(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057435
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】アンテナエレメント及びアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/08 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
H01Q13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164174
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】鳥屋尾 博
【テーマコード(参考)】
5J045
【Fターム(参考)】
5J045AA03
5J045AA13
5J045AB05
5J045CA04
5J045DA10
(57)【要約】
【課題】 小型かつデュアルバンドで通信可能なアンテナ装置及びそれに用いられるアンテナエレメントを提供すること。
【解決手段】 アンテナエレメント20は、上側導体221と、第1下側導体241と、第2下側導体243と、第1脚部223と、第2脚部225と、給電部227とを備える。上側導体221は、中央部231と、環状部233と、連結部235とを有する。環状部233は、中央部231を切れ目なく囲み、連結部235は、中央部231と環状部233とを連結する。第1脚部223は、中央部231から延び、第2脚部225は、環状部233から延びている。第
1下側導体241及び第2下側導体243は、互いに別体であり、上下方向において上側導体221から離れている。第1下側導体241は、第1脚部223に接続され、第2下側導体243は、第2脚部225に接続されている。給電部227は、上側導体221から延びている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体を介してグランド導体上に設けられることによりアンテナ装置を構成するアンテナエレメントであって、
前記アンテナエレメントは、上側導体と、少なくとも一つの第1下側導体と、少なくとも一つの第2下側導体と、少なくとも一つの第1脚部と、少なくとも一つの第2脚部と、少なくとも一つの給電部を備えており、
前記上側導体は、中央部と、環状部と、連結部とを有しており、
前記環状部は、前記中央部から離れて位置していると共に前記中央部を切れ目なく囲んでおり、
前記連結部は、前記中央部と前記環状部とを連結しており、
前記少なくとも一つの第1脚部は、前記中央部から延びており、
前記少なくとも一つの第2脚部は、前記環状部から延びており、
前記少なくとも一つの第1下側導体は、上下方向において前記上側導体から離れており、前記少なくとも一つの第1脚部に接続されており、
前記少なくとも一つの第2下側導体は、前記少なくとも一つの第1下側導体と別体であり、かつ前記少なくとも一つの第1下側導体から離れており、
前記少なくとも一つの第2下側導体は、前記上下方向において前記上側導体から離れており、前記少なくとも一つの第2脚部に接続されており、
前記少なくとも一つの給電部は、前記上側導体から延びている
アンテナエレメント。
【請求項2】
請求項1記載のアンテナエレメントであって、
前記少なくとも一つの給電部は、二つの給電部を備えており、
前記中央部の中心と前記二つの給電部をそれぞれ結ぶ二つの仮想的な線は、平面視で90度をなしている
アンテナエレメント。
【請求項3】
請求項1記載のアンテナエレメントであって、
前記少なくとも一つの第1下側導体と前記少なくとも一つの第1脚部は、互いに同数であり、一対一に接続されており、
前記少なくとも一つの第2下側導体と前記少なくとも一つの第2脚部は、互いに同数であり、一対一に接続されている
アンテナエレメント。
【請求項4】
請求項3記載のアンテナエレメントであって、
前記少なくとも一つの第1下側導体は、四つの第1下側導体を備えており、
前記少なくとも一つの第2下側導体は、四つの第2下側導体を備えている
アンテナエレメント。
【請求項5】
請求項1記載のアンテナエレメントであって、
前記上側導体は、前記上下方向と交差する平面内に延びており、
