(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005734
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20240110BHJP
G06F 3/04847 20220101ALI20240110BHJP
【FI】
G05B23/02 301Q
G05B23/02 301Z
G06F3/04847
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106070
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 弘徳
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和樹
【テーマコード(参考)】
3C223
5E555
【Fターム(参考)】
3C223AA11
3C223BA03
3C223BB01
3C223CC02
3C223DD03
3C223FF02
3C223FF12
3C223FF13
3C223FF35
3C223FF42
3C223GG01
3C223HH03
3C223HH08
3C223HH17
3C223HH29
5E555AA10
5E555AA26
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5E555BC04
5E555CA13
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5E555CC01
5E555CC19
5E555DB56
5E555DC19
5E555DD06
5E555EA07
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】センサに適切なしきい値を容易に決定可能なようにユーザをサポートする情報を提供する。
【解決手段】システムは、センシングの状態を表すプロセス値をしきい値で評価した結果を出力するセンサ15を接続する通信インターフェイスと、プロセス値を表すグラフィカルオブジェクトを、しきい値を表すグラフィカルオブジェクトとともに表示部に表示させるユーザインターフェイス(UI)部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センシングの状態を表すプロセス値をしきい値で評価した結果を出力するセンサを接続する通信インターフェイスと、
前記プロセス値を表すグラフィカルオブジェクトを、しきい値を表すグラフィカルオブジェクトとともに表示部に表示させる第1のユーザインターフェイス(UI)部と、を備えるシステム。
【請求項2】
前記プロセス値を表すグラフィカルオブジェクトは、前記センサから取得したプロセス値を表すグラフィカルオブジェクトを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセス値を表すグラフィカルオブジェクトは、プロセス値の統計情報を表すグラフィカルオブジェクトを含む、または前記プロセス値の統計情報を表すオブジェクトをさらに備える、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセス値を表すグラフィカルオブジェクトは、前記結果が予め定められた値であるときのプロセス値を表すグラフィカルオブジェクトを含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項5】
前記グラフィカルオブジェクトが表すプロセス値は、前記通信インターフェイスを介して前記センサから受信されるプロセス値を含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項6】
前記グラフィカルオブジェクトが表すしきい値は、前記通信インターフェイスを介して前記センサから受信されるしきい値を含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項7】
前記しきい値を表すグラフィカルオブジェクトに対するユーザ操作を受付ける操作部を、さらに備え、
受付けられた前記ユーザ操作に基づき当該グラフィカルオブジェクトが表すしきい値を変更する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項8】
前記グラフィカルオブジェクトで表示されたしきい値を、前記通信インターフェイスに接続される前記センサに送信する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記グラフィカルオブジェクトで表示されたしきい値を、前記通信インターフェイスに接続される前記センサに送信する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項10】
プロセス値の統計情報を表すオブジェクトを表示部に表示させる前記第1のUI部または第2のユーザインターフェイス(UI)部を、さらに備える、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項11】
センシングの状態を表すプロセス値をしきい値で評価した結果を出力するセンサと通信するステップと、
前記プロセス値を表すグラフィカルオブジェクトを、しきい値を表すグラフィカルオブジェクトとともに表示部に表示させるステップと、を備える方法。
【請求項12】
方法をプロセッサに実行させるためのプログラムであって、
前記方法は、
センシングの状態を表すプロセス値をしきい値で評価した結果を出力するセンサと通信するステップと、
前記プロセス値を表すグラフィカルオブジェクトを、しきい値を表すグラフィカルオブジェクトとともに表示部に表示させるステップと、を備える、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、システム、方法およびプログラムに関し、特に、センサのしきい値を表示するシステム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
FA(Factory Automation:ファクトリオートメーション)の生産ラインに備えられるセンサからの情報をディスプレイに表示する技術が提案されている。例えば、特許文献1(特開2021-117569号公報)では、センサは測定した状態量をしきい値と比較し、比較結果を示す判定出力を生成する。このセンサに対する外部コンピュータは、センサから状態量と判定出力を受信し、予め定められた判定出力であるとき状態量を1つ以上のグラフで画面に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
センサが取り付けられる生産ラインの環境はセンサ毎に異なり、また、この環境は時間で変化する。そのため、生産現場のユーザからは、センサに適切なしきい値を容易に決定したいとのニーズがある。特許文献1は、センサから転送された状態量を表示する仕組みを提案するが、当該ニーズに応える構成は開示しない。
【0005】
本開示は、センサに適切なしきい値を容易に決定可能なようにユーザをサポートする情報を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例に係るシステムは、センシングの状態を表すプロセス値をしきい値で評価した結果を出力するセンサを接続する通信インターフェイスと、プロセス値を表すグラフィカルオブジェクトを、しきい値を表すグラフィカルオブジェクトとともに表示部に表示させる第1のユーザインターフェイス(UI)部と、を備える。
【0007】
上記のシステムでは、センサのプロセス値としきい値がグラフィカルオブジェクトで表示される。このような可視化されたグラフィカルオブジェクトを、センサに適切なしきい値を決定可能なようにユーザをサポートする情報として提供することができる。
【0008】
上述のシステムでは、プロセス値を表すグラフィカルオブジェクトは、センサから取得したプロセス値を表すグラフィカルオブジェクトを含む。
【0009】
上記のシステムでは、センサから間接的な通信、例えば記録媒体を介した遣り取りで取得したプロセス値を、グラフィカルオブジェクトで表示できる。
【0010】
上述のプロセス値を表すグラフィカルオブジェクトは、プロセス値の統計情報を表すグラフィカルオブジェクトを含む、またはプロセス値の統計情報を表すオブジェクトをさらに備える。
【0011】
上記のシステムでは、プロセス値を表すグラフィカルオブジェクトは、プロセス値の統計情報を表すグラフィカルオブジェクトを含む、またはプロセス値を表すグラフィカルオブジェクトは、プロセス値の統計情報を表すオブジェクトをさらに備える。
【0012】
上述のシステムでは、プロセス値を表すグラフィカルオブジェクトは、結果が予め定められた値であるときのプロセス値を表すグラフィカルオブジェクトを含む。
【0013】
上記のシステムでは、グラフィカルオブジェクトで表される対象のプロセス値を、評価の結果が予め定められた値であるときのプロセス値とすることができる。
【0014】
上述のシステムでは、グラフィカルオブジェクトが表すプロセス値は、通信インターフェイスを介してセンサから受信されるプロセス値を含む。
【0015】
上記のシステムでは、通信インターフェィスを介してセンサから受信したプロセス値をグラフィカルオブジェクトで表示できる。
【0016】
上述のシステムでは、グラフィカルオブジェクトが表すしきい値は、通信インターフェイスを介してセンサから受信されるしきい値を含む。
【0017】
