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特開2024-57352電力系統監視装置、電力系統運用監視方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057352
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】電力系統監視装置、電力系統運用監視方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20240417BHJP
   G01W 1/00 20060101ALI20240417BHJP
   G01W 1/10 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
H02J3/00 170
G01W1/00 Z
G01W1/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164037
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】下尾 高廣
(72)【発明者】
【氏名】上田 隆司
(72)【発明者】
【氏名】谷山 賀浩
(72)【発明者】
【氏名】山嵜 朋秀
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 健二
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 高弘
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 尚志
(72)【発明者】
【氏名】中村 正
(72)【発明者】
【氏名】平戸 康太
(72)【発明者】
【氏名】舘小路 公士
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066AA03
(57)【要約】
【課題】送配電設備の信頼性を確保しつつ、電力系統の送電容量を増加させることが可能な電力系統監視装置を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る電力系統監視装置は、電力系統の送配電設備を含む評価対象エリアの気象に関する気象データを気流解析した結果に基づいて、送配電設備の風況を推定する風況推定部と、送配電設備の風況の推定結果に応じて、送配電設備の潮流値として、予め設定された定格値以上となる最大潮流値を算出する潮流値計算部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統の送配電設備を含む評価対象エリアの気象に関する気象データを気流解析した結果に基づいて、前記送配電設備の風況を推定する風況推定部と、
前記送配電設備の風況の推定結果に応じて、前記送配電設備の潮流値として、予め設定された定格値以上となる最大潮流値を算出する潮流値計算部と、
を備える電力系統監視装置。
【請求項2】
前記風況推定部は、前記送配電設備の区間ごとに風況を推定し、
前記潮流値計算部は、前記区間ごとに前記最大潮流値を算出し、
前記送配電設備の中で前記最大潮流値が最も低くなる区間をボトルネック区間として特定するボトルネック特定部をさらに備える、請求項1記載の電力系統監視装置。
【請求項3】
前記送配電設備を地図上に描画し、前記送配電設備の各区間の最大潮流値を、その大きさに応じて色分け表示するとともに、前記地図上に前記評価対象エリアの気流解析結果を表示する表示部をさらに備える、請求項1または2に記載の電力系統監視装置。
【請求項4】
予め設定された時間単位で前記気象データを受信する受信部をさらに備え、
前記風況推定部は、前記時間単位で前記送配電設備の風況を推定し、
前記潮流値計算部は、複数の電力系統にそれぞれ設置された前記送配電設備ごとに、前記時間単位で前記最大潮流値を算出する、請求項1または2に記載の電力系統監視装置。
【請求項5】
前記最大潮流値を上限として、上限から前記送配電設備の潮流値を引いた差分を余裕度として、前記送配電設備ごとに算出する余裕度計算部と、
前記余裕度が所定の値以上となるように前記電力系統の発電計画データを作成する発電計画作成部と、をさらに備える、請求項1または2に記載の電力系統監視装置。
【請求項6】
前記潮流値計算部は、前記風況推定部の風況の推定結果に基づいて、前記送配電設備の区間ごとに風況の信頼区間を算出し、前記信頼区間に応じて、前記最大潮流値を補正する、請求項1または2に記載の電力系統監視装置。
【請求項7】
前記潮流値計算部は、前記風況推定部の風況の推定結果に基づいて、前記推定結果の確率分布を算出した上で、前記最大潮流値の確率分布を算出し、
前記発電計画作成部は、送配電ロスの最小化、発電設備の発電コストの最小化、再生エネルギー発電装置の出力の最大化、および発電設備の排出二酸化炭素の最小化のうちの少なくとも1つを目的関数として、潮流計算の結果に基づいて前記送配電設備の上限温度に達しない発電計画データを作成する際に、前記最大潮流値の確率分布に基づいて前記目的関数の期待値を求める、請求項5記載の電力系統監視装置。
【請求項8】
前記風況推定部は、風況の推定結果と実測値とを比較した結果を用いて前記送配電設備の区間ごとに風況の推定精度を算出し、前記推定精度が所定値以下の区間について、気流解析に用いるモデルを再構成する、請求項1に記載の電力系統監視装置。
【請求項9】
前記風況推定部は、風況の推定結果と実測値とを比較した結果を用いて前記送配電設備の区間ごとに風況の推定精度を算出し、前記推定精度が所定値以下の区間を、風況センサの設置を推奨する区間として特定する、請求項1に記載の電力系統監視装置。
【請求項10】
前記風況推定部は、前記送配電設備の区間ごとに風況を推定し、
前記潮流値計算部は、前記区間ごとに前記最大潮流値を算出し、
前記送配電設備の中で前記最大潮流値がしきい値以下となる区間をボトルネック区間として特定し、前記ボトルネック区間を風況センサの設置を推奨する区間として特定するボトルネック特定部をさらに備える、請求項1に記載の電力系統監視装置。
【請求項11】
前記風況推定部は、前記ボトルネック区間について、前回の気流解析よりも細かく前記評価対象エリアを分割して再度気流解析を行う、請求項10に記載の電力系統監視装置。
【請求項12】
前記風況推定部は、前記気象データから得られる前記評価対象エリア内の気象予測地点の予測値と、前記気象予測地点と前記送配電設備との間における前記気流解析から得られる所定計算ステップまたは時間内における平均風速の比率と、を用いて前記送配電設備の風況を推定する、請求項1または2に記載の電力系統監視装置。
【請求項13】
電力系統の送配電設備を含む評価対象エリアの気象に関する気象データを気流解析し、
気流解析の結果に基づいて、前記送配電設備の風況を推定し、
前記送配電設備の風況の推定結果に応じて、前記送配電設備の潮流値として、予め設定された定格値以上となる最大潮流値を算出する、
電力系統監視方法。
【請求項14】
電力系統の送配電設備を含む評価対象エリアの気象に関する気象データを気流解析する処理と、
気流解析の結果に基づいて、前記送配電設備の風況を推定する処理と、
