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特開2024-57331ペダル装置およびこれを備えた作業機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057331
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】ペダル装置およびこれを備えた作業機械
(51)【国際特許分類】
   G05G 5/04 20060101AFI20240417BHJP
   E02F 9/16 20060101ALI20240417BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20240417BHJP
   G05G 1/38 20080401ALI20240417BHJP
   G05G 1/01 20080401ALI20240417BHJP
【FI】
G05G5/04 B
E02F9/16 J
G05G1/30 E
G05G1/38
G05G1/01 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022163994
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】池末 隆
【テーマコード(参考)】
2D015
3J070
【Fターム(参考)】
2D015EB00
3J070AA32
3J070BA03
3J070BA90
3J070CA43
3J070CC71
3J070CD06
3J070CD21
3J070DA21
(57)【要約】
【課題】コンパクトな構成で、ペダル操作の規制と規制解除とを容易に行うことが可能なペダル装置およびこれを備えた作業機械を提供すること。
【解決手段】ペダル装置80は、ペダル装置80は、ペダルの操作量を作業装置の駆動信号に変換して出力する変位検出変換部8と、変位検出変換部81に第1回動軸85を介して揺動可能に設けられ、前後方向に揺動操作されるペダル部90と、床部8の床面位置から立設され、ペダル部90の揺動を規制する規制部100と、を備える。ペダル部90には、規制部100に係合する係合凹部92dが設けられ、規制部100は、床部の床面位置から立設された支柱部101と、支柱部101の先端に設けられた規制片部102とを有し、当該規制片部102が係合凹部92dの内壁面と当接することによりペダル部90の揺動を規制する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダルの操作量応じた駆動信号を出力する操作変換部と、
前記操作変換部に第1回動軸を介して揺動可能に設けられたペダル部と、
前記ペダル部の揺動を規制する規制部と、
を備え、
前記ペダル部は、踏面に交わる方向に設けられた係合凹部を有し、
前記規制部は、前記係合凹部と当接することにより前記ペダル部の揺動を規制する、
ことを特徴とするペダル装置。
【請求項2】
前記ペダル部は、
前記操作変換部に取付けられた第1ペダルと、
前記第1ペダルに第2回動軸を介して回動可能に設けられた第2ペダルと、
を有し、
前記係合凹部は、前記第2ペダルの側部に設けられている、
請求項1に記載のペダル装置。
【請求項3】
前記第2回動軸の軸心方向が、前記第1回動軸の軸心方向に平行である、
請求項2に記載のペダル装置。
【請求項4】
前記規制部は、前記第1回動軸と前記第2回動軸との間に配置される、
請求項3に記載のペダル装置。
【請求項5】
前記係合凹部は、前記第1回動軸を中心とする第1円と、前記第2回動軸を中心とする第2円とが交差する位置に設けられている、
請求項3に記載のペダル装置。
【請求項6】
前記第1円は、前記第2円より大きい円である、
請求項5に記載のペダル装置。
【請求項7】
前記規制部は、前記係合凹部と当接する規制片部と、屈曲部を介して前記規制片部を支持する支柱部とを有する、
請求項1から請求項6のいずれかに記載のペダル装置。
【請求項8】
前記規制部の前記支柱部は板状部材から成り、前記第1回動軸の軸心方向を板厚方向として前記ペダル部の側方に配置される、
請求項7に記載のペダル装置。
【請求項9】
請求項1に記載のペダル装置を備えた作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械に取り付けられる作業装置を操作するために当該作業機械の運転席前方の床部に設けられるペダル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば掘削作業機等の作業機械には、運転席を有する運転部が設けられ、運転席前方の床部には、作業機械を走行させる走行レバーの他に、掘削装置等の作業装置を操作するための操作ペダルが配設されている。
【0003】
例えば特許文献1には、掘削作業機において、運転席の前側に配置されるペダル装置として、不用意な作業装置の動作を防ぐために、ペダル操作を規制する規制部(ストッパ手段)を備えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4690983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された構成において、上端側にストッパ杆が突設され回動軸を中心に前後に回動するレバーを有しする規制部を、ペダル装置のペダル部材よりも前側に配置している。そして、規制部のレバーを後方に回動させてペダル部材側の切欠きにストッパ杆を係合させることにより、ペダル部材の回動を固定するよう構成されている。このように、特許文献1に開示された構成では、ペダル装置において規制部をペダル部材よりも前側に配置しているため、運転席に着座したオペレータが規制部のレバーを動かす場合には、運転席から身を乗り出してレバーを操作する必要があった。したがって、ペダル操作の規制とその解除操作が煩雑となっていた。
