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特開2024-57379シートパッド、シートパッド組立体及び車両用シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057379
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】シートパッド、シートパッド組立体及び車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/72 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
B60N2/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164077
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米持 光恭
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DB03
3B087DB04
3B087DB09
(57)【要約】
【課題】バネをシートパッドに容易に取付けることができると共に、バネをシートパッドから容易に取外す。
【解決手段】シートクッションパッド22は、着座乗員の臀部をシート下方側から支持するシートクッションの一部を構成するパッド本体部36と、パッド本体部36よりも硬質な部分となっているバネ取付部38と、を備えている。バネ取付部38は、パッド本体部36における着座乗員とは反対側においてパッド本体部36と一体に形成されている。また、バネ取付部38は、着座乗員側からの荷重が入力されることで撓み変形するSバネ22が係止されるバネ係止部(前側バネ係止部38D、後側バネ係止部38B及び中間バネ係止部38H)を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座乗員の臀部をシート下方側から支持するシートクッション又は着座乗員の背部をシート後方側から支持するシートバックの一部を構成するパッド本体部と、
前記パッド本体部よりも硬質な部分となっていると共に、前記パッド本体部における着座乗員とは反対側において前記パッド本体部と一体に形成され、着座乗員側からの荷重が入力されることで撓み変形するバネが係止されるバネ係止部を有するバネ取付部と、
を備えたシートパッド。
【請求項2】
前記バネ取付部は、複数の前記バネ係止部を備えており、
複数の前記バネ係止部のうちのいずれかは、シート前後方向に掛け渡される前記バネのシート前方側の端部が係止される前側バネ係止部となっており、
複数の前記バネ係止部のうちのいずれかは、シート前後方向に掛け渡される前記バネのシート後方側の端部が係止される後側バネ係止部となっており、
前記バネのシート前方側の端部が前記前側バネ係止部側へ向かってシート幅方向に移動可能となるように、前記バネ取付部の形状及び寸法が設定され、
前記バネのシート後方側の端部が前記後側バネ係止部側へ向かってシート幅方向に移動可能となるように、前記バネ取付部の形状及び寸法が設定されている請求項1に記載のシートパッド。
【請求項3】
複数の前記バネ係止部のうちのいずれかは、シート前後方向に掛け渡される前記バネのシート前後方向の中間部が係止される中間バネ係止部となっており、
前記バネのシート前後方向の中間部が前記中間バネ係止部に係止された状態でシート幅方向に移動可能かつシート前後方向に移動不能となるように、前記バネ取付部の形状及び寸法が設定されている請求項2に記載のシートパッド。
【請求項4】
前記バネ取付部は、シート幅方向に間隔をあけて配置された複数の前記バネがそれぞれ係止される複数の前記バネ係止部と、一の前記バネが係止される前記バネ係止部と他の前記バネが係止される前記バネ係止部とをシート幅方向に連結する連結部と、を備えている請求項1に記載のシートパッド。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のシートパッドと、
前記バネ係止部に係止された状態で前記バネ取付部に取り付けられた前記バネと、
を備えたシートパッド組立体。
【請求項6】
前記シートクッションと、
前記シートバックと、
前記シートクッションの骨格部材又は前記シートバックの骨格部材に取付けられた請求項5に記載のシートパッド組立体と、
