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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057368
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】微細気泡発生装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/231 20220101AFI20240417BHJP
   C02F 1/78 20230101ALI20240417BHJP
   B01F 21/00 20220101ALI20240417BHJP
【FI】
B01F23/231
C02F1/78
B01F21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164065
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】504077308
【氏名又は名称】安斎 聡
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安斎 聡
【テーマコード(参考)】
4D050
4G035
【Fターム(参考)】
4D050AA01
4D050AB32
4D050BB02
4D050BC10
4D050BD03
4D050BD04
4D050BD08
4G035AA01
4G035AB06
4G035AE02
4G035AE17
(57)【要約】
【課題】液体を上流側に戻すためのポンプを設けることなく、液体を気体発生媒体に複数回接触させて微細気泡の濃度を向上させることができる微細気泡発生装置を提供する。
【解決手段】液体を貯蔵する複数の液体貯蔵容器21A・21Bと、液体を流す液体通路22と、液体通路22へ気体を圧送して供給する気体供給装置23と、気体供給装置23により圧送された気体を微細気泡として液体通路22内の液体へ放出する気泡発生媒体24とを備える微細気泡発生装置であって、複数の液体貯蔵容器21A・21Bはそれぞれ、液体通路22に設けられた開口部22a・22bに接続され、液体貯蔵容器21Aに、気体供給装置23から気体の一部を供給して液体貯蔵容器21A内を加圧し、液体貯蔵容器21Aから液体貯蔵容器21Bへ液体を移動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯蔵する複数の液体貯蔵容器と、液体を流す通路と、前記通路へ気体を圧送して供給する気体供給装置と、前記気体供給装置により圧送された気体を微細気泡として前記通路内の液体へ放出する気泡発生媒体とを備える微細気泡発生装置であって、
前記複数の液体貯蔵容器はそれぞれ、前記通路に設けられた開口部に接続され、
前記液体貯蔵容器の一方に、前記気体供給装置から気体の一部を供給して前記液体貯蔵容器内を加圧し、前記一方の液体貯蔵容器から他方の液体貯蔵容器へ液体を移動させる
ことを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項2】
前記気体供給装置と前記複数の液体貯蔵容器を連結する気体通路に分岐弁を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の微細気泡発生装置。
【請求項3】
前記気体供給装置から供給される気体は酸素または窒素を含んだ気体であり、
前記気体供給装置から前記気泡発生媒体へ気体を送る気体供給通路の中途部に、オゾン発生装置を設けた
ことを特徴とする請求項2に記載の微細気泡発生装置。
【請求項4】
前記分岐弁と前記液体貯蔵容器との間に、中和剤を配置した、
ことを特徴とする請求項3に記載の微細気泡発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細気泡発生装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水道水や湖沼・河川、海水等の液体中において気泡のサイズ(直径)が常温常圧で100μm未満の微細気泡を使用する技術が注目されている。微細気泡は、表面積が非常に大きい特性及び自己加圧効果などの物理化学的な特性を有しており、その特性を生かして、排水浄化、洗浄、気体溶存、撹拌等に使用する技術が開発されている。
【0003】