前記送配電設備の風況の推定結果に応じて、前記送配電設備の潮流値として、予め設定された定格値以上となる最大潮流値を算出する処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力系統監視装置、電力系統運用監視方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の電力自由化により風力発電装置や太陽光発電装置などの再生可能エネルギー発電装置等により発電された電力が、既設の送配電設備を介し送配電される場合も多くなった。再生可能エネルギー発電装置の有効利用を推進するとともに、既設の送配電設備をどのように有効活用するかという議論が盛んに行われている。
【0003】
その中で、気象条件(気温、風、日照)を考慮して最大電流量を決めるダイナミックレーティングの適用が期待されている。ダイナミックレーティングとは、予め定められた送配電設備の潮流値に対して、送配電設備が上限温度以下となる潮流値に変更して、電力系統の送電容量を増加させる技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/090021号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ダイナミックレーティングでは、例えば送配電設備の一つである送電線の電流容量が、気象条件を考慮して動的に設定される。この電流容量は、送電線の熱容量によって制限される。この熱容量は、ジュール熱、太陽光の熱吸収、風による対流損失、および外気温との温度差で生じる放射損失によって変化する。対流冷却および放射冷却については、風況の影響が大きい。そのため、風況の予測精度が不十分であると、例えば熱容量の上限を超える電流が送電線を流れるといった事態が起こり得る。この場合、送配電設備の信頼性が低下する可能性がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、送配電設備の信頼性を確保しつつ、電力系統の送電容量を増加させることが可能な電力系統監視装置、電力系統運用監視方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る電力系統監視装置は、電力系統の送配電設備を含む評価対象エリアの気象に関する気象データを気流解析した結果に基づいて、送配電設備の風況を推定する風況推定部と、送配電設備の風況の推定結果に応じて、送配電設備の潮流値として、予め設定された定格値以上となる最大潮流値を算出する潮流値計算部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態によれば、送配電設備の信頼性を確保しつつ、電力系統の送電容量を増加させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る電力系統監視装置を用いた電力運用システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】送電線の設置例を示す模式図である。
図3】第1実施形態に係る電力系統監視装置の構成を示すブロック図である。
図4】第1実施形態に係る電力系統監視装置が電力系統を監視する動作の手順を示すフローチャートである。
図5】風況推定動作の詳細を説明するための図である。
図6】広域エリアの気流解析データの一例を示すグラフである。
図7】、送電線の区間ごとの最大潮流値と、風況推定部の気流解析結果と、の表示画像の一例を示す図である。
図8】余裕度データの一例を示す図である。
図9】余裕度の表示例を示す図である。
図10】風速ビンの出現比率の分布図の一例である。
図11】(a)は各風速の発生確率の分布図の一例であり、(b)は風向に対応する送電線の導体との成す角度の発生確率の分布図の一例であり、(c)は送電線の許容電流の発生確率の分布図の一例である。
図12】第2実施形態に係る風況推定ステップを説明するための模式図である。
図13】気象予測地点と風速推定地点の風速トレンド波形の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。下記の実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電力系統監視装置を用いた電力運用システムの全体構成を示すブロック図である。図1に示す電力運用システムは、電力系統監視装置1、電力制御装置8、および電力系統3を備える。
【0012】
まず、電力系統3について説明する。電力系統3は、電力を供給する電力供給網である。電力系統3は、発電機4、再生可能エネルギー発電装置5、変圧器6、および送電線7を有する。電力系統3は、一例として複数の電力系統3a、3b、3c、3d、3eにより構成される。電力系統3は、遮断器、断路器、および調相器等を有していてもよい。
【0013】
電力系統3aは、発電機4a、変圧器6a、および送電線7aにより構成される。発電機4aは、水力、火力、原子力等により発電を行う設備である。発電機4aは、出力電力を電力制御装置8により制御される。変圧器6aは、発電機4aから出力された電力の変圧を行う。変圧器6aは、電圧切替用のタップを有する。送電線7aは、変圧器6aにより変圧された電力を送電する。
【0014】
電力系統3bは、発電機4b、変圧器6b、および送電線7bにより構成される。発電機4bにより発電された電力は、変圧器6bにより変圧されて送電線7bにより送電される。
【0015】
電力系統3cは、再生可能エネルギー発電装置5、変圧器6c、および送電線7cにより構成される。再生可能エネルギー発電装置5は、風力や太陽光などの再生可能エネルギーにより発電を行う装置である。再生可能エネルギー発電装置5は、出力電力を電力制御装置8により制御される。
【0016】
電力系統3dは、変圧器6d、および送電線7dにより構成される。変圧器6dは、電力系統3a、電力系統3b、および電力系統3cからそれぞれ供給された電力を変圧する。送電線7dは、変圧器6aにより変圧された電力を送電する。
【0017】
電力系統3eは、変圧器6e、および送電線7eにより構成される。電力系統3a、電力系統3b、電力系統3cからそれぞれ供給された電力は、変圧器6eにより変圧されて送電線7eにより送電される。
【0018】
電力系統3a~3eの各変圧器6a~6eには、それぞれ測定装置61a~61eが設けられる。測定装置61は、変圧器6における現在の温度、電力、電圧、電流、および周波数を測定する。測定装置61は、温度、電力、電圧、電流、および周波数の測定回路および送受信回路により構成される。
【0019】
電力系統3a~3eの各送電線7a~7eには、それぞれ測定装置71a~71eが設けられる。測定装置71は、送電線7における現在の温度、電力、電圧、電流、および周波数を測定する。測定装置71は、温度、電力、電圧、電流、および周波数の測定回路および送受信回路により構成される。
【0020】
図2は、送電線7の設置例を示す模式図である。図2に示すように、送電線7は、複数の鉄塔30間に設置されている。また、鉄塔30で区切られる送電線7の各区間Dには、種々の樹木40が林立している。
【0021】
次に、図1を参照して電力系統監視装置1について説明する。電力系統監視装置1は、定義された定格値に制限されることなく、既設の送配電設備の上昇温度が予め定められた限界値以下となる発電機4または再生可能エネルギー発電装置5より発電される発電量を算出する装置である。
【0022】
電力系統監視装置1は、通信線91を介して電力系統3に接続されるとともに、通信線93を介して電力制御装置8に接続される。電力系統監視装置1は、コンピュータ等により構成される。電力系統監視装置1は、電力系統3の監視または制御を行う事業者の事務所等に設置される。