を備えた車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートパッド、シートパッド組立体及び車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両用シート用のクッションパッドが開示されている。この文献に記載されたクッションパッドでは、パッド本体の裏面側に凹溝を形成し、表皮材を係止するための係止部材をこの凹溝に取付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-211957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、クッションパッド等のシートパッドにバネが取付けられている車両用シートにおいては、車両用シートの製造や解体性等の観点で、バネをシートパッドに容易に取付けることができると共に、バネをシートパッドから容易に取外すことができることが望ましが、上記特許文献1に記載された構成は、この点を考慮していない。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、バネをシートパッドに容易に取付けることができると共に、バネをシートパッドから容易に取外すことができるシートパッド、シートパッド組立体及び車両用シートを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様のシートパッドは、着座乗員の臀部をシート下方側から支持するシートクッション又は着座乗員の背部をシート後方側から支持するシートバックの一部を構成するパッド本体部と、前記パッド本体部よりも硬質な部分となっていると共に、前記パッド本体部における着座乗員とは反対側において前記パッド本体部と一体に形成され、着座乗員側からの荷重が入力されることで撓み変形するバネが係止されるバネ係止部を有するバネ取付部と、を備えている。
【0007】
第1の態様のシートパッドには、パッド本体よりも硬質な部分であるバネ取付部が設けられている。そして、バネをバネ取付部のバネ係止部に係止させることで、バネがシートパッドに取付けられる。また、バネをバネ取付部のバネ係止部から離脱させることで、バネがシートパッドから取外される。このように、バネをシートパッドに容易に取付けることができると共に、バネをシートパッドから容易に取外すことができる。
【0008】
第2の態様のシートパッドは、第1の態様のシートパッドにおいて、前記バネ取付部は、複数の前記バネ係止部を備えており、複数の前記バネ係止部のうちのいずれかは、シート前後方向に掛け渡される前記バネのシート前方側の端部が係止される前側バネ係止部となっており、複数の前記バネ係止部のうちのいずれかは、シート前後方向に掛け渡される前記バネのシート後方側の端部が係止される後側バネ係止部となっており、前記バネのシート前方側の端部が前記前側バネ係止部側へ向かってシート幅方向に移動可能となるように、前記バネ取付部の形状及び寸法が設定され、前記バネのシート後方側の端部が前記後側バネ係止部側へ向かってシート幅方向に移動可能となるように、前記バネ取付部の形状及び寸法が設定されている。
【0009】
第2の態様のシートパッドによれば、バネのシート前方側の端部を前側バネ係止部に係止させる際に、バネのシート前方側の端部をシート幅方向に移動させることができる。また、バネのシート後方側の端部を後側バネ係止部に係止させる際に、バネのシート後方側の端部をシート幅方向に移動させることができる。これにより、バネをシートパッドに取付ける際の作業性を良好にすることができる。
【0010】
第3の態様のシートパッドは、第2の態様のシートパッドにおいて、複数の前記バネ係止部のうちのいずれかは、シート前後方向に掛け渡される前記バネのシート前後方向の中間部が係止される中間バネ係止部となっており、前記バネのシート前後方向の中間部が前記中間バネ係止部に係止された状態でシート幅方向に移動可能かつシート前後方向に移動不能となるように、前記バネ取付部の形状及び寸法が設定されている。
【0011】
第3の態様のシートパッドによれば、バネのシート前後方向の中間部を中間バネ係止部に係止させた状態で、バネのシート前後方向の中間部をシート幅方向に移動させることができる。これにより、バネをシートパッドに取付ける際の作業性を良好にすることができる。また、バネのシート前後方向の中間部を中間バネ係止部に係止させた状態で、バネのシート前後方向の中間部をシート前後方向に移動させることができなくなっている。これにより、バネのシート前後方向の中間部のシート前後方向へのズレ動きを抑制することができる。
【0012】
第4の態様のシートパッドは、第1の態様のシートパッドにおいて、前記バネ取付部は、シート幅方向に間隔をあけて配置された複数の前記バネがそれぞれ係止される複数の前記バネ係止部と、一の前記バネが係止される前記バネ係止部と他の前記バネが係止される前記バネ係止部とをシート幅方向に連結する連結部と、を備えている。
【0013】
