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  • 特開-被供給液入り液体収容管 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057415
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】被供給液入り液体収容管
(51)【国際特許分類】
   B43K 8/14 20060101AFI20240417BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20240417BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
B43K8/14 100
C09K3/00 103F
A61K8/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164129
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100193404
【弁理士】
【氏名又は名称】倉田 佳貴
(72)【発明者】
【氏名】高田 晃児
(72)【発明者】
【氏名】市川 秀寿
【テーマコード(参考)】
2C350
4C083
【Fターム(参考)】
2C350KC05
2C350NA10
2C350NC04
2C350NC24
4C083AB17
4C083AB27
4C083AC01
4C083AC02
4C083AC33
4C083AD02
4C083AD15
4C083DD47
4C083EE01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】良好な経時安定性、クリアドレン性、及びガスバリア性をもたらすことができる追従体を有する、新規な被供給液入り液体収容管を提供する。
【解決手段】被供給液入り液体収容管100は、液体供給部10、及び液体収容部20を有しており、前記液体収容部20に、前記液体供給部10側から、被供給液30、及び複層追従体40が、この順で収容されており、
前記複層追従体40が、第一の追従体42、及び第二の追従体44を少なくとも含み、前記第一の追従体42が、前記第二の追従体44よりも前記液体供給部10側に存在しており、前記第一の追従体42が、第一のベースオイルを含有しており、前記第二の追従体44が、第二のベースオイルを含有しており、かつ前記第一の追従体42の比重の、前記第二の追従体44に対する比重に対する比が、1.05超である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体供給部、及び液体収容部を有しており、
前記液体収容部に、前記液体供給部側から、前記液体供給部に接している被供給液、及び複数の層で構成されている複層追従体が、この順で収容されており、
前記複層追従体が、第一の追従体、及び第二の追従体を少なくとも含み、前記第一の追従体が、前記第二の追従体よりも前記液体供給部側に存在しており、
前記第一の追従体が、第一のベースオイルを含有しており、
前記第二の追従体が、第二のベースオイルを含有しており、かつ
前記第一の追従体の比重の、前記第二の追従体に対する比重に対する比が、1.05超である、
被供給液入り液体収容管。
【請求項2】
前記第一の追従体が、前記被供給液に接している、請求項1に記載の被供給液入り液体収容管。
【請求項3】
前記第二の追従体が、前記第一の追従体に接している、請求項1又は2に記載の被供給液入り液体収容管。
【請求項4】
前記複層追従体が、前記第一の追従体及び前記第二の追従体で構成されている、請求項1又は2に記載の被供給液入り液体収容管。
【請求項5】
前記複層追従体を構成する各追従体間の界面が視認可能である、請求項1又は2に記載の被供給液入り液体収容管。
【請求項6】
前記第一のベースオイルが、シリコーン油及びフッ素油から成る群より選択される少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の被供給液入り液体収容管。
【請求項7】
前記第二のベースオイルが、鉱油、合成炭化水素油、エステル油、及びポリグリコール油から成る群より選択される少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の被供給液入り液体収容管。
【請求項8】
前記第二のベースオイルが、ポリオレフィン、流動パラフィン、及び鉱油から成る群より選択される少なくとも一種である、請求項7に記載の被供給液入り液体収容管。
【請求項9】
前記第一の追従体が、シリカ、及び無機塩粒子から成る群より選択される少なくとも一種である第一の増稠剤を更に含有している、請求項1又は2に記載の被供給液入り液体収容管。
【請求項10】
