(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057426
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】プラスチックボトル
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20240417BHJP
B65D 1/44 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
B65D1/02 221
B65D1/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164158
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛久
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 量哉
(72)【発明者】
【氏名】関根 章智
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033BA26
3E033BB08
3E033CA02
3E033DA03
3E033DB01
3E033DC03
3E033DD05
3E033EA04
3E033EA05
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】剛性の低下を抑制することが可能な、プラスチックボトルを提供する。
【解決手段】プラスチックボトル10は、口部20と、胴部30と、底部50とを備えている。胴部30は、第1筒部31と、筒状部32と、第2筒部33とを有している。第1筒部31は、水平断面において、円形状を有している。第1筒部31と筒状部32とは、第1稜線41によって互いに連結されている。第1稜線41の上下方向位置は、周方向に沿って変化している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部と、胴部と、底部とを備え、
前記胴部は、
前記口部側に位置する第1筒部と、
前記第1筒部よりも前記底部側に位置する筒状部と、
前記筒状部よりも前記底部側に位置する第2筒部とを有し、
前記第1筒部は、水平断面において、円形状を有し、
前記第1筒部と前記筒状部とは、第1稜線によって互いに連結され、
前記第1稜線の上下方向位置は、周方向に沿って変化している、プラスチックボトル。
【請求項2】
前記第2筒部は、水平断面において、円形状を有し、
前記筒状部と前記第2筒部とは、第2稜線によって互いに連結され、
前記第2稜線の上下方向位置は、周方向に沿って変化している、請求項1に記載のプラスチックボトル。
【請求項3】
前記第2筒部は、水平断面において、複数の下部コーナー部が形成された多角形形状を有し、
前記筒状部と前記第2筒部とは、第2稜線によって互いに連結され、
前記第2稜線のうち、高さ方向から見た場合に前記下部コーナー部に重なる部分は、前記第2稜線の他の部分よりも前記口部側に位置する、請求項1に記載のプラスチックボトル。
【請求項4】
口部と、胴部と、底部とを備え、
前記胴部は、
前記口部側に位置する第1筒部と、
前記第1筒部よりも前記底部側に位置する筒状部と、
前記筒状部よりも前記底部側に位置する第2筒部とを有し、
前記第2筒部は、水平断面において、円形状を有し、
前記筒状部と前記第2筒部とは、第2稜線によって互いに連結され、
前記第2稜線の上下方向位置は、周方向に沿って変化している、プラスチックボトル。
【請求項5】
前記第1筒部は、水平断面において、複数の上部コーナー部が形成された多角形形状を有し、
前記第1筒部と前記筒状部とは、第1稜線によって互いに連結され、
前記第1稜線のうち、高さ方向から見た場合に前記上部コーナー部に重なる部分は、前記第1稜線の他の部分よりも前記底部側に位置する、請求項4に記載のプラスチックボトル。
【請求項6】
前記第1筒部及び前記第2筒部に、それぞれ複数の水平方向溝が形成されている、請求項1に記載のプラスチックボトル。
【請求項7】
前記筒状部の少なくとも一部は、前記第1筒部及び前記第2筒部よりも半径方向内側にくびれている、請求項1に記載のプラスチックボトル。
【請求項8】
前記筒状部に、複数のパネルが設けられ、各々の前記パネルは、それぞれ楕円形状を有している、請求項1に記載のプラスチックボトル。
【請求項9】
各々の前記パネルは、それぞれ高さ方向に対して傾斜する方向に延びている、請求項8に記載のプラスチックボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラスチックボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、飲食品等の内容物を収容する容器として、プラスチック製のものが一般化している(例えば、特許文献1)。