【0023】
図3は、第1実施形態に係る電力系統監視装置1の構成を示すブロック図である。電力系統監視装置1は、受信部11、送信部12、演算部13、記憶部14、および表示部15を備える。以下、各部について説明する。
【0024】
受信部11は、オンラインデータ受信部111およびオフラインデータ受信部112を有する。オンラインデータ受信部111は、通信線91を介し電力系統3の測定装置61、測定装置71に接続される。通信線91は、有線または無線により通信を行う専用線、インターネット回線、電話回線等であってよい。オンラインデータ受信部111は、測定装置61、測定装置71から測定データD11を受信する。測定データD11は、測定装置61により測定された変圧器6の温度、電力、電圧、電流、周波数をそれぞれ示すデータ、および測定装置71により測定された送電線7の温度、電力、電圧、電流、および周波数をそれぞれ示すデータである。
【0025】
また、オンラインデータ受信部111は、気象データD12および風況実測データD13も受信する。気象データD12は、例えば、気象庁予測データ、気象予報GPV(Grid Point Value)データ、天気予報SCWサイト(Super C Weather)データ、ERA-5などの気象再解析データ、および数値気象モデルなどのWRF(Weather Research and Forecasting)解析結果のデータの少なくとも1つを含む。気象庁予測データは、気象庁が予測したデータである。気象予報GPVデータは、地図上に予め設定された格子点におけるスーパーコンピュータで計算した過去、未来の気象予測データである。ERA-5データは、ヨーロッパ中期予報センタが気象予測に用いるデータである。WRFは、風速および風向といった風況を予測するための予測モデルである。
【0026】
風況実測データD13は、気象庁観測データ、および局所風況実測データの少なくとも1つを含む。気象庁観測データは、気象庁が風況、温度、湿度、気圧などの気象情報を実測したデータである。局所風況実測データは、気象庁観測データ以外の風況を実測したデータである。局所風況実測データは、例えばLiDAR(Light Detection And Ranging)によって計測した風況データである。LiDARは、レーザー光を大気中に放射して大気からの散乱光を受信、そのドップラー周波数から風速と風向を観測する計測器である。
【0027】
さらに受信部11は、外部装置(不図示)から需給計画データD14を受信する。需給計画データD14は、発電機4a、4bおよび再生可能エネルギー発電装置5に関する、例えば30分毎または5分ごとの発電計画および需要予測値を示すデータである。需給計画データD14は、電力制御装置8から送信されてもよい。
【0028】
オフラインデータ受信部112は、外部から地図データD15および物体データD16を受信する。地図データD15は、例えば、送電線7を含む評価対象エリアの地図や標高など地形に関するデータである。物体データD16は、評価対象エリアに存在する物体に関するデータである。この物体データD16には、例えば、送電線7を取り付けるための鉄塔30の構造や、送電線7の周辺に林立する樹木40の高さおよび種類、送電線7の導体の種類および導体の数、といった、送電線7の熱容量に影響を及ぼす物体のデータが含まれる。
【0029】
オンラインデータ受信部111およびオフラインデータ受信部112は、演算部13により受信動作を制御される。オンラインデータ受信部111およびオフラインデータ受信部112は、受信したデータを演算部13に転送する。
【0030】
送信部12は、送信回路により構成される。送信部12は、通信線93を介して電力制御装置8に接続される。通信線93は、有線または無線により通信を行う専用線、インターネット回線、電話回線等であってよい。また、送信部12は、演算部13に接続される。送信部12は、演算部13により作成された潮流値データD21、余裕度データD22、発電計画データD23、計画修正データD24、制御指令データD25、およびボトルネックデータD27を電力制御装置8に送信する。
【0031】
表示部15は、液晶表示器、プラズマ表示器等により構成される。表示部15は、演算部13により作成された種々のデータを表示する。
【0032】
演算部13は、コンピュータにより構成される。演算部13は、受信部11、送信部12、記憶部14、および表示部15にそれぞれ接続される。演算部13は、潮流値計算部21、余裕度計算部22、発電計画作成部23、計画修正部24、制御指令作成部25、風況推定部26、およびボトルネック特定部27を有する。各部は、コンピュータ内の演算部または、ソフトウェアモジュールにより構成される。
【0033】
潮流値計算部21は、測定データD11および定格データF1に基づいて潮流値データD21を作成する。定格データF1は、変圧器6、送電線7の定格電力および上限温度に関するデータである。定格データF1は、記憶部14に予め記憶されている。
【0034】
潮流値データD21は、変圧器6、送電線7の定格電力に制限されることなく、変圧器6、送電線7の温度が予め定められた上限温度以下となる電力が算出されることにより作成される。作成された潮流値データD21は、記憶部14に記憶される。
【0035】
余裕度計算部22は、潮流値計算部21により算出された潮流値データD21に基づいて、電力系統3a~3eの各変圧器6a~6e、および各送電線7a~7eごとの余裕度を算出し、余裕度データD22を作成する。余裕度データD22は、潮流値データD21に示された電力を電力系統3a~3eにて送電した場合の、各変圧器6a~6e、および各送電線7a~7eごとの余裕度を示す。作成された余裕度データD22は、記憶部14に記憶される。
【0036】
発電計画作成部23は、需給計画データD14、潮流値データD21、および余裕度データD22に基づいて、発電計画データD23を作成する。需給計画データD14は、発電機4a、4bおよび再生可能エネルギー発電装置5において、現在または未来における例えば30分毎または5分ごとの発電計画を示すデータである。
【0037】
潮流値データD21および余裕度データD22に基づいて、変圧器6、送電線7の温度が上限温度以下となる電力が算出され、需給計画データD14が修正されることにより発電計画データD23が作成される。作成された発電計画データD23は、記憶部14に記憶される。
【0038】
計画修正部24は、気象データD12、発電計画作成部23により作成された発電計画データD23に基づいて、計画修正データD24を作成する。
【0039】
電力系統3における事故の発生、再生可能エネルギー発電装置5の出力増加などによる電流の上昇、天候の急変等により、送電線7の温度が、定格データF1に示された上限温度から変化すると予測される場合、計画修正部24は、風況推定部26で推定された風況に基づいて送電線7の温度が、定格データF1に示された上限温度以下となる電力を再度算出する。再度算出された電力に基づいて、発電計画データD23が修正され計画修正データD24が作成される。作成された計画修正データD24は、記憶部14に記憶される。
【0040】
制御指令作成部25は、発電計画作成部23により作成された発電計画データD23または計画修正部24により作成された計画修正データD24に基づいて、制御指令データD25を作成する。
【0041】
