(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057432
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】ベントナイトの改質方法、改質ベントナイト、改質ベントナイトスラリー、及び高粘度改質ベントナイトスラリーの製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 33/40 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
C01B33/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164169
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000104814
【氏名又は名称】クニミネ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】弁理士法人イイダアンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【弁理士】
【氏名又は名称】赤羽 修一
(72)【発明者】
【氏名】諸留 章二
【テーマコード(参考)】
4G073
【Fターム(参考)】
4G073BD13
4G073BD21
4G073CM16
4G073CP01
4G073FB29
4G073FD03
4G073FD04
4G073FD21
4G073FD25
4G073GA30
4G073GA38
4G073GA40
4G073UA20
4G073UB46
(57)【要約】
【課題】ベントナイトを、スラリー化したときの粘度が十分に低く、かつ、当該スラリーを、増粘剤等を用いることなく、簡単に、格段に高い粘度へと増粘させることができる特性へと改質することができる、ベントナイトの改質方法、この改質方法により得られる改質ベントナイト、この改質ベントナイトを用いた改質ベントナイトスラリー、ならびに、高粘度改質ベントナイトスラリーの製造方法を提供する。
【解決手段】クリストバライトを主要夾雑鉱物として含み、水への膨潤力が18ml/2g以上であるベントナイト粉末の加水混練物を、せん断処理に付し、次いで乾燥粉砕することを含む、ベントナイトの改質方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリストバライトを主要夾雑鉱物として含み、水への膨潤力が18ml/2g以上であるベントナイト粉末の加水混練物を、せん断処理に付し、次いで乾燥粉砕することを含む、ベントナイトの改質方法。
【請求項2】
前記ベントナイト粉末に含まれる夾雑鉱物中、クリストバライトの含有割合が60質量%以上である、請求項1に記載のベントナイトの改質方法。
【請求項3】
前記せん断処理を、三本ロールミルによって行う、請求項2に記載のベントナイトの改質方法。
【請求項4】
前記ベントナイトの改質方法により得られる改質ベントナイト粉末が下記(a)を満たす、請求項3に記載のベントナイトの改質方法。
(a)スラリー中のベントナイト濃度を揃えて比較した場合に、前記ベントナイト粉末を水に分散してなるスラリーよりも、前記改質ベントナイト粉末を水に分散してなるスラリーが低粘度である。
【請求項5】
前記ベントナイトの改質方法により得られる改質ベントナイト粉末が下記(b)を満たす、請求項4に記載のベントナイトの改質方法。
(b)スラリー中のベントナイト濃度を揃えて比較した場合に、改質ベントナイト粉末を水に分散させて加熱処理に付していないスラリーよりも、前記改質ベントナイト粉末を水に分散させて80℃で24時間の加熱処理に付したスラリーが高粘度である。
【請求項6】
前記ベントナイトの改質方法により得られる改質ベントナイト粉末が下記(c)を満たす、請求項5に記載のベントナイトの改質方法。
(c)スラリー中のベントナイト濃度を揃えて比較した場合に、前記ベントナイト粉末を水に分散させて80℃で24時間の加熱処理に付したスラリーよりも、前記改質ベントナイト粉末を水に分散させて80℃で24時間の加熱処理に付したスラリーが高粘度である。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のベントナイトの改質方法により得られる改質ベントナイト。
【請求項8】
請求項7に記載の改質ベントナイトを水系媒体に分散してなる、改質ベントナイトスラリー。
【請求項9】
請求項7に記載の改質ベントナイトを水系媒体に分散して低粘度の改質ベントナイトスラリーを得る工程と、該改質ベントナイトスラリーを加熱して高粘度化する工程とを含む、高粘度改質ベントナイトスラリーの製造方法。
【請求項10】
前記加熱の温度が80℃以上である、請求項9に記載の高粘度改質ベントナイトスラリーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベントナイトの改質方法、改質ベントナイト、改質ベントナイトスラリー、及び高粘度改質ベントナイトスラリーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ベントナイトはモンモリロナイトを主成分とする粘土であり、非常に高い膨潤性(無限膨潤性)を有し、優れた増粘作用を示す。ベントナイトは天然物であり、鉱山から採掘され、これを乾燥粉砕して粉末状の製品とされる。ベントナイトは水中で膨潤し増粘するため、その特性を利用して掘削工事の潤滑剤や、孔壁安定性のための掘削安定液としても利用されている。
【0003】