上記のシステムでは、通信インターフェィスを介してセンサから受信したしきい値をグラフィカルオブジェクトで表示できる。
【0018】
上述のシステムは、さらに、しきい値を表すグラフィカルオブジェクトに対するユーザ操作を受付ける操作部を備え、受付けられたユーザ操作に基づき当該グラフィカルオブジェクトが表すしきい値を変更する。
【0019】
上記のシステムによれば、グラフィカルオブジェクトで表示されるしきい値を、ユーザ操作によって変更できる。
【0020】
上述のシステムでは、グラフィカルオブジェクトで表示されたしきい値を、通信インターフェイスに接続されるセンサに送信する。
【0021】
上記のシステムでは、グラフィカルオブジェクトで表示されたしきい値を、センサに送信することができる。
【0022】
上述のシステムは、プロセス値の統計情報を表すオブジェクトを表示部に表示させる上記の第1のUI部または第2のユーザインターフェイス(UI)部を、さらに備える。
【0023】
上記のシステムは、プロセス値の統計情報を表すオブジェクトを表示部に表示させる上記の第1のUI部またはプロセス値の統計情報を表すオブジェクトを表示部に表示させる第2のUI部を、さらに備えて構成される。
【0024】
本開示の一例に係る方法は、センシングの状態を表すプロセス値をしきい値で評価した結果を出力するセンサと通信するステップと、プロセス値を表すグラフィカルオブジェクトを、しきい値を表すグラフィカルオブジェクトとともに表示部に表示させるステップと、を備える。
【0025】
上記の方法では、センサのプロセス値としきい値がグラフィカルオブジェクトで表示される。このような可視化されたグラフィカルオブジェクトを、センサに適切なしきい値を決定可能なようにユーザをサポートする情報として提供することができる。
【0026】
本開示の一例に係るプログラムは、方法をプロセッサに実行させるためのプログラムであって、方法は、センシングの状態を表すプロセス値をしきい値で評価した結果を出力するセンサと通信するステップと、プロセス値を表すグラフィカルオブジェクトを、しきい値を表すグラフィカルオブジェクトとともに表示部に表示させるステップと、を備える。
【0027】
上記のプログラムが実行されると、センサのプロセス値としきい値がグラフィカルオブジェクトで表示される。このような可視化されたグラフィカルオブジェクトを、センサに適切なしきい値を決定可能なようにユーザをサポートする情報として提供することができる。
【発明の効果】
【0028】
本開示によれば、センサに適切なしきい値を容易に決定可能なようにユーザをサポートする情報を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本実施の形態に係る制御システムの全体構成例を示す模式図である。
【
図2】本実施の形態に係るセンサ15の概略ブロック図である。
【
図3】
図2のセンサ15のセンシングの結果を説明する図である。
【
図4】
図2のセンサ15の信号処理部200の評価処理を示す概略フローチャートである。
【
図5】本実施の形態に係るPLC100のハードウェア構成例を示す模式図である。
【
図6】本実施の形態に係るサポート装置500のハードウェア構成を概略的に示す図である。
【
図7】本実施の形態に係るサポート装置500のモジュール構成を示す図である。
【
図8】本実施の形態に係るUI画面の一例を示す図である。
【
図9】本実施の形態に係るUI画面の他の例を示す図である。
【
図10】本実施の形態に係るUI画面の他の例を示す図である。
【
図11】本実施の形態に係る統計データ55を用いたUI画面の一例を示す図である。
【
図12】本実施の形態に係る統計データ55を用いたUI画面の一例を示す図である。
【
図13】本実施の形態に係る統計データの他の表示例を示す図である。
【
図14】本実施の形態に係る統計データの他の表示例を示す図である。
【
図15】本実施の形態に係る統計データの他の表示例を示す図である。
【
図16】本実施の形態に係る統計データの他の表示例を示す図である。
【
図17】本実施の形態に係る処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0031】
<A.適用例>
まず、本発明が適用される場面の一例について説明する。
【0032】
図1は、本実施の形態に係る制御システムの全体構成例を示す模式図である。
図1を参照して、制御システムは、FA(Factory Automation)に適用されて、主たる構成要素として、制御対象を制御するPLC(Programmable Logic Controller)100と、PLC100にポート112aを介して接続され得るサポート装置500とを含む。制御システムは、オプショナルな構成として、ログファイルの記憶部を備える上位サーバ300をさらに含んでいてもよい。サポート装置500は、制御システムについてのHMI(Human Machine Interface)装置の一例である。サポート装置500は、制御システムの稼働状況を遠隔からモニタする、または、制御に係る各種プログラム等の開発環境を提供するなどの各種ツールをユーザに提供する。このようなHMI装置は、サポート装置500に限定されず、プログラグラマブル表示器などが含まれてもよい。
【0033】
PLC100は、ワークの生産ラインに備えられる各種のフィールド機器を制御する。このようなフィールド機器には、1つ以上のセンサ15と図示しない各種アクチュエータなどを含む。
図1では、フィールド機器としてセンサ15のみが示されて、他のフィールド機器の図示は略されている。
【0034】
PLC100は、ポート116aに接続されるフィールドネットワーク11を介してIOユニット12と通信するとともに、ポート120aに接続される上位ネットワークを介して上位サーバ300と通信する。PLC100は、それぞれのネットワークを介して、接続された装置との間でデータを遣り取りする。IOユニット12には、センサケーブルを介して1または複数のセンサ15を接続する。フィールドネットワーク11は、例えばEthernet(登録商標)をベースとしたEthernet/IP、PROFINET、EtherCATなどのネットワークが適用され得る。また、上位ネットワークには、産業用Ethernetなどのネットワークを適用できる。
【0035】
サポート装置500は、ポータブル型のコンピュータで構成される。サポート装置500がPLC100と通信する形態は、サポート装置500がPLC100のポート112aを介して通信する態様に限定されず、上位ネットワークを経由してPLC100と通信する態様であってもよい。また、サポート装置500は、IOユニット12に接続可能に構成され得る。サポート装置500は、センサ15とデータを遣り取りする場合、IOユニット12を介してセンサ15とデータを遣り取りする態様、PLC100およびIOユニット12を介してセンサ15とデータを遣り取りする態様を含み得る。本実施の形態では、サポート装置500は、PLC100およびIOユニット12の両者を介してセンサ15とデータを遣り取りする。
【0036】
PLC100は、設備や機械等のフィールド機器を制御するための制御指令を算出する制御演算処理14を実行するとともに、IOリフレッシュ26の処理を実行する。IOリフレッシュ26では、制御指令に従って動作するフィールド機器から状態値を収集し、制御演算処理14では状態値に基づいて演算処理を実行することで制御指令を生成する。IOリフレッシュ26は、生成された制御指令をフィールド機器に出力する。PLC100では、このような制御演算処理14とIOリフレッシュ26の処理が周期的に繰返し実行される。
【0037】
本明細書において、「状態値」は、任意の対象(制御対象または監視対象)にて観測できる値を包含する用語であり、例えば、任意のセンサ15のセンシングの状態を表すプロセス値を含む。
【0038】
IOユニット12は、センサ15が属するネットワークとPLC100が属するネットワークとの間の通信を中継する、または、センサ15が属するネットワークとサポート装置500が属するネットワークとの間の通信を中継するゲートウェイの機能を担う。IOユニット12は、プロセッサとメモリを備える。IOユニット12は、IO-Link(登録商標)マスタとして提供されてもよい。IOユニット12は、IEC61131-9等の予め定められた通信プロトコルを用いてセンサ15と通信する。
【0039】
センサ15は、対象についてセンシングし、センシングの状態を表すプロセス値をしきい値で評価し、評価の結果を出力するよう構成されている。センサ15の種類毎にセンシングの対象は相違する。センサ15は、当該センサ15の識別子、プロセス値および評価結果を互いに関連付けて含む形式のデータを、周期的にIOユニット12に転送する。IOユニット12は、センサ15から転送されたデータを、フィールドネットワーク11を介してPLC100へ転送する。IOユニット12とPLC100の通信周期であるIOリフレッシュ26の実行周期と、センサ15がIOユニット12と通信する周期は同じであってもよく、相違してもよい。相違する場合、センサ15からのデータ21は、IOユニット12の内部のメモリにおいてバッファリングされ得る。
【0040】
