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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057429
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】油中水型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20240417BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240417BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240417BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240417BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20240417BHJP
   A61K 8/894 20060101ALI20240417BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240417BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
A61K8/25
A61K8/06
A61K8/37
A61K8/73
A61K8/26
A61K8/894
A61K8/86
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164164
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】王 嘉寧
(72)【発明者】
【氏名】白神 裕人
(72)【発明者】
【氏名】北島 正樹
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB212
4C083AB232
4C083AB282
4C083AB352
4C083AB381
4C083AB431
4C083AB432
4C083AB441
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC262
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC401
4C083AC402
4C083AC431
4C083AC432
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC622
4C083AC692
4C083AC852
4C083AC912
4C083AD042
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD202
4C083AD242
4C083AD282
4C083AD332
4C083AD492
4C083AD532
4C083BB11
4C083BB25
4C083CC02
4C083DD12
4C083DD32
4C083EE01
(57)【要約】
【課題】安定性に優れた油中水型乳化化粧料を提供する。
【解決手段】(A)有機変性粘土鉱物、(B1)ポリエーテル変性シリコーン、(B2)ポリエチレングリコール脂肪酸エステルまたはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(C)疎水化処理シリカ、疎水化処理デンプン、およびそれらの塩からなる群から選択される粉末、(D)油分、および(E)水を含んでなり、(B2)成分の配合量に対する(B1)成分の配合量の比((B1)/(B2))が、3~6である、油中水型乳化化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)有機変性粘土鉱物、
(B1)ポリエーテル変性シリコーン、
(B2)ポリエチレングリコール脂肪酸エステルまたはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、
(C)疎水化処理シリカ、疎水化処理デンプン、およびそれらの塩からなる群から選択される粉末、
(D)油分、および
(E)水
を含んでなり、
(B2)成分の配合量に対する(B1)成分の配合量の比((B1)/(B2))が、3~6である、油中水型乳化化粧料。
【請求項2】
(A)成分が、ジステアルジモニウムヘクトライト、クオタニウム-18ヘクトライト、ステアラルコニウムヘクトライト、および塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウムからなる群から選択される、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
(B1)成分が、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-3ジメチコン、PEG-10ジメチコン、PEG-12ジメチコン、PEG-10メチルエーテルジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、および(ジメチコン(PEG-10/15))クロスポリマーからなる群から選択される、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項4】
