(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057361
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】作業支援装置および作業支援方法
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
E02F9/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164052
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 卓
(72)【発明者】
【氏名】吉原 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】小岩井 一茂
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015HA03
(57)【要約】
【課題】作業機械を構成する作業機構と当該作業機械の周辺に存在する対象物体との位置関係のオペレータによる認識精度の向上を図りうるシステム等を提供する。
【解決手段】作業環境画像に第1指標画像および第2指標画像が重畳された作業支援画像が生成される。「作業環境画像」は、作業機械40の第1位置姿勢状態に応じて実機撮像装置412を通じて取得された第1エリア(例えば、上部旋回体42の前方)の状況を表わす画像である。「第1指標画像」は、作業機械40が第1位置姿勢状態からこれとは異なる第2位置姿勢状態に遷移する場合、作業環境画像に映り込むと予測される、当該第2位置姿勢状態に応じた第2エリア(例えば、上部旋回体42の側方および/または後方)に存在する指定物体(例えば、荷物積載車両Q)の空間占有態様を表わす画像である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の第1位置姿勢状態に応じて撮像装置を通じて取得された第1エリアの状況を表わす作業環境画像に、前記作業機械が前記第1位置姿勢状態からこれとは異なる第2位置姿勢状態に遷移する場合に前記作業環境画像に映り込むと予測される、前記第2位置姿勢状態に応じた第2エリアに存在する指定物体の空間占有態様を表わす第1指標画像が重畳された作業支援画像を生成する
作業支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の作業支援装置において、
前記作業機械において下部走行体に対して上部旋回体が旋回することにより相互に異なる第1方位および第2方位のそれぞれを向いている状態を前記第1位置姿勢状態および前記第2位置姿勢状態のそれぞれとして前記作業支援画像を生成する
作業支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の作業支援装置において、
前記作業機械において前記上部旋回体から延在している作業機構の空間占有態様を表わす第2指標画像が含まれている前記作業支援画像を生成する
作業支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の作業支援装置において、
前記指定物体の輪郭の少なくとも一部を表わすまたは指す前記第1指標画像と、前記作業機構の輪郭の少なくとも一部を表わすまたは指す前記第2指標画像と、が含まれている前記作業支援画像を生成する
作業支援装置。
【請求項5】
請求項4に記載の作業支援装置において、
前記指定物体の指定エリアの境界線の少なくとも一部を表わすまたは指す前記第1指標画像と、前記指定物体の指定エリアの境界線を含む指定平面に対する前記作業機構の投影結果の境界線の少なくとも一部を表わすまたは指す前記第2指標画像と、が含まれている前記作業支援画像を生成する
作業支援装置。
【請求項6】
請求項5に記載の作業支援装置において、
前記第1指標画像が前記指定物体の指定エリアの境界線の少なくとも一部と地表との鉛直距離をさらに表わし、これに加えてまたは代えて、前記第2指標画像が前記指定平面と前記作業機構との鉛直距離を表わすような前記作業支援画像を生成する
作業支援装置。
【請求項7】
請求項3~6のうちいずれか1項に記載の作業支援装置において、
前記指定物体の空間占有態様と前記作業機構の空間占有態様との相対関係の相違に応じて、前記第1指標画像および前記第2指標画像のうち少なくとも一方の指標画像の意匠が相違する前記作業支援画像を生成する
作業支援装置。
【請求項8】
請求項1に記載の作業支援装置において、
前記作業機械の前記第1位置姿勢状態および前記第2位置姿勢状態を仮想的に一致させるまたは接近させる過程における前記指定物体の空間占有態様の遷移態様を表わす前記第1指標画像が前記作業環境画像に重畳された前記作業支援画像を生成する
作業支援装置。
【請求項9】
請求項1に記載の作業支援装置において、
前記第1位置姿勢状態および前記第2位置姿勢状態の乖離度が閾値を超えている場合、出力インターフェースに前記作業支援画像を出力させる一方、前記第1位置姿勢状態および前記第2位置姿勢状態の乖離度が前記閾値以下である場合、前記出力インターフェースに前記作業環境画像を出力させ、かつ、前記第1指標画像を出力させないための処理を実行する
作業支援装置。
【請求項10】
請求項1に記載の作業支援装置において、
前記作業機械が前記第2位置姿勢状態にある際に前記撮像装置または測距センサを用いて前記指定物体の空間占有態様を認識する
作業支援装置。
【請求項11】
請求項1に記載の作業支援装置において、
前記第1位置姿勢状態にある前記作業機械の動作態様または操作態様に応じて、前記第2位置姿勢状態を認識し、かつ、前記第2位置姿勢状態に応じた第2エリアに存在する指定物体の空間占有態様を認識する
作業支援装置。
【請求項12】
請求項1に記載の作業支援装置において、
前記作業機械の位置姿勢状態および前記指定物体の位置姿勢状態の時系列的な変化態様に応じて、前記指定物体の空間占有態様が時系列的に変化するように、前記第1指標画像が前記作業環境画像に重畳された前記作業支援画像を生成する
作業支援装置。
【請求項13】
請求項2に記載の作業支援装置において、
前記第1方位を含む鉛直面である指定鉛直面に対して、前記作業機械と、前記第1指標画像または前記第1指標画像および前記指定物体と、が投影された結果としての作業支援副画像を生成する
作業支援装置。
【請求項14】
請求項13に記載の作業支援装置において、
前記指定鉛直面に対して、前記上部旋回体から延在し、前記第1エリアに存在する作業機構の空間占有態様を表わす第2指標画像がさらに投影された結果としての前記作業支援副画像を生成する
作業支援装置。
【請求項15】
請求項14に記載の作業支援装置において、
前記第2指標画像が、前記指定鉛直面において地表面または水平面に対する前記作業機構の指定箇所の鉛直方向への投影結果を表わす前記作業支援副画像を生成する
作業支援装置。
【請求項16】
作業機械の第1位置姿勢状態に応じて撮像装置を通じて第1エリアの状況を表わす作業環境画像を取得する工程と、
前記作業機械が前記第1位置姿勢状態からこれとは異なる第2位置姿勢状態に遷移する場合、前記作業環境画像に映り込むと予測される、当該第2位置姿勢状態に応じた第2エリアに存在する指定物体の空間占有態様を認識する工程と、
前記指定物体の空間占有態様を表わす第1指標画像を前記作業環境画像に重畳することにより作業支援画像を生成する工程と、を含んでいる
