表示される駅間所在列車の条件を設定できるように構成されている。
表示される駅間所在列車の条件としては、例えば
図15に示すように、前駅出発後の経過時間が何分以上といった条件を設定できるようにすることが好ましい。
【0113】
第5在線状況閲覧画面G1Cを生成すると、管理サーバ1の制御部11は、当該画面に係るデータ(第5在線状況閲覧画面データD14)を、当該画面を表示部74に表示する旨の指令と共に、通信部13から通信ネットワークNを介して、職員端末7へと送信する(ステップS14-3)。
【0114】
通信部73によって第5在線状況閲覧画面データD14を受信した職員端末7においては、制御部71が、管理サーバ1の指令に従って、受信した第5在線状況閲覧画面データD14に基づき、第5在線状況閲覧画面G1Cを、表示部74に表示させる(ステップS14-4)。
【0115】
ステップS14-4で第5在線状況閲覧画面G1Cが表示部74に表示された状態で、職員端末7を使用する鉄道事業者の職員が、駅間所在列車表示G14に表示された駅間所在列車のうち特定の列車の在線状況、具体的には在線位置及び混雑状況を確認したい場合、駅間所在列車表示G14から当該列車を選択する(ステップS14-5)。
【0116】
具体的には、駅間所在列車表示G14に表示された駅間所在列車の一覧から、在線状況を確認したい列車に係る表示(駅間所在列車表示G14の各行)を、操作部75を用いてクリック、タップ等の操作をすることによって選択すればよい。
【0117】
職員端末7において駅間所在列車表示G14から特定の列車が選択されると、職員端末7の制御部71は、駅間所在列車表示G14から選択された列車に係る情報である駅間所在列車選択情報D15を通信部73から通信ネットワークNを介して管理サーバ1へと送信し(ステップS14-6)、当該情報を受信した管理サーバ1において、制御部11が、第6在線状況閲覧画面を生成する(ステップS14-7)。
【0118】
第6在線状況閲覧画面は、第3在線状況閲覧画面G1Bについて、地図表示G11Bを、表示される地図の範囲をステップS14-5で選択された列車の在線位置の周囲とすると共に、ステップS14-5で選択された列車に係る列車アイコンG113が表示されるようにし、当該列車アイコンG113の周囲に、ステップS14-5で選択された列車の詳細に係る列車詳細表示G114が表示されるようにした画面である。
【0119】
第6在線状況閲覧画面を生成すると、管理サーバ1の制御部11は、当該画面に係るデータ(第6在線状況閲覧画面データD16)を、当該画面を表示部74に表示する旨の指令と共に、通信部13から通信ネットワークNを介して、職員端末7へと送信する(ステップS14-8)。
【0120】
通信部73によって第6在線状況閲覧画面データD16を受信した職員端末7においては、制御部71が、管理サーバ1の指令に従って、受信した第6在線状況閲覧画面データD16に基づき、第6在線状況閲覧画面を、表示部74に表示させる(ステップS14-9)。
【0121】
[イ 効果の説明]
本実施形態に係る列車管理支援システム100によれば、上記のようにして表示を駅間所在列車表示から地図へと遷移させることができることにより、以下の効果を得ることができる。
【0122】
すなわち、本実施形態によれば、管理サーバ1において、駅間所在列車表示G14を含む第5在線状況閲覧画面G1Cを生成し、当該画面に係るデータである第5在線状況閲覧画面データD14を職員端末7へと送信することで、職員端末7において、第5在線状況閲覧画面G1Cに含まれる、駅間所在列車の一覧に係る表示である駅間所在列車表示G14を、表示部74に表示させる。
【0123】
その上で、駅間所在列車表示G14に表示された列車のうち一つが職員端末7を使用する鉄道事業者の職員によって選択された際に、選択された列車の走行位置を含む地図表示G11B上に、選択された列車の走行位置を示す列車アイコンG113が表示される第6在線状況閲覧画面を生成し、当該画面に係るデータである第6在線状況閲覧画面データD16を職員端末7へと送信することで、職員端末7において、第6在線状況閲覧画面を、表示部74に表示させる。
これによって、駅間所在列車表示G14上で選択された列車の走行位置を含む地図表示G11Bを表示部74に表示させると共に、地図表示G11B上に、駅間所在列車表示G14上で選択された列車の走行位置を示す列車アイコンG113を表示させることができる。
【0124】
したがって、職員端末7を利用する鉄道事業者の職員は、鉄道の駅間に位置している列車である駅間所在列車の一覧を確認することができ、かつ当該一覧にその在線位置を確認したい列車が存在する場合には、地図上で当該列車の在線位置を確認することも可能となる。
【0125】
[(5) 遅延表示の遷移について]
続いて、本システムにおける列車の遅延状況に関する表示の遷移について、
図16に従って説明する。
【0126】
[ア 表示されるアイコンの遷移]
第2在線状況閲覧画面G1A、第3在線状況閲覧画面G1B、第4在線状況閲覧画面、第5在線状況閲覧画面G1C及び第6在線状況閲覧画面において表示される列車アイコンG113の周囲には、当該列車の遅延時間が所定の第1の時間(例えば3分)未満である場合、
図16(a)に示すように何も表示されず、列車アイコンG113のみが表示される。
【0127】
これに対し、当該列車の遅延時間が所定の第1の時間(例えば3分)以上となり、所定の第2の時間(例えば10分)未満である場合、
図16(b)に示すように、列車の遅延が所定の第1の時間以上であり所定の第2の時間未満であることを示す第1遅延表示G115Aが表示される。
第1遅延表示G115Aとしては、列車アイコンG113のみが表示された状態及び後述の第2遅延表示G115Bが列車アイコンG113の周囲に表示された状態と区別し得るものであればよいが、例えば、
図16(b)に示すように、列車アイコンG113の周囲に、所定の色(例えば黄色)で、円形の領域が表示されるようにすればよい。このような列車アイコンG113の周囲に第1遅延表示G115Aが表示された物をまとめて、遅延が所定の第1の時間を超え所定の第2の時間を超えない列車を示すアイコンであると見ることができる。
【0128】
また、当該列車の遅延時間が所定の第2の時間(例えば10分)以上となると、
図16(c)に示すように、列車の遅延が所定の第2の時間以上であることを示す第2遅延表示G115Bが表示される。
第2遅延表示G115Bとしては、列車アイコンG113のみが表示された状態及び第1遅延表示G115Aが列車アイコンG113の周囲に表示された状態と区別し得るものであればよいが、例えば、
図16(c)に示すように、列車アイコンG113の周囲に、第1遅延表示G115Aと異なる所定の色(例えば赤色)で、円形の領域が表示されるようにすればよい。このような列車アイコンG113の周囲に第2遅延表示G115Bが表示された物をまとめて、遅延が所定の第2の時間を超える列車を示すアイコンであると見ることができる。
【0129】
上記のように、職員端末7の表示部74に表示された第2在線状況閲覧画面G1A、第3在線状況閲覧画面G1B、第4在線状況閲覧画面、第5在線状況閲覧画面G1C及び第6在線状況閲覧画面は、所定の時間間隔で更新されることから、列車の遅延時間が拡大し、所定の第1の時間以上となった段階で、それまで列車アイコンG113のみが表示されていた列車について、列車アイコンG113の周囲に第1遅延表示G115Aが表示されたアイコンが表示され、所定の第2の時間以上となった段階で、それまで列車アイコンG113の周囲に第1遅延表示G115Aが表示されたアイコンが表示されていた列車について、列車アイコンG113の周囲に第2遅延表示G115Bが表示されたアイコンが表示されることとなる。
【0130】
なお、上記説明においては、列車の遅延が第1の時間未満である場合に列車アイコンG113のみが表示され、列車の遅延が第1の時間以上、第2の時間未満である場合に列車アイコンG113に加えて第1遅延表示G115Aが表示され、第2の時間以上である場合に列車アイコンG113に加えて第2遅延表示G115Bが表示される場合について説明したが、「~時間未満」、「~時間以上」については当該値を含むか否かを限定するものではなく、列車の遅延が第1の時間以下である場合に列車アイコンG113のみが表示され、列車の遅延が第1の時間より大きく、第2の時間以下である場合に列車アイコンG113に加えて第1遅延表示G115Aが表示され、列車の遅延が第2の時間より大きい場合に列車アイコンG113に加えて第2遅延表示G115Bが表示されるようにしてもよい。
いずれにおいても、列車アイコンG113のみが表示される場合には、当該アイコンが、列車の遅延時間が第1の時間を超えない場合に表示されるアイコンに該当し、列車アイコンG113に加えて第1遅延表示G115Aが表示される場合には、これらをまとめた物が、列車の遅延時間が所定の第1の時間を超え、第2の時間を超えない場合に表示されるアイコンに該当し、列車アイコンG113に加えて第2遅延表示G115Bが表示される場合には、これらをまとめた物が、列車の遅延時間が所定の第2の時間を超える場合に表示されるアイコンに該当する。
【0131】
また、表示は上記のような3段階には限られず、例えば、第2遅延表示G115Bが表示されるのを、列車の遅延時間が所定の第3の時間を超えない場合に限定した上で、列車の遅延時間が所定の第3の時間を超える場合には、第1遅延表示G115A及び第2遅延表示G115Bと異なる第3遅延表示が表示されるようにしてもよい。第4遅延表示以降についても同様である。
【0132】
[イ 遅延時間に係る情報の取得方法について]
上記のようにアイコンを遷移させるにあたっては、各列車の遅延時間に係る情報を管理サーバ1において取得することが必要となる。各列車の遅延時間に係る情報ついては、外部の列車の遅延時間に係る情報を管理するシステムから通信部13によって受信することで取得した情報をそのまま使用してもよいが、以下のようにして管理サーバ1において算出するようにしてもよい。
【0133】
すなわち、列車に遅延が生じる場合としては、人身事故や設備故障等の原因により、列車が本来停車しない駅間で停車している場合と、列車が駅で停車しているが停車時間が本来よりも長くなっている場合と、が考えられる。
【0134】
このうち、駅間での停車の場合については、駅間所在列車についての情報を用いて、列車の遅延時間を算出することができる。
【0135】
すなわち、ステップS11-2において管理サーバ1が列車情報サーバ3から取得する経過時間情報D5は、各列車の前駅を出発してからの経過時間に係る情報であり、このような前駅を出発してからの経過時間が、当該列車が前駅を出発してから次駅に到着するまでに要する通常の時間を超える場合、このような超過時間の分、列車に遅延が発生することとなる。そこで、駅間所在列車が前駅を出発してからの経過時間から、駅間所在列車が前駅を出発してから次駅に到着するまでに要するものとして予定されている所定の時間を減算することで、駅間所在列車の遅延時間を算出することができる。
【0136】
例えば、ある列車が前駅であるA駅を出発してから次駅であるB駅に到着するまでに要する通常の時間が5分であるところ、当該列車についてA駅を出発してから10分が経過していれば、10-5=5分と遅延時間を算出する。