(B2)成分が、ジイソステアリン酸PEG-4、ジイソステアリン酸PEG-8、モノイソステアリン酸PEG-10、PEG10-水添ヒマシ油、PEG-20水添ヒマシ油、PEG-25水添ヒマシ油、PEG30-水添ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-50水添ヒマシ油、PEG60-水添ヒマシ油、PEG-80水添ヒマシ油、およびPEG-100水添ヒマシ油からなる群から選択される、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項5】
(D)成分が、非極性油分を含んでなり、前記非極性油分の配合量が、(D)成分の総量に対して、60質量%以上である、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項6】
前記非極性油分が、炭化水素油およびシリコーン油を含んでなる、請求項5に記載の化粧料。
【請求項7】
(A)成分の配合量が、化粧料の総量に対して、1~5質量%である、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項8】
(B1)成分の配合量が、化粧料の総量に対して、0.5~5質量%である、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項9】
(B2)成分の配合量が、化粧料の総量に対して、0.1~2質量%である、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項10】
(C)成分の配合量が、化粧料の総量に対して、5~20質量%である、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項11】
(D)成分の配合量が、化粧料の総量に対して、15~40質量%である、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項12】
(E)成分の配合量が、化粧料の総量に対して、10~40質量%である、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項13】
B型回転粘度計を用いて30℃で測定した粘度が、10,000~120,000mPa・sである、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項14】
シートに含侵または担持されている、請求項1または2に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
シートに乳化性基剤が含浸または担持された化粧料が一般に用いられている。シートの使用者には、ハリ感やしっとり感を得ることを好まれ、そのため、乳化性基剤の中でも油中水型乳化基剤が選択されることが多い。
【0003】
油中水型化粧料において、有機変性粘度鉱物と特定の界面活性剤とを組み合わせにより乳化させる技術が提案されており、これにより、乳化安定性や肌なじみのよい化粧料を提供することが開示されている(特許文献1)。
また、低粘度の油中水型化粧料において、有機変性粘度鉱物と疎水性シリカとを特定量で組み合わせることが提案されており、極性油を配合した場合にも安定性を維持することができることが開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-102087号公報
【特許文献2】特開2014-172853号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明者の検討によると、有機変性粘度鉱物と、特定の活性剤の組み合わせと、特定の粉末とを含む油中水型化粧料を用いることで、高い安定性を達成できることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1](A)有機変性粘土鉱物、
(B1)ポリエーテル変性シリコーン、
(B2)ポリエチレングリコール脂肪酸エステルまたはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、
(C)疎水化処理シリカ、疎水化処理デンプン、およびそれらの塩からなる群から選択される粉末、
(D)油分、および
(E)水
を含んでなり、
(B2)成分の配合量に対する(B1)成分の配合量の比((B1)/(B2))が、3~6である、油中水型乳化化粧料。
[2](A)成分が、ジステアルジモニウムヘクトライト、クオタニウム-18ヘクトライト、ステアラルコニウムヘクトライト、および塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウムからなる群から選択される、[1]に記載の化粧料。
[3](B1)成分が、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-3ジメチコン、PEG-10ジメチコン、PEG-12ジメチコン、PEG-10メチルエーテルジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、および(ジメチコン(PEG-10/15))クロスポリマーからなる群から選択される、[1]または[2]に記載の化粧料。
[4](B2)成分が、ジイソステアリン酸PEG-4、ジイソステアリン酸PEG-8、モノイソステアリン酸PEG-10、PEG10-水添ヒマシ油、PEG-20水添ヒマシ油、PEG-25水添ヒマシ油、PEG30-水添ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-50水添ヒマシ油、PEG60-水添ヒマシ油、PEG-80水添ヒマシ油、およびPEG-100水添ヒマシ油からなる群から選択される、[1]~[3]のいずれかに記載の化粧料。