作業支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オペレータにより操作される油圧ショベル等の作業機械の作業を支援するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機の姿勢を用いて得られた作業具の位置の情報と、距離検出装置が求めた作業機械の作業対象までの距離の情報から得られた作業対象である地面の位置の情報とを用いて、作業具と対向する作業対象の表面に沿って当該作業具に対応する部分の画像を生成し、撮像装置によって撮像された作業対象の画像と合成して、表示装置に表示させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、作業具を有する作業機を備えた作業機械を用いて作業する際の作業効率の低下が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、作業機械において下部走行体に対して旋回可能な上部旋回体の前方の状況を表わす作業環境画像には映り込んでいないものの、当該作業機械の周囲には作業機械による作業等の観点から注目されるべき指定物体が存在する場合がある。この場合、下部走行体に対して上部旋回体が旋回することにより、指定物体が当該上部旋回体の前方に現われ、かつ、作業環境画像に映り込むことになるものの、オペレータとしてはその段階で当該指定物体の位置および姿勢を含む空間占有態様を初めて認識、作業機械の動作を調整等することになる。これにより、作業機械による作業効率が低下する可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、作業機械の周囲の状況を表わす作業環境画像に現れていないものの、作業機械の周辺に存在している指定物体の空間占有態様の認識精度の向上を図りうるシステム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の作業支援装置は、
作業機械の第1位置姿勢状態に応じて撮像装置を通じて取得された第1エリアの状況を表わす作業環境画像に、前記作業機械が前記第1位置姿勢状態からこれとは異なる第2位置姿勢状態に遷移する場合に前記作業環境画像に映り込むと予測される、前記第2位置姿勢状態に応じた第2エリアに存在する指定物体の空間占有態様を表わす第1指標画像が重畳された作業支援画像を生成する。
【0007】
当該構成の作業支援装置によれば、作業環境画像に第1指標画像が重畳された作業支援画像が生成される。「作業環境画像」は、作業機械の第1位置姿勢状態に応じて撮像装置を通じて取得された第1エリアの状況を表わす画像である。「第1指標画像」は、作業装置が第1位置姿勢状態からこれとは異なる第2位置姿勢状態に遷移する場合、作業環境画像に映り込むと予測される、当該第2位置姿勢状態に応じた第2エリアに存在する指定物体の空間占有態様を表わす画像である。
【0008】
「位置姿勢状態」とは、作業機械の指定箇所の位置および姿勢により特定される状態を意味する。物体の「空間占有態様」は、例えば、当該物体が実空間および/または仮想空間において占有する空間を構成する少なくとも一部の点群の座標値により特定される。
【0009】
このため、作業機械が第1位置姿勢状態にある際には作業環境画像に映り込んでいない(または部分的に映り込んでいるものの位置姿勢が不明確である)ものの、作業機械が第2位置姿勢状態に遷移する際に作業環境画像に映り込むと予測される指定物体の空間占有態様を、作業支援画像に接したオペレータ等に認識させることができる。
【0010】
前記構成の作業支援装置において、
前記作業機械において下部走行体に対して上部旋回体が旋回することにより相互に異なる第1方位および第2方位のそれぞれを向いている状態を前記第1位置姿勢状態および前記第2位置姿勢状態のそれぞれとして前記作業支援画像を生成する
ことが好ましい。
【0011】
当該構成の作業支援装置によれば、作業機械において下部走行体に対して旋回可能な上部旋回体が第1方位を向いている状態(第1位置姿勢状態)にある際には作業環境画像に映り込んでいないものの、そこから上部旋回体が下部走行体に対して旋回して第2方位を向いている状態(第2位置姿勢状態)に遷移する際に作業環境画像に映り込むと予測される指定物体の空間占有態様を、作業支援画像に接したオペレータ等に認識させることができる。
【0012】
前記構成の作業支援装置において、
前記作業機械において前記上部旋回体から延在している作業機構の空間占有態様を表わす第2指標画像が含まれている前記作業支援画像を生成する
ことが好ましい。
【0013】
当該構成の作業支援装置によれば、第2指標画像が含まれている作業支援画像が生成される。「第2指標画像」は、作業機械において前記上部旋回体から延在している作業機構の空間占有態様を表わす画像である。このため、作業機械が第1位置姿勢状態にある際には作業環境画像に映り込んでいないものの、作業機械が第2位置姿勢状態に遷移する際に作業環境画像に映り込むと予測される指定物体とその際の作業機構との相対位置および/または相対姿勢を、作業支援画像に接したオペレータ等に認識させることができる。
【0014】
前記構成の作業支援装置において、
前記指定物体の輪郭の少なくとも一部を表わすまたは指す前記第1指標画像と、前記作業機構の輪郭の少なくとも一部を表わすまたは指す前記第2指標画像と、が含まれている前記作業支援画像を生成する
ことが好ましい。
【0015】
当該構成の作業支援装置によれば、作業機械が第1位置姿勢状態にある際には作業環境画像に映り込んでいないものの、作業機械が第2位置姿勢状態に遷移する際に作業環境画像に映り込むと予測される指定物体の少なくとも一部の輪郭と作業機構の少なくとも一部の輪郭との相対位置および/または相対姿勢を、作業支援画像に接したオペレータ等に認識させることができる。
【0016】
前記構成の作業支援装置において、
前記指定物体の指定エリアの境界線の少なくとも一部を表わすまたは指す前記第1指標画像と、前記指定物体の指定エリアの境界線を含む指定平面に対する前記作業機構の投影結果の境界線の少なくとも一部を表わすまたは指す前記第2指標画像と、が含まれている前記作業支援画像を生成する
ことが好ましい。
【0017】
当該構成の作業支援装置によれば、作業機械が第1位置姿勢状態にある際には作業環境画像に映り込んでいないものの、作業機械が第2位置姿勢状態に遷移する際に作業環境画像に映り込むと予測される指定物体の指定エリアの境界線(稜線および/または指定断面における断面境界線を含む。)の少なくとも一部と作業機構の少なくとも一部の輪郭との、当該境界線を含む指定平面における相対位置および/または相対姿勢を、作業支援画像に接したオペレータ等に認識させることができる。
【0018】
前記構成の作業支援装置において、
前記第1指標画像が前記指定物体の指定エリアの境界線の少なくとも一部と地表との鉛直距離をさらに表わし、これに加えてまたは代えて、前記第2指標画像が前記指定平面と前記作業機構との鉛直距離を表わすような前記作業支援画像を生成する
ことが好ましい。
【0019】
当該構成の作業支援装置によれば、作業機械が第1位置姿勢状態にある際には作業環境画像に映り込んでいないものの、作業機械が第2位置姿勢状態に遷移する際に作業環境画像に映り込むと予測される指定物体の指定エリアの境界線の少なくとも一部と地表との鉛直距離および/または作業機構と指定平面との鉛直距離を、作業支援画像に接したオペレータ等に認識させることができる。
【0020】
前記構成の作業支援装置において、
前記指定物体の空間占有態様と前記作業機構の空間占有態様との相対関係の相違に応じて、前記第1指標画像および前記第2指標画像のうち少なくとも一方の指標画像の意匠が相違する前記作業支援画像を生成する
ことが好ましい。
【0021】
当該構成の作業支援装置によれば、第1指標画像および/または第2指標画像の意匠の相違を通じて、指定物体の空間占有態様と作業機構の空間占有態様との相対関係の相違を、作業支援画像に接したオペレータ等に認識させることができる。
【0022】
前記構成の作業支援装置において、
前記作業機械の前記第1位置姿勢状態および前記第2位置姿勢状態を仮想的に一致させるまたは接近させる過程における前記指定物体の空間占有態様の遷移態様を表わす前記第1指標画像が前記作業環境画像に重畳された前記作業支援画像を生成する
ことが好ましい。
【0023】
当該構成の作業支援装置によれば、作業支援画像に含まれている第1指標画像により作業機械の第1位置姿勢状態および第2位置姿勢状態を仮想的に一致させるまたは接近させる過程における指定物体の空間占有態様の遷移態様が表わされている。これにより、作業機械の位置姿勢状態の遷移に伴って作業機械またはその構成要素である作業機構等と指定物体との相対位置および相対姿勢がどのように遷移するかを、作業支援画像に接したオペレータ等に認識させることができる。