ベントナイトを水に分散してなるスラリーは、その用途に応じて、適切な粘度となるように調整される。一般的なベントナイトスラリーの増粘方法としては、スラリー中のベントナイト濃度を上げることや、カルボキシメチルセルロースなどの増粘剤を添加することが知られている。
また、例えば特許文献1には、炭化水素溶剤系に対して高極性有機化合物の併用を必要とせず、易分散性でかつ高い増粘性を有する親有機性の変性ベントナイトが記載されている。特許文献1には、この変性ベントナイトが、ベントナイトに対し特定構造のアルキルトリアルコキシランの1種または2種以上を、生成物が水中分散性を消失しない範囲の量で添加し、無水雰囲気下で攪拌、粉砕して、ベントナイトの表面に部分的にアルキルシリコ基を付加させて得られること、この変性ベントナイトが水に分散して水系流体のレオロジーを調整する機能を有することなどが記載されている。
また特許文献2には、ベントナイトをアミノ化アルキルトリエトキシシラン溶液で処理し、改質したことを特徴とする改質ベントナイトが記載され、この改質ベントナイトが水系分散液に対して優れた増粘性を有することが記載されている。
また特許文献3には、特定のカルシウム化合物及び/又はマグネシウム化合物を添加し、強力な機械的せん断力を作用させてベントナイト中のモンモリロナイトに乱れた基本面周期を付与した改質ベントナイトが記載され、当該せん断力を作用させることにより、この改質ベントナイトのスラリーを4%食塩水に分散させたときの粘度が改善することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-254823号公報
【特許文献2】特開平8-198617号公報
【特許文献3】特開昭56-140062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、ベントナイトスラリーをトンネル掘削シールドマシンの裏込め用途として用いる場合、ベントナイトスラリーは通常、地上で調製され、圧送によりシールドマシン先端に送られる。粘性が高いと圧送が困難となるため、圧送時のベントナイトスラリーは低粘度であることが望ましい。一方で、裏込めの際にはベントナイトスラリーには高粘度が求められるため、シールドマシン先端では、ベントナイトスラリーをより高粘度化することが求められる。上述のように、ベントナイトスラリーに増粘剤等を添加することにより増粘させることができるが、採掘現場での煩雑な作業を軽減させる観点から、増粘剤等を添加することなく、簡単に増粘(高粘度化)できる方法の開発が求められていた。
【0006】
本発明は、ベントナイトを、スラリー化したとき(水分散液にしたとき)の粘度が十分に低く、かつ、当該スラリーを、増粘剤等を用いることなく、簡単に、格段に高い粘度へと増粘させることができる特性へと改質することができる、ベントナイトの改質方法、この改質方法により得られる改質ベントナイト、この改質ベントナイトを用いた改質ベントナイトスラリー、ならびに、高粘度改質ベントナイトスラリーの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討を行った。その結果、クリストバライトを主要な夾雑鉱物として含み、水への膨潤力が特定値以上のベントナイト粉末の加水混練物に所定の強いせん断力を与えた後、乾燥粉砕することにより、この乾燥粉砕物をスラリー化した場合に、得られるスラリーが十分に低粘度となること、また、当該スラリーを加熱すると、当該スラリーの粘度が著しく高められることを見出した。すなわち、スラリーの調製時には低粘度で、圧送などをスムーズに行える性状でありながら、使用時には加熱するだけで、十分に増粘させて裏込めなどに適した性状へと、物性を変化させられることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づき、更に検討を重ねて完成されるに至ったものである。
【0008】
本発明の上記課題は、下記の手段により解決された。
〔1〕
クリストバライトを主要夾雑鉱物として含み、水への膨潤力が18ml/2g以上であるベントナイト粉末の加水混練物を、せん断処理に付し、次いで乾燥粉砕することを含む、ベントナイトの改質方法。
〔2〕
前記ベントナイト粉末に含まれる夾雑鉱物中、クリストバライトの含有割合が60質量%以上である、前記〔1〕に記載のベントナイトの改質方法。
〔3〕
前記せん断処理を、三本ロールミルによって行う、前記〔1〕又は〔2〕に記載のベントナイトの改質方法。
〔4〕
前記ベントナイトの改質方法により得られる改質ベントナイト粉末が下記(a)を満たす、前記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のベントナイトの改質方法。
(a)スラリー中のベントナイト濃度を揃えて比較した場合に、前記ベントナイト粉末を水に分散してなるスラリーよりも、前記改質ベントナイト粉末を水に分散してなるスラリーが低粘度である。
〔5〕
前記ベントナイトの改質方法により得られる改質ベントナイト粉末が下記(b)を満たす、前記〔4〕に記載のベントナイトの改質方法。
(b)スラリー中のベントナイト濃度を揃えて比較した場合に、改質ベントナイト粉末を水に分散させて加熱処理に付していないスラリーよりも、前記改質ベントナイト粉末を水に分散させて80℃で24時間の加熱処理に付したスラリーが高粘度である。
〔6〕
前記ベントナイトの改質方法により得られる改質ベントナイト粉末が下記(c)を満たす、前記〔5〕に記載のベントナイトの改質方法。