第4の態様のシートパッドによれば、一のバネが係止されるバネ係止部と他のバネが係止されるバネ係止部とをシート幅方向に連結する連結部が設けられている。これにより、一のバネと他のバネとのシート幅方向の間隔が変化することに伴う座り心地の変化を抑制することができる。
【0014】
第5の態様のシートパッド組立体は、第1の態様~第4の態様のいずれか1つの態様のシートパッドと、前記バネ係止部に係止された状態で前記バネ取付部に取り付けられた前記バネと、を備えている。
【0015】
第5の態様のシートパッド組立体によれば、バネをシートパッドに容易に取付けることができると共に、バネをシートパッドから容易に取外すことができる。
【0016】
第6の態様の車両用シートは、前記シートクッションと、前記シートバックと、前記シートクッションの骨格部材又は前記シートバックの骨格部材に取付けられた第5の態様のシートパッド組立体と、を備えている。
【0017】
第6の態様の車両用シートによれば、バネをシートパッドに容易に取付けることができると共に、バネをシートパッドから容易に取外すことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るシートパッド、シートパッド組立体及び車両用シートは、バネをシートパッドに容易に取付けることができると共に、バネをシートパッドから容易に取外すことができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態の車両用シートを模式的に示す側面図である。
図2】前フレーム部を示す斜視図である。
図3】シートクッションパッド組立体を斜め下方側から見た斜視図である。
図4】4つのSバネ及びシートパッド本体のバネ取付部を斜め上方側から見た斜視図である。
図5】シートクッションパッドの右側の部分の下方側を拡大して示す斜視図であり、Sバネをシートクッションパッドに取付ける工程の一工程を示している。
図6】シートクッションパッドの右側の部分の下方側を拡大して示す斜視図であり、Sバネをシートクッションパッドに取付ける工程の一工程を示している。
図7】シートクッションパッドの右側の部分の下方側を拡大して示す斜視図であり、Sバネがシートクッションパッドに取付ける工程の一工程を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
先ず、図1及び図2を用いて、本発明の実施形態に係る車両用シート10の基本構成について説明し、次に、図3図7を用いて、Sバネ20及びシートクッションパッド22の細部の構成について説明する。なお、図中に示す矢印FR、矢印UP、矢印RH及び矢印LHは、車両用シート10に着座した乗員から見たシート前方側、上方側、右側及び左側をそれぞれ示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、シート前後方向の前後、シート上下方向の上下、シート左右方向の左右を示すものとする。
【0021】
(車両用シート10の基本構成)
図1に示されるように、本実施形態の車両用シート10は、着座乗員の臀部を支持するシートクッション12と、着座乗員の背部を支持するシートバック14と、を備えている。
【0022】
シートクッション12は、当該シートクッション12の骨格部材であるシートクッションフレーム18と、シートクッションフレーム18に前後方向に掛け渡されたバネとしての複数のSバネ20と、シートクッションフレーム18に取付けられたシートパッドとしてのシートクッションパッド22と、を備えている。
【0023】
シートバック14は、当該シートバック14の骨格部材であるシートバックフレーム19と、シートバックフレーム19に取付けられたシートパッドとしてのシートバックパッド23と、を備えている。
【0024】
シートクッションフレーム18は、左右方向に間隔をあけて配置され前後方向に延びる図示しない左右一対のサイドフレーム部と、左右一対のサイドフレーム部の前端側を左右方向につなぐ前フレーム部24と、左右一対のサイドフレーム部の後端側を左右方向につなぐ後フレーム部26と、を備えている。図2に示されるように、前フレーム部24は、一例として鋼鈑材にプレス加工等が施されることにより形成されている。前フレーム部24の後端部には、左右方向に間隔をあけて配置された左右一対の係止孔24Aが形成されている。これらの係止孔24Aは、上方側から見て左右方向を長手方向とする矩形状に形成され、前フレーム部24の後端部を上下方向に貫通している。図1に示されるように、後フレーム部26は、一例として左右方向を軸方向とする筒状に形成されている。
【0025】
(Sバネ22の細部の構成)