前記上側導体と、前記少なくとも一つの第1脚部と、前記少なくとも一つの第2脚部と、前記少なくとも一つの給電部は、一枚の金属板からなる
アンテナエレメント。
【請求項6】
請求項1記載のアンテナエレメントであって、
前記上側導体は、前記上下方向と交差する平面内に延びており、
前記上側導体と、前記少なくとも一つの第1下側導体と、前記少なくとも一つの第2下側導体と、前記少なくとも一つの第1脚部と、前記少なくとも一つの第2脚部と、前記少なくとも一つの給電部は、一枚の金属板からなる
アンテナエレメント。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一つに記載のアンテナエレメントと、
グランド導体と、
前記アンテナエレメントと前記グランド導体との間に介在する誘電体と
を備えるアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナエレメント及びそれを備えるアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、金属板からなるアンテナエレメントを備えるアンテナ装置を開示している。特許文献1のアンテナ装置は、セラミックス製の基板を備える平面型アンテナ装置と比較して小型化できるとされている。
【0003】
図25を参照すると、特許文献1に開示されるアンテナ装置90は、誘電体基板92と、誘電体基板92と所定間隔を有して配設された金属板からなるアンテナエレメント95と、アンテナエレメント95から誘電体基板92に向かって延びる複数の脚片952と、脚片952および誘電体基板92と電気的に接続されるチップコンデンサ94と、誘電体基板92とアンテナエレメント95との間に挿入される樹脂製のインサート部材96とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、小型であるだけでなく、デュアルバンドで通信可能なアンテナ装置に対するニーズがある。
【0006】
そこで、本発明は、小型かつデュアルバンドで通信可能なアンテナ装置及びそれに用いられるアンテナエレメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1のアンテナエレメントとして、誘電体を介してグランド導体上に設けられることによりアンテナ装置を構成するアンテナエレメントであって、
前記アンテナエレメントは、上側導体と、少なくとも一つの第1下側導体と、少なくとも一つの第2下側導体と、少なくとも一つの第1脚部と、少なくとも一つの第2脚部と、少なくとも一つの給電部を備えており、
前記上側導体は、中央部と、環状部と、連結部とを有しており、
前記環状部は、前記中央部から離れて位置していると共に前記中央部を切れ目なく囲んでおり、
前記連結部は、前記中央部と前記環状部とを連結しており、
前記少なくとも一つの第1脚部は、前記中央部から延びており、
前記少なくとも一つの第2脚部は、前記環状部から延びており、
前記少なくとも一つの第1下側導体は、上下方向において前記上側導体から離れており、前記少なくとも一つの第1脚部に接続されており、
前記少なくとも一つの第2下側導体は、前記少なくとも一つの第1下側導体と別体であり、かつ前記少なくとも一つの第1下側導体から離れており、
前記少なくとも一つの第2下側導体は、前記上下方向において前記上側導体から離れており、前記少なくとも一つの第2脚部に接続されており、
前記少なくとも一つの給電部は、前記上側導体から延びている
アンテナエレメントを提供する。
【0008】
また、本発明は、第2のアンテナエレメントとして、第1のアンテナエレメントであって、
前記少なくとも一つの給電部は、二つの給電部を備えており、
前記中央部の中心と前記二つの給電部をそれぞれ結ぶ二つの仮想的な線は、平面視で90度をなしている
アンテナエレメントを提供する。
【0009】
また、本発明は、第3のアンテナエレメントとして、第1のアンテナエレメントであって、
前記少なくとも一つの第1下側導体と前記少なくとも一つの第1脚部は、互いに同数であり、一対一に接続されており、
前記少なくとも一つの第2下側導体と前記少なくとも一つの第2脚部は、互いに同数であり、一対一に接続されている
アンテナエレメントを提供する。
【0010】
また、本発明は、第4のアンテナエレメントとして、第3のアンテナエレメントであって、
前記少なくとも一つの第1下側導体は、四つの第1下側導体を備えており、