(c)スラリー中のベントナイト濃度を揃えて比較した場合に、前記ベントナイト粉末を水に分散させて80℃で24時間の加熱処理に付したスラリーよりも、前記改質ベントナイト粉末を水に分散させて80℃で24時間の加熱処理に付したスラリーが高粘度である。
〔7〕
前記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のベントナイトの改質方法により得られる改質ベントナイト。
〔8〕
前記〔7〕に記載の改質ベントナイトを水系媒体に分散してなる、改質ベントナイトスラリー。
〔9〕
前記〔7〕に記載の改質ベントナイトを水系媒体に分散して低粘度の改質ベントナイトスラリーを得る工程と、該改質ベントナイトスラリーを加熱して高粘度化する工程とを含む、高粘度改質ベントナイトスラリーの製造方法。
〔10〕
前記加熱の温度が80℃以上である、前記〔9〕に記載の高粘度改質ベントナイトスラリーの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のベントナイトの改質方法によれば、ベントナイトを、スラリー化したときの粘度が十分に低く、かつ、当該スラリーを、増粘剤等を用いることなく、簡単に、格段に高い粘度へと増粘させることができる特性へと改質することができる。
本発明の改質ベントナイトは、スラリー化したときの粘度が十分に低く、かつ、当該スラリーを、増粘剤等を用いることなく簡単に、格段に高い粘度へと増粘させることができる。
本発明の改質ベントナイトスラリーは、一実施形態において、粘度が十分に低く、かつ、増粘剤等を用いることなく、簡単に、格段に高い粘度へと増粘させることができる。また、別の実施形態において、本発明の改質ベントナイトスラリーは、通常のベントナイトスラリーに比べて格段に高い粘度を示す。
本発明の高粘度改質ベントナイトスラリーの製造方法によれば、低粘度のベントナイトスラリーから、増粘剤等を用いることなく、簡単に、格段に高い粘度のベントナイトスラリーを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好ましい実施の形態について具体的に説明するが、本発明は、本発明で規定すること以外はこれらの形態に限定されるものではない。
【0011】
[ベントナイトの改質方法]
<原料ベントナイト粉末>
本発明のベントナイトの改質方法(以下、「本発明の改質方法」とも称す。)により改質されるベントナイト粉末(原料ベントナイト粉末)は、シリカとアルミナとを主成分とする層状ケイ酸塩鉱物の1種であるモンモリロナイトを主成分とする粘土である。原料ベントナイト粉末は、天然由来であることが好ましい。
【0012】
モンモリロナイトは、厚みが約1nmの薄い板状結晶が積み重なった層状構造を形成しており、結晶同士の間である層間には、一般的にアルカリ金属やアルカリ土類金属などの陽イオンが存在する。本発明に用いるベントナイトにおいて、モンモリロナイトの結晶層間に存在する陽イオンに特に限定はない。例えば、Na(ナトリウム)型、Li(リチウム)型、K(カリウム)型、NH4(アンモニウム)型、Ca(カルシウム)型、Mg(マグネシウム)型、Ba(バリウム)型、Al(アルミニウム)型、Fe(鉄)型、Cu(銅)型、及びZn(亜鉛)型の各ベントナイトから選ばれる1種又は2種以上のベントナイトを用いることができる。中でも、ベントナイトの膨潤性を向上させる観点から、前記陽イオンは1価の金属イオンであることが好ましく、リチウムイオン及び/又はナトリウムイオンであることがより好ましい。
【0013】
また、原料ベントナイト粉末の陽イオン交換容量(CEC:Cation Exchange Capacity)は、ベントナイトの水分散時の膨潤性を向上させる観点から、20meq(ミリ当量)/100g以上が好ましく、25meq/100g以上がより好ましく、30meq/100g以上がさらに好ましい。また通常、原料ベントナイト粉末の陽イオン交換容量は250meq/100g以下である。
【0014】
原料ベントナイト粉末の膨潤力は、18ml/2g以上である。ベントナイトスラリーの加熱による増粘をより促進する観点から、当該膨潤力は19ml/2g以上であることが好ましく、20ml/2g以上であることがより好ましい。当該膨潤力は、膨潤力試験法(日本ベントナイト工業会 JBAS-104-77)に準拠し、かつ測定温度を20℃として決定される。より詳細には、原料ベントナイト粉末2.0gを、10回に分けて、100mLの精製水を入れた共栓付メスシリンダーの中に、原料ベントナイト粉末がスムーズにシリンダー底に沈降するように加える。その後、20℃で24時間放置したとき、精製水中に堆積した原料ベントナイト粉末の見掛け容積を読み取ることにより、上記膨潤力を決定する。
【0015】
原料ベントナイト粉末は、主成分であるモンモリロナイトを除いた残部には、クリストバライト、石英、長石、ゼオライト(沸石)、カルサイト(方解石)、マイカ(雲母)等の随伴鉱物(夾雑鉱物)が含まれる。本発明に用いる原料ベントナイト粉末において、前記夾雑鉱物のうち主要夾雑鉱物はクリストバライトである。なお、本発明ないし本明細書において「主要夾雑鉱物」とは、前記夾雑鉱物のうち最も含有割合の高い夾雑鉱物を意味する。前記夾雑鉱物の種類は、常法に従って特定することができる。
クリストバライトは、二酸化ケイ素(シリカ)の結晶多形の一種であり、方珪石とも呼ばれる。原料ベントナイト粉末に含まれるクリストバライトは、通常は低温型クリストバライトである。
【0016】