図3図5に示されるように、Sバネ20は、丸棒状の鋼材が折り曲げられること等により形成されている。ここで、本実施形態では、4本のSバネ20が左右方向に並んで設けられている。4本のSバネ20の後方側の端部は、後係止部28となっている。後係止部28は、下方側が開放されたU字状に湾曲された形状になっている。この後係止部28は、後述するシートクッションパッド22の一部を介してシートクッションフレーム18の後フレーム部26(図1参照)に係止されるようになっている。
【0026】
また、4本のSバネ20は、後係止部28の前方側の下端から前方側へ向けて延びる掛渡部30を備えている。掛渡部30の後方側の部位は、シート側面視で(左右方向から見て)前方側へ向かうにつれて下方側へ傾斜しており、掛渡部30の前方側の部位は、シート側面視で(左右方向から見て)前方側へ向かうにつれて上方側へ傾斜している。また、掛渡部30の前後方向の中間部は、複数個所において左右方向に屈曲している。なお、掛渡部30において左右方向に延在している部分を左右延在部30Aと呼ぶことにする。また、掛渡部30において前後方向に延在している部分を前後延在部30Bと呼ぶことにする。
【0027】
さらに、4本のSバネ20の前端部は、前係止部32となっている。この前係止部32は、シート幅方向にL字状に折り曲げられた形状となっていると共に後述するシートクッションパッド22の一部を介してシートクッションフレーム18の前フレーム部24(図1参照)に係止されるようになっている。
【0028】
そして、図1及び図2に示されるように、4本のSバネ20がシートクッションフレーム18の後フレーム部26と前フレーム部24との間に掛け渡された状態で、下方側への荷重がシートクッションパッド22を介して4本のSバネ20入力されると、当該4本のSバネ20の掛渡部30が撓み変形するようになっている。
【0029】
なお、以下の説明において、4つのSバネ22を右側から順番に第1のSバネ22(S1)(S1)、第2のSバネ22(S2)、第3のSバネ22(S3)及び第4のSバネ22(S4)とそれぞれ呼ぶ場合がある。
【0030】
(シートクッションパッド22の細部の構成)
図3に示されるように、シートクッションパッド22は、ウレタンフォーム等を用いて形成されている。このシートクッションパッド22には、4本のSバネ20を直接取付けることが可能となっている。シートクッションパッド22は、4つのSバネ22と共にシートパッド組立体34を構成している。
【0031】
シートクッションパッド22は、着座乗員側から押圧されることで変形可能な硬度に設定されたパッド本体部36と、パッド本体部36と一体に形成されたバネ取付部38と、を含んで構成されている。なお、パッド本体部36における着座乗員側の面は、図示しない表皮材に覆われる。
【0032】
バネ取付部38は、パッド本体部36よりも硬質な部分となっていると共に4つのSバネ22が取付けられる部分となっている。このバネ取付部38は、パッド本体部36における着座乗員とは反対側の面から下方側へ向けて突出している。ここで、図4には、4本のSバネ22及びバネ取付部38のみが示されている。図4及び図3に示されるように、本実施形態では、8カ所のバネ取付部38が設けられている。なお、最も後方側に配置されたバネ取付部38を後側バネ取付部38(R)と呼ぶことにする。また、最も前方側に配置された左右一対のバネ取付部38を前側バネ取付部38(F)と呼ぶことにする。また、後側バネ取付部38(R)に対して前方側に配置された左右一対のバネ取付部38を第1中間バネ取付部38(C1)と呼ぶことにする。また、左右一対の第1中間バネ取付部38(C1)に対して前方側に配置されたバネ取付部38を第2中間バネ取付部38(C2)と呼ぶことにする。また、第2中間バネ取付部38(C2)に対して前方側に配置された左右一対のバネ取付部38を第3中間バネ取付部38(C3)と呼ぶことにする。
【0033】
(後側バネ取付部38(R)の構成)
図3及び図5に示されるように、後側バネ取付部38(R)は、下方側が開放された形状に形成されている。この後側バネ取付部38(R)の上部、前部及び後部には、2つの凹部38Aが後側バネ取付部38(R)の閉止端側から開放端側にかけて形成されている。これら2つの凹部38Aは、左右方向に並んで配置されている。
【0034】
右側の凹部38Aにおける右側の端部には、第1のSバネ22(S1)の後係止部28が左側から係止されるバネ係止部としての後側バネ係止部38Bが形成されている。また、右側の凹部38Aにおける左側の端部には、第2のSバネ22(S2)の後係止部28が右側から係止されるバネ係止部としての後側バネ係止部38Bが形成されている。ここで、本実施形態では、第1のSバネ22(S1)の後係止部28が右側の凹部38A内に配置された状態で、第1のSバネ22(S1)の後係止部28が後側バネ係止部38B側に向かってシート幅方向に移動できるように、右側の凹部38A内の形状及び寸法が設定されている。また、第2のSバネ22(S2)の後係止部28が右側の凹部38A内に配置された状態で、第2のSバネ22(S2)の後係止部28が後側バネ係止部38B側に向かってシート幅方向に移動できるように、右側の凹部38A内の形状及び寸法が設定されている。