[5](D)成分が、非極性油分を含んでなり、前記非極性油分の配合量が、(D)成分の総量に対して、60質量%以上である、[1]~[4]のいずれかに記載の化粧料。
[6]前記非極性油分が、炭化水素油およびシリコーン油を含んでなる、[5]に記載の化粧料。
[7](A)成分の配合量が、化粧料の総量に対して、1~5質量%である、[1]~[6]のいずれかに記載の化粧料。
[8](B1)成分の配合量が、化粧料の総量に対して、0.5~5質量%である、[1]~[7]のいずれかに記載の化粧料。
[9](B2)成分の配合量が、化粧料の総量に対して、0.1~2質量%である、[1]~[8]のいずれかに記載の化粧料。
[10](C)成分の配合量が、化粧料の総量に対して、5~20質量%である、[1]~[9]のいずれかに記載の化粧料。
[11](D)成分の配合量が、化粧料の総量に対して、15~40質量%である、[1]~[10]のいずれかに記載の化粧料。
[12](E)成分の配合量が、化粧料の総量に対して、10~40質量%である、[1]~[11]のいずれかに記載の化粧料。
[13]B型回転粘度計を用いて30℃で測定した粘度が、10,000~120,000mPa・sである、[1]~[12]のいずれかに記載の化粧料。
[14]シートに含侵または担持されている、[1]~[13]のいずれかに記載の化粧料。
【0007】
本発明によれば、安定性に優れた油中水型乳化化粧料を提供することができる。本発明による化粧料は、使用感にも優れている。
【発明の具体的説明】
【0008】
本発明は、(A)有機変性粘土鉱物、(B1)ポリエーテル変性シリコーン、(B2)ポリエチレングリコール脂肪酸エステルまたはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(C)疎水化処理シリカ、疎水化処理デンプン、およびそれらの塩からなる群から選択される粉末、(D)油分、および(E)水を含んでなり、(B2)成分の配合量に対する(B1)成分の配合量の比((B1)/(B2))が、3~6である、油中水型乳化化粧料(以下、化粧料と称することがある。)に関するものである。
【0009】
(A)有機変性粘土鉱物
本発明による化粧料は、(A)有機変性粘土鉱物(以下、(A)成分と称することがある。他の成分についても同様である。)を含んでなる。(A)成分は、例えば、三層構造を有するコロイド性含水ケイ酸アルミニウムの一種であり、以下の式で表される粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で変性したものが挙げられる。
(X,Y)2-3(Si,Al)10(OH)1/3・nH
式中、
Xは、Al、Fe(III)、Mn(III)、またはCr(III)であり、
Yは、Mg、Fe(II)、Ni,Zn、またはLiであり、かつ
Zは、K、Na、またはCaである。
【0010】
ここで用いられる第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤は、以下で表されるものである。
【化1】
式中、
は、炭素数10~22のアルキル基またはベンジル基であり、
iiは、メチル基または炭素数10~22のアルキル基であり、
iiiおよびRivは、それぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基であり、
Xは、ハロゲン原子またはメチルサルフェート残基である。
【0011】
このような第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤としては、例えばドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、アラキルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、セチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルエチルアンモニウムクロリド、アラキルジメチルエチルアンモニウムクロリ、ベヘニルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、セチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ステアリルジエチルメチルアンモニウムクロリド、アラキルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルミリスチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルベヘニルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルセチルアンモニウムクロリド、べンジルメチルエチルステアリルアンモニウムクロリド、ジベヘニルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、および相当するブロミド等、更にはジパルミチルプロピルエチルアンモニウムメチルサルフェート等が挙げられる。本発明の実施にあたっては、これらのうち一種または二種以上が任意に選択される。
【0012】
