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特開2024-57433配達ワーク提供装置、及び配達ワーク提供方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057433
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】配達ワーク提供装置、及び配達ワーク提供方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240417BHJP
   G06Q 10/083 20230101ALI20240417BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/08 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164170
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 学
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
5L049CC11
5L049CC51
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】配達ワークの情報を、配達ワークの受託を希望する広範囲の利用者に効率良く提供して、配達ワークの依頼者と受託者のマッチングをサポートする。
【解決手段】配達ワーク提供装置1は、配達ワークステーションに一時的に保管されている荷物の配達ワークに関する情報であって、配達ワークステーションから荷物の配達先までの距離又は配達ワークステーションから荷物の配達先までの配達に要する予想時間を含む配達ワーク情報Dwiを生成する配達ワーク情報生成部11と、配達ワークの受託を希望する利用者Uにより使用される端末装置50に、配達ワーク情報Dwiを送信する処理、又は前記荷物に備えられた第1表示部に配達ワーク情報を表示する処理、を実行する配達ワーク情報提供部12と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物流業者から委託される配達ワークに関する情報であって、前記配達ワークによる配達対象である荷物が一時的に保管されて、前記配達ワークの受託者が前記荷物を預かる配達ワークステーションから前記荷物の配達先までの距離、又は前記配達ワークステーションから前記荷物の配達先までの配達に要する予想時間を含む、配達ワーク情報を生成する配達ワーク情報生成部と、
前記配達ワークの受託を希望する利用者により使用される端末装置に、前記配達ワーク情報を送信する処理、又は前記荷物に備えられた第1表示部に前記配達ワーク情報を表示する処理、を実行する配達ワーク情報提供部と、
を備える配達ワーク提供装置。
【請求項2】
前記配達ワークステーションにおいて、前記荷物は、前記荷物を個別に収容する複数の鍵付きボックスを有する荷物ロッカーに保管され、
前記配達ワークを受託した前記利用者により使用される前記端末装置に対して、受託された前記配達ワークに対応した前記荷物を収容して施錠されている前記鍵付きボックスを解錠するための解錠情報を送信する入出荷管理部を備える
請求項1に記載の配達ワーク提供装置。
【請求項3】
前記鍵付きボックスは第2表示部を有し、
前記入出荷管理部は、前記荷物を収容している前記鍵付きボックスについて、収容されている前記荷物に対応した前記配達ワーク情報に応じた表示態様で、前記第2表示部を表示させることを指示するボックス表示指示情報を、前記荷物ロッカーに送信する
請求項2に記載の配達ワーク提供装置。
【請求項4】
前記配達ワークステーションはシェアモビリティの待機ステーションから第1所定距離以内に位置しており、
前記配達ワーク情報生成部は、前記待機ステーションの情報を含む前記配達ワーク情報を生成する
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の配達ワーク提供装置。
【請求項5】
前記配達ワークステーションに保管されている前記荷物の数が、前記待機ステーションで待機している前記シェアモビリティの数を上回った場合に、前記待機ステーションにおける前記配達ワークの受託を伴わない前記シェアモビリティの利用の受け付けを停止するシェアモビリティ利用受付停止部を備える
請求項4に記載の配達ワーク提供装置。
【請求項6】
前記配達ワークステーションと前記待機ステーションは、集合住宅から第2所定距離以内に位置し、
前記シェアモビリティは、前記集合住宅に居住する前記利用者によって共用される
請求項4に記載の配達ワーク提供装置。
【請求項7】
前記シェアモビリティは、交換式のバッテリを動力源とし、
前記配達ワークステーションは、前記バッテリの交換サービスを提供するバッテリ交換ステーションから第3所定距離以内に位置している
請求項4に記載の配達ワーク提供装置。
【請求項8】
前記端末装置から送信される、前記利用者が前記配達ワークステーションで前記荷物を受け取って前記配達ワークを開始する予定時刻である予定開始時刻を含んで、前記配達ワークの受託を申し込む配達ワーク申込情報を取得する配達ワーク申込受付部と、
前記配達ワーク申込受付部により、同一の前記配達ワークである競合配達ワークに対して、前記利用者である第1利用者及び第2利用者についての前記配達ワーク申込情報が取得され、前記第1利用者についての前記配達ワーク申込情報が取得された後、前記第1利用者についての前記配達ワーク申込情報に含まれる前記予定開始時刻よりも所定時間前の時刻以前に、前記配達ワークステーションに位置する前記端末装置から送信された前記第2利用者についての前記配達ワーク申込情報が取得されたときには、前記第2利用者を、前記競合配達ワークの受託者として決定する配達ワーク受託者決定部と、を備える
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の配達ワーク提供装置。
【請求項9】
前記端末装置から送信した前記配達ワーク申込情報が、前記配達ワーク申込受付部により取得された前記利用者である申込済利用者が、前記配達ワークステーションに向かっていることを認識する申込済利用者接近認識部を備え、
前記配達ワーク受託者決定部は、前記申込済利用者接近認識部により前記申込済利用者が前記配達ワークステーションに向かっていることが認識された時は、前記申込済利用者を、前記配達ワークの受託者として決定する
請求項8に記載の配達ワーク提供装置。
【請求項10】
コンピュータにより実行される配達ワーク提供方法であって、
