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特開2024-57382分析装置、分析方法及び分析プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057382
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】分析装置、分析方法及び分析プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20240417BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164081
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本間 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】小沼 重人
(72)【発明者】
【氏名】池田 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】大藤 伸生
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 憲一
(72)【発明者】
【氏名】立川 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山川 聡
(72)【発明者】
【氏名】八木 隆司
(72)【発明者】
【氏名】樋原 聖司
(72)【発明者】
【氏名】中村 匡範
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】見積価格の妥当性を定量的に分析すること。
【解決手段】分析装置10は、取得部151と判定部152を有する。取得部151は、取引対象の過去の取引価格、又は取引対象について事前に提示された価格が記録された複数のDBから、取引対象の価格を取得する。また、判定部152は、取引対象の見積価格と、取得部151によって取得された価格とを比較し、見積価格が妥当であるか否かを判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引対象の過去の取引価格、又は前記取引対象について事前に提示された価格が記録された複数のDBから、前記取引対象の価格を取得する取得部と、
前記取引対象の見積価格と、前記取得部によって取得された価格とを比較し、前記見積価格が妥当であるか否かを判定する判定部と、
を有することを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記取得部は、1つの案件に関する複数の物品のそれぞれについて、前記複数のDBから価格を取得し、
前記判定部は、前記複数の物品のそれぞれの前記見積価格のいずれかが、あらかじめ定められた上限値を超えている場合、前記見積価格が妥当でないと判定することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記取得部は、1つの案件に関する複数の物品のそれぞれについて、前記複数のDBから価格の取得を試み、
前記判定部は、前記取得部が前記複数の物品のいずれかについて価格を取得できなかった場合に、前記見積価格が妥当でないと判定することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項4】
前記取得部は、物品について前記複数のDBから価格を取得し、
前記判定部は、前記物品の前記見積価格の一定の割合以上の価格が、前記取得部によって取得された前記物品の価格の中に存在しない場合、前記見積価格が妥当でないと判定することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項5】
前記取得部は、1つの案件に関する複数の物品のそれぞれについて、前記複数のDBから価格を取得し、
前記判定部は、前記複数の物品のそれぞれの前記見積価格が前記取得部によって取得された価格に基づく基準価格を超えた値の合計と、前記見積価格が前記基準価格を下回った値の合計と、に基づき、前記見積価格が妥当であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項6】
前記取得部によって取得された前記取引対象の価格を基に、前記判定部によって妥当であると判定される前記取引対象の価格を算出し、表示する出力制御部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項7】
分析装置によって実行される分析方法であって、
取引対象の過去の取引価格、又は前記取引対象について事前に提示された価格が記録された複数のDBから、前記取引対象の価格を取得する取得工程と、
前記取引対象の見積価格と、前記取得工程によって取得された価格とを比較し、前記見積価格が妥当であるか否かを判定する判定工程と、
を含むことを特徴とする分析方法。
【請求項8】
取引対象の過去の取引価格、又は前記取引対象について事前に提示された価格が記録された複数のDBから、前記取引対象の価格を取得する取得ステップと、
前記取引対象の見積価格と、前記取得ステップによって取得された価格とを比較し、前記見積価格が妥当であるか否かを判定する判定ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする分析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置、分析方法及び分析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業等の組織が物品又は役務の発注を行う際には、受注側の業者が事前に価格の見積りを作成する場合がある。発注側の担当者は、作成された見積りを見て、実際に発注するか否かを判断したり、価格交渉を行ったりすることができる。