原料ベントナイト粉末に含まれる前記夾雑鉱物中、クリストバライトの含有割合は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。また、当該含有割合は、100質量%であってもよく、99質量%以下であってもよく、90質量%以下であってもよく、80質量%以下であってもよい。当該含有割合の好ましい範囲を示すと、50~100質量%であることが好ましく、60~100質量%であることがより好ましく、70~100質量%であることがさらに好ましい。
また、原料ベントナイト粉末中、クリストバライトの含有割合は、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。また、当該含有割合は、40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。当該含有割合の好ましい範囲を示すと、10~40質量%であることが好ましく、15~35質量%であることがより好ましく、20~30質量%であることがさらに好ましい。
【0017】
原料ベントナイト粉末は、当該ベントナイトのスラリーにおいてゲル化を抑制する観点から、7.4質量%の濃度で蒸留水に分散させたスラリー(20℃)の導電率が2000μS/cm以下であることが好ましく、1600μS/cm以下であることがより好ましく、1200μS/cm以下であることがさらに好ましい。
【0018】
<改質方法>
本発明の改質方法では、原料ベントナイト粉末を加水混練(水を加えて混練)して加水混練物を得て、この加水混練物をせん断処理に付し、その後、乾燥粉砕する。これにより、目的の改質ベントナイトを得ることができる。
前記加水混練では、原料ベントナイト粉末100質量部に対し、加水する水を10~30質量部として混合することが好ましく、加水する水を10~20質量部として混合することがより好ましい。加水混練に用いる混練機は特に制限されず、通常の混練機を広く用いることができる。
前記せん断処理は、所望のせん断力を付与できれば特に制限されない。例えば、二軸押出機や、2本以上のロールの間に加水混練物を強制的に通過させることができるせん断機(好ましくは三本ロールミル)を用いることができる。後者では、ロール間の距離(クリアランス)を調整することにより、せん断力を制御することができる。前記せん断処理に使用可能な機器として、アシザワファインテック社製の三本ロールミル、アイメックス社製のBR-300HCV III、井上製作所社製のHHCtype THREE ROLL MILL、ビューラー社製のThree-roll mill Trinomic、ノリタケ社製のNR-120A等が挙げられる。
前記せん断処理は、十分なせん断力を付与するために、複数回繰り返して行うことができる。
【0019】
前記せん断処理後のベントナイトは、その後、乾燥粉砕することにより、粉末状に加工される。
乾燥温度は80~120℃とすることが好ましく、100~110℃とすることがより好ましい。乾燥時間は、ベントナイト量と乾燥温度によって適宜設定することができるが、2~48時間とすることができ、2~24時間とすることもでき、2~12時間とすることもできる。
乾燥処理により得られた乾燥物を、粉砕機によって破砕することで、粉末状の改質ベントナイトを得ることができる。
なお、上記の乾燥粉砕処理は、乾燥処理と粉砕処理を同時に行う(乾燥しながら粉砕する)形態としてもよい。
【0020】
<改質ベントナイトの特性>
【0021】
スラリー中のベントナイト濃度を揃えて比較した場合に、前記ベントナイト粉末を水に分散してなるスラリーよりも、本発明の改質方法により得られた改質ベントナイト粉末を水に分散してなるスラリーを低粘度とすることができる。
【0022】
本発明の改質方法により得られた改質ベントナイトのスラリーは、低粘度である一方で、加熱することにより、その粘度を顕著に高めることができる。すわなち、スラリー中のベントナイト濃度をそろえて比較した場合に、改質ベントナイト粉末を水に分散させてから加熱処理に付していないスラリーよりも、前記改質ベントナイト粉末を水に分散させて80℃で24時間の加熱処理に付したスラリーを高粘度とすることができる。
また例えば、スラリー中のベントナイト濃度を揃えて比較した場合に、原料ベントナイト粉末を水に分散させて80℃で24時間の加熱処理に付したスラリーよりも、本発明の改質方法により得られた改質ベントナイト粉末を水に分散させて80℃で24時間の加熱処理に付したスラリーの方が高粘度とすることもできる。例えば、ベントナイト粉末の濃度を7.4質量%とした水分散液において、本発明の改質方法により得られた改質ベントナイト粉末を水に分散させて80℃で24時間の加熱処理に付したスラリーのファンネル粘度(I)と、原料ベントナイト粉末を水に分散させて80℃で24時間の加熱処理に付したスラリーの粘度(II)との関係は、粘度(I)-粘度(II)(粘度(I)から粘度(II)を差し引いた値)が10~40秒(s)であることが好ましく、20~40秒であることがより好ましい。本発明において「ファンネル粘度」はスラリー温度を20℃として測定した値である。
【0023】
本発明の改質ベントナイトのスラリーを低粘度とでき、さらに加熱により増粘できる理由は明らかでないが、以下のメカニズムにより達成されるものと推測される。
ベントナイトに含まれ得る夾雑鉱物の1種である石英は一般に、粒径が大きく硬度が高い鉱物である。そのため、石英を夾雑鉱物として多量に含む(主要夾雑鉱物が石英である)ベントナイトの加水混練物をせん断処理に付した場合、石英がモンモリロナイトの層状構造自体を破壊し、スラリーの粘度を低下させる。この場合、せん断処理後のスラリーを加熱処理に付しても、モンモリロナイトの層状構造は回復せず、スラリーの増粘は限定的である。