制御指令データD25は、発電計画データD23または計画修正データD24に示された電力が、電力系統3a~3eにおいて供給されるための制御を示すデータである。制御指令データD25は、例えば発電機4、再生可能エネルギー発電装置5の発電量の制御を指示する。また、電力系統3a~3eにおける電流の遮断を判断する保護リレー(図中不示)の遮断電流値の変更を指示するものであってもよい。作成された制御指令データD25は、記憶部14に記憶される。
【0042】
風況推定部26は、評価対象エリアの気流解析を行うことによって、風況を推定する。風況推定部26は、例えば、オンラインデータ受信部111で受信された気象データD12および風況実測データD13と、オフラインデータ受信部112で受信された地図データD15および物体データD16とを用いて、評価対象エリア内の風況、例えば風速および風向などを計算し、計算結果に基づいて送電線7の熱容量に影響を及ぼす風の速度や向きを同定する。
【0043】
ボトルネック特定部27は、鉄塔30で区切られる送電線7の区間Dの中で、ボトルネックとなる区間を特定する。本実施形態では、ボトルネック特定部27は、最大潮流値が最も低くなる区間Dをボトルネック区間として特定する。
【0044】
記憶部14は、半導体メモリやハードディスクのような記憶媒体にて構成される。記憶部14は、演算部13に接続される。記憶部14は、演算部13によりデータの書き込み、読出しが制御される。記憶部14は、予め設定され定格データF1を記憶する。また、記憶部14は、潮流値データD21、余裕度データD22、発電計画データD23、計画修正データD24、制御指令データD25、および気流解析データD26を記憶する。
【0045】
次に、電力制御装置8について説明する。電力制御装置8は、電力系統3の実際の制御を行う装置である。図1に示すように、電力制御装置8は、通信線92を介して電力系統3に接続されるとともに、通信線93を介して電力系統監視装置1に接続される。電力制御装置8は、コンピュータ等により構成される。電力制御装置8は、電力系統3の監視または制御を行う一般送配電事業者の変電所などに設置される。
【0046】
電力制御装置8は、需給計画データD14に基づいて例えば発電機4、再生可能エネルギー発電装置5の発電量の制御を指示する。また、電力制御装置8は、電力系統監視装置1から潮流値データD21、余裕度データD22、発電計画データD23、計画修正データD24、制御指令データD25を受信する。電力制御装置8は、潮流値データD21、余裕度データD22、発電計画データD23、計画修正データD24、制御指令データD25を参照して電力系統3の制御を行う。
【0047】
以下、上述した電力系統監視装置1が電力系統3を監視する動作について説明する。
【0048】
図4は、本実施形態に係る電力系統監視装置1が電力系統を監視する動作の手順を示すフローチャートである。
【0049】
図4に示すフローチャートでは、まず、受信部11が、監視動作に必要なデータを受信する(ステップS11)。ステップS11では、オンラインデータ受信部111が、測定データD11、気象データD12、風況実測データD13、および需給計画データD14を受信する。また、オフラインデータ受信部112が、地図データD15および物体データD16を受信する。オンラインデータ受信部111およびオフラインデータ受信部112でそれぞれ受信されたデータは、演算部13へ転送される。演算部13は、例えば1分、5分、30分等の予め設定された時間単位で測定データD11、気象データD12、風況実測データD13、および需給計画データD14を受信部11に取得させる。
【0050】
演算部13では、風況推定部26が、評価対象エリアの風況を推定する(ステップS12)。ここで、図5を参照して、以下に、ステップS12の動作について詳しく説明する。
【0051】
図5は、風況推定動作の詳細を説明するための図である。まず、風況推定部26は、地図データD15を用いて広域解析モデルを作成する(ステップS121)。広域解析モデルには、送電線7が設置された評価対象エリアを含む広域エリアの山間部や平地といった地形モデルが示されている。
【0052】
次に、風況推定部26は、気象データD12を広域解析モデルに入力して広域エリアの気流解析を行う(ステップS122)。ステップS122では、例えばERA-5データが気象データD12として用いられる。このERA-5データには、評価対象エリアの気象データだけでなく評価対象エリア外の気象データも含まれている。
【0053】
図6は、広域エリアの気流解析データの一例を示すグラフである。図6では、横軸はある地点の風速を示し、縦軸はある地点の標高を示す。図6に示すグラフでは、平年時には、標高が高くなると風速が正の方向に急激に増加する。これに対し、異常気象時には、標高がある値になるまで、一旦、負の方向に増加し、その後、正の方向に増加する。このように、平年時と異常気象時で、気流解析データの変化の態様が異なる。そのため、平年時の気流解析データと、異常気象時の気流解析データとを、それぞれ別の気流解析データD26に格納してもよい。この場合、季節応じて気流解析データを分類して管理することができる。
【0054】
次に、風況推定部26は、地図データD15および物体データD16を用いて局所解析モデルを作成する(ステップS123)。ステップS123では、広域エリアを複数の局所エリアに分割し、局所解析モデルには各局所エリアの地形モデルに樹木40や鉄塔30等の送電線7の風況に影響を及ぼすデータが加えられている。
【0055】
次に、風況推定部26は、ステップS122で行った広域エリアの気流解析の結果を局所解析モデルに入力して各局所エリアの気流解析を行う(ステップS124)。各局所エリアの解析結果を示す気流解析データは、気流解析データD26として記憶部14に記憶される。
【0056】
ステップS124の気流解析において、風況推定部26は、鉄塔30や樹木40といった物体が、送電線7の風況に与える影響を解析する。例えば、風速は、図6に示すように標高によって変化する。そのため、送電線7の風況も、地上からの高さ、すなわち、送電線7を取り付ける鉄塔30の高さに応じて変化する。したがって、風況推定部26は、例えば鉄塔30の高さを送電線7の高さとして特定し、特定した高さに対応する風速を広域エリアの気流解析の結果から導出する。
【0057】
また、送電線7の風況は、送電線7の周辺に林立する樹木40の高さや種類によっても変化し得る。例えば、送電線7の風速は、樹木40が広葉樹である場合と針葉樹である場合とで異なり得る。また、樹木40が常緑樹である場合と落葉樹である場合とでは、送電線7の風速は、季節によって異なり得る。そこで、本実施形態では、風況推定部26は、樹木40の高さや種類を予めパラメータとして数値化したモデル式で補正係数を算出する。この補正係数は、送電線7の風況に与える影響を数値化したものである。広域エリアの気流解析結果に基づいて導出した送電線の高さの風速を、この補正係数で補正することによって、送電線7の風況を高精度に解析することができる。
【0058】