前記第二の追従体が、エラストマーから成る群より選択される少なくとも一種である第二の増稠剤を含有している、請求項1又は2に記載の被供給液入り液体収容管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被供給液入り液体収容管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、筆記具用インキ、液体化粧料、液体燃料等の被供給液を供給及び収容するための収容管において、被供給液の蒸発、収容管の内壁への付着等を抑制するため、追従体(フォロワー)が用いられている。この追従体は、被供給液の消費による減少に追従して、被供給液の供給部に向かって移動する。
【0003】
特許文献1では、内径3mm以上の円筒形若しくはそれに準ずる形態のインキ収容管を有する水性ボールペンにおいて、基油の粘度が違うことによって粘性特性の違う2種のゲル状物を併用したインキ追従体が開示されている。
【0004】
特許文献2では、筆記具用油性インキがインキ収容管内に収容され、インキ収容管の一端側のインキ流出部にはペン先が取り付けられており、上記インキ収容管内には上記油性インキと接するようにインキ追従体が収容されている、筆記具が開示されている。このインキ追従体は、油性インキと接する第1層とこの第1層と接する第2層で少なくとも構成されており、上記第1層は水性ゲル状物質、上記第2層は難揮発性又は不揮発性の有機液体である。
【0005】
特許文献3では、比重が0.8~0.9の範囲の炭化水素系有機溶剤より選ばれる1種または2種以上の混合物と、ゲル化剤と、前記炭化水素系有機溶剤に対して実質的に溶解または膨潤しなく、前記炭化水素系有機溶剤よりも比重の小さい粒子とより少なくともなるインキ追従体組成物が開示されている。
【0006】
特許文献4では、少なくとも、ベースオイルと、スチレン構造を含むエラストマー3.5~8質量%とを含むことを特徴とする化粧料塗布具用追従体組成物が開示されている。
【0007】
特許文献5では、筒状の充填室と、該筒状の充填室の先端に装着される塗布部と、該塗布部に直接又は介在部材を介して連通する該筒状の充填室に直接充填される液体化粧料と、該液体化粧料に接し、該液体化粧料の消費による減少に追従して移動し、該液体化粧料の色相とは異なる液体のフォロワーとを設けてなり、該液体化粧料の体積1に対して該フォロワーの体積が0.5以上であることを特徴とする化粧料塗布具が開示されている。
【0008】
特許文献6では、流出口を有する容器本体と、前記容器本体内に設けられた燃料と、前記容器本体内で、前記燃料に対して前記流出口側と反対側で接するように設けられた高粘性液体と、を有することを特徴とする燃料容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6-328890号公報
【特許文献2】特開2001-158869号公報
【特許文献3】特開2005-239918号公報
【特許文献4】特開2017-165670号公報
【特許文献5】特開2016-198395号公報
【特許文献6】特開2004-281340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明では、良好な経時安定性、クリアドレン性、及びガスバリア性をもたらすことができる追従体を有する、新規な被供給液入り液体収容管を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意検討したところ、以下の手段により上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記のとおりである:
〈態様1〉液体供給部、及び液体収容部を有しており、
前記液体収容部に、前記液体供給部側から、前記液体供給部に接している被供給液、及び複数の層で構成されている複層追従体が、この順で収容されており、
前記複層追従体が、第一の追従体、及び第二の追従体を少なくとも含み、前記第一の追従体が、前記第二の追従体よりも前記液体供給部側に存在しており、
前記第一の追従体が、第一のベースオイルを含有しており、
前記第二の追従体が、第二のベースオイルを含有しており、かつ
前記第一の追従体の比重の、前記第二の追従体に対する比重に対する比が、1.05超である、
被供給液入り液体収容管。
〈態様2〉前記第一の追従体が、前記被供給液に接している、態様1に記載の被供給液入り液体収容管。
〈態様3〉前記第二の追従体が、前記第一の追従体に接している、態様1又は2に記載の被供給液入り液体収容管。
〈態様4〉前記複層追従体が、前記第一の追従体及び前記第二の追従体で構成されている、態様1~3のいずれか一項に記載の被供給液入り液体収容管。
〈態様5〉前記複層追従体を構成する各追従体間の界面が視認可能である、態様1~4のいずれか一項に記載の被供給液入り液体収容管。
〈態様6〉前記第一のベースオイルが、シリコーン油及びフッ素油から成る群より選択される少なくとも一種である、態様1~5のいずれか一項に記載の被供給液入り液体収容管。
〈態様7〉前記第二のベースオイルが、鉱油、合成炭化水素油、エステル油、及びポリグリコール油から成る群より選択される少なくとも一種である、態様1~6のいずれか一項に記載の被供給液入り液体収容管。
〈態様8〉前記第二のベースオイルが、ポリオレフィン、流動パラフィン、及び鉱油から成る群より選択される少なくとも一種である、態様7に記載の被供給液入り液体収容管。