前記特性を持った微細気泡の発生装置として、液体を流す通路と、通路へ気体を圧送するための圧縮装置と、圧縮装置により圧送された気体を微細気泡として通路内の液体へ放出する気泡発生媒体とを備える微細気泡発生装置が公知となっている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6815397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の気泡発生媒体は、圧縮装置により圧送された気体を流入させる気体流入口および気体通路となる内部空間を有しており内部空間の一端は閉鎖された閉鎖端部となっている。このように形成することにより、気泡発生媒体の微細な孔から通路内の液体へ来たが微細気泡となって放出される。
【0006】
液体として水を使用する場合に、従来の液体を通す通路は、液体の流れを一方にしか流さないため、気体の濃度を上げるために一度微細気泡を含ませた水を再度通路内に流す場合には、下流側から排出された水を、上流側から循環させる必要があった。また、液体を循環させるためには、ポンプなどの液体圧送手段が別途必要となっていた。
【0007】
そこで、本発明はかかる課題に鑑み、液体を上流側に戻すためのポンプを設けることなく、液体を気体発生媒体に複数回接触させて微細気泡の濃度を向上させることができる微細気泡発生装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、本発明においては、液体を貯蔵する複数の液体貯蔵容器と、液体を流す通路と、前記通路へ気体を圧送して供給する気体供給装置と、前記気体供給装置により圧送された気体を微細気泡として前記通路内の液体へ放出する気泡発生媒体とを備える微細気泡発生装置であって、
前記複数の液体貯蔵容器はそれぞれ、前記通路に設けられた開口部に接続され、
前記液体貯蔵容器の一方に、前記気体供給装置から気体の一部を供給して前記液体貯蔵容器内を加圧し、前記一方の液体貯蔵容器から他方の液体貯蔵容器へ液体を移動させるものである。
【0010】
また、本発明においては、気体供給装置と前記複数の液体貯蔵容器を連結する気体通路に分岐弁を設けたものであってもよい。
【0011】
また、本発明においては、前記気体供給装置から供給される気体は酸素であり、
前記気体供給装置から前記気泡発生媒体へ気体を送る気体供給通路の中途部に、オゾン発生装置を設けたものであってもよい。
【0012】
また、本発明においては、前記分岐弁と前記液体貯蔵容器との間に、中和剤を配置したものであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
本発明においては、気体供給装置から気体の一部を供給して前記液体貯蔵容器内を加圧し、前記一方の液体貯蔵容器から他方の液体貯蔵容器へ液体を移動させることにより、液体を上流側に戻すためのポンプを設けることなく、液体を気体発生媒体に複数回接触させて微細気泡の濃度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一の実施形態に係る微細気泡発生装置を示す正面概略図。
図2】第一の実施形態に係る微細気泡発生媒体を示す正面一部断面図。
図3】第一の実施形態に係る微細気泡発生媒体を示す拡大断面図。
図4】第一の実施形態に係る管及び気泡発生媒体のユニットを示す斜視図。
図5】第一の実施形態に係る液体貯蔵容器に気体を圧送するときの微細気泡発生装置を示す正面概略図。
図6】第一の実施形態に係る液体貯蔵容器に気体を圧送するときの微細気泡発生装置を示す正面概略図。
図7】第一の実施形態に係る液体貯蔵容器に気体を圧送するときの微細気泡発生装置を示す正面概略図。
図8】第一の実施形態に係るセンサを備える微細気泡発生装置を示す正面概略図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明の一実施形態にかかる微細気泡発生装置1の全体構成について図1を用いて説明する。
微細気泡発生装置1は、液体中において微細気泡を発生させるための装置である。ここで微細気泡とは、常温常圧化においてサイズ(直径)が数百んm~数十μmの気泡を意味する。微細気泡発生装置1の用途は、例えば、養殖用にまたは排水処理用である。養殖においては、魚介類を養殖する際に成長を阻害するアンモニアや尿素等の窒化物を酸化して浄化するために酸素を供給する。また養殖においては、供給された酸素は魚介類に活性を与え、成長を促進する。また、排水処理においては、排水に含まれる有機物の酸化分解処理を行うために酸素やオゾン等を供給する。