【0003】
このようなプラスチックボトルは、全体として軽量化が求められている。一方、プラスチックボトルを軽量化するために、プラスチックボトルの肉厚を薄くした場合、プラスチックボトルの剛性が低下する可能性がある。これに対して、プラスチックボトルの肉厚を薄くした場合であっても、プラスチックボトルの剛性の低下を抑制できるプラスチックボトルが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、剛性の低下を抑制することが可能な、プラスチックボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、口部と、胴部と、底部とを備え、前記胴部は、前記口部側に位置する第1筒部と、前記第1筒部よりも前記底部側に位置する筒状部と、前記筒状部よりも前記底部側に位置する第2筒部とを有し、前記第1筒部は、水平断面において、円形状を有し、前記第1筒部と前記筒状部とは、第1稜線によって互いに連結され、前記第1稜線の上下方向位置は、周方向に沿って変化している、プラスチックボトルである。
【0007】
本開示の第2の態様は、上述した第1の態様によるプラスチックボトルにおいて、前記第2筒部は、水平断面において、円形状を有していても良く、前記筒状部と前記第2筒部とは、第2稜線によって互いに連結されていても良く、前記第2稜線の上下方向位置は、周方向に沿って変化していても良い。
【0008】
本開示の第3の態様は、上述した第1の態様によるプラスチックボトルにおいて、前記第2筒部は、水平断面において、複数の下部コーナー部が形成された多角形形状を有していても良く、前記筒状部と前記第2筒部とは、第2稜線によって互いに連結されていても良く、前記第2稜線のうち、前記高さ方向から見た場合に前記下部コーナー部に重なる部分は、前記第2稜線の他の部分よりも前記口部側に位置していても良い。
【0009】
本開示の第4の態様は、口部と、胴部と、底部とを備え、前記胴部は、前記口部側に位置する第1筒部と、前記第1筒部よりも前記底部側に位置する筒状部と、前記筒状部よりも前記底部側に位置する第2筒部とを有し、前記第2筒部は、水平断面において、円形状を有し、前記筒状部と前記第2筒部とは、第2稜線によって互いに連結され、前記第2稜線の上下方向位置は、周方向に沿って変化している、プラスチックボトルである。
【0010】
本開示の第5の態様は、上述した第4の態様によるプラスチックボトルにおいて、前記第1筒部は、水平断面において、複数の上部コーナー部が形成された多角形形状を有していても良く、前記第1筒部と前記筒状部とは、第1稜線によって互いに連結されていても良く、前記第1稜線のうち、高さ方向から見た場合に前記上部コーナー部に重なる部分は、前記第1稜線の他の部分よりも前記底部側に位置していても良い。
【0011】
本開示の第6の態様は、上述した第1の態様から上述した第5の態様のそれぞれによるプラスチックボトルにおいて、前記第1筒部及び前記第2筒部に、それぞれ複数の水平方向溝が形成されていても良い。
【0012】
本開示の第7の態様は、上述した第1の態様から上述した第6の態様のそれぞれによるプラスチックボトルにおいて、前記筒状部の少なくとも一部は、前記第1筒部及び前記第2筒部よりも半径方向内側にくびれていても良い。
【0013】
本開示の第8の態様は、上述した第1の態様から上述した第7の態様のそれぞれによるプラスチックボトルにおいて、前記筒状部に、複数のパネルが設けられていても良く、各々の前記パネルは、それぞれ楕円形状を有していても良い。
【0014】
本開示の第9の態様は、上述した第8の態様によるプラスチックボトルにおいて、各々の前記パネルは、それぞれ前記高さ方向に対して傾斜する方向に延びていても良い。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、プラスチックボトルの剛性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、一実施の形態によるプラスチックボトルを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施の形態によるプラスチックボトルを示す正面図(
図1のII方向から見た矢視図)である。
【
図3】
図3は、一実施の形態によるプラスチックボトルを示す垂直断面図(
図1のIII-III線断面図)である。
【
図4】
図4は、一実施の形態によるプラスチックボトルを示す平面図である。
【
図5】
図5は、一実施の形態によるプラスチックボトルの作用を説明する図(
図2に対応する図)である。
【