物流業者から委託される配達ワークに関する情報であって、前記配達ワークによる配達対象である荷物が一時的に保管されて、前記配達ワークの受託者が前記荷物を預かる配達ワークステーションから、前記荷物の配達先までの距離又は前記配達ワークステーションから前記荷物の配達先までの配達に要する予想時間を含む、配達ワーク情報を生成する配達ワーク情報生成ステップと、
前記配達ワークの受託を希望する利用者により使用される端末装置に前記配達ワーク情報を送信する処理、又は前記荷物に備えられた第1表示部に前記配達ワーク情報を表示する処理、を実行する配達ワーク情報提供ステップと、
を含む配達ワーク提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配達ワーク提供装置、及び配達ワーク提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、近年、交通参加者の中でも脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて、移動体のシェアリングに関する研究開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力されている。
例えば、特許文献1には、シェアカーの利用者に対して、シェアカーのステーションから目的部までの往路、或いは目的地からステーションに戻る復路の途中で対応が可能な、荷物の配達ワークの情報を提供する車両サービス提供装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-112872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、移動体のシェアリングにおいては、シェアされる移動体をより有効に活用することが望まれる。この点、上記従来技術では、配達ワークの情報が提供される対象が、シェアカーによる移動の途中で荷物の配達ワークに対応することができる利用者に限定される。そのため、配達ワークの情報を、配達ワークの受託を希望する広範囲の利用者に効率良く提供して、配達ワークの依頼者と受託者のマッチングをサポートすることが課題である。
本願は上記課題の解決のため、配達ワークの情報を、配達ワークの受託を希望する広範囲の利用者に効率良く提供して、配達ワークの依頼者と受託者のマッチングをサポートする配達ワーク提供装置、及び配達ワーク提供方法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための第1態様として、物流業者から委託される配達ワークに関する情報であって、前記配達ワークによる配達対象である荷物が一時的に保管されて、前記配達ワークの受託者が前記荷物を預かる配達ワークステーションから前記荷物の配達先までの距離、又は前記配達ワークステーションから前記荷物の配達先までの配達に要する予想時間を含む、配達ワーク情報を生成する配達ワーク情報生成部と、前記配達ワークの受託を希望する利用者により使用される端末装置に、前記配達ワーク情報を送信する処理、又は前記荷物に備えられた第1表示部に前記配達ワーク情報を表示する処理、を実行する配達ワーク情報提供部と、を備える配達ワーク提供装置が挙げられる。
【0006】
上記配達ワーク提供装置において、前記配達ワークステーションにおいて、前記荷物は、前記荷物を個別に収容する複数の鍵付きボックスを有する荷物ロッカーに保管され、前記配達ワークを受託した前記利用者により使用される前記端末装置に対して、受託された前記配達ワークに対応した前記荷物を収容して施錠されている前記鍵付きボックスを解錠するための解錠情報を送信する入出荷管理部を備える、構成としてもよい。
【0007】
上記配達ワーク提供装置において、前記鍵付きボックスは第2表示部を有し、前記入出荷管理部は、前記荷物を収容している前記鍵付きボックスについて、収容されている前記荷物に対応した前記配達ワーク情報に応じた表示態様で、前記第2表示部を表示させることを指示するボックス表示指示情報を、前記荷物ロッカーに送信する、構成としてもよい。
【0008】
上記配達ワーク提供装置において、前記配達ワークステーションはシェアモビリティの待機ステーションから第1所定距離以内に位置しており、前記配達ワーク情報生成部は、前記待機ステーションの情報を含む前記配達ワーク情報を生成する、構成としてもよい。
【0009】
上記配達ワーク提供装置において、前記配達ワークステーションに保管されている前記荷物の数が、前記待機ステーションで待機している前記シェアモビリティの数を上回った場合に、前記待機ステーションにおける前記配達ワークの受託を伴わない前記シェアモビリティの利用の受け付けを停止するシェアモビリティ利用受付停止部を備える、構成としてもよい。
【0010】
上記配達ワーク提供装置において、前記と前記待機ステーションは、集合住宅から第2所定距離以内に位置し、配達ワークステーション前記シェアモビリティは、前記集合住宅に居住する前記利用者によって共用される、構成としてもよい。
【0011】
上記配達ワーク提供装置において、前記シェアモビリティは、交換式のバッテリを動力源とし、前記配達ワークステーションは、前記バッテリの交換サービスを提供するバッテリ交換ステーションから第3所定距離以内に位置している、構成としてもよい。
【0012】
上記配達ワーク提供装置において、前記端末装置から送信される、前記利用者が前記配達ワークステーションで前記荷物を受け取って前記配達ワークを開始する予定時刻である予定開始時刻を含んで、前記配達ワークの受託を申し込む配達ワーク申込情報を取得する配達ワーク申込受付部と、前記配達ワーク申込受付部により、同一の前記配達ワークである競合配達ワークに対して、前記利用者である第1利用者及び第2利用者についての前記配達ワーク申込情報が取得され、前記第1利用者についての前記配達ワーク申込情報が取得された後、前記第1利用者についての前記配達ワーク申込情報に含まれる前記予定開始時刻よりも所定時間前の時刻以前に、前記配達ワークステーションに位置する前記端末装置から送信された前記第2利用者についての前記配達ワーク申込情報が取得されたときには、前記第2利用者を、前記競合配達ワークの受託者として決定する配達ワーク受託者決定部と、を備える、構成としてもよい。
【0013】
上記配達ワーク提供装置において、前記端末装置から送信した前記配達ワーク申込情報が、前記配達ワーク申込受付部により取得された前記利用者である申込済利用者が、前記配達ワークステーションに向かっていることを認識する申込済利用者接近認識部を備え、前記配達ワーク受託者決定部は、前記申込済利用者接近認識部により前記申込済利用者が前記配達ワークステーションに向かっていることが認識された時は、前記申込済利用者を、前記配達ワークの受託者として決定する、構成としてもよい。
【0014】