【0035】
左側の凹部38Aにおける右側の端部には、第3のSバネ22(S3)の後係止部28が左側から係止されるバネ係止部としての後側バネ係止部38Bが形成されている。また、左側の凹部38Aにおける左側の端部には、第4のSバネ22(S4)の後係止部28が右側から係止されるバネ係止部としての後側バネ係止部38Bが形成されている。ここで、本実施形態では、第3のSバネ22(S3)の後係止部28が左側の凹部38A内に配置された状態で、第3のSバネ22(S3)の後係止部28が後側バネ係止部38B側に向かってシート幅方向に移動できるように、左側の凹部38A内の形状及び寸法が設定されている。また、第4のSバネ22(S4)の後係止部28が左側の凹部38A内に配置された状態で、第4のSバネ22(S4)の後係止部28が後側バネ係止部38B側に向かってシート幅方向に移動できるように、左側の凹部38A内の形状及び寸法が設定されている。
【0036】
(前側バネ取付部38(F)の構成)
左右一対の前側バネ取付部38(F)は、シート幅方向に対称の構成となっている。左右一対の前側バネ取付部38(F)には、下方側及び後方側が開放された凹部38Cがそれぞれ形成されている。
【0037】
右側の前側バネ取付部38(F)に形成された凹部38Cにおける右側の端部及び前端部には、第1のSバネ22(S1)の前係止部32が左側及び後方側から係止されるバネ係止部としての前側バネ係止部38Dが形成されている。また、右側の前側バネ取付部38(F)に形成された凹部38Cにおける左側の端部及び前端部には、第2のSバネ22(S2)の前係止部32が右側及び後方側から係止されるバネ係止部としての前側バネ係止部38Dが形成されている。ここで、本実施形態では、第1のSバネ22(S1)の前係止部32が右側の前側バネ取付部38(F)に形成された凹部38C内に配置された状態で、第1のSバネ22(S1)の前係止部32が前側バネ係止部38D側に向かってシート幅方向に移動できるように、右側の前側バネ取付部38(F)に形成された凹部38C内の形状及び寸法が設定されている。また、第2のSバネ22(S2)の前係止部32が右側の凹部38C内に配置された状態で、第2のSバネ22(S2)の前係止部32が前側バネ係止部38D側に向かってシート幅方向に移動できるように、右側の前側バネ取付部38(F)に形成された凹部38C内の形状及び寸法が設定されている。
【0038】
左側の前側バネ取付部38(F)に形成された凹部38Cにおける右側の端部及び前端部には、第3のSバネ22(S3)の前係止部32が左側及び後方側から係止されるバネ係止部としての前側バネ係止部38Dが形成されている。また、左側の前側バネ取付部38(F)に形成された凹部38Cにおける左側の端部及び前端部には、第4のSバネ22(S4)の前係止部32が右側及び後方側から係止されるバネ係止部としての前側バネ係止部38Dが形成されている。ここで、本実施形態では、第3のSバネ22(S3)の前係止部32が左側の前側バネ取付部38(F)に形成された凹部38C内に配置された状態で、第3のSバネ22(S3)の前係止部32が前側バネ係止部38D側に向かってシート幅方向に移動できるように、左側の前側バネ取付部38(F)に形成された凹部38C内の形状及び寸法が設定されている。また、第4のSバネ22(S4)の前係止部32が右側の凹部38C内に配置された状態で、第4のSバネ22(S4)の前係止部32が前側バネ係止部38D側に向かってシート幅方向に移動できるように、左側の前側バネ取付部38(F)に形成された凹部38C内の形状及び寸法が設定されている。
【0039】
(第1中間バネ取付部38(C1)の構成)
左右一対の第1中間バネ取付部38(C1)は、シート幅方向に対称に形成されている。第1中間バネ取付部38(C1)は、シート下方側から見て左右方向を長手方向とする矩形状に形成されていると共に前後方向に間隔をあけて配置された連結部としての前連結部38E及び後連結部38Fを備えている。また、第1中間バネ取付部38(C1)は、シート下方側から見て前後方向を長手方向とする矩形状に形成されていると共に前連結部38Eの左右方向の中間部と後連結部38Fの左右方向の中間部とを前後方向に連結する前後連結部38Gを備えている。
【0040】