図6】
図6は、第1変形例によるプラスチックボトルを示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第1変形例によるプラスチックボトルを示す正面図である。
【
図8】
図8は、第1変形例によるプラスチックボトルを示す断面図(
図7のVIII-VIII線断面図)である。
【
図9】
図9は、第1変形例によるプラスチックボトルを示す平面図である。
【
図10】
図10は、第2変形例によるプラスチックボトルを示す斜視図である。
【
図11】
図11は、第2変形例によるプラスチックボトルを示す正面図である。
【
図12】
図12は、第2変形例によるプラスチックボトルを示す断面図(
図11のXII-XII線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。
図1乃至
図5は本開示の一実施の形態を示す図である。以下に示す各図は、模式的に示した図である。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施できる。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されることなく、適宜選択して使用できる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含めて解釈することとする。
【0018】
まず、
図1乃至
図4により、本実施の形態によるプラスチックボトル10について説明する。なお、本明細書中、「上」及び「下」とは、それぞれプラスチックボトル10を正立させた状態(
図1乃至
図3)における上方及び下方のことをいう。本明細書中、プラスチックボトル10の「中心軸CL」とは、プラスチックボトル10の口部20の内面を構成する円筒の中心軸をいう。なお、プラスチックボトル10の中心軸CLは、プラスチックボトル10を正立させた状態で接地させたときに、接地面となる平面に対して直交する直線である。
【0019】
また、本明細書中、「高さ方向」とは、プラスチックボトル10の中心軸CLに沿う方向をいい、「半径方向」とは、プラスチックボトル10の中心軸CLに対して直交する方向をいう。また、「周方向」とは、プラスチックボトル10の中心軸CLを中心とする円の円周方向をいう。
【0020】
図1乃至
図3に示すプラスチックボトル10は、射出成形により得られるプリフォームを準備し、このプリフォームに対して二軸延伸ブロー成形を施すことにより作製される。
【0021】
図1乃至
図3に示すように、プラスチックボトル10は、口部20と、口部20の下方に位置する首部21と、首部21の下方に位置する肩部22と、肩部22の下方に位置する胴部30と、胴部30の下方に位置する底部50とを備えている。
【0022】
このうち口部20は、図示しないキャップに螺着されるねじ部23と、ねじ部23の下方に位置するフランジ部24とを有している。なお、プラスチックボトル10に内容液等の内容物が充填され、口部20にキャップが螺着されることにより、内容物入り容器が得られる。内容物としては、飲料のほか、醤油等の調味料、塩等の粉末状の食品、コーヒー豆等の固形物、又は、液体洗剤等の非食品であっても良い。
【0023】
首部21は、フランジ部24と肩部22との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。
【0024】
肩部22は、首部21と胴部30との間に位置しており、首部21側から胴部30側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。肩部22は、プラスチックボトル10が接地される水平面に対して平行な断面(以下、水平断面ともいう)において、略四角形形状を有している。
【0025】
この肩部22には、プラスチックボトル10の内方に向けて凹む凹部25が形成されている。このように、肩部22に凹部25が形成されていることにより、例えば、プラスチックボトル10の周囲にシュリンクラベル等が配置されている場合、凹部25をきっかけとして、シュリンクラベルを剥がしやすくできる。
図4に示すように、本実施の形態では、4つの凹部25が形成されている。4つの凹部25は、周方向に沿って等間隔に配置されている。なお、凹部25の個数は、これに限られない。
【0026】
ここで、凹部25の長さをL(
図3参照)、幅をW(
図4参照)、深さをD(
図3参照)とした場合、
0.5<L/(W×D)<5
という関係を満たしていることが好ましい。このように、0.5<L/(W×D)という関係を満たすことにより、凹部25の長さLに対する、幅W又は深さDの値が大きくなりすぎることを抑制できる。このため、肩部22の座屈強度を高めることができる。また、L/(W×D)<5という関係を満たすことにより、凹部25の長さLに対する、幅W又は深さDの値が小さくなりすぎることを抑制できる。この場合においても、肩部22の座屈強度を高めることができる。