サポート装置500は、データ取得と、UI(User Interface)ツールと、センサ15にしきい値を設定するために当該しきい値を転送する機能とを提供する。データ取得では、サポート装置500はPLC100と通信することにより、センサ15のプロセス値を含むデータを取得する。UIツールはUI画面を作成し、サポート装置500が有するディスプレイなどの表示部に表示する。UI画面は1または複数の視覚化されたオブジェクトを含んで構成される。本実施の形態では、UI画面を構成するオブジェクトは、グラフィカルオブジェクトと文字オブジェクトを含み、文字オブジェクトは、1または複数の文字を含む文字列のみからなるオブジェクトを示し、文字オブジェクトを除くオブジェクトはグラフィカルオブジェクトに属する。グラフィカルオブジェクトは、例えばアイコン、ウインドウ、ツールバー、ボタン、スライダー、エディットボックス、目盛付きスケール、目盛付きダイヤルなどの画像を含む。
【0041】
サポート装置500は、UI画面において、取得されたプロセス値を表すグラフィカルオブジェクトを、しきい値を表すグラフィカルオブジェクトとともにディスプレイに表示させる。このようなUIツールによって、センサ15のプロセス値としきい値が可視化されることで、プロセス値がしきい値にどの程度近いかの判断をサポートする情報がユーザに提供される。
【0042】
また、サポート装置500は、UIツールによって、しきい値を表すグラフィカルオブジェクトに対するユーザ操作に基づきグラフィカルオブジェクトが表すしきい値を変更する。サポート装置500は、変更後のしきい値を、PLC100を介してセンサ15に転送する。これにより、サポート装置500では、UIツールを介して、センサ15に変更後のしきい値を設定可能な環境が提供される。
【0043】
本実施の形態では、PLC100とサポート装置500を別体として構成されているが、PLC100の構成はこれに限定されない。例えば、PLC100は、PLCの機能とサポート装置500の機能を内蔵して備える産業用のコンピュータ(所謂IPC:Industrial Personal Computer)を備えて構成されてもよい。また、サポート装置500が提供するデータ取得およびUIツールなどの機能は上位サーバ300が備えてもよい。
【0044】
本実施の形態では、センサ15の一例として、近接センサが示される。近接センサは、例えば、電波、音波、光などを出射し、その反射を検出することで対象の存在の有無の検出、対象との距離の測定(検出)を非接触でセンシングするよう構成される。なお、センサ15は、近接センサに限定されず他の種類のセンサであってもよい。他の種類のセンサは、流量を検出し検出流量をしきい値と比較し結果を出力する流量センサ、ひずみゲージの抵抗値から圧力を検出(算出)し、検出された圧力をしきい値と比較し結果を出力する圧力センサなどを含み得る。
【0045】
以下、本実施の形態のより具体的な応用例について説明する。
【0046】
<B.センサの構成>
図2は、本実施の形態に係るセンサ15の概略ブロック図である。
図3には、センサ15の一例として近接センサの1種である光電センサのハードウェア構成が示される。
図3を参照して、センサ15は、マイクロプロセッサなどの回路と記憶部210を有した信号処理部200と、信号処理部200に接続される回路部を有する。このような回路部は、発光素子を有する投光部202と、受光素子を有する受光部203と、信号処理部200からの出力を表示する表示部204と、ユーザ操作が可能なキーまたはスイッチなどを含む入力部205と、IOユニット12と通信するための通信インターフェィス19と、センサ15の各部に電力を供給する電源部201とを含む。電源部201には、GND電位に接続された電気コード18と、Vcc電位に接続された電気コード17を介して給電される。
【0047】
投光部202は、発光素子であるLED(Light Emitting Diode)202aと、LED202aを駆動するためのLED駆動部202bとを含む。受光部203は、受光素子であるPD(Photodiode)203aと、PD203aの出力を増幅するための増幅部203bとを含む。
【0048】
信号処理部200の記憶部210は、プログラムを格納する領域やプログラムの実行に必要なワーキング領域、およびデータを格納するための書き換え可能な領域を含んで構成される。この記憶部に210に格納されるデータは、しきい値20と、1つ以上のデータ21を含む。データ21は、センサ15のセンシングの状態を表すプロセス値23と、当該プロセス値23のしきい値20を用いた評価の結果示す評価結果24とを含む。
【0049】
LED駆動部202bの作用によりLED202aから出力された光は、光が出射された領域において透過または反射する。PD203aは、このような透過または反射による光を受光し光電変換する。光電変換されて生じた出力信号は、増幅部203bおよびA/D(Analog-Digital)変換器(図示せず)を介して、信号処理部200に出力される。このように、投光部202および受光部203は、ワークなどの対象物を透過あるいは反射した物理量である受光量を検出する。
【0050】
次に、以上述べた電気的なハードウェア構成を前提として、信号処理部200においてプログラムが実行されることで実現される構成について説明する。
図3は、
図2のセンサ15のセンシングの結果を説明する図である。
図4は、
図2のセンサ15の信号処理部200の評価処理を示す概略フローチャートである。
【0051】
図4を参照して、信号処理部200によって実行される処理について説明する。処理が開始されると、まず投受光処理(ステップ806)が実行される。この投受光処理(ステップ806)では、
図2に示されるLED202aは投光駆動部201bによって駆動されて、光を出射する。同時に、出射されて反射又は透過した光はPD202bにより受光されて、受光量を示す電気信号は信号処理部200に出力される。
【0052】
続いて、ON/OFF判定処理(ステップ807)が実行される。このON/OFF判定処理(ステップ807)においては、信号処理部200は、プロセス値23である受光量をしきい値20と比較し、比較の結果に基づき、受光量を評価する。より具体的には、比較の結果に基づき、検出対象距離における物体の存在の有無が判定される。すなわち、検出対象領域に物体が存在すれば、判定結果はON(オン)となり、存在しなければ判定結果はOFF(オフ)とされる。
【0053】
ステップS807のON/OFF判定処理を、
図3を参照して説明する。まず、センサ15は、検出対象距離の範囲において対象物の存在を検出すると、検出(センシング)の状態がどの程度かを定量的に示すプロセス値23を検出する。このプロセス値23は検知された受光量(階調値)を含む。センサ15の検出対象距離は、センサ15に近い方の距離を示すNear側しきい値と遠い方の距離を示すFar側しきい値との間の範囲で示される。本実施の形態では、センサ15の検出対象距離を示すNear側しきい値とFar側しきい値を含むしきい値20がセンサ15に設定(格納)される。本実施の形態では、センサ15の端子の設定としてノーマリオープンN.OまたはノーマリクローズN.Cを採用することができる。センサ15は、
図3の(B)に示すように、ノーマリオープン設定時に検出対象距離の範囲において物体の存在を検出すると「ON」を判定(
図3の(B)の左側参照)し、それ以外の範囲で物体の存在を検出すると「OFF」を判定し、ノーマリクローズ設定時に検出対象距離の範囲において物体の存在を検出すると「OFF」を判定(
図3の(B)の右側参照)し、それ以外の範囲で物体の存在を検出すると「OFF」を判定するよう構成され得る。または、センサ15は、
図3の(C)に示すように、ノーマリオープン設定時に検出対象距離の範囲において物体の存在を検出すると「OFF」を判定(
図3の(C)の左側参照)し、それ以外の範囲で物体の存在を検出すると「ON」を判定し、ノーマリクローズ設定時に検出対象距離の範囲において物体の存在を検出すると「ON」(
図3の(C)の右側参照)を判定し、それ以外の範囲で物体の存在を検出すると「OFF」を判定するよう構成され得る。
【0054】
しきい値20は、Near側しきい値とFar側しきい値の組合わせに限定されず、センサ15に対してNear側とFar側の距離範囲を1個のしきい値で区分してもよい。この場合、例えば
図3の(A)に示すように、センサ15は、ノーマリオープン設定時にしきい値20よりもNear側の距離範囲において物体の存在を検出すると「ON」を判定し、しきい値20よりもFar側の距離範囲において物体の存在を検出すると「OFF」を判定する(
図3の(A)の左側参照)。センサ15は、ノーマリクローズ設定時にしきい値20よりもNear側の距離範囲において物体の存在を検出すると「OFF」を判定し、しきい値20よりもFar側の距離範囲において物体の存在を検出すると「ON」を判定する(
図3の(A)の右側参照)。
【0055】
このように、センサ15の端子の接点態様としきい値20に基づき、センサ15が物体を検出した場合にON判定およびOFF判定のいずれを出力するかを異ならせることができる。以下では、説明を簡単にするために、センサ15のしきい値20はNear側しきい値とFar側しきい値を含む。ステップS807のON/OFF判定処理では、信号処理部200は、受光量をセンサ15と物体の間の距離というプロセス値に換算し、距離をNear側しきい値とFar側しきい値との間で示される検出対象距離と比較し、比較結果が算出距離は検出対象距離の範囲に該当することを示すと判定すると、信号処理部200はONを出力し、判定しない場合はOFFを出力する。このようにステップS807のON/OFF判定処理の出力は、受光量または距離を示すプロセス値23をしきい値20で評価した評価結果24を示す。
【0056】
図4に戻る。上記に述べたON/OFF判定処理(ステップ807)が終了すると、出力制御処理(ステップ808)が実行される。出力制御処理では、信号処理部200は、ON/OFF判定処理で取得された受光量または検出距離などのプロセス値23と、当該プロセス値23に基づくON/OFF判定処理の出力である評価結果24とを含むデータ21を生成し、記憶部210に格納する。また、出力制御処理では、表示部204が有するランプをON/OFF判定処理の判定出力に基いて点灯/消灯する。