〈態様9〉前記第一の追従体が、シリカ、及び無機塩粒子から成る群より選択される少なくとも一種である第一の増稠剤を更に含有している、態様1~8のいずれか一項に記載の被供給液入り液体収容管。
〈態様10〉前記第二の追従体が、エラストマーから成る群より選択される少なくとも一種である第二の増稠剤を含有している、態様1~9のいずれか一項に記載の被供給液入り液体収容管。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、良好な経時安定性、クリアドレン性、及びガスバリア性をもたらすことができる追従体を有する、新規な被供給液入り液体収容管を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の被供給液入り液体収容管の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
《被供給液入り液体収容管》
図1に示すように、本発明の被供給液入り液体収容管100は、
液体供給部10、及び液体収容部20を有しており、
前記液体収容部20に、前記液体供給部10側から、前記液体供給部10に接している被供給液30、及び複数の層で構成されている複層追従体40が、この順で収容されており、
前記複層追従体40が、第一の追従体42、及び第二の追従体44を少なくとも含み、前記第一の追従体42が、前記第二の追従体44よりも前記液体供給部10側に存在しており、
前記第一の追従体42が、第一のベースオイルを含有しており、
前記第二の追従体44が、第二のベースオイルを含有しており、かつ
前記第一の追従体42の比重の、前記第二の追従体44に対する比重に対する比が、1.05超である。
【0015】
本発明者らは、上記の比重により、第一の追従体42を、第二の追従体44よりも液体供給部側に配置することが可能になり、良好な経時安定性、クリアドレン性、及びガスバリア性を兼ね備えた追従体を得ることができることを見出した。この比重の比は、1.06以上、1.08以上、1.10以上、1.13以上、1.15以上、又は1.17以上であってよく、また1.50以下、1.40以下、又は1.30以下であってよい。追従体の比重は、ベースオイルの種類が大きく寄与しており、各追従体を構成するベースオイルの組合せとして、比重差のあるベースオイルを選択することにより、上記の比重の比を得ることができる。
【0016】
また、第一の追従体の中でも、ベースオイルとしてシリコーン油又はフッ素油を有する追従体は、被供給液の追従体として用いたときに、液体収容管の壁面の被供給液の残存を抑制できるという利点、及び被供給液との混合を抑制できるという利点を有する。その一方で、これらは、ガスバリア性が十分ではないという欠点があった。
【0017】
これに対し、本発明者らは、ベースオイルとしてシリコーン油又はフッ素油を含有している追従体を基準として液体供給部の反対側に、シリコーン油及びフッ素油との関係で上記の比重を満足しつつ、ガスバリア性が良好なベースオイル、具体的には鉱油、合成炭化水素油、エステル油、及びポリグリコール油から成る群より選択される第二のベースオイルを含有している第二の追従体を配置することにより、シリコーン油又はフッ素油による上記の利点及びガスバリア性を両立させることができる。
【0018】
以下では、本発明の各構成要素について説明する。
【0019】
〈液体供給部及び液体収容部〉
液体供給部は、被供給液を液体収容管の外部に供給するための部材である。液体収容部は、被供給液を収容するための部材である。液体供給部と液体収容部とは、連結されていてよい。
【0020】
液体収容部を構成する材料は、特に限定されず、ポリプロピレン等の樹脂、紙、金属等を用いることができる。また、この材料としては、トウモロコシやサトウキビなどの生物由来の資源を使用したバイオマスプラスチックや、土壌生分解性樹脂や海洋生分解性樹脂を使用した生分解性プラスチックを用いてもよい。
【0021】
例えば、本発明の被供給液入り液体収容管が筆記具用リフィールである場合には、本発明の液体供給部及び液体収容部は、筆記部及びインク収容部であってよい。
【0022】
〈被供給液〉
被供給液は、随意の被供給液であってよく、例えばインク、液体燃料、液体化粧品等であってよい。
【0023】
また、インクは、水性インクであってもよく、又は油性インクであってもよく、また、水性インクは、ゲルインクであってもよい。
【0024】
ここで、水性インクは、概して、水及び着色材を少なくとも含有しているインクを指し、油性インクは、有機溶剤及び着色材を少なくとも含有しているインクを指し、ゲルインクは、粘度調整剤を更に含有している水性インクを意味するものである。
【0025】
〈複層追従体〉
複層追従体は、複数の層で構成されている追従体である。複層追従体は、第一の追従体、及び第二の追従体を少なくとも含む。
【0026】
特に、第一のベースオイルがシリコーン油又はフッ素油である場合には、第一の追従体は、被供給液に接していることが、これらの液体収容管の壁面の被供給液の残存を抑制できるという利点、及び被供給液との混合を抑制できるという利点を得る観点から好ましい。
【0027】
第二の追従体は、第一の追従体に接していてよい。