前記少なくとも一つの第2下側導体は、四つの第2下側導体を備えている
アンテナエレメントを提供する。
【0011】
また、本発明は、第5のアンテナエレメントとして、第1のアンテナエレメントであって、
前記上側導体は、前記上下方向と交差する平面内に延びており、
前記上側導体と、前記少なくとも一つの第1脚部と、前記少なくとも一つの第2脚部と、前記少なくとも一つの給電部は、一枚の金属板からなる
アンテナエレメントを提供する。
【0012】
また、本発明は、第6のアンテナエレメントとして、第1のアンテナエレメントであって、
前記上側導体は、前記上下方向と交差する平面内に延びており、
前記上側導体と、前記少なくとも一つの第1下側導体と、前記少なくとも一つの第2下側導体と、前記少なくとも一つの第1脚部と、前記少なくとも一つの第2脚部と、前記少なくとも一つの給電部は、一枚の金属板からなる
アンテナエレメントを提供する。
【0013】
さらに、本発明は、第1のアンテナ装置として、第1から第6のアンテナエレメントのいずれか一つと、
グランド導体と、
前記アンテナエレメントと前記グランド導体との間に介在する誘電体と
を備えるアンテナ装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるアンテナエレメントにおいて、第1下側導体及び第2下側導体のそれぞれは上側導体とキャパシタを構成する。それによりアンテナエレメントの小型化を実現できる。このようなアンテナエレメントを備えるアンテナ装置も小型化できる。
【0015】
特に、第2下側導体の形状及びサイズは第1共振及び第2共振の二つの周波数の設定に影響し、且つ、第1下側導体の形状及びサイズは第1共振の周波数のみに影響する。そのため、第1下側導体と第2下側導体の形状及びサイズを決定することにより第1共振と第2共振を所望とする周波数に設定することができる。すなわち、デュアルバンドで通信可能なアンテナ装置用のアンテナエレメントを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施の形態によるアンテナ装置を示す斜視図である。
【
図3】
図1のアンテナ装置を示す側面図である。第2脚部の一部とその周辺を拡大して示している。
【
図4】
図1のアンテナ装置に用いられるアンテナエレメントに含まれる上部エレメントを示す斜視図である。
【
図7】
図1のアンテナ装置に用いられる誘電体基板を示す斜視図である。誘電体基板の上面には、アンテナ装置に用いられるアンテナエレメントに含まれる下部エレメントが設けられている。
【
図10】本発明の第1の実施の形態によるアンテナ装置を示す斜視図である。
【
図13】本発明によるアンテナ装置の第1変形例を示す模式図である。
【
図14】本発明によるアンテナ装置の第2変形例を示す模式図である。
【
図15】本発明によるアンテナ装置の第3変形例を示す模式図である。
【
図16】本発明によるアンテナ装置の第4変形例を示す模式図である。
【
図17】本発明によるアンテナエレメントに形成されるスロットの第1変形例を示す模式図である。
【
図18】本発明によるアンテナエレメントに形成されるスロットの第2変形例を示す模式図である。
【
図19】本発明によるアンテナエレメントに形成されるスロットの第3変形例を示す模式図である。
【
図20】本発明によるアンテナエレメントに形成されるスロットの第4変形例を示す模式図である。
【
図21】本発明によるアンテナエレメントに形成されるスロットの第5変形例を示す模式図である。
【
図22】本発明によるアンテナエレメントに形成されるスロットの第6変形例を示す模式図である。
【
図23】本発明によるアンテナエレメントに形成されるスロットの第7変形例を示す模式図である。
【
図24】本発明によるアンテナエレメントに形成されるスロットの第8変形例を示す模式図である。
【
図25】特許文献1に記載されたアンテナ装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
図1から
図3を参照すると、本発明の第1の実施の形態によるアンテナ装置10は、アンテナエレメント20と、誘電体基板30と、グランド導体40とを備えている。換言すると、アンテナエレメント20は、誘電体基板(誘電体)30を介してグランド導体40に設けられることによりアンテナ装置10を構成している。