上記目的を達成するための第2態様として、コンピュータにより実行される配達ワーク提供方法であって、物流業者から委託される配達ワークに関する情報であって、前記配達ワークによる配達対象である荷物が一時的に保管されて、前記配達ワークの受託者が前記荷物を預かる配達ワークステーションから、前記荷物の配達先までの距離又は前記配達ワークステーションから前記荷物の配達先までの配達に要する予想時間を含む、配達ワーク情報を生成する配達ワーク情報生成ステップと、前記配達ワークの受託を希望する利用者により使用される端末装置に前記配達ワーク情報を送信する処理、又は前記荷物に備えられた第1表示部に前記配達ワーク情報を表示する処理、を実行する配達ワーク情報提供ステップと、を含む配達ワーク提供方法が挙げられる。
【発明の効果】
【0015】
上記配達ワーク提供装置によれば、配達ワークの情報を、配達ワークの受託を希望する広範囲の利用者に効率良く提供して、配達ワークの依頼者と受託者のマッチングをサポートすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、配達ワーク提供装置による配達ワークの提供の態様の説明図である。
図2図2は、配達ワーク提供装置の構成図である。
図3図3は、配達ワーク情報の説明図である。
図4図4は、配達ワークの受付と受託者の決定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[1.配達ワークの提供の態様]
図1を参照して、本実施形態の配達ワーク提供装置1による配達ワークの提供の態様について説明する。配達ワーク提供装置1は、配達ワークステーション80に一時的に保管された荷物を所定の配達先まで配達する配達ワークの情報を、配達ワークの受託を希望する利用者Uに提供して、配達ワークと利用者Uをマッチングさせる処理を行う。配達ワークは物流業者から委託され、配達ワークによる配達対象である荷物が、物流業者によって配達ワークステーション80に持ち込まれて保管される。
【0018】
配達ワークステーション80は、利用者Uが居住する集合住宅71の敷地70内に位置している。配達ワークステーション80には、配達ワークステーション80における荷物の入荷と出荷の管理等を行う端末装置81と、荷物が保管される荷物ロッカー40が備えられている。荷物ロッカー40には、無人による荷物の受け渡しに対応するための複数の鍵付きボックス41が備えられている。鍵付きボックス41への荷物の収容は、配達ワークステーション80のスタッフSにより、或いは移載装置85により行われる。
【0019】
各鍵付きボックス41には、吹き出しBで示したように、透明の扉41aと表示部41b(本開示の第2表示部に相当する)が設けられている。さらに、荷物ロッカー40には、制御ユニット42と操作部43が備えられている。操作部43は、利用者Uによる鍵付きボックス41の解錠操作(暗唱番号の入力、バーコード等の識別コードの提示)を受け付ける。制御ユニット42は、各鍵付きボックス41について、施錠と解錠の制御、及び収容されている荷物(後述するパッケージボックス82)に対応した配達ワークの条件(配達距離、予想配達時間等)に応じて表示部41bの表示態様を変更する制御を実行する。
【0020】
敷地70内には、シェアリングにより複数の利用者によって共用されるバッテリ交換式の電動バイク61の待機施設である待機ステーション60と、電動バイク61の交換用のバッテリが収容されたバッテリ交換ステーション90が設置されている。電動バイク61は、本開示のシェアモビリティに相当する。利用者Uは、待機ステーション60で電動バイク61の借入と返却を行い、必要に応じてバッテリ交換ステーション90で電動バイク61のバッテリを交換する。バッテリ交換ステーション90には、複数のバッテリ91が収容されており、充電装置92によりバッテリ91が充電される。
【0021】
このように、配達ワークステーション80は、集合住宅71の敷地70内の待機ステーション60及びバッテリ交換ステーション90の付近に設置されている。そのため、集合住宅71に居住する利用者Uは、空き時間があるときに、待機ステーション60で電動バイク61を借り、配達ワークステーション80で荷物の配達ワークを受託して、電動バイク61により配達を行うことで、手軽に報酬を得ることができる。
【0022】
配達ワーク提供装置1は、通信ネットワーク150を介して、物流業者サーバー100、カーシェアリングサーバー110、利用者Uに使用される利用者端末50、配達ワークステーション80で使用される端末装置81、電動バイク61に装備された端末装置、及び荷物ロッカー40の制御ユニット42との間で通信を行う。利用者端末50、端末装置81、及び電動バイク61に装備された端末装置は、本開示の利用者により使用される端末装置に相当する。利用者端末50は、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末等である。端末装置81は、ノートパソコン、デスクトップパソコン、タブレット端末等である。電動バイク61に装備された端末装置は、タッチパネル等の利用者Uに視認される表示部と利用者Uによる操作を受け付ける操作部を有する。
【0023】
配達ワーク提供装置1は、配達ワークステーション80に保管されている荷物、及びこれから集荷されて配達ワークステーション80に到着する荷物に関する集配荷物情報Bgiを、物流業者サーバー100から受信して取得する。また、配達ワーク提供装置1は、待機ステーション60における電動バイク61の利用状況に関するシェアカー情報Sciを、カーシェアリングサーバー110から受信して取得する。
【0024】
配達ワーク提供装置1は、集配荷物情報Bgiに基づいて、配達ワークステーション80を起点として、短時間(例えば1時間以内)で配達を完了すると見込まれる荷物をまとめて、配達経路を設定した配達パッケージを示す配達ワーク情報Dwiを生成する。図1では、配達ワークステーション80を起点として、6箇所の配達先200,201,202,203,204,205への配達を配達パッケージとした例を示している。
【0025】
配達ワークステーション80のスタッフSは、配達ワーク情報Dwiにより示される複数の配達先への荷物をまとめて、1つパッケージボックス82に収容し、パッケージボックス82に配達ワーク情報Dwiに対応した管理コードを含む配達票82aを貼付する。配達票82aには、配達パッケージによる各荷物の内容と配達先が、配達順に示されている。そして、スタッフSは、パッケージボックス82を、荷物ロッカー40の空いている鍵付きボックス41に収容して施錠する。荷物ロッカー40の制御ユニット42は、パッケージボックス82に紐づけられた配達ワーク情報Dwiと、パッケージボックス82が収容された鍵付きボックス41の識別情報とを関連付けた、収容ボックス情報を配達ワーク提供装置1に送信する。
【0026】