(A)成分は、好ましくは、ジステアルジモニウムヘクトライト、クオタニウム-18ヘクトライト、ステアラルコニウムヘクトライト、および塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウムからなる群から選択され、より好ましくはジステアルジモニウムヘクトライトである。市販品としては、ベントン27(ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト、エレメンティスジャパン社製)およびベントン38(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト、エレメンティスジャパン社製)が挙げられる。(A)成分は、分散媒中に分散されたもののほか、粉末状態のものを用いることもできる。
【0013】
(A)成分は、1種または2種以上を配合することができる。(A)成分の配合量は、化粧料の総量に対して、好ましくは1~5質量%であり、より好ましくは1~3質量%であり、さらに好ましくは1~2であり、よりさらに好ましくは、1.2~1.8質量%である。
【0014】
(B1)ポリエーテル変性シリコーン
本発明による化粧料は、(B1)ポリエーテル変性シリコーンを含んでなる。(B1)成分のシリコーン骨格は、分岐鎖状であっても、直鎖状であってもよい。
(B1)成分は、好ましくは、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-3ジメチコン、PEG-10ジメチコン、PEG-12ジメチコン、PEG-10メチルエーテルジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、および(ジメチコン(PEG-10/15))クロスポリマーからなる群から選択される。(B1)成分は、より好ましくは、シリコーン骨格が分岐鎖状であるものであり、さらに好ましくは、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンである。
【0015】
(B1)成分は、1種または2種以上を配合することができる。(B1)成分の配合量は、化粧料の総量に対して、好ましくは0.5~5質量%であり、より好ましくは1~3質量%であり、さらに好ましくは1.5~2.5質量%である。
【0016】
(B2)ポリエチレングリコール脂肪酸エステルまたはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
本発明による化粧料は、(B2)ポリエチレングリコール脂肪酸エステルまたはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含んでなる。
ポリエチレングリコール脂肪酸エステルとしては、例えば、ジイソステアリン酸PEG-4、ジイソステアリン酸PEG-8、モノイソステアリン酸PEG-10等が挙げられる。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、例えば、モノイソステアリン酸PEG-10、トリイソステアリン酸PEG-20水添ヒマシ油、PEG10-水添ヒマシ油、PEG-20水添ヒマシ油、PEG-25水添ヒマシ油、PEG30-水添ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-50水添ヒマシ油、PEG60-水添ヒマシ油、PEG-80水添ヒマシ油、およびPEG-100水添ヒマシ油等が挙げられる。
(B2)成分は、好ましくは、ジイソステアリン酸PEG-4、ジイソステアリン酸PEG-8、モノイソステアリン酸PEG-10、PEG10-水添ヒマシ油、PEG-20水添ヒマシ油、PEG-25水添ヒマシ油、PEG30-水添ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-50水添ヒマシ油、PEG60-水添ヒマシ油、PEG-80水添ヒマシ油、およびPEG-100水添ヒマシ油からなる群から選択される。
【0017】
(B2)成分は、1種または2種以上を配合することができる。(B2)成分の配合量は、化粧料の総量に対して、好ましくは0.1~2質量%であり、より好ましくは0.2~1質量%である。
(B2)成分の配合量に対する(B1)成分の配合量の比((B1)/(B2))は、3~6であり、好ましくは3.5~5.5である。
【0018】
(C)疎水化処理シリカ、疎水化処理デンプン、およびそれらの塩からなる群から選択される粉末
本発明による化粧料は、(C)疎水化処理シリカ、疎水化処理デンプン、およびそれらの塩からなる群から選択される粉末を含んでなる。本発明による化粧料は、好ましくは疎水化処理シリカを含んでなり、より好ましくは疎水化処理シリカおよび疎水化処理デンプン塩の組み合わせを含んでなる。
【0019】
疎水化処理の方法としては公知の方法を用いることができる。
疎水化処理シリカとしては、例えば、ジメチコン処理シリカ、アモジメチコン処理シリカ、高級アルコール処理シリカが挙げられる。
疎水化処理デンプンとしては、例えば、オクテニルコハク酸処理デンプン等が挙げられる。
【0020】
塩の種類は、薬理学的に許容される塩であれば特に限定されないが、薬理学的に許容される塩であれば特に限定されず、無機塩であっても有機塩であってもよい。無機塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。有機塩としては、例えば、酢酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、トリエタノールアミン塩、アミノ酸塩等が挙げられる。