【0018】
図4及び
図7から理解されるように、アンテナエレメント20は、上部エレメント22と、下部エレメント24とを有している。上下方向において、上部エレメント22は、下部エレメント24の上に位置している。本実施の形態において、上下方向はZ方向である。+Z方向が上方であり、-Z方向が下方である。
【0019】
図4から
図6に示されるように、上部エレメント22は、上側導体221と、少なくとも一つの第1脚部223と、少なくとも一つの第2脚部225と、少なくとも一つの給電部227とを備えている。
【0020】
図7及び
図8に示すように、下部エレメント24は、少なくとも一つの第1下側導体241と、少なくとも一つの第2下側導体243とを備えている。
【0021】
図4から
図6までの図から理解されるように、本実施の形態において、上部エレメント22は、一枚の金属板からなる。換言すると、上側導体221と、少なくとも一つの第1脚部223と、少なくとも一つの第2脚部225と、少なくとも一つの給電部227とは、一枚の金属板からなる。詳しくは、上部エレメント22は、一枚の金属板を打ち抜き加工及び曲げ加工して、一体に形成されている。ただし、本発明は、これに限られない。上部エレメント22は、複数の金属板を用いて構成されてもよい。または、上部エレメント22は、レーザーダイレクトストラクチャリング(LDS)によって形成されてもよい。
【0022】
図5に示されるように、本実施の形態において、第1脚部223の数及び第2脚部225の数は、それぞれ四つである。また、本実施の形態において、給電部227の数は、二つである。換言すると、本実施の形態において、少なくとも一つの給電部227は、二つの給電部227を備えている。ただし、本発明は、これに限られない。第1脚部223、第2脚部225及び給電部227の数は、任意に設定可能である。
【0023】
図8から理解されるように、本実施の形態において、下部エレメント24は、第1下側導体241及び第2下側導体243を備えている。第1下側導体241及び第2下側導体243は、誘電体基板30の上面に設けられている。第1下側導体241及び第2下側導体243は、誘電体基板30の上面に形成された導体層をエッチングすることにより形成されてよい。または、第1下側導体241及び第2下側導体243は、誘電体基板30の上面に所定形状の導体板又は導体膜を貼り付けることにより形成されてもよい。ただし、本発明は、これに限られない。下部エレメント24の少なくとも一部は、上部エレメント22と同一材料を用いて上部エレメント22と一体に形成されてもよい。また、第1下側導体241と第2下側導体243とは、上下方向と直交する同一平面上になくてもよい。換言すると、第1下側導体241と第2下側導体243とは、上下方向において異なる位置にあってもよい。その場合、第1下側導体241と第2下側導体243とは、平面視で部分的に重なってもよい。ただし、第1下側導体241と第2下側導体243とは電気的に分離されていなければならない。
【0024】
図2、
図5及び
図8から理解されるように、第1下側導体241は、第1脚部223に夫々対応している。換言すると、少なくとも一つの第1下側導体241と少なくとも一つの第1脚部223は、互いに同数である。本実施の形態において、第1下側導体241の数は、四つである。換言すると、少なくとも一つの第1下側導体241は、四つの第1下側導体241を備えている。また、第2下側導体243は、第2脚部225に夫々対応している。換言すると、少なくとも一つの第2下側導体243と前記少なくとも一つの第2脚部225は、互いに同数である。本実施の形態において、第2下側導体243の数は、四つである。換言すると、少なくとも一つの第2下側導体243は、四つの第2下側導体243を備えている。ただし、本発明は、これに限られない。第1下側導体241の数は、第1脚部223の数と同じであれば、任意に設定可能である。また、第2下側導体243の数は、第2脚部225の数と同じであれば、任意に設定可能である。
【0025】
図7及び
図8に示されるように、誘電体基板30の上面には、さらに少なくとも一つの給電パッド32が設けられている。給電パッド32は、給電部227に夫々それぞれ対応している。本実施の形態において、給電パッド32の数は、二つである。給電パッド32は、誘電体基板30を上下方向において貫通するビアを介して、誘電体基板30の下面に設けられた給電線(図示せず)に接続されている。