また、上述した、配達ワークステーション80における複数の配達先への荷物をまとめて1つのパッケージボックス82に収容する処理と、パッケージボックス82に配達票を貼付する処理を、スタッフSによる人手によるものではなく、仕分け装置により無人で行ってもよい。この場合は、パッケージボックス82の荷物ロッカー40への収容を、移載装置85により行うことによって、配達ワークステーション80を無人で運営することができる。
【0027】
利用者Uは、配達ワーク提供装置1により提供される配達ワークアプリを、利用者端末50にダウンロードして実行し、配達ワーク提供装置1への会員登録を行う。配達ワーク提供装置1への会員登録により、利用者Uは、配達ワークアプリを使用して、待機ステーション60での電動バイク61の利用の予約と、配達ワーク提供装置1に対する配達ワークの申込を行うことができる。また、利用者Uは、配達ワークアプリにより、配達ワーク提供装置1から利用者端末50に送信される解錠情報を確認し、解錠情報を荷物ロッカー40の操作部43に入力することによって、受託した配達ワークに対応したパッケージボックス82が収容されている鍵付きボックス41を解錠することができる。また、電動バイク61に端末装置が装備されている場合には、利用者Uは、電動バイク61に装備された端末装置を操作して、配達ワークの申込を行うことができる。
【0028】
利用者Uは、以下の(1)~(12)の手順により、配達ワークを受託して、シェアカーである電動バイク61による配達を行って報酬を得る。
(1)利用者Uは、配達ワークアプリにより、配達ワーク提供装置1へのユーザー登録を行う。
(2)利用者Uは、配達ワークアプリにより、配達ワークを受ける配達ワークステーションを選定する。利用者Uは、例えば、住居から最も近い配達ワークステーション、若しくは希望する地点の所在する配達ワークステーションを選定する。
(3)利用者Uは、配達ワークアプリにより、配達ワーク情報Dwiにより表示される、自身の空き時間内で対応可能な配達ワークを探索し、対応可能な配達ワークの申込と、配達ワークに使用する電動バイク61の予約を行う。
(4)利用者Uは、申し込んだ配達ワークの実施タイミングになった時に、待機ステーション60に行き、配達ワークアプリにより指示されている電動バイク61を借り受けて、配達ワークステーション80に向かう。
【0029】
(5)利用者Uは、配達ワークステーション80で、申し込んだ配達ワークに対応したパッケージボックス82を、配達ワークステーション80のスタッフSから受け取る。又は、パッケージボックス82が収容されている荷物ロッカー40の鍵付きボックス41を、利用者Uが、配達ワークアプリの機能により解錠して、鍵付きボックス41からパッケージボックス82を取り出して受け取るようにしてもよい。また、配達ワークステーション80と待機ステーション60が隣接している場合、パッケージボックス82が既に電動バイク61にセットされた状態で、利用者Uに電動バイク61を引き渡すようにしてもよい。
【0030】
(6)利用者Uは、配達ワークアプリにより案内される配達ルートに従って、電動バイク61により移動しながら、パッケージされた各荷物を、配達先に順次配達する。
(7)利用者Uは、各配達先への配達が完了した時に、荷物に付されたバーコード等の識別コードを、配達ワークアプリにより読み取って配達完了報告操作を行うことにより、配達完了情報を配達ワーク提供装置1に送信する。
(8)利用者Uは、受取人の不在により配達が不可であった荷物については、荷物の識別コードを、配達ワークアプリにより読み取って、不在報告操作を行うことより、不在情報を配達ワーク提供装置1に送信する。この場合、利用者Uは、配達できなかった荷物を配達ワークステーション80に持ち帰る。
【0031】
(9)利用者Uは、パッケージされた全ての荷物についての配達対応を終えた後、配達ワークステーション80に戻る。
(10)利用者Uは、配達ワークステーション80で、空になった、若しくは受取人の不在により持ち帰った荷物が入ったパッケージボックス82を、スタッフSに渡す、又は荷物ロッカー40の空いている鍵付きボックス41に収容して、返却する。
(11)利用者Uは、配達ワークステーション80から待機ステーション60に移動して、電動バイク61を返却する。
(12)利用者Uは、配達ワーク提供装置1又は物流業者サーバー100による処理により、配達ワークの受託に対する報酬を受け取る。
【0032】
配達ワーク提供装置1は、配達ワーク情報Dwiを、利用者Uの利用者端末50、及び配達ワークステーション80の端末装置81に対して送信する。利用者Uは、利用者端末50により実行される配達ワークアプリによって、配達ワーク情報Dwiを確認して、配達ワークの申込操作を行うことで、配達ワークの申込を申請する配達ワーク申込情報Dwaを、配達ワーク提供装置1に送信する。配達ワーク提供装置1は、配達ワーク申込情報Dwaに基づいて、利用者Uを配達ワークの受託者として決定する。
【0033】
また、利用者Uは、配達ワークステーション80の端末装置81によって、配達ワーク情報Dwiによる配達ワークの内容を確認することができ、端末装置81を操作して配達ワーク申込情報Dwaを配達ワーク提供装置1に送信することもできる。なお、利用者Uは、自身が所有する電動バイク等のモビリティを使用して配達ワークを行うこともでき、この場合は、待機ステーション60での電動バイク61の借り受けは不要である。
【0034】
[2.配達ワーク提供装置の構成]
図2を参照して、配達ワーク提供装置1の構成について説明する。配達ワーク提供装置1は、プロセッサ10、メモリ20、通信ユニット30等を備えたコンピュータシステムである。配達ワーク提供装置1を通信ユニット30により、通信ネットワーク150を介して、物流業者サーバー100、カーシェアリングサーバー110、利用者端末50等との間で通信を行う。
【0035】
メモリ20には、配達ワーク提供装置1の制御用のプログラム21、配達ワークステーション80を起点とする配達エリアを含む範囲の地図データ22、配達ワークステーション80を起点として実施された過去の配達の履歴が記録された配達履歴データ23等が保存されている。配達履歴データ23には、過去に実施された配達の所要時間が含まれる。
【0036】
プロセッサ10は、プログラム21を読み込んで実行することにより、配達ワーク情報生成部11、配達ワーク情報提供部12、シェアモビリティ利用受付停止部13、配達ワーク申込受付部14、申込済利用者接近認識部15、配達ワーク受託者決定部16、及び入出荷管理部17として機能する。
【0037】
配達ワーク情報生成部11により実行される処理は、本開示の配達ワーク情報生成ステップに相当し、配達ワーク情報提供部12により実行される処理は、本開示の配達ワーク情報提供ステップに相当する。
【0038】
配達ワーク情報生成部11は、物流業者サーバー100から送信される集配荷物情報Bgiに基づいて、配達ワーク情報Dwiを生成する。集配荷物情報Bgiには、配達ワークステーション80に一時的に保管されている配達対象の各荷物の種別、サイズ、重量、配達先、配達期限の日時等の情報が含まれる。