なお、ある列車について複数の区間(駅と駅の間)の走行時に遅延が生じた場合には、このようにして算出した各区間における遅延時間を合算して、各区間における遅延時間の合計を、当該列車の遅延時間とすればよい。
【0137】
これに対し、駅での停車の場合には、このような駅で停車中の列車(駅所在列車)についての情報を用いて、列車の遅延時間を算出することができる。
【0138】
すなわち、列車のある駅での停車時間が、当該列車が当該駅で停車する時間として予定されている通常の時間を超える場合、このような超過時間の分、列車に遅延が発生することとなる。そこで、管理サーバ1は、各列車の駅での停車時間に係る情報を、例えば外部のシステムから通信部13によって受信することによって取得した上で、当該時間から、当該列車が当該駅で停車するものとして予定されている所定の時間を減算することで、駅所在列車の遅延時間を算出することができる。
【0139】
例えば、ある列車のA駅での通常の停車時間が5分であるところ、当該列車についてA駅で10分間停車していれば、10-5=5分と遅延時間を算出する。
なお、ある列車について複数の駅において遅延が生じた場合には、このようにして算出した各駅における遅延時間を合算して、各駅における遅延時間の合計を、当該列車の遅延時間とすればよい。
【0140】
また、上記の駅間で生じる遅延と、駅で生じる遅延との両者が生じている場合には、上記のようにして算出した各駅間の区間における遅延時間と、各駅における遅延時間とを全て合算することで、列車の遅延時間を算出すればよい。
【0141】
[ウ 効果の説明]
本実施形態に係る列車管理支援システム100によれば、上記のようにして列車の遅延状況に関する表示が遷移することにより、以下の効果を得ることができる。
【0142】
すなわち、本実施形態によれは、管理サーバ1において、地図情報サーバ2から地図情報D1を取得し、さらに、外部のシステムから受信し又は管理サーバ1自身が算出することにより列車の遅延時間に関する情報を取得し、これらに基づいて第2在線状況閲覧画面G1A等の画面を生成し、生成した画面に係るデータを職員端末7へと送信することで、職員端末7において、第2在線状況閲覧画面G1A等の画面を、表示部74に表示させる。
そして、第2在線状況閲覧画面G1A等の画面は、列車の遅延時間が所定の第1の時間超えない場合に、列車アイコンG113のみが表示され、列車の遅延時間が所定の第1の時間を超え、所定の第2の時間を超えない場合に、列車アイコンG113の周囲に第1遅延表示G115Aが表示され、列車の遅延時間が所定の第2の時間を超える場合に、列車アイコンG113の周囲に第2遅延表示G115Bが表示されるように生成される。
【0143】
すなわち、
図16(b)及び
図16(c)に示すように、列車アイコンG113の周囲に第1遅延表示G115A又は第2遅延表示G115Bが表示されたものを一つのアイコンとみることができ、また、第2在線状況閲覧画面G1A等の画面は所定の時間間隔で更新されることから、管理サーバ1の制御部11は、職員端末7の表示部74に、列車の遅延時間が所定の第1の時間超えない場合、列車アイコンG113のみからなるアイコンを表示させ、列車の遅延が拡大し、遅延時間が所定の第1の時間を超えた場合に、列車アイコンG113のみからなるアイコンに代えて、列車アイコンG113の周囲に第1遅延表示G115Aが表示されたアイコンを表示させ、列車の遅延がさらに拡大し、遅延時間が所定の第2の時間を超えた場合に、列車アイコンG113の周囲に第1遅延表示G115Aが表示されたアイコンに代えて、列車アイコンG113の周囲に第2遅延表示G115Bが表示されたアイコンを表示させることとなる。
【0144】
したがって、職員端末7を使用する鉄道事業者の職員は、第2在線状況閲覧画面G1A等の画面に表示されたアイコンの種類を判別するのみで、画面上に複数の列車が表示されている場合にも一括してその遅延状況を把握できることから、画面上に表示された複数の列車についての遅延状況を同時に把握することが容易となる。
【0145】
また、列車アイコンG113のみ、列車アイコンG113の周囲に第1遅延表示G115Aが表示された状態、列車アイコンG113の周囲に第2遅延表示G115Bが表示された状態の3段階に表示が遷移することで、職員端末7を使用する鉄道事業者の職員は、アイコンの種類を判別するのみで、遅延発生の有無のみでなく、おおよその遅延時間についても把握することができる。
【0146】
なお、さらに表示させるアイコンを詳細に遷移させるようにした場合、職員端末7を使用する鉄道事業者の職員は、アイコンの種類を判別するのみで、遅延時間についてより詳細に把握することができる。
例えば5段階に遷移する場合であれば、列車の遅延時間が所定の第2の時間を超え、所定の第3の時間を超えない場合にのみ上記第2遅延表示G115Bが表示され、列車の遅延時間が所定の第3の時間を超え、所定の第4の時間を超えない場合に第1、第2遅延表示と異なる第3遅延表示が表示され、列車の遅延時間が所定の第4の時間を超える場合に第1、第2、第3遅延表示と異なる第4遅延表示が表示されることとなる。この場合、職員端末7を使用する鉄道事業者の職員は、アイコンの種類を判別するのみで、遅延時間が5段階のいずれに該当するかを把握することができる。
【0147】
また、管理サーバ1において、駅間所在列車について経過時間情報D5を取得し、当該情報を用いて、駅間での停車時間、ひいては遅延時間を算出することで、直接遅延時間に係る情報を外部から取得できない駅間所在列車についても、その遅延時間に関する情報を取得することが可能となる。
【0148】
また、管理サーバ1において、駅所在列車について駅での停車時間に係る情報を取得し、当該情報を用いて、駅での停車時間の所定の時間に対する超過時間、ひいては遅延時間を算出することで、直接遅延時間に係る情報を外部から取得できない駅所在列車についても、その遅延時間に関する情報を取得することが可能となる。
【0149】
[(6) 運転間隔の調整等について]
続いて、列車の遅延時に本システムを利用して行う列車の運転間隔の調整(列車の駅における停車時間の決定)方法について説明する。
【0150】
[ア 運転間隔調整の方法]
列車に遅延が生じている場合に、管理サーバ1は、例えば(5)で説明したようにして列車の遅延時間に係る情報を取得した上で、制御部11が、遅延が生じている列車が走行する鉄道路線について、以下のようにして、運転間隔の調整を行う。
具体的な調整方法としては、以下の二つのパターンが考えられる。
【0151】
[(ア) 乗車率の均一化]
第1の調整方法は、遅延が生じている路線を走行する各列車について、乗車率を均一化するようにして、列車の運転間隔を調整する場合である。
【0152】
具体的には、管理サーバ1の制御部11は、ステップS11―2で取得した乗車率情報D3に基づき、乗車率が高い列車程、駅での停車時間を短くし、乗車率が低い列車程、駅での停車時間を長くするようにして、遅延が生じている鉄道路線を走行する各列車の駅での停車時間を決定する。
これによって、乗車率が低い列車程、駅での停車時間が長くなることから乗車する乗客が増加し、乗車率が高い列車程、駅での停車時間が短くなることから乗車する乗客が減少することとなる。したがって、遅延が生じている鉄道路線を走行する各列車について、乗車率を均一化するようにして運転間隔を調整することができる。
【0153】
[(イ) 駅の混雑率の均一化]
第2の調整方法は、遅延が生じている鉄道路線に存在する各駅における駅の混雑率を均一化するようにして、列車の運転間隔を調整する場合である。
【0154】
まず、制御部11は、遅延が生じている鉄道路線に存在する各駅について、混雑率に係る情報を取得する。
【0155】
具体的には、まず制御部11は、各駅について駅構内にいる利用者の人数に係る情報を取得する。取得方法は特に限定されず、例えば、駅構内に備えられたカメラの画像から算出するようにしてもよいし、各駅の改札で記録された過去の所定の時間内における入場者数に係る情報を取得した上で、当該情報を基に推定するようにしてもよい。
その上で、各駅の構内にいる利用者数を、各駅の入場可能人数として予め定めた数で除することで、各駅の混雑率を算出すればよい。
また、各駅の混雑率に係る情報は、管理サーバ1において算出することで取得するのではなく、外部のシステムから通信部13によって受信することによって取得してもよい。
【0156】
なお、遅延が生じている鉄道路線に、信号場や使用されていない臨時駅等、旅客が乗降しない駅が含まれる場合には、管理サーバ1は、このような駅を除いて、遅延が生じている鉄道路線に存在する駅の内、旅客が乗降する駅についてのみ混雑率に係る情報を取得することが好ましい。
【0157】
各駅の混雑率に係る情報を取得すると、管理サーバ1の制御部11は、取得した各駅の混雑率に基づき、遅延が生じている鉄道路線に存在する各駅の混雑率を均一化し、特定の駅に混雑が集中しないようにして、当該路線を走行する各列車の駅での停車時間を決定する。
【0158】
例えば、列車からの降車人数が多く、混雑率が高くなっている駅が生じている場合であれば、当該駅への列車の到着時間を遅らせる(前駅での停車時間を長くする)ようにして、遅延が生じている路線を走行する各列車の駅での停車時間を決定する。
これによって、混雑率が高くなっている駅への列車の到着を遅らせ、次の列車が到着するまでに駅にとどまる人数を減少させ易くなることから、混雑率が高くなっている駅の混雑率を低下させ、遅延が生じている鉄道路線を走行する各列車について、駅の混雑率を均一化するようにして運転間隔を調整することができる。
なお、上記の調整方法は一例に過ぎず、管理サーバ1の制御部11は、各駅の混雑率の他に、必要に応じて、例えば、各駅への時間帯毎の入場者数や各駅における列車からの降車人数に係る情報等を用いて、各駅の混雑率が均一化する列車の停車時間を適切に決定するようにすればよい。
【0159】
また、上記のように、遅延が生じている鉄道路線に存在する駅の内、旅客が乗降する駅についてのみ混雑率に係る情報を取得する場合には、このような旅客が乗降する駅の混雑率が均一化するようにして、遅延が生じている路線を走行する各列車の駅での停車時間を決定することとなる。
【0160】
なお、管理サーバ1において各駅の混雑率を算出する場合、算出した混雑率を、列車の運転間隔の調整以外の目的にも利用することができる。
【0161】
まず、駅の入場制限の実施の指示に利用する場合、予め各駅について入場制限を要する混雑率の数値を設定の上、当該数値を記憶部12に記憶させておき、制御部11は、各駅について算出した混雑率の値と、記憶部12に記憶された各駅について入場制限を要する混雑率の値とを対比して、算出した混雑率が入場制限を要する混雑率を超えたかについて判定する。
その上で、制御部11は、算出した混雑率が入場制限を要する混雑率を超えた駅が存在する場合に、当該駅に所在する職員が使用する職員端末7へと、入場制限を実施する旨の所定の指令を、通信部13から通信ネットワークNを介して送信するようにすればよい。
これによって、混雑率が所定の値を超えた駅について、当該駅の職員に入場制限の実施を指示することができる。
【0162】