【0026】
図3に示されるように、グランド導体40は、誘電体基板30の直下に配置される。換言すると、アンテナ装置10は、グランド導体40の上に搭載される。グランド導体40として、絶縁体基板の上面及び下面の夫々の全面に導体層が形成された回路基板を用いることができる。この場合、上面の導体層と下面の導体層とは、ビア等を用いて互いに接続されていることが好ましい。
【0027】
図3及び
図9から理解されるように、本実施の形態において、誘電体基板30の下面には、その略全面を覆うグランド層245が形成されている。誘電体基板30の下に配置されるグランド導体40は、グランド層245に電気的に接続される。ただし、本発明は、これに限られない。誘電体基板30は、グランド層245を有していなくてもよい。
【0028】
図5を参照すると、本実施の形態において、上側導体221の外形は、平面視において略正方形である。ただし、本発明は、これに限られない。上側導体221の外形は、平面視において略正方形でなくてもよい。しかしながら、アンテナ装置10で円偏波による通信を行わせるため、上側導体221の外形は、平面視において略n回対称であることが好ましい。ここで、nは4の倍数である(以下、同じ)。
【0029】
図5に示されるように、上側導体221は、中央部231と、環状部233と、連結部235とを有している。中央部231は、平面視において上側導体221の中心を含む部分である。環状部233は、上側導体221の外縁に沿った部分である。連結部235は、中央部231と環状部233とを連結する部分である。ただし、中央部231と連結部235との境界、及び環状部233と連結部235との境界は、それぞれ明確なものではない。
【0030】
図5に示されるように、本実施の形態において、中央部231の外形は、平面視において上側導体221の外形と略相似する正方形である。本実施の形態において、環状部233は、上側導体221の外形に沿った略正方形のフレーム形状である。環状部233は、平面視において、中央部231から離れて外側に位置し、中央部231を切れ目なく囲んでいる。本実施の形態において、連結部235の数は、四つである。連結部235は、中央部231の四つの角に夫々対応するとともに、環状部233の四つの角に夫々対応している。連結部235の夫々は、対応する中央部231の角と対応する環状部233の角とを連結している。
【0031】
図5及び
図6から理解されるように、本実施の形態において、中央部231と、環状部233と、連結部235とは、上下方向と交差する一平面上に位置している。換言すると、上側導体221は、上下方向と交差する平面内に延びている。本実施の形態において、上側導体221は、上下方向と直交する平面内に延びている。ただし、本発明は、これに限られない。環状部233は、部分的に、中央部231及び連結部235が位置する平面上に位置していなくてもよい。
【0032】
図4から
図6に示されるように、第1脚部223は、中央部231から延びている。本実施の形態において、第1脚部223は、平面視において外側へ延びている。詳しくは、第1脚部223の夫々は、中央部231の四辺のいずれかから水平方向において外側へ延び、斜め下方へ延び、更に水平方向外側へ延びている。本実施の形態において、第1脚部223の夫々は、前後方向又は横方向のいずれかの方向へ延びている。本実施の形態において、前後方向はX方向であり、横方向はY方向である。また、+X方向が前方であり、-X方向が後方である。
【0033】
図4から
図6に示されるように、第2脚部225は、環状部233から延びている。本実施の形態において、第2脚部225は、平面視において環状部233の外縁から外側へ延びている。詳しくは、第2脚部225の夫々は、環状部233の四つ角のいずれかから水平方向において外側へ延び、斜め下方へ延び、更に水平方向外側へ延びている。本実施の形態において、第2脚部225の延びる方向は、上側導体221の対角線方向において外側方向である。ただし、本発明は、これに限られない。第2脚部225は、平面視において、環状部233の内縁から延びていてもよい。その場合、第2脚部225は、平面視において環状部233の内側へ延びてもよいし、環状部233の外側へ延びてもよい。
【0034】
図4から