【0028】
中でも、複層追従体は、第一の追従体及び第二の追従体で構成されていてよい。
【0029】
複層追従体を構成する各追従体間の界面は、グラデーションのように明確に視認可能ではなくてもよいが、明確に視認可能であってもよい。また、少なくとも一の追従体が、被供給液に溶解又は溶出しない色材で着色されていてもよい。複数の追従体を着色する場合には、それぞれ異なる色にすることが、デザイン及び視認性の観点から好ましい。明確に視認可能な界面は、例えば、隣接する各追従体を構成するベースオイルを、互いに混和しない組合せにすることにより得ることができる。互いに混和する組合せとしては、例えば同種のベースオイル、ポリグリコール油とエステル油、合成炭化水素油と鉱油、エステル油と鉱油、合成炭化水素油とエステル油等の組合せが挙げられる。一方、互いに混和しない組合せとしては、例えばシリコーン油と鉱油、シリコーン油と合成炭化水素油、シリコーン油とエステル油、シリコーン油とポリグリコール油、シリコーン油とフッ素油、フッ素油と鉱油、フッ素油と合成炭化水素油、フッ素油とエステル油、フッ素油とポリグリコール油等の組合せが挙げられる。
【0030】
(第一の追従体)
第一の追従体は、第二の追従体よりも液体供給部側に存在している追従体である。
【0031】
特に、第一の追従体は、シリコーン油及びフッ素油から成る群より選択される少なくとも一種の第一のベースオイルを含有していることが、液体収容管の壁面の被供給液の残存を抑制する観点、及び被供給液との混合を抑制する観点から好ましい。
【0032】
また、第一の追従体は、第一の増稠剤、特にシリカ、及び無機塩粒子から成る群より選択される少なくとも一種の第一の増稠剤を更に含有していてよい。
【0033】
無機塩粒子としては、例えばカオリナイト、スメクタイト、セリサイト、イライト、グローコナイト、クロライト、タルク、ゼオライト等の粘度鉱物、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム等の非水溶性金属石鹸を用いることができる。
【0034】
第一の増稠剤の含有率は、第一の追従体の質量に対して、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、又は4質量%以上であってよく、また10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、又は6質量%以下であってよい。
【0035】
第一の追従体は、これを構成する各材料を、加温しながら、プラネタリーミキサー、ロールミル等の混練手段により混錬することにより得ることができる。
【0036】
(第二の追従体)
第二の追従体は、第一の追従体よりも、液体供給部に対して反対側に存在している追従体である。
【0037】
特に、第二の追従体は鉱油、合成炭化水素油、エステル油、及びポリグリコール油から成る群より選択される少なくとも一種の第二のベースオイルを含有していることが、ガスバリア性を得る観点から好ましい。
【0038】
鉱油としては、スピンドル油、ワセリン等を用いることができる。
【0039】
合成炭化水素油としては、ポリブテン等のポリオレフィン、オレフィンオリゴマー、芳香族炭化水素、及び流動パラフィン等を用いることができる。
【0040】
エステル油及びポリグリコール油としては、追従体として一般に用いられるものを用いることができる。
【0041】
第二のベースオイルとしては、中でも、ポリオレフィン、流動パラフィン、及び鉱油を用いることが好ましい。
【0042】
第二の追従体は、第二の増稠剤、特に第一の増稠剤とは異なる第二の増稠剤、中でもエラストマーから成る群より選択される少なくとも一種の第二の増稠剤を更に含有していてよい。
【0043】
エラストマーとしては、例えばエチレン-エチレンブチレン-エチレンブロック共重合体等のオレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、及びポリウレタン系熱可塑性エラストマー等を用いることができる。
【0044】
第二の増稠剤の含有率は、第二の追従体の質量に対して、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、又は4質量%以上であってよく、また10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、又は6質量%以下であってよい。
【0045】
第二の追従体は、第一の追従体に関して挙げた方法により製造することができる。
【0046】
〈他の構成〉
本発明の被供給液入り液体収容管は、随意の他の構成を有していてもよい。他の構成としては、例えばフォロワ棒のように追従体中に埋没させる固体を用いることができる。フォロワ棒は、複層追従体に埋没するように存在していてよい。より具体的には、複数のフォロワ棒が、複層追従体を構成する各追従体にそれぞれ埋没するように存在していてもよく、又は一のフォロワ棒が、複層追従体を貫くようにして埋没していてもよい。
【実施例0047】
実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0048】