【0039】
配達ワーク情報生成部11は、集配荷物情報Bgiから認識した各荷物の情報に基づいて、配達ワークステーション80を起点として、所定時間(例えば1時間)以内に配達を完了することができるように、複数の荷物をまとめてパッケージ化した配達ワークを設定する。そして、配達ワーク情報生成部11は、配達ワークの内容を示す配達ワーク情報Dwiを生成する。
【0040】
図3に示したように、配達ワーク情報Dwiには、配達ワークの管理コード、パッケージ化された各荷物の荷物コード、荷物情報(種別、サイズ、重量等)、配達先、地図データ22から認識される配達距離、配達距離及び配達履歴データによる過去に実施された配達の所要時間に基づく予想配達時間、配達制限日時、申込状況、及び配達状況が含まれる。なお、配達距離と予想配達時間のいずれか一方のみを、配達ワーク情報Dwiに含めるようにしてもよい。
【0041】
配達ワーク情報提供部12は、配達ワーク情報生成部11により生成された配達ワーク情報Dwiを、利用者端末50と配達ワークステーション80の端末装置81に送信する。利用者Uは、利用者端末50で実行される配達ワークアプリにより、配達ワーク情報Dwiを確認し、自身の空き時間にマッチする配達ワークがある場合に、配達ワークの申込を申請する配達ワーク申込情報Dwaを、配達ワーク提供装置1に送信する。
【0042】
また、配達ワーク情報提供部12が、パッケージボックス82に備えられた表示部(本開示の第1表示部に相当する)に配達ワーク情報Dwiを表示するようにしてもよい。表示部は、通信機能を有して、配達ワーク情報提供部12から送信される配達ワーク情報Dwiを受信して表示するものであってもよい。また、配達ワークステーション80における配達物の仕分けが仕分け装置によって行われる場合は、仕分け装置により配達ワーク情報Dwiをパッケージボックス82に印字若しくは配達ワーク情報Dwiが印字されたシールを貼付するようにしてもよい。パッケージボックス82の配達ワーク情報Dwiが印字された箇所、及びパッケージボックス82に添付されたシールは、本開示の荷物に備えられた第1表示部に相当する。
【0043】
利用者Uは、配達ワークステーション80に行って、端末装置81により配達ワーク情報Dwiを確認するか、或いはパッケージボックス82に表示された配達ワーク情報Dwiを確認して、自身の空き時間にマッチする配達ワークがある場合に、配達ワークの申込操作をする。これにより、配達ワークの申込を申請する配達ワーク申込情報Dwaが、端末装置81から配達ワーク提供装置1に送信される。
【0044】
シェアモビリティ利用受付停止部13は、カーシェアリングサーバー110から送信されるシェアカー情報Sciを受信して、待機ステーション60における電動バイク61(シェアカー)の利用状況(貸出中、予約の有無等)を認識する。そして、シェアモビリティ利用受付停止部13は、待機ステーション60で待機している利用可能な電動バイク61の台数が、配達ワーク情報生成部11により配達ワーク情報Dwiが生成されて、申込が受付中となっている配達ワークの数以下となっているときに、電動バイク61の利用の受付を停止する。
【0045】
シェアモビリティ利用受付停止部13は、待機ステーション60における電動バイク61の利用の受付の停止を依頼する受付停止依頼情報を、カーシェアリングサーバー110に送信する。物流業者サーバー100は、受付停止依頼情報の受信に応じて、待機ステーション60における電動バイク61の利用受付を停止する。これにより、受付中となっている配達ワークを実施するための電動バイク61の利用が確保されるようにしている。
【0046】
配達ワーク申込受付部14は、利用者端末50又は端末装置81から送信される配達ワーク申込情報Dwaを受信して、利用者Uによる配達ワークの申込を受け付ける。申込済利用者接近認識部15は、配達ワーク申込受付部14により配達ワークの申込が受けられた利用者Uである、申込済利用者Uを対象として、利用者端末50から定期的に送信される、利用者端末50の現在位置(利用者Uの現在位置とみなされる)を示す利用者位置情報Upiを受信して、申込済利用者Uの現在位置を認識する。利用者端末50の現在位置は、利用者端末50に備えられたGNSS(Global Navigation Satellite System)センサによって検出される。そして、申込済利用者接近認識部15は、利用者位置情報Upiから把握される申込済利用者Uの現在位置の変化から、申込済利用者Uが配達ワークステーション80に接近していることを認識する。
【0047】
配達ワーク受託者決定部16は、詳細は後述するが、配達ワーク申込受付部14により、同一の配達ワークに対して、複数の利用者Uからの申込があった場合に、配達ワークを開始する予定日時が最も早い利用者Uを、配達ワークを依頼する受託者として決定する。また、配達ワーク受託者決定部16は、申込済利用者接近認識部15により、配達ワークステーション80に接近していることが認識された申込済利用者Uを、配達ワークの受託者として決定する。これにより、既に配達ワークを実施するための行動を開始している利用者Uを、配達ワークの受託者として優先的に決定することができる。
【0048】
入出荷管理部17は、荷物ロッカー40の制御ユニット42から送信される収容ボックス情報を受信することによって、荷物ロッカー40の各鍵付きボックス41に保管されているパッケージボックス82を管理する。入出荷管理部17は、配達ワーク受託者決定部16により、配達ワークの受託者が決定されたときに、受託者により使用される利用者端末50に対して、配達ワークの対象であるパッケージボックス82が収容されている鍵付きボックス41を解錠するための解錠情報を送信する。解錠情報は、例えば、パスワード、バーコート等の識別コードである。
【0049】
受託者は、解錠情報を受信した利用者端末50で、配達ワークアプリにより解錠情報を表示させて、荷物ロッカー40の操作部43に解錠情報を入力(パスワードの入力、バーコード等の識別コードの読み込み等)することにより、鍵付きボックス41を解錠してパッケージボックス82を受け取ることができる。また、入出荷管理部17は、パッケージボックス82を収容している鍵付きボックス41について、収容されているパッケージボックス82に対応した配達ワーク情報Dwiに応じた表示態様で、表示部41bを表示させることを指示するボックス表示指示情報を、荷物ロッカー40の制御ユニット42に送信する。
【0050】