【0024】
前記構成の作業支援装置において、
前記第1位置姿勢状態および前記第2位置姿勢状態の乖離度が閾値を超えている場合、出力インターフェースに前記作業支援画像を出力させる一方、前記第1位置姿勢状態および前記第2位置姿勢状態の乖離度が前記閾値以下である場合、前記出力インターフェースに前記作業環境画像を出力させ、かつ、前記第1指標画像を出力させないための処理を実行する
ことが好ましい。
【0025】
当該構成の作業支援装置によれば、第1位置姿勢状態および第2位置姿勢状態の乖離度が閾値以下である場合、出力インターフェースに作業環境画像は出力されるものの、第1指標画像は出力されない。これにより、例えば、指定物体が映り込んでいる作業環境画像に、第1指標画像が重畳出力されることで、当該指定物体の空間占有態様と作業機械またはその構成要素である作業機構等との相関関係がオペレータ等に誤認される事態が回避されうる。
【0026】
前記構成の作業支援装置において、
前記作業機械が前記第2位置姿勢状態にある際に前記撮像装置または測距センサを用いて前記指定物体の空間占有態様を認識する
ことが好ましい。
【0027】
当該構成の作業支援装置によれば、作業機械が第2位置姿勢状態にある際に撮像装置または測距センサを用いて指定物体の空間占有態様が認識される。これにより、作業機械の第2位置姿勢状態に応じた第2エリアに存在する指定物体の空間占有態様の第1指標画像による表現精度の向上が図られる。
【0028】
前記構成の作業支援装置において、
前記第1位置姿勢状態にある前記作業機械の動作態様または操作態様に応じて、前記第2位置姿勢状態を認識し、かつ、前記第2位置姿勢状態に応じた第2エリアに存在する指定物体の空間占有態様を認識する
ことが好ましい。
【0029】
当該構成の作業支援装置によれば、作業機械の動作態様または操作態様に鑑みて、当該作業機械の位置姿勢状態の遷移過程で作業環境画像に映り込むであろう指定物体の空間占有態様を、作業支援画像に接したオペレータ等に認識させることができる。
【0030】
前記構成の作業支援装置において、
前記作業機械の位置姿勢状態および前記指定物体の位置姿勢状態の時系列的な変化態様に応じて、前記指定物体の空間占有態様が時系列的に変化するように、前記第1指標画像が前記作業環境画像に重畳された前記作業支援画像を生成する
ことが好ましい。
【0031】
当該構成の作業支援装置によれば、作業機械および指定物体の位置および/または姿勢の時系列的な変化態様に応じた、当該指定物体の空間占有態様の時系列的な変化態様を第1指標画像の時系列的な変化態様を、作業支援画像に接したオペレータ等に認識させることができる。
【0032】
前記構成の作業支援装置において、
前記第1方位を含む鉛直面である指定鉛直面に対して、前記作業機械と、前記第1指標画像または前記第1指標画像および前記指定物体と、が投影された結果としての作業支援副画像を生成する
ことが好ましい。
【0033】
当該構成の作業支援装置によれば、上部旋回体が第1方位を向いている状態(第1位置姿勢状態)にある際には作業環境画像に映り込んでいないものの、上部旋回体が第2方位を向いている状態(第2位置姿勢状態)に遷移する際に作業環境画像に映り込むと予測される指定物体と作業機械とのそれぞれの、当該第1方位を含む鉛直面である指定鉛直面における空間占有態様を、作業支援副画像に接したオペレータ等に認識させることができる。
【0034】
前記構成の作業支援装置において、
前記指定鉛直面に対して、前記上部旋回体から延在し、前記第1エリアに存在する作業機構の空間占有態様を表わす第2指標画像がさらに投影された結果としての前記作業支援副画像を生成する
ことが好ましい。
【0035】
当該構成の作業支援装置によれば、上部旋回体が第1方位を向いている状態(第1位置姿勢状態)にある際には作業環境画像に映り込んでいないものの、上部旋回体が第2方位を向いている状態(第2位置姿勢状態)に遷移する際に作業環境画像に映り込むと予測される指定物体と作業機械の作業機構とのそれぞれの、当該第1方位を含む鉛直面である指定鉛直面における空間占有態様を、作業支援副画像に接したオペレータ等に認識させることができる。
【0036】
前記構成の作業支援装置において、
前記第2指標画像が、前記指定鉛直面において地表面または水平面に対する前記作業機構の指定箇所の鉛直方向への投影結果を表わす前記作業支援副画像を生成する
ことが好ましい。
【0037】
当該構成の作業支援装置によれば、指定鉛直面における作業機構の位置および姿勢を、作業支援副画像に接したオペレータ等に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図4】第1実施形態の作業支援装置の機能に関する説明図。
【
図5】作業機構および指定物体のそれぞれの空間占有態様に関する平面図。
【
図6】作業機構および指定物体のそれぞれの空間占有態様に関する側面図。
【
図7】作業支援画像(第1実施例)に関する説明図。
【
図8】作業支援画像(第2実施例)に関する説明図。
【
図9】作業支援画像(第3実施例)に関する説明図。
【
図10】作業支援画像(第4実施例)に関する説明図。
【
図11】作業支援画像(第5実施例)に関する説明図。
【
図12】第2実施形態の作業支援装置の機能に関する説明図。
【
図13】作業機構および指定物体のそれぞれの空間占有態様に関する平面図。
【
図14】作業機構および指定物体の相対的な空間占有態様の変化に関する平面図。
【
図15】作業機構および指定物体の相対的な空間占有態様の変化に関する平面図。
【
図16】作業支援副画像(第1実施例)に関する説明図。
【
図17】作業支援副画像(第2実施例)に関する説明図。
【
図18】他の実施形態における作業機械の構成説明図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(作業支援装置の構成)
図1に示されている作業支援システムは、本発明の一実施形態としての作業支援装置10と、作業支援装置10と相互にネットワーク通信可能に構成されている遠隔操作装置20および/または作業機械40と、により構成されている。作業支援装置10および遠隔操作装置20の相互通信ネットワークと、作業支援装置10および作業機械40の相互通信ネットワークと、は同一であってもよく相違していてもよい。
【0040】
(作業支援装置の構成)
作業支援装置10は、一または複数のコンピュータまたはサーバコンピュータにより構成されている。
図1に示されているように、作業支援装置10は、データベース102と、指定物体空間占有態様認識要素121と、作業機構空間占有態様認識要素122と、作業支援画像生成要素124と、を備えている。
【0041】
データベース102は、撮像画像データのほか、作業機械40の周囲に存在する指定物体(例えば、作業機械40が作業の際に連携する荷物積載車両、当該車両の積載物および/または他の作業機械など)の空間占有態様などを記憶保持する。データベース102は、作業支援装置10とネットワーク通信可能に構成されているデータベースサーバまたはデバイス等により構成されていてもよい。作業支援装置10の各構成要素は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった後述の演算処理を実行する。
【0042】
本発明の構成要素が情報(またはデータ)を「認識する」とは、当該情報を受信、読み取りまたは検索等により取得すること、基礎となるデータまたは信号に対して演算処理を実行することにより当該情報を決定、測定、同定、推定、予測等することなど、当該情報を後続の演算処理の実行に際して利用可能な形態で準備するあらゆる処理を包含する概念である。
【0043】
(遠隔操作装置の構成)