【0057】
図4の処理は、センサ15の稼働時において予め定められた時間T秒毎に繰り返し実行され、その結果、記憶部210には1または複数のデータ21が格納され得る。なお、データ21には、プロセス値23が取得された時刻のデータが格納されてもよい。
【0058】
<C.PLCの構成>
図5は、本実施の形態に係るPLC100のハードウェア構成例を示す模式図である。
図5を参照して、PLC100は、主たるコンポーネントとして、PLC100の各部に電力PWを供給する電源回路101と、CPU(Central Processing Unit)102と、チップセット104と、主に揮発性記憶媒体からなるメモリ106と、主に不揮発性記憶媒体からなるストレージ108と、USB(Universal Serial Bus)コントローラ112と、フィールドネットワークコントローラ113と、メモリカードインターフェイス114と、タイマ115と、ネットワークコントローラ120とを含む。
【0059】
CPU102は、ストレージ108またはSDカード116に格納された制御プログラム140を含むユーザプログラムを読出して、メモリ106に展開する。CPU102は、展開されたプログラムを解釈および実行することで、PLC100の各部を制御し、制御対象を制御するための制御演算処理14を実現する。また、CPU102は、ストレージ108またはSDカード116に格納されたプログラムを読出して、メモリ106に展開する。CPU102は、展開されたプログラムを解釈および実行することで、各部を制御する。
【0060】
メモリ106は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)またはSRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性記憶装置で構成される。ストレージ108は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置で構成されるが、一部は、揮発性ストレージで構成されてもよい。
【0061】
チップセット104は、CPU102と各コンポーネントとの間のデータの遣り取りを仲介することで、PLC100全体としての処理を実現する。
【0062】
ストレージ108には、OS(Operating System)131およびスケジューラプログラム132を有するシステムプログラム1082に加えて、制御対象に応じて作成される制御プログラム140と、PLC100が外部装置と通信するための各種通信プロトコルに従った通信プログラム260と、実行されるとIOリフレッシュ26の処理を実現するIOリフレッシュプログラム40とが格納される。ストレージ108には、さらに、制御に関して収集されるデータを格納する領域41と、記憶部に相当するデータ蓄積部290の領域を構成する内部メモリ320と、各種の設定情報30とを有する。
【0063】
本実施の形態では、データ蓄積部290のデータの格納形式は、例えばCSV(comma separated values)ファイルなどのテキストデータファイルを含み得る。このようなファイルには、IOユニット12を介して各センサ15について、当該センサ15から転送されたデータ21を蓄積するログファイルを含む。
【0064】
USBコントローラ112は、USB(Universal Serial Bus)接続のポート112aを介して任意の情報処理装置との間のデータの遣り取りを担当する。任意の情報処理装置には、たとえば、サポート装置500が含まれる。
【0065】
フィールドネットワークコントローラ113は、センサ15を含むフィールド機器が属するフィールドネットワーク11を接続するポート116aを有し、PLC100とフィールドネットワーク11を介したフィールド機器を含む他の装置との間のデータの遣り取りを制御する。フィールドネットワークコントローラ113は、フィールドネットワーク11から受信する観測値およびPLC100からフィールドネットワーク11に出力される制御指令を、それぞれ、入力データ154および出力データ155として格納する内部バッファを有する。上記の観測値には、センサ15から転送されるデータ21が含まれる。
【0066】
メモリカードインターフェイス114は、SDカード116が脱着自在に構成される。CPU102の制御のもとで、メモリカードインターフェイス114は、SDカード116に対して情報を書込むとともに、SDカード116から情報の読出す。SDカード116について読み書きされる情報は、制御プログラム140を含むアプリケーションプログラム、各種設定などのデータなどを含む。
【0067】
ネットワークコントローラ120は、PLC100を、上位サーバ300が属する上位ネットワークに接続するポート120aを有し、上位ネットワークを介した上位サーバ300などの装置とPLC100との間のデータの遣り取りを制御する。
【0068】
CPU102は、1または複数のプロセッサを含む。1または複数のプロセッサは制御プログラム140およびIOリフレッシュプログラム40を、スケジューラプログラム132が実施するスケジューリングのもと、予め定められた周期(例えば制御周期)で繰り返し実行することにより、上記に述べた制御演算処理14およびIOリフレッシュ26の処理を実施してフィールドネットワーク11に接続される機器を周期的に制御する。
【0069】
センサ15からのデータ21を含むフィールド機器からの観測値はIOリフレッシュ26の処理により入力データ154として領域41に格納されて、制御プログラム140は入力データ154に基づく制御演算処理14を実行し、算出された制御指令は領域41に出力データ155として格納されて、出力データ155の制御指令は領域41から読出されてフィールド機器に出力される。
【0070】
このように、PLC100がIOリフレッシュ26の処理および制御演算処理14を、周期的に繰返し実施することで、フィールド機器を、互いに同期して制御するとともに、各センサ15からの観測値であるデータ21を収集する。収集されるデータ21は、データ蓄積部290の内部メモリ320のログファイルに蓄積(格納)される。
【0071】
図2には、CPU102がプログラムを実行することで必要な機能が提供される構成例を示したが、これらの提供される機能の一部または全部を、専用のハードウェア回路(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)を用いて実装してもよい。あるいは、PLC100の主要部を、汎用的なアーキテクチャに従うハードウェア(例えば、汎用パソコンをベースとした産業用パソコン)を用いて実現してもよい。この場合には、マルチコア技術を適用して処理を並列に実行してもよい。または、仮想化技術を用いて、用途の異なる複数のOSを並列的に実行させるとともに、各OS上で必要なアプリケーションを実行させるようにしてもよい。
【0072】
<D.サポート装置のハードウェア構成>
図6は、本実施の形態に係るサポート装置500のハードウェア構成を概略的に示す図である。
図6を参照して、サポート装置500は、CPU510、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性の記憶装置で構成されるメモリ512、タイマ513、HDDなどの不揮発性に記憶装置で構成されるハードディスク514、入力インターフェイス518、表示コントローラ520、通信インターフェイス524、データリーダ/ライタ526を含む。これらの各部は、バス528を介して互いにデータ通信が可能なように接続されている。
【0073】
入力インターフェイス518は、CPU510とキーボード532、マウス(図示せず)、タッチパネル530などの入力装置との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ520は、表示部としてのディスプレイ522と接続され、CPU510における処理の結果などをディスプレイ522に表示させる。キーボード532とディスプレイ522は一体的に構成されることで、タッチパネル530として提供されてもよい。通信インターフェイス524は、図示しないUSBポートを有し、当該USBポートを介してPLC100と通信する。データリーダ/ライタ526は、CPU510と外部の記憶媒体であるメモリカード516との間のデータ伝送を仲介する。
【0074】
ハードディスク514には、プログラムを格納するプログラム領域5とデータを格納するデータ領域4とを含む。プログラム領域5には、汎用OSを含むシステムプログラム50と、実行されるUIツールを提供するUIツールプログラム51と、センサ15からのデータ21を取得するデータ取得プログラム52と、しきい値20をセンサ15に転送するためのしきい値転送プログラム53と、しきい値の統計量を算出するための統計プログラム54とが格納される。
【0075】
なお、
図5のSDカード116および
図6のメモリカード516などの装置に着脱自在の記憶媒体は、揮発性記憶媒体または不揮発性記憶媒体を含み、例えば、CF(Compact Flash)、SD(Secure Digital)などの汎用的な半導体記憶デバイス、またはフレキシブルディスク(Flexible Disk)などの磁気記憶媒体、またはCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記憶媒体を含む。
【0076】
<E.サポート装置のソフトウェア構成>