(C)成分は、好ましくは、ジメチコン処理シリカ、アモジメチコン処理シリカ、オクテニルコハク酸処理デンプン、およびそれらの塩からなる群から選択され、より好ましくは、ジメチコン処理シリカ、アモジメチコン処理シリカおよびオクテニルコハク酸デンプンアルミニウムからなる群から選択される。
【0021】
(C)成分は、1種または2種以上を配合することができる。(C)成分の配合量は、化粧料の総量に対して、好ましくは5~20質量%であり、より好ましくは8~18質量%であり、さらに好ましくは11~17質量%である。
【0022】
(C)成分は粉末であるが、本発明による化粧料は、(C)成分以外の粉末を含んでいてもよい。(C)成分以外の粉末は、化粧品等に一般的に用いられるものから選択して用いることができて、特に限定されないが、近年の環境保護の観点から、マイクロプラスチックビーズ(MPB)を含まないことが好ましい。
【0023】
(D)油分
本発明による化粧料は、(D)油分を含んでなる。
油分は極性油分と非極性油分とに分類できる。油中水型化粧料において、非極性油分の配合量が多い場合、一般に化粧料の安定性を維持しづらくなることがあるが、本発明では、非極性油分の配合量が多い場合にも優れた安定性を維持することができる。したがって、(D)成分は、好ましくは非極性油分を含んでなり、非極性油分の配合量は、(D)成分の総量に対して、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは65~90質量%であり、さらに好ましくは70~85質量%である。
【0024】
非極性油分としては、例えば、炭化水素油、シリコーン油等が挙げられる。
炭化水素油としては、パラフィン、スクワラン、スクワレン、イソヘキサデカン、イソドデカン、水添ポリデセン、水添イソポリブテン、ワセリン等が挙げられる。
シリコーン油としては、ジメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、カプリリルメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状シリコーン油、トリメチルシロキシケイ酸等のシリコーンレジン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン油等が挙げられる。
好ましくは、非極性油分は、炭化水素油およびシリコーン油を含んでなり、より好ましくは炭化水素油および鎖状シリコーン油を含んでなり、さらに好ましくは炭化水素油および鎖状シリコーン油からなる。
環状シリコーンは、例えば、安定性を高めるために、化粧料に配合されることがある。しかしながら、本発明は、環状シリコーンを含まなくても、効果を発揮するものであるため、環状シリコーンの配合量は、化粧料の総量に対して、好ましくは、0.01質量%以下であり、より好ましくは0.001質量%以下であり、最も好ましくは0%、つまり、環状シリコーンが配合されない。
【0025】
極性油分としては、例えば、エステル油、高級脂肪酸、高級脂肪族アルコール等が挙げられる。
エステル油としては、例えば、オクタン酸オクチル、ノナン酸ノニル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ピバリン酸トリプロピレングリコール、ジピバリン酸PPG-3、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル(トリエチルヘキサノイン)、トリオクタン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート-2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、エチルヘキサン酸セチル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、酢酸トコフェロール等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等)、分枝鎖アルコール(例えば、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0026】
(D)成分は、1種または2種以上を配合することができる。(D)成分の配合量は、化粧料の総量に対して、好ましくは15~40質量%であり、より好ましくは20~35質量%である。
【0027】
(E)水
本発明による化粧料は、(E)水を含んでなる。水としては、化粧品、医薬部外品等に使用される水を使用することができ、例えば、精製水、イオン交換水、水道水等を使用することができる。
水の配合量は、本発明による化粧料の総量に対して、好ましくは10~40質量%であり、より好ましくは13~37質量%であり、さらに好ましくは16~34質量%であり、よりさらに好ましくは19~31質量%であり、よりさらに好ましくは22~28質量%であり、最も好ましくは24~28質量%である。
【0028】
本発明には化粧料には、上記成分の他、通常化粧品や医薬品に用いられる任意成分を配合することができる。任意成分としては、例えば、保湿剤、低級アルコール、増粘剤、金属イオン封鎖剤、中和剤、pH調製剤、酸化防止剤、防腐剤、薬剤、紫外線吸収剤、香料等が挙げられ、本発明の効果を奏する限り、一種または二種以上を配合することができる。
【0029】
本発明による化粧料としては、例えば、スキンケア化粧料(例えば、化粧水、乳液、クリーム、美容液、パック、マスク等)が挙げられる。
