(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057412
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】什器
(51)【国際特許分類】
A47F 3/00 20060101AFI20240417BHJP
A47F 11/10 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
A47F3/00 F
A47F11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164124
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】上西 亜弥
(72)【発明者】
【氏名】上田 洋士
【テーマコード(参考)】
3B110
【Fターム(参考)】
3B110FA16
3B110HA10
3B110HA25
(57)【要約】
【課題】施錠装置を備え、体裁が悪くなることを抑制できる構造を有する什器を提供する。
【解決手段】本発明の什器の一つの態様は、透明な窓部を有し、内部に物品が収容される収容部と、床面に設置され、収容部を床面から上方に離れた位置に支持する支持部と、を備え、収容部は、物品が載置される載置部を有するベース部材と、ベース部材に対して開閉可能に支持されたカバー部材と、ベース部材に設けられ、カバー部材をベース部材に対して開閉可能な解錠状態と、カバー部材をベース部材に対して開閉不能な施錠状態との間で切り替え可能な施錠装置と、を有し、施錠装置は、施錠装置の状態を解錠状態と施錠状態との間で切り替えるための鍵が挿し込まれる鍵穴が形成された施錠部を有し、施錠部は、ベース部材の下面に設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な窓部を有し、内部に物品が収容される収容部と、
床面に設置され、前記収容部を前記床面から上方に離れた位置に支持する支持部と、
を備え、
前記収容部は、
前記物品が載置される載置部を有するベース部材と、
前記ベース部材に対して開閉可能に支持されたカバー部材と、
前記ベース部材に設けられ、前記カバー部材を前記ベース部材に対して開閉可能な解錠状態と、前記カバー部材を前記ベース部材に対して開閉不能な施錠状態との間で切り替え可能な施錠装置と、
を有し、
前記施錠装置は、前記施錠装置の状態を前記解錠状態と前記施錠状態との間で切り替えるための鍵が挿し込まれる鍵穴が形成された施錠部を有し、
前記施錠部は、前記ベース部材の下面に設けられている、什器。
【請求項2】
前記ベース部材は、前記載置部を下方から支持する底部を有し、
前記施錠装置は、前記底部に支持され、
前記施錠部は、前記底部の下面に設けられ、
前記載置部は、前記施錠装置の少なくとも一部を上方から覆う部分を有する、請求項1に記載の什器。
【請求項3】
前記カバー部材は、下方に開口する箱状であり、
前記カバー部材の下端部は、前記底部に支持され、かつ、前記載置部を囲んで配置され、
前記施錠装置は、前記鍵穴に挿し込まれた前記鍵の操作に応じて移動する係止部を有し、
前記カバー部材のうち前記載置部の周囲に配置された部分には、前記係止部が係止される被係止部が形成され、
前記施錠状態において前記係止部が前記被係止部に係止され、
前記解錠状態において前記係止部の前記被係止部に対する係止が解除される、請求項2に記載の什器。
【請求項4】
前記支持部は、前記ベース部材の下方に設けられた空間を囲んでおり、かつ、
前記空間に繋がる開口部が設けられた支持部本体と、
前記支持部本体に着脱可能に取り付けられ、前記開口部の少なくとも一部を塞ぐ蓋部材と、
を有し、
前記施錠部は、前記空間に面して設けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載の什器。
【請求項5】
前記蓋部材は、係止爪を有し、
前記支持部本体には、前記係止爪が挿入され前記係止爪が上方から係止される係止穴が形成され、
前記蓋部材の上端部は、前記開口部の上端部よりも下方に位置し、
前記収容部の下面には、被覆部材が固定され、
前記被覆部材は、前記空間内において前記開口部のうち前記蓋部材よりも上方に位置する部分と対向して配置されている、請求項4に記載の什器。
【請求項6】
前記ベース部材は、一方向に延び、
前記施錠装置は、前記ベース部材における前記一方向の両端部にそれぞれ設けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載の什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、什器に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を展示するための展示ケース(什器)が知られている。例えば、特許文献1には、カバーを施錠する施錠装置を備えた展示ケースが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の展示ケースにおいては、カバーを解錠するための鍵を差し込む差込口が展示ケースの前面に設けられている。そのため、当該差込口が目立ちやすく、展示ケースの体裁が悪くなる問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、施錠装置を備え、体裁が悪くなることを抑制できる構造を有する什器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1) 本発明の什器の一つの態様は、透明な窓部を有し、内部に物品が収容される収容部と、床面に設置され、前記収容部を前記床面から上方に離れた位置に支持する支持部と、を備え、前記収容部は、前記物品が載置される載置部を有するベース部材と、前記ベース部材に対して開閉可能に支持されたカバー部材と、前記ベース部材に設けられ、前記カバー部材を前記ベース部材に対して開閉可能な解錠状態と、前記カバー部材を前記ベース部材に対して開閉不能な施錠状態との間で切り替え可能な施錠装置と、を有し、前記施錠装置は、前記施錠装置の状態を前記解錠状態と前記施錠状態との間で切り替えるための鍵が挿し込まれる鍵穴が形成された施錠部を有し、前記施錠部は、前記ベース部材の下面に設けられている。
【0007】
本発明の什器の一つの態様によれば、什器を外部から見た際に、施錠部に形成された鍵穴が目立ちにくい。これにより、什器の体裁が悪くなることを抑制できる。また、鍵穴が目立ちにくいため、鍵穴を介して施錠装置が不当に解錠状態にされることを抑制できる。したがって、収容部内に収容された物品の安全性を向上できる。
【0008】
(2) 上記(1)の態様に係る什器において、前記ベース部材は、前記載置部を下方から支持する底部を有し、前記施錠装置は、前記底部に支持され、前記施錠部は、前記底部の下面に設けられ、前記載置部は、前記施錠装置の少なくとも一部を上方から覆う部分を有する構成としてもよい。