《被供給液入り液体収容管の作製》
〈実施例1〉
表1に示す種類及び量の第一のベースオイル及び第一の増稠剤を、プラネタリーミキサーを用いて混錬し、次いでロールミルを用いて更に混錬して、第一の追従体を作製した。
【0049】
また、表1に示す種類及び量の第二のベースオイル及び第二の増稠剤を、プラネタリーミキサーを用いて混錬し、次いでロールミルを用いて更に混錬して、第二の追従体を作製した。
【0050】
表1に示すベースオイルの詳細は以下のとおりである:
ポリブテンA:ポリブテン015N、日油株式会社
ポリブテンB:ポリブテン30N、日油株式会社
鉱油A:ダイアナプロセスオイル PW-90、出光興産株式会社
鉱油B:ダイアナプロセスオイル PW-90、出光興産株式会社
芳香族:バーレルプロセス油 B-05、松村石油株式会社
パラフィン:バーレルプロセス油 P-2200、松村石油株式会社
シリコーンA:KF-54、信越化学工業株式会社
シリコーンB:KF-96、信越化学工業株式会社
【0051】
表1に示す増稠剤の詳細は以下のとおりである:
エラストマーA:DYNARON 6200P、JSR株式会社
エラストマーB:DYNARON 8300P、JSR株式会社
無機塩:ステアリン酸リチウム
シリカA:AEROSIL R202、Evonik社
シリカB:AEROSIL NY50L、Evonik社
【0052】
表1に示す液体収容管に、被供給液として、表1の「被供給液(インク)」の欄で示すインクを封入し、次いで第一の追従体及び第二の追従体をこの順で封入して、インク入りリフィールを作製した。
【0053】
水性インクは、主溶剤として水を使用し、少なくとも着色剤を含有しているインクを示しており、表1の「被供給液(インク)」の欄では、「水性」と言及している。
【0054】
表1の「被供給液(インク)」の欄において、「ゲル」と言及しているものは、主溶剤として水を使用し、少なくとも着色剤・粘度調整剤を含有しているインクを示している。
【0055】
表1の「被供給液(インク)」の欄において、「油性」と言及しているものは、主溶剤として有機溶剤を使用し、少なくとも着色剤を含有しているインクを示している。
【0056】
表1の「収容管」の欄において、「PP」と言及しているものは、ポリプロピレン製のインク収容部を有するリフィール(内径5mm)を示している。
【0057】
表2の「収容管」の欄において、「紙」と言及しているものは、基層として紙層を有するインク収容部を有するリフィール(内径5mm)を示している。
【0058】
表2の「収容管」の欄において、「金属」と言及しているものは、金属製のインク収容部を有するリフィール(内径5mm)を示している。
【0059】
《評価》
〈経時安定性〉
作製したインク入りリフィールを、温度50℃相対湿度30%の条件で3ヶ月間放置し、その後、リフィールを外側から観察するか、又はリフィールをカッターで長手方向に分解して観察し、インク及び追従体の状態を目視で確認することにより、経時安定性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
A:追従体とインクとの相溶が見られなかった。
B:追従体とインクとの界面が少しぼやける程度に、これらの相溶が見られた。
C:追従体とインクとの界面が識別できない程度に、これらの相溶が見られた。
【0060】
〈クリアドレン性〉
作製したインク入りリフィールを用い、終筆まで筆記を行い、リフィールを外側から観察するか、又はリフィールをカッターで長手方向に分解して観察し、インク及び追従体の状態を目視で確認することにより、クリアドレン性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
A:リフィールの内壁へのインクの付着が見られなかった。
B:追従体とインクとの界面付近において、リフィールの内壁にインクの付着が見られた。
C:インクが付着している部分が、追従体の位置よりも上部に存在していた。
【0061】
〈ガスバリア性〉
作製したインク入りリフィールを、温度50℃相対湿度30%の環境で3ヶ月間放置し、放置前後の質量変化を確認した。評価基準は以下のとおりである。
A:質量変化が放置前のインクの質量の5質量%以下であった。
C:質量変化が放置前のインクの質量の5質量%超であった。
【0062】
実施例及び比較例の構成及び評価結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
表1から、第一の追従体の比重の、第二の追従体に対する比重に対する比が、1.05超である実施例のインク入りリフィールは、良好な経時安定性が得られていることが理解できよう。
【0065】
また、実施例のインク入りリフィールは、第一のベースオイルがシリコーン油であり、かつ第二のベースオイルが鉱油及び合成炭化水素油から成る群より選択される少なくとも一種であることから、良好なクリアドレン性及びガスバリア性が得られていることが理解できよう。
【符号の説明】
【0066】
100 被供給液入り液体収容管
10 液体供給部
20 液体収容部
30 被供給液
40 複層追従体
42 第一の追従体
44 第二の追従体
図1