【0017】
微細気泡発生装置1は、図1に示すように、液体を貯蔵する複数の液体貯蔵容器21A・21Bと、液体を流す液体通路22と、液体通路22へ気体を圧送して供給する気体供給装置23と、気体供給装置23により圧送された気体を微細気泡として液体通路22内の液体へ放出する気泡発生媒体24とを備える。
【0018】
液体貯蔵容器21A・21Bは、気体を溶存させるまたは微細気泡として共存させる液体を貯留する容器である。液体貯蔵容器21A・21Bは、数リットルから十数リットルの容積を有する耐圧性のある容器であり、例えばPETによって形成されている。液体貯蔵容器の上部には密閉蓋21aが設けられており、液体貯蔵容器21A・21B内部の気体及び液体を密閉している。
ここで、溶存とは、液体内に気体が溶解して存在する状態を意味する。また、共存とは、気体が液体内に微細気泡として存在する状態を意味する。
液体貯留容器21A・21Bに貯留される液体は、養殖用の微細気泡発生装置であれば水であり、排水処理用の微細気泡発生装置であれば汚水である。
【0019】
養殖用の微細気泡発生装置1においては、気体を溶存させた、または微細気泡として共存させた液体内において魚介類を養殖することにより、魚介類の排泄物を分解する好気性のバクテリア等を活性化させることができ、液体を浄化させることができる。また、主に酸素が十分に供給されることで、養殖する魚介類の免疫力が向上し、魚介類の成長を促進させることができる。
【0020】
排水処理用の微細気泡発生装置においては、気体を溶存させた、または微細気泡として共存させた液体内において排水を処理することにより、排水中の有機物を分解するバクテリア等を活性化させることができ、液体を浄化させることができる。
【0021】
液体通路22は、液体を通すための部材である。液体通路22の第一の開口部22aは液体貯蔵容器21Aの密閉蓋21aに接続されており、液体通路22の第二の開口部22bはは液体貯蔵容器21Bの密閉蓋21aに接続される。また、液体通路22の中途部は、気泡発生媒体24を内部に格納した管25で構成されている。
【0022】
気体供給装置23は、液体通路22内に設けられた気泡発生媒体24へ気体を圧送して供給する装置であり、気体貯蔵容器27と開閉弁28と、を備えている。気体供給装置23から供給される気体は、養殖用の微細気泡発生装置1であれば、空気、酸素、オゾンまたは過酸化水素などであり、排水処理用の微細気泡発生装置1であれば、酸化作用を有する気体であり、例えば、酸素、オゾンまたは過酸化水素である。気体貯蔵容器27の中の気体は高圧状態で格納されており、開閉弁28の開閉によって、気体が気体供給通路31へと圧送される。
【0023】
開閉弁28は、気体貯蔵容器27内の高圧気体の圧力を調整しつつ、排出もしくは停止する切換弁であり、気体貯蔵容器27内の高圧気体を減圧して気体供給通路31内に供給する弁である。
【0024】
なお、気体供給装置23は、気体を圧送することができる構成であれば、気体貯蔵容器27と開閉弁28と、を備える構成以外の構成でもよく、たとえば、大気を圧縮して送気するコンプレッサによって構成することも可能である。
【0025】
気体供給通路31は、気体供給装置23から通路22に設けられた気泡発生媒体24へ圧送するための通路である。気体供給通路31の上流端は開閉弁28に接続されており、下流端は、気泡発生媒体24の内部空間24aに接続されている。
【0026】
気体供給通路31の中途部には、分岐路31aが設けられており、分岐路31aから貯蔵容器側供給通路31bが延伸している。貯蔵容器側供給通路31bは、液体貯蔵容器21A・21Bへ圧力の高い気体を圧送する通路である。
【0027】
気体供給通路31の中途部には、気体の逆流を阻止する逆止弁36と、気体の圧力を調整する調圧弁37aが設けられている。逆止弁36は、圧送された気体が気体供給装置23側へ逆流するのを阻止する弁である。調圧弁37aは、気泡発生媒体24へ圧送するときの気体圧力を調圧する弁であり、調圧弁37aによって調整された気体の圧力は、大気圧より高く、具体的には、0.1MPaより大きく0.8MPa以下である。
【0028】