この態様によれば、載置部によって、施錠装置が上方から視認されることを抑制できる。これにより、施錠部を底部の下面に設けつつ、施錠装置のその他の部分が目立つことも抑制できる。したがって、什器の体裁が悪くなることをより抑制できる。また、施錠装置が什器のいずれの箇所に設けられているかを分かりにくくできるため、鍵穴を介して施錠装置が不当に解錠状態にされることをより抑制できる。したがって、収容部内に収容された物品の安全性をより向上できる。また、載置部よりも外側に施錠装置を収容する部分を別途設ける必要がないため、什器を小型化しやすい。また、施錠装置が載置部上に出っ張ることを抑制でき、載置部上に形成された収容空間が施錠装置によって狭くなることを抑制できる。したがって、収容部において、物品を収容するための収容空間を広く確保しやすい。
【0009】
(3) 上記(2)の態様に係る什器において、前記カバー部材は、下方に開口する箱状であり、前記カバー部材の下端部は、前記底部に支持され、かつ、前記載置部を囲んで配置され、前記施錠装置は、前記鍵穴に挿し込まれた前記鍵の操作に応じて移動する係止部を有し、前記カバー部材のうち前記載置部の周囲に配置された部分には、前記係止部が係止される被係止部が形成され、前記施錠状態において前記係止部が前記被係止部に係止され、前記解錠状態において前記係止部の前記被係止部に対する係止が解除される構成としてもよい。
この態様によれば、鍵穴に挿し込まれた鍵を操作して係止部を移動させる簡易な構造によって、施錠装置の状態を解錠状態と施錠状態との間で容易かつ好適に切り替えることができる。
【0010】
(4) 上記(1)から(3)のいずれか一つの態様に係る什器において、前記支持部は、前記ベース部材の下方に設けられた空間を囲んでおり、かつ、前記空間に繋がる開口部が設けられた支持部本体と、前記支持部本体に着脱可能に取り付けられ、前記開口部の少なくとも一部を塞ぐ蓋部材と、を有し、前記施錠部は、前記空間に面して設けられている構成としてもよい。
この態様によれば、支持部本体と蓋部材とによって空間の周囲を覆うことで、ベース部材の下面のうち施錠部が設けられた部分を外部から視認しにくくできる。これにより、什器の体裁が悪くなることをより抑制できる。また、鍵穴を介して施錠装置が不当に解錠状態にされることをより抑制できる。したがって、収容部内に収容された物品の安全性をより向上できる。また、蓋部材が支持部本体に対して着脱可能であるため、蓋部材を支持部本体から取り外すことで、鍵穴に鍵を挿し込んで施錠装置の状態を切り替えることが容易である。また、支持部がベース部材の下方に設けられた空間を囲んでいるため、什器の体裁を重厚で安定的な体裁にすることができる。また、支持部の一部を構成する蓋部材を取り外せるため、蓋部材を取り外すことで、支持部によって囲まれた空間に面する床面を清掃しやすくできる。
【0011】
(5) 上記(4)の態様に係る什器において、前記蓋部材は、係止爪を有し、前記支持部本体には、前記係止爪が挿入され前記係止爪が上方から係止される係止穴が形成され、前記蓋部材の上端部は、前記開口部の上端部よりも下方に位置し、前記収容部の下面には、被覆部材が固定され、前記被覆部材は、前記空間内において前記開口部のうち前記蓋部材よりも上方に位置する部分と対向して配置されている構成としてもよい。
この態様によれば、係止爪を係止穴に上方から引っ掛ける簡易な構成によって、蓋部材を支持部本体に対して着脱可能に取り付けることができる。これにより、蓋部材を支持部本体から取り外しやすくでき、施錠装置の状態を切り替える作業を容易に行うことができる。また、支持部によって囲まれた空間に面する床面をより清掃しやすくできる。
また、この態様によれば、被覆部材によって、開口部のうち蓋部材よりも上方に位置する部分を空間の内側から覆うことができ、什器の外部から、支持部に囲まれた空間内が見えることを抑制できる。これにより、当該空間に面して設けられた施錠部を什器の外部からより視認しにくくできる。したがって、什器の体裁が悪くなることをより抑制できる。また、鍵穴を介して施錠装置が不当に解錠状態にされることをより抑制でき、収容部内に収容された物品の安全性をより向上できる。
【0012】
(6) 上記(1)から(5)のいずれか一つの態様に係る什器において、前記ベース部材は、一方向に延び、前記施錠装置は、前記ベース部材における前記一方向の両端部にそれぞれ設けられている構成としてもよい。
この態様によれば、一対の施錠装置によって、カバー部材をベース部材に対して好適に施錠することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一つの態様によれば、施錠装置を備える什器において、体裁が悪くなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態における什器を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態における什器を前方から見た図である。
【
図3】第1実施形態における什器を示す分解斜視図である。
【
図4】第1実施形態における什器の一部を示す斜視図であって、蓋部材を外した状態を示す図である。
【
図5】第1実施形態における什器の一部を示す断面図であって、
図2におけるV-V断面図である。
【
図6】第1実施形態における什器の一部を示す断面図であって、
図2におけるVI-VI断面図である。
【
図7】第1実施形態における什器の一部を示す斜視図であって、カバー部材、蓋部材、および載置部を外した状態を示す図である。
【
図8】第1実施形態における什器の一部を示す斜視図であって、カバー部材を外した状態を示す図である。
【
図9】第1実施形態における什器の一部を示す斜視図である。
【
図10】第1実施形態における什器の一部を示す断面図であって、施錠状態における施錠装置を示す図である。
【
図11】第1実施形態における什器の一部を示す断面図であって、解錠状態における施錠装置を示す図である。
【
図12】第2実施形態における什器の施錠装置を上方から見た図である。
【
図13】第3実施形態における什器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数などを、実際の構造における縮尺および数などと異ならせる場合がある。
【0016】
また、図面には、鉛直方向を示すZ軸を示している。Z軸の矢印が向く側(+Z側)は鉛直方向の上側であり、Z軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)は鉛直方向の下側である。また、図面には、以下の実施形態における什器の前後方向を示すX軸を示している。以下の説明においては、X軸の矢印が向く側(+X側)を前側とし、X軸の矢印が向く側と逆側(-X側)を後側とする。また、図面には、以下の実施形態における什器の左右方向を示すY軸を示している。以下の説明においては、Y軸の矢印が向く側(+Y側)を右側とし、Y軸の矢印が向く側と逆側(-Y側)を左側とする。以下の説明においては、X軸に沿った前後方向を“前後方向X”と呼び、Y軸に沿った左右方向を“左右方向Y”と呼び、Z軸に沿った鉛直方向を“鉛直方向Z”と呼ぶ。また、或る対象に対して、左右方向Yにおける什器の中心に近い側を「左右方向内側」と呼び、左右方向Yにおける什器の中心から遠い側を「左右方向外側」と呼ぶ。