また、第1中間バネ取付部38(C1)は、前連結部38Eの左右方向の両端部からそれぞれ下方側へ向けて突出するバネ係止部としての中間バネ係止部38Hを備えている。さらに、第1中間バネ取付部38(C1)は、後連結部38Fの左右方向の両端部からそれぞれ下方側へ向けて突出するバネ係止部としての中間バネ係止部38Hを備えている。また、第1中間バネ取付部38(C1)は、前後連結部38Gから下方側へ向けて突出するバネ係止部としての中間バネ係止部38Hを備えている。
【0041】
右側の第1中間バネ取付部38(C1)の前連結部38Eの右側の端部から突出する中間バネ係止部38Hには、第1のSバネ22(S1)の掛渡部30における前後延在部30Bが下方側から係止されるようになっている。また、右側の第1中間バネ取付部38(C1)の後連結部38Fの右側の端部から突出する中間バネ係止部38Hには、第1のSバネ22(S1)の掛渡部30における左右延在部30Aが下方側から係止されるようになっている。
【0042】
右側の第1中間バネ取付部38(C1)の前連結部38Eの左側の端部から突出する中間バネ係止部38Hには、第2のSバネ22(S2)の掛渡部30における前後延在部30Bが下方側から係止されるようになっている。また、右側の第1中間バネ取付部38(C1)の後連結部38Fの左側の端部から突出する中間バネ係止部38Hには、第2のSバネ22(S2)の掛渡部30における左右延在部30Aが下方側から係止されるようになっている。さらに、右側の第1中間バネ取付部38(C1)の前後連結部38Gから突出する中間バネ係止部38Hには、第2のSバネ22(S2)の掛渡部30における前後延在部30Bが下方側から係止されるようになっている。
【0043】
第1のSバネ22(S1)の掛渡部30における左右延在部30Aが中間バネ係止部38Hに係止された状態では、当該左右延在部30Aがシート幅方向に移動可能となるようにかつ前後方向に移動不能となるように、右側の第1中間バネ取付部38(C1)の各部の形状及び寸法が設定されている。また、第2のSバネ22(S2)の掛渡部30における左右延在部30Aが中間バネ係止部38Hに係止された状態では、当該左右延在部30Aがシート幅方向に移動可能となるようにかつ前後方向に移動不能となるように、右側の第1中間バネ取付部38(C1)の各部の形状及び寸法が設定されている。
【0044】
左側の第1中間バネ取付部38(C1)の前連結部38Eの右側の端部から突出する中間バネ係止部38Hには、第3のSバネ22(S3)の掛渡部30における前後延在部30Bが下方側から係止されるようになっている。また、左側の第1中間バネ取付部38(C1)の後連結部38Fの右側の端部から突出する中間バネ係止部38Hには、第3のSバネ22(S3)の掛渡部30における左右延在部30Aが下方側から係止されるようになっている。さらに、左側の第1中間バネ取付部38(C1)の前後連結部38Gから突出する中間バネ係止部38Hには、第3のSバネ22(S3)の掛渡部30における前後延在部30Bが下方側から係止されるようになっている。
【0045】
左側の第1中間バネ取付部38(C1)の前連結部38Eの左側の端部から突出する中間バネ係止部38Hには、第4のSバネ22(S4)の掛渡部30における前後延在部30Bが下方側から係止されるようになっている。また、左側の第1中間バネ取付部38(C1)の後連結部38Fの左側の端部から突出する中間バネ係止部38Hには、第4のSバネ22(S4)の掛渡部30における左右延在部30Aが下方側から係止されるようになっている。
【0046】
第3のSバネ22(S3)の掛渡部30における左右延在部30Aが中間バネ係止部38Hに係止された状態では、当該左右延在部30Aがシート幅方向に移動可能となるようにかつ前後方向に移動不能となるように、左側の第1中間バネ取付部38(C1)の各部の形状及び寸法が設定されている。また、第4のSバネ22(S4)の掛渡部30における左右延在部30Aが中間バネ係止部38Hに係止された状態では、当該左右延在部30Aがシート幅方向に移動可能となるようにかつ前後方向に移動不能となるように、左側の第1中間バネ取付部38(C1)の各部の形状及び寸法が設定されている。
【0047】
(第2中間バネ取付部38(C2)の構成)
図3図4及び図5に示されるように、第2中間バネ取付部38(C2)は、下方側から見て後方側が開放された略U字状に形成されている。第2中間バネ取付部38(C2)の右側の部分には、第2のSバネ22(S2)の掛渡部30が係止されるバネ係止部としての複数の中間バネ係止部38Hが設けられている。また、第2中間バネ取付部38(C2)の左側の部分には、第3のSバネ22(S3)の掛渡部30が係止されるバネ係止部としての複数の中間バネ係止部38Hが設けられている。第2中間バネ取付部38(C2)の中間部は、第2のSバネ22(S2)の掛渡部30が係止される一の中間バネ係止部38Hと第3のSバネ22(S3)の掛渡部30が係止される一の中間バネ係止部38Hとを左右方向に連結する連結部としての中央連結部38Jとなっている。