次に、風況推定部26は、気流解析値を風況実測値または風況予測値に換算する換算係数を計算する(ステップS125)。換算係数も気流解析データD26として記憶部14に記憶される。換算係数は、例えば、ある地点で実測された風況実測データD13の実測値と、その実測値と同じ地点の気流解析データの解析値との差分、正規化、差分の二乗和、または内積を計算することによって求めることができる。換算係数によって、風況を実測していない地点についても、実測値を計算することができる。なお、風況推定部26は、複数の地点で換算係数を計算してもよい。この場合、ある地点の実測値を求める際、その地点に最も近い地点に対応する換算係数を用いることによって、実測値を高精度に計算することができる。または、複数の実測地点の換算係数に基づいて、ある地点の実測値を計算してもよい。
【0059】
上記のように気流解析が終了すると、風況推定部26は、評価対象エリアにおける風況を推定する(ステップS126)。ステップS126では、図5に示すように、風況推定部26は、気象データD12、風況実測データD13、および気流解析データD26を用いて評価対象エリアの送電線7の各区間Dの風況を推定する。現在の風況を推定する場合、現時点の風況実測データD13が存在する区間Dについては、風況推定部26は、例えば、その風況実測データD13を用いて風況を推定する。現時点の風況実測データD13が存在しない区間Dについては、風況推定部26は、例えばその区間近傍の気象データD12と、気流解析データD26とを用いて風況を推定する。また、未来の風況を推定する場合、風況推定部26は、気象予報GPVデータなど気象予測データを含む気象データD12と、気流解析データD26とを用いて風況を推定する。
【0060】
上述したように、風況推定部26が送配電設備の一つである送電線7の風況を推定すると、図3に示すように、演算部13の潮流値計算部21が、電力系統3a~3eのそれぞれにおいて最大潮流値を算出する(ステップS13)。最大潮流値は、予め定められた電力系統3の範囲である電力系統3a~3eごとに算出される。最大潮流値は、電力系統3a~3eが許容することができる最大電力または、最大電流である。算出された最大潮流値は、潮流値データD21として記憶部14に記憶される。
【0061】
電力系統3a~3eに配置された送配電設備である変圧器6、送電線7は、定格データF1により定格電力が定義される。定格データF1に示された定格電力は、一定の温度において送配電設備が送配電することができる値に、更にマージンを与えた値として定義される。したがって変圧器6、送電線7は、周囲の温度等の条件により、定格電力以上の電力を許容することができる。許容される定格電力以上の電力を最大潮流値と呼ぶこととする。
【0062】
例えば電力系統3aに配置された変圧器6a、送電線7aは、変圧器6a、送電線7aの温度が定格データF1に示された上限温度以下である最大潮流値に対応する電力を許容することができる。変圧器6a、送電線7aの上限温度は、それぞれを構成する部材のうち、最小の上限温度を有する部材により決定される。例えば変圧器6a、送電線7aの上限温度は、構成部品である絶縁材料の上限温度に基づいて決定される。
【0063】
電力系統3aの最大潮流値は、変圧器6a、送電線7aの現在の温度と上限温度との差分に応じ算出される。また、変圧器6a、送電線7aの温度は、変圧器6a、送電線7aの周囲の気温、風速、日射量等に基づいて変動する。例えば送電線7の上限温度と最大潮流の関係は(式1)に示す通りとなる。(式1)に基づいて、上限温度を入力すると、想定する気象条件に見合った最大潮流値(に相当する最大電流値)が算出される。(式1)は熱流入項と熱流出項が均衡した平衡点における式(定常状態の式)であるが、平衡点に達する手前で熱流入項と熱流出項が釣り合わない状態で用いられる微分方程式(過渡状態の式)を用いてもよい。
【数1】
・・・・・(式1)
【0064】
式(1)に示す対流損失qは、強制対流qc1、qc21と、自然対流qcnのうち、大きい方の値を使用する。ここで、強制対流qc1、qc21は、下記の式(2)で表すことができる。
【数2】

(2)
Kangle:風向係数
Re:レイノルズ数
K:空気の熱伝導度
:導体表面温度
:気温
【0065】
式(2)において、レイノルズ数NReは、下記の式(3)で表すことができる。
【数3】
μf:動粘性係数
D0:導体外形
ρf:空気の密度
VW:風速
【0066】
また、自然対流qcnは、下記の式(4)で表すことができる。
【数4】
(4)
【0067】
また、式(1)に示す放射損失qは、下記の式(5)で表すことができる。
【数5】
(5)
ε:架空線の放射率
【0068】
さらに、式(1)に示す太陽熱吸収qは、下記の式(6)で表すことができる。
【数6】
A’:日射で照射される面積
Qse:日射量を導体の高さ(海抜)で補正するための係数
θ:太陽光の有効な入射角
α:太陽熱吸収係数
【0069】
潮流値計算部21は、気象データD12に示された現在の温度、日射量等に関するデーあ、定格データF1に示された変圧器6a、送電線7aの上限温度、測定データD11に示された変圧器6a、送電線7aの現在の温度、および風況推定部26によって推定された風速に基づいて、変圧器6a、送電線7aの両者が上限温度以下となる潮流値であり、変圧器6a、送電線7aの少なくとも一方が定格値以上となる潮流値を最大潮流値として算出する。例えば、上記式(1)の対流損失qおよび放射損失qの値は、風況推定部26によって推定された風速に基づいて設定される。
【0070】
最大潮流値は、定格データF1に示された定格電力に制限されることなく算出される。演算部13の潮流値計算部21は、時々刻々変化する気象に対応し、例えば1分、5分、30分等の周期にて、電力系統3a~3eごとの最大潮流値の算出を行う。さらに、電力系統3a~3eにおいて、最大潮流値は、送電線7の区間Dごとに算出される。
【0071】
なお、最大潮流値は、予め定められた一定の時間後に、変圧器6aまたは送電線7aの上限温度に達する潮流値として算出されるようにしてもよい。潮流値計算部21は、例えば、発電計画の時間帯に対応する時間である1分、5分または30分後に、変圧器6aまたは送電線7aの上限温度に達する潮流値を最大潮流値として算出するようにしてもよい。
【0072】
変圧器6aまたは送電線7aは、定格電力を超える潮流値にかかる電力が供給された場合であっても、上限温度に達するまでに時間を要する。したがって予め定められた時間に対応し、定格電力を超える潮流値を最大潮流値とすることができる。最大潮流値をこのように算出することにより、より大きい電力を電力系統3a~3eに供給することができる。
【0073】
図7は、送電線7の区間ごとの最大潮流値と、風況推定部26の気流解析結果と、の表示画像の一例を示す図である。図7に示すように、表示部15は、地図上に送電線7を描画する。また、表示部15は、潮流値計算部21によって区間D毎に算出された送電線7の最大潮流値を、その大きさに応じて色分け表示する。なお、図7では、最大潮流値が大きくるなるにつれて、青色系、緑色系、および赤色系の順に変化する。しかし、最大潮流値の大きさと表示色との対応関係は、これに限定されない。
【0074】
さらに、表示部15は、風況推定部26の気流解析によって得られた評価対象エリアMの風況図(風速と風向のコンター図)を上記地図上に表示する。このとき、風況推定部26、気流解析結果のうち、熱容量に影響を及ぼす送電線7内の導体に対して垂直方向の風速成分を抽出する。表示部15は、垂直方向の風速の大きさに応じて色分け表示する。
【0075】
垂直方向の風速は、導体とのなす角度を用いて単純な三角関数で求めることができる。例えば、標準規格の一つであるIEEE(Institute of Electrical and Electronics Enginerrs) standardでは、風向を考慮した導体冷却に有効な風速成分を計算するために、下記の式(7)を用いて風向係数Kangleを算出することができる。風況推定部26は、算出した風向係数Kangleを風速に乗算することによって、導体に垂直な方向の風速成分を抽出する。