【0027】
また、凹部25の長さL及び幅Wは、
W<L
という関係を満たしていることが好ましい。これにより、肩部22の座屈強度を効果的に高めることができる。また、W<Lという関係を満たすことにより、プラスチックボトル10の周囲にシュリンクラベル等を配置する場合に、シュリンクラベル等を凹部25上に配置させやすくできる。
【0028】
再度
図1乃至
図3を参照すると、胴部30は、口部20側に位置する第1筒部31と、第1筒部31よりも底部50側に位置する筒状部32と、筒状部32よりも底部50側に位置する第2筒部33とを有している。
【0029】
このうち、第1筒部31は、水平断面において、円形状を有している。同様に、第2筒部33は、水平断面において、円形状を有している。本実施の形態では、水平断面において、第1筒部31の形状と、第2筒部33の形状とは、互いに等しくなっている。
【0030】
また、
図2及び
図3に示すように、第1筒部31及び第2筒部33に、それぞれ複数の水平方向溝36が形成されている。この水平方向溝36は、主として、プラスチックボトル10の内部が減圧した際、上下方向に収縮することにより、減圧を吸収する機能を発揮する。また、水平方向溝36は、第1筒部31及び第2筒部33の強度を高める役割も果たしている。
【0031】
水平方向溝36は、それぞれ胴部30の周方向全周に延びている。また、水平方向溝36の上下方向の幅は、それぞれ周方向全周にわたって均一である。図示された例においては、第1筒部31に、3本の水平方向溝36が形成されており、第2筒部33に、4本の水平方向溝36が形成されている。なお、水平方向溝36の本数は、これに限られない。
【0032】
次に、胴部30の筒状部32について説明する。
図2及び
図3に示すように、筒状部32は、第1筒部31と第2筒部33との間に位置している。筒状部32は、第1筒部31に連結された上部拡径部32aと、上部拡径部32aよりも底部50側に位置する円筒部32bと、円筒部32bよりも底部50側に位置し、第2筒部33に連結された下部拡径部32cとを含んでいる。
【0033】
上部拡径部32aは、第1筒部31側に向かうにつれて、外縁が径方向外側に広がる形状を有している。この場合、
図3に示すように、垂直断面において、上部拡径部32aは、第2筒部33側から第1筒部31側に向けて、徐々に径(幅)が拡大する形状を有している。すなわち、垂直断面において、上部拡径部32aは、上方へ向かうにつれて、径方向外側に傾斜している。この場合、上部拡径部32aの外面と、高さ方向とがなす角度θ1は、40°以上80°以下であっても良い。角度θ1が40°以上であることにより、上部拡径部32aの高さ(上下方向距離)が高くなり過ぎることを抑制できる。このため、第1筒部31の高さが低くなることを抑制できる。この結果、第1筒部31の容積の低下を抑制できる。また、角度θ1が40°以上であることにより、消費者がプラスチックボトル10の筒状部32を把持した際における、上部拡径部32aに対する消費者の手(指)の指掛かり性を向上できる。また、角度θ1が80°以下であることにより、胴部30の座屈強度が低下することを抑制できる。
【0034】
円筒部32bは、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。円筒部32bの直径は、第1筒部31の直径及び第2筒部33の直径よりも短くなっている。すなわち、
図3に示すように、垂直断面において、円筒部32bの幅は、第1筒部31の幅及び第2筒部33の幅よりも狭くなっている。
【0035】
下部拡径部32cは、第2筒部33側に向かうにつれて、外縁が径方向外側に広がる形状を有している。この場合、
図3に示すように、垂直断面において、下部拡径部32cは、第1筒部31側から第2筒部33側に向けて、徐々に径(幅)が拡大する形状を有している。すなわち、垂直断面において、下部拡径部32cは、下方へ向かうにつれて、径方向外側に傾斜している。この場合、下部拡径部32cの外面と、高さ方向とがなす角度θ2は、40°以上80°以下であっても良い。角度θ2が40°以上であることにより、下部拡径部32cの高さ(上下方向距離)が高くなり過ぎることを抑制できる。このため、第2筒部33の高さが低くなることを抑制できる。この結果、第2筒部33の容積の低下を抑制できる。また、角度θ2が80°以下であることにより、胴部30の座屈強度が低下することを抑制できる。
【0036】