【0017】
<第1実施形態>
図1に示す本実施形態の什器100は、例えば、博物館、美術館、展示場などの施設、および公共施設などに設置される展示ケースである。什器100は、図示しない展示物などの物品を外部から視認可能に収容する。什器100は、設置される施設などの床面F上に載置される。
【0018】
図1から
図3に示すように、什器100は、支持部10と、収容部20と、を備える。支持部10は、床面Fに設置される。支持部10は、収容部20を床面Fから上方に離れた位置に支持している。これにより、収容部20の下方には、空間S2が設けられている。本実施形態において支持部10は、収容部20の下方に設けられた空間S2を囲んでいる。空間S2は、収容部20の下面と支持部10の内面と支持部10が設置される床面Fとによって囲まれた空間である。支持部10は、左右方向Yに長い長方形枠状である。
図3に示すように、支持部10は、支持部本体10aと、蓋部材11と、を有する。
【0019】
支持部本体10aは、後壁部12と、右壁部13と、左壁部14と、を有する。後壁部12は、支持部10を構成する壁部のうち後側(-X側)に位置する壁部である。右壁部13は、支持部10を構成する壁部のうち右側(+Y側)に位置する壁部である。左壁部14は、支持部10を構成する壁部のうち左側(-Y側)に位置する壁部である。
【0020】
後壁部12は、壁面が前後方向Xを向く壁部である。後壁部12は、前後方向Xに見て、左右方向Yに長い長方形状である。右壁部13および左壁部14は、壁面が左右方向Yを向く壁部である。右壁部13および左壁部14は、左右方向Yに見て、鉛直方向Zに長い長方形状である。右壁部13の後側(-X側)の縁部は、後壁部12の右側(+Y側)の縁部に繋がっている。左壁部14の後側の縁部は、後壁部12の左側(-Y側)の縁部に繋がっている。
【0021】
図4に示すように、右壁部13は、板状部13aと、枠状部13bと、を有する。板状部13aは、板面が左右方向Yを向く長方形板状である。枠状部13bは、板状部13aの外縁から左側(-Y側)に突出している。枠状部13bは、板状部13aの外縁に沿った長方形枠状である。図示は省略するが、左壁部14は、右壁部13と左右方向Yに対称な形状であり、右壁部13と同様に、板状部および枠状部を有する。
【0022】
図4および
図5に示すように、支持部本体10aには、係止穴10cが形成されている。係止穴10cは、支持部本体10aの前側(+X側)の端部における上端部に設けられている。より詳細には、係止穴10cは、右壁部13の枠状部13bにおける前側部分の上端部と、左壁部14の枠状部における前側部分の上端部と、にそれぞれ形成されている。各係止穴10cは、各枠状部の上端部を前後方向Xに貫通している。本実施形態において係止穴10cは、鉛直方向Zに長い長方形状の孔である。
【0023】
図3に示すように、支持部本体10aには、空間S2に繋がる開口部10bが設けられている。開口部10bは、前方(+X方)に開口している。本実施形態において開口部10bは、右壁部13の前側の縁部と左壁部14の前側の縁部との左右方向Yの間に設けられている。開口部10bの上端部は、右壁部13の上端部と左壁部14の上端部との左右方向Yの間に設けられている。
【0024】
蓋部材11は、支持部10を構成する壁部のうち前側(+X側)に位置する壁部である。蓋部材11は、支持部本体10aに着脱可能に取り付けられている。蓋部材11は、前後方向Xに見て、左右方向Yに長い長方形状である。蓋部材11は、左右方向Yに長い長方形板状の板状部11aと、板状部11aの後側(-X側)の面における外縁部に設けられた枠部11bと、を有する。
【0025】
枠部11bは、板状部11aの後側の面における外縁部に沿って、一周に亘って設けられた長方形枠状である。
図5に示すように、枠部11bは、板状部11aの後側(-X側)の面における外縁から後側に突出する第1壁部11cと、第1壁部11cの後端部に繋がる第2壁部11dと、を有する。第2壁部11dは、板状部11aの後側に間隔を空けて対向して配置されている。
【0026】
蓋部材11は、係止爪11eを有する。本実施形態において係止爪11eは、枠部11bのうち右側に位置する部分の上端部と、枠部11bのうち左側に位置する部分の上端部と、にそれぞれ設けられている。係止爪11eは、第2壁部11dの後側(-X側)の面に形成されている。係止爪11eは、第2壁部11dから後側に突出する基部11fと、基部11fの後端部から下方に突出する爪本体部11gと、を有する。
【0027】
各係止爪11eは、支持部本体10aに形成された各係止穴10cにそれぞれ前方(+X方)から挿入されている。係止爪11eの基部11fは、係止穴10cの下端部に通されており、係止穴10cの内縁の下端部に上方から接触している。係止爪11eの爪本体部11gは、係止穴10cの周縁部に後側(-X側)から引っ掛かっている。これらにより、係止爪11eは、係止穴10cに上方から係止されている。本実施形態では、蓋部材11の左右方向Yの両縁部における各上端部にそれぞれ形成された一対の係止爪11eが、支持部本体10aに形成された一対の係止穴10cにそれぞれ上方から係止されることで、蓋部材11が支持部本体10aに対して着脱可能に取り付けられている。
【0028】
作業者等は、爪本体部11gの全体が係止穴10cの下端部よりも上側となる位置まで蓋部材11を上方に持ち上げ、その状態において蓋部材11を前方(+X方)に移動させることで、蓋部材11を支持部本体10aから取り外すことができる。また、作業者等は、蓋部材11を支持部本体10aに前方から近づけて各係止爪11eを各係止穴10cに挿入した後に、蓋部材11を下方に移動させて各係止爪11eを各係止穴10cにそれぞれ上方から係止させることで、蓋部材11を支持部本体10aに取り付けることができる。このように、係止爪11eを係止穴10cに上方から係止させて蓋部材11を支持部本体10aに着脱可能に取り付ける構成では、蓋部材11を取り外す際、および蓋部材11を取り付ける際に、係止爪11eを係止穴10cに対して前後方向Xに抜き挿しできる位置まで、蓋部材11を上方に持ち上げる必要がある。
【0029】
蓋部材11の上端部は、支持部本体10aの上端部よりも下側に位置する。支持部本体10aの上端部は、後壁部12の上端部と右壁部13の上端部と左壁部14の上端部とによって構成されている。
図6に示すように、蓋部材11の上端部は、開口部10bの上端部よりも下方に位置する。蓋部材11は、開口部10bの少なくとも一部を前方(+X方)から塞いでいる。本実施形態において蓋部材11は、開口部10bのうち蓋部材11よりも上側に位置する部分を除く全体を前方から塞いでいる。
【0030】
図1および
図2に示すように、収容部20の内部は、収容空間S1となっている。収容空間S1には、図示しない展示物などの物品が収容される。収容部20は、支持部10によって下方から支持されている。収容部20は、カバー部材30と、ベース部材40と、を有する。ベース部材40は、支持部10によって下方から支持されている。ベース部材40は、一方向に延びている。本実施形態においてベース部材40が延びる一方向は、左右方向Yである。ベース部材40は、ベース部材本体41と、載置部42と、を有する。