配達ワーク情報Dwiに応じた表示態様として、例えば、配達距離の長さに応じて或いは予想配達時間の長さに応じて、表示部41bの輝度を高くする、色を変更する、表示部41bがバー表示である場合は表示範囲の長さを変更する、等が設定される。制御ユニット42は、ボックス表示指示情報に応じて、鍵付きボックス41の表示部41bの表示態様を制御する。配達ワークステーション80を訪れた利用者Uは、鍵付きボックス41の表示部41bの表示態様を確認することにより、鍵付きボックス41に収容されているパッケージボックス82について、設定されている配達ワークの条件(配達距離、予想配達時間)を直感的に認識することができる。
【0051】
[3.配達ワークの受付と受託者の決定処理]
図4に示したフローチャートに従って、配達ワーク提供装置1により実行される配達ワークの受付と受託者の決定処理の手順について説明する。ここでは、図2に示したように、利用者Uが、利用者端末50で実行される配達ワークアプリにより、配達ワークの受託を申し込む場合について説明する。
【0052】
図4のステップS1で、配達ワーク情報提供部12は、配達ワーク情報生成部11により生成された配達ワーク情報Dwiを、利用者端末50と端末装置81に送信して、配達ワークの申込の受付を開始する。続くステップS2で、配達ワーク申込受付部14は、利用者端末50から配達ワーク申込情報Dwa受信したときにステップS10に処理を進め、利用者端末50から配達ワーク申込情報Dwaを受信しなかったときには、ステップS3に処理を進める。
【0053】
ステップS10で、配達ワーク申込受付部14は、受信した配達ワーク申込情報Dwaをメモリ20に保存して、配達ワークの申込を受け付ける。ステップS3で、申込済利用者接近認識部15は、配達ワークステーション80に接近する申込済利用者Uの有無を判断し、配達ワークステーション80に接近する申込済利用者Uを認識したときに、ステップS20に処理を進める。一方、配達ワークステーション80に接近する申込済利用者Uを認識しなかったときには、申込済利用者接近認識部15は、ステップS4に処理を進める。
【0054】
ステップS20で、配達ワーク受託者決定部16は、申込済利用者接近認識部15により、配達ワークステーション80に接近している申込済利用者Uが認識されたときに、その申込済利用者Uを、配達ワークを依頼する受託者として決定し、ステップS32に処理を進める。ステップS4で、配達ワーク申込受付部14は、配達ワークの申込の受付期間が終了した否かを判断する。
【0055】
そして、配達ワーク申込受付部14は、受付期間が終了したときはステップS4に処理を進め、受付期間が終了していないときにはステップS2に処理を進める。受付期間は、例えば、ステップS1で配達ワーク情報Dwiの送信が開始された時点から、配達ワーク情報Dwiに含まれる配達終了設定日時(図3参照)よりも数時間前の時点までの期間に設定される。
【0056】
ステップS5で、配達ワーク受託者決定部16は、配達ワークに対する申込があったか否かを判断する。そして、配達ワーク受託者決定部16は、配達ワークに対する申込があったときはステップS30に処理を進め、配達ワークに対する申込がなかったときにはステップS6に処理を進める。
【0057】
ステップS30で、配達ワークの申込者が複数であるか否かを判断する。そして、配達ワーク受託者決定部16は、配達ワークの申込者が複数であるときはステップS40に処理を進め、配達ワーク申込情報Dwaから認識される配達ワークの予定開始日時が最も早い申込済利用者を、配達ワークの受託者として決定し、ステップS32に処理を進める。
【0058】
また、配達ワーク受託者決定部16は、配達ワーク申込受付部14により、同一の配達ワークである競合配達ワークに対して、第1利用者及び第2利用者についての配達ワーク申込情報Dwaが取得された場合に、第1利用者についての配達ワーク申込情報Dwaが取得された後、第1利用者についての配達ワーク申込情報Dwaから認識される配達ワークの予定開始時刻よりも所定時間前の時刻以前に、配達ワークステーション80を訪れた第2利用者が、配達ワークステーション80の端末装置81、利用者端末50、或いは電動バイク61に装備された端末装置を操作して競合配達ワークの受託を申し込み、第2利用者端末についての配達ワーク申込情報Dwaが、配達ワーク申込受付部14により取得された場合には、第2利用者を競合配達ワークの受託者として決定する。配達ワーク受託者決定部16は、第2利用者が配達ワークステーション80を訪れたことを、配達ワークステーション80の端末装置81により受託の申込の操作がなされたことを確認することにより、或いは、利用者端末50又は電動バイク61に装備された端末装置から送信される位置情報を確認することにより、認識する。
【0059】
ステップS31で、配達ワーク受託者決定部16は、一人だけだった申込済利用者を、配達ワークの受託者として決定する。続くステップS32で、配達ワーク受託者決定部16は、配達ワークの受託者として決定された申込済利用者Uの利用者端末50に対して、受託者として決定されてことを通知する受託決定情報を送信し、ステップS7に処理を進める。配達ワークの対象物であるパッケージボックス82が、荷物ロッカー40の鍵付きボックス41に保管されている場合は、入出荷管理部17により、配達ワークの受託者として決定された申込済利用者Uの利用者端末50に対して解錠情報が送信される。
【0060】
ステップS6で、配達ワーク受託者決定部16は、配達ワークに対する申込者がいなかったために、配達の対応が不可であることを連絡する配達不可情報を、物流業者サーバー100に送信する。配達不可情報を受信した物流業者サーバー100においては、配達ワークに応じた各荷物の配達を、物流業者によって実施するための処理が実行される。
【0061】
[4.他の実施形態]
上記実施形態では、配達ワークステーション80、シェアモビリティである電動バイク61の待機ステーション60、及びバッテリ交換ステーション90を、集合住宅71の敷地70内に設置することで、集合住宅71の居住者である利用者Uが、電動バイク61を利用した、配達ワークステーション80を起点及び終点とする配達ワークを容易に受託できるようにした。他の実施形態として、集合住宅の敷地内に限定せずに、配達ワークステーション80が待機ステーション60から第1所定距離以内(例えば、数10~数100m以内)の地点に設置されていてもよい。
【0062】
また、配達ワークステーション80と待機ステーション60が、集合住宅71の敷地70の外であって、集合住宅71から第2所定距離以内(例えば、数10~数100m以内)の地点に設置されていてもよい。
また、配達ワークステーション80が、バッテリ交換ステーション90から第3所定距離以内(例えば、数10~数100m以内)の地点に設置されていてもよい。
【0063】
また、待機ステーション60が隣接若しくは待機ステーション60と同一の敷地内に存在する施設として、ガソリンステーション、コンビニエンスストア、駅、スーパー、ショッピングモールなどであってもよい。若しくは、待機ステーション60が他の施設から独立して設置されていてもよい。
【0064】