本発明による化粧料は、好ましくは、シートに含侵または担持されており、より好ましくはシートに担持されている。シートに含侵または担持させる形態は、特に限定されないが、例えば、重なり合うシート状の支持体における合わせ面に化粧料を挟みこみ、使用時に重なりあう二枚の支持体を分離することによって、分離された各支持体それぞれに、化粧料が露出した貼付面が形成される形態が挙げられる。
シートの適用部位としては、顔(全体、頬部、目元部、口元部、目の上下部)、腕部、脚部、胸部、腹部、首部等が挙げられ、好ましくは顔であり、より好ましくは目元部である。
【0030】
シートに含浸または担持させる場合に、シート基材は、特に限定されず、既知の天然繊維、人造繊維からなる布基材、高分子材料を広く使用することができる。
【0031】
天然繊維、人造繊維からなる布基材としては、例えば、紙、布、タオル、毛布、編み物、キルト等の不織布あるいは織布等を挙げることができる。
【0032】
天然繊維としては、例えば、パルプ繊維、綿花、カポック、亜麻、ラミー、大麻、黄麻、しゅろ、マニラ麻、サイザル麻、コイヤー・ファイバー等の植物繊維、家蚕絹、柞蚕絹、羊毛(緬羊)、カシミア毛、ラクダ毛、アルパカ毛、モヘヤー、兎毛等の動物繊維が挙げられる。
【0033】
人造繊維としては、例えば、人絹糸、スフ、ビスコース、ベンベルグ等の再生繊維、またはポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリビニール・アルコール系繊維、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維、あるいは酢酸人造繊維などのように天然物質と合成物質とを共重合して製造した半合成繊維等が挙げられる。
【0034】
高分子材料からなるシートとしては、例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリエチンレンテレフタラート、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリプロピレン、セロファン、ポリクロロプレン、ポリアミノ酸、ニトリルゴム、ブチルゴムおよびシリコンゴムなどの高分子材料を薄く形成したシートを適宜選択して用いることができる。
【0035】
本発明による化粧料の粘度は、特に限定されないが、B型回転粘度計を用いて30℃で測定した場合に、好ましくは10,000~120,000mPa・sであり、より好ましくは20,000~110,000mPa・sであり、さらに好ましくは30,000~100,000mPa・sであり、よりさらに好ましくは40,000~90,000mPa・s、最も好ましくは45,000~85,000mPa・sである。
【0036】
本発明の化粧料は、乳化の方法は特に限定されるものではなく、常法に従って製造することができる。
【実施例0037】
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。含有量は特記しない限り、総量に対する質量%で示す。
【0038】
[実施例101~110、201~206、301~309および比較例101、102]
表1~3に示される配合で、実施例101~110、201~206、301~309および比較例101、102を調製した。表中の各成分の数値は質量%を示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【0039】
[粘度]
上記で調製した化粧料の粘度をBH型粘度計(No.6ローター、回転数10rpm)を用いて30℃で測定した。得られた結果は、表1~3に記載のとおりである。
粘度欄に硬度の記載があるものは、粘度計では測定できなかったため、硬度を測定した。硬度の単位はNである。硬度の測定は、25℃で、レオテック社製レオメーター(感圧軸11.3Φ、針入速度10cm/min、針入度10mm)を用いて、測定した。
【0040】
[油浮き、ひび割れの評価]
上記で調製した各化粧料を、ポリエチレンテレフタラートを主成分とする樹脂製容器と、ガラス製容器のそれぞれに充填し、37℃で4週間放置した後、容器と内容物を観察し、油浮きとひび割れについて、以下の基準により評価した。得られた結果は表1~3のとおりである。
・油浮き
A:油浮きが観察されなかった。
B:油浮きがわずかに観察された。
C:油浮きが多く観察された。
・ひび割れ
A:ひび割れが観察されなかった。
B:ひび割れがわずかに観察された。
C:ひび割れが複数個所で観察された。
【0041】
[シェア耐性]
上記で調製した各化粧料をビーカーに100g採取し、プロペラ撹拌器で一定時間撹拌した。その後、各化粧料の状態を目視で観察し、以下の基準により評価した。得られた結果は表1~3のとおりである。
A:油や水の染み出しが確認されず、表面状態も良好であった。
B:油や水の染み出しは確認されなかったが、バルクの面に弱い光が反射した。
C:油や水の染み出しが確認された。
【0042】
[安定性総合評価]
上記の油浮き、ひび割れ、およびシェア耐性の結果を総合的に判断し、以下の基準により安定性総合評価を行った。得られた結果は表1~3のとおりである。
A:安定性に非常に優れている。
B:安定性に優れている。
C:安定性に懸念がある。
なお、安定性総合評価では、シェア耐性よりも、油浮きやひび割れがないことの方が安定性の観点から重要であるため、シェア耐性のみがC評価のものは、総合評価ではB評価とした。
【0043】
上記で調製した実施例の化粧料は、全て、べたつきやきしみがなく、使用性に優れたものであった。
【0044】
以下に本発明による化粧料の処方例1~4を示す。表中の数値は質量%を示す。
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】