図1に示されているように、遠隔操作装置20は、遠隔制御装置200と、遠隔入力インターフェース210と、遠隔出力インターフェース220と、を備えている。遠隔制御装置200は、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。
【0044】
遠隔入力インターフェース210は、遠隔操作機構211を備えている。遠隔出力インターフェース220は、遠隔画像出力装置221と、遠隔音響出力装置222と、遠隔無線通信機器224と、を備えている。
【0045】
遠隔操作機構211には、走行用操作装置と、旋回用操作装置と、ブーム用操作装置と、アーム用操作装置と、バケット用操作装置と、が含まれている。各操作装置は、回動操作を受ける操作レバーを有している。走行用操作装置の操作レバー(走行レバー)は、作業機械40の下部走行体41を動かすために操作される。走行レバーは、走行ペダルを兼ねていてもよい。例えば、走行レバーの基部または下端部に固定されている走行ペダルが設けられていてもよい。旋回用操作装置の操作レバー(旋回レバー)は、作業機械40の旋回機構43を構成する油圧式の旋回モータを動かすために操作される。ブーム用操作装置の操作レバー(ブームレバー)は、作業機械40のブームシリンダ442を動かすために操作される。アーム用操作装置の操作レバー(アームレバー)は作業機械40のアームシリンダ444を動かすために操作される。バケット用操作装置の操作レバー(バケットレバー)は作業機械40のバケットシリンダ446を動かすために操作される。
【0046】
遠隔操作機構211を構成する各操作レバーは、例えば、
図2に示されているように、オペレータが着座するためのシートStの周囲に配置されている。シートStは、アームレスト付きのハイバックチェアのような形態であるが、ヘッドレストがないローバックチェアのような形態、または、背もたれがないチェアのような形態など、オペレータが着座できる任意の形態の着座部であってもよい。
【0047】
シートStの前方に左右のクローラに応じた左右走行レバー2110が左右横並びに配置されている。一つの操作レバーが複数の操作レバーを兼ねていてもよい。例えば、
図2に示されているシートStの左側フレームの前方に設けられている左側操作レバー2111が、前後方向に操作された場合にアームレバーとして機能し、かつ、左右方向に操作された場合に旋回レバーとして機能してもよい。同様に、
図2に示されているシートStの右側フレームの前方に設けられている右側操作レバー2112が、前後方向に操作された場合にブームレバーとして機能し、かつ、左右方向に操作された場合にバケットレバーとして機能してもよい。レバーパターンは、オペレータによる遠隔入力インターフェース210の所定操作に応じて任意に変更されてもよい。
【0048】
遠隔画像出力装置221は、例えば
図2に示されているように、シートStの前方、左斜め前方および右斜め前方のそれぞれに配置された略矩形状の画面を有する中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211および右側遠隔画像出力装置2212により構成されている。中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211および右側遠隔画像出力装置2212のそれぞれの画面(画像表示領域)の形状およびサイズは同じであってもよく相違していてもよい。遠隔画像出力装置221は、単一の湾曲したまたは湾曲可能な画像出力装置、シートStの前方を囲むように配置される2つまたは4つ以上の画像出力装置により構成されていてもよい。
【0049】
図2に示されているように、中央遠隔画像出力装置2210の画面および左側遠隔画像出力装置2211の画面が傾斜角度θ1(例えば、120°≦θ1≦150°)をなすように、左側遠隔画像出力装置2211の右縁が、中央遠隔画像出力装置2210の左縁に隣接している。
図2に示されているように、中央遠隔画像出力装置2210の画面および右側遠隔画像出力装置2212の画面が傾斜角度θ2(例えば、120°≦θ2≦150°)をなすように、右側遠隔画像出力装置2212の左縁が、中央遠隔画像出力装置2210の右縁に隣接している。当該傾斜角度θ1およびθ2は同じであっても相違していてもよい。
【0050】
中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211および右側遠隔画像出力装置2212のそれぞれの画面は、鉛直方向に対して平行であってもよく、鉛直方向に対して傾斜していてもよい。中央遠隔画像出力装置2210、左側遠隔画像出力装置2211および右側遠隔画像出力装置2212のうち少なくとも1つの画像出力装置が、複数に分割された画像出力装置により構成されていてもよい。例えば、中央遠隔画像出力装置2210が、略矩形状の画面を有する上下に隣接する画像出力装置により構成されていてもよい。
【0051】
遠隔音響出力装置222は、一または複数のスピーカーにより構成され、例えば
図2に示されているように、シートStの後方、左アームレスト後部および右アームレスト後部のそれぞれに配置された中央音響出力装置2220、左側音響出力装置2221および右側音響出力装置2222により構成されている。中央音響出力装置2220、左側音響出力装置2221および右側音響出力装置2222のそれぞれの仕様は同じであってもよく相違していてもよい。
【0052】
(作業機械の構成)
図1に示されているように、作業機械40は、実機制御装置400と、実機入力インターフェース410と、実機出力インターフェース420と、実機無線通信機器422と、を備えている。実機制御装置400の構成要素のそれぞれは、演算処理装置(シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサもしくはこれを構成するプロセッサコア)により構成され、メモリなどの記憶装置から必要なデータおよびソフトウェアを読み取り、当該データを対象として当該ソフトウェアにしたがった演算処理を実行する。
【0053】
作業機械40は、例えばクローラショベル(建設機械)であり、
図3に示されているように、クローラ式の下部走行体41と、下部走行体41に旋回機構43を介して旋回可能に搭載されている上部旋回体42と、を備えている。上部旋回体42の前方左側部にはキャブ42C(運転室)が設けられている。上部旋回体42の前方中央部には作業機構44が設けられている。
【0054】
実機入力インターフェース410は、実機操作機構411と、実機撮像装置412と、実機測位装置414と、実機姿勢センサ416と、を備えている。
【0055】
実機操作機構411は、キャブ42Cの内部に配置されたシートの周囲に遠隔操作機構211と同様に配置された複数の操作レバーを備えている。遠隔操作レバーの操作態様に応じた信号を受信し、当該受信信号に基づいて実機操作レバーを動かす駆動機構またはロボットがキャブ42Cに設けられている。実機撮像装置412は、例えばキャブ42Cの内部に設置され、フロントウィンドウおよび左右サイドウィンドウ越しに作業機構44の少なくとも一部を含む環境を撮像する。フロントウィンドウおよびサイドウィンドウのうち一部または全部が省略されていてもよい。
【0056】
実機測位装置414は、GPSまたはGNSSおよび必要に応じてジャイロセンサ等により構成され、作業機械40の実空間位置としてその指定点(例えば、上部旋回体42の指定点(実機座標系の原点)の実空間位置(緯度および経度、または、緯度、経度および高度))を測定する。
【0057】
実機姿勢センサ416は、作業機械40の実空間姿勢(例えば、実機座標系の実空間姿勢)のほか、実機座標系における作業機構44の姿勢に応じた信号を出力する。作業機構44の姿勢には、上部旋回体42に対するブーム441の起伏角度、ブーム441に対するアーム443の回動角度、および、アーム443に対するバケット445の回動角度が含まれている。実機座標系の位置および姿勢が上部旋回体42ではなく下部走行体41に対して固定されて定義されている場合、作業機構44の姿勢には、下部走行体41に対する上部旋回体42の旋回角度も含まれていてもよい。