【0003】
また、売り手からの中古ソフトの売り注文、及び買い手からの中古ソフトの買い注文に応じて、売買スケジュールを発行する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の技術によれば、中古ソフトの過去の販売価格が提示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-140586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、見積価格の妥当性を定量的に分析することが難しい場合があるという問題がある。
【0006】
特許文献1に記載の技術では、中古ソフトの過去の販売価格が提示されるが、その価格が妥当であるか否かを判定することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、分析装置は、取引対象の過去の取引価格、又は前記取引対象について事前に提示された価格が記録された複数のDBから、前記取引対象の価格を取得する取得部と、前記取引対象の見積価格と、前記取得部によって取得された価格とを比較し、前記見積価格が妥当であるか否かを判定する判定部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、見積価格の妥当性を定量的に分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る分析装置の構成例を示す図である。
図2図2は、見積価格の妥当性を判定する処理を説明する図である。
図3図3は、分析装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、一括見積画面の一例を示す図である。
図5図5は、統計情報画面の一例を示す図である。
図6図6は、目標設定画面の一例を示す図である。
図7図7は、価格交渉画面の一例を示す図である。
図8図8は、分析プログラムを実行するコンピュータの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る分析装置、分析方法及び分析プログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではない。
【0011】
[第1の実施形態]
[第1の実施形態の構成]
図1を用いて、分析装置10の構成を説明する。図1は、第1の実施形態に係る分析装置の構成例を示す図である。
【0012】
分析装置10は、見積価格を分析する。例えば、分析装置10は、見積価格が妥当であるか否かを判定する。
【0013】
ここで、発注者が物品尾及び役務といった取引対象の発注を行う際に、受注者によって見積価格が算出される。発注者及び受注者は、企業等の組織であってもよいし、個人であってもよい。
【0014】
例えば、発注者である企業における購買又は調達といった業務に伴って、受注者により見積価格が算出される。
【0015】
また、見積価格は、案件単位で算出される場合がある。例えば、社内サーバを構築する案件では、サーバに加え、ネットワーク機器といった複数の物品の購入が必要になる。その際、複数の物品のそれぞれについて見積価格が算出される。
【0016】
図1に示すように、分析装置10は、通信部11、入力部12、出力部13、記憶部14及び制御部15を有する。また、図1に示すように、分析装置10には、見積様式ファイルが入力される。見積様式ファイルには、取引対象ごとの受注者が提示した見積価格が記載されている。見積様式ファイルは、CSV等の所定の形式で作成される。
【0017】
通信部11は、ネットワークを介して、他の装置との間でデータ通信を行う。例えば、通信部11はNIC(Network Interface Card)である。
【0018】
入力部12は、データの入力を受け付けるためのインタフェースである。入力部12は、例えばキーボード、マウス等の入力装置であってもよい。
【0019】
出力部13は、データを出力するためのインタフェースである。出力部13は、例えばディスプレイ、スピーカ等の出力装置であってもよい。
【0020】
記憶部14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光ディスク等の記憶装置である。なお、記憶部14は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、NVSRAM(Non Volatile Static Random Access Memory)等のデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。
【0021】
記憶部14は、分析装置10で実行されるOS(Operating System)や各種プログラムを記憶する。記憶部14は、調達実績DB141、推奨GLDB142、市場DB143、取引カタログDB144、グループ取引DB145、期待仕切率DB146を記憶する。
【0022】
記憶部14に記憶されているDBのうち、調達実績DB141、推奨GLDB142、市場DB143、取引カタログDB144、グループ取引DB145は、取引対象の過去の取引価格、又は取引対象について事前に提示された価格が記録された複数のDBである。期待仕切率DB146は、価格の期待値を計算するための情報が記録されたDBである。