【0031】
図7に示すように、ベース部材本体41は、鉛直方向Zに見て、左右方向Yに長い長方形枠状である。ベース部材本体41は、底部41aと、突出壁部41bと、を有する。底部41aは、鉛直方向Zに見て、左右方向Yに長い長方形枠状である。底部41aの下面における外縁部には、支持部本体10aの上端部が繋がっている。より詳細には、底部41aの下面における後側(-X側)の縁部には、後壁部12の上端部が繋がっている。底部41aの下面における右側(+Y側)の縁部には、右壁部13の上端部が繋がっている。底部41aの下面における左側(-Y側)の縁部には、左壁部14の上端部が繋がっている。底部41aは、載置部42を下方から支持している。
【0032】
底部41aの下面は、収容部20の下面の一部を構成している。
図6に示すように、底部41aは、支持部本体10aよりも前方(+X方)に突出している。底部41aのうち支持部本体10aよりも前方に突出している部分の下方には、蓋部材11が間隔を空けて対向して配置されている。つまり、蓋部材11は、収容部20の下面の下方に対向して配置されている。底部41aと蓋部材11との鉛直方向Zの間、すなわち蓋部材11と収容部20の下面との間には、開口部10bが開口する向き(+X向き)に開口する隙間Gが設けられている。
図8および
図9に示すように、隙間Gは、左右方向Yに延びている。隙間Gは、左右方向Yの両側に開口している。
【0033】
図4に示すように、底部41aの下面、すなわち収容部20の下面には、被覆部材70が固定されている。被覆部材70は、左右方向Yに延びている。本実施形態において被覆部材70は、板金部材である。
図6に示すように、被覆部材70は、底部41aの下面のうち開口部10bよりも後方(-X方)に離れた位置に固定されている。被覆部材70は、空間S2内に配置されている。被覆部材70は、隙間Gの後方に位置する。つまり、被覆部材70は、空間S2内において隙間Gと対向する位置に配置されている。
【0034】
被覆部材70は、固定壁部71と、上壁部72と、傾斜壁部73と、対向壁部74と、下壁部75と、を有する。固定壁部71は、底部41aの下面に固定されている。上壁部72は、固定壁部71の前側(+X側)の端部から下方に突出している。傾斜壁部73は、上壁部72の下端部から下方に向かうに従って前方(+X方)に位置する向きに延びている。対向壁部74は、傾斜壁部73の下側かつ前側の端部から下側に突出している。対向壁部74は、蓋部材11の後方(-X方)に対向して配置されている。より詳細には、対向壁部74は、蓋部材11における枠部11bの第2壁部11dのうち上側に位置する部分の後方に僅かな隙間を介して対向して配置されている。下壁部75は、対向壁部74の下端部から後方に突出している。
【0035】
被覆部材70が設けられることで、蓋部材11と底部41aの下面、すなわち収容部20の下面との間には、開口部10bが開口する向き(+X向き)に開口する溝80が形成されている。溝80は、蓋部材11と底部41aの下面と被覆部材70とによって形成されている。
図8に示すように、溝80は、前方(+X方)に開口し、左右方向Yに延びる溝である。
【0036】
突出壁部41bは、底部41aの外縁から上方に突出している。突出壁部41bは、底部41aの外縁に沿って底部41aの外縁の一周に亘って設けられた長方形枠状である。突出壁部41bは、載置部42の外側に隙間を空けて配置され、載置部42を囲んでいる。
【0037】
載置部42は、収容部20内、すなわち収容空間S1に収容される物品が載置される部分である。本実施形態において載置部42は、鉛直方向Zに薄く、左右方向Yに長い略直方体状の部材である。載置部42の外縁部は、底部41aによって下側から支持されている。載置部42は、枠状の底部41aによって囲まれた内側の空間の全体を上方から覆っている。載置部42のうち鉛直方向Zに見て枠状の底部41aの内側に位置する部分における下面は、収容部20の下面の一部を形成しており、空間S2に面している。
【0038】
載置部42は、枠状の突出壁部41bの内側に配置されている。載置部42は、突出壁部41bの内周面から僅かに離れて配置されている。これにより、載置部42と突出壁部41bとの間には、下方に窪む枠状溝部43が形成されている。枠状溝部43は、載置部42の外周面および突出壁部41bの内周面に沿って一周亘って形成されている。本実施形態において枠状溝部43は、左右方向Yに長い長方形枠状の溝である。
【0039】
図10および
図11に示すように、載置部42の下面には、上方に窪む凹部42aが形成されている。凹部42aは、載置部42の下面における左右方向Yの両端部にそれぞれ形成されている。凹部42aは、左右方向外側、すなわち
図10および
図11では右側(+Y側)に開口している。
図8に示すように、凹部42aは、載置部42における前後方向Xの中央部に設けられている。
【0040】
図1から
図3に示すように、カバー部材30は、ベース部材40に対して開閉可能に支持されている。なお、「カバー部材30がベース部材40に対して開閉可能である」とは、カバー部材30をベース部材40に対して移動させることが可能であり、カバー部材30をベース部材40に対して移動させることで、収容部20の内部、すなわち収容空間S1が開かれた状態と、収容空間S1が閉じられた状態と、を切り替え可能となっていればよい。
【0041】
本実施形態においてカバー部材30は、下方に開口する箱状である。より詳細には、カバー部材30は、左右方向Yに長く下方に開口する略直方体箱状である。
図1および
図2に示すように、カバー部材30の下側の開口がベース部材40によって塞がれることで、物品が収容される収容空間S1が形成されている。
【0042】
図10に示すように、カバー部材30の下端部は、底部41aに支持されている。カバー部材30の下端部は、ベース部材本体41の突出壁部41bと載置部42との間に形成された枠状溝部43に上方から挿し込まれている。カバー部材30の下端部は、載置部42を囲んで配置されている。
図3に示すように、カバー部材30は、不透明な背面板31と、透明な窓部32と、を有する。
【0043】
背面板31は、カバー部材30の後側(-X側)の壁部を形成している。背面板31の板面は、前後方向Xを向いている。背面板31は、左右方向Yに長い長方形板状である。背面板31は、例えば、グレーのマットアクリル板などの不透明なアクリル板により形成されている。背面板31の前面は、例えばシボ加工が施されることで、後述する照明装置50から照射される照明光の反射を防止する反射防止面とされている。なお、背面板31を、ベース板と、ベース板の前面に貼り付けられる反射防止シートとにより形成することで、背面板31の前面が反射防止面とされていてもよい。
【0044】