また、駅のユーザへの情報提供に用いる場合、制御部11は、算出した混雑率に係る情報を、当該鉄道路線の利用者が使用するスマートフォン、タブレット端末等の端末装置へと、通信部13から通信ネットワークNを介して送信するようにすればよい。
これによって、鉄道路線の利用者に、各駅の混雑率に係る情報を提供することができ、鉄道路線の利用者に対し、駅の混雑率を考慮した行動を促すことができる。
【0163】
[イ 効果の説明]
本実施形態に係る列車管理支援システム100によれば、上記のようにして列車の運転間隔を調整することにより、以下の効果を得ることができる。
【0164】
すなわち、列車の運転間隔の調整は、従来、単純に列車の運転間隔を均一化するようにして行われるが、このような運転間隔の調整は、列車や駅の実際の混雑状況を考慮して行われないことから、例えば混雑している列車の停車時間を長くして余計に混雑させてしまったり、混雑している駅に多くの人を降車させて余計に混雑させてしまったりする可能性を否定できない。
【0165】
この点、本実施形態に係る列車管理支援システム100によれは、まず、管理サーバ1において、遅延が生じている路線を走行する各列車の乗車率に係る情報を取得し、各列車の乗車率を均一化するようにして、各列車の駅での停車時間を決定する場合、遅延が生じている路線を走行する各列車の乗車率を均一化することで、特定の列車に乗客が集中することを抑制し、混雑した列車が生じることを防止し易くなる。
【0166】
また、管理サーバ1において、遅延が生じている路線に存在する各駅の混雑率に係る情報を取得し、各駅の混雑率を均一化するようにして、各列車の各駅での停車時間を決定する場合、遅延が生じている路線に存在する各駅の混雑率を均一化することで、特定の駅に特定の時間帯に乗客が集中することを抑制し、混雑した駅が生じることを防止し易くなる。
【0167】
[(7) 列車の異常に関する情報の表示について]
続いて、本システムにおける列車の異常に関する情報の表示について説明する。
【0168】
[ア 表示されるアイコン]
列車に異常が発生している際には、第2在線状況閲覧画面G1A、第3在線状況閲覧画面G1B、第4在線状況閲覧画面、第5在線状況閲覧画面G1C及び第6在線状況閲覧画面において表示される列車アイコンG113の周囲に、異常の発生及び発生した異常の種類を示すアイコンが表示されるようにしてもよい。
【0169】
この場合、管理サーバ1は、例えば、列車に発生した異常に係る情報を管理する外部のシステムから送信された情報を通信部13によって受信することで取得した上で、異常の種類に応じて予め定められた種類のアイコンを、第2在線状況閲覧画面G1A、第3在線状況閲覧画面G1B、第4在線状況閲覧画面、第5在線状況閲覧画面G1C又は第6在線状況閲覧画面の生成時に、当該列車の位置(列車アイコン113が表示されている場合対応する列車アイコン113の周囲)に表示させるようにする。
【0170】
また、異常の種類としては、例えば車両故障、乗客間のトラブル等が考えられ、このような異常の種類毎に異なる種類のアイコンが表示されるようにすればよい。
【0171】
さらに、管理サーバ1においては、異常が生じている列車について対応の優先順位を決定し、当該情報が、第2在線状況閲覧画面G1A、第3在線状況閲覧画面G1B、第4在線状況閲覧画面、第5在線状況閲覧画面G1C又は第6在線状況閲覧画面において表示されるようにしてもよい。
【0172】
具体的には、例えば、予め異常の種類毎に対応の優先順位を設定の上で、列車に異常が生じた場合に当該異常の種類に係る情報を取得するようにし、複数の列車に異常が生じている場合、生じた異常の種類が優先順位の高いものであるほど優先されるようにして、異常が発生した列車に対する対応の優先順位を決定の上、当該順位を示すアイコンを、第2在線状況閲覧画面G1A、第3在線状況閲覧画面G1B、第4在線状況閲覧画面、第5在線状況閲覧画面G1C又は第6在線状況閲覧画面の生成時に、異常が生じた列車に係る列車アイコン113の周囲に表示させるようにする。
【0173】
また、例えば、ステップS11-2で取得した乗車率情報D3を用いて、乗車率が高い列車ほど優先されるようにして、異常が生じた列車に対する対応の優先順位を決定してもよい。
【0174】
また、例えば、異常の種類に係る情報と、乗車率情報D3と、の両者を用いて、まず、異常の種類が優先順位の高いものであるほど優先されるようにした上で、生じた異常の種類が同一である列車については、乗車率情報D3を用いて、乗車率が高い列車ほど優先されるようにして、異常が生じた列車に対する対応の優先順位を決定してもよい。
【0175】
[イ 効果の説明]
本実施形態に係る列車管理支援システム100によれば、上記のようにして列車に生じた異常に係る情報及び異常が生じた列車に対する対応の優先順位を表示することにより、以下の効果を得ることができる。
【0176】
すなわち、本実施形態によれば、列車に所定の異常が生じた際に、管理サーバ1において当該異常に係る情報を取得し、取得した情報が、異常が生じた列車の位置(列車アイコンG113の周囲)に表示されるようにして、第2在線状況閲覧画面G1A等の画面を生成し、当該画面に係るデータを職員端末7へと送信し、職員端末7において当該画面を表示部74に表示させることで、列車に生じた異常に関する情報を、地図上の異常が生じた列車の位置に表示させることができる。
【0177】
これによって、職員端末7を使用する鉄道事業者の職員が、列車に生じた異常に係る情報を、当該列車の位置情報と共に把握することが可能となる。
【0178】
また、本実施形態によれば、列車に所定の異常が生じた際に、管理サーバ1において当該異常に係る情報を取得し、取得した情報及び/又は乗車率情報D3を用いて異常が生じた列車に対する対応の優先順位を決定の上、決定した優先順位に係る情報が、異常が生じた列車の位置(列車アイコンG113の周囲)に表示されるようにして、第2在線状況閲覧画面G1A等の画面を生成し、当該画面に係るデータを職員端末7へと送信し、職員端末7において当該画面を表示部74に表示させることで、列車に生じた異常に対する対応の優先順位に関する情報を、地図上の異常が生じた列車の位置に表示させることができる。
【0179】
これによって、職員端末7を使用する鉄道事業者の職員が、列車に生じたい異常に係る情報に加えて、当該異常に対する対応の優先順位に係る情報を、当該列車の位置情報と共に把握することが可能となる。
【0180】
[2 災害時動作]
続いて、列車管理支援システム100の災害時の動作について、
図6から
図11のフローチャートに従って説明する。
【0181】
[(1) ステップS21:駅間停車列車への派遣人員、派遣経路の決定]
まず、災害時に駅間で停車した列車に派遣する人員及び派遣に用いる経路を決定する際の本システムの動作について、
図6のフローチャートに従って説明する。
【0182】
[ア 動作の流れ]
地震等の災害時において、やむを得ず駅間に停車した列車(以下、「駅間停車列車」という。)が生じた場合、管理サーバ1は、当該列車に係る情報を取得する(ステップS21-1)。なお、ここで災害時に停車した列車とは、災害が実際に発生した後に停車した列車のみならず、災害の発生が予見される場合、例えば自治体による避難指示や気象庁の特別警報等が発せられた場合に停車した列車も含む。
【0183】
具体的には、管理サーバ1の制御部11は、駅間停車列車について、当該列車の在線位置に係る情報である在線位置情報D2及び当該列車の乗車率に係る情報である乗車率情報D3を、通信部13によって通信ネットワークNを介して、列車情報サーバ3から受信することによって取得すればよい。在線位置情報D2に係る位置は、当該列車の停車位置に該当する。
【0184】
続いて、管理サーバ1の制御部11は、人員情報サーバ4から、駅間停車列車に派遣可能な人員(鉄道事業者の職員)の一覧に係る情報である人員一覧情報D17と、人員一覧情報D17に含まれる各人員の最新の位置情報である人員位置情報D18と、を取得する(ステップS21-2)。
【0185】
人員一覧情報D17は、例えば各人員について、その氏名、所属、役職、対応可能業務等に係る情報を含む。
また、人員位置情報D18は、例えば各人員について、職員端末7の位置情報取得部76によって所定の間隔で取得された位置情報が、各人員の識別情報と紐付けて人員情報サーバ4へと送信されるようにし、人員情報サーバ4において、職員端末7から情報を取得する度に、記憶部42に記憶された各人員の位置情報を更新することで、常に各人員の最新の位置情報が人員情報サーバ4の記憶部42に記憶されているようにすればよい。
【0186】
具体的には、管理サーバ1の制御部11が、通信部13から通信ネットワークNを介して、人員情報サーバ4へと所定の指令を送信し、これを受信した人員情報サーバ4において、制御部41が、記憶部42に記憶された人員一覧情報D17及び人員位置情報D18を通信部43から通信ネットワークNを介して管理サーバ1へと送信し、管理サーバ1は、人員情報サーバ4から送信されたデータを、通信部13によって受信することによって、人員一覧情報D17及び人員位置情報D18を取得すればよい。
【0187】
続いて、管理サーバ1の制御部11は、災害情報サーバ5から、記憶部52に記憶されている避難指示情報D19のうち、駅間停車列車の停車位置(ステップS21-1で取得した在線位置情報D2に係る位置)の周囲の地方公共団体に発せられている避難指示に係る情報を取得する(ステップS21-3)。避難指示情報D19としては、各地方公共団体で何らかの災害に起因して避難指示が出される度に、当該避難指示に係る情報を災害情報サーバ5において取得の上、避難指示が出された地方公共団体の識別情報と紐付けて、記憶部52に記憶させておけばよい。
なお、この場合の地方公共団体は、都道府県、市、町、村等を、その単位を問わず広く含む。また、避難指示は、実際に出される際の名称を問わず、当該地方公共団体内の人に対して避難するように呼び掛ける内容を含むものを広く含む。
【0188】
具体的には、管理サーバ1の制御部11が、通信部13から通信ネットワークNを介して、災害情報サーバ5へとステップS21-1で取得した在線位置情報D2を送信し、これを受信した災害情報サーバ5において、制御部51が、記憶部52に記憶された避難指示情報D19から、取得した在線位置情報D2に係る位置から所定の距離内に位置する地方公共団体に発せられている避難指示情報D19を抽出の上、通信部53から通信ネットワークNを介して管理サーバ1へと送信し、管理サーバ1は、災害情報サーバ5から送信されたデータを通信部13によって受信することによって、避難指示情報D19を取得すればよい。
【0189】
続いて、管理サーバ1の制御部11は、ステップS21-1からステップS21-3で受信した情報を用いて、ステップS21-1で情報を取得した駅間停車列車に派遣する人員を決定する(ステップS21-4)。
【0190】
具体的には、まず、制御部11は、ステップS21-2で取得した人員一覧情報D17に含まれる人員から、ステップS21-3で取得した避難指示情報D19に係る避難指示が出されている地域を通ることなく、駅間停車列車の停車位置(ステップS21-1で取得した在線位置情報D2に係る位置)に到着することができる人員を抽出する(ステップS21-4-1)。
【0191】