図7は、本実施の形態に係るサポート装置500のモジュール構成を示す図である。
図7を参照して、サポート装置500は、UIツールプログラム51が実行されることで実現されるUIモジュール511と、データ取得プログラム52が実行されることで実現されるデータ取得モジュール521と、統計プログラム54が実行されることで実現される統計モジュール540と、しきい値転送プログラム53が実行されることで実現される転送モジュール531とを備える。
【0077】
データ取得モジュール521は、通信インターフェイス524およびPLC100を介した通信により、センサ15からデータ21としきい値20とを取得し、データ領域4に格納する。このようにデータ取得モジュール521によって取得されるデータ21は、PLC100がIOリフレッシュ26によってセンサ15から収集したデータ21、または、内部メモリ320のログファイルが有するデータ21を含み得る。また、データ取得モジュール521によって取得されるしきい値20は、PLC100がセンサ15に対してリクエストすることによりIOユニット12を介してセンサ15から転送されたしきい値を含む。
【0078】
UIモジュール511は、プロセス値を表すオブジェクトをしきい値を表すオブジェクトとともに、表示コントローラ520を介してディスプレイ522に表示させる。プロセス値を表すオブジェクトは、データ領域4に格納されているデータ21が示すプロセス値23、または、統計モジュール540が算出するプロセス値23の統計値を表すオブジェクトを含む。UIモジュール511は、データ領域4のデータ21のうち評価結果24が“ON”を示すデータ21のプロセス値23についてオブジェクトを表示する。
【0079】
UIモジュール511は、ディスプレイ522に表示されるオブジェクトに対するユーザ操作を入力インターフェイス518を介して受付ける。このようなオブジェクトに対するユーザ操作は、タッチパネル530またはキーボード532を介して受付けるユーザ操作を含む。ディスプレイ522のしきい値を表すオブジェクトに対するユーザ操作を受付けた場合、UIモジュール511は、受付けたユーザの操作量に基づきオブジェクトの表示態様を変更するとともに、変更前のオブジェクトが表していたしきい値をオブジェクトに対する操作量に基づき変更する。UIモジュール511は、このような変更後のしきい値311を、調整後しきい値311としてデータ領域4に格納する。UIモジュール511は、データ領域4の調整後しきい値311を、最も最近に受付けたユーザ操作量を反映した値を示すように管理する。
【0080】
UIモジュール511が後述するボタン60に対するユーザ操作を受付けると、転送モジュール531は、データ領域4から調整後しきい値311を読出し、通信インターフェイス524を介してPLC100に転送する。PLC100は、サポート装置500から受信した調整後しきい値311を設定するためにセンサ15に転送する。なお、転送モジュール531は、調整後しきい値311をIOユニット12を介してセンサ15に転送してもよい。
【0081】
統計モジュール540は、データ領域4に格納されるデータ21のプロセス値23から統計演算によって統計値を算出し、算出された統計値を示す統計データ55を取得する。統計データ55はデータ領域4に格納される。このような統計値の演算において、統計モジュール540は、データ領域4の複数のデータ21のうち評価結果24が“ON”を示すデータ21を抽出し、抽出したデータ21のプロセス値23について統計演算を実施する。統計演算は、プロセス値23の代表値(最頻値、中央値、平均値)を算出する演算、プロセス値の23の正規分布(ガウス分布)を算出する演算、度数分布を算出する演算などを含む。UIモジュール511は、統計データ55の正規分布から、当該正規分布を表す曲線グラフを表すオブジェクトを生成し、また、統計データ55の度数分布から、当該度数を表す度数分布表またはヒストグラムを表すグラフィカルオブジェクトを生成する。
【0082】
図7の各モジュールは、本実施の形態では、プログラムを実行することで実現されるとしているが、これらモジュールが提供する少なくとも一部の機能は、演算回路を有したASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのプロセッサ回路(processing circuitry)を含んで実装されるようにしてもよい。
【0083】
図7に示す各モジュールを実現するプログラムまたはデータは、サポート装置500に付属するメモリカード516、フレキシブルディスク、CD-ROM、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュROM、HDD(Hard Disc Drive)などの記録媒体を含むコンピュータ読取り可能な記録媒体に記録させて、プログラム製品として提供することもできる。
【0084】
また、上記のプログラムまたはデータは、ネットワークから通信インターフェイスを介したダウンロードによって、サポート装置500に提供することもできる。
【0085】
サポート装置500にプログラムまたはデータを提供するための上記の記録媒体は、コンピュータその他装置、機械等が記録されたプログラム等の情報を読み取り可能なように、当該プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的または化学的作用によって蓄積する媒体である。
【0086】
<F.UI画面の表示例>
UIモジュール511によってディスプレイ522に表示されるUI画面の例を
図8~
図16を参照して説明する。ここでは、UI画面においてグラフィカルオブジェクトで表されるプロセス値は、センサ15によって検出された距離と受光量(階調値)を含む。また、UI画面においてグラフィカルオブジェクトで表されるしきい値は、距離についてのNear側しきい値とFar側しきい値と、受光量についてのNear側しきい値とFar側しきい値を含む。受光量のNear側しきい値は距離のNear側しきい値が検出される場合に検出される受光量を示し、受光量のFar側しきい値は距離のFar側しきい値が検出される場合に検出される受光量を示す。
【0087】
(f1.UI画面とユーザ操作)
図8は、本実施の形態に係るUI画面の一例を示す図である。
図8を参照して、UI画面は、ウインドウ541と、ウインドウ542と、ボタン60のオブジェクトを含む。
【0088】
ウインドウ541では、センサ15からのプロセス値23に基づいた距離を表すグラフィカルオブジェクト53Dが、距離のしきい値を表すグラフィカルオブジェクトとともに互いに関連付されて、スケールを示すグラフィカルオブジェクトにおいて表示される。距離のしきい値を表すグラフィカルオブジェクトは、距離についてのNear側しきい値を表すグラフィカルオブジェクト5DNとFar側しきい値を表すグラフィカルオブジェクト5DFを含む。スケールのグラフィカルオブジェクトは、スケールに視認可能に割付けられた目盛の数値を表す文字オブジェクトを含む。ウインドウ541では、さらに、スケールを示すグラフィカルオブジェクトにおいて、距離の予報範囲を表すグラフィカルオブジェクト5D2および5D3が表示される。本実施の形態では、距離の予報範囲とは、Near側しきい値およびFar側しきい値が示すアラーム(警報)範囲に接近した範囲であることを示す。より具体的には、Near側しきい値とFar側しきい値との間の距離であってセンサ15によってON判定がされる検出対象距離の範囲のうち、Near側しきい値により接近した範囲、および、Far側しきい値により接近した範囲は、距離の予報範囲として扱われる。このような予報範囲を示すデータは、サポート装置500に格納されている、または、PLC100から転送される。
【0089】
ウインドウ542では、センサ15からのプロセス値23に基づいた受光量を表すグラフィカルオブジェクト53Lが、受光量のしきい値を表すグラフィカルオブジェクトとともに互いに関連付されて、スケールを示すグラフィカルオブジェクトにおいて表示される。受光量のしきい値を表すグラフィカルオブジェクトは、受光量についてのNear側しきい値を表すグラフィカルオブジェクト5LNとFar側しきい値を表すグラフィカルオブジェクト5LFを含む。スケールのグラフィカルオブジェクトは、スケールに視認可能に割付けられた目盛の数値を表す文字オブジェクトを含む。ウインドウ542では、さらに、スケールを示すグラフィカルオブジェクトにおいて、受光量の予報範囲を表すグラフィカルオブジェクト5L2および5L3が表示される。受光量の予報範囲は、上記に述べた距離の予報範囲と同様に、Near側しきい値およびFar側しきい値が示すアラーム(警報)範囲に接近した範囲であることを示す。より具体的には、Near側しきい値とFar側しきい値との間の受光量であってセンサ15によってON判定がされる範囲のうち、Near側しきい値により接近した範囲、および、Far側しきい値により接近した範囲は、受光量の予報範囲として扱われる。
【0090】
ウインドウ541はスケール上でグラフィカルオブジェクト53Dが示す距離を数字で表す文字オブジェクト54Dを含む。また、ウインドウ542は、スケール上でグラフィカルオブジェクト53Lが示す受光量の階調値を数字で表す文字オブジェクト54Lを含む。
【0091】
UIモジュール511は、しきい値を表すグラフィカルオブジェクトに対するユーザ操作を受付ける操作部を構成するとともに、操作部で受付けられたユーザ操作に基づき当該グラフィカルオブジェクトが表すしきい値を変更する。
【0092】