図6に示されるように、給電部227は、上側導体221から延びている。本実施の形態において、給電部227は、前後方向に隣り合う二つの連結部235から延びている。ただし、本発明は、これに限られない。給電部227は、中央部231から延びていてもよい。
【0035】
図5から理解されるように、中央部231の中心と二つ給電部227をそれぞれ結ぶ二つの仮想的な線は、平面視で90度をなしている。これにより、アンテナ装置10を用いて、二点給電方式による円偏波を用いた通信を実現することができる。
【0036】
図7及び
図8に示されるように、第1下側導体241は、互いに離れて誘電体基板30の中央部に配置されている。第1下側導体241は、平面視で、誘電体基板30の中心に関して4回対称に配置されている。本実施の形態において、第1下側導体241の夫々の形状は、一直線に関して線対称である九角形である。ただし、本発明は、これに限られない。第1下側導体241の夫の形状は、任意に設定することができる。しかしながら、第1下側導体241は、平面視で、誘電体基板30の中心に関して略n回対称に形成されることが好ましい。
【0037】
図1から
図3までの図から理解されるように、第1下側導体241の夫々は、対応する第1脚部223に接続される。換言すると、第1下側導体241は、第1脚部223に一対一に接続される。第1脚部223の存在により、第1下側導体241は、上下方向において上側導体221から離れている。
【0038】
図7及び
図8に示されるように、第2下側導体243は、誘電体基板30の角部に夫々配置されている。第2下側導体243の夫々は、第1下側導体241とは別体であり、すべての第1下側導体241から離れている。本実施の形態において、第2下側導体243の形状は、平面視において正方形である。ただし、本発明は、これに限られない。第2下側導体243の夫々の形状は、任意に設定することができる。しかしながら、第2下側導体243は、平面視で、誘電体基板30の中心に関して略n回対称に形成されることが好ましい。
【0039】
図1から
図3までの図から理解されるように、第2下側導体243の夫々は、対応する第2脚部225に接続される。換言すると、第2下側導体243は、第2脚部225に一対一に接続される。第2脚部225の存在により、第2下側導体243は、上下方向において上側導体221から離れている。
【0040】
図7及び
図8に示されるように、給電パッド32の夫々は、誘電体基板30の対角線上に配置されている。給電パッド32の夫々は、互いに隣り合う二つの第1下側導体241の間に位置している。二つの給電パッド32は、一つの第1下側導体241を挟んで前後方向に沿って一直線上に位置している。
【0041】
図1から
図3に示されるアンテナ装置10において、第1下側導体241及び第2下側導体243の夫々は、上側導体221とキャパシタを構成する。即ち、第1下側導体241及び第2下側導体243の存在は、アンテナ装置10の共振周波数に影響を与える。詳しくは、第1下側導体241及び第2下側導体243の存在は、これらが存在しない場合に比べて共振周波数を低下させる。換言すると、第1下側導体241及び第2下側導体243の存在は、所定の共振周波数を有するアンテナエレメント20の小型化を実現可能にし、もって、アンテナ装置10の小型化を実現可能にする。
【0042】
図1から
図3に示されるアンテナ装置10において、第1下側導体241及び第2下側導体243の夫々は、グランド導体40ともキャパシタを構成する。このキャパシタに代えて、第1下側導体241及び第2下側導体243の夫々とグランド導体40との間に、チップコンデンサのようなコンデンサ素子を接続するようにしてもよい。
【0043】
図1から
図3に示されるアンテナ装置10は、第1共振周波数と、第1共振周波数よりも高い第2共振周波数とを有している。第2下側導体243の形状及びサイズは、第1共振周波数及び第2共振周波数の両方の設定に影響する。一方、第1下側導体241の形状及びサイズは、第1共振周波数の設定のみに影響する。したがって、第1下側導体241及び第2下側導体243の形状及びサイズを決定することにより、第1共振周波数及び第2共振周波数を夫々所望の周波数に設定することができる。すなわち、デュアルバンドで通信可能なアンテナエレメント20及びアンテナ装置10を得ることができる。
【0044】
図1から