さらに、制御部11は、駅間停車列車の停車位置と、ステップS21-4-1で抽出した人員の人員位置情報D18に係る位置とを対比の上、ステップS21-4-1で抽出した人員の内、人員位置情報D18に係る位置が、駅間停車列車の停車位置と最も近い人員を抽出し、抽出した人員を、当該駅間停車列車に派遣する人員として決定する(ステップS21-4-2)。
【0192】
なお、ステップS21-4-2の抽出の際には、上記のように単純に直線距離が最も近い人員を抽出してもよいが、各人員について、駅間停車列車の停車位置に到達するまでの移動経路の距離(道路に沿った最短の移動距離)を算出の上、当該距離が最も短い人員を抽出する方が好ましい。
さらに、道路の混雑状況(渋滞の発生等)に係る情報を用いて、各人員について、駅間停車列車の停車位置に到達するまでの移動に要する時間を算出の上、当該時間が最も短い人員を抽出する方がさらに好ましい。
【0193】
続いて制御部11は、ステップS21-4で決定した人員について、重複する時間帯に、他の駅間停車列車に派遣する人員として決定されていないかについて判定する(ステップS21-5)。
【0194】
ステップS21-5において、ステップS21-4で決定した人員について、重複する時間帯に他の駅間停車列車に派遣する人員として決定されていないと判定した場合には、そのまま当該人員を、ステップS21-1で情報を受信した駅間停車列車に派遣する人員として決定してステップS21-7に進む。
【0195】
これに対し、ステップS21-5において、ステップS21-4で決定した人員について、重複する時間帯に他の駅間停車列車に派遣する人員として決定されていると判定した場合には、ステップS21-1で情報を取得した駅間停車列車について、人員派遣の優先順位が、当該他の駅間停車列車よりも高いか否かを判定する(ステップS26-6)。
【0196】
具体的には、例えば、ステップS21-1で取得した乗車率情報D3を参照の上、乗車率が高い列車程、人員派遣の優先順位が高いものとすればよい。
【0197】
ステップS21-6において、ステップS21-1で情報を取得した駅間停車列車について、他の駅間停車列車よりも人員派遣の優先順位が高いと判定した場合、ステップS21-4で決定した人員を、派遣する人員として決定してステップS21-7に進む。これに対し、ステップS21-6において、ステップS21-1で情報を取得した駅間停車列車について、他の駅間停車列車よりも人員派遣の優先順位が低いと判定した場合、ステップS21-4に戻り、一度目のステップS21-4で決定した人員を除いた上で、再度派遣人員の決定を行うこととなる。
【0198】
ステップS21-1で情報を取得した駅間停車列車に派遣する人員を決定すると、続いて、管理サーバ1の制御部11は、路線情報サーバ6から、記憶部62に記憶されている鉄道路線に関する情報である路線情報D20のうち、ステップS21-1で情報を取得した駅間停車列車が走行する鉄道路線に関する情報を取得する(ステップS21-7)。
【0199】
路線情報D20は、各鉄道路線の線路について、その位置、設備及び周辺地形に係る情報を含む情報であり、各路線の線路について、線路内に入ること及び線路内から出ることが可能な地点、具体的には、線路内に入ること及び線路内から出ることが可能な設備が設けられた地点及び線路周辺の地形が線路内に入ること及び線路内から出ることが可能な地形である地点に係る情報を含む。
【0200】
具体的な取得方法としては、管理サーバ1の制御部11が、通信部13から通信ネットワークNを介して、路線情報サーバ6へと、路線名等のステップS21-1で情報を取得した駅間停車列車が走行する鉄道路線を特定できる情報を送信し、これを受信した路線情報サーバ6において、制御部61が、記憶部62に記憶された路線情報D20から、当該鉄道路線に関する情報を抽出の上、通信部63から通信ネットワークNを介して管理サーバ1へと送信し、管理サーバ1は、路線情報サーバ6から送信されたデータを、通信部13によって受信することによって、ステップS21-1で情報を取得した駅間停車列車が走行する鉄道路線に関する路線情報D20を取得すればよい。
【0201】
続いて管理サーバ1の制御部11は、ステップS21-1で情報を取得した駅間停車列車への、ステップS21―4で決定した人員の派遣経路を決定する(ステップS21-8)。
【0202】
具体的には、ステップS21-7で取得した路線情報D20は、上記のように、当該路線の線路内に入ることが可能な地点、具体的には、線路内に入ることが可能な設備が設けられた地点及び線路周辺の地形が線路内に入ることが可能な地形である地点と、その位置情報を含むことから、制御部11は、このような地点(進入可能地点)のうち、ステップS21-1で取得した在線位置情報D2に係る位置から最も近い地点から線路内に入る経路を抽出する(ステップS21-8-1)。
【0203】
なお、この場合の線路内に入ることが可能な設備が設けられた地点は、例えば踏切や職員用の通用口が設けられた地点等であり、線路周辺の地形が線路内に入ることが可能な地形である地点とは、例えば、高架やトンネルではなく、線路が地面上に設置されている地点等である。
【0204】
なお、上記に代えて、駅間停車列車の停車位置に係る情報と、ステップS21-4で決定した人員の位置に係る情報と、を用いて、その間に位置する最適な進入可能地点から線路内に入ることができる経路を抽出するようにしてもよい。
この場合、例えば、駅間停車列車の停車位置とステップS21-4で決定した人員の位置との間を最短で移動できる位置にある進入可能地点から線路内に入ることとし、このような最短の経路を、ステップS21-8-1で抽出するようにすればよい。また、このような最短の経路としては、例えば、駅間停車列車の停車位置とステップS21-4で決定した人員の位置との間の移動経路の距離(道路に沿った最短の移動距離)を算出の上、当該距離が最も短い経路を抽出すればよい。さらに、道路の混雑状況(渋滞の発生等)に係る情報を用いて、ステップS21-4で決定した人員の位置から駅間停車列車の停車位置に到達するまでの移動に要する時間を各経路について算出の上、このような時間が最も短い経路を抽出する方がさらに好ましい。
【0205】
続いて、制御部11は、ステップS21-8-1で抽出した経路が、ステップS21-3で取得した避難指示情報D19に係る避難指示が出されている地方公共団体を通る経路であるか否かを判定する(ステップS21-8-2)。
【0206】
判定の結果、ステップS21-8-1で抽出した経路が、ステップS21-3で取得した避難指示情報D19に係る避難指示が出されている地方公共団体を通らないと判定した場合には、ステップS21-8-1で抽出した経路を、ステップS21-1で情報を取得した駅間停車列車への、ステップS21―4で決定した人員の派遣経路として決定する。
【0207】
これに対し、ステップS21-8-1で抽出した経路が、ステップS21-3で取得した避難指示情報D19に係る避難指示が出されている地方公共団体を通ると判定した場合には、制御部11は、当該経路を除いた上で、再度ステップS21-8-1に戻り、経路の抽出を行うこととなる。
【0208】
派遣人員及び派遣経路を決定すると、管理サーバ1の制御部11は、派遣先の駅間停車列車の位置及び当該駅間停車列車に向かう際に使用する経路を含む所定の指令に係る情報である派遣指令情報D21を生成の上、当該情報に係る派遣指令を表示部74に表示する旨の指令と共に、通信部13から通信ネットワークNを介して、ステップS21-4で決定した人員が使用する職員端末7へと送信し(ステップS21-9)、通信部73によってこれを受信した職員端末7においては、制御部11が、管理サーバ1の指令に従って、受信した情報に係る派遣指令を、表示部74に表示させる(ステップS21-10)。
これによって、当該職員端末7を使用する鉄道事業者の職員は、表示された派遣経路に従って、駅間停車列車の救援に向かうことが可能となる。
【0209】
[イ 効果の説明]
本実施形態に係る列車管理支援システム100によれば、上記のようにして駅間停車列車に派遣する人員及び派遣経路を決定することにより、以下の効果を得ることができる。
【0210】
すなわち、本実施形態によれば、管理サーバ1において駅間停車列車についてその在線位置情報D2を取得した上で、このような在線位置情報D2に係る位置へと人員を派遣する際に使用すべき経路を決定することで、駅間停車列車に派遣される人員に対して、派遣先の列車に到達することができる適切な経路を提示することが可能となる。
【0211】
また、管理サーバ1において、路線情報サーバ6から路線情報D20を取得し、当該情報を用いて人員の派遣経路を決定することで、駅間停車列車が停車している路線の線路の状況を加味して適切な経路を決定することが可能となる。
【0212】
また、管理サーバ1が取得する路線情報D20が、駅間停車列車が停車している路線の線路内に入ることが可能な地点である進入可能地点に関する情報を含み、管理サーバ1において、このような地点(進入可能地点)のうち、駅間停車列車の停車位置(在線位置情報D2に係る位置)から最も近い地点から線路内に入る経路を派遣経路として決定することで、線路内に確実に進入可能であり、かつ線路内において移動を要する距離を最小とした経路を、駅間停車列車に派遣される人員に対して提示することが可能となる。
【0213】
また、管理サーバ1において、災害情報サーバ5から避難指示情報D19を取得し、当該情報を用いて、抽出された経路が、避難指示が出されている地方公共団体を通る経路であるか否かを判定し、避難指示が出されている地方公共団体を通る経路である場合に経路が再度抽出されることで、避難指示が発せられた地方公共団体を通過する経路を避けて、駅間停車列車からの派遣経路が決定される。
これによって、避難指示が発せられた地方公共団体を通過する経路を避けて、より安全な経路を、駅間停車列車に派遣される人員に対して提示することが可能となる。
【0214】
また、管理サーバ1において、駅間停車列車についてその在線位置情報D2を取得した上で、さらに、人員情報サーバ4から人員一覧情報D17及び人員位置情報D18を取得し、これら情報を用いて、駅間所在列車に派遣する人員を決定することで、駅間停車列車の位置及び各人員の位置を考慮の上、適切な人員を駅間停車列車に派遣する人員として決定することが可能となる。
【0215】
また、特定の人員について、重複する時間帯に複数の駅間停車列車に派遣する人員として決定された場合に、このような複数の駅間停車列車について人員派遣の優先順位を決定することで、当該人員を優先順位が高い駅間停車列車へと派遣し、優先順位が低い列車には他の人員を派遣することが可能となる。
【0216】
また、管理サーバ1において各駅間停車列車の乗車率情報D3を取得し、当該情報を用いて上記の派遣の優先順位を決定することで、乗車率が高い列車程優先するようにして、人員を派遣する優先順位を決定することが可能となる。
【0217】
[(2) ステップS22:駅間停車列車からの避難経路の決定]
続いて、災害時に駅間で停車した列車から乗客を避難させる際に用いる経路を決定する際の本システムの動作について、
図7のフローチャートに従って説明する。
【0218】
[ア 動作の流れ]