【0023】
調達実績DB141は、発注者の過去の取引において取引対象が実際に受注された価格を記憶する。例えば、調達実績DB141は、物品の型番と受注された価格を対応付けて記憶する。
【0024】
推奨GLDB142は、推奨取引先RFPのうち、評価が最も高かった取引先による取引対象の提案価格であるガイドライン価格を記憶する。例えば、推奨GLDB142は、物品の型番とガイドライン価格を対応付けて記憶する。また、ガイドライン価格に対応する取引先からは、ガイドライン価格以下の価格で物品を購入可能であるものとする。
【0025】
市場DB143は、業界等の単位で取引履歴を記録し公開しているサービスから取得した取引対象の価格である。例えば、市場DB143は、物品の型番と受注された価格を対応付けて記憶する。
【0026】
取引カタログDB144は、メーカ等によって提示された取引対象の価格である。例えば、取引カタログDB144は、物品の型番と当該物品のメーカが提示している定価を対応付けて記憶する。
【0027】
グループ取引DB145は、発注者と関連する組織等の過去の取引において取引対象が実際に受注された価格を記憶する。例えば、グループ取引DB145は、物品の型番と受注された価格を対応付けて記憶する。
【0028】
発注者が企業であれば、発注者と関連する組織は、発注者と資本的又は人的な関係があるグループ企業であってもよい。
【0029】
期待仕切率DB146は、取引対象ごとの期待仕切率を記憶する。期待仕切率は、取引対象の提供元ごとに期待される仕切率を過去の実績から算定したものである。期待仕切率は、期待価格の算出に用いられる。取引対象の提供元は、例えば物品のメーカである。
【0030】
制御部15は、分析装置10全体を制御する。制御部15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路である。
【0031】
また、制御部15は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、内部メモリを用いて各処理を実行する。また、制御部15は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。例えば、制御部15は、取得部151、判定部152及び出力制御部153を有する。
【0032】
取得部151は、取引対象の過去の取引価格、又は取引対象について事前に提示された価格が記録された複数のDBから、取引対象の価格を取得する。
【0033】
判定部152は、取引対象の見積価格と、取得部151によって取得された価格とを比較し、見積価格が妥当であるか否かを判定する。
【0034】
図2を用いて、見積価格の妥当性を判定する処理を説明する。図2は、見積価格の妥当性を判定する処理を説明する図である。ここでは、見積様式ファイルには物品ごとの見積価格が記載されているものとする。
【0035】
図2に示すように、取得部151は、見積様式ファイルに記載された物品の型番をキーとして、調達実績DB141、推奨GLDB142、市場DB143、取引カタログDB144、グループ取引DB145から価格(N値)を取得する。また、1つのキーで同じDBから複数の価格が取得できる場合、取得部151は、取得した価格の平均をN値とする。
【0036】
また、取得部151は、調達実績DB141、推奨GLDB142、市場DB143、取引カタログDB144、グループ取引DB145から価格を取得できなかった場合、期待仕切率DB146から期待仕切率と標準価格から価格の期待値(O値)を算出する。
【0037】
そして、取得部151は、取得したN値又はO値と見積価格を比較し、比較結果をP値として保持する。
【0038】
取得部151は、見積価格からN値又はO値を減算することでP値を計算する。P値は、正負両方の符号を取り得る。
【0039】
判定部152は、P値を基に、見積価格が妥当であるか否かを判定する。例えば、判定部152は、複数の物品のそれぞれの見積価格が取得部151によって取得された価格に基づく基準価格を超えた値の合計と、見積価格が基準価格を下回った値の合計と、に基づき、見積価格が妥当であるか否かを判定する。
【0040】
なお、取得部151は、調達実績DB141、推奨GLDB142、市場DB143、取引カタログDB144、グループ取引DB145の順でN値の取得を試み、N値が取得できた時点で以降のDBからはN値を取得しないようにしてもよい。この場合、調達実績DB141、推奨GLDB142、市場DB143、取引カタログDB144、グループ取引DB145の順で、N値を取得する優先順位が定められているということができる。
【0041】
出力制御部153は、取得部151によって取得された価格、及び判定部152による判定結果等を、出力部13を介して画面に表示させる。各画面の詳細については後述する。
【0042】
ここで、図3を用いて、分析装置10の処理の流れを説明する。図3は、分析装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【0043】
図3に示すように、まず、分析装置10は、見積様式ファイルの入力を受け付ける(ステップS101)。分析装置10は、見積様式ファイルから見積価格を取得する(ステップS102)。
【0044】
ここで、分析装置10は、iを1に設定し、価格取得フラグをFALSEに設定する。iは、DBを識別するための番号である。iが小さいほど優先度が高いことを意味する。ここでは、i=1,2,3,4,5が、それぞれ調達実績DB141、推奨GLDB142、市場DB143、取引カタログDB144、グループ取引DB145に割り当てられているものとする。