【0048】
(第3中間バネ取付部38(C3)の構成)
左右一対の第3中間バネ取付部38(C3)は、シート幅方向に対称に形成されている。これら第3中間バネ取付部38(C3)は、下方側から見て左右方向を長手方向とする矩形状に形成されている。第3中間バネ取付部38(C3)の左右方向の両端部には、バネ係止部としての中間バネ係止部38Hがそれぞれ設けられている。また、第3中間バネ取付部38(C3)のシート幅方向中間部は、左右一対の中間バネ係止部38Hを左右方向に連結する連結部としての前側連結部38Kとなっている。
【0049】
右側の第3中間バネ取付部38(C3)の右側の中間バネ係止部38Hには、第1のSバネ22(S1)の掛渡部30が係止され、右側の第3中間バネ取付部38(C3)の左側の中間バネ係止部38Hには、第2のSバネ22(S2)の掛渡部30が係止されるようになっている。また、左側の第3中間バネ取付部38(C3)の右側の中間バネ係止部38Hには、第3のSバネ22(S3)の掛渡部30が係止され、左側の第3中間バネ取付部38(C3)の左側の中間バネ係止部38Hには、第4のSバネ22(S4)の掛渡部30が係止されるようになっている。
【0050】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0051】
以上説明した本実施形態の車両用シート10では、一例として、以下の手順を経ることによってSバネ22をシートクッションパッド22に取付けることができる。
【0052】
図5に示されるように、先ず、第1のSバネ22(S1)の前係止部32を右側の前側バネ取付部38(F)に形成された凹部38C内に配置すると共に、第1のSバネ22(S1)の前係止部32の一部を凹部38Cの前端部における前側バネ係止部38Dに係止させる。この時、第1のSバネ22(S1)の前係止部32の他の一部は凹部38Cの右側の端部における前側バネ係止部38Dには係止されていない。
【0053】
次に、図6に示されるように、第1のSバネ22(S1)の掛渡部30における左右延在部30Aを右側の第1中間バネ取付部38(C1)の後連結部38Fの右側の端部から突出する中間バネ係止部38Hに係止させる。また、第1のSバネ22(S1)の後係止部28を後側バネ取付部38(R)に形成された凹部38A内には配置する。
【0054】
次に、図7に示されるように、第1のSバネ22(S1)の全体が右側へ移動するように、第1のSバネ22(S1)の各部を順次押圧する。これにより、第1のSバネ22(S1)の前係止部32の他の一部が凹部38Cの右側の端部における前側バネ係止部38Dに係止される。また、第1のSバネ22(S1)の後係止部28が後側バネ係止部38Bに係止される。さらに、第1のSバネ22(S1)の掛渡部30の各部が、第1中間バネ取付部38(C1)及び第3中間バネ取付部38(C3)の各中間バネ係止部38Hに係止される。
【0055】
詳細な説明は省略するが、第2のSバネ22(S2)、第3のSバネ22(S3)及び第4のSバネ22(S4)についても同様の手順を経ることでシートクッションパッド22に取付けられる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態では、4本のSバネ22をバネ取付部38の各バネ係止部(前側バネ係止部38D、後側バネ係止部38B及び中間バネ係止部38H)に係止させることで、4本のSバネ22をシートクッションパッド22に容易に取付けることができる。また、4本のSバネ22が取付けられた状態のシートクッションパッド22(すなわちシートパッド組立体34)をシートクッションフレーム18に取付けることができる。なお、シートパッド組立体34をシートクッションフレーム18に取付ける際に、左右一対の前側バネ取付部38(F)を前フレーム部24に形成された左右一対の係止孔24A(図2参照)に挿入される。
【0057】
また、4本のSバネ22をバネ取付部38の各バネ係止部(前側バネ係止部38D、後側バネ係止部38B及び中間バネ係止部38H)から離脱させることで、4本のSバネ22をシートクッションパッド22から容易に取り外すことができる。
【0058】
また、本実施形態では、Sバネ22の前係止部32を前側バネ係止部38Dに係止させる際に、Sバネ22の前係止部32をシート幅方向に移動させることができるようになっている。また、Sバネ22の後係止部28を後側バネ係止部38Bに係止させる際に、Sバネ22の後係止部28をシート幅方向に移動させることができる。これにより、Sバネ22をシートクッションパッド22に取付ける際の作業性を良好にすることができる。
【0059】