地震等の災害時において、駅間停車列車が生じた場合、ステップS21-1と同様にして、管理サーバ1は、当該列車に係る情報(在線位置情報D2及び乗車率情報D3)を取得する(ステップS22-1)。なお、ここでも、災害時に停車した列車とは、災害が実際に発生した後に停車した列車のみならず、災害の発生が予見される場合、例えば自治体による避難指示や気象庁の特別警報等が発せられた場合に停車した列車も含む。
【0219】
続いて、管理サーバ1の制御部11は、ステップS21-3と同様、災害情報サーバ5から、記憶部52に記憶されている避難指示情報D19のうち、駅間停車列車の停車位置(ステップS22-1で取得した在線位置情報D2に係る位置)の周囲の地方公共団体に発せられている避難指示に係る情報を取得する(ステップS22-2)。
【0220】
続いて、管理サーバ1の制御部11は、路線情報サーバ6から、記憶部62に記憶されている鉄道路線に関する情報である路線情報D20のうち、ステップS22-1で情報を取得した駅間停車列車が走行する鉄道路線に関する情報を取得する(ステップS22-3)。
【0221】
続いて管理サーバ1の制御部11は、ステップS22-1で情報を取得した駅間停車列車からの乗客の避難経路を決定する(ステップS22-4)。
【0222】
具体的には、ステップS22-3で取得した路線情報D20は、上記のように、当該路線の線路内から出ることが可能な地点、具体的には、線路内から出ることが可能な設備が設けられた地点及び線路周辺の地形が線路内から出ることが可能な地形である地点と、その位置情報を含むことから、制御部11は、このような地点(脱出可能地点)のうち、ステップS22-1で取得した在線位置情報D2に係る位置から最も近い地点から線路外に出ることができる経路を抽出する(ステップS22-4-1)。
【0223】
なお、避難先とする場所(避難所等)が予め決定している場合には、上記に代えて、駅間停車列車の停車位置に係る情報と、上記のような避難先とする場所の位置に係る情報と、を用いて、その間に位置する最適な脱出可能地点から線路外に出ることができる経路を抽出するようにしてもよい。
この場合、例えば、駅間停車列車の停車位置と避難先とする場所の位置との間を最短で移動できる位置にある脱出可能地点から線路外に出ることとし、このような最短の経路を、ステップS22-4-1で抽出するようにすればよい。また、このような最短の経路としては、例えば、駅間停車列車の停車位置と避難先とする場所の位置との間の移動経路の距離(道路に沿った最短の移動距離)を算出の上、当該距離が最も短い経路を抽出すればよい。さらに、道路の混雑状況(渋滞の発生等)に係る情報を用いて、駅間停車列車の停車位置から避難先とする場所に到達するまでの移動に要する時間を各経路について算出の上、このような時間が最も短い経路を抽出する方がさらに好ましい。
【0224】
この場合も、線路内から出ることが可能な設備が設けられた地点は、例えば踏切や職員用の通用口が設けられた地点等であり、線路周辺の地形が線路内から出ることが可能な地形である地点とは、例えば、高架やトンネルではなく、線路が地面上に設置されている地点等である。
【0225】
続いて、制御部11は、ステップS22-4-1で抽出した経路が、ステップS22-2で取得した避難指示情報D19に係る避難指示が出されている地方公共団体を通る経路であるか否かを判定する(ステップS22-4-2)。
【0226】
判定の結果、ステップS22-4-1で抽出した経路が、ステップS22-2で取得した避難指示情報D19に係る避難指示が出されている地方公共団体を通らないと判定した場合には、ステップS22-4-1で抽出した経路を、ステップS22-1で情報を取得した駅間停車列車からの乗客の避難経路として決定する。
【0227】
これに対し、ステップS22-4-1で抽出した経路が、ステップS22-2で取得した避難指示情報D19に係る避難指示が出されている地方公共団体を通ると判定した場合には、制御部11は、当該経路を除いた上で、再度ステップS22-4-1戻り、経路の抽出を行うこととなる。
【0228】
避難経路を決定すると、管理サーバ1の制御部11は、決定した避難経路に係る情報である避難経路情報D22を生成の上、当該情報に係る避難経路を表示部74に表示する旨の指令と共に、通信部13から通信ネットワークNを介して、ステップS22-1で情報を取得した駅間停車列車の乗務員が使用する職員端末7へと送信し(ステップS22-5)、通信部73によってこれを受信した職員端末7においては、制御部71が、管理サーバ1の指令に従って、受信した避難経路情報D22に係る避難経路を、表示部74に表示させる(ステップS22-6)。
これによって、当該乗務員は、表示された避難経路に従って、列車の乗客を避難させることが可能となる。
【0229】
[イ 効果の説明]
本実施形態に係る列車管理支援システム100によれば、上記のようにして駅間停車列車からの避難経路を決定することにより、以下の効果を得ることができる。
【0230】
すなわち、本実施形態によれば、管理サーバ1において、駅間停車列車についてその在線位置情報D2を取得し、さらに路線情報サーバ6から路線情報D20を取得した上で、路線情報D20を用いて、線路からの脱出可能地点を含む駅間停車列車からの避難経路を決定する。
これによって、脱出可能地点が限定される線路上に停車している駅間停車列車の乗客に対して、線路内から脱出することができる駅間停車列車からの適切な避難経路を提示することが可能となる。
【0231】
また、管理サーバ1が取得する路線情報D20が、駅間停車列車が停車している路線の線路内から出ることが可能な地点である脱出可能地点に関する情報を含み、管理サーバ1において、このような地点(脱出可能地点)のうち、駅間停車列車の停車位置(在線位置情報D2に係る位置)から最も近い地点から線路外に出る経路を避難経路として決定する場合、線路内から確実に脱出可能であり、かつ線路内において移動を要する距離を最小とした経路を、駅間停車列車からの避難経路として提示することが可能となる。
【0232】
また、管理サーバ1において、災害情報サーバ5から避難指示情報D19を取得し、当該情報を用いて、抽出された経路が、避難指示が出されている地方公共団体を通る経路であるか否かを判定し、避難指示が出されている地方公共団体を通る経路である場合に、経路が再度抽出されることで、避難指示が発せられた地方公共団体を通過する経路を避けて、駅間停車列車からの避難経路が決定される。
これによって、避難指示が発せられた地方公共団体を通過する経路を避けて、より安全な経路を、駅間停車列車からの避難経路として、当該列車の乗客に対して提示することが可能となる。
【0233】
[(3) ステップS23:地方公共団体が発する情報に基づく運行停止区間の決定]
続いて、災害発生時に、各地方公共団体から発せられる避難指示を統合すると共に、当該情報に基づいて、列車の運行停止区間の決定を行う際の本システムの動作について、
図8のフローチャートに従って説明する。
【0234】
[ア 動作の流れ]
地震、大雨等の災害が発生して各地方公共団体から避難指示が発せられると、管理サーバ1は、災害情報サーバ5から、各地方公共団体に発せられている避難指示に係る情報である避難指示情報D19を取得する(ステップS23-1)。
【0235】
具体的には、各地方公共団体で何らかの災害に起因して避難指示が出される度に、当該避難指示に係る情報を災害情報サーバ5が取得し、災害情報サーバ5において、取得した情報を即座に管理サーバ1へと通信ネットワークNを介して送信し、これを通信部13によって受信することで、管理サーバ1が避難指示情報D19を取得するようにすればよい。
また、地方公共団体によって避難指示に係る情報の形式等が異なる場合は、災害情報サーバ5において、情報の形式の変更や情報の併合/分離等を行うことで、情報の形式等を統一化した情報を、避難指示情報D19として使用してもよい。
【0236】
続いて、管理サーバ1は、地図情報サーバ2から地図情報D1を取得する(ステップS23-2)。
【0237】
続いて、管理サーバ1の制御部11は、ステップS23-1からステップS23-2で取得した情報に基づき、複数の地方公共団体に係る避難指示情報D19を統合した情報である統合避難指示情報D23を生成の上、記憶部12に記憶させる(ステップS23-3)。
【0238】
すなわち、通常避難指示は地方公共団体毎に発せられることから、避難指示情報D19は地方公共団体毎に個別に発せられた避難指示に係る情報(例えば、名称等の地方公共団体の識別情報と避難指示が発せられている旨の情報が紐付けられた情報)であるところ、このような情報と各地方公共団体の地理的範囲に係る情報を含む地図情報D1とを組み合わせ、避難指示が出されている地方公共団体と、当該地方公共団体の地理的範囲に係る情報と、を紐づけることで、地方公共団体を跨いで避難指示が出されている範囲を確認できる情報である統合避難指示情報D23を生成する。
【0239】
なお、統合避難指示情報D23は、地図上に避難指示が出されている範囲を、地方公共団体を跨いで表示する画像のデータとしてもよい。このような画像のデータも、避難指示が出されている地方公共団体と、当該地方公共団体の地理的範囲に係る情報と、が紐付けられているものと言え、複数の地方公共団体に係る避難指示情報D19を統合した情報である統合避難指示情報D23に該当する。
【0240】
続いて、管理サーバ1の制御部11は、列車の運行停止区間を決定する(ステップS23-4)。
具体的には、ステップS23-3で生成した統合避難指示情報D23に基づき、地図情報D1に係る地域内の線路のうち、避難指示が出されている範囲を走行する線路を列車の運行停止区間と決定する。
【0241】
運行停止区間を決定すると、管理サーバ1の制御部11は、決定した運行停止区間を確認可能な画面である運行停止区間確認画面を生成する(ステップS23-5)。
運行停止区間確認画面は、例えば、地図情報D1に係る地図を表示すると共に、当該地図上に、当該地図に係る地域内に存在する線路を、運行停止区間内に位置する部分とそうでない部分とを例えば表示する色を変える等の方法で区別できるようにして表示する画面である。
【0242】
運行停止区間確認画面を生成すると、管理サーバ1の制御部11は、当該画面に係るデータ(運行停止区間確認画面データD24)を、当該画面を表示部74に表示する旨の指令と共に、通信部13から通信ネットワークNを介して、運行停止区間内に位置する駅の職員が使用する職員端末7へと送信する(ステップS23-6)。
【0243】
通信部73によって運行停止区間確認画面データD24を受信した職員端末7においては、制御部71が、管理サーバ1の指令に従って、受信した運行停止区間確認画面データD24に基づき、運行停止区間確認画面を、表示部74に表示させる(ステップS23-7)。
【0244】
これによって、運行停止区間内に位置する駅の職員は、自らが所在する駅が運行停止区間内にあることを確認することが可能となる。
【0245】
[イ 効果の説明]
本実施形態に係る列車管理支援システム100によれば、上記のようにして地方公共団体が発する情報に基づいて運行停止区間を決定することにより、以下の効果を得ることができる。
【0246】
すなわち、本実施形態によれば、管理サーバ1において、各地方公共団体により発せられている避難指示に係る情報である避難指示情報D19を取得し、これを統合して地方公共団体を跨いで避難指示が出されている範囲を確認できる情報である統合避難指示情報D23を生成し、当該情報を用いて列車の運行停止区間を決定する。