窓部32は、カバー部材30のうち後側(-X側)の壁部以外の部分を形成している。窓部32は、正面板33と、上面板34と、一対の側面板35と、を有する。窓部32を構成する各板は、例えば、透明なアクリル板によって形成されている。正面板33は、カバー部材30の前側(+X側)の壁部を形成している。正面板33の板面は、前後方向Xを向いている。正面板33は、左右方向Yに長い長方形板状である。正面板33は、背面板31の前方に間隔を空けて対向して配置されている。正面板33の上端部は、背面板31の上端部よりも下方に位置する。
【0045】
上面板34は、カバー部材30の上側の壁部を形成している。上面板34は、背面板31の上端部と正面板33の上端部とを繋いでいる。上面板34は、水平部34aと、傾斜部34bと、を有する。水平部34aは、板面が鉛直方向Zと直交する水平方向に広がる部分である。水平部34aは、左右方向Yに長い長方形板状である。水平部34aの後端部は、背面板31の上端部に繋がっている。傾斜部34bは、水平部34aの前端部に繋がっている。傾斜部34bは、水平部34aから前方(+X方)に向かうに従って下方に位置する。傾斜部34bの上面は、上方斜め前方を向いている。傾斜部34bの前端部は、正面板33の上端部に繋がっている。
【0046】
一対の側面板35は、カバー部材30の左右方向Yの各壁部をそれぞれ形成している。一対の側面板35の板面は、左右方向Yを向いている。一対の側面板35は、左右方向Yに間隔を空けて配置されている。一対の側面板35は、左右方向Yに見て、台形状である。一対の側面板35の上端部は、上面板34の左右方向Yの両端部のそれぞれに繋がっている。一対の側面板35は、背面板31の左右方向Yの両端部と正面板33の左右方向Yの両端部とをそれぞれ繋いでいる。
【0047】
一対の側面板35の下端部における前後方向Xの中央部には、それぞれ下方に向けて突出する突出片35aが設けられている。各突出片35aには、被係止部35bがそれぞれ形成されている。本実施形態において被係止部35bは、突出片35aを左右方向Yに貫通する孔である。被係止部35bは、前後方向Xに長い長方形状の孔である。突出片35aは、枠状溝部43に挿し込まれる部分であり、カバー部材30のうち載置部42の周囲に配置された部分の一部である。
【0048】
背面板31と、窓部32とは、同一素材で形成されることが好ましい。本実施形態において、「或る対象同士が同一素材で形成される」とは、或る対象がそれぞれ同一材料を主成分として形成されていることをいう。例えば、背面板31は、顔料を含むことで不透明とされるアクリル樹脂により形成され、窓部32は、透明なアクリル樹脂により形成されてもよい。また、背面板31は、顔料を含むことで不透明とされるガラスにより形成され、窓部32は、透明なガラスにより形成されてもよい。
【0049】
図3に示すように、什器100は、照明装置50を備える。本実施形態において照明装置(環境変化装置)50は、収容部20の内部の環境、すなわち収容空間S1の環境を変化させることが可能な環境変化装置である。照明装置50は、収容空間S1の明るさを変化させることが可能である。照明装置50は、載置部42上に支持された一対の支持柱部51と、一対の支持柱部51によって支持された照明本体部52と、を有する。一対の支持柱部51は、載置部42の上面の後端部における左右方向Yの両端部からそれぞれ上方に延びている。本実施形態において一対の支持柱部51は、下方に開口する四角筒状である。
【0050】
照明本体部52は、左右方向Yに延びている。照明本体部52の左右方向Yの両端部は、一対の支持柱部51によって下方から支持されている。照明本体部52は、収容空間S1内を照らす光を照射する光源を有する。照明本体部52の光源は、例えば、蛍光灯である。
【0051】
図7に示すように、照明装置50は、照明本体部52を操作するための操作装置53を有する。操作装置53は、ベース部材40の底部41aに支持されている。本実施形態において操作装置53は、底部41aの前端部における右側(+Y側)の端部に支持されている。より詳細には、
図6に示すように、操作装置53は、底部41aに形成された孔41cに一部が埋め込まれて支持されている。操作装置53の下端部は、収容部20の下面に露出して設けられている。
【0052】
操作装置53は、操作部53aを有する。操作部53aは、収容部20の内部の環境、すなわち収容空間S1の環境を変化させる際に操作される部分である。本実施形態において操作部53aは、照明装置50の状態を点灯状態と消灯状態との間で切り替え可能なスイッチである。つまり、スイッチである操作部53aがON状態にされることで照明装置50における照明本体部52の光源が点灯し、操作部53aがOFF状態にされることで照明本体部52の光源が消灯する。
【0053】
操作部53aは、操作装置53の下端部に設けられている。操作部53aは、収容部20の下面に設けられている。なお、「操作部53aが収容部20の下面に設けられている」とは、収容部20の下面のうち操作部53aが位置する部分を下方から見たときに操作部53aが視認可能であればよい。また、収容部20の下面とは、収容部20を下方から見たときに視認可能な部分であればよい。本実施形態において収容部20の下面は、底部41aの下面と、載置部42の下面と、を含む。
【0054】
本実施形態において操作部53aは、底部41aの下面に設けられている。より詳細には、操作部53aは、底部41aの下面のうち被覆部材70が固定された部分よりも前方(+X方)に位置する部分に設けられている。本実施形態において操作部53aは、収容部20の下面のうち溝80の内面を形成する部分に設けられている。より詳細には、操作部53aは、溝80の内面のうち上側に位置する部分の後側部分に設けられている。操作部53aは、被覆部材70の傾斜壁部73の上方に間隔を空けて対向して配置されている。操作部53aは、開口部10b内に位置する。操作部53aは、蓋部材11よりも後方(-X方)に位置する。
【0055】
図7に示すように、照明装置50は、操作装置53と照明本体部52とを電気的に接続する配線54を有する。配線54は、操作装置53の上端部から、右側(+Y側)の支持柱部51の下端部まで、底部41a上を後方(-X方)へと延びている。配線54は、支持柱部51の下端部から支持柱部51内へと這い回され、支持柱部51内を上方へと延びて照明本体部52に接続されている。
【0056】
什器100は、ベース部材40に設けられた施錠装置60を備える。施錠装置60は、カバー部材30をベース部材40に対して開閉可能な解錠状態USと、カバー部材30をベース部材40に対して開閉不能な施錠状態LSとの間で切り替え可能な装置である。解錠状態USにおいては、
図3に示すように、カバー部材30をベース部材40から上方に取り外して、カバー部材30を開くことが可能である。一方、施錠状態LSにおいては、カバー部材30をベース部材40から取り外すことができず、カバー部材30を開くことが不可能となる。
【0057】
図1に示すように、本実施形態において施錠装置60は、ベース部材40における左右方向Yの両端部にそれぞれ設けられている。一対の施錠装置60は、互いに左右方向Yに対称に配置されている点を除いて、同様の構成である。そのため、以下の説明においては、一対の施錠装置60を代表して、右側(+Y側)に位置する施錠装置60についてのみ説明する場合がある。
【0058】