【0006】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、コンパクトな構成で、ペダル操作の規制と規制解除とを容易に行うことが可能なペダル装置およびこれを備えた作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るペダル装置は、ペダルの操作量に応じた駆動信号を出力する操作変換部と、前記操作変換部に第1回動軸を介して揺動可能に設けられたペダル部と、前記ペダル部の揺動を規制する規制部と、を備え、前記ペダル部は、踏面に交わる方向に設けられた係合凹部を有し、前記規制部は、前記係合凹部と当接することにより前記ペダル部の揺動を規制する、ことを特徴とするものである。
【0008】
本発明の他の態様に係るペダル装置は、前記ペダル装置において、前記ペダル部は、前記操作変換部に取付けられた第1ペダルと、前記第1ペダルに第2回動軸を介して回動可能に設けられた第2ペダルと、を有し、前記係合凹部は、前記第2ペダルの側部に設けられている、ものである。
【0009】
本発明の他の態様に係るペダル装置は、前記ペダル装置において、前記第2回動軸の軸心方向が、前記第1回動軸の軸心方向に平行である。
【0010】
本発明の他の態様に係るペダル装置は、前記ペダル装置において、前記規制部は、前記第1回動軸と前記第2回動軸との間に配置される、ものである。
【0011】
本発明の他の態様に係るペダル装置は、前記ペダル装置において、前記係合凹部は、前記第1回動軸を中心とする第1円と、前記第2回動軸を中心とする第2円とが交差する位置に設けられている、ものである。
【0012】
本発明の他の態様に係るペダル装置は、前記ペダル装置において、前記第1円は、前記第2円より大きい円である。
【0013】
本発明の他の態様に係るペダル装置は、前記ペダル装置において、前記規制部は、前記係合凹部と当接する規制片部と、屈曲部を介して前記規制片部を支持する支柱部とを有する、ものである。
【0014】
本発明の他の態様に係るペダル装置は、前記ペダル装置において、前記規制部の前記支柱部は板状部材から成り、前記第1回動軸の軸心方向を板厚方向として前記ペダル部の側方に配置される、ものである。
【0015】
本発明に係る作業機械は、前記ペダル装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コンパクトな構成で、ペダル操作の規制と規制解除とを容易に行うことが可能なペダル装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るペダル装置を適用する掘削作業機の左側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るペダル装置の配置を説明する床部の平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るペダル装置の後方右上からの斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係るペダル装置の右側面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るペダル装置の平面図である。
図6】規制部の規制片部と第2ペダルの係合凹部との関係を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、例えば建設機械の運転席の前側床部に配置され、作業装置の操作時にオペレータが足で操作するペダル装置において、ペダルの操作を禁止するロック状態を実現するペダルロック構造を工夫することにより、コンパクトな構成のペダル装置を実現しつつペダルの操作性を向上させるものである。以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
本発明の実施の形態では、本発明に係るペダル装置を適用する作業機械として、旋回作業車である掘削作業機(ショベル)を例にとって説明する。ただし、本発明に係るペダル装置は、掘削作業機に限らず、例えば、ブルドーザ、クレーン作業機、コンパクトトラックローダ、スキッドステアローダ、ホイールローダ等の他の建設機械、もしくは、トラクタ、コンバイン等の農業機械にも広く適用可能である。
【0020】
本実施形態に係る掘削作業機1の全体構成について、図1を用いて説明する。なお、以下では、特に方向視を定めない限り、掘削作業機1の運転席に着座したオペレータの位置を基準に、「前側」、「後側」、「左右側」、「平面側」又は「上側」、「底面側」又は「下側」と称する。
【0021】
図1に示すように、掘削作業機1は、比較的小型のいわゆるショベルであり、自走可能な走行車体2と、走行車体2に取り付けられた作業装置としての掘削装置3および排土装置4を備える。
【0022】
掘削作業機1は、左右一対のクローラ式の走行部5,5と、左右の走行部5,5を支持する基台としてのトラックフレーム6と、トラックフレーム6上に設けられた旋回フレーム7とを有する。
【0023】
走行部5は、トラックフレーム6を構成する所定のフレーム部分に支持された複数のスプロケット等の回転体に履帯を巻回した構成を有する。走行部5は、後端部に回転体としての駆動スプロケット5aを有する。トラックフレーム6は、左右の走行部5,5間に位置するセンターフレーム部6aと、センターフレーム部6aの左右両側に設けられたサイドフレーム部6bとを有する。