【0247】
通常、地方公共団体の発する避難指示は、地方公共団体毎に個別に発せられることから、これらを全て加味して列車の運行停止区間を決定することは困難である場合が多いが、本実施形態によれば、地方公共団体を跨いで避難指示が出されている範囲を確認できる情報である統合避難指示情報D23を予め生成することで、各地方公共団体の発する避難指示を全て加味し、避難指示が出されている範囲を全て含むようにして列車の運行停止区間を決定することが容易となる。
【0248】
[(4) ステップS24:地方公共団体が発する情報に基づく車両疎開指示]
続いて、降雨時において洪水発生のリスクがある場合に、各地方公共団体から発せられる降水量及び河川水位に係る情報を統合すると共に、当該情報に基づいて、鉄道事業者における列車の保管場所(車両基地)からの車両疎開の要否を決定する際の本システムの動作について、
図9のフローチャートに従って説明する。なお、実際の名称を問わず、非使用時に列車の車両が保管される場所を広く「車両基地」という。
【0249】
[ア 動作の流れ]
本システムによって情報を管理する所定のエリア内(地図情報D1に地図情報が含まれる地域内)の地方公共団体で降雨があると、管理サーバ1は、災害情報サーバ5から、各地方公共団体が発する降水量に係る情報(降水量情報D25)及び河川水位に係る情報(河川水位情報D26)を取得する(ステップS24-1)。降水量情報D25は、各地方公共団体が発する各地方公共団体の範囲内における降水量に係る情報であり、河川水位情報D26は、各地方公共団体が発する各地方公共団体の範囲内を流れる河川の水位に係る情報である。
【0250】
具体的には、各地方公共団体から降水量に係る情報及び河川水位に係る情報が発信される度に、当該情報を災害情報サーバ5が取得し、災害情報サーバ5において、取得した情報を即座に通信ネットワークNを介して管理サーバ1へと送信し、これを通信部13によって受信することで、管理サーバ1が降水量情報D25及び河川水位情報D26を取得するようにすればよい。
【0251】
続いて、管理サーバ1は、地図情報サーバ2から地図情報D1を取得する(ステップS24-2)。
【0252】
続いて、管理サーバ1の制御部11は、ステップS24-1からステップS24-2で取得した情報に基づき、複数の地方公共団体に係る降水量情報D25を統合した情報である統合降水量情報D27及び複数の地方公共団体に係る河川水位情報D26を統合した情報である統合河川水位情報D28を生成の上、記憶部12に記憶させる(ステップS24-3)。
【0253】
すなわち、降水量情報D25は、地方公共団体毎に個別に発せられた降水量に係る情報(例えば、名称等の地方公共団体の識別情報と各地方公共団体の範囲内における降水量の情報とが紐付けられた情報)であるところ、このような情報と各地方公共団体の地理的範囲に係る情報及び各車両基地の位置情報を含む地図情報D1とを組み合わせ、各地方公共団体における降水量と、当該地方公共団体の地理的範囲に係る情報と、を紐づけることで、地方公共団体を跨いで降水量を確認できる情報である統合降水量情報D27を生成する。
【0254】
また、河川水位情報D26は、地方公共団体毎に個別に発せられた各地方公共団体内を流れる河川の水位に係る情報(例えば、名称等の地方公共団体の識別情報と、当該地方公共団体内を流れる各河川の識別情報(河川名等)と、各河川の当該地方公共団体内を流れる部分における水位に係る情報とが紐付けられた情報)であるところ、このような情報と各地方公共団体の地理的範囲に係る情報及び各車両基地の位置情報を含む地図情報D1とを組み合わせ、各地方公共団体における各河川の水位と、当該地方公共団体の地理的範囲に係る情報と、を紐づけることで、地方公共団体を跨いで河川の水位を確認できる情報である統合河川水位情報D28を生成する。
【0255】
なお、統合降水量情報D27は、地図上に各地点の降水量を、地方公共団体を跨いで表示する画像のデータとしてもよい。このような画像のデータも、各地方公共団体における降水量と、当該地方公共団体の地理的範囲に係る情報と、が紐付けられているものと言え、複数の地方公共団体に係る降水量情報D25を統合した情報である統合降水量情報D27に該当する。
また、統合河川水位情報D28は、地図上に各河川の水位を、地方公共団体を跨いで表示する画像のデータとしてもよい。このような画像のデータも、各地方公共団体における各河川の水位と、当該地方公共団体の地理的範囲に係る情報と、が紐付けられているものと言え、複数の地方公共団体に係る河川水位情報D26を統合した情報である統合河川水位情報D28に該当する。
【0256】
続いて、管理サーバ1の制御部11は、ステップS24-3で生成した情報に基づき、各車両基地の洪水による浸水可能性の有無を判定する(ステップS24-4)。
【0257】
具体的には、例えば、ステップS24-3で生成した統合降水量情報D27は、上記のように各車両基地の位置情報及び各地方公共団体における降水量に係る情報を含むことから、統合降水量情報D27に基づき、各車両基地について、当該車両基地が位置する地方公共団体及び当該地方公共団体から見て河川の上流域に位置する全地方公共団体における降水量を加算した値を算出し、当該値が所定の値を超えた場合に、当該車両基地について洪水による浸水の可能性があると判定すればよい。
【0258】
また、例えば、ステップS24-3で生成した統合河川水位情報D28は、上記のように各車両基地の位置情報及び各河川の各地方公共団体を流れる範囲における水位に係る情報を含むことから、統合河川水位情報D28に基づき、各車両基地について、当該車両基地が位置する地方公共団体及び当該地方公共団体から見て河川の上流域に位置する地方公共団体における河川水位に係る情報を参照し、これらの中に所定の水位を超えたものがあった場合に、当該車両基地について洪水による浸水の可能性があると判定すればよい。
【0259】
ステップS24-4で洪水による浸水の可能性があると判定した車両基地が存在する場合、管理サーバ1の制御部11は、洪水による浸水の可能性がある旨の通知及び列車の車両を疎開させる旨の指示を含む情報である列車疎開指示情報D29を、当該情報に係る通知及び指示を表示部74に表示する旨の指令と共に、通信部13から通信ネットワークNを介して、浸水の可能性があると判定した車両基地に配置された職員が使用する職員端末7へと送信する(ステップS24-5)。
【0260】
通信部73によって列車疎開指示情報D29を受信した職員端末7においては、制御部71が、管理サーバ1の指令に従って、受信した列車疎開指示情報D29に基づき、洪水による浸水の可能性がある旨の通知及び列車疎開を指示する所定のメッセージを、表示部74に表示させる(ステップS24-6)。
【0261】
これによって、浸水の可能性があると判定された車両基地の職員は、当該メッセージを確認することで、自らが所在する車両基地からの車両疎開を要する旨を認識することが可能となる。
【0262】
[イ 効果の説明]
本実施形態に係る列車管理支援システム100によれば、上記のようにして地方公共団体が発する情報に基づいて車両疎開指示を行うことにより、以下の効果を得ることができる。
【0263】
すなわち、本実施形態によれば、管理サーバ1において、各地方公共団体が発する降水量に係る情報である降水量情報D25及び各地方公共団体が発する河川水位に係る情報である河川水位情報D26を取得し、これを統合して、地方公共団体を跨いで降水量を確認できる情報である統合降水量情報D27を生成すると共に、地方公共団体を跨いで河川水位を確認できる情報である統合河川水位情報D28を生成し、これら情報を用いて、各車両基地からの列車の車両の疎開の要否を決定する。
【0264】
通常、地方公共団体の発する降水量に係る情報及び河川水位に係る情報は、地方公共団体毎に個別に発せられることから、これらを全て加味して各車両基地からの列車の車両の疎開の要否を決定することは困難である場合が多いが、本実施形態によれば、地方公共団体を跨いで降水量を確認できる情報である統合降水量情報D27及び地方公共団体を跨いで河川水位を確認できる情報である統合河川水位情報D28を予め生成することで、地方公共団体を跨いで降水量又は河川水位に係る情報を加味して、各車両基地からの列車の車両の疎開の要否を決定することが容易となる。
【0265】
特に、水害の発生には、車両基地が位置している地方公共団体のみならず、河川の上流方向に位置する地方公共団体における降水量及び河川水位が影響するところ、本実施形態によれば、車両基地の位置が属する地方公共団体に加えて、車両基地の位置から見て河川の上流方向に位置する地方公共団体における降水量又は河川水位に関する情報を用いて、各車両基地からの車両疎開の要否について決定することで、より精度の高い決定が可能となる。
【0266】
[(5) ステップS25:災害時の駅間停車列車の移動要否等の判定]
続いて、災害時に駅間で停車した列車について、当該停車位置から移動することを要するか否かについての判定等を行う際の本システムの動作について、
図10のフローチャートに従って説明する。
【0267】
[ア 動作の流れ]
地震等の所定の種類の災害時において、駅間停車列車が生じた場合、ステップS21-1及びステップS22-1と同様にして、管理サーバ1は、当該列車に係る情報(在線位置情報D2)を取得する(ステップS25-1)。なお、ここでも、災害時に停車した列車とは、災害が実際に発生した後に停車した列車のみならず、災害の発生が予見される場合、例えば自治体による避難指示や気象庁の特別警報等が発せられた場合に停車した列車も含む。
【0268】
続いて、管理サーバ1の制御部11は、路線情報サーバ6から、記憶部62に記憶されている鉄道路線毎の列車の停車が認められないエリアに関する情報である停車禁止エリア情報D30のうち、ステップS25-1で情報を取得した駅間停車列車が走行する鉄道路線に関する情報を取得する(ステップS25-2)。
【0269】
停車禁止エリア情報D30は、鉄道路線毎の列車の停車が認められないエリア、すなわち、鉄道路線の内、災害時に停車すべきでない場所として予め設定された部分に係る情報であり、例えば、低地に位置しており津波襲来時に浸水の危険がある等の理由で、災害時に停車すると危険である部分を予め抽出の上、当該部分の位置情報を記憶させておけばよい。
【0270】
具体的な取得方法としては、管理サーバ1の制御部11が、通信部13から通信ネットワークNを介して、路線情報サーバ6へと、路線名等のステップS25-1で情報を取得した駅間停車列車が走行する鉄道路線を特定できる情報を送信し、これを受信した路線情報サーバ6において、制御部61が、記憶部62に記憶された停車禁止エリア情報D30から、当該鉄道路線に関する情報を抽出の上、通信部63から通信ネットワークNを介して管理サーバ1へと送信し、管理サーバ1は、路線情報サーバ6から送信されたデータを、通信部13によって受信することによって、ステップS25-1で情報を取得した駅間停車列車が走行する鉄道路線に関する停車禁止エリア情報D30を取得すればよい。
【0271】