しきい値を変更するためのユーザ操作は、しきい値を表すグラフィカルオブジェクト5DN、5DF、5LNおよび5LFに対するスライド操作OP1またはピンチ操作OP2を含む。スライド操作OP1では、ユーザは、しきい値を表すグラフィカルオブジェクトを指でタッチしながらスケール上をスケールが延びる矢印方向に沿って指をスライド移動させると、グラフィカルオブジェクトは連動してスライド移動する。UIモジュール511は、移動後のグラフィカルオブジェクトのスケール上の位置をしきい値に換算する。これにより、変更後のしきい値が取得される。ピンチ操作OP2では、ユーザは、しきい値を表すグラフィカルオブジェクトを2本の指でタッチしたままスケールが延びる方向に指の間隔を広げる(ピンチアウト)、または、狭める(ピンチイン)ると、グラフィカルオブジェクトは拡大または縮小する。UIモジュール511は、拡大または縮小後のグラフィカルオブジェクトのスケール上の位置をしきい値に換算する。これにより、変更後のしきい値が取得される。UIモジュール511は、このようにしきい値が変更される毎に、変更後のしきい値を表すようにUI画面のグラフィカルオブジェクトを更新するとともに、変更後のしきい値を調整後しきい値311としてデータ領域4に格納する。なお、ピンチ操作OP2がされたときのグラフィカルオブジェクトの動きは、スライド操作OP1の組合わせによっても実現できるから、本実施の形態において、ピンチ操作OP2は必須の操作と解釈されるべきではない。
【0093】
UI画面のボタン60のオブジェクトは、当該オブジェクトに対するユーザ操作を受付け可能に構成される。UIモジュール511がボタン60に対するユーザ操作を受付けると、転送モジュール531は、データ領域4の調整後しきい値311を、通信インターフェイス524を介してセンサ15に送信する。センサ15は、サポート装置500から転送された調整後しきい値311を用いて、記憶部210のしきい値20を上書きする。このように、サポート装置500は、UI画面のグラフィカルオブジェクトに対するユーザ操作によって、センサ15がプロセス値23の評価に用いるしきい値20を変更可能な環境を提供する。
【0094】
図8では、グラフィカルオブジェクトを目盛付きのスケールのオブジェクトの上に表示したが、表示の態様はこれに限定されない。例えば、目盛付きのスケールに代えて、目盛付きのダイヤルを表すグラフィカルオブジェクトを用い、ダイヤルのグラフィカルオブジェクト上に、プロセス値およびしきい値のグラフィカルオブジェクトを表示するようにしてもよい。
【0095】
上記に述べたしきい値を変更するためのグラフィカルオブジェクトに対する操作は、スライド操作やピンチ操作に限定されない。また、操作は指によるものに限定されず、マウスやタッチペンであってもよい。
【0096】
図8では、Near側しきい値とFar側しきい値の2種類のしきい値を有するセンサ15のUI画面が示されたが、1種類のしきい値を有するセンサ15のUI画面であってもよい。このようなUI画面であっても、しきい値を示すグラフィカルオブジェクトをスケール上に表示し、スライド操作などでグラフィカルオブジェクトを移動させることで、当該しきい値を変更することができる。
【0097】
(f2.UI画面の他の例)
図9と
図10は、本実施の形態に係るUI画面の他の例を示す図である。
図8のUI画面では、グラフィカルオブジェクトで表されるスケール上に、Near側しきい値およびFar側しきい値が示すアラーム(警報)範囲を表すグラフィカルオブジェクトと予報範囲を表すグラフィカルオブジェクトの両方を表示した。これに対し
図9に示すように、UIモジュール511は、この両方のうちの、アラーム(警報)範囲を表すグラフィカルオブジェクト5DN、5DF、5LNおよび5LFのみを表示してもよい。また、UIモジュール511は、
図8のUI画面のグラフィカルオブジェクトに追加して、
図10に示すように、ウインドウ541に検出対象距離の範囲を示すグラフィカルオブジェクト57Dを表示し、同様にウインドウ542においても検出対象の範囲を示すグラフィカルオブジェクト57Lを表示してもよい。
【0098】
UI画面では、アラーム範囲に対応するNeraしきい値およびFarしきい値を表すグラフィカルオブジェクト、予報範囲を表すグラフィカルオブジェクト、検出対象の範囲を表すグラフィカルオブジェクト、およびプロセス値23を表すグラフィカルオブジェクトは、互いに異なる態様で表示される。例えば、これらグラフィカルオブジェクトは、互いに異なる色で表示される。
【0099】
(f3.統計データのUI画面)
図11と
図12は、本実施の形態に係る統計データ55を用いたUI画面の一例を示す図である。上記の
図8~
図10のUI画面では、センサ15から取得したプロセス値23がしきい値からどの程度はなれているかを視認可能に提供している状態で、しきい値を変更するためのユーザ操作を受付けた。これに対して、
図11のUI画面では、センサ15から取得したプロセス値23のグラフィカルオブジェクトに代えて、プロセス値23の統計データ55を表すグラフィカルオブジェクト555が表示される状態で、UIモジュール511はしきい値を変更するためのユーザ操作を受付ける。
【0100】
UIモジュール511は、
図11のUI画面において、ウインドウ541aと542aと、ウインドウ544と、グラフィカルオブジェクト555とを表示する。ウインドウ541aとウインドウ542aでは、プロセス値23のグラフィカルオブジェクトを除いて、
図8に示すウインドウ541とウインドウ542と同様のグラフィカルオブジェクトが表示される。
【0101】
グラフィカルオブジェクト555は、統計データ55の度数分布から、当該度数を表すヒストグラムを表す。このヒストグラムは検出距離のヒストグラムであって、縦軸にプロセス値(距離)の階級がとられ、横軸に度数がとられる。グラフィカルオブジェクト555が表すの縦軸の検出距離についての目盛の間隔は、ウインドウ541aのスケールに割付けられた目盛の間隔に一致している。グラフィカルオブジェクト555のヒストグラムの縦軸はウインドウ541のスケールと平行に表示される。このようなグラフィカルオブジェクトの表示は、ウインドウ541aでグラフィカルオブジェクトで示されるしきい値がプロセス値23の度数分布とマッチしているかの判断をサポートする情報を、視認可能に提供する。例えば、グラフィカルオブジェクト555が表すヒストグラムのピークに該当する階級が、ウインドウ541aのグラフィカルオブジェクト5DNと5DFが表すNearしきい値とFarしきい値の間である検出対象範囲に収まっているか否か、より好ましくは、当該ピークの階級が検出対象範囲の中央の値に該当するか否かを判断するのを支援する情報を、視認可能な態様で提供する。
【0102】
ウインドウ544では、プロセス値23の統計に基づく代表値として、例えば最頻値54A、平均値54Bおよび中央値54Cを数字で表す文字オブジェクトが表示される。これら統計値は、グラフィカルオブジェクト555が表すヒストグラムに基づき算出され得る。
【0103】
ユーザは、グラフィカルオブジェクト555が表すヒストグラムを参照しつつ、しきい値を表すグラフィカルオブジェクト5DNまたは5DFに対しスライド操作OP1を実施することで、しきい値を変更できる。UIモジュール511は移動後のグラフィカルオブジェクトの位置に基づく調整後しきい値311を取得する。
【0104】
しきい値の変更の操作は、スライド操作OP1に限定されず、ウインドウ544から代表値を示す文字オブジェクトに対するタッチ操作OP3であってもよい。例えば、
図111では、ウインドウ544の中央値54Cを表す文字オブジェクトに対しタッチ操作OP3がされると、UIモジュール511はタッチ操作OP3を受付ける。UIモジュール511は、受付けたタッチ操作OP3に基づき、文字オブジェクトが示す中央値54Cが、グラフィカルオブジェクト5DNと5DFの間の検出対象範囲の中央値となるように、グラフィカルオブジェクト5DNと5DFをスライド移動させる。このスライド移動では、検出対象範囲の幅を維持するように、グラフィカルオブジェクト5DNと5DFを、それらの形を変えずに、スケールに沿って同一方向に同一距離だけ移動させる。
図11では、調整後しきい値311を、中央値を示すように設定したが、最頻値または平均値であってもよい。
【0105】
図11のUI画面では、センサ15から取得したプロセス値23の統計データを用いて、妥当性を有したしきい値の判断をサポートする情報が視認可能に提供される。
【0106】
図12は、
図11のグラフィカルオブジェクト555に代えて、ウインドウ543に期間546が示す期間毎の統計データ55に基づくグラフィカルオブジェクト545が表示される。期間546は、例えば1年前、6ヶ月前、現在を示す。グラフィカルオブジェクト545は、1年前のプロセス値23の統計データを表すグラフィカルオブジェクト501と、6ヶ月前のプロセス値23の統計データを表すグラフィカルオブジェクト502と、現在のプロセス値23の統計データを表すグラフィカルオブジェクト503とを含む。グラフィカルオブジェクト501、502および503は、それぞれ、対応の期間における予め定められた長さの時間内で取得されたプロセス値23の統計データ55に基づく最頻値、平均値、および中央値のいずれかの種類の値を示す。
図11と
図12のUI画面では、統計データ55のオブジェクトとともに、プロセス値23のオブジェクトが表示されてもよい。
【0107】
UIモジュール511は、グラフィカルオブジェクト501、502および503によって表される値の種類を、受付けるユーザ操作に応じて切替える。
図12では、ウインドウ544の中央値54Cの文字オブジェクトに対しタッチ操作OP4がされたことに応じて、UIモジュール511は、ウインドウ543において、中央値を表すグラフィカルオブジェクト501,502および503を表示する。