図3に示されるアンテナ装置10は、二点給電方式を採用している。詳しくは、給電パッド32の一方に第1入力信号を入力し、給電パッド32の他方に第1入力信号と位相が90度異なる第2入力信号を入力することにより、真円度の高い円偏波での通信をアンテナエレメント20に行わせることができる。真円度の高い円偏波での通信を実現するため、上側導体221の外形、第1下側導体241の配置、第2下側導体243の配置は、略n回転対称であることが好ましい。
【0045】
(第2の実施の形態)
図10から
図12を参照すると、本発明の第2の実施の形態によるアンテナ装置10Aは、アンテナエレメント20Aと、誘電体基板30Aと、グランド導体40Aとを備えている。アンテナ装置10Aは、基本的に第1の実施の形態によるアンテナ装置10と同様に構成されている。
【0046】
図10から
図12までの図から理解されるように、アンテナエレメント20Aは、上側導体221Aと、少なくとも一つの第1脚部223Aと、少なくとも一つの第2脚部225Aと、少なくとも一つの給電部227Aと、少なくとも一つの第1下側導体241Aと、少なくとも一つの第2下側導体243Aとを備えている。本実施の形態において、アンテナエレメント20Aは、一枚の金属板からなる。また、上側導体221Aは、第1の実施の形態の上側導体221と同様に、中央部231Aと、環状部233Aと、連結部235Aとを有している。
【0047】
図10から
図12までの図から理解されるように、本実施の形態において、第1脚部223A、第2脚部225A、第1下側導体241A及び第2下側導体243Aの数は、それぞれ四つである。また、本実施の形態において、給電部227Aの数は二つである。
【0048】
図10から
図12までの図から理解されるように、アンテナエレメント20Aは、誘電体基板30Aの上面に搭載されている。誘電体基板30Aの下面には、グランド導体40Aが設けられている。この構成により、アンテナ装置10Aは、第1の実施の形態によるアンテナ装置10と同様に動作する。
【0049】
本実施の形態によれば、アンテナエレメント20Aの小型化及びアンテナ装置10Aの小型化が可能である。また、本実施の形態によれば、デュアルバンドで通信可能なアンテナエレメント20A及びアンテナ装置10Aを得ることができる。第1下側導体241A及び第2下側導体243Aがアンテナエレメント20Aに一体化されているので、取り付け精度に依存する上側導体221に対する第1下側導体241A及び第2下側導体243Aの位置精度の低下を防止することできる。
【0050】
以上、本発明について、実施の形態を掲げて説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変形、変更が可能である。
【0051】
(第1変形例)
図13を参照すると、アンテナエレメント20Bは、上側導体221Bと、少なくとも一つの第1下側導体241Bと、少なくとも一つの第2下側導体243Bと、少なくとも一つの第1脚部223Bと、少なくとも一つの第2脚部225Bと、少なくとも一つの給電部227Bとを備えている。
【0052】
図13に示されるように、アンテナエレメント20Bは、グランド導体40Bの上方に、グランド導体40Bから離れて配置され、アンテナ装置10Bを構成する。アンテナエレメント20Bとグランド導体40Bとは、支持部材(図示せず)によって互いに固定される。アンテナエレメント20Bとグランド導体40Bとの間には、誘電体として空気が存在する。このように、本発明のアンテナ装置において、誘電体は空気であってもよい。
【0053】
(第2変形例)
図14を参照すると、アンテナ装置10Cは、グランド導体40Bの上方に、グランド導体40Bから離れてアンテナエレメント20Bを配置して構成されている。上下方向において、第1下側導体241B又は第2下側導体243Bとグランド導体40Bとの間には、誘電体34が充填されている。誘電体34として、エポキシ樹脂、テフロン(登録商標)など、様々な樹脂を用いることができる。このように、本発明のアンテナ装置において、誘電体は、リジッド基板である必要はない。
【0054】
(第3変形例)