これに対し、夾雑鉱物の一種であるクリストバライトは、粒径が小さく、硬度が石英と比較して低い。そのため、クリストバライトを夾雑鉱物として多量に含む(主要夾雑鉱物がクリストバライトである)ベントナイトの加水混練物をせん断処理に付しても、モンモリロナイトの層状構造を破壊しないか、破壊したとしても上記石英を主要夾雑鉱物とするものより破壊の程度がかなり抑えられるものと考えられる。一方で、クリストバライトにはモンモリロナイト層間を糊のようにくっ付ける(結着させる)作用があると考えられ、これが改質ベントナイトのスラリーの粘性を低下させる一因と考えられる。他方、このようなスラリーは、加熱することにより、クリストバライトによる結着効果が消失してモンモリロナイト層間の剥離がより促進される。すなわち、加熱によって、改質ベントナイトスラリーの粘性を顕著に高めることができると考えられる。
【0024】
[改質ベントナイト]
本発明の改質ベントナイトは、本発明の改質方法を経て得られるベントナイトである。したがって、クリストバライトを主要夾雑鉱物として含み、水への膨潤力が18ml/2g以上であるベントナイト粉末の加水混練物を、せん断処理に付し、次いで乾燥粉砕して得られるベントナイトである。
【0025】
[改質ベントナイトスラリー]
本発明の改質ベントナイトスラリーは、本発明の改質ベントナイトを水系媒体に分散してなるスラリーである。このスラリーは、上記のように、加熱処理に付していない状態(例えば、50℃以上に晒されていない状態)では所望の低粘度とすることができる。また、この低粘度スラリーを加熱することにより、所望の高粘度へと増粘することができる。したがって、本発明の改質ベントナイトスラリーは、目的に応じて、低粘度とすることができ、高粘度とすることもできる。
【0026】
上記水系媒体としては、水が挙げられ、水とともに、水と混和する水溶性媒体を含んでもよい。水溶性媒体として、例えば、アルコール、多価アルコール、エーテル等を含むことができる。水性媒体が水とともに水溶性媒体を含む場合、水系媒体中の水の含有量は50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
【0027】
前記の増粘のための加熱処理は、ベントナイトスラリーを所望の高粘度とできれば特に制限されない。例えば、当該スラリーを恒温器や乾燥機内に静置させることや、当該スラリーをフローしながらマイクロ波を照射することにより加熱することもできる。
前記加熱温度は、70℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、90℃以上がさらに好ましい。また、当該加熱温度は、過度な加熱によるベントナイトの劣化を抑制する観点、及び加熱装置の性能等の観点から、120℃以下であることが好ましく、110℃以下であることがより好ましく、105℃以下であることがさらに好ましい。
加熱時間は特に制限されず、前記スラリーにおけるベントナイトの含有量等に応じて適宜設定することができる。例えば、12~24時間とすることもでき、1~12時間とすることもでき、0.2~6時間とすることもできる。
【0028】
本発明の改質ベントナイトスラリー中のベントナイト濃度は特に限定されない。例えば、8~20質量%とすることもでき、2~8質量%とすることもできる。
【0029】
[高粘度改質ベントナイトスラリーの製造方法]
本発明の高粘度改質ベントナイトスラリーの製造方法は、本発明の改質ベントナイトを水系媒体に分散して低粘度の改質ベントナイトスラリーを得る工程と、該改質ベントナイトスラリーを加熱して高粘度化する工程とを含む。
各工程の詳細は、上述した通りである。
【実施例0030】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
[原料ベントナイト粉末]
各ベントナイトスラリーの調製に用いた原料ベントナイト粉末の物性は、下記表1の通りであった。なお、原料ベントナイト粉末の各物性は、それぞれ下記の方法により測定した。
【0032】
(含水率)
ベントナイト粉末A~Fの質量を測定後、105℃に設定した恒温器で24時間乾燥させ、乾燥後のベントナイトA~Fの質量を再び測定することにより、ベントナイトA~Fの含水率(質量%)を測定した。
【0033】
(膨潤力)
ベントナイト粉末A~Fについて、温度20℃における膨潤力を、上述した、膨潤力試験法(日本ベントナイト工業会 JBAS-104-77)に準拠して測定した。
【0034】
(pH)
ベントナイト粉末A~Fの2gを蒸留水100mlに添加し、撹拌して水分散体とし、当該水分散体のpHをパーソナルpHメーター(型番:SPH71、三商社製)により測定した。
【0035】
(導電率)
ベントナイト粉末A~Fの2gを蒸留水100mlに添加し、撹拌して水分散体とし、当該水分散体の導電率を電気伝導率計(型番:ES-51、堀場製作所社製)により測定した。
【0036】
(メチレンブルー吸着量)
メチレンブルーが粘土(モンモリロナイト)層間に特異的に吸着するという性質を利用し、ベントナイト粉末A~Fに対し、メチレンブルーの吸着量をそれぞれ測定した。
モンモリロナイトのメチレンブルー吸着量の測定は、日本ベントナイト工業会の規格であるJBAS-107-77法(ろ紙法)に準じて実施した。ベントナイト粉末A~Fを105℃で2時間乾燥させて粉砕し、得られた各乾燥粉末についてメチレンブルー吸着量(単位:mmol/100g)を測定した。
【0037】
(夾雑鉱物の同定)
前記ベントナイト粉末A~Fに含まれる夾雑鉱物の種類及びその含有量は、当該ベントナイト粉末を用いてX線回折法により回折スペクトルを測定して各鉱物の種類を同定し、また得られた回折スペクトルから各鉱物のピーク強度を求め、別途作成した検量線を用いてその含有量を決定した。