【0024】
トラックフレーム6の前側には、排土装置4が取り付けられている。排土装置4は、左右の走行部5,5間において前後方向に伸延する一対の支持フレーム4bと、支持フレーム4bの先端側に設けられた排土板としてのブレード4aとを有する。排土装置4は、支持フレーム4bとトラックフレーム6との間に設けられたブレードシリンダ(図示せず)によって昇降回動可能に設けられている。
【0025】
旋回フレーム7は、平面視略円形状に構成され、トラックフレーム6に対して、トラックフレーム6の上側に設けられた旋回支持部であり旋回ベアリング6cにより、上下方向の軸線回りに左右いずれの方向にも旋回可能に設けられている。旋回フレーム7の後下部には、カウンタウエイト7aが設けられている。また、旋回フレーム7は、左右の走行部5,5の左右幅内、つまり左側の走行部5の左外側縁端と右側の走行部5の右側縁端との間の幅内で旋回可能に構成されている。これにより、掘削作業機1による小旋回作業が可能となっている。
【0026】
旋回フレーム7上には、運転部10が設けられている。運転部10の右側には、タンク部9が設けられている。タンク部9には、掘削作業機1が有する油圧シリンダ等の油圧アクチュエータに供給される作動油を収容する作動油タンクが設けられている。運転部10の床部8の左側が、運転部10に対するオペレータの乗降口となっている。また、旋回フレーム7上の後部には、駆動源として、原動機であるエンジン12が設けられている。旋回フレーム7の後部および右側面はボンネットおよび外装カバーによって覆われている。
【0027】
運転部10は、掘削装置3および走行部5を運転・操作するためのものである。旋回フレーム7上には、運転部10に対してキャノピ13が設けられている。キャノピ13は、旋回フレーム7の後部上方に立設された左右一対の支柱部36,36と、支柱部36,36に支持され前方に張り出して設けられたキャノピルーフ部38とを有する。キャノピルーフ部38は、運転部10を上方から覆っている。
【0028】
運転部10においては、床部8の後側に運転席支持台14が設けられており、運転席支持台14上に運転席15が設けられている。運転席15の前方には、左右一対の走行レバー16が、床部8から上方へ向けて延出した状態で設けられている。床部8上における走行レバー16の左右両側には、作業用の複数の操作ペダルが配設されている。また、運転部10において、運転席15の周囲には、掘削装置3等の作業部を操作するための作業操作レバー17およびスイッチ等の各種操作部を有する操作パネル部等が設けられている。
【0029】
掘削装置3は、掘削作業機1の前側に設けられたフロント作業装置である。旋回フレーム7の前端の左右中央部には、掘削装置3を支持する支持ブラケット18が前方に向けて突設されている。支持ブラケット18に、掘削装置3の基端部をなすブーム支持ブラケット19が、上下方向を回動軸方向として回動可能に支持させている。掘削装置3は、ブーム支持ブラケット19と旋回フレーム7との間に設けられたスイング用油圧シリンダ(図示せず)により、旋回フレーム7に対して左右にスイングするように設けられている。
【0030】
掘削装置3は、側面視でブーメラン状に屈曲した形状を有し掘削装置3の基部側の部分を構成するブーム21と、ブーム21の先端側に連結されたアーム22と、アーム22の先端部に取り付けられたバケット23とを有する。掘削装置3は、ブーム21を回動動作させるブームシリンダ26と、アーム22を回動動作させるアームシリンダ27と、バケット23を回動動作させる作業具シリンダ28とを有する。これらのシリンダは、いずれも油圧シリンダである。掘削装置3においては、作業内容に応じてバケット23に替えてグラップルまたはブレーカ等の他の装置が装着される。
【0031】
以上のような構成を備えた掘削作業機1においては、運転席15に着座したオペレータにより走行レバー16、作業操作レバー17、および、操作ペダルが適宜操作されることで、所望の動作・作業が行われる。
【0032】
運転部10において、運転席15前側の床部8における操作ペダルの配置について、図2を参照して説明する。
【0033】
床部8は、オペレータが足で操作する複数の操作ペダルを取り付ける前ステップ部8aと、前ステップ部8aの後方に連設される後ステップ部8bとを含んで構成されている。前ステップ部8aに右側から順にスイングペダル41、走行ペダル42、および、本実施形態に係るペダル装置80が配置されている。
【0034】
走行ペダル42は、運転席15の正面となる前ステップ部8aの中央位置に、上方に突出するように設けられた左右一対の走行レバー16の下部にそれぞれ設けられている。左右一対の走行ペダル42および左右一対の走行レバー16は、掘削作業機1を前後直進走行および左右旋回走行させるときに操作されるものである。走行ペダル42および走行レバー16は互いの動きが連動するように構成されている。
【0035】
走行ペダル42の右側には、スイングペダル41が配置されている。スイングペダル41は、掘削装置3のブーム21の基端を支持するブーム支持ブラケット19を左右に揺動させる図示しないスイングシリンダ用の操作ペダルである。
【0036】
走行ペダル42の左側には、ペダル装置80が配置されている。走行ペダル42の左側に配置されるペダルは、PTOペダルとも呼称されている。PTOペダルは、バケット23に替えて例えば建築資材等を挟むグラップル、もしくは、コンクリートを振動により破砕するブレーカ等の付属作業装置(アタッチメント)を装着した場合の、アタッチメント用の操作ペダルである。掘削作業機1には、複数の油圧アクチュエータに対する作動油の給排を制御するコントロールバルブ(図示せず)が搭載されており、このコントロールバルブには、PTOサービスポートが設けられている。PTOサービスポートは、例えばショベルの標準仕様に追加されるアタッチメントが油圧アクチュエータの作動により動作するものである場合に、当該アタッチメントの油圧アクチュエータに対して作動油を給排する給排管が接続されるポートである。すなわち、PTOペダルは、PTOサービスポートに接続される油圧アクチュエータ用の操作ペダルである。