【0108】
ユーザは、グラフィカルオブジェクト501、502および503が表す期間毎の統計データ55(
図12では中央値)を参照して、スライド操作OP1を実施する。
図12のUI画面は、プロセス値23の異なる期間毎の統計データ55を用いて、妥当性を有したしきい値の判断をサポートする情報を視認可能に提供する。
【0109】
図12では、タッチ操作OP4によって中央値54Cを表す文字オブジェクトが指定されるケースを示したが、指定される統計値の種類は中央値に限定されない。例えば、タッチ操作OP4によって最頻値54Aの文字オブジェクトが指定されるとグラフィカルオブジェクト501、502および503によって期間毎の最頻値が示され、また、タッチ操作OP4によって平均値54Bの文字オブジェクトが指定されるとグラフィカルオブジェクト501、502および503によって期間毎の平均値が示される。
【0110】
図8~
図12では、UIモジュール511は、しきい値の変更を、UI画面に対するグラフィカルオブジェクトに対するユーザ操作に基づき実施したが、このようなしきい値を変更するユーザ操作は、グラフィカルオブジェクトに対する操作に限定されない。例えば、UIモジュール511は、キーボード532のテンキー操作を受付けて、受付けたテンキー操作に基づきしきい値を変更してもよい。
【0111】
本実施の形態では、ユーザ操作を受付けたときに、統計モジュール540によって統計データ55が算出され、UIモジュール511によって当該算出された統計データ55を表すオブジェクトがUI画面(例えば
図11または
図12のUI画面)に表示される。また、このような統計データ55の算出と当該統計データ55を表すオブジェクトをUI画面に表示する処理は、ユーザ操作によらず自動的に実施されるとしてもよい。
【0112】
(f4.UI画面における統計データの表示例)
図13~
図16は、本実施の形態に係る統計データの他の表示例を示す図である。UIモジュール511は、統計データ55を
図13~16に示される態様で表し得る。このような表示態様に従うグラフィカルオブジェクトは、例えば、
図12のウインドウ543において表示され得る。
【0113】
図13では、ウインドウ543には、統計データ55を表すグラフィカルオブジェクトを切替えるためのユーザ操作を受付けるグラフィカルオブジェクトとして、スライドバー63とスライダー61が示される。スライドバー63は、スライダー61がスライド移動可能な領域を示し、左端は1年前に対応する位置を示し、右端は現在に対応する位置を示す。UIモジュール511は、ユーザ操作されるスライダー61のスライドバー63上の位置に応じて、ウインドウ543に表示されるグラフィカルオブジェクトで表される統計データを切替える。
【0114】
例えば、ユーザ操作によってスライダー61がスライドバー63の右端にまで移動すると、
図13の(A)のように、1年前のプロセス値23の統計データ55に基づきグラフィカルオブジェクトが表示され、また、ユーザ操作によってスライダー61がスライドバー63の中央あたりまで移動すると、
図13の(B)のように、6ヶ月前のプロセス値23の統計データ55のグラフィカルオブジェクトが表示され、さらに、ユーザ操作によってスライダー61がスライドバー63の右端にまで移動すると、
図13の(C)のように、現在のプロセス値23の統計データ55のグラフィカルオブジェクトが表示される。
図13の(A)、(B)および(C)では、それぞれ、グラフィカルオブジェクトとして最頻値、平均値および中央値のヒストグラムが示される。
【0115】
図14と
図15に示すように、UIモジュール511は、1年前、6ヶ月前および現在の各期間について、当該期間における統計データ55に基づき最頻値、平均値および中央値の各ヒストグラムを表すグラフィカルオブジェクトを表示する。
図14のグラフィカルオブジェクトによれば、統計値が時間の経過とともに変化することが示される。
図15のグラフィカルオブジェクトによれば、期間に依存しない態様で、最頻値、平均値および中央値の分布の情報が提示される。また、
図16に示すように、
図13の(A)、(B)および(C)のグラフィカルオブジェクトは、同時に並べて表示されてもよい。
【0116】
<G.フローチャート>
図17は、本実施の形態に係る処理のフローチャートである。サポート装置500のCPU510は、データとしきい値をPLC100から取得する(ステップS3)。PLC100は、センサ15のデータとしきい値20をサポート装置500に転送する。PLC100から転送されるデータは内部メモリ320のログファイルを含む。このような転送態様は、メモリカード516(またはメモリカード116)を用いた転送、上位ネットワークを経由した転送も含み得る。
【0117】
CPU510は、サポート装置500に対するユーザ操作によって統計演算の実施が指示されるとき、PLC100から受信したログファイルのデータ21が示すプロセス値23に基づき統計演算を実施し、演算結果を示す統計データ55をデータ領域4に格納する。この演算は、ログファイルのデータのうち、対応の評価結果24が予め定められた値(例えば、ONまたはOFF)であるときのプロセス値23に基づき実施されてもよい。このような統計演算は、ユーザの指示を受付けたときに実施される態様に限定されず、ユーザ指示によらず自動的に実施されるとしてもよい。
【0118】
CPU510は、UI処理を実施する(ステップS10)。UI処理では、CPU510は、ログファイルのプロセス値23または統計処理により算出された統計データ55を表すグラフィカルオブジェクトを含むUI画面データを作成し、表示コントローラ520に出力する(ステップS11)。表示コントローラ520は、UI画面データに基づきディスプレイ522を画面を表示するよう制御する(ステップS13)。これにより、ディスプレイ522はUI画面データに基づくUI画面を表示する。CPU510は、UI画面が表示されるときにサポート装置500に対するユーザ操作を受付ける。このようなユーザ操作は、図示しないマウス、キーボード532を介したユーザ操作、または、UI画面を構成するオブジェクトに対するユーザの操作OP1~OP4等を含む。
【0119】
CPU510は、ステップS10のUI処理においてしきい値が変更されると、変更後のしきい値をグラフィカルオブジェクトとしてUI画面に表示するとともに、当該変更後のしきい値を示す調整後しきい値311をデータ領域4に格納する(ステップS17)。
【0120】
CPU510は、サポート装置500に対するユーザ操作の内容に基づき、ユーザ操作は、しきい値をセンサ15へ転送することを指示する操作であるか否かを判定する(ステップS18)。このような転送指示のユーザ操作は、UI画面のボタン60に対するユーザ操作またはマウス、キーボード532を介したユーザ操作を含む。CPU510は、転送指示のユーザ操作を受付けないと判定すると(ステップS18でNO)、ステップS10に戻りUI処理を実施するが、転送指示のユーザ操作を受付けたと判定すると(ステップS18でYES)、ステップS19に移行する。
【0121】
ステップS19では、CPU510は通信インターフェイス524を、PLC100と通信するよう設定する(ステップS19)。CPU510は、調整後しきい値311をセンサ15に設定するように、センサ15の識別子とともに当該調整後しきい値311をPLC100に転送する(ステップS21)。PLC100は、サポート装置500によって指定された識別子のセンサ15に調整後しきい値311を送信する。センサ15は、サポート装置500からPLC100を介して受信した調整後しきい値311で記憶部210のしきい値20を書き換える。これにより、センサ15には、ユーザがUI画面を操作して決定したしきい値が設定される。
【0122】
また、サポート装置500は、プロセス値23の統計データ55を表すオブジェクトをディスプレイ522に表示させる第1のUIモジュール(UIモジュール511)またはプロセス値23の統計データ55を表すオブジェクトをディスプレイ522に表示させる第2のUIモジュールを備えてもよい。
【0123】
<H.実施の形態が奏するメリット>
一般的にセンサを設置する時の調整にはONまたはOFFの出力をモニタしながら調整する必要がある。また、センサの交換時には、センサの個体差や取付け誤差によってセンサの位置やしきい値を調整する必要がある。このようなしきい値の調整または調整されたしきい値の妥当性の判断は、熟練者の勘やコツを必要とするとの課題があった。このような課題は、センサの経年劣化によってセンシング状態が変動した場合も生じていた。
【0124】
本実施の形態では、ユーザは
図8~
図16に示されるUI画面で提供される視覚化情報でサポートされることで、適当と判断するしきい値を容易に決定することができる。また、統計データ55に基づく情報がグラフィカルオブジェクトで提示されることで、センサ15のセンシング状態の傾向を確認しつつ、しきい値20の決定が可能となる。このような視覚化されたサポート情報が提供されることで、熟練者でなくとも適当なしきい値の決定が可能となり、また、しきい値設定の工数を削減できる。
【0125】
本実施の形態では、プロセス値23を表すオブジェクトを、しきい値を表すオブジェクトとともに表示部に表示させるUIモジュール511を備えるシステムは、サポート装置500で実装されるが、当該システムはPLC100または上位サーバ300などで実装されてもよい。
【0126】
(他の構成)
本実施の形態では次のような構成が示される。
【0127】
構成1.