【0038】
【0039】
[実験例1]
ベントナイト粉末A100質量部に対し、15質量部の水を加え、アイリッヒインテンシブミキサー(型番:R02、日本アイリッヒ社製)で3分間混錬した。その後、得られた加水混練物を三本ロールミル(アシザワファインテック社製)に供してせん断力を加え、このせん断処理を計5回繰り返し行った。なお、前記三本ロールミルにおいて、第1ロール(仕込ロール)と第2ロール(中間ロール)の間隔は1mm程度とした。前記せん断処理後の混練物を105℃に設定した恒温器に入れ、含水率が約8質量%となるまで乾燥させ、その後乾燥物をハンマーミル(不二パウダル社製)で粉砕し、ベントナイトの粉末サンプル(改質ベントナイト粉末)を得た。
蒸留水600mlに上記で得られた粉末サンプルを48g添加し、ハミルトンビーチミキサーで15分攪拌して改質ベントナイトスラリーを得た。当該スラリーの20℃条件下におけるファンネル粘度(FV(秒:s))をファンネル粘度計(西日本試験機社製)により測定した。
【0040】
ファンネル粘度を測定した改質ベントナイトスラリーを室温(20℃)で一晩静置させ(加熱なし)、静置後のスラリーを再度ハミルトンビーチミキサーで5分間攪拌後、上記と同様にしてファンネル粘度を測定した。また、上記撹拌後のスラリーのpHと導電率も上記と同様にして測定した。結果を下記表2に示す。
【0041】
[実験例2]
実験例1と同様にして、前記粉末サンプルから改質ベントナイトスラリーを得た。この改質ベントナイトスラリーをプラスチックボトルに入れて密閉し、80℃の恒温槽で一晩静置させた。静置後のスラリーを再度ハミルトンビーチミキサーで5分間攪拌後、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表2に示す。
【0042】
[参考例1-1]
ベントナイト粉末Aの48gを蒸留水600mlに添加し、ハミルトンビーチミキサーで15分攪拌してベントナイトスラリーを得た。このスラリーについて、上記と同様にしてファンネル粘度を測定した。ファンネル粘度を測定したスラリーを室温で一晩静置させ、静置後のスラリーを再度ハミルトンビーチミキサーで5分間攪拌後、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表2に示す。
【0043】
[参考例1-2]
ベントナイト粉末Aの48gを蒸留水600mlに添加し、ハミルトンビーチミキサーで15分攪拌してベントナイトスラリーを得た。このスラリーについて、上記と同様にしてファンネル粘度を測定した。ファンネル粘度を測定したスラリーをプラスチックボトルに入れて密閉し、80℃の恒温槽で一晩静置させた。静置後のスラリーを再度ハミルトンビーチミキサーで5分間攪拌後、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表2に示す。
【0044】
[参考例1-3]
ベントナイト粉末A100質量部に対し、15質量部の水を加え、アイリッヒインテンシブミキサー(型番:R02、日本アイリッヒ社製)で3分間混錬した。その後、得られた加水混練物を105℃に設定した恒温器に入れ、含水率が約8質量%となるまで乾燥させ、その後、乾燥物をハンマーミル(不二パウダル社製)で粉砕し、粉末サンプルを得た。蒸留水600mlに上記で得られた粉末サンプルを48g添加し、ハミルトンビーチミキサーで15分攪拌してベントナイトスラリーを得た。このスラリーについて、上記と同様にしてファンネル粘度を測定した。結果を下記表2に示す。
【0045】
【0046】
実験例1及び実験例2の改質ベントナイトスラリーは、予め三本ロールミルによりせん断力を加えた改質ベントナイト粉末を用いることにより、三本ロールミルによるせん断力を加えていない非改質ベントナイト粉末を用いた参考例1-1及び参考例1-2のベントナイトスラリーよりも、スラリー調製後(未加熱)においてファンネル粘度が大きく低下した。
また、実験例1の結果が示す通り、改質ベントナイトスラリーを室温で一晩静置させても、三本ロールミルによるせん断力を加えていない非改質ベントナイト粉末のスラリーを室温で一晩静置させた参考例1-1と比較して、ファンネル粘度は低いままであった。
他方、実験例2の結果が示す通り、改質ベントナイトスラリーを、加熱条件下で一晩静置させることにより、三本ロールミルによるせん断力を加えていない非改質ベントナイト粉末のスラリーを加熱条件下で一晩静置させた参考例1-2と比較して、ファンネル粘度が大きく増加した。
【0047】
なお、原料ベントナイト粉末を加水混練した後、三本ロールミルによるせん断力を加えなかった参考例1-3の非改質ベントナイト粉末のスラリーでは、ファンネル粘度の減少が見られず、むしろ粘度が上昇する傾向にあった。
【0048】
[実験例3]
蒸留水600mlに対して、実験例1で得た改質ベントナイト粉末を48g添加し、ハミルトンビーチミキサーで15分攪拌して改質ベントナイトスラリーを得た。このスラリーの20℃条件下における粘度をBrookfield型(B型)粘度計(型番:B8M、東京計器社製、スピンドルサイズ:ローターNo.3、No.4)により測定した。なお、サンプルの粘性に合わせて、No.3又はNo.4のローターを選定し、選定したローターを用いて60rpmと6rpmの粘性をそれぞれ測定した。
また、当該スラリーを室温で一晩静置させ、静置後のスラリーを再度ハミルトンビーチミキサーで5分間攪拌後、上記と同様にしてB型粘度計により粘度を測定した。結果を下記表3に示す。
【0049】
[実験例4]