また、気体供給通路31の中途部であって、逆止弁36の下流側には、オゾン発生装置35が設けられている。オゾン発生装置35は、酸素からオゾンを発生させる装置であり、オゾン生成方法については限定しない。例えば、紫外線照射によって酸素分子からオゾンを生成する装置であってもよいし、無声放電によって酸素分子からオゾンを生成する装置であってもよい。
【0029】
また、貯蔵容器側供給通路31bの中途部には気体の圧力を調整する調圧弁37bが設けられている。調圧弁37bは、液体貯蔵容器21A・21Bへ圧送するときの気体圧力を調圧する弁であり、調圧弁37bによって調整された気体の圧力は、大気圧より高く、具体的には、0.1MPaより大きく0.8MPa以下である。
【0030】
貯蔵容器側供給通路31bの中途部には、液体貯蔵容器21A・21Bのいずれか一方に気体を供給する分岐弁である4ポート弁32が配置されている。4ポート弁32の一つのポートには、気体を外部へ排出するための排出管34が配置されている。4ポート弁32は、図に示すようにクローズドセンターのバルブで構成しているが、これに限定するものではなく、オープンセンターのバルブで構成してもよい。
【0031】
気泡発生媒体24は、図1及び図2に示すように、液体通路22の中途部を構成する管25の内部に配置されている。気泡発生媒体24は、気体を通すための内部空間24aを有し、管25の液体が流れる方向(図2の黒塗り矢印方向)に対して水平以下となるように配置されている。本実施形態においては、気泡発生媒体24は、管25の長手方向に対して下流側が下方へ傾くように配置されている。
【0032】
また、気泡発生媒体24は、炭素系の多孔質素材で構成されており、図3に示すように、直径数μm~数十μmの細かな孔24bを多数有している。また、気泡発生媒体24は導電体であり、気泡発生媒体24から発生する気泡は負の電荷が帯電される。言い換えれば、導電体である気泡発生媒体24を通過する際に微細気泡に自由電子が付加されることにより、負の電荷が帯電するものである。この負の電荷により、気泡同士が互いに反発し、合体して大きな気泡になることを防ぐことができる。
炭素系の多孔質素材とは、炭素のみ若しくは炭素及びセラミックを含む複合素材であり、無機質の素材である。また、炭素系の多孔質素材の表面には、厚さ数nmの膜が形成されている。前記膜はケイ素を含む無機質の膜で形成されている。
【0033】
管25及び気泡発生媒体24は、図4に示すように、ユニット41として設けることもできる。管25の内部に気泡発生媒体24を配置したユニット41を、管25内を流れる液体の方向と平行な方向(図2の黒塗り矢印方向)に直列に連結可能に構成する。すなわち、管25の両端部に、円筒状の連結部42を設け、連結部42を介して、ユニット41同士を直列的に連結するものである。本実施形態においては、3本のユニット41を連結している。このように構成することにより、既に微細気泡を共存させた液体に対して、更に微細気泡発生装置1によって微細気泡を供給することができる。例えば、せん断力を用いて微細気泡を発生させる方式では、せん断力を連続的にかけると微細気泡が再結合してしまうため、共存する微細気泡の量はかえって少なくなる。これに対し、気泡発生媒体24を液体の流れ方向に直列に配置することによって、液体が気泡発生媒体24に接触する時間を長くなり、液体流を有効に利用して少ない動力で高濃度の微細気泡を共存させることができるのである。また、気泡発生媒体24は、直列に配置されているため微細気泡を再結合させることなく共存させることができる。このように構成することにより、液体に共存する微細気泡の量を増加させることができる。
【0034】
次に、二つの液体貯蔵容器21A・21Bと、気体供給装置23を用いた微細気泡発生方法について説明する。
まず、図5に示すように、4ポート弁32を動かし、液体貯蔵容器21Aに気体供給装置23から供給される気体の一部を圧送する。気体供給装置23から圧送される気体の一部は分岐路31aおよび貯蔵容器側供給通路31bを通って、4ポート弁32の入口側から入って、液体貯蔵容器21A側へ送られる。液体貯蔵容器21A側の液体は液体通路22の管25内へ流入する。
【0035】