【数7】

φ:導体とのなす角度
【0076】
なお、本実施形態では、図7に示すように、風速が大きくるなるにつれて、青色系、緑色系、および赤色系の順に変化する。しかし、風速の大きさと表示色との対応関係は、これに限定されない。
【0077】
上述したように、潮流値計算部21が、潮流値データD21を算出すると、図4に示すように、演算部13のボトルネック特定部27が、送電線7の区間Dからボトルネック区間を特定する(ステップS14)。ステップS14では、ボトルネック特定部27は、送電線7の各区間Dの中で、潮流値計算部21によって算出された最大潮流値が最も低くなる区間をボトルネック区間として特定する。例えば、図7に示す例では、区間D2の最大潮流値が、区間D1の最大潮流よりも低いため、ボトルネック特定部27は、区間D2をボトルネック区間として特定する。
【0078】
次に、演算部13の余裕度計算部22が、潮流値計算部21によって算出された最大潮流値に対応する電力が供給された場合における上限温度に対する余裕度を、送配電設備ごとに算出する(ステップS15)。余裕度は、例えば電力系統3a~3eの変圧器6、送電線7ごとに算出される。算出された余裕度は、余裕度データD22として記憶部14に記憶される。
【0079】
図8は、余裕度データD22の一例を示す図である。余裕度は、算出された最大潮流値に対応する電力が供給された場合における送配電設備の温度と上限温度との差分に基づいて、送配電設備が上限温度に達するまで、更に許容することができる電力または電流の量として算出される。
【0080】
図8に示す例では、電力系統3aにおける最大潮流値に対応する電力が供給された場合、変圧器6aの温度が上限温度95℃に達するため、変圧器6aの余裕度はゼロとなる。一方、最大潮流値に対応する電力が供給された場合、送電線7aの予測温度が80℃である場合、上限温度である90℃に対して10℃の余裕があるため、送電線7aの余裕度は例えば100MWとなる。ただし、送電線7aの余裕度を算出する際、潮流値データD21には、ボトルネック特定部27で特定されたボトルネック区間の最大潮流値が用いられる。
【0081】
図9は、余裕度の表示例を示す図である。余裕度計算部22は、電力系統3a~3eの変圧器6、送電線7ごと余裕度を、色分けして余裕度データD22を作成する。作成された余裕度データD22は、表示部15に表示される。例えば、最大潮流値に対応する電力が供給された場合、表示部15が、定格データF1に示された定格電力以下である送配電設備を青色で表示し、定格電力以上であるが上限温度未満となる送配電設備を橙色で表示し、上限温度以上となる送配電設備を赤色で表示するように、余裕度計算部22が余裕度データD22を作成する。
【0082】
上述したように、余裕度計算部22が余裕度データD22を作成すると、図4に示すように、演算部13の発電計画作成部23が、需給計画データD14、潮流値データD21、余裕度データD22に基づいて発電計画データD23を作成する(ステップS16)。作成された発電計画データD23は、記憶部14に記憶される。
【0083】
発電計画データD23は、発電設備により発電される、例えば5分後までの電力の発電量を計画するデータである。需給計画データD14は、発電機4a、4bおよび再生可能エネルギー発電装置5の、現在または未来における例えば5分ごとの発電計画を示すデータである。
【0084】
発電計画作成部23は、潮流値データD21、余裕度データD22に基づいて、変圧器6、送電線7の温度が上限温度以下となる電力を算出して、需給計画データD14を修正することによって、発電計画データD23を作成する。
【0085】
発電計画データD23は、需給計画データD14に示された発電機4a、4bおよび再生可能エネルギー発電装置5の発電量が調整されることによって作成される。変圧器6、送電線7が上限温度に達すると予測される場合、つまり変圧器6または送電線7の余裕度がゼロ未満である場合、潮流計算により発電機4a、4bおよび再生可能エネルギー発電装置5の最適出力を算出し、発電計画データD23が作成される。
【0086】
発電計画データD23は、発電機4a、4bおよび再生可能エネルギー発電装置5の出力電力を上げること、下げることを含めて作成される。発電計画データD23に示された発電機4a、4bおよび再生可能エネルギー発電装置5の発電量は、例えば、電力系統3における全体の電力損失が最小となるように潮流計算により算出される。発電計画データD23に示された発電機4a、4bおよび再生可能エネルギー発電装置5の発電量は、電力系統3における電力コストが最小となるように算出されるようにしてもよい。発電計画データD23に示された発電機4a、4bおよび再生可能エネルギー発電装置5の発電量は、電力系統3a~3eの過渡安定度、電圧安定度、周波数安定度が変圧器6、送電線7の余裕度データD22に示された余裕度に優先して判断され作成される。または、電力系統3a~3eの過渡安定度、電圧安定度、周波数安定度が、変圧器6、送電線7の余裕度データD22に示された余裕度と比較し、それらの中で最小となる余裕度から判断して作成してもよい。
【0087】
次に、計画修正部24が、発電計画作成部23により作成された発電計画データD23を修正し、計画修正データD24を作成する(ステップS17)。計画修正部24は、風況推定部26によって推定された風況に基づいて発電計画データD23を修正し、計画修正データD24を作成するようにしてもよい。作成された計画修正データD24は、記憶部14に記憶される。
【0088】
天候の急変等により送電線7の温度が定格データF1に示された上限温度以上になると予測される場合、計画修正部24は、測定データD11、風況推定部26の推定結果に基づいて送電線7の温度が定格データF1に示された上限温度以下となる電力を再度算出する。
【0089】
再度算出された電力に基づいて、発電計画データD23が修正され計画修正データD24が作成される。また、送電線7の温度が定格データF1に示された上限温度以上になると予測される場合、表示部15および送信部12からアラームが出力される。表示部15が、警報ランプ等の表示による警報装置や音声による警報装置を備えるように構成し、これらの警報装置によりアラームが出力されるようにしてもよい。
【0090】
また、事故等により電力系統3全体の電力供給量が制限される場合がある。例えば電力系統3において電力系統3bが事故により給電することができなくなった場合、電力系統3全体の電力供給量を維持するため、電力系統3a、3cの電力供給量を増加させる場合がある。この場合、計画修正データD24は、発電機4aおよび再生可能エネルギー発電装置5による発電量が調整され作成される。
【0091】
計画修正部24は、電力系統3a、3cの電力供給量を増加させた場合、電力系統3a、3cの変圧器6または送電線7の余裕度がゼロ未満になるかの判断を行う。変圧器6または送電線7の余裕度が電力系統3a、3cの両方においてゼロ未満になる場合、計画修正部24は、潮流計算により発電機4a、再生可能エネルギー発電装置5の出力電力を算出し、発電機4a、再生可能エネルギー発電装置5の出力電力を制限させる計画修正データD24を作成する。電力系統3a、3cの変圧器6または送電線7が余裕度ゼロに相当する電力を供給するように、計画修正データD24は作成される。