【0037】
ペダル装置80は、平面視において、全体として前後方向が長尺となる略矩形状の形状を有し、オペレータの足による操作により、上下方向に揺動可能に構成されている。ペダル装置80は、床部8のオペレータから見て左斜め前方となる位置に、オペレータの左足での操作の便宜の観点から、先端側がやや外向きとなるように前後方向に対して所定の角度(例えば、5~15度)傾けた状態で配置されている。
【0038】
本実施形態に係るペダル装置80の詳細な構成について、図3から図5を参照して説明する。なお、図3から図5においては、上段側(a)にオペレータがペダル装置80を操作する必要がないペダル非操作時の状態、下段側(b)にオペレータがペダル装置80を操作する必要があるペダル操作時の状態を示している。
【0039】
ペダル装置80は、ペダルの操作量を検出し、作業装置の駆動信号に変換して出力する操作変換部として変位検出変換部81を備えた電気式ペダル装置である。なお、ペダル装置としては、油圧信号を作業装置の駆動信号として出力可能な油圧式ペダル装置も適用可能である。変位検出変換部81は、ペダルの変位を電気的に検出して、コントロールバルブに与えるパイロット圧等を制御する信号を、通信線81aを介して出力するように構成されている。ペダル装置80は、変位検出変換部81に第1回動軸85を介して揺動可能に設けられたペダル部90と、ペダル部90の揺動を規制する規制部100を備えている。
【0040】
ペダル装置80は、変位検出変換部81を固定するとともに、ペダル装置80を床部8に取り付けるための固定板部82を有している。変位検出変換部81の上部に設けたフランジ部81bを固定板部82にネジ締結することにより、変位検出変換部81が固定板部82に固定される。固定板部82の形状は、図5に示すように、その上面に規制部100を立設可能な領域を確保するため、右辺部が台形状に突出した略矩形状の形状を有する。なお、固定板部82は、床部8を支える図示しない支持枠の位置および他のペダルの位置を考慮して様々な形状を取り得る。固定板部82をネジ締結等により前ステップ部8aの所定の位置に取り付けることにより、変位検出変換部81が固定板部82を介して床下に配設される。固定板部82を省略して、変位検出変換部81のフランジ部81bを床部8に直接固定するようにしてもよい。
【0041】
固定板部82よりも上側となるフランジ部81bの上方には、ペダル部90の操作量(変位量)を変位検出変換部81に伝達するペダル操作伝達機構等が設けられている。ペダル操作伝達機構は、略左右方向を軸心方向としてペダル部90を回動させる第1回動軸85を含んでいる。これらの構成は、防塵・防水のため、ゴム等の弾性部材により形成された蛇腹状のブーツ84により覆われている。
【0042】
ペダル部90は、変位検出変換部81に対して前後方向に揺動可能に取り付けられた第1ペダル91と、第1ペダル91の後部位置に第2回動軸86を介して回動可能に設けられた第2ペダル92と、を有する。ペダル部90は、ペダル非操作時には第1ペダル91に対して第2ペダル92を重ねて格納する折り畳み式ペダルである。ペダル操作とブーツ84内の第1回動軸85の回動とが連動するように、第1ペダル91が支持部93を介してブーツ84の上端に連結される。また、第2ペダル92は、第1ペダル91に対して格納される格納位置と第1ペダル91より後方に張り出した展開位置との間で回動する。
【0043】
第1ペダル91は、前後方向が長尺となる略矩形状の踏板部91aと、踏板部91aの後端部に左右端縁から下方に略直角に折り曲げるように延設された左右一対の支持片91cを有する。踏板部91aの上面は、図4に示すようにオペレータが足Fを載せる踏面であり、踏板部91aには、オペレータの靴裏に付着した土などを下方に落とすための孔部91bが形成されている。また、孔部91bは、第1ペダル91をブーツ84内のペダル操作伝達機構側に固定するボルトを操作するための空間を確保する組立用の開口部分となる。左右一対の支持片91c(図3(a)参照)のそれぞれには、第2ペダル92を枢支する第2回動軸86を挿通する枢支孔が設けられている。
【0044】
第1ペダル91は、支持部93により支持されている。支持部93は、ブーツ84の上端にネジ締結により連結される水平板部93aと、水平板部93aから斜め上方に立ち上がる起立板部93bとを含み、水平板部93aと起立板部93bがなす角度が大凡90度~110度となるように板金を折り曲げ加工して形成されている。
【0045】
第1ペダル91の踏板部91aは、その前端が支持部93の起立板部93bの上端に、その後端が支持部93の水平板部93aの後端にそれぞれ溶接等により固着されている。これにより、第1ペダル91の踏板部91aが支持部93に支持される。すなわち、第1ペダル91は、支持部93により前高後低に傾斜させた状態で支持される。踏板部91aの傾斜角は、20度~30度程度である。第1ペダル91は、起立板部93bを介してブーツ84内のペダル操作伝達機構を構成する第1回動軸85に接続されることにより、上下方向に揺動可能に構成される。また、図4(b)に示すように、支持部93による支持構造は、第1ペダル91と支持部93により左右方向が開放された側面視略三角形の枠を形成する。これにより、第1ペダル91の踏板部91aの孔部91bから落下する土等をペダル装置80の左右の床部8に容易に排出でき、第1ペダル91の踏面における土等の堆積が防止される。