図7に示すように、施錠装置60は、底部41aに支持されている。より詳細には、施錠装置60は、底部41aのうち左右方向外側の縁部における前後方向Xの中央部に支持されている。
図10および
図11に示すように、施錠装置60の少なくとも一部は、載置部42に形成された凹部42a内に収容されている。載置部42のうち凹部42aの上側に位置する壁部42bは、施錠装置60の上方に位置し、施錠装置60の少なくとも一部を上方から覆っている。つまり、載置部42は、施錠装置60の少なくとも一部を上方から覆う部分として壁部42bを有する。本実施形態において壁部42bは、施錠装置60のほぼ全体を上方から覆っている。
【0059】
施錠装置60は、基部61と、係止部62と、を有する。基部61は、鉛直方向Zに延びる柱状である。基部61は、底部41aから上方に延びている。基部61は、固定金具63によって底部41aに固定されている。基部61の下端部は、鍵穴64aが形成された施錠部64である。鍵穴64aは、施錠装置60の状態を解錠状態USと施錠状態LSとの間で切り替えるための鍵が挿し込まれる穴である。鍵穴64aは、施錠部64の下面に開口している。鍵穴64aは、下方に向けて開口し、空間S2に開口している。
【0060】
施錠部64は、底部41aを鉛直方向Zに貫通する孔41dに嵌め合わされている。本実施形態において施錠部64の下面は、鉛直方向Zにおいて、底部41aの下面と同じ位置に配置されている。なお、施錠部64の下面は、底部41aの下面より下方に突出していてもよいし、底部41aの下面より上方に窪んだ位置に配置されてもよい。
【0061】
施錠部64の下面は、底部41aの下面に設けられている。これにより、施錠部64は、ベース部材40の下面に設けられている。なお、「施錠部64がベース部材40の下面に設けられている」とは、ベース部材40の下面のうち施錠部64が位置する部分を下方から見たときに施錠部64が視認可能であればよい。また、ベース部材40の下面とは、ベース部材40を下方から見たときに視認可能な部分であればよい。ベース部材40の下面は、収容部20の下面である。
【0062】
図4に示すように、施錠部64は、下方から見て円形状である。本実施形態において施錠部64は、空間S2に面して設けられている。施錠部64は、底部41aの下面のうち被覆部材70よりも後方(-X方)に位置する部分に設けられている。本実施形態において施錠部64は、ベース部材40の下面のうち前側寄り(+X側寄り)の部分に設けられている。
【0063】
図10および
図11に示すように、係止部62は、基部61の上端部から左右方向外側に突出している。本実施形態において係止部62は、板金部材である。係止部62は、基部61から左右方向外側に延びる第1延伸部62aと、第1延伸部62aの左右方向外側の端部から下方に延びる第2延伸部62bと、第2延伸部62bの下端部から左右方向外側に延びる第3延伸部62cと、を有する。
【0064】
係止部62は、鍵穴64aに挿し込まれた鍵の操作に応じて左右方向Yに移動する。具体的には、鍵穴64aに挿し込まれた鍵が回されて施錠装置60が施錠状態LSから解錠状態USに切り替わる際に、係止部62は、基部61に対して、左右方向内側に移動する。鍵穴64aに挿し込まれた鍵が回されて施錠装置60が解錠状態USから施錠状態LSに切り替わる際に、係止部62は、基部61に対して、左右方向外側に移動する。
【0065】
図10に示すように、施錠状態LSにおいて、係止部62の第3延伸部62cにおける左右方向外側の端部は、カバー部材30のうち載置部42の周囲に配置された部分に形成された被係止部35b内に挿入されている。これにより、施錠状態LSにおいて係止部62が被係止部35bに係止されている。したがって、施錠状態LSにおいてカバー部材30を上方に持ち上げて開こうとしても、係止部62が被係止部35bの内縁に下方から引っ掛かり、カバー部材30が上方に移動することが阻止される。本実施形態では、一対の施錠装置60における係止部62が一対の被係止部35bにそれぞれ係止されることで、カバー部材30がベース部材40から取り外されることが阻止される。
【0066】
図11に示すように、解錠状態USにおいて、係止部62の全体は、被係止部35bよりも左右方向内側に位置する。つまり、解錠状態USにおいて、係止部62の第3延伸部62cは被係止部35b内に挿入されておらず、係止部62は被係止部35bに係止されていない。このように、解錠状態USにおいては、係止部62の被係止部35bに対する係止が解除される。本実施形態では、一対の施錠装置60を解錠状態USとすることで、カバー部材30をベース部材40から取り外して開くことが可能となっている。
【0067】
本実施形態によれば、什器100は、透明な窓部32を有し、内部に物品が収容される収容部20と、床面Fに設置され、収容部20を床面Fから上方に離れた位置に支持する支持部10と、を備える。収容部20は、物品が載置される載置部42を有するベース部材40と、ベース部材40に対して開閉可能に支持されたカバー部材30と、ベース部材40に設けられ、カバー部材30をベース部材40に対して開閉可能な解錠状態USと、カバー部材30をベース部材40に対して開閉不能な施錠状態LSとの間で切り替え可能な施錠装置60と、を有する。施錠装置60は、施錠装置60の状態を解錠状態USと施錠状態LSとの間で切り替えるための鍵が挿し込まれる鍵穴64aが形成された施錠部64を有する。施錠部64は、ベース部材40の下面に設けられている。そのため、什器100を外部から見た際に、施錠部64に形成された鍵穴64aが目立ちにくい。これにより、什器100の体裁が悪くなることを抑制できる。また、鍵穴64aが目立ちにくいため、鍵穴64aを介して施錠装置60が不当に解錠状態USにされることを抑制できる。したがって、収容部20内に収容された物品の安全性を向上できる。
【0068】
また、本実施形態によれば、ベース部材40は、載置部42を下方から支持する底部41aを有する。施錠装置60は、底部41aに支持されている。施錠部64は、底部41aの下面に設けられている。載置部42は、施錠装置60の少なくとも一部を上方から覆う部分、すなわち壁部42bを有する。そのため、載置部42の壁部42bによって、施錠装置60が上方から視認されることを抑制できる。これにより、施錠部64を底部41aの下面に設けつつ、施錠装置60のその他の部分が目立つことも抑制できる。したがって、什器100の体裁が悪くなることをより抑制できる。また、施錠装置60が什器100のいずれの箇所に設けられているかを分かりにくくできるため、鍵穴64aを介して施錠装置60が不当に解錠状態USにされることをより抑制できる。したがって、収容部20内に収容された物品の安全性をより向上できる。また、載置部42よりも外側に施錠装置60を収容する部分を別途設ける必要がないため、什器100を小型化しやすい。また、施錠装置60が載置部42上に出っ張ることを抑制でき、載置部42上に形成された収容空間S1が施錠装置60によって狭くなることを抑制できる。したがって、収容部20において、物品を収容するための収容空間S1を広く確保しやすい。
【0069】