また、荷物ロッカー40を、本開示の配達ワークステーションとして、待機ステーション60に設置してもよい。この場合、配達ワークを受託した利用者Uは、待機ステーション60で電動バイク61を借りる際に、荷物ロッカー40の鍵付きボックス41を解錠して、パッケージボックス82を取り出して電動バイク61に収容し、配達ワークを行う。そして、配達ワークを終了して荷物ロッカー40に戻った利用者Uは、空のパッケージボックス82を、荷物ロッカー40の空いている鍵付きボックス41に収容して返却する。配達ワークを委託する物流業者は、荷物ロッカー40について、新規の配達ワークによるパッケージボックス82の追加と、終了した配達ワークで使用済みのパッケージボックス82の回収を管理する。
【0065】
上記実施形態では、配達ワーク申込受付部14と配達ワーク受託者決定部16を備えて、配達ワークに対して複数の利用者Uからの申込があった場合に、配達ワークの開始予定日時が最も早い利用者Uを、配達ワークの受託者として決定した。他の実施形態として、このような複数の申込に対する調整処理を行わず、最初に申込を行った利用者Uを配達ワークの受託者として決定してもよい。
【0066】
上記実施形態では、申込済利用者接近認識部15を備えて、配達ワーク受託者決定部16は、配達ワークステーション80に接近する申込済利用者Uを、配達ワークの受託者として決定した。他の実施形態として、申込済利用者接近認識部15を省略した構成としてもよい。
【0067】
上記実施形態では、本開示のシェアモビリティとして電動バイク61を示したが、本開示のシェアモビリティは、電力以外のエネルギー(化石燃料、水素等)を動力源とするものであってもよい。また、電動バイク以外の、4輪車両、飛行体、船舶等であってもよい。
【0068】
上記実施形態では、エネルギーの供給ステーションとして、バッテリ交換ステーション90を示したが、ガソリン、水素等をモビリティに供給するステーションが、配達ワークステーション80から所定距離以内に設置されていてもよい。
【0069】
上記実施形態では、配達ワーク情報生成部11は、複数の配達先への荷物の配達をパッケージングした配達ワーク情報Dwi生成した。他の実施形態として、1つの配達先についての荷物の配達についての配達ワーク情報Dwiを生成してもよい。
【0070】
上記実施形態では、配達ワーク情報生成部11は、所定時間以内に配達を完了することができるように、複数の荷物をまとめてパッケージ化した配達ワークを設定した。他の実施形態として、複数の所定時間(例えば、1時間、1時間半、2時間等)を設定して、配達に要する予想時間が異なる配達ワークについての配達ワーク情報を生成してもよい。また、所定時間の設定が1つ(1時間のみ等)である場合、利用者Uは、2つの配達ワーク情報Dwiについての複数の配達ワークに申し込み、途中で配達ワークステーション80に戻って複数の配達ワークを連続して行うこともできる。
【0071】
上記実施形態において、配達ワーク提供装置1において、配達ワークを受託した利用者Uによる配達の実施状況を評価する処理を行い、評価が高い利用者Uを、優先的に配達ワークの受託者として決定するようにしてもよい。或いは、評価が高い利用者Uに対する報酬を、評価が低い利用者Uよりも高く設定するようにしてもよい。
【0072】
上記実施形態において、配達ワークを受託した利用者Uに対する報酬の規定額を、電動バイク61の利用料を差し引いた額に設定し、電動バイク61を利用せずに、自身が所有する他の車両を使用して配達を行った利用者Uについては、規定額よりも増額した報酬を付与するようにしてもよい。
【0073】
なお、図2は、本願発明の理解を容易にするために、配達ワーク提供装置1の機能構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、配達ワーク提供装置1の構成を、他の区分によって構成してもよい。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアユニットにより実行されてもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行されてもよい。また、図4に示した各構成要素の処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【0074】
[5.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成の具体例である。
【0075】
(構成1)物流業者から委託される配達ワークに関する情報であって、前記配達ワークによる配達対象である荷物が一時的に保管されて、前記配達ワークの受託者が前記荷物を預かる配達ワークステーションから前記荷物の配達先までの距離、又は前記配達ワークステーションから前記荷物の配達先までの配達に要する予想時間を含む、配達ワーク情報を生成する配達ワーク情報生成部と、前記配達ワークの受託を希望する利用者により使用される端末装置に、前記配達ワーク情報を送信する処理、又は前記荷物に備えられた第1表示部に前記配達ワーク情報を表示する処理、を実行する配達ワーク情報提供部と、を備える配達ワーク提供装置。
構成1の配達ワーク提供装置によれば、配達ワークの情報を、配達ワークの受託を希望する広範囲の利用者に効率良く提供して、配達ワークの依頼者と受託者のマッチングをサポートすることができる。また、利用者は、配達ワークの配達距離又は配達に要する予想時間を確認することで、自身が確保可能な時間に合わせて、受託する配達ワークをより気軽に選択することができる。
【0076】
(構成2)前記配達ワークステーションにおいて、前記荷物は、前記荷物を個別に収容する複数の鍵付きボックスを有する荷物ロッカーに保管され、前記配達ワークを受託した前記利用者により使用される前記端末装置に対して、受託された前記配達ワークに対応した前記荷物を収容して施錠されている前記鍵付きボックスを解錠するための解錠情報を送信する入出荷管理部を備える、構成1に記載の配達ワーク提供装置。
構成2の配達ワーク提供装置によれば、配達ワークステーションにおける、配達ワークの受託者による荷物の受取りをサービススタッフ等の人手によらずに行うことができる。
【0077】
(構成3)前記鍵付きボックスは第2表示部を有し、前記入出荷管理部は、前記荷物を収容している前記鍵付きボックスについて、収容されている前記荷物に対応した前記配達ワーク情報に応じた表示態様で、前記第2表示部を表示させることを指示するボックス表示指示情報を、前記荷物ロッカーに送信する、構成2に記載の配達ワーク提供装置。
構成3の配達ワーク提供装置によれば、配達ワークステーションを訪れた利用者は、荷物ローカーの各鍵付きボックスに備えられた第2表示部の表示態様を確認することにより、各鍵付きボックスに収容されている荷物の配達ワークの条件(配達距離、配達に要する予想時間等)を、直感的に認識することができる。