【0046】
第2ペダル92は、平面視において前後方向が長尺となる略矩形状の形状を有し、板金を曲げ加工等して形成されたものである。第2ペダル92は、第1ペダル91の幅よりやや広幅に形成されたカバー板部92aと、第2ペダル92が第1ペダル91の踏面を覆う姿勢のときにカバー板部92aの前側において左側に突出して設けられた前側操作片92bと、カバー板部92aの左右両端から略直角に折り曲げて延設された左右の側板部92cと、を有する。
【0047】
左右の側板部92cのそれぞれには、第2ペダル92が第1ペダル91の踏面を覆う姿勢のときに後端側となる位置に、第1ペダル91の支持片91cに形成された枢支孔に対応する孔部が形成されている。第2ペダル92は第1ペダル91に対して、第1ペダル91側の枢支孔と第2ペダル92側の孔部とを貫通して設けられる第2回動軸86により回動可能に連結される。
【0048】
前側操作片92bは、第2ペダル92が第1ペダル91の踏面を覆う格納姿勢から踏面を開放する展開姿勢まで第2ペダル92を回動させるときに、オペレータの左足の足先(親指側)を引っかける部分である。本実施形態では、前側操作片92bを左の側板部92cから左側に突出するように設けているが、ペダル装置80を例えば走行ペダル42および走行レバー16よりも右側に配置する場合には、右の側板部92cから右側に突出させて形成してもよい。カバー板部92aに対する前側操作片92bの形成位置については、床部8上の限られたスペースにおいて走行ペダル42および走行レバー16との干渉を避ける観点から、前側操作片92bは、左右方向について走行ペダル42および走行レバー16側と反対側に設けられることが好ましい。
【0049】
係合凹部92dは、後述する規制部100の先端に設けられ規制片部102が入り込む部分である。係合凹部92dは、ペダル部90の踏面に交わる方向を凹部の深さ方向として設けられている。より具体的には、係合凹部92dは、第2ペダル92が第1ペダル91の踏面を覆う格納姿勢のときに上面となる第2ペダル92のカバー板部92aの板面と略直交する方向を凹部の深さ方向として、右の側板部92cに設けられている。係合凹部92dは、第2ペダル92が格納姿勢のときに、第2ペダル92の右の側板部92cの中央よりやや後方側に設けられている。また、係合凹部92dは、前後方向において、第1回動軸85と第2回動軸86との間に設けられている。係合凹部92dは、第2ペダル92の右の側板部92cにおいて、図4(a)に示すように第2ペダル92が格納姿勢のときに、係合凹部92dの底部の中心が、第1回動軸85の軸心を中心とする第1円Pと第2回動軸86の軸心を中心とする第2円Qとの交点Rに一致するように設けられる。ここで、係合凹部92dの底部の中心の位置は、図4(a)に示すような側面視で曲線または直線として表れる係合凹部92dの底部における曲線上または直線上の中心の位置である。また、交点Rは、第1円Pと第2円Qの接線同士が直交または略直交する点となる。また、係合凹部92dは、交点Rを通るカバー板部92aの板面に直交する直線Lに沿って右の側板部92cの端縁から切り欠いて形成されている。第2回動軸86を中心に第2ペダル92を回動させると、係合凹部92dの底部の中心が第2円Qの円周に沿って移動する。第1円Pおよび第2円Qの大きさは、後述する規制部100との位置関係により適宜変更されるが、本実施形態では、第1円Pよりも第2円Q方が小さくなるよう構成している。すなわち、第1円Pおよび第2円Qの関係は、第1円Pの中心から交点Rまでの距離である第1円Pの半径よりも、第2円Qの中心から交点Rまでの距離である第2円Qの半径の方が小さいものとしている。
【0050】
規制部100は、ペダル部90の右側であって、第2ペダル92を第1ペダル91に対して枢支させる第2回動軸86よりも前方に設けられる。より具体的には、規制部100の規制片部102は、前後方向において第1回動軸85と第2回動軸86との間に設けられている。規制部100は、板金を屈曲加工して形成されたものであり、略左右方向すなわち第1回動軸85の軸心方向を板厚方向として固定板部82に立設される支柱部101と、支柱部101の先端に設けられる規制片部102とを有している。また、支柱部101と規制片部102との間には屈曲部103が設けられている。
【0051】
規制片部102は、第2ペダル92の係合凹部92dに対して進退可能な板厚を有する。屈曲部103は、規制片部102の板厚方向を支柱部101の板厚方向と異なる向きにするための部分である。本実施形態では、支柱部101は第1回動軸85の軸心方向を板厚方向としているのに対し、規制片部102は屈曲部103により略前後方向が板厚方向となるように支柱部101からペダル部90側に向けて突出させている。また、屈曲部103は、第2ペダル92が第1ペダル91に重なっているときの係合凹部92dの開口方向に対応するように規制片部102を傾斜させている(図4(a)参照)。図4(a)に示すように、規制片部102が第2ペダル92の係合凹部92dに係合した状態(ロック状態)において、側面視で板面を直線状とする規制片部102は、その板面が直線Lに沿う部分となる。つまり、規制片部102は、ロック状態において、側面視で板面が直線Lに沿う傾斜面部として設けられている。さらに、規制片部102は、側面視でその板面を第1円Pの径方向に沿わせるように設けられている。また、第2ペダル92は、図4(a)に示すロック状態において、カバー板部92aの板面が交点Rにおける第1円Pの接線と平行または略平行となるように構成されている。
【0052】