【0045】
また、価格取得フラグは、期待仕切率DB146以外のDBから価格が取得できたか否かを示すフラグである。価格取得フラグがFALSEであることは、期待仕切率DB146以外のDBから価格が取得できていないことを意味する。一方、価格取得フラグがTRUEであることは、期待仕切率DB146以外のDBから価格が取得できたことを意味する。
【0046】
分析装置10は、取引実績又は提示価格のDBのうちi番目のDBを参照し、見積価格と同じ対象の価格を取得する(ステップS104)。分析装置10は、ステップS104でDBから価格が取得できた場合(ステップS105、Yes)、価格取得フラグをTRUEに設定し(ステップS106)、DBを参照して得られた価格と見積価格を比較する(ステップS107)。例えば、分析装置10は、このときP値を算出する。
【0047】
ここで、未参照の取引実績又は提示価格のDBがある場合(ステップS108、Yes)、分析装置10は、iを1だけ増加させ(ステップS109)、ステップS104に戻り、処理を繰り返す。
【0048】
未参照の取引実績又は提示価格のDBがない場合(ステップS108、No)、分析装置10は、ステップS110に進む。
【0049】
ステップS110では、分析装置10は、価格取得フラグがTRUEであるか否かを確認する(ステップS110)。
【0050】
価格取得フラグがTRUEでない場合(ステップS110、No)、分析装置10は、期待仕切率と標準価格から期待値を算出し、見積価格と比較し(ステップS111)、ステップS112に進む。
【0051】
価格取得フラグがTRUEである場合(ステップS110、Yes)、分析装置10はステップS112に進む。
【0052】
そして、分析装置10は、比較結果から見積価格の妥当性を判定し(ステップS112)、判定結果を出力する(ステップS113)。
【0053】
[出力される画面の例]
ここで、出力制御部153によって出力される一括見積画面、及び見積価格の妥当性の判定方法について説明する。図4は、一括見積画面の一例を示す図である。
【0054】
図4に示すように、出力制御部153は、一括見積画面131を表示させる。一括見積画面131の領域131aには、判定結果等が表示される。領域131bには、各取引対象の見積価格(提案価格)、及び各見積価格に対して取得された各種情報及び計算値等が表示される。
【0055】
領域131bの「データソース」は、どのDBから取得された価格が判定に使われたかを表している。例えば、「N(調達DB)」は、調達実績DB141から取得された価格が判定に使われたことを意味する。
【0056】
図4の例では、取引対象はメーカによる型番が設定された物品であるものとする。また、案件には、複数の物品の見積価格が含まれるものとする。見積様式ファイルは、案件単位で作成される。
【0057】
図4の領域131aには、見積価格の総額である案件総額、及び判定結果が表示される。判定部152が、案件全体の見積価格が妥当であると判定した場合は判定結果が「OK」となり、妥当でないと判定した場合は判定結果が「NG」となる。
【0058】
ここで、例として、判定部152によって判定が行われる4つの条件について説明する。判定部152は、4つの条件のうち所定の数、又は全部が満たされた場合に見積価格が妥当と判定する。
【0059】
(条件1:G+値)
取得部151は、1つの案件に関する複数の物品のそれぞれについて、複数のDBから価格を取得する。判定部152は、複数の物品のそれぞれの見積価格のいずれかが、あらかじめ定められた上限値(G+値)を超えている場合、見積価格が妥当でないと判定する。
【0060】
判定部152は、見積価格がいずれも上限値を超えていない場合、条件1が満たされたとみなす。ここで、上限値であるG+値は、推奨GLDB142から取得された価格である。
【0061】
(条件2:ヒット率)
取得部151は、1つの案件に関する複数の物品のそれぞれについて、複数のDBから価格の取得を試みる。判定部152は、取得部151が複数の物品のいずれかについて価格を取得できなかった場合に、見積価格が妥当でないと判定する。
【0062】
判定部152は、調達実績DB141、推奨GLDB142、市場DB143、取引カタログDB144、グループ取引DB145のいずれかからN値が取得できた場合、条件2が満たされたとみなす。つまり、図3の価格取得フラグがTRUEの場合に条件2が満たされる。
【0063】
(条件3:ヒット率)
取得部151は、物品について複数のDBから価格を取得する。判定部152は、物品の見積価格の一定の割合以上の価格が、取得部151によって取得された物品の価格の中に存在しない場合、見積価格が妥当でないと判定する。
【0064】
判定部152は、物品の見積価格の一定の割合以上の価格が、取得部151によって取得された物品の価格の中に存在する場合、条件3が満たされたとみなす。例えば、一定の割合が60%であり、見積価格が100,000円である場合、60,000円以上の価格が取得されていれば、条件3が満たされる。
【0065】
(条件4:P±比率)
取得部151は、1つの案件に関する複数の物品のそれぞれについて、複数のDBから価格を取得する。判定部152は、複数の物品のそれぞれの見積価格が取得部151によって取得された価格に基づく基準価格を超えた値の合計と、見積価格が基準価格を下回った値の合計と、に基づき、見積価格が妥当であるか否かを判定する。基準価格は、例えば取得部151が取得した価格の平均値である。
【0066】