続いて、管理サーバ1の制御部11は、路線情報サーバ6から、記憶部62に記憶されている災害による線路やその周辺設備の被災状況に係る情報である被災状況情報D31のうち、ステップS25-1で情報を取得した駅間停車列車が走行する鉄道路線に関する情報を取得する(ステップS25-3)。
【0272】
被災状況情報D31は、例えば、線路やその周辺設備(架線、信号機、転てつ機等)の被災によって列車の走行に支障が生じた場合における当該支障の発生エリア(鉄道路線のうち列車の走行が不可能である部分(例えば線路が破断している部分)及び走行させることが適切でない部分(例えば周辺設備の故障によって走行が危険な部分))に係る情報であり、線路やその周辺設備に設置されたセンサ等によって被災状況に係る情報がリアルタイムに取得された上で、全て路線情報サーバ6に送信され、路線情報サーバ6において常に最新の情報が記憶されている。
【0273】
具体的な取得方法としては、管理サーバ1の制御部11が、通信部13から通信ネットワークNを介して、路線情報サーバ6へと、路線名等のステップS25-1で情報を取得した駅間停車列車が走行する鉄道路線を特定できる情報を送信し、これを受信した路線情報サーバ6において、制御部61が、記憶部62に記憶された被災状況情報D31から、当該鉄道路線に関する情報を抽出の上、通信部63から通信ネットワークNを介して管理サーバ1へと送信し、管理サーバ1は、路線情報サーバ6から送信されたデータを、通信部13によって受信することによって、ステップS25-1で情報を取得した駅間停車列車が走行する鉄道路線に関する被災状況情報D31を取得すればよい。
【0274】
続いて、管理サーバ1の制御部11は、ステップS25-1で情報を取得した駅間停車列車の移動の可否について判定する(ステップS25-4)。
【0275】
具体的には、ステップS25-1で取得した駅間停車列車の最新の在線位置情報D2に係る位置と、ステップS25-3で取得した被災状況情報D31と、を対比の上、ステップS25-1で取得した駅間停車列車の最新の在線位置情報D2に係る位置が、ステップS25-3で取得した被災状況情報D31に係る列車の走行に支障が生じているエリア内に位置している場合に、ステップS25-1で在線位置情報D2を取得した駅間停車列車について移動不可能と判定し、ステップS25-1で取得した駅間停車列車の最新の在線位置情報D2に係る位置が、ステップS25-3で取得した被災状況情報D31に係る列車の走行に支障が生じているエリア外に位置している場合に、ステップS25-1で在線位置情報D2を取得した駅間停車列車について移動可能と判定する。
制御部11は、移動不可能と判定した場合には処理を終了し、移動可能と判定した場合にはステップS25-5へと進む。
【0276】
ステップS25-4で移動可能と判定した場合、管理サーバ1の制御部11は、ステップS25-1で情報を取得した駅間停車列車の移動の要否について判定する(ステップS25-5)。
【0277】
具体的には、ステップS25-1で取得した駅間停車列車の最新の在線位置情報D2に係る位置と、ステップS25-2で取得した停車禁止エリア情報D30に係るエリアと、を対比の上、ステップS25-1で取得した駅間停車列車の最新の在線位置情報D2に係る位置が、ステップS25-2で取得した停車禁止エリア情報D30に係るエリア内に位置している場合に、ステップS25-1で在線位置情報D2を取得した駅間停車列車について移動を要するものと判定し、ステップS25-1で取得した駅間停車列車の最新の在線位置情報D2に係る位置が、ステップS25-2で取得した停車禁止エリア情報D30に係るエリア外に位置している場合に、ステップS25-1で在線位置情報D2を取得した駅間停車列車について移動を要しないものと判定する。
制御部11は、移動を要しないものと判定した場合には処理を終了し、移動を要するものと判定した場合にはステップS25-6へと進む。
【0278】
ステップS25-5で移動を要するものと判定した場合、管理サーバ1の制御部11は、ステップS25-1で情報を取得した駅間停車列車の移動先を決定する(ステップS25-6)。
【0279】
具体的には、ステップS25-1で取得した駅間停車列車の最新の在線位置情報D2に係る位置と、ステップS25-2で取得した停車禁止エリア情報D30に係る列車の停車が認められないエリアと、ステップS25-3で取得した被災状況情報D31に係る列車の走行に支障が生じているエリアと、を対比の上、ステップS25-2で取得した停車禁止エリア情報D30に係る列車の停車が認められないエリア外のエリアのうち、ステップS25-1で取得した駅間停車列車の最新の在線位置情報D2に係る位置から、ステップS25-3で取得した被災状況情報D31に係る列車の走行に支障が生じているエリアを通ることなく到達できる最も近い位置を、駅間停車列車の移動先として決定すればよい。
【0280】
ステップS25-6で駅間停車列車の移動先を決定すると、続いて管理サーバ1の制御部11は、列車を移動させる旨の指示及びステップS25-6で決定した駅間停車列車の移動先に係る情報(列車移動先情報D32)を、当該情報に係る指示及び移動先を表示部74に表示する旨の指令と共に、通信部13から通信ネットワークNを介して、ステップS25-1で情報を取得した駅間停車列車の乗務員が使用する職員端末7へと送信する(ステップS25-7)。
【0281】
通信部73によって、列車を移動させる旨の指示及び列車移動先情報D32を受信した職員端末7においては、制御部71が、管理サーバ1の指令に従って、受信した情報に基づき、列車の移動を指示する所定のメッセージと、列車移動先情報D32に係る移動先と、を表示部74に表示させる(ステップS25-8)。
【0282】
これによって、災害時に停車禁止エリア情報D30に係る列車の停車が認められないエリア内に停車してしまい、かつ当該場所からの移動が可能な駅間停車列車の乗務員が使用する職員端末7に対して、当該場所からの移動の指示及び移動先に係る情報を送信し、当該乗務員は、職員端末7によって受信した情報に従って、列車を移動させることが可能となる。
【0283】
[イ 効果の説明]
本実施形態に係る列車管理支援システム100によれば、上記のようにして災害時に停車した列車の移動の要否等を判定することにより、以下の効果を得ることができる。
【0284】
すなわち、本実施形態によれば、管理サーバ1において、災害時に停車した列車の在線位置情報D2を取得することで当該列車の停車位置に係る情報を取得し、当該列車の停車位置からの移動の要否を判定することで、災害時に列車が停車した際に、列車を当該停車場所から移動させるべきか否かに係る情報を、当該列車の乗務員に提供することが可能となる。
【0285】
従来、災害時に停車した列車を停車位置から移動させるべきか否かの判断は、乗務員個人の判断に依存しており、この場合、乗務員が判断を誤ってより危険な状況を招くリスクや、乗務員個人に過度な責任を負わせることとなるリスクが生じていたが、本実施形態によれば、このようなリスクを低減することができる、
【0286】
また、災害時に停車した列車について、その移動先を決定することによって、移動の要否のみならず、移動が必要とされた場合にその適切な移動先に係る情報を、当該列車の乗務員に提供することが可能となる。
【0287】
また、管理サーバ1において、路線情報サーバ6から停車禁止エリア情報D30を取得し、停車禁止エリア情報D30を用いて、列車の停車位置が停車禁止エリア情報D30に係る停車が認められないエリア内である場合に、当該列車が停車位置から移動することを要すると判定し、停車禁止エリア情報D30に係る停車が認められないエリア外の地点を当該列車の移動先とすべき場所と決定することで、予め定められた停車が認められないエリアの内外かを判断するのみで、容易に移動の要否を判定し、移動先を決定することが可能となる。
【0288】
また、管理サーバ1において、路線情報サーバ6から被災状況情報D31を取得し、当該情報を用いて災害時に停車した列車の移動の可否を判定し、移動可能であると判定した場合にのみ、移動の要否の判定において移動を要すると判定することで、線路やその周辺設備の被災によって列車の走行に支障が生じている場合にまで列車の移動を要するものと判定されることを防止できる。
【0289】
[(6) ステップS26:土砂災害危険時のアラートの発出]
続いて、降雨時において土砂災害発生の危険性がある場合に、土砂災害発生の危険性を知らせるアラートを発出する際の本システムの動作について、
図11のフローチャートに従って説明する。
【0290】
[ア 動作の流れ]
本システムによって情報を管理する所定のエリア内(地図情報D1に地図情報が含まれる地域内)の地方公共団体で降雨があると、管理サーバ1は、災害情報サーバ5から、気象庁が発する大雨警報の危険度分布に係る情報(大雨警報危険度分布情報D33)を取得する(ステップS26-1)。大雨警報危険度分布情報D33は、降雨時の浸水害発生の危険度の高まりを、地図上で1km四方の領域ごとに5段階で色分けして示す情報である。
【0291】
具体的には、気象庁の発する大雨警報の危険度分布に係る情報は、所定の間隔(10分間隔)で更新されることから、情報が更新される度に、当該情報を災害情報サーバ5が取得し、災害情報サーバ5において、取得した情報を即座に通信ネットワークNを介して管理サーバ1へと送信し、これを通信部13によって受信することで、管理サーバ1が大雨警報危険度分布情報D33を取得するようにすればよい。
【0292】
なお、ステップS26-1で取得する情報は、降雨時の災害発生の危険度の高まりを地域別に示す情報であればよく、必ずしも上記のような気象庁が発する大雨警報の危険度分布に係る情報に限られない。
【0293】
大雨警報危険度分布情報D33を取得する度に、管理サーバ1の制御部11は、取得した大雨警報危険度分布情報D33に、危険度が所定のレベル以上(例えば、5段階の内4段階以上)の地域が含まれているか否かを判定する(ステップS26-2)。
危険度が所定のレベル以上の地域が含まれていた場合、ステップS26-3に進み、含まれていなかった場合、ステップS26-1の情報の取得を継続する。
【0294】
ステップS26-1で取得した大雨警報危険度分布情報D33に、危険度が所定のレベル以上の地域が含まれていた場合、続いて管理サーバ1においては、災害情報サーバ5から、土石流等の土砂災害が発生した際に影響が生じる可能性のある線路上の範囲に係る情報(土砂災害影響範囲情報D34)を取得する(ステップS26-3)
【0295】
土砂災害影響範囲情報D34としては、予め、線路周辺の地形、地質等を調査の上、降雨時に土石流等の土砂災害が発生する可能性のある地点を選定し、当該地点に係る情報と、当該地点で土砂災害が発生したと想定した場合に影響がある(土砂災害の被害を受ける可能性のある)線路上の範囲に係る情報とを紐付けて、災害情報サーバ5に記憶させておけばよい。
【0296】
具体的な取得方法としては、例えば、管理サーバ1の制御部11が、通信部13から通信ネットワークNを介して、災害情報サーバ5へと土砂災害影響範囲情報D34を送信する旨の所定の指令を送信し、これを受信した災害情報サーバ5において、制御部51が、記憶部52に記憶された土砂災害影響範囲情報D34を通信部53から通信ネットワークNを介して管理サーバ1へと送信し、管理サーバ1は、災害情報サーバ5から送信されたデータを通信部13によって受信することによって、土砂災害影響範囲情報D34を取得すればよい。