このような筒状部32は、第1筒部31及び第2筒部33よりも半径方向内側にくびれている。これにより、消費者が、プラスチックボトル10の筒状部32を把持しやすくできる。とりわけ、筒状部32が、第1筒部31よりも半径方向内側にくびれていることにより、消費者がプラスチックボトル10の筒状部32を把持した際に、胴部30に対する消費者の指の指掛かり性を向上できる。すなわち、消費者がプラスチックボトル10の筒状部32を把持した際に、上部拡径部32aを消費者の手(指)に引っ掛けることができる。このため、消費者がプラスチックボトル10の筒状部32を把持した際に、胴部30に対する消費者の指の指掛かり性を効果的に向上できる。この結果、プラスチックボトル10のグリップ性を向上できる。
【0037】
また、筒状部32の径(幅)は、周方向全周にわたって、第1筒部31の幅及び第2筒部33の幅以下である。これにより、例えば段ボール又は冷蔵庫等にプラスチックボトル10を収納する際の収納効率を高めることができる。
【0038】
また、筒状部32に、複数のパネル37が設けられている。図示された例においては、パネル37は、筒状部32の円筒部32bに形成されている。このパネル37は、筒状部32の剛性を高める役割を果たす。各々のパネル37は、それぞれ楕円形状を有している。これにより、筒状部32の剛性を高めつつ、パネル37の成形性を向上できる。
【0039】
各々のパネル37は、それぞれ高さ方向に対して傾斜する方向に延びている。これにより、縦荷重及び横荷重に対する、筒状部32の剛性を高めることができる。この場合、パネル37の長軸と、高さ方向とがなす角度θ3(
図2参照)は、60°以上85°以下であっても良い。
【0040】
ここで、プラスチックボトル10において、第1筒部31と筒状部32とは、第1稜線41によって互いに連結されている。また、筒状部32と第2筒部33とは、第2稜線42によって互いに連結されている。そして、第1稜線41の上下方向位置は、周方向に沿って変化している。これにより、縦荷重に対する、筒状部32の剛性を高めることができる。このため、消費者がプラスチックボトル10の筒状部32を把持した際に、筒状部32の変形を抑制できる。この結果、消費者がプラスチックボトル10の筒状部32を把持した際に、内容物がプラスチックボトル10から噴き出ることを抑制できる。
【0041】
また、第2稜線42の上下方向位置は、周方向に沿って変化している。この場合においても、筒状部32の剛性を高めることができる。
【0042】
次に、底部50について説明する。
図2及び
図3に示すように、底部50は、底部50の中央に位置する中央部51と、底部50の周縁に位置する周縁部53と、中央部51と周縁部53との間に位置する環状の平坦な接地部52とを有している。このうち接地部52は、プラスチックボトル10を正立させた際、接地面に接触する部分である。接地部52は、周方向に途切れる部分のない環形状を有している。
【0043】
また、接地部52における肉厚は、これに限定されるものではないが、例えば0.09mm以上0.40mm以下とすることができる。接地部52の肉厚が0.09mm以上であることにより、プラスチックボトル10を自動販売機に収容したとき、又はプラスチックボトル10が落下したときに、底部50が飛び出して永久変形することを抑止できる。また、接地部52の肉厚が0.40mm以下であることにより、プラスチックボトル10の軽量化を図ることができる。
【0044】
なお、図示はしないが、例えば、底部50の中央部51に、半径方向に沿って延びる複数のリブが設けられていても良い。
【0045】
このような底部50の周縁部53と、胴部30の第2筒部33とは、第3稜線43によって互いに連結されている。第3稜線43の上下方向位置は、周方向に沿って変化している。これにより、底部50近傍の領域の剛性を高めることができる。
【0046】
ところで、このようなプラスチックボトル10のサイズは限定されるものではなく、どのようなサイズのボトルからなっていても良い。例えば、プラスチックボトル10の満注容量は、200ml以上2000ml以下としても良く、300ml以上1500ml以下とすることが好ましく、450ml以上1000ml以下とすることがさらに好ましい。プラスチックボトル10の満注容量は、一例として、950mlであっても良い。
【0047】
さらに、プラスチックボトル10の重量は、これに限定されるものではないが、満注容量が2000ml以下の場合、10g以上38g以下としても良く、14g以上28g以下とすることが好ましい。
【0048】