基準価格を超えた値の合計は、図2のP+値の合計である。基準価格を下回った値の合計は、図2のP-値の合計である。判定部152は、下の式によって計算したP±比率が閾値以下である場合、条件4が満たされたとみなす。
P±比率=(P+値の合計/案件総額)+(P-値の合計/案件総額)
【0067】
ただし、P+値の合計及び案件総額は常に正であり、P-値の合計は常に負である。
【0068】
また、判定部152は、P+比率=(P+値の合計/案件総額)を用いて条件4の判定を行ってもよい。判定部152がP±比率を用いて判定を行うか、P+比率を用いて判定を行うかは、領域131aの判定基準の項目で設定可能である。
【0069】
図5に示すように、出力制御部153は、各DBから取得された情報を基に、取引対象ごとの統計情報を出力することができる。図5は、統計情報画面の一例を示す図である。
【0070】
図5に示すように、統計情報画面132の領域132aには、表示される情報の条件が入力される。また、領域132bには、取引対象の統計情報が表示される。また、統計情報画面132は、取引対象の一覧画面から遷移する画面であってもよい。
【0071】
領域132bには、取引対象が含まれる案件の価格帯、最安値、平均値、最高値、案件数、数量等が表示される。
【0072】
これにより、ユーザは、自動的に行われた判定の結果を確認するだけでなく、各取引対象の統計情報を参照して見積価格の妥当性を判断することができる。
【0073】
また、出力制御部153は、取得部151によって取得された取引対象の価格を基に、判定部152によって妥当であると判定される取引対象の価格を算出し、表示する。
【0074】
図6に示すように、出力制御部153は、妥当と判定される価格、すなわち目標価格を算出し、表示する。図6は、目標設定画面の一例を示す図である。なお、図6の例では、物品ではなく役務が取引対象である。
【0075】
図6に示す目標設定画面133の領域133aには、目標価格の総額が表示される。領域133bには、取引対象ごとの単金、数量等を入力することで、目標価格(単金、合価)が表示される。目標価格は、調達実績DB141、推奨GLDB142、市場DB143、取引カタログDB144、グループ取引DB145のいずれかから取得された価格である。その際、優先度が高いDBから取得された価格が優先的に目標価格に設定される。
【0076】
領域133cには、案件に標準的に含まれる取引対象に加え、追加の取引対象が入力される。
【0077】
さらに、図7に示すように、出力制御部153は、DBから取得された価格と、見積価格の比較結果を価格交渉画面に表示する。図7は、価格交渉画面の一例を示す図である。
【0078】
図7に示すように、価格交渉画面134の領域134aには、案件の情報が表示される。また、領域134bには、受注者の情報が表示される。
【0079】
領域134cには、調達実績DB141、推奨GLDB142、市場DB143、取引カタログDB144、グループ取引DB145のいずれかから取得された価格に基づき、各取引対象の平均ライン、最安ラインが見積価格とともに表示される。
【0080】
また、出力制御部153は、取引先の単金及び数量から見積価格を算出することができる。
【0081】
[第1の実施形態の効果]
取得部151は、取引対象の過去の取引価格、又は取引対象について事前に提示された価格が記録された複数のDBから、取引対象の価格を取得する。判定部152は、取引対象の見積価格と、取得部151によって取得された価格とを比較し、見積価格が妥当であるか否かを判定する。これにより、DBから取得した価格を基に、見積価格の妥当性を定量的に分析することができる。
【0082】
取得部151は、1つの案件に関する複数の物品のそれぞれについて、複数のDBから価格を取得する。判定部152は、複数の物品のそれぞれの見積価格のいずれかが、あらかじめ定められた上限値を超えている場合、見積価格が妥当でないと判定する。これにより、基準に対して高過ぎる見積価格を受け入れることを防止することができる。
【0083】
取得部151は、1つの案件に関する複数の物品のそれぞれについて、複数のDBから価格の取得を試みる。判定部152は、取得部151が複数の物品のいずれかについて価格を取得できなかった場合に、見積価格が妥当でないと判定する。これにより、情報が少ない取引対象の見積価格についての妥当性が低く判定されるため、慎重な対応を促すことができる。
【0084】
取得部151は、物品について複数のDBから価格を取得する。判定部152は、物品の見積価格の一定の割合以上の価格が、取得部151によって取得された物品の価格の中に存在しない場合、見積価格が妥当でないと判定する。これにより、過去の実績に対して高過ぎる見積価格を受け入れることを防止することができる。
【0085】
取得部151は、1つの案件に関する複数の物品のそれぞれについて、複数のDBから価格を取得する。判定部152は、複数の物品のそれぞれの見積価格が取得部151によって取得された価格に基づく基準価格を超えた値の合計と、見積価格が基準価格を下回った値の合計と、に基づき、見積価格が妥当であるか否かを判定する。これにより、過去の実績に対して高過ぎる見積価格を受け入れることを防止することができる。
【0086】
出力制御部153は、取得部151によって取得された取引対象の価格を基に、判定部152によって妥当であると判定される取引対象の価格を算出し、表示する。これにより、ユーザは、目標価格を把握した上で価格交渉を行うことができる。
【0087】
[システム構成等]