【0078】
(構成4)前記配達ワークステーションはシェアモビリティの待機ステーションから第1所定距離以内に位置しており、前記配達ワーク情報生成部は、前記待機ステーションの情報を含む前記配達ワーク情報を生成する、構成1から構成3のうちいずれか1つの構成に記載の配達ワーク提供装置。
構成4の配達ワーク提供装置によれば、モビリティを所有していない利用者に対して、シェアモビリティを利用して配達ワークを行うことを提案することができる。
【0079】
(構成5)前記配達ワークステーションに保管されている前記荷物の数が、前記待機ステーションで待機している前記シェアモビリティの数を上回った場合に、前記待機ステーションにおける前記配達ワークの受託を伴わない前記シェアモビリティの利用の受け付けを停止するシェアモビリティ利用受付停止部を備える、構成4に記載の配達ワーク提供装置。
構成5の配達ワーク提供装置によれば、配達ワークに供されるシェアモビリティを優先的に確保して、配達ワークを効率良く処理することができる。
【0080】
(構成6)前記配達ワークステーションと前記待機ステーションは、集合住宅から第2所定距離以内に位置し、前記シェアモビリティは、前記集合住宅に居住する前記利用者によって共用される、構成4又は構成5に記載の配達ワーク提供装置。
構成6の配達ワーク提供装置によれば、集合住宅に居住者に対して、シェアモビリティを利用した配達ワークという、手軽な勤労の機会を提供することができる。また、集合住宅の不動産価値に、手軽な勤労の機会の享受という付加価値をつけることができる。また、居住者用に整備されたシェアモビリティのシステムを、配送ワークの実施に活用することができる。
【0081】
(構成7)前記シェアモビリティは、交換式のバッテリを動力源とし、前記配達ワークステーションは、前記バッテリの交換サービスを提供するバッテリ交換ステーションから第3所定距離以内に位置している、構成4から構成6のうちいずれか1つの構成に記載の配達ワーク提供装置。
構成7の配達ワーク提供装置によれば、配達ワークステーションと同一の敷地内等の配達ワークステーションの付近にバッテリ交換ステーションが位置しているため、シェアモビリティの利用者は、配達ワークを開始する際にシェアモビリティのバッテリを容易に交換することができる。これにより、配達中に、シェアモビリティのバッテリ切れが生じることを防止することができる。
【0082】
(構成8)前記端末装置から送信される、前記利用者が前記配達ワークステーションで前記荷物を受け取って前記配達ワークを開始する予定時刻である予定開始時刻を含んで、前記配達ワークの受託を申し込む配達ワーク申込情報を取得する配達ワーク申込受付部と、前記配達ワーク申込受付部により、同一の前記配達ワークである競合配達ワークに対して、前記利用者である第1利用者及び第2利用者についての前記配達ワーク申込情報が取得され、前記第1利用者についての前記配達ワーク申込情報が取得された後、前記第1利用者についての前記配達ワーク申込情報に含まれる前記予定開始時刻よりも所定時間前の時刻以前に、前記配達ワークステーションに位置する前記端末装置から送信された前記第2利用者についての前記配達ワーク申込情報が取得されたときには、前記第2利用者を、前記競合配達ワークの受託者として決定する配達ワーク受託者決定部と、を備える、構成1から構成7のうちいずれか1つの構成に記載の配達ワーク提供装置。
構成8の配達ワーク提供装置によれば、配達ワークステーションを訪れて、配達ワークの申込を行った利用者を、優先的に競合配達ワークの受託者として決定することにより、競合配達ワークによるに荷物の配達をより速やかに実施することができる。また、予定開始時刻よりも所定時間前の時刻以前に配達ワークの申込を行った第2利用者が象となるので、第1利用者による配達ワークの予定開始時刻の間際になって、第1利用者が第2利用者に配達ワークを取られてしまうことを避けることができる。
【0083】
(構成9)前記端末装置から送信した前記配達ワーク申込情報が、前記配達ワーク申込受付部により取得された前記利用者である申込済利用者が、前記配達ワークステーションに向かっていることを認識する申込済利用者接近認識部を備え、前記配達ワーク受託者決定部は、前記申込済利用者接近認識部により前記申込済利用者が前記配達ワークステーションに向かっていることが認識された時は、前記申込済利用者を、前記配達ワークの受託者として決定する、構成8に記載の配達ワーク提供装置。
構成9の配達ワーク提供装置によれば、配達ワークステーションに接近していることから、既に配達ワークに対応するための行動を開始していると推定される申込済利用者を、配達ワークの受託者として決定することにより、申込済利用者の行動が無駄になることを回避することができる。
【0084】
(構成10)コンピュータにより実行される配達ワーク提供方法であって、物流業者から委託される配達ワークに関する情報であって、前記配達ワークによる配達対象である荷物が一時的に保管されて、前記配達ワークの受託者が前記荷物を預かる配達ワークステーションから、前記荷物の配達先までの距離又は前記配達ワークステーションから前記荷物の配達先までの配達に要する予想時間を含む、配達ワーク情報を生成する配達ワーク情報生成ステップと、前記配達ワークの受託を希望する利用者により使用される端末装置に前記配達ワーク情報を送信する処理、又は前記荷物に備えられた第1表示部に前記配達ワーク情報を表示する処理、を実行する配達ワーク情報提供ステップと、を含む配達ワーク提供方法。
構成10の配達ワーク提供方法をコンピュータにより実行することによって、構成1の配達ワーク提供装置と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0085】
1…配達ワーク提供装置、10…プロセッサ、11…配達ワーク情報生成部、12…配達ワーク情報提供部、13…シェアモビリティ利用受付停止部、14…配達ワーク申込受付部、15…申込済利用者接近認識部、16…配達ワーク受託者決定部、17…入出荷管理部、20…メモリ、21…プログラム、22…地図データ、23…配達履歴データ、30…通信ユニット、40…荷物ロッカー、41…鍵付きボックス、41b…(鍵付きボックスの)表示部(第2表示部)、42…(荷物ロッカーの)制御ユニット、43…(荷物ロッカーの)操作部、50…利用者端末(端末装置)、60…待機ステーション、61…電動バイク(シェアモビリティ)、70…集合住宅の敷地、71…集合住宅、80…配達ワークステーション、81…端末装置、90…バッテリ交換ステーション、91…バッテリ、92…充電装置、100…物流業者サーバー、110…カーシェアリングサーバー、150…通信ネットワーク、200~205…配達先、U…利用者、Dwi…配達ワーク情報、Dwa…配達ワーク申込情報。
図1
図2
図3
図4