また、本実施形態によれば、カバー部材30は、下方に開口する箱状である。カバー部材30の下端部は、底部41aに支持され、かつ、載置部42を囲んで配置されている。施錠装置60は、鍵穴64aに挿し込まれた鍵の操作に応じて移動する係止部62を有する。カバー部材30のうち載置部42の周囲に配置された部分には、係止部62が係止される被係止部35bが形成されている。施錠状態LSにおいて係止部62が被係止部35bに係止され、解錠状態USにおいて係止部62の被係止部35bに対する係止が解除される。そのため、鍵穴64aに挿し込まれた鍵を操作して係止部62を移動させる簡易な構造によって、施錠装置60の状態を解錠状態USと施錠状態LSとの間で容易かつ好適に切り替えることができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、支持部10は、ベース部材40の下方に設けられた空間S2を囲んでおり、かつ、空間S2に繋がる開口部10bが設けられた支持部本体10aと、支持部本体10aに着脱可能に取り付けられ、開口部10bの少なくとも一部を塞ぐ蓋部材11と、を有する。施錠部64は、空間S2に面して設けられている。そのため、支持部本体10aと蓋部材11とによって空間S2の周囲を覆うことで、ベース部材40の下面のうち施錠部64が設けられた部分を外部から視認しにくくできる。これにより、什器100の体裁が悪くなることをより抑制できる。また、鍵穴64aを介して施錠装置60が不当に解錠状態USにされることをより抑制できる。したがって、収容部20内に収容された物品の安全性をより向上できる。また、蓋部材11が支持部本体10aに対して着脱可能であるため、蓋部材11を支持部本体10aから取り外すことで、鍵穴64aに鍵を挿し込んで施錠装置60の状態を切り替えることが容易である。
【0071】
また、支持部10がベース部材40の下方に設けられた空間S2を囲んでいるため、什器100の体裁を重厚で安定的な体裁にすることができる。また、支持部10の一部を構成する蓋部材11を取り外せるため、蓋部材11を取り外すことで、支持部10によって囲まれた空間S2に面する床面Fを清掃しやすくできる。
【0072】
また、本実施形態によれば、蓋部材11は、係止爪11eを有する。支持部本体10aには、係止爪11eが挿入され係止爪11eが上方から係止される係止穴10cが形成されている。そのため、係止爪11eを係止穴10cに上方から引っ掛ける簡易な構成によって、蓋部材11を支持部本体10aに対して着脱可能に取り付けることができる。これにより、蓋部材11を支持部本体10aから取り外しやすくでき、施錠装置60の状態を切り替える作業を容易に行うことができる。また、支持部10によって囲まれた空間S2に面する床面Fをより清掃しやすくできる。
【0073】
係止爪11eを係止穴10cに上方から引っ掛けて係止する構成においては、蓋部材11の上端部は、開口部10bの上端部よりも下方に位置する。そのため、蓋部材11では開口部10bの上端部を塞ぐことができない。これに対して本実施形態によれば、収容部20の下面には、被覆部材70が固定されている。被覆部材70は、空間S2内において開口部10bのうち蓋部材11よりも上方に位置する部分と対向して配置されている。そのため、被覆部材70によって、開口部10bのうち蓋部材11よりも上方に位置する部分を空間S2の内側から覆うことができ、什器100の外部から空間S2内が見えることを抑制できる。これにより、空間S2に面して設けられた施錠部64を什器100の外部からより視認しにくくできる。したがって、什器100の体裁が悪くなることをより抑制できる。また、鍵穴64aを介して施錠装置60が不当に解錠状態USにされることをより抑制でき、収容部20内に収容された物品の安全性をより向上できる。
【0074】
また、本実施形態によれば、ベース部材40は、一方向(左右方向Y)に延びている。施錠装置60は、ベース部材40における当該一方向の両端部にそれぞれ設けられている。そのため、一対の施錠装置60によって、カバー部材30をベース部材40に対して好適に施錠することができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、什器100は、収容部20の内部の環境を変化させることが可能な環境変化装置として照明装置50を備える。環境変化装置としての照明装置50は、収容部20の内部の環境を変化させる際に操作される操作部53aを有する。操作部53aは、収容部20の下面に設けられている。そのため、什器100を外部から見た際に、操作部53aが目立ちにくい。これにより、什器100の体裁が悪くなることを抑制できる。また、操作部53aが目立ちにくいため、いたずらなどによって操作部53aが不当に操作されることを抑制できる。これにより、収容部20の内部の環境が不当に変化させられることを抑制できる。
【0076】
また、本実施形態によれば、上述したように、支持部10は、収容部20の下方に設けられた空間S2を囲んでおり、かつ、空間S2に繋がる開口部10bが設けられた支持部本体10aと、支持部本体10aに着脱可能に取り付けられ、開口部10bの少なくとも一部を塞ぐ蓋部材11と、を有する。そのため、例えば、支持部10が複数の脚部などによって構成され、空間S2が外部に大きく開放されているような場合に比べて、収容部20の下面がより目立ちにくくできる。これにより、収容部20の下面に設けられた操作部53aが目立つことをより抑制でき、什器100の体裁が悪くなることをより抑制できる。また、操作部53aが不当に操作されることをより抑制でき、収容部20の内部の環境が不当に変化させられることをより抑制できる。
【0077】
また、本実施形態によれば、蓋部材11は、収容部20の下面の下方に隙間Gを空けて対向して配置されている。蓋部材11と収容部20の下面との間には、開口部10bが開口する向き、すなわち前方向きに開口する溝80が形成されている。操作部53aは、収容部20の下面のうち溝80の内面を形成する部分に設けられている。そのため、操作部53aを正当に操作する操作者は、前方から溝80内に手を挿入することで、容易に操作部53aを操作することができる。これにより、収容部20の下面に操作部53aを設けて什器100の体裁が悪くなることを抑制しつつ、操作部53aを操作しやすくできる。
【0078】
また、本実施形態によれば、被覆部材70は、空間S2内において隙間Gと対向する位置に配置されている。溝80は、蓋部材11と収容部20の下面と被覆部材70とによって形成されている。そのため、上述したようにして被覆部材70によって、什器100の外部から空間S2内を視認しにくくして什器100の体裁を良くできるとともに、溝80を好適に形成することができる。また、溝80に挿入した操作者の手が空間S2に入り込むことを被覆部材70によって抑制でき、操作者が溝80に挿入した手によって溝80の内面の上側部分を触ることで、容易に操作部53aを見つけやすくできる。これにより、操作部53aをより操作しやすくできる。
【0079】