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散及び統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成することができる。さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。なお、プログラムは、CPUだけでなく、GPU等の他のプロセッサによって実行されてもよい。
【0088】
また、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0089】
[プログラム]
一実施形態として、分析装置10は、パッケージソフトウェアやオンラインソフトウェアとして上記の分析処理を実行する分析プログラムを所望のコンピュータにインストールさせることによって実装できる。例えば、上記の分析プログラムを情報処理装置に実行させることにより、情報処理装置を分析装置10として機能させることができる。ここで言う情報処理装置には、デスクトップ型又はノート型のパーソナルコンピュータが含まれる。また、その他にも、情報処理装置には、タブレット型端末、スマートフォン、携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System)等の移動体通信端末、さらには、PDA(Personal Digital Assistant)等のスレート端末等がその範疇に含まれる。
【0090】
また、分析装置10は、ユーザが使用する端末装置をクライアントとし、当該クライアントに上記の分析処理に関するサービスを提供するサーバとして実装することもできる。例えば、サーバは、見積様式ファイルを入力とし、妥当性の判定結果を出力とする分析サービスを提供するサーバ装置として実装される。この場合、サーバは、Webサーバとして実装することとしてもよいし、アウトソーシングによって上記の分析処理に関するサービスを提供するクラウドとして実装することとしてもかまわない。
【0091】
図8は、分析プログラムを実行するコンピュータの構成例を示す図である。コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010、CPU1020を有する。また、コンピュータ1000は、ハードディスクドライブインタフェース1030、ディスクドライブインタフェース1040、シリアルポートインタフェース1050、ビデオアダプタ1060、ネットワークインタフェース1070を有する。これらの各部は、バス1080によって接続される。
【0092】
メモリ1010は、ROM(Read Only Memory)1011及びRAM(Random Access Memory)1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1100に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブ1100に挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、例えばマウス1110、キーボード1120に接続される。ビデオアダプタ1060は、例えばディスプレイ1130に接続される。
【0093】
ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、分析装置10の各処理を規定するプログラムは、コンピュータにより実行可能なコードが記述されたプログラムモジュール1093として実装される。プログラムモジュール1093は、例えばハードディスクドライブ1090に記憶される。例えば、分析装置10における機能構成と同様の処理を実行するためのプログラムモジュール1093が、ハードディスクドライブ1090に記憶される。なお、ハードディスクドライブ1090は、SSD(Solid State Drive)により代替されてもよい。
【0094】
また、上述した実施形態の処理で用いられる設定データは、プログラムデータ1094として、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020は、メモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出して、上述した実施形態の処理を実行する。
【0095】
なお、プログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限らず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ1100等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、プログラムモジュール1093及びプログラムデータ1094は、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続された他のコンピュータに記憶されてもよい。そして、プログラムモジュール1093及びプログラムデータ1094は、他のコンピュータから、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【符号の説明】
【0096】
10 分析装置
11 通信部
12 入力部
13 出力部
14 記憶部
15 制御部
131 一括見積画面
132 統計情報画面
133 目標設定画面
134 価格交渉画面
141 調達実績DB
142 推奨GLDB
143 市場DB
144 取引カタログDB
145 グループ取引DB
146 期待仕切率DB
151 取得部
152 判定部
153 出力制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8