一方、気体供給装置23から酸素を圧送する。気体供給装置23から圧送された酸素は、気体供給通路31を通ってオゾン発生装置35内へ供給される。オゾン発生装置35内で、酸素からオゾンが生成され、オゾンが気泡発生媒体24内の内部空間24aへ供給される。気泡発生媒体24へ供給されたオゾンは、気泡発生媒体24に設けられた直径数μm~数十μmの細かな孔24bを通って、微細気泡となり管25内の液体中へ放出される。液体中へ放出される微細気泡は、気泡発生媒体24表面に放出された瞬間に、周りの液体の流れ(図2の矢印方向の流れ)によって、表面から離間される。このとき、気泡発生媒体24は、管25の液体の流れに対して水平以下となるように配置しているので、微細気泡は気泡発生媒体24表面から離間する際に下方へ移動しやすくなり(図2の白塗り矢印方向)、下方に溜まり易くなる。このように構成することにより、後から発生する微細気泡や周辺の孔24bから発生する微細気泡と合体することなく単独で液体中へ移動することとなる。
【0036】
オゾンが溶存した、または微細気泡が共存した液体は管25の下流端から他方の液体貯蔵容器21Bへと流入する。液体貯蔵容器21B内には、オゾンが溶存した、または微細気泡として共存した液体が貯蔵される。
【0037】
次に、図6に示すように、4ポート弁32を動かし、液体貯蔵容器21Bに気体供給装置23から供給される気体の一部を圧送する。一方、液体貯蔵容器21A内の気体を排出管34から排出する。気体供給装置23から圧送される気体の一部は分岐路31aおよび貯蔵容器側供給通路31bを通って、4ポート弁32の入口側から入って、液体貯蔵容器21B側へ送られる。液体貯蔵容器21B側の液体は液体通路の管25内へ流入する。
【0038】
一方、気体供給装置23から酸素を圧送する。気体供給装置23から圧送された酸素は、気体供給通路31を通ってオゾン発生装置35内へ供給される。オゾン発生装置35内で、酸素からオゾンが生成され、オゾンが気泡発生媒体24内の内部空間24aへ供給される。内部空間24aへ供給されたオゾンは、気泡発生媒体24に設けられた直径数μm~数十μmの細かな孔24bを通って、微細気泡となり管25内の液体中へ放出される。液体中へ放出される微細気泡は、気泡発生媒体24表面に放出された瞬間に、周りの液体の流れ(図2の矢印方向の流れ)によって、表面から離間される。このとき、気泡発生媒体24は、管25の液体の流れに対して水平以下となるように配置しているので、微細気泡は気泡発生媒体24表面から離間する際に下方へ移動しやすくなり(図2の白塗り矢印方向)、下方に溜まり易くなる。このように構成することにより、後から発生する微細気泡や周辺の孔24bから発生する微細気泡と合体することなく単独で液体中へ移動することとなる。
【0039】
オゾンが溶存した、または微細気泡として共存した液体は管25の一端から他方の液体貯蔵容器21Aへと流入する。液体貯蔵容器21A内には、オゾンが溶存した、または微細気泡が共存した液体が貯蔵される。
【0040】
さらに、図7に示すように、4ポート弁32を動かし、再び液体貯蔵容器21Aに気体供給装置23から供給される気体の一部を圧送する。一方、液体貯蔵容器21B内の気体を排出管34から排出する。この際、液体貯蔵装置21B内には、溶存しきれなかったオゾンが水中から蒸発したものが含まれる。当該オゾンが含まれた気体は、貯蔵容器側供給通路31bの中途部に設けられた中和剤38によって無害の酸素に分解されて排出管34から排出される。
【0041】
このように構成することにより、気体供給装置23の気体の圧力だけで、液体貯蔵容器21Aから液体貯蔵容器21Bへの移動およびその逆の移動を行うことができる。また、気泡発生媒体24は、水流が発生していれば微細気泡を離間させて発生できるため、液流の往復移動によって、気体の溶存濃度の濃い液体を作成することが可能となる。溶存濃度は90%以上となる。また、気泡発生媒体24から発生するオゾンがより多く溶存若しくは微細気泡として共存するため、余剰オゾンの発生量が減少し、外部へ排出する際に処理しなくてはいけないオゾンの量が少なくなる。これにより、4ポート弁32と液体貯蔵容器容器21A・21Bとの間に中和剤38入れるだけで、大型の分解装置を設けることなくオゾンを無害化して排出することができる。
【0042】
また、4ポート弁32の切り替えについて、液体貯蔵容器21A・21Bにセンサとしてレベルセンサ55を配置して自動で切換えることも可能である。レベルセンサ55は、液体の液位を図るセンサであり、液位が所定の高さに達した時点で、制御装置56へ出力する。例えば、4ポート弁32が、液体貯蔵容器21Aに気体供給装置23から供給される気体の一部を圧送する位置にあるとき、制御装置56は、一方の貯蔵容器21Bの液位が所定の高さに達した場合において、4ポート弁32を切換えて、液体貯蔵容器21Bに気体供給装置22から供給される気体の一部を圧送する位置にする。なお、センサは、液体貯蔵容器21A・21Bへの圧送が終了したことを検知できるセンサであれば、レベルセンサ55に限定するものではなく、例えば、圧送が終了したことを検知する光電センサや、容器の重量変化を検知する重量センサや、圧送の圧力変化を検知する圧力センサ等により構成してもよい。