さらに、本実施形態では、Sバネ22の掛渡部30における左右延在部30Aを中間バネ係止部38Hに係止させた状態で、当該左右延在部30Aをシート幅方向に移動させることができる。これによっても、Sバネ22をシートクッションパッド22に取付ける際の作業性が良好になっている。
【0060】
また、Sバネ22の掛渡部30における左右延在部30Aを中間バネ係止部38Hに係止させた状態では、当該左右延在部30Aを前後方向に移動させることができなくなっている。これにより、Sバネ22の掛渡部30の前後方向へのズレ動きを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態では、一のSバネ22が係止される中間バネ係止部38Hと他のSバネ22が係止される中間バネ係止部38Hとが、連結部(前連結部38E、後連結部38F、中央連結部38J及び前側連結部38K)を介して左右方向に連結された構成となっている。これにより、一のSバネ22と他のSバネ22とのシート幅方向の間隔が変化することに伴う座り心地の変化を抑制することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、一のSバネ22が係止される中間バネ係止部38Hと他のSバネ22が係止される中間バネ係止部38Hとが、連結部(前連結部38E、後連結部38F、中央連結部38J及び前側連結部38K)を介して左右方向に連結された構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記連結部(前連結部38E、後連結部38F、中央連結部38J及び前側連結部38K)を設けない構成としてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、Sバネ22の掛渡部30における左右延在部30Aを中間バネ係止部38Hに係止させた状態では、当該左右延在部30Aを前後方向に移動させることができなくなっている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、左右延在部30Aを前後方向に移動させることができるようにしてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、Sバネ22の掛渡部30における左右延在部30Aを中間バネ係止部38Hに係止させた状態で、当該左右延在部30Aをシート幅方向に移動させることができるようにした例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、Sバネ22の掛渡部30における左右延在部30Aを中間バネ係止部38Hに係止させた状態で、当該左右延在部30Aをシート幅方向に移動させることができないようにしてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、Sバネ22の前係止部32を前側バネ係止部38Dに係止させる際に、Sバネ22の前係止部32をシート幅方向に移動させることができるようすると共に、Sバネ22の後係止部28を後側バネ係止部38Bに係止させる際に、Sバネ22の後係止部28をシート幅方向に移動させることができるようにした例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、Sバネ22の前係止部32をシート幅方向に移動させることなく、Sバネ22の前係止部32を前側バネ係止部38Dに係止させることができるようにしてもよい。また、Sバネ22の後係止部28をシート幅方向に移動させることなく、Sバネ22の後係止部28を後側バネ係止部38Bに係止させることができるようにしてもよい。
【0066】
また、本実施形態では、本発明の要部の構成をシートクッション12側に適用したが、本発明の要部の構成がシートバック14側にも適用することができる。
【0067】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0068】
10 車両用シート
12 シートクッション
14 シートバック
18 シートクッションフレーム(シートクッションの骨格部材)
19 シートバックフレーム(シートバックの骨格部材)
20 Sバネ(バネ)
22 シートクッションパッド(シートパッド)
23 シートバックパッド(シートパッド)
34 シートパッド組立体
36 パッド本体部
38 バネ取付部
38B 後側バネ係止部(バネ係止部)
38D 前側バネ係止部(バネ係止部)
38E 前連結部(連結部)
38F 後連結部(連結部)
38H 中間バネ係止部(バネ係止部)
38J 中央連結部(連結部)
38K 前側連結部(連結部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7