【0058】
図3に示されているように、作業機構44は、上部旋回体42に起伏可能に装着されているブーム441と、ブーム441の先端に回動可能に連結されているアーム443と、アーム443の先端に回動可能に連結されているバケット445と、を備えている。作業機構44には、伸縮可能な油圧シリンダにより構成されているブームシリンダ442、アームシリンダ444およびバケットシリンダ446が装着されている。
【0059】
ブームシリンダ442は、作動油の供給を受けることにより伸縮してブーム441を起伏方向に回動させるように当該ブーム441と上部旋回体42との間に介在する。アームシリンダ444は、作動油の供給を受けることにより伸縮してアーム443をブーム441に対して水平軸回りに回動させるように当該アーム443と当該ブーム441との間に介在する。バケットシリンダ446は、作動油の供給を受けることにより伸縮してバケット445をアーム443に対して水平軸回りに回動させるように当該バケット445と当該アーム443との間に介在する。
【0060】
(機能)
前記構成の作業支援装置および撮像機能制御システムの機能について
図4に示されているフローチャートを用いて説明する。当該フローチャートにおいて「C●」というブロックは、記載の簡略のために用いられ、データの送信および/または受信を意味し、当該データの送信および/または受信を条件として分岐方向の処理が実行される条件分岐を意味している。
【0061】
遠隔操作装置20において、遠隔制御装置200により、遠隔無線通信機器224を通じて、作業支援装置10に対して実機環境確認要求が送信される(
図4/STEP210)。オペレータにより遠隔入力インターフェース210を通じた指定操作の有無が判定され、当該判定結果が肯定的である場合に実機環境確認要求が送信されてもよい。「指定操作」は、例えば、オペレータが遠隔操作を意図する作業機械40を指定するための遠隔入力インターフェース210におけるタップなどの操作である。
【0062】
作業支援装置10において、実機環境確認要求が受信された場合、作業支援装置10から当該実機環境確認要求が該当する作業機械40に対して送信される(
図4/C10)。
【0063】
作業機械40において、実機無線通信機器424を通じて実機環境確認要求が受信された場合(
図4/C40)、実機制御装置400が実機撮像装置412を通じて取得された撮像画像(適当な画像処理が施されていてもよい。)を表わす撮像画像データが作業支援装置10に対して送信される(
図4/STEP410)。さらに、実機制御装置400から実機位置姿勢を表わす実機位置姿勢データが作業支援装置10に対して送信される(
図4/STEP412)。実機位置姿勢は、実機測位装置414により測定された作業機械40の実空間位置および実機姿勢センサ416の出力信号に基づいて測定された作業機械40の実空間姿勢および作業機構44の姿勢が含まれている。
【0064】
作業支援装置10において、撮像画像データおよび実機位置姿勢データが受信された場合(
図4/C12)、指定物体空間占有態様認識要素121により、当該実機位置姿勢データに基づき、作業機械40の第2位置姿勢状態における指定物体の空間占有態様が認識される(
図4/STEP121)。具体的には、作業機械40の第1位置姿勢状態においては作業環境画像に映り込んでいないものの、作業機械40が第1位置姿勢状態から第2位置姿勢状態に遷移する過程において作業環境画像に映り込むと予測される指定物体の、作業機械40の第2位置姿勢状態における空間占有態様が認識される。
【0065】
例えば、上部旋回体42が、指定物体が存在する方位を向いている状態が第2位置姿勢状態として認識(予測または推定)される。例えば、作業機械40を挟んで反対側のそれぞれに指定物体がある場合、遠隔操作機構211による操作態様が、下部走行体41に対して上部旋回体42を時計回りおよび反時計回りのいずれに旋回させるものであるかに応じて、作業機械40の右寄りまたは左寄りにある指定物体が存在する方位を向いている状態が第2位置姿勢状態として認識されてもよい。この場合、下部走行体41に対して上部旋回体42が時計回りおよび反時計回りのいずれに旋回しているかに応じて、作業機械40の右寄りまたは左寄りにある指定物体が存在する方位を向いている状態が第2位置姿勢状態として認識されてもよい。
【0066】
指定物体の輪郭を構成する一または複数の点の実空間座標系(世界座標系)または実機座標系における位置が「指定物体の空間占有態様」として認識される。そのほか、指定物体の輪郭を構成する一または複数の線分の実空間座標系または実機座標系における延在態様が「指定物体の空間占有態様」として認識されてもよい。
【0067】
例えば、
図5に示されているように、作業機械40において、上部旋回体42が前(第1方位)を向いている第1姿勢状態から、当該上部旋回体42が下部走行体41に対して反時計回りまたは左に旋回して、上部旋回体42が左(第2方位)を向いている第2姿勢状態に遷移する場合について考察する。この場合、
図5において作業機械40の第1位置姿勢状態においては上部旋回体42の左に存在する荷物積載車両Q(実線で表されている)が、作業機械40の第2位置姿勢状態においては上部旋回体42の前に現われると予測される。
【0068】
まず、実機位置姿勢データに基づき、作業機械40の第1位置姿勢状態における指定物体の空間占有態様が認識される。例えば、
図5に示されているように、作業機械40の左側にある荷物積載車両Q(ダンプトラック)の荷台の略矩形状のエリアの境界線C(荷台の上端縁)において、下部走行体41に対する上部旋回体42の旋回軸線Oを含む第1鉛直面P
1(一点鎖線参照)との交点である第1前縁交点C
1および第1後縁交点C
2のそれぞれの実機座標系における3次元位置が、作業機械40の第1位置姿勢状態における指定物体の空間占有態様として認識される。第1鉛直面P
1は、荷台の境界線Cにおける前縁および後縁のそれぞれに交差するように定義されていてもよく、荷台の境界線Cにおける当該旋回軸線Oから最も近い点または上部後縁の中心点などの指定点を含むように定義されていてもよい。
【0069】
作業機械40の第1位置姿勢状態または現時点における指定物体の空間占有態様は、例えば、作業機械40の周辺に設置されているカメラまたは無人飛行機に搭載されているカメラにより撮像された、作業機械40の周辺の状況を表わす撮像画像に基づいて定められる。そのほか、
図5に示されているように上部旋回体42が左を向いている(実機撮像装置412の撮像範囲に指定物体が含まれるような)作業機械40の第2位置姿勢状態において、実機撮像装置412により撮像された荷物積載車両Qの画像に基づき、指定物体の空間占有態様が定められてもよい。上部旋回体42にLiDARおよび/またはステレオカメラなどの測距装置が搭載されている場合、作業機械40の第2位置姿勢状態において、当該測距装置により指定物体の空間占有態様が測定されてもよい。指定物体の空間占有態様は、データベース102に記憶保持または登録されていてもよい。
【0070】
そして、作業機械40の第2位置姿勢状態における指定物体の空間占有態様が認識される。前記の場合、
図5に示されているように、作業機械40が第1位置姿勢状態から第2位置姿勢状態に遷移する過程で、第1前縁交点C
1および第1後縁交点C
2のそれぞれが、上部旋回体42に対して、円弧状の前縁軌道Tr(C
1)および後縁軌道Tr(C
2)のそれぞれに沿って相対変位する。例えば、
図5に示されているように、下部走行体41に対する上部旋回体42の旋回軸線O(またはブーム441の基端点)およびバケット445の先端縁中心点EPを含む第2鉛直面P
2(二点鎖線参照)と、円弧状の前縁軌道Tr(C
1)および後縁軌道Tr(C
2)のそれぞれとの交点である第2前縁交点P(C
1)および第2後縁交点P(C
2)のそれぞれの位置が、作業機械40の第2位置姿勢状態における指定物体の空間占有態様として認識される。
【0071】
さらに、作業機械40の第2位置姿勢状態における指定物体の空間占有態様を表わすまたは示す第1指標画像の当該作業環境画像に対する重畳態様が決定される。例えば、