【0092】
計画修正データD24は、発電機4a、4bおよび再生可能エネルギー発電装置5の出力電力を上げること、下げることを含めて作成される。計画修正データD24は、電力系統3a~3eの過渡安定度、電圧安定度、周波数安定度が変圧器6、送電線7の余裕度データD22に示された余裕度に優先して判断され作成される。または、電力系統3a~3eの過渡安定度、電圧安定度、周波数安定度が、変圧器6、送電線7の余裕度データD22に示された余裕度と比較し、それらの中で最小となる余裕度から判断して作成してもよい。
【0093】
制御指令作成部25は、発電計画作成部23により作成された発電計画データD23または計画修正部24により作成された計画修正データD24に基づいて、制御指令データD25を作成する(ステップS18)。作成された制御指令データD25は、記憶部14に記憶される。
【0094】
制御指令データD25は、発電計画作成部23により作成された発電計画データD23または計画修正部24により作成された計画修正データD24にかかる電力が、電力系統3a~3eにおいて供給されるための制御を示すデータである。制御指令データD25は、例えば発電機4、再生可能エネルギー発電装置5の発電量の制御を指示する。また、電力系統3a~3eにおける電流の遮断を判断する保護リレー(不図示)の遮断電流値の変更を指示するものであってもよい。
【0095】
送信部12は、演算部13により作成された潮流値データD21、余裕度データD22、発電計画データD23、計画修正データD24、制御指令データD25を電力制御装置8に送信する。
【0096】
電力制御装置8は、電力系統監視装置1の送信部12から送信された潮流値データD21、余裕度データD22、発電計画データD23、計画修正データD24、制御指令データD25を受信する。電力制御装置8は、潮流値データD21、余裕度データD22、発電計画データD23、計画修正データD24、制御指令データD25を参照して電力系統3の制御を行う。
【0097】
電力制御装置8は、制御指令データD25に基づいて、例えば発電機4a、4b、再生可能エネルギー発電装置5の発電量の制御を指示する。
【0098】
以上説明した本実施形態によれば、風況推定部26の気流解析の対象範囲に、送配電設備(送電線7)が含まれている。そのため、送配電設備の風況を高精度に推定することができる。これにより、潮流値計算部21で算出される送配電設備の最大潮流値は、定格値以上でありながら熱容量の上限を超えない範囲になる。よって、送配電設備の信頼性を確保しつつ、電力系統の送電容量を増加させることが可能となる。
【0099】
また、本実施形態では、ボトルネック特定部27が、送電線7の区間ごとの風況推定および最大潮流値の算出結果に基づいて、ボトルネック区間を特定する。そのため、送電線7の状況をより詳細に把握した上で最大潮流値を算出することができる。これにより、送配電設備の信頼性を高めながら、電力系統の送電容量を増加させることが可能となる。
【0100】
なお、発電計画作成部23は、送配電ロスの最小化、発電設備の発電コストの最小化、再生エネルギー発電装置の出力の最大化、および発電設備の排出二酸化炭素の最小化のうちの少なくとも1つを目的関数として、潮流計算の結果に基づいて上限温度に達しない発電設備である発電機4、再生可能エネルギー発電装置5の出力を算出し、発電計画データD23を作成するようにしてもよい。このとき、潮流値計算部21は、風況推定部26の風況推定結果の時間変化に基づき、図10に示すような各風速ビンの出現比率の分布を算出する。さらに、潮流値計算部21は、算出した出現比率に基づいて最大潮流値の確率分布を算出する。また、発電計画作成部23は、最大潮流値の確率分布に基づいて上記目的関数の期待値を求める。このように構成することで、送配電ロスの最小化、発電設備の発電コストの最小化、再生エネルギー発電装置の出力の最大化、発電設備の排出二酸化炭素の最小化を含め、発電設備である発電機4、再生可能エネルギー発電装置5の出力が算出されるので、より安定した電力系統3の制御を行うことができる。
【0101】
ここで、図11(a)~図11(c)を参照して、上記期待値の算出方法について説明する。図11(a)は、各風速の発生確率の分布図の一例である。この発生確率は、図10に示す各風速ビンの出現比率の分布に基づいて算出される。また、図11(b)は、風向に対応する送電線7の導体との成す角度の発生確率の分布図の一例である。さらに、図11(c)は、送電線7の許容電流の発生確率の分布図の一例である。潮流値計算部21は、図11(a)および図11(b)の分布図に表されている風速および角度を、上記式(1)に代入して、図11(c)に示す許容電流の発生確率を算出する。続いて、潮流値計算部21は、Σ(許容電流に応じた目的関数×発生確率)の式で目的関数の期待値を算出する。
【0102】
また、発電計画作成部23は、過渡安定度、電圧安定度、周波数安定性のうち、少なくとも1つの限界値に基づいて、潮流計算の結果に基づいて上限温度に達しない発電設備である発電機4、再生可能エネルギー発電装置5の出力を算出し、発電計画データD23を作成するようにしてもよい。このように構成することで、過渡安定度、電圧安定度、周波数安定性が確保された、発電設備である発電機4、再生可能エネルギー発電装置5の出力が算出されるので、より安定した電力系統3の制御を行うことができる。
【0103】
また、計画修正部24は、電力系統3の故障による運用回線の減少による潮流増加に起因して、少なくとも1つの送配電設備である変圧器6、送電線7の余裕度がゼロ未満になると判断した場合に、発電計画データを修正し、発電設備である発電機4、再生可能エネルギー発電装置5の出力電力を制限させる計画修正データを作成するようにしてもよい。このように構成することで、電力系統3の故障による運用回線の減少により潮流増加があった場合であっても、発電設備である発電機4、再生可能エネルギー発電装置5の適切な出力電力を算出することができ、安定した電力系統3の制御を行うことができる。
【0104】
また、潮流値計算部21は、風況推定部26の風況推定結果に基づいて、送電線7の区間毎に風況の推定結果の信頼区間を算出してもよい。例えば、一般的な風況評価に用いる90%TILE値を用いても良い。信頼区間が一定以上の場合(信頼区間が広く誤差のリスクが高い場合)、潮流値計算部21は、算出した最大潮流値に0以上1未満の補正係数を乗算して、最大潮流値を補正する。このように補正することによって風況推定部26の風況推定の信頼性が低い送電線7の区間についても、最大潮流値の計算精度を確保することができる。
【0105】
また、風況推定部26は、ステップS12において、送電線7の各区間について推定した風速値と、風況実測データD13の中で各区間に最も近い実測地点の実測値と、を比較してもよい。風況推定部26は、例えばこの風速値と実測値との差を推定精度として算出する。この推定精度が所定値以下の区間については、風況推定部26は、例えば、広域エリアからさらに細かく局所エリアを設定等することによって局所解析モデルを再構成する。
これにより、風況の推定精度が低い送電線7の区間については、再度気流解析が行われるので、風況に関して一定の推定基準を確保することができる。
【0106】