以上のような構成を備えたペダル装置80のオペレータによる操作について説明する。図6は、規制部100の規制片部102と第2ペダル92の係合凹部92dとの関係を説明する説明図であり、第2ペダル92が第1ペダル91の踏板部91aを覆っている格納状態のときの、規制片部102および係合凹部92dと関係を示している。図6(a)は、規制片部102が係合凹部92dに入り込んでいる状態、図6(b)は、規制片部102の前側板面102aが係合凹部92dの一方の内側壁面に当接している状態、図6(c)は、規制片部102の後側板面102bが係合凹部92dの他方の内側壁面に当接している状態をそれぞれ示している。
【0053】
オペレータがペダル装置80を操作する必要がないペダル非操作時では、第2ペダル92が第1ペダル91の踏板部91aを覆った状態、すなわち、第2ペダル92を折り畳んで第1ペダル91の上に重ねた格納状態としている(図3(a)、図4(a)および図5(a)参照)。このとき、第2ペダル92は、第1ペダル91の踏面を被覆してオペレータの足置きとなる。
【0054】
ペダル装置80では、ペダル部90において第1ペダル91の上に第2ペダル92が重なっているときには、規制部100の規制片部102が第2ペダル92の係合凹部92dに入るように構成されている。このとき、ペダル部90に上からの荷重が加えられていない状態では、図6(a)に示すように、規制片部102と係合凹部92dの内壁との間には隙間が形成されている。第2ペダル92が第1ペダル91の踏板部91a上に重なっているだけの状態では、係合凹部92dと規制片部102との間には遊びが設けられることから、第2ペダル92を格納位置から展開位置に移動させるときの回動をスムーズに行うことができる。
【0055】
第2ペダル92が第1ペダル91の上に重なった格納位置にある状態で、オペレータがペダル部90を前側に踏み込んだときには、図6(b)に示すように、規制片部102の前側板面102aが係合凹部92dの前後の内側壁面のうち、一方となる前側の内側壁面に当接する。これにより、第1回動軸85を中心とするペダル部90の前方向への揺動が規制される。一方で、第2ペダル92が第1ペダル91の上に重なった格納位置にある状態で、オペレータがペダル部90を後側に踏み込んだときには、図6(c)に示すように、規制片部102の後側板面102bが係合凹部92dの前後の内側壁面のうち、他方となる後側の内側壁面に当接する。これにより、第1回動軸85を中心とするペダル部90の後方向への揺動が規制される。すなわち、第2ペダル92が格納位置にあるときに、ペダル部90に上から荷重が加えられると、規制部100の規制片部102と第2ペダル92の係合凹部92dとの係合作用により、ペダル操作が禁止されるロック状態となる。
【0056】
また、第2ペダル92をペダル非操作時の格納位置からペダル操作時の展開位置に回動させるときには、オペレータは、足置きとして利用していたペダル部90から足を外してペダル部90への荷重を解除し、図6(a)に示すように、規制片部102と係合凹部92dの内壁との間に隙間が形成される状態とする。規制片部102と係合凹部92dとの間で物理的な引っかかりがないため、第2ペダル92は、格納位置から展開位置に容易に回動可能となる。オペレータは前側操作片92bを足先で引っ掛けて手前に引き寄せる動作を行うことにより、第2ペダル92を、格納位置から展開位置に容易に回動させることができる。
【0057】
第2ペダル92を回動させて展開位置とすると、第1ペダル91の踏板部91aがオペレータのつま先側の踏面となり、上下面が反転したカバー板部92aがオペレータの踵側の踏面となる。このとき、第2ペダル92の係合凹部92dの開口が上を向く状態となり、規制部100の規制片部102の上部が開放された状態となる。したがって、規制部100によりペダル部90の揺動が規制されることがない。オペレータがペダル部90を前後のいずれかの方向に踏み込むペダル操作を行うことにより、ブーツ84内のペダル操作伝達機構等を介して変位検出変換部81がペダル変位量を検出し変位量に応じた電気信号を出力する。これにより、例えばバケット23に替えて取り付けられたグラップル等の付属作業装置が動作する。
【0058】
本実施形態に係るペダル装置80では、規制部100をペダル部90の右側の前後方向における中央付近(第1回動軸85の近傍)に設けた例を示したが、規制部100の配置はこれに限定されない。例えば、ペダル部90の左右側のいずれかにおいて、より前側に設けてもよい。この場合は、規制片部102に対応する係合凹部92dを第2ペダル92の先端側に設ければよい。また、係合凹部92dを第2回動軸86よりも後方となる位置に形成し、規制部100をペダル部90の後端側に設けるようにしてもよい。第2ペダル92側の係合凹部92dと規制部100側の規制片部102との相対的位置関係により、固定板部82の形状は規制部100の固定に適した形に変形される。
【0059】
また、本実施形態に係るペダル装置80では、規制部100の規制片部102を側面視において垂直よりも後方側に傾けて設けたことから、第2ペダル92の係合凹部92dも規制片部102の傾きに対応させて、係合凹部92dをその深さ方向が踏面と略直交する方向となるように設けているが、これに限定されない。例えば、側面視において規制片部102の板厚の中心線が垂直方向に一致するように設けられている場合には、係合凹部92dも規制片部102の向きに対応させて、踏面と任意の角度で交わる略垂直方向が深さ方向となるように側板部92cに設けられる。すなわち、係合凹部92dは、規制部100の規制片部102の向きに応じて、側板部92cの端縁から踏面となるカバー板部92aに向かって切り欠かれた窪みであればよい。
【0060】