実験例3においてB型粘度計により粘度を測定したスラリー(一晩静置前のスラリー)のうち200g分を、下記マイクロ波加熱条件でマイクロ波反応装置に1回送液して加熱した。その後、実験例3と同様にしてB型粘度計により粘度を測定した。結果を下記表3に示す。
-マイクロ波加熱条件-
装置:マイクロ波反応装置MR-2G-100、凌和電子社製
加熱電力:42W
サンプル温度:約87℃
テフロン(登録商標)チューブ径:φ1mm
送液量:7g/min
【0050】
[参考例2-1]
参考例1-1において、ファンネル粘度の測定に代えて、B型粘度計により粘度を測定した。結果を下記表3に示す。
【0051】
[参考例2-2]
上記実験例4と同様にして加熱処理を行い、ファンネル粘度の測定に代えて、B型粘度計により粘度を測定した以外は、参考例1-2と同様とした。結果を下記表3に示す。
【0052】
【0053】
実験例3、及び実験例4の改質ベントナイトスラリーは、予め三本ロールミルによりせん断力を加えた改質ベントナイト粉末を用いていることにより、三本ロールミルによるせん断力を加えていない参考例2-1及び参考例2-2の非改質ベントナイト粉末のスラリーよりも、スラリー調製後(未加熱)において粘度が大きく低下した。
また、実験例3の結果が示す通り、ベントナイト水分散体を室温で一晩静置させても、三本ロールミルによるせん断力を加えていない非改質ベントナイト粉末のスラリーを室温で一晩静置させた参考例2-1と比較して、粘度は低いままであった。
他方、実験例4の結果が示す通り、改質ベントナイトスラリーは、マイクロ波照射によりサンプル温度が87℃となるように加熱することにより、三本ロールミルによるせん断力を加えていない非改質ベントナイト粉末のスラリーをマイクロ波照射によりサンプル温度が87℃となるように加熱した参考例2-2と比較して、粘度が大きく増加した。
【0054】
[実験例5]
原料ベントナイト粉末として、上記ベントナイト粉末Aに代えて、上記ベントナイト粉末Bを用いた以外は、実験例1と同様にして改質ベントナイトスラリーを得た。このスラリーについて、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表4に示す。
【0055】
[実験例6]
原料ベントナイト粉末として、上記ベントナイト粉末Aに代えて、上記ベントナイト粉末Bを用いた以外は、実験例1と同様にして改質ベントナイトスラリーを得た。このスラリーを実験例2と同様にして加熱処理して、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表4に示す。
【0056】
[参考例3-1]
原料ベントナイト粉末として、上記ベントナイト粉末Aに代えて、上記ベントナイト粉末Bを用いた以外は、参考例1-1と同様にしてベントナイトスラリーを得た。このスラリーについて、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表4に示す。
【0057】
[参考例3-2]
原料ベントナイト粉末として、上記ベントナイト粉末Aに代えて、上記ベントナイトBを用いた以外は、参考例1-1と同様にしてベントナイトスラリーを得た。このスラリーを参考例1-2と同様にして加熱処理して、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表4に示す。
【0058】
【0059】
原料ベントナイト粉末としてベントナイト粉末Aを用いた場合と同様に、クリストバライトを主要夾雑鉱物とするベントナイト粉末Bを用いることにより、ベントナイト粉末Aを用いた実験例1、実験例2、参考例1-1及び参考例1-2と同様の結果が示された。すなわち、実験例5及び実験例6の改質ベントナイトスラリーは、予め三本ロールミルによりせん断力を加えた改質ベントナイト粉末を用いることにより、スラリーのファンネル粘度がより低いものとなり、その後、80℃の温度条件下で一晩静置させると、実験例6の結果が示す通り、ファンネル粘度が大きく高められた。
【0060】
[比較例4-1]
原料ベントナイト粉末として、上記ベントナイト粉末Aに代えて、上記ベントナイト粉末Cを用いた以外は、実験例1と同様にしてベントナイトスラリーを得た。このスラリーについて、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表5に示す。
【0061】
[比較例4-2]
原料ベントナイト粉末として、上記ベントナイト粉末Aに代えて、上記ベントナイト粉末Cを用いた以外は、実験例1と同様にしてベントナイトスラリーを得た。このスラリーを実験例2と同様にして加熱処理して、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表5に示す。
【0062】
[参考例4-1]
原料ベントナイト粉末として、上記ベントナイト粉末Aに代えて、上記ベントナイト粉末Cを用いた以外は、参考例1-1と同様にしてベントナイトスラリーを得た。このスラリーについて、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表5に示す。
【0063】
[参考例4-2]
原料ベントナイト粉末として、上記ベントナイト粉末Aに代えて、上記ベントナイト粉末Cを用いた以外は、参考例1-1と同様にしてベントナイトスラリーを得た。このスラリーを参考例1-2と同様にして加熱処理して、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表5に示す。
【0064】
[比較例4-3]