図6に示されているように、第2前縁交点P(C
1)および第2前縁交点P(C
2)のそれぞれの位置を示すように第1指標画像の作業環境画像に対する重畳態様が決定される。そのほか、
図6に示されているように、第2前縁交点P(C
1)および第2後縁交点P(C
2)のそれぞれの地表面または水平面に対する鉛直投影点P
0(C
1)およびP
0(C
2)のそれぞれの位置を示すように第1指標画像の作業環境画像に対する重畳態様が決定される。
【0072】
当該重畳態様の決定のため、第2前縁交点P(C1)および第2前縁交点P(C2)等の実空間座標系または実機座標系における位置が、作業環境画像座標系の位置に座標変換される。この座標変換に際して、実空間座標系における実機座標系の位置および姿勢、ならびに、測距センサにより測定された作業環境画像に映り込んでいる地表面などの物体の表面における各点の実空間座標系または実機座標系の位置および姿勢に関する情報が用いられる。
【0073】
続いて、作業機構空間占有態様認識要素122により、当該実機位置姿勢データに基づき、作業機構44の空間占有態様が認識される(
図4/STEP122)。具体的には、作業機構44の一または複数の指定点(例えば、バケット445の刃先中心点EP、バケット445の刃先両端点、バケット445の開口縁にある点および/またはバケット445の基端部にある点(アーム443の先端部にある点))の実機座標系における位置および/または指定線分指定線分(例えば、バケット445の刃先(先端縁)、バケット445の開口縁および/またはアーム443の輪郭にある点)の延在態様が作業機構44の空間占有態様として認識される。
【0074】
さらに、作業環境画像座標系(または撮像画像座標系)における、作業機構44の指定点の位置および/または指定線分の延在態様を表わすまたは示す第2指標画像の重畳態様が決定される。例えば、
図6に示されているように、バケット445の刃先中心点EPの地表面または水平面に対する鉛直投影点P
0(EP)の位置を示すように第2指標画像の作業環境画像に対する重畳態様が決定される。
【0075】
そして、作業支援画像生成要素124により、作業支援画像が生成され、かつ、当該作業支援画像を表わす作業支援画像データが遠隔操作装置20に対して送信される(
図4/STEP124)。作業支援画像は、作業環境画像に第1指標画像および第2指標画像が重畳された結果としての画像である。
【0076】
遠隔操作装置20において、遠隔無線通信機器224を通じて作業支援画像データが受信された場合(
図4/C22)、遠隔制御装置200により、作業支援画像データに応じた作業支援画像が遠隔画像出力装置221に出力される(
図4/STEP222)。
【0077】
これにより、例えば、
図7に示されているように、作業機構44のバケット445が映り込み、作業機械40の前方の状況を表わす作業環境画像に対して、第1指標画像M
1(P
0(C
1))およびM
1(P
0(C
2))ならびに第2指標画像M
2(P
0(EP))が重畳された作業支援画像が遠隔画像出力装置221に出力される。
【0078】
図7に示されている一方の第1指標画像M
1(P
0(C
1))は、第2前縁交点P(C
1)の地表面に対する鉛直投影点P
0(C
1)(
図5および
図6参照)の位置をその頂点位置により示す略逆円錐形状の3次元図形である。
図7に示されている他方の第1指標画像M
1(P
0(C
2))は、第2後縁交点P(C
2)の地表面に対する鉛直投影点P
0(C
2)(
図5および
図6参照)の位置をその頂点位置により示す略逆円錐形状の3次元図形である。
図7に示されている第2指標画像M
2(P
0(EP))は、第1位置姿勢状態における作業機械40のバケット445の刃先中心点EPの地表面に対する鉛直投影点P
0(EP)(
図5および
図6参照)の位置をその頂点位置により示す略逆円錐形状の3次元図形である。
【0079】
第1指標画像および第2指標画像の形状および/またはサイズはさまざまに変更されてもよい。例えば、第1指標画像および/または第2指標画像が、対象とする点の位置を指し示すポインタとしての機能を発揮する限りにおいて、球形状、楕円球形状、直方体形状、錐台形状もしくはトーラス形状またはこれらの組み合わせなどさまざまな3次元図形であってもよく、矢印記号のような線分図形であってもよい。
【0080】
図8に示されているように、作業機構44のバケット445が映り込み、作業機械40の前方の状況を表わす作業環境画像に対して、第1指標画像M
1(P(C
1))およびM
1(P(C
2))ならびに第2指標画像M
2(P
0(EP))が重畳された作業支援画像が遠隔画像出力装置221に出力されてもよい。
【0081】
図8に示されている一方の第1指標画像M
1(P(C
1))は、第2前縁交点P(C
1)(
図5および
図6参照)の位置をその頂点位置により示す略逆円錐形状の3次元図形である。
図8に示されている他方の第1指標画像M
1(P(C
2))は、第2後縁交点P(C
2)(
図5および
図6参照)の位置をその頂点位置により示す略逆円錐形状の3次元図形である。
図8に示されている略逆円錐形状の第1指標画像M
1(P(C
1))およびM
1(P(C
2))のそれぞれには、その頂点から地表面まで鉛直に延在する直線図形(第2前縁交点P(C
1)および第2後縁交点P(C
2)のそれぞれと地表面との距離を表わす画像)が含まれているが、当該直線図形は省略されてもよい。
【0082】
図8に示されている第2指標画像M
2(P
0(EP))に代えて、第1位置姿勢状態における作業機械40のバケット445の刃先中心点EP(
図5および
図6参照)が地表面ではなく、境界線Cを含むまたは境界線Cと同じ高さの水平面に対するその鉛直投影点の位置をその頂点位置により示す略逆円錐形状の3次元図形が第2指標画像として作業環境画像に重畳されてもよい。
【0083】
図9に示されているように、作業機構44のバケット445が映り込み、作業機械40の前方の状況を表わす作業環境画像に対して、第1指標画像M
1(P
0(Tr(C)))が重畳された作業支援画像が遠隔画像出力装置221に出力されてもよい。
【0084】
図9に示されている第1指標画像M
1(P
0(Tr(C)))は、前縁軌道Tr(C
1)および後縁軌道Tr(C
2)のそれぞれの、地表面に対する鉛直投影線分P
0(Tr(C
1))およびP
0(Tr(C
2))のそれぞれにより画定された略円弧帯状の領域の延在態様を表わす閉曲面図形である。
【0085】
閉曲面は、Bezier(ベジエ)曲面および/またはNURBS(非一様有理Bスプライン)曲面などの複数の制御点により定義される曲面として定義されていてもよい。当該曲面は連続性(G1連続性、G2連続性またはG3連続性)を有する曲面として定義されていてもよい。例えば、閉曲面がベジエ三角形曲面によって定義される場合、ベジエ三角形曲面の制御ネットの定義域が水平面に張られた三角形メッシュにより定義され、適当な点が制御点とされたうえで、三角パッチの連続性が確保されるように閉曲面が定義される。
【0086】
図9に示されている第1指標画像M
1(P
0(Tr(C)))に代えてまたは加えて、前縁軌道Tr(C
1)および/または後縁軌道Tr(C
2)の、地表面に対する鉛直投影線分P
0(Tr(C
1))および/またはP
0(Tr(C
2))を表わす曲線図形が第1指標画像M
1(P
0(Tr(C
1)))および/またはM
1(P
0(Tr(C
2)))として作業環境画像に重畳された作業支援画像が生成されてもよい。
【0087】
図10に示されているように、作業機構44のバケット445が映り込み、作業機械40の前方の状況を表わす作業環境画像に対して、第1指標画像M
1(P(C))および/またはM
1(P
0(C))が重畳された作業支援画像が遠隔画像出力装置221に出力されてもよい。
【0088】
図10に一点鎖線で示されている一方の第1指標画像M