また、本実施形態に係るペダル装置80では、第2ペダル92の側板部92cに切り欠き等を形成することにより係合凹部92dを設けているが、これに限定されない。例えば、第2ペダル92の側面に、第2ペダル92とは別体として形成された係合凹部を有する部材を取り付けるようにしてもよい。
【0061】
以上のような構成を備えた本実施形態に係るペダル装置80を適用した掘削作業機1は、次のような構成を備えていると言える。すなわち、掘削作業機1は、掘削作業機1に取り付けられる作業装置を操作するために掘削作業機1の運転席15前方の床部8にペダル装置80を設けている。
【0062】
また、本実施形態に係るペダル装置80は、次のような構成を備えていると言える。すなわち、ペダル装置80は、ペダルの操作量を作業装置の駆動信号に変換して出力する操作変換部(変位検出変換部81)と、操作変換部(変位検出変換部81)に第1回動軸85を介して揺動可能に設けられ、前後方向に揺動操作されるペダル部90と、床部8の床面位置から立設され、ペダル部90の揺動を規制する規制部100と、を備えている。
【0063】
さらに、ペダル部90は、ペダルの踏面に交わる方向を深さ方向として設けられた係合凹部92dを有し、規制部100は、係合凹部92dと当接することによりペダル部90の揺動を規制するものである。また、規制部100は、床部8の床面位置から立設された支柱部101と、支柱部101の先端に設けられた規制片部102とを有し、当該規制片部102が係合凹部92dの内壁面と当接することによりペダル部90の揺動を規制する、ものである。
【0064】
以上のような構成を備えた本実施形態に係るペダル装置80によれば、ペダル操作を禁止するロック状態を容易に実現することが可能となる。さらに、構成部品点数を減少させペダル装置80をコンパクトに構成することができる。
【0065】
また、本実施形態に係るペダル装置80は、操作変換部(変位検出変換部81)に取付けられた第1ペダル91と、第1ペダル91に第2回動軸86を介して回動可能に設けられた第2ペダル92と、を有し、係合凹部92dが第2ペダル92の側板部92cに設けられている。
【0066】
本実施形態に係るペダル装置80によれば、第2ペダル92を第1ペダル91に対して回動可能に設けたことにより、ペダル非操作時には、第2ペダル92を格納して足置きとして利用でき、オペレータの掘削作業機1の運転時の快適性を高めることができる。また、ペダル非操作時には、第2ペダル92が格納されるため、床部8のスペースを有効利用することが可能となる。さらに、ペダル操作時には、第2ペダル92が後方に張り出すことで、オペレータの足の載置面を拡大することができ、ペダルの操作性が向上する。
【0067】
また、本実施形態に係るペダル装置80によれば、第2ペダル92が格納された状態では、オペレータが誤ってペダル部90を踏み込んだとしても、規制部100の規制片部102と第2ペダル92の側板部92cに設けられた係合凹部92dとの係止作用により、ペダル部90の揺動が規制される。このように、ペダル操作を安全にロックすることができるため、オペレータが意図しない作業装置の動作が起こることがない。
【0068】
また、第2ペダル92を格納状態から展開状態に回動させると、係合凹部92dが規制部100の規制片部102を覆わない状態となり、ペダル部90はオペレータの踏み込み量に応じた揺動が可能となる。このように、第2ペダル92を回動させることで、ペダル操作を禁止するロック状態を容易に解除することができる。
【0069】
また、本実施形態に係るペダル装置80では、第2回動軸86の軸心方向が、第1回動軸85の軸心方向に平行である。このように、第1回動軸85と第2回動軸86を平行に設けて、ペダル部90の揺動軸(第1回動軸85)と第2ペダル92の回動軸(第2回動軸86)の軸方向を左右方向にそろえることにより、ペダル操作時には第2ペダル92は後方に張り出すことになる。したがって、ペダル装置の幅方向(左右方向)のスペースを従来よりも削減でき、オペレータの操作性も向上させることができる。また、第2回動軸86および第1回動軸85の軸方向を互いに平行とすることにより、ペダル部90を操作する際の足の動きと同様の動きによって第2ペダル92の操作を行うことができるので、良好な操作性を得ることができる。さらに、ペダル非操作時には、ペダル装置80の前後方向の大きさを縮小して第2ペダル92をコンパクトに格納可能であることから、オペレータの運転部10への乗り降り、および、他の操作ペダルの操作の妨げになることを防ぐことができる。
【0070】
本実施形態に係るペダル装置80では、規制部100は、第1回動軸85と第2回動軸86との間に配置される。より具体的には、規制部100において係合凹部92dに係合する規制片部102がペダル部90の側方であって、前後方向において第1回動軸85と第2回動軸86との間に配置される。このように、規制部100はペダル部90の前後に配置されることがないため、ペダル装置の前後方向の大きさをコンパクトにすることができる。さらに、第2ペダル92により近い位置に規制部100を配置することで、規制部100における支柱部101の長さを短くすることができ、上方からの荷重に対する支柱部101の座屈を防ぐことができる。このように、規制部100の強度を確保しつつペダル装置をより省スペース化することが可能となる。
【0071】