また、プラスチックボトル10は、合成樹脂材料を射出成形して作製したプリフォームを二軸延伸ブロー成形することにより作製できる。なお、プラスチックボトル10の主材料としては熱可塑性樹脂、特にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカーボネート(PC)等を使用できる。また、プラスチックボトル10は、2層のポリエチレンテレフタレート層によってバリア材料層を挟んだ多層構造としても良い。例えば、PET/MXD6/PETという多層構造としたプリフォームを作製し、これを二軸延伸ブロー成形することにより、多層容器であるプラスチックボトル10を作製しても良い。プラスチックボトル10の材料としては、使用済みのプラスチック製品を選別、粉砕、洗浄することによって作製された、リサイクルしたプラスチックを用いても良い。なお、プラスチックボトル10は、二軸延伸ブロー成形のほか、ダイレクトブロー成形等の各種成形法によって作製されても良い。
【0049】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0050】
まず、空のプラスチックボトル10を準備し、このプラスチックボトル10内に飲料等の内容物を充填する。続いて、口部20を図示しないキャップにより閉栓する。
【0051】
消費者が内容物を飲む場合、まず、
図5に示すように、消費者が、例えば、親指と人差し指によってプラスチックボトル10の胴部30の筒状部32を挟み込むように、胴部30を把持する。上述したように、本実施の形態では、第1稜線41の上下方向位置が、周方向に沿って変化している。また、第2稜線42の上下方向位置が、周方向に沿って変化している。このように、第1稜線41及び第2稜線42の上下方向位置が、周方向に沿って変化していることにより、筒状部32の剛性が高められている。このため、筒状部32の変形が抑制されており、消費者は、プラスチックボトル10から内容物を噴き出させることなく、プラスチックボトル10を持ち上げることができる。
【0052】
また、筒状部32が、第1筒部31及び第2筒部33よりも半径方向内側にくびれている。これにより、消費者は、プラスチックボトル10の筒状部32を容易に把持できる。とりわけ、筒状部32が、第1筒部31よりも半径方向内側にくびれていることにより、消費者がプラスチックボトル10の胴部30(筒状部32)を把持した際に、上部拡径部32aが消費者の手(指)に引っ掛かる。このため、消費者は、プラスチックボトル10を容易に持ち上げることができる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態によれば、胴部30が、口部20側に位置する第1筒部31と、第1筒部31よりも底部50側に位置する筒状部32と、筒状部32よりも底部50側に位置する第2筒部33とを有している。また、第1筒部31が、水平断面において、円形状を有している。さらに、第1筒部31と筒状部32とが、第1稜線41によって互いに連結されている。そして、第1稜線41の上下方向位置が、周方向に沿って変化している。これにより、筒状部32の剛性を高めることができる。このため、消費者がプラスチックボトル10の筒状部32を把持した際に、筒状部32の変形を抑制できる。この結果、消費者がプラスチックボトル10の筒状部32を把持した際に、内容物がプラスチックボトル10から噴き出ることを抑制できる。
【0054】
また、本実施の形態によれば、第2稜線42の上下方向位置が、周方向に沿って変化している。これにより、筒状部32の剛性を更に高めることができる。
【0055】
また、本実施の形態によれば、第1筒部31及び第2筒部33に、それぞれ複数の水平方向溝36が形成されている。これにより、プラスチックボトル10の内部が減圧した際に、水平方向溝36によって、減圧を吸収できる。また、水平方向溝36によって、第1筒部31及び第2筒部33の強度を高めることができる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、筒状部32が、第1筒部31及び第2筒部33よりも半径方向内側にくびれている。これにより、消費者が、プラスチックボトル10の筒状部32を把持しやすくできる。とりわけ、筒状部32が、第1筒部31よりも半径方向内側にくびれていることにより、消費者がプラスチックボトル10の胴部30(筒状部32)を把持した際に、上部拡径部32aが消費者の手(指)に引っ掛かる。このため、消費者がプラスチックボトル10の筒状部32を把持した際に、胴部30に対する消費者の指の指掛かり性を向上できる。この結果、プラスチックボトル10のグリップ性を向上できる。
【0057】
また、本実施の形態によれば、筒状部32に、複数のパネル37が設けられている。また、各々のパネル37が、それぞれ楕円形状を有している。これにより、筒状部32の剛性を高めつつ、パネル37の成形性を向上できる。
【0058】
さらに、本実施の形態によれば、各々のパネル37が、それぞれ高さ方向に対して傾斜する方向に延びている。これにより、縦荷重及び横荷重に対する、筒状部32の剛性を高めることができる。