1(P(C))は、作業機械40の第2位置姿勢状態において予測される、荷物積載車両Qの荷台の境界線Cの空間占有態様を示す略台形状の閉曲線図形または当該閉曲線により囲まれた閉曲面図形である。
図10に二点鎖線で示されている他方の第1指標画像M
1(P
0(C))は、作業機械40の第2位置姿勢状態において予測される、荷物積載車両Qの荷台の境界線Cの地表面に対する鉛直投影結果を示す略台形状の閉曲線図形または当該閉曲線により囲まれた閉曲面図形である。作業機械40の第2位置姿勢状態において予測される、荷物積載車両Qの荷台の境界線Cのうち一部(例えば、前縁および/または後縁)を表わす線図が第1指標画像として作業環境画像に重畳されて作業支援画像が生成されてもよい。
【0089】
図11に示されているように、第1指標画像M
1(P(C))および/またはM
1(P
0(C))が、
図10に示されているよりも左側(作業機械40が第2位置姿勢状態に遷移する少し手前側)にずらされて作業環境画像に対して重畳されることで作業支援画像が遠隔画像出力装置221に出力されてもよい。
【0090】
当該実施形態(
図7~
図11参照)において示されている第1指標画像および第2指標画像の任意の組み合わせが作業環境画像に対して重畳されることで作業支援画像が生成されてもよい。
【0091】
第1指標画像および/または第2指標画像の意匠が、作業機械40の第1位置姿勢状態における作業機構44の空間占有態様および作業機械40の第2位置姿勢状態における指定ぶったの空間占有態様の相関関係に応じて差異化されてもよい。例えば、バケット445の刃先中心点EPが、荷物積載車両Qの荷台の境界線Cと比較して高いまたは所定分以上高い場合と、その他の場合とで、第1指標画像および/または第2指標画像の意匠(例えば、色)が識別可能に差異化されてもよい。また、平面図においてバケット445の刃先中心点EPが、荷物積載車両Qの荷台の境界線Cに囲まれた領域に含まれている場合と、その他の場合とで、第1指標画像および/または第2指標画像の意匠が識別可能に差異化されてもよい。
【0092】
作業機械40の第1位置姿勢状態において上部旋回体42が向いている方位(第1方位)と、作業機械40の第2位置姿勢状態において上部旋回体42が向いている方位(第2方位)と、のなす角度Δθ(
図5参照)が閾値以下になった場合、第1指標画像および/または第2指標画像の作業環境画像への重畳出力が省略または停止されてもよい。
【0093】
オペレータは、遠隔画像出力装置221に出力された作業支援画像を見ながら、遠隔操作機構211を構成する操作レバーを操作することで、作業機構44、ひいてはバケット445の動作を制御することができる。遠隔操作装置20において、遠隔制御装置200により遠隔操作機構211の操作態様が認識され、かつ、遠隔無線通信機器224を通じて、当該操作態様に応じた遠隔操作指令が作業支援装置10に対して送信される(
図4/STEP214)。
【0094】
作業支援装置10において当該遠隔操作指令が受信された場合、当該遠隔操作指令が作業機械40に対して送信される(
図4/C14)。
【0095】
作業機械40において、実機制御装置400により、実機無線通信機器422を通じて操作指令が受信された場合(
図4/C44)、作業機構44等の動作が制御される(
図4/STEP414)。例えば、バケット445により作業機械40の前方の土および/または石などを掘り起こしてすくい、上部旋回体42を下部走行体41に対して旋回させたうえで、荷物積載車両Qの荷台にバケット445から当該土等を落とす作業が実行される。
【0096】
(作用効果)
前記機能を発揮する作業支援装置10によれば、作業環境画像に第1指標画像および第2指標画像が重畳された作業支援画像が生成される(
図7~
図11参照)。「作業環境画像」は、作業機械40の第1位置姿勢状態に応じて実機撮像装置412を通じて取得された第1エリア(例えば、上部旋回体42の前方)の状況を表わす画像である。「第1指標画像」は、作業機械40が第1位置姿勢状態からこれとは異なる第2位置姿勢状態に遷移する場合、作業環境画像に映り込むと予測される、当該第2位置姿勢状態に応じた第2エリア(例えば、上部旋回体42の側方および/または後方)に存在する指定物体(例えば、荷物積載車両Q)の空間占有態様を表わす画像である。
【0097】
このため、作業機械40が第1位置姿勢状態にある際には作業環境画像に映り込んでいない(または部分的に映り込んでいるものの位置姿勢が不明確である)ものの、作業機械40が第2位置姿勢状態に遷移する際に作業環境画像に映り込むと予測される指定物体の空間占有態様を、作業支援画像に接したオペレータ等に認識させることができる。
【0098】
「第2指標画像」は、作業機械40において上部旋回体42から延在している作業機構44の空間占有態様、具体的には、バケット445の刃先中心点EPの位置を表わす画像である。このため、作業機械40が第1位置姿勢状態にある際には作業環境画像に映り込んでいないものの、作業機械40が第2位置姿勢状態に遷移する際に作業環境画像に映り込むと予測される指定物体とその際のバケット445の刃先中心点EP(または作業機構44の指定点)との相対位置および/または相対姿勢を、作業支援画像に接したオペレータ等に認識させることができる。
【0099】
(本発明の他の実施形態)
前記実施形態では、作業支援装置10が遠隔操作装置20および作業機械40とは別個のコンピュータにより構成されていたが、他の実施形態として、作業支援装置10が、遠隔操作装置20または作業機械40に搭載されていてもよい。
【0100】
図18に示されているように、第1エリア(実線扇形参照)を撮像する実機撮像装置412とは異なる方位に向けられて第1エリアとは異なるエリアをセンシング対象エリア(破線扇形参照)とされたLiDARおよび/またはステレオカメラなどの複数の測距装置418または撮像装置が上部旋回体42に搭載されていてもよい。作業機械40の周囲が撮像されるまたは周囲に存在する指定物体までの距離が測定されることで、第2位置姿勢状態に応じた第2エリアに存在する当該指定物体の空間占有態様を定常的に把握することができ、第1指標画像に指定物体の最新の空間占有態様を反映させることができる。このため、オペレータ等における作業機械40の周辺に存在している指定物体の空間占有態様の認識精度をより向上させることができる。
【0101】
作業支援装置10のうち作業支援画像生成機能が、遠隔操作装置20、ひいては遠隔制御装置200により担われる他の実施形態について、
図12に示されているフローチャートを用いて説明する。当該フローチャートにおいて「C●」というブロックは、
図4と同様に記載の簡略のために用いられ、データの送信および/または受信を意味し、当該データの送信および/または受信を条件として分岐方向の処理が実行される条件分岐を意味している。
図4と同様の内容の処理に関しては「STEP●」および「C●」に同じ数番を付して、説明を簡略化または省略する。
【0102】
作業機械40において、実機制御装置400が実機撮像装置412を通じて取得された撮像画像を表わす撮像画像データが作業支援装置10に対して送信される(
図12/STEP410)。作業支援装置10において、撮像画像データが受信された場合(
図4/C11)、作業支援装置10から撮像画像に応じた作業環境画像データが遠隔操作装置20に対して送信される(
図12/STEP110)。作業環境画像データは、撮像画像データそのもののほか、撮像画像に基づいて生成された模擬的な作業環境画像を表わす画像データである。
【0103】
遠隔操作装置20において、遠隔無線通信機器224を通じて作業環境画像データが受信された場合(
図12/C21)、遠隔制御装置200により、作業環境画像データに応じた環境画像が遠隔画像出力装置221に出力される(
図12/STEP212)。これにより、例えば、作業機構44のバケット445が映り込み、作業機械40の前方の状況を表わす作業環境画像(第1指標画像および第2指標画像はまだ重畳されていない)が遠隔画像出力装置221に出力される(
図7~
図11参照)。
【0104】