図15を参照すると、アンテナ装置10Dは、グランド導体40Bの上方に、グランド導体40Bから離れてアンテナエレメント20Bを配置して構成されている。上下方向において、グランド導体40Bの上側導体221Bとグランド導体40Bとの間の空間には、誘電体34が充填されている。誘電体34として、エポキシ樹脂、テフロン(登録商標)など、様々な樹脂を用いることができる。このように、本発明のアンテナ装置において、誘電体は、アンテナエレメント20Bとグランド導体40Bとの間のみならず、アンテナエレメント20Bの内部にも充填されてもよい。
【0055】
(第4変形例)
図16を参照すると、アンテナ装置10Eは、グランド導体40Bの上方に、グランド導体40Bから離れてアンテナエレメント20Bを配置して構成されている。上下方向において、グランド導体40Bの上側導体221Bと第1下側導体241B又は第2下側導体243Bとの間の空間には、誘電体34が充填されている。また、上下方向において、第1下側導体241B又は第2下側導体243Bとグランド導体40Bとの間には、誘電体として空気が存在する。このように、本発明のアンテナ装置において、誘電体は、アンテナエレメント20Bの内部のみに充填されてもよい。
【0056】
(スロットの変形例)
単一の金属板を用いて上部エレメント22又はアンテナエレメント20Aを作製する場合、第1脚部223又は223A及び給電部227又は227Aの切り起こしが行われる。その際、上側導体221又は221Aには、必然的にスロット(開口部)が形成される。スロットの形状は、例えば、
図17から
図24に示されるように、任意に設定することができる。ただし、上側導体の形状、スロットの形状及び配置は、円偏波による通信を実現する上でn回対称であることが好ましい。
【0057】
図17を参照すると、上側導体221Cには、四つの第1スロット261と、二つの第2スロット263が形成されている。第1スロット261及び第2スロット263の夫々の形状は、矩形である。第1スロット261は、例えば、第1実施の形態の第1脚部223に夫々対応する。第2スロット263は、例えば、第1実施の形態の給電部227に夫々対応する。
【0058】
図18を参照すると、
図17の上側導体221Cと比べると、更に二つの第3スロット265が形成されている。第3スロット265は、第1実施の形態の第1脚部223及び給電部227のいずれにも対応していないダミースロットである。ダミースロットを形成することにより、
図18の上側導体221Cの形状は、4回対称となっている。これにより、真円度の高い円偏波を得ることができる。
【0059】
図19又は
図20に示されるように、第1スロット261の形状は、六角形であってもよい。
【0060】
図17から
図20の上側導体221Cの夫々において、第1スロット261の夫々は、上側導体221Cの中心と辺との間に配置され、第2スロット263の夫々は、上側導体221Cの中心と角との間に配置されている。しかしながら、
図21から
図24に示されるように、第1スロット261の夫々は、上側導体221Cの中心と角との間に配置され、第2スロット263の夫々は、上側導体221Cの中心と辺との間に配置されてもよい。また、
図23又は
図24に示されるように、第1スロット261の形状は、八角形であってもよい。
【0061】
図17から
図24に示される上側導体221Cのいずれにおいても、第1スロット261、第2スロット263及び第3スロット265のいずれも、上側導体221Cの中心にまで延びておらず、また、外縁にまで延びていない。したがって、
図17から
図24に示される上側導体221Cの夫々は、中央部231Cと、それを切れ目なく囲む環状部233Cと、中央部231Cと環状部233Cとを連結する連結部235Cとを有している。
【符号の説明】
【0062】
10,10A,10B,10C,10D,10E アンテナ装置
20,20A,20B アンテナエレメント
22 上部エレメント
221,221A,221B,221C 上側導体
223,223A,223B 第1脚部
225,225A,225B 第2脚部
227,227A,227B 給電部
231,231A,231C 中央部
233,233A,233C 環状部
235,235A,235C 連結部
24 下部エレメント
241,241A,241B 第1下側導体
243,243A,243B 第2下側導体
245 グランド層
261 第1スロット
263 第2スロット
265 第3スロット
30,30A 誘電体基板
32 給電パッド
34 誘電体
40,40A,40B グランド導体