【0297】
続いて、管理サーバ1の制御部11は、ステップS26-1で取得した大雨警報危険度分布情報D33及びステップS26-3で取得した土砂災害影響範囲情報D34に基づいて、アラート発出箇所(土砂災害の影響が及ぶ可能性があるものとして職員に通知すべき線路上の範囲)を決定する(ステップS26-4)。
【0298】
具体的には、ステップS26-2で判定した大雨警報危険度分布情報D33に係る危険度が所定のレベル以上の地域と、ステップS26-3で取得した土砂災害影響範囲情報D34に含まれる降雨時に土砂災害が発生する可能性のある地点に係る情報とを対比の上、土砂災害影響範囲情報D34に含まれる降雨時に土砂災害が発生する可能性のある地点に、大雨警報危険度分布情報D33に係る危険度が所定のレベル以上の地域内に位置している地点があった場合に、土砂災害影響範囲情報D34において当該地点と紐付けて記憶された線路上の範囲を、アラート発出箇所として決定すればよい。
なお、土砂災害影響範囲情報D34に含まれる降雨時に土砂災害が発生する可能性のある地点に、大雨警報危険度分布情報D33に係る危険度が所定のレベル以上の地域内に位置している地点がなかった場合には、アラート発出箇所は存在しないものとすればよい。
【0299】
ステップS26-4でアラート発出箇所を決定すると、管理サーバ1の制御部11は、決定したアラート発出箇所に係る情報であるアラート発出箇所情報D35を、アラート発出箇所に係る情報を表示部74に表示する旨の指令と共に、通信部13から通信ネットワークNを介して、職員端末7へと送信する(ステップS26-5)。
【0300】
アラート発出箇所情報D35としては、例えば、ステップS26-4でアラート発出箇所として決定した線路上の範囲を、地図上で線路の他の部分と異なる色で表示する等の方法で識別可能とした画像データを生成の上、当該画像データを、職員端末7へと送信すればよい。
【0301】
また、送信先の職員端末7としては、例えば、全職員端末7としてもよいし、選定したアラート発出箇所となる線路上の範囲から所定の距離内に位置する駅等に勤務する職員が所持する職員端末7としてもよい。また、職員端末7の側から送信の要求があった場合にのみ、当該職員端末7へと送信するようにしてもよい。
【0302】
通信部73によってアラート発出箇所情報D35を受信した職員端末7においては、制御部71が、管理サーバ1の指令に従って、受信したアラート発出箇所情報D35に基づき、アラート発出箇所に係る情報を、表示部74に表示させる(ステップS26-6)。
例えば、上記のようにアラート発出箇所情報D35が、ステップS26-4で決定した線路上の範囲を、地図上で線路の他の部分と異なる色で表示する等の方法で識別可能とした画像データとして生成されている場合には、当該画像データに係る画像を、表示部74に表示させればよい。
【0303】
[イ 効果の説明]
本実施形態に係る列車管理支援システム100によれば、上記のようにしてアラート発出箇所を決定することで、以下の効果を得ることができる。
【0304】
すなわち、本実施形態によれば、管理サーバ1において、降雨時の地域別の災害発生の危険度の高まりを示す情報である大雨警報危険度分布情報D33と、予め決定された土砂災害発生の可能性のある地点に係る情報を含む土砂災害影響範囲情報D34と、を取得し、これら情報を用いて、アラート発出箇所を決定する。
【0305】
これによって、予め決定された土砂災害発生の可能性がある地点に係る情報と、実際の降雨時の危険度の高まりに関する情報と、の両者を用いてアラート発出箇所を決定することから、高精度に、土砂災害の影響が及ぶ可能性がある線路上の範囲を、アラート発出箇所として決定することが可能となる。
【0306】
[第3 変形例]
次に、本実施形態に係る列車管理支援システム100の変形例について説明する。
【0307】
[1 職員端末における各種処理]
上記動作の説明においては、管理サーバ1において他のサーバ(地図情報サーバ2、列車情報サーバ3、人員情報サーバ4、災害情報サーバ5及び路線情報サーバ6)から取得した情報に基づいて、各種情報や画像の生成等の処理を行う場合について説明した。
【0308】
この点、職員端末7の負荷を低減する観点からは上記のように各種処理を管理サーバ1において行う方が好ましいものも、管理サーバ1を省略し、職員端末7において、地図情報サーバ2、列車情報サーバ3、人員情報サーバ4、災害情報サーバ5及び路線情報サーバ6から直接情報を取得し、上記動作の説明において管理サーバ1が行っていた処理を、記憶部72に記憶されたプログラムに従って行う構成とすることも可能である。
上記動作の説明において説明したように管理サーバ1において各種情報や画像の生成等の処理を行う場合、管理サーバ1が本発明における列車管理支援装置に該当し、これに代えて職員端末7が上記動作の説明において管理サーバ1が行っていた処理を行う場合、職員端末7が本発明における列車管理支援装置に該当することとなる。
【0309】
[2 乗車人数に係る情報の使用]
上記動作の説明における各ステップの説明においては、各列車の乗車率に係る情報である乗車率情報D3を、管理サーバ1が列車情報サーバ3から取得して使用する場合について説明したが、これに代えて、各列車の乗車人数に係る情報である乗車人数情報を、管理サーバ1が列車情報サーバ3から取得して使用するようにしてもよい。
【0310】
この場合、上記動作の説明における「乗車率」は「乗車人数」と置き換えられ、例えば、ステップS11において列車アイコンG113は列車の乗車率ではなく列車の乗車人数に応じて高さが変動するように表示され、運転間隔の調整時には、列車の乗車人数を均一化するようにして運転間隔を調整することとなる。
【0311】
列車の乗車率は、列車の乗車人数を所定の定員で除した数値に過ぎないことから、上記のように乗車率を算出することなく、乗車人数に係る情報を直接使用する場合においても、上記動作の説明において述べたのと同様の効果を得ることができる。
【0312】
[3 各画面の表示の変更]
上記動作の説明においては、
図12から
図15に示す画面のいずれにおいても、当該画面を閲覧する時点でのリアルタイムな情報が表示される場合について説明したが、いずれの画面についても、職員端末7を使用する鉄道事業者の職員が指定した過去の時刻に関する情報を表示できるようにしてもよい。また、この場合、リアルタイムな情報ではないことから、再生スピード(画面が遷移する速度)を調整可能としてもよい。
【0313】
また、
図13から
図15に示す画面のいずれにおいても、画面が高さ方向の情報を含む3D表示の画面である場合について図示したが、高さ方向の情報を含まない2D表示と、図示したような3D表示と、を切り替え可能としてもよい。
【0314】
また、
図13から
図15に示す画面のいずれにおいても、鉄道の線路を示す線路表示G111が平面状に表示される場合について図示したが、各線路の高さ(線路が位置する地点の標高)を反映し、立体的に線路が描画されるようにしてもよい。
【0315】
また、
図12から
図15に示す画面のいずれにおいても、列車の運行状況を示す運行状況表示が表示されるようにしてもよい。
運行状況表示としては、例えば、鉄道の路線図を表示した上で、当該路線図内の運行上のトラブル(運転見合わせ、遅延等)が生じている部分について、例えば色を変える等の方法で他の部分から識別できるように表示すればよい。
また、上記のような路線図の表示に加えて、具体的な運行上のトラブルが生じている路線名と、生じているトラブルの内容(運転見合わせ、遅延等のトラブルの種類や、運転見合わせの場合に運転再開時刻の見込み、遅延の場合に具体的な遅延時間等)についての情報と、を紐付けて、文字情報でも表示するようにしてもよい。
【0316】
[4 アイコンを表示させる列車の選択方法の変更]
上記動作の説明においては、列車アイコンG113を表示させる列車の選択方法として、ダイヤグラム上での選択(ステップS12)及び駅間所在列車表示からの選択(ステップS14)について説明したが、これらの他には、例えば、職員端末7の表示部74に表示された画面上に、所定の入力欄を表示させた上で、当該入力欄に列車番号等の列車を一意に特定可能な所定の種類の情報が入力された際に、当該情報によって特定される列車の走行位置を示す列車アイコンG113が地図上に表示される画面を生成の上、職員端末7の表示部74に表示させてもよい。
【0317】
また、ステップS14では駅間所在列車の一覧が表示される駅間所在列車表示G14を表示部74に表示させ、駅間所在列車の一覧から、列車アイコンG113を表示させる列車を選択する場合について説明したが、これに代えて、全列車の一覧や、駅に停車している列車の一覧を表示部74に表示させ、当該一覧から選択する構成とすることも可能である。
【0318】
[5 災害情報の施設ごとの表示]
ステップS23で生成した統合避難指示情報D23、ステップS24で生成した統合降水量情報D27、ステップS24で生成した統合河川水位情報D28等の情報に基づき、管理サーバ1において、
図17に示すような施設別災害情報表示画面G2を生成した上で、当該画面に係るデータを通信部13から通信ネットワークNを介して職員端末7へと送信することで、職員端末7において表示部74に表示させるようにしてもよい。
【0319】
施設別災害情報表示画面G2は、
図17に示すように、発表された避難指示、警報等が発表先の地方公共団体の名称と共に時系列に沿って表示される発表警報表示G21と、例えば駅等の施設毎に、当該施設が位置している地点について発表された避難指示、警報等が表示される発表施設表示G22と、凡例G23と、を含む。
【0320】
発表施設表示G22には、各施設が位置している地点について発表された避難指示、警報等の種類及び発表されていた時間が分かるグラフが表示される。発表された避難指示、警報等の種類は、グラフの色を基に、凡例G23に示された避難指示、警報等の種類毎に定められた色の凡例を参照することで識別できるようにすればよい。
【0321】
[6 輸送機器の変更]
上記動作の説明においては、全てのステップについて、乗客を輸送する輸送機器が列車である場合について説明したが、平常時動作については、例えばバス、飛行機等の所定の運行計画に従って乗客を輸送するために用いられるその他の輸送機器に適用することも可能である。
いずれの場合も、各輸送機器に乗っている乗客の人数(搭乗人数)を当該輸送機器について予め定められた定員数で割った数値が、当該輸送機器の搭乗率に該当することとなる。
【符号の説明】
【0322】
100 列車管理支援システム
1 管理サーバ(列車管理支援装置)
11 制御部(派遣経路決定手段、派遣人員決定手段、優先順位決定手段)
12 記憶部
13 通信部(第1取得手段、第2取得手段、第3取得手段、第4取得手段、第5取得手段、第6取得手段)
2 地図情報サーバ
3 列車情報サーバ
4 人員情報サーバ
5 災害情報サーバ
6 路線情報サーバ
7 職員端末
D1 地図情報
D2 在線位置情報(停車位置情報)
D3 乗車率情報
D17 人員一覧情報(人員リスト情報)
D18 人員位置情報(派遣可能人員位置情報)
D19 避難指示情報
D20 路線情報(線路情報)