センシングの状態を表すプロセス値(23)をしきい値(20)で評価した結果を出力するセンサ(15)を接続する通信インターフェイス(524)と、
前記プロセス値の統計情報を表すグラフィカルオブジェクト(555)を、しきい値(20,311)を表すグラフィカルオブジェクト(5DF、5DN)とともに表示部(522)に表示させるユーザインターフェイス(UI)部(511)と、を備えるシステム。
【0128】
構成2.
前記統計情報を表すグラフィカルオブジェクトは、前記結果が予め定められた値であるときのプロセス値の統計情報を含む、構成1に記載のシステム。
【0129】
構成3.
前記プロセス値は、前記通信インターフェイスを介して前記センサから受信されるプロセス値を含む、構成1または2に記載のシステム。
【0130】
構成4.
前記グラフィカルオブジェクトが表すしきい値は、前記通信インターフェイスを介して前記センサから受信されるしきい値(20)を含む、構成1~3のいずれか1に記載のシステム。
【0131】
構成5.
前記しきい値を表すグラフィカルオブジェクトに対するユーザ操作を受付ける操作部(532)、さらに備え、
受付けられた前記ユーザ操作に基づき当該グラフィカルオブジェクトが表すしきい値を変更する、構成1~4のいずれか1に記載のシステム。
【0132】
構成6.
前記グラフィカルオブジェクトで表示されたしきい値(311)を、前記通信インターフェイスに接続される前記センサに送信する、構成1~5のいずれか1に記載のシステム。
【0133】
構成7.
センシングの状態を表すプロセス値(23)をしきい値(20)で評価した結果を出力するセンサ(15)と通信するステップと、
前記プロセス値の統計情報を表すグラフィカルオブジェクト(555)を、しきい値(20,311)を表すグラフィカルオブジェクト(5DF、5DN)とともに表示部(522)に表示させるステップと、を備える方法。
【0134】
構成8.
上記の方法をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0135】
<I.付記>
上述したような本実施の形態は、以下のような技術思想を含む。
[構成1]
センシングの状態を表すプロセス値(23)をしきい値(20)で評価した結果を出力するセンサ(15)を接続する通信インターフェイス(524)と、
前記プロセス値を表すグラフィカルオブジェクト(531D、555)を、しきい値(20,311)を表すグラフィカルオブジェクト(5DF、5DN)とともに表示部(522)に表示させるユーザインターフェイス(UI)部(511)と、を備えるシステム。
[構成2]
前記プロセス値を表すグラフィカルオブジェクトは、前記センサから取得したプロセス値を表すグラフィカルオブジェクト(531D)を含む、構成1に記載のシステム。
[構成3]
前記プロセス値を表すグラフィカルオブジェクトは、プロセス値の統計情報を表すグラフィカルオブジェクトを含む、または前記プロセス値の統計情報を表すオブジェクトをさらに備える、構成1または2に記載のシステム。
[構成4]
前記プロセス値を表すグラフィカルオブジェクトは、前記結果が予め定められた値であるときのプロセス値を表すグラフィカルオブジェクトを含む、構成1~3のいずれか1に記載のシステム。
[構成5]
前記グラフィカルオブジェクトが表すプロセス値は、前記通信インターフェイスを介して前記センサから受信されるプロセス値を含む、構成1~4のいずれか1に記載のシステム。
[構成6]
前記グラフィカルオブジェクトが表すしきい値は、前記通信インターフェイスを介して前記センサから受信されるしきい値(20)を含む、構成1~5のいずれか1に記載のシステム。
[構成7]
前記しきい値を表すグラフィカルオブジェクトに対するユーザ操作を受付ける操作部(532)、さらに備え、
受付けられた前記ユーザ操作に基づき当該グラフィカルオブジェクトが表すしきい値を変更する、構成1~6のいずれか1に記載のシステム。
【0136】
[構成8]
前記グラフィカルオブジェクトで表示されたしきい値(311)を、前記通信インターフェイスに接続される前記センサに送信する、構成7に記載のシステム。
【0137】
[構成9]
前記グラフィカルオブジェクトで表示されたしきい値(311)を、前記通信インターフェイスに接続される前記センサに送信する、構成1~6のいずれか1に記載のシステム。
【0138】
[構成10]
プロセス値の統計情報を表すオブジェクトを表示部に表示させる前記第1のUI部または第2のユーザインターフェイス(UI)部を、さらに備える、構成1~9のいずれか1に記載のシステム。
【0139】
[構成11]
センシングの状態を表すプロセス値(23)をしきい値(20)で評価した結果を出力するセンサ(15)と通信するステップと、
前記プロセス値を表すグラフィカルオブジェクト(531D、555)を、しきい値(20,311)を表すグラフィカルオブジェクトとともに表示部(522)に表示させるステップと、を備える方法。
[構成12]
方法をプロセッサ(510)に実行させるためのプログラムであって、
前記方法は、
センシングの状態を表すプロセス値(23)しきい値(20)で評価した結果を出力するセンサ(15)と通信するステップと、
前記プロセス値を表すグラフィカルオブジェクト(531D、555)を、しきい値(20,311)を表すグラフィカルオブジェクト(5DF、5DN)とともに表示部(522)に表示させるステップと、を備える、プログラム。
【0140】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0141】
4 データ領域、5 プログラム領域、5D2,5DF,5DN,5L2,5LF,5LN,53D,53L,57D,57L,501,502,503,545,555 グラフィカルオブジェクト、11 フィールドネットワーク、12 IOユニット、14 制御演算処理、15 センサ、17,18 電気コード、19 通信インターフェィス、20 しきい値、21 データ、23 プロセス値、24 評価結果、26 IOリフレッシュ、30 設定情報、40 IOリフレッシュプログラム、50,1082 システムプログラム、51 UIツールプログラム、52 データ取得プログラム、53 しきい値転送プログラム、54 統計プログラム、54A 最頻値、54B 平均値、54C 中央値、54D,54L 文字オブジェクト、55 統計データ、60 ボタン、61 スライダー、63 スライドバー、112a,116a,120a ポート、113 フィールドネットワークコントローラ、114 メモリカードインターフェイス、115,513 タイマ、120 ネットワークコントローラ、132 スケジューラプログラム、140 制御プログラム、200 信号処理部、202 投光部、203 受光部、300 上位サーバ、500 サポート装置、511 UIモジュール、514 ハードディスク、516 メモリカード、518 入力インターフェイス、520 表示コントローラ、521 データ取得モジュール、522 ディスプレイ、524 通信インターフェイス、530 タッチパネル、532 キーボード、540 統計モジュール、541,541a,542,542a,543,544 ウインドウ、546 期間、OP1 スライド操作、OP2 ピンチ操作、OP3,OP4 タッチ操作。