【0059】
[変形例]
次に、プラスチックボトルの変形例について説明する。
【0060】
(第1変形例)
図6乃至
図9は、プラスチックボトルの第1変形例を示している。
図6乃至
図9に示す変形例は、第2筒部33が、水平断面において、複数の下部コーナー部35が形成された多角形形状を有する点が異なるものであり、他の構成は上述した
図1乃至
図5に示す実施の形態と略同一である。
図6乃至
図9において、
図1乃至
図5に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0061】
図6乃至
図9に示すプラスチックボトル10において、第2筒部33は、水平断面において、複数の下部コーナー部35が形成された多角形形状を有している。本変形例では、第2筒部33は、水平断面において、4つの下部コーナー部35が形成された四角形形状(正方形形状)を有しており、第2筒部33は、四角筒形状を有している。なお、本明細書中、「多角形形状」とは、多角形の角部が丸められた形状をも含むものとする。第2筒部33は、八角筒形状等の多角筒形状を有していても良い。
【0062】
本変形例では、
図7に示すように、正面視において、第2筒部33の幅は、上部拡径部32aの幅よりも狭くなっている。この場合、正面視において、第2筒部33の幅は、円筒部32bの幅と等しくなっている。言い換えれば、第2筒部33が平面視において形成する四角形(正方形)の一辺の長さは、円筒部32bの直径と等しくなっている。なお、図示はしないが、側面視においても、第2筒部33の幅は、円筒部32bの幅と等しくなっている。一方、図示はしないが、正面視又は側面視以外においては、第2筒部33の幅は、円筒部32bの幅よりも広くなっている。
【0063】
また、正面視において、第2筒部33の幅は、下部拡径部32cの幅と等しくなっている。この場合、下部拡径部32cの幅は、正面視において、上下方向に沿って略均一になっている。なお、図示はしないが、側面視においても、第2筒部33の幅は、下部拡径部32cの幅と等しくなっている。また、下部拡径部32cの幅は、側面視において、上下方向に沿って略均一になっている。
【0064】
本変形例においては、筒状部32のうちの一部が、第2筒部33よりも半径方向内側にくびれている。この場合においても、消費者が、プラスチックボトル10の筒状部32を把持しやすくできる。本変形例では、筒状部32の円筒部32b及び下部拡径部32cのうち、正面視又は側面視における中央部分以外の部分は、第2筒部33よりも半径方向内側にくびれている。この場合、第2筒部33に対する、半径方向内側への筒状部32のくびれ量(以下、単に「筒状部32のくびれ量」とも記す)は、周方向において、下部コーナー部35に近づくにつれて、徐々に大きくなっている。このため、筒状部32のくびれ量は、筒状部32のうち、高さ方向から見た場合に下部コーナー部35に重なる部分において、最も大きくなっている。
【0065】
一方、上述したように、正面視又は側面視において、円筒部32bの幅、及び下部拡径部32cの幅は、それぞれ、第2筒部33の幅と等しくなっている(
図7参照)。このため、筒状部32の円筒部32b及び下部拡径部32cのうち、正面視又は側面視における中央部分は、第2筒部33よりも半径方向内側にくびれていない。
【0066】
また、
図7に示すように、第2稜線42のうち、高さ方向から見た場合に下部コーナー部35に重なる部分は、第2稜線42の他の部分よりも口部20側に位置している。これにより、第2筒部33の容積を大きくできる。このため、プラスチックボトル10の容積の低下を抑制できる。また、本変形例においても、第2稜線42の上下方向位置は、周方向に沿って変化している。これにより、筒状部32の剛性を高めることができる。
【0067】
また、第3稜線43のうち、高さ方向から見た場合に下部コーナー部35に重なる部分は、第3稜線43の他の部分よりも口部20側に位置している。これにより、底部50近傍の領域の剛性を高めることができる。とりわけ、第3稜線43のうち、高さ方向から見た場合に下部コーナー部35に重なる部分が、第3稜線43の他の部分よりも口部20側に位置していることにより、底部50近傍の領域のうち、下部コーナー部35近傍の領域の剛性を効果的に高めることができる。
【0068】
さらに、
図9に示すように、本変形例では、各々の凹部25は、平面視において、第2筒部33が形成する四角形の対角線d上に形成されていても良い。また、凹部25は、平面視において、対角線dに沿って延びていても良い。
【0069】
本変形例によれば、第2稜線42のうち、高さ方向から見た場合に下部コーナー部35に重なる部分が、第2稜線42の他の部分よりも口部20側に位置している。これにより、第2筒部33の容積を大きくできる。このため、プラスチックボトル10の容積の低下を抑制できる。また、第2稜線42の上下方向位置が、周方向に沿って変化していることにより、筒状部32の剛性を高めることができる。