原料ベントナイト粉末として、上記ベントナイト粉末Aに代えて、上記ベントナイト粉末Dを用いた以外は、実験例1と同様にしてベントナイトスラリーを得た。このスラリーについて、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表5に示す。
【0065】
[比較例4-4]
原料ベントナイト粉末として、上記ベントナイト粉末Aに代えて、上記ベントナイト粉末Dを用いた以外は、実験例1と同様にしてベントナイトスラリーを得た。このスラリーを実験例2と同様にして加熱処理して、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表5に示す。
【0066】
[参考例4-3]
原料ベントナイト粉末として、上記ベントナイト粉末Aに代えて、上記ベントナイト粉末Dを用いた以外は、参考例1-1と同様にしてベントナイトスラリーを得た。このスラリーについて、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表5に示す。
【0067】
[参考例4-4]
原料ベントナイト粉末として、上記ベントナイト粉末Aに代えて、上記ベントナイト粉末Dを用いた以外は、参考例1-1と同様にしてベントナイトスラリーを得た。このスラリーを参考例1-2と同様にして加熱処理して、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表5に示す。
【0068】
[比較例4-5]
原料ベントナイト粉末として、上記ベントナイト粉末Aに代えて、上記ベントナイト粉末Eを用いた以外は、実験例1と同様にしてベントナイトスラリーを得た。このスラリーについて、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表5に示す。
【0069】
[比較例4-6]
原料ベントナイト粉末として、上記ベントナイト粉末Aに代えて、上記ベントナイト粉末Eを用いた以外は、実験例1と同様にしてベントナイトスラリーを得た。このスラリーを実験例2と同様にして加熱処理して、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表5に示す。
【0070】
[参考例4-5]
原料ベントナイト粉末として、上記ベントナイト粉末Aに代えて、上記ベントナイト粉末Eを用いた以外は、参考例1-1と同様にしてベントナイトスラリーを得た。このスラリーについて、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表5に示す。
【0071】
[参考例4-6]
原料ベントナイト粉末として、上記ベントナイト粉末Aに代えて、上記ベントナイト粉末Eを用いた以外は、参考例1-1と同様にしてベントナイトスラリーを得た。このスラリーを参考例1-2と同様にして加熱処理して、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表5に示す。
【0072】
【0073】
主要夾雑鉱物として石英を含有するベントナイト粉末(ベントナイト粉末C、ベントナイト粉末D、ベントナイト粉末E)を原料ベントナイト粉末とし、これに改質処理を施して、比較例4-1~4-6のベントナイトスラリーを調製したところ、これらは参考例4-1~4-6のベントナイトスラリーよりもファンネル粘度が低下した。
一方で、比較例4-2、4-4、及び4-6のベントナイトスラリーを80℃の温度条件下で一晩静置させても、参考例4-2、4-4、及び4-6と比較して、ファンネル粘度は高められなかった。
【0074】
[比較例5-1]
原料ベントナイト粉末として、上記ベントナイト粉末Aに代えて、上記ベントナイト粉末Fを用いた以外は、実験例1と同様にしてベントナイトスラリーを得た。このスラリーについて、ファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表6に示す。
【0075】
[比較例5-2]
原料ベントナイト粉末として、上記ベントナイト粉末Aに代えて、上記ベントナイト粉末Fを用いた以外は、実験例1と同様にしてベントナイトスラリーを得た。このスラリーを実験例2と同様にして加熱処理して、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表6に示す。
【0076】
[参考例5-1]
原料ベントナイト粉末として、上記ベントナイト粉末Aに代えて、上記ベントナイト粉末Fを用いた以外は、参考例1-1と同様にしてベントナイトスラリーを得た。このスラリーについて、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表6に示す。
【0077】
[参考例5-2]
原料ベントナイト粉末として、上記ベントナイト粉末Aに代えて、上記ベントナイト粉末Fを用いた以外は、参考例1-1と同様にしてベントナイトスラリーを得た。このスラリーを参考例1-2と同様にして加熱処理して、上記と同様にしてファンネル粘度、pH及び導電率を測定した。結果を下記表6に示す。
【0078】
【0079】
主要夾雑鉱物としてクリストバライトを含有するベントナイト粉末であって、膨潤力が17ml/2gである上記ベントナイト粉末Fを原料ベントナイト粉末とし、これに改質処理を施して、比較例5-1及び5-2のベントナイトスラリーを調製したところ、これらは参考例5-1及び5-2のベントナイトスラリーよりも、ファンネル粘度がむしろ増加することがわかった。また、比較例5-1及び5-2のベントナイトスラリーを室温、又は80℃の温度条件下で一晩静置させた場合、粘度はやや上昇するに留まるものであった。