また、本実施形態に係るペダル装置80では、係合凹部92dは、第1回動軸85を中心とする第1円Pと、第2回動軸86を中心とする第2円Qとが交差する位置に設けられている。このように、第2ペダル92の回動軌跡と第1ペダル91の揺動軌跡を考慮して係合凹部92dを位置決めすることで、第2ペダル92の第2回動軸86を中心とする移動と、係合凹部92dと規制片部102との係合とを容易に両立することができ、安全にペダル操作をロックすることが可能となる。また、係合凹部92dに対して規制片部102をスムーズに嵌合させることができ、ロックおよびロック解除の操作についての操作性を向上することができる。さらに、係合凹部92dの幅を規制片部102の板厚に近付けることができるため、ロック状態における規制部100に対する第2ペダル92のズレを抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態に係るペダル装置80では、第2円Qの方が第1円Pより小さい円とすることで、装置をよりコンパクト化することができる。
【0073】
また、本実施形態に係るペダル装置80では、規制部100は、規制片部102と支柱部101との間に屈曲部103を有していることから、支柱部101に対する規制片部102の傾きを係合凹部92dの位置及び形状に応じて変更できる。また、規制部100が屈曲部103を有することにより、第2ペダル92に対する係合部分を傾斜状の部分としながら、支柱部101を固定板部82に対して垂直状に立設した部分とすることができる。これにより、固定板部82に対して溶接等により部品を固定することで設けられる規制部100を容易に設けることができる。
【0074】
また、本実施形態に係るペダル装置80では、規制部100の支柱部101は板状部材から成り、第1回動軸85の軸心方向を板厚方向としてペダル部90の側方に配置されていることから、ペダル装置80の左右方向の幅を省スペース化することができる。これにより、ペダル装置80の右または左側に設けられる他の操作ペダルとの関係性において床部8におけるペダル配置の自由度が向上する。
【0075】
上述した実施形態の説明は本発明の一例であり、本発明に係るペダル装置は上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。また、本開示に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0076】
上述した実施形態では、本発明に係るペダル装置80をブーメラン状のブーム21を備えた掘削作業機1のアタッチメント操作用のペダル装置として採用した例を説明したが、これに限定されない。建設機械では、例えば、ブーメラン状のブーム21に替えて機体に対して左右方向に回動可能に構成されたオフセットブームを備えた掘削作業機のオフセットシリンダ操作用のペダル装置として、本発明に係るペダル装置を採用することができる。また、農業機械では、例えば、トラクタの後部に油圧シリンダにより動作する草刈機を取り付けた場合に、草刈機の油圧シリンダ操作用のペダル装置として、本発明に係るペダル装置を採用することができる。
【0077】
上述した実施形態では、ペダル装置80として電気式ペダル装置を例に説明したが、これに限定されない。ペダル装置は、ペダルの操作量をコントロールバルブに伝達可能な操作変換部を備えたものであればよく、操作変換方式は、パイロット弁を備えた油圧式であってもよく、リンク部材等を介して操作力を機械的に伝達する機械式であってもよい。
【0078】
なお、本発明は、以下の態様をとることができる。
(付記1)
ペダルの操作量応じた駆動信号を出力する操作変換部と、
前記操作変換部に第1回動軸を介して揺動可能に設けられたペダル部と、
前記ペダル部の揺動を規制する規制部と、
を備え、
前記ペダル部は、踏面に交わる方向に設けられた係合凹部を有し、
前記規制部は、前記係合凹部と当接することにより前記ペダル部の揺動を規制する、
ことを特徴とするペダル装置。
(付記2)
前記ペダル部は、
前記操作変換部に取付けられた第1ペダルと、
前記第1ペダルに第2回動軸を介して回動可能に設けられた第2ペダルと、
を有し、
前記係合凹部は、前記第2ペダルの側部に設けられている、
(付記1)に記載のペダル装置。
(付記3)
前記第2回動軸の軸心方向が、前記第1回動軸の軸心方向に平行である、
(付記2)に記載のペダル装置。
(付記4)
前記規制部は、前記第1回動軸と前記第2回動軸との間に配置される、
(付記2)または(付記3)に記載のペダル装置。
(付記5)
前記係合凹部は、前記第1回動軸を中心とする第1円と、前記第2回動軸を中心とする第2円とが交差する位置に設けられている、
(付記2)から(付記4)のいずれかに記載のペダル装置。
(付記6)
前記第1円は、前記第2円より大きい円である、
(付記5)のいずれかに記載のペダル装置。
(付記7)
前記規制部は、前記係合凹部と当接する規制片部と、屈曲部を介して前記規制片部を支持する支柱部とを有する、
(付記1)から(付記6)のいずれかに記載のペダル装置。
(付記8)
前記規制部の前記支柱部は板状部材から成り、前記第1回動軸の軸心方向を板厚方向として前記ペダル部の側方に配置される、
(付記7)に記載のペダル装置。
(付記9)
(付記1)から(付記8)のいずれかに記載のペダル装置を備えた作業機械。
【符号の説明】
【0079】
1 掘削作業機(作業機械)
2 走行車両
3 掘削装置
5 走行部
7 旋回フレーム
8 床部
8a 前ステップ部
8b 後ステップ部
15 運転席
80 ペダル装置
81 変位検出変換部(操作変換部)
81a 通信線
81b フランジ部
82 固定板部
84 ブーツ
85 第1回動軸
86 第2回動軸
90 ペダル部
91 第1ペダル
91a 踏板部
92 第2ペダル
92c 側板部
92d 係合凹部
93 支持部
93a 水平板部
93b 起立板部
100 規制部
101 支柱部
102 規制片
103 屈曲部
P 第1円
Q 第2円
R 交点
図1
図2
図3
図4
図5
図6