【0070】
(第2変形例)
図10乃至
図12は、プラスチックボトルの第2変形例を示している。
図10乃至
図12に示す変形例は、第1筒部31が、水平断面において、複数の上部コーナー部34が形成された多角形形状を有する点が異なるものであり、他の構成は上述した
図1乃至
図9に示す実施の形態と略同一である。
図10乃至
図12において、
図1乃至
図9に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0071】
図10乃至
図12に示すプラスチックボトル10において、第1筒部31は、水平断面において、複数の上部コーナー部34が形成された多角形形状を有している。本変形例では、第1筒部31は、水平断面において、4つの上部コーナー部34が形成された四角形形状(正方形形状)を有しており、第1筒部31は、四角筒形状を有している。なお、第1筒部31は、八角筒形状等の多角筒形状を有していても良い。
【0072】
本変形例では、
図11に示すように、正面視において、第1筒部31の幅は、上部拡径部32aの幅と等しくなっている。この場合、上部拡径部32aの幅は、正面視において、上下方向に沿って略均一になっている。なお、図示はしないが、側面視においても、第1筒部31の幅は、上部拡径部32aの幅と等しくなっている。また、上部拡径部32aの幅は、側面視において、上下方向に沿って略均一になっている。
【0073】
また、正面視において、第1筒部31の幅は、円筒部32bの幅と等しくなっている。言い換えれば、第1筒部31が平面視において形成する四角形(正方形)の一辺の長さは、円筒部32bの直径と等しくなっている。なお、図示はしないが、側面視においても、第1筒部31の幅は、円筒部32bの幅と等しくなっている。一方、図示はしないが、正面視又は側面視以外においては、第1筒部31の幅は、円筒部32bの幅よりも広くなっている。
【0074】
さらに、正面視において、第1筒部31の幅は、下部拡径部32cの幅よりも狭くなっている。
【0075】
本変形例においても、筒状部32の少なくとも一部は、第1筒部31よりも半径方向内側にくびれている。この場合においても、消費者が、プラスチックボトル10の筒状部32を把持しやすくできる。本変形例では、筒状部32の上部拡径部32a及び円筒部32bのうち、正面視又は側面視における中央部分以外の部分は、第1筒部31よりも半径方向内側にくびれている。この場合、第1筒部31に対する筒状部32のくびれ量は、周方向において、上部コーナー部34に近づくにつれて、徐々に大きくなっている。このため、筒状部32のくびれ量は、筒状部32のうち、高さ方向から見た場合に上部コーナー部34に重なる部分において、最も大きくなっている。
【0076】
一方、上述したように、正面視又は側面視において、上部拡径部32aの幅、及び円筒部32bの幅は、それぞれ、第2筒部33の幅と等しくなっている(
図11参照)。このため、筒状部32の上部拡径部32a及び円筒部32bのうち、正面視又は側面視における中央部分は、第1筒部31よりも半径方向内側にくびれていない。
【0077】
また、
図11に示すように、第1稜線41のうち、高さ方向から見た場合に上部コーナー部34に重なる部分は、第1稜線41の他の部分よりも底部50側に位置している。これにより、第1筒部31の容積を大きくできる。このため、プラスチックボトル10の容積の低下を抑制できる。また、本変形例においても、第1稜線41の上下方向位置は、周方向に沿って変化している。これにより、筒状部32の剛性を高めることができる。
【0078】
本変形例によれば、第1稜線41のうち、高さ方向から見た場合に上部コーナー部34に重なる部分が、第1稜線41の他の部分よりも底部50側に位置している。これにより、第1筒部31の容積を大きくできる。このため、プラスチックボトル10の容積の低下を抑制できる。また、第1稜線41の上下方向位置が、周方向に沿って変化していることにより、筒状部32の剛性を高めることができる。
【0079】
上記各実施の形態及び各変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記各実施の形態及び各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
【符号の説明】
【0080】
10 プラスチックボトル
20 口部
30 胴部
31 第1筒部
32 筒状部
33 第2筒部
34 上部コーナー部
35 下部コーナー部
36 水平方向溝
37 パネル
41 第1稜線
42 第2稜線
50 底部