また、本実施形態によれば、環境変化装置は、照明装置50である。操作部53aは、照明装置50の状態を点灯状態と消灯状態との間で切り替え可能なスイッチである。そのため、照明装置50によって、収容部20の内部を明るい状態に変化させることができる。これにより、照明装置50から照射される光によって、収容部20内の物品を照らすことができる。したがって、什器100の外部から透明な窓部32を介して、収容部20内に収容された物品を好適に視認することができる。
【0080】
(第1実施形態の変形例1)
環境変化装置の操作部は、
図4に二点鎖線で示す操作部153aのような位置に設けられてもよい。操作部153aは、底部41aの下面のうち被覆部材70よりも後方(-X方)に位置する部分に設けられている。操作部153aは、空間S2に面して設けられている。これにより、什器100の外部から操作部153aをより視認しにくくできる。したがって、収容部20の下面に設けられた操作部153aが目立つことをより抑制でき、什器100の体裁が悪くなることをより抑制できる。また、操作部153aが不当に操作されることをより抑制でき、収容部20の内部の環境が不当に変化させられることをより抑制できる。
【0081】
(第1実施形態の変形例2)
環境変化装置の操作部は、支持部10が囲む空間S2に面して設けられているならば、
図4に二点差鎖線で示す操作部153bのように、収容部20の下面以外の箇所に設けられてもよい。操作部153bは、右壁部13の板状部13aのうち空間S2に面する面に設けられている。この場合であっても、操作部153bが目立つことを抑制でき、什器100の体裁が悪くなることを抑制できる。また、操作部153bが不当に操作されることを抑制でき、収容部20の内部の環境が不当に変化させられることを抑制できる。なお、操作部が空間S2に面して設けられる場合において、操作部が収容部20の下面以外の箇所に設けられる場合には、操作部が設けられる箇所は特に限定されず、操作部は左壁部14に設けられてもよいし、後壁部12に設けられてもよい。
【0082】
<第2実施形態>
本実施形態は、第1実施形態に対して、施錠装置260の構成が異なる。なお、以下の説明において、上述した実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付すなどにより、説明を省略する場合がある。
【0083】
図12に示すように、本実施形態の什器200において、施錠装置260の係止部262は、鍵穴64aに挿し込まれた鍵の操作に応じて、基部61に対して、鉛直方向Zに延びる回動軸R回りに回動する。
図12では、施錠状態LSにおける係止部262を実線で示し、解錠状態USにおける係止部262を二点鎖線で示している。係止部262は、回動軸R回りに回動することで、被係止部35bに挿入されて係止された状態と、被係止部35bから外れた状態と、が切り替えられる。什器200のその他の構成は、第1実施形態の什器100のその他の構成と同様である。
【0084】
<第3実施形態>
本実施形態は、第1実施形態に対して、支持部310の構成が異なる。なお、以下の説明において、上述した実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付すなどにより、説明を省略する場合がある。
【0085】
図13に示すように、本実施形態の什器300において、支持部310は、後壁部12と、一対の脚部313,314と、を有する。支持部310は、後壁部12と一対の脚部313,314とからなる。
【0086】
脚部313は、収容部20の右側の端部を下方から支持している。脚部313は、収容部20の右側の端部における前後方向Xの両端部からそれぞれ下方に延びる一対の支柱部313aと、前後方向Xに延びて一対の支柱部313aの下端部同士を接続する接続柱部313bと、を有する。
【0087】
脚部314は、収容部20の左側の端部を下方から支持している。脚部314は、収容部20の左側の端部における前後方向Xの両端部からそれぞれ下方に延びる一対の支柱部314aと、前後方向Xに延びて一対の支柱部314aの下端部同士を接続する接続柱部314bと、を有する。
【0088】
本実施形態において収容部20の下方に位置する空間S3は、前方および左右方向Yの両側に開放されている。このような支持部310を有する什器300においても、ベース部材40の下面に施錠部64を設けることで、上述した実施形態と同様に、什器300の体裁が悪くなることを抑制しつつ、収容部20内に収容される物品の安全性を向上できる。また、このような支持部310を有する什器300においても、収容部20の下面に操作部53aを設けることで、上述した実施形態と同様に、什器300の体裁が悪くなることを抑制しつつ、操作部53aが不当に操作されることを抑制できる。
【0089】
本実施形態の什器300は、第1実施形態の什器100と異なり、被覆部材70を備えていない。什器300のその他の構成は、第1実施形態の什器100のその他の構成と同様である。
【0090】
以上に本発明における実施形態について説明したが、本発明は上述した各実施形態の構成のみに限定されず、以下の構成および方法を採用することもできる。
【0091】
施錠装置は、施錠部がベース部材の下面に設けられているならば、どのような構成であってもよい。施錠部は、ベース部材の下面のいずれの箇所に設けられてもよい。施錠装置は、載置部の代わりに、別の部材によって上方から覆われていてもよい。施錠装置は、什器に1つのみ設けられてもよいし、3つ以上設けられてもよい。
【0092】
環境変化装置は、収容部の内部の環境を変化させることが可能な装置であれば、どのような装置であってもよい。環境変化装置は、収容部の内部の圧力を変化させる圧力調整装置であってもよいし、収容部の内部の温度を変化させる温度調整装置であってもよいし、収容部の内部の湿度を変化させる湿度調整装置であってもよい。環境変化装置の操作部は、いずれの箇所に設けられてもよい。環境変化装置は、複数設けられてもよい。この場合、複数の環境変化装置は、互いに異なる種類の環境変化装置を含んでもよい。環境変化装置は、設けられなくてもよい。
【0093】
収容部の形状は、特に限定されない。カバー部材は、どのような形状であってもよい。カバー部材は、例えば、箱状のベース部材の開口に対してヒンジ部を介して開閉可能に取り付けられた部材であってもよい。窓部は、収容部のいずれの部分に設けられていてもよい。例えば、上述したようにベース部材が開口を有する箱状で、カバー部材が当該開口を開閉する部材である場合、箱状のベース部材における壁部の少なくとも一部が窓部であってもよい。支持部は、収容部を床面から上方に離れた位置に支持できるならば、どのような構成であってもよい。
【0094】
以上、本明細書において説明した構成および方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0095】
10,310…支持部、10a…支持部本体、10b…開口部、10c…係止穴、11…蓋部材、11e…係止爪、20…収容部、30…カバー部材、32…窓部、35b…被係止部、40…ベース部材、41a…底部、42…載置部、60,260…施錠装置、62,262…係止部、64…施錠部、64a…鍵穴、70…被覆部材、100,200,300…什器、F…床面、LS…施錠状態、S2,S3…空間、US…解錠状態、Y…左右方向(一方向)