なお、送電線7の中に上記推定精度が所定値以下の区間が存在する場合、風況推定部26は、当該区間を風況センサの設置を推奨する風況センサ設置推奨区間として特定してもよい。この場合、表示部15が、風況センサ設置推奨区間を他の区間と識別可能な形態、例えば他の区間と異なる色で表示する。これにより、送電線7の中で風況の推定精度を確保しにくい区間については、風況センサの計測結果を用いて最大潮流値を計算するように促すことができる。
【0107】
また、ボトルネック特定部27は、送電線7の中で最大潮流値がしきい値以下となる区間をボトルネック区間として特定してもよい。この場合、ボトルネック特定部27は、ボトルネック区間を上記風況センサ設置推奨区間としても特定してもよい。また、表示部15が、風況センサ設置推奨区間を他の区間と識別可能な形態で表示してもよい。これにより、送電線7の中で潮流値を増加しにくい区間については、風況センサの計測結果を用いて最大潮流値をより高精度に計算するように促すことができる。なお、ボトルネック区間が存在する場合、風況推定部26が、広域エリアから前回の気流解析よりも細かい局所エリアに分割することによって、局所解析モデルを再構成してもよい。この場合も、ボトルネック区間の推定精度が向上するため、最大潮流値の計算精度を高めることができる。
【0108】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について説明する。ここでは、上述した第1実施形態と異なる点を中心に説明し、同様の点については適宜説明を省略する。本実施形態では、風況推定部26による風況推定ステップ(S12)の一部が、第1実施形態と異なる。以下、第2実施形態に係る風況推定ステップについて説明する。
【0109】
図12は、第2実施形態に係る風況推定ステップを説明するための模式図である。
【0110】
風況推定ステップでは、まず、風況推定部26は、第1実施形態と同様に、地図データD15を用いて広域解析モデルを作成する(ステップS121)。
【0111】
次に、風況推定部26は、気象データD12または気象データD12に基づく標高毎の風速データを広域解析モデルに入力して広域エリアA1の気流解析を行う(ステップS122)。本実施形態では、ステップS122で入力される気象データD12には、気象庁予測データが用いられる。この気象庁予測データは、所定(例えば2km)の間隔dで配置された複数の気象予測地点P1の気象庁の風況予測データである。また、広域エリアA1には、鉄塔30および送電線7の周辺エリアを含む評価対象エリアだけでなく評価対象エリア外も含まれる。そのため、入力される気象データD12には、評価対象エリア内の気象データだけでなく評価対象エリア外の気象データも含まれる。
【0112】
ステップS122は、例えばk-εモデル、LESモデル等を用いた既存の気流解析ソフトウェアを演算部13に予めインストールしておき、風況推定部26が、その気流解析ソフトウェアのプログラムに従って動作することによって実現することができる。
【0113】
次に、風況推定部26は、地図データD15および物体データD16を用いて局所解析モデルを作成する(ステップS123)。ステップS123では、広域エリアA1が、例えば送電線7および鉄塔30の付近の局所エリアA2に分割される。また、局所解析モデルには、各局所エリアA2の地形モデルが加えられている。局所エリアA2の地形モデルには、広域エリアA1の地形モデルよりも詳細に鉄塔30および樹木40、建物の位置や高さなどのデータが示されている。
【0114】
次に、風況推定部26は、ステップS122で行った広域エリアA1の気流解析の結果を局所解析モデルに入力して各局所エリアの気流解析を行う(ステップS124)。各局所エリアA2の解析結果を示す気流解析データは、気流解析データD26として記憶部14に記憶される。なお、ステップS124も、ステップS122と同様に、風況推定部26が、演算部13に予めインストールされた気流解析ソフトウェアのプログラムに従って動作することによって実現することができる。なお、本実施形態では、気流解析データを高精度に作成するために、広域エリアA1から局所エリアA2へと段階的に気流解析の対象エリアを狭くする、いわゆるネスティングによる気流解析を行っている。しかし、データ精度が確保できるのであれば、広域気流解析と局所気流解析の併用、広域気流解析のみ、または局所気流解析のみで気流解析データを作成してもよい。広域気流解析のみ、または局所気流解析のみで気流解析データを作成する場合、ネスティングによる気流解析が不要になるため、気流解析に要する時間を短縮し、解析処理の負荷を軽減することができる。
【0115】
次に、本実施形態では、風況推定部26は、気流解析値を風況実測値または風況予測値に換算する換算係数を計算する(ステップS125)ことなく、送電線7の風況を推定する(ステップS126)。
【0116】
ステップS126では、風況推定部26は、下記の式(8)を用いて、区間ごとに送電線7の風速推定値Eを算出する。なお、風速推定範囲は、例えば、ユーザの操作によって選択することができる。なお、風況推定部26は、予測地点の風向を基準に気流解析で求めた予測地点の風向と推定地点の風向の差分から予測地点の風向も推定してよい。
風速推定値E=予測値F×平均風速比α (8)
【0117】
上記式(8)において、予測値Fは、気象データD12に含まれる気象予測地点P1aの風速予測値である。なお、送電線の区間D1、D2の周辺に複数の気象予測地点P1が存在する場合、風速推定値Eの精度を高めるために、例えば各区間に最も近い気象予測地点P1aの風速予測値が予測値Fとして用いられる。または、風速推定地点P2の周辺の気象予測地点P1から内挿する予測値Fを用いても良い。
【0118】
平均風速比αは、下記の式(9)に示すように、気象予測地点P1aと区間内の風速推定地点P2との間における平均風速の比率で算出される無次元の係数である。
平均風速比α=第2平均風速AV2/第1平均風速AV1 (9)
【0119】
式(9)において、第1平均風速AV1は、気象予測地点P1aにおいて、気流解析から得られる所定の時間ステップもしくは時間内の風速の平均値である。例えば、図13は気流解析から得られる所定の時間内における気象予測地点P1aと風速推定地点P2の風速トレンド波形である。第1平均風速AV1は気象予測地点P1aの風速トレンド波形の平均値である。
【0120】
また、第2平均風速AV2は、風速推定地点P2の風速トレンド波形の平均値である。
【0121】
本実施形態では、上述したように、送電線7の各区間Dの風況を推定する際に、単に気象データD12を気流解析するだけでなく、平均風速比αを用いて風速推定値Eを算出している。そのため、風速推定値Eの精度が向上する。
【0122】
したがって、本実施形態によれば、送電線7の風況の推定精度をさらに向上させることが可能となる。
【0123】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規なシステムは、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明したシステムの形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0124】
1:電力系統監視装置
11:受信部
15:表示部
21:潮流値計算部
22:余裕度計算部
23:発電計画作成部
26:風況推定部
27:ボトルネック特定部
図1
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図13