このように構成することにより、液体貯蔵容器21A・21B内に液体を注入するだけで、オゾンを多量に微細気泡として含む液体を自動的に製造することが可能となる。
【0043】
以上のように、本発明の一実施形態である微細気泡発生装置1は、液体を貯蔵する複数の液体貯蔵容器21A・21Bと、液体を流す液体通路22と、液体通路22へ気体を圧送して供給する気体供給装置23と、気体供給装置23により圧送された気体を微細気泡として液体通路22内の液体へ放出する気泡発生媒体24とを備える微細気泡発生装置であって、複数の液体貯蔵容器21A・21Bはそれぞれ、液体通路22に設けられた開口部22a・22bに接続され、液体貯蔵容器21Aに、気体供給装置23から気体の一部を供給して液体貯蔵容器21A内を加圧し、液体貯蔵容器21Aから液体貯蔵容器21Bへ液体を移動させるものである。
このように構成することにより、気体供給装置23の気体の圧力だけで、液体貯蔵容器21Aから液体貯蔵容器21Bへの移動およびその逆の移動を行うことができる。したがって、別途液体圧送用のポンプを用意することなく簡易な構成で微細気泡を発生することができる。また、液体貯蔵容器21Aから液体貯蔵容器21Bへの移動の後、さらに、液体貯蔵容器21Bから液体貯蔵容器21Aへの復動を行うことで、一つの気泡発生媒体24に対する液体の接触機会を増やすことができ、液体における気体の溶存濃度が向上する。
【0044】
また、気体供給装置23と複数の液体貯蔵容器21A・21Bを連結する貯蔵容器側供給通路31bに分岐弁である4ポート弁32を設けたものである。
このように構成することにより、気体供給装置23から供給される気体を、各液体貯蔵容器21A・21Bに個別に供給することができ、また各液体貯蔵容器21A・21B内の気体を個別に排出することができる。
【0045】
また、気体供給装置23から供給される気体は酸素または窒素を含んだ気体であり、気体供給装置23から気泡発生媒体24へ気体を送る気体供給通路31の中途部に、オゾン発生装置35を設けたものである。
このように構成することにより、殺菌効果、酸化作用を有するオゾンを微細気泡発生媒体24から発生させて液体中に溶存若しくは微細気泡として共存させることができる。
【0046】
また、4ポート弁32と液体貯蔵容器21A・21Bとの間に、中和剤38を設けたものである。
このように構成することにより、液体貯蔵容器内において、液体から蒸発したオゾンを排出する際に、中和して排出することができる。また、オゾンの溶存濃度が通常よりも高く余剰オゾンの発生量が低いため、大型のオゾン分解装置を用意しなくても、毒性の無い酸素として排出することができる。
【0047】
なお、本実施形態においては、分岐路31aにおいて、気体供給装置から供給される気体を圧送することで、液体貯蔵容器21Aから液体貯蔵容器21Bへの移動およびその逆の移動を行う構成としていたが、これに限定するものではなく、貯蔵容器側供給通路31bの上流端に、別途送気手段としてコンプレッサを設ける構成としてもよい。この構成においても、液体を循環させるための大型のポンプなどの液体圧送手段は不要となるため、コストを低減することができる。
【0048】
なお、本発明の技術的範囲は上記の実施例に限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載した事項から明らかになる本発明が真に意図する技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
【符号の説明】
【0049】
1 微細気泡発生装置
21A・21B 液体貯蔵容器
22 液体通路
23 気体供給装置
24 気泡発生媒体
25 管
27 気体貯蔵容器
28 開閉弁
31 気体供給通路
31a 分岐路
31b 貯蔵容器側供給通路
32 4ポート弁(分岐弁)
34 排出管
35 オゾン発生装置
36 逆止弁
37a 調圧弁
37b 調圧弁
38 中和剤
41 ユニット
55 レベルセンサ
56 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8