実機制御装置400から実機位置姿勢を表わす実機位置姿勢データが作業支援装置10に対して送信される(
図12/STEP412)。作業支援装置10において、実機位置姿勢データが受信された場合(
図12/C12)、指定物体空間占有態様認識要素121により、当該実機位置姿勢データに基づき、作業機械40の第2位置姿勢状態における指定物体の空間占有態様が認識される(
図12/STEP121)。さらに、作業機構空間占有態様認識要素122により、当該実機位置姿勢データに基づき、作業機構44の空間占有態様が認識される(
図12/STEP122)。
【0105】
作業支援装置10により、作業環境画像に対する第1指標画像および第2指標画像の重畳態様を表わす「指標画像出力指示」が遠隔操作装置20に対して送信される(
図12/STEP126)。
【0106】
遠隔操作装置20において、遠隔無線通信機器224を通じて指標画像出力指示が受信された場合(
図12/C22)、遠隔制御装置200により、当該指標画像出力指示にしがって第1指標画像および第2指標画像が作業支援画像に重畳されることにより作業支援画像が生成され、当該作業支援画像が遠隔画像出力装置221に出力される(
図12/STEP222)。
【0107】
前記実施形態では、作業機械40がオペレータにより遠隔操作装置20を通じて遠隔操作されていたが、他の実施形態として、作業機械40が当該作業機械40に搭乗したオペレータにより実機操作されてもよい。この場合、作業支援装置10から作業機械40に対して作業支援画像データまたは指標画像出力指示が送信され(
図4/STEP122または
図12/STEP122参照)、実機出力インターフェース420を構成する実機画像出力装置に当該データに応じた作業支援画像が出力されてもよい(
図7~
図11参照)。
【0108】
作業支援装置10によって生成される作業支援画像は、作業者および/または施工管理者が携帯する、スマートフォンまたはタブレットのような表示装置を持つ通信端末に出力されてもよい。前記通信端末は、撮像装置を搭載し、GNSS等による端末の位置情報の取得及び方位センサおよび傾斜センサ等による端末が向けられた方位情報、角度情報の取得が可能な構成であれば、前記実施形態と同様に作業環境画像に作業支援画像を重畳し、指定物体の空間占有態様を把握させることができる。
【0109】
図13に示されているように、荷物積載車両Qの荷台の一部が荷物により占有されている場合(かつ当該荷物とバケット445との接触回避が必要である場合)、当該荷物を除く荷台のエリアの境界線Cの少なくとも一部の位置(または延在態様)が、当該荷物積載車両Qの空間占有態様として認識されてもよい。
図13に示されている状況では、
図5に示されている状況と比較して、第2前縁交点P(C
1)が作業機械40に対して近くに位置している。
【0110】
作業機械40の空間占有態様と指定物体の空間占有態様との相対的な変化態様に応じて、作業機械40の第2位置姿勢状態における当該指定物体の空間占有態様が流動的または適応的に認識(予測または推定)されてもよい。
【0111】
例えば、
図14に示されているように、作業機械40に左に存在する荷物積載車両Qが、ある期間において破線で示されている位置姿勢状態から実線で示されている位置姿勢状態に遷移する場合について考察する。例えば、荷物積載車両Qの空間占有態様の時間的変化は、作業機械40の周囲にあるカメラの撮像装置により撮像された画像、または、荷物積載車両Qから送信される動作信号等に基づいて認識される。当該期間は、作業機械40が第1位置姿勢状態(上部旋回体42が前を向いている状態)から第2位置姿勢状態(上部旋回体42が左を向いている状態)に遷移するまでの期間と一致していてもよい。
【0112】
この場合、荷物積載車両Qが作業機械40に対して接近することに応じて、
図14に示されている状況では、
図5に示されている状況と比較して、第2前縁交点P(C
1)および第2後縁交点P(C
2)が作業機械40に対して近くに位置している。特に、第2後縁交点P(C
2)がバケット445の刃先中心点EPとほぼ同じ位置にある。これにより、例えば、
図7に示されている作業支援画像において第1指標画像M
1(P
0(C
2))および第2指標画像M
2(P
0(EP))が近接していること、ひいては、このまま上部旋回体42を下部走行体41に対して旋回させると、バケット445の水平位置が荷物積載車両Qの荷台の水平位置に重なることをオペレータに認識させることができる。
【0113】
さらに、この場合、第1前縁交点C
1および第1後縁交点C
2のそれぞれの軌道Tr(C
1)およびTr(C
2)(
図14には示されていない。
図5参照。)のそれぞれは、作業機械40の空間占有態様と指定物体の空間占有態様との相対的な変化態様に応じて、略楕円弧状など、円弧状とは異なる形状になる。
【0114】
また、
図15に示されているように、作業機械40が、ある期間において破線で示されている位置姿勢状態から実線で示されている位置姿勢状態に遷移する場合について考察する。当該期間は、作業機械40が第1位置姿勢状態(上部旋回体42が前(第1方位)を向いている状態)から第2位置姿勢状態(上部旋回体42が左(第2方位)を向いている状態)に遷移するまでの期間と一致していてもよい。
【0115】
この場合、作業機械40が前進することに応じて、
図15に示されている状況では、
図5に示されている状況と比較して、第2前縁交点P(C
1)および第2後縁交点P(C
2)が作業機械40に対して近くに位置している。
【0116】
さらに、この場合、第1前縁交点C
1および第1後縁交点C
2のそれぞれの軌道Tr(C
1)およびTr(C
2)(
図15には示されていない。
図5参照。)のそれぞれは、作業機械40の空間占有態様と指定物体の空間占有態様との相対的な変化態様に応じて、略楕円弧状など、円弧状とは異なる形状になる。
【0117】
第2鉛直面P
2(
図5の二点鎖線参照(第1方位を含む「指定鉛直面」に相当する。))に対して、作業機械40と、第1指標画像または第1指標画像および指定物体と、が投影された結果としての作業支援副画像が生成され、遠隔出力インターフェース220(遠隔画像出力装置221)に出力されてもよい。第2鉛直面P
2に対して、第2指標画像がさらに投影された結果としての前記作業支援副画像を生成されてもよい。
【0118】
例えば、
図16に示されているように、第2鉛直面P
2(指定鉛直面)に垂直に投影された作業機械40と、作業機械40が第2位置姿勢状態である際の荷物積載車両Qと、第1指標画像M
1(P(C
1))およびM
1(P(C
2))と、第2指標画像M
2(P
0(EP))が含まれている作業支援副画像が作業支援画像とは別個に生成されてもよい。
図17に示されているように、第2鉛直面P
2(指定鉛直面)に垂直に投影された作業機械40と、第2指標画像M
2(P
0(EP))が含まれている作業支援副画像が作業支援画像とは別個に生成されてもよい。
図17においては、実線および破線のそれぞれで示されているバケット445の姿勢の相違(バケット445の開口に沿った平面の鉛直方向に対する傾斜角度)に応じて、略二等辺三角形状の第2指標画像M
2(P
0(EP))の姿勢(当該二等辺三角形の中心線の鉛直方向に対する傾斜角度)が差異化されている。
【符号の説明】
【0119】
10‥作業支援装置
102‥データベース
121‥指定物体空間占有態様認識要素
122‥作業機構空間占有態様認識要素
124‥作業支援画像生成要素
20‥遠隔操作装置
200‥遠隔制御装置
210‥遠隔入力インターフェース
211‥遠隔操作機構
220‥遠隔出力インターフェース
221‥遠隔画像出力装置
222‥遠隔音響出力装置
224‥遠隔無線通信機器
40‥作業機械
41‥下部走行体
42‥上部旋回体
42C‥キャブ(運転室)
44‥作業機構
445‥バケット
400‥実機制御装置
410‥実機入力インターフェース
412‥実機撮像装置
420‥実機出力インターフェース
M1‥第1指標画像
M2‥第2指標画像
C‥荷台の境界線(指定物体の輪郭)
Q‥荷物積載車両(指定物体)。