IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本航空電子工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-アンテナエレメント及びアンテナ装置 図1
  • 特開-アンテナエレメント及びアンテナ装置 図2
  • 特開-アンテナエレメント及びアンテナ装置 図3
  • 特開-アンテナエレメント及びアンテナ装置 図4
  • 特開-アンテナエレメント及びアンテナ装置 図5
  • 特開-アンテナエレメント及びアンテナ装置 図6
  • 特開-アンテナエレメント及びアンテナ装置 図7
  • 特開-アンテナエレメント及びアンテナ装置 図8
  • 特開-アンテナエレメント及びアンテナ装置 図9
  • 特開-アンテナエレメント及びアンテナ装置 図10
  • 特開-アンテナエレメント及びアンテナ装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057437
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】アンテナエレメント及びアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/08 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
H01Q13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164177
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 拓馬
【テーマコード(参考)】
5J045
【Fターム(参考)】
5J045AA13
5J045AB01
5J045AB05
5J045CA04
5J045DA10
5J045GA04
5J045JA02
(57)【要約】
【課題】 一般的なパッチアンテナと比較して、小型・軽量化されたアンテナエレメントを提供すること。
【解決手段】 アンテナエレメント20は、上側導体201と、下側導体203と、脚部205と、給電部207を備えている。上側導体201には、開口部22が形成されている。上側導体201は、中央部211と、環状部213と、連結部215とを有する。環状部213は、中央部211から離れて位置していると共に中央部211を切れ目なく囲んでいる。開口部22は、平面視で、中央部211と環状部213との間に位置する。連結部215の夫々は、中央部211と環状部213とを連結する。脚部205は、環状部213から延びている。下側導体203は、上下方向において上側導体201から離れており、脚部205に接続されている。給電部207は、上側導体201から延びている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体を介してグランド導体上に設けられることによりアンテナ装置を構成するアンテナエレメントであって、
前記アンテナエレメントは、上側導体と、少なくとも1つの下側導体と、少なくとも1つの脚部と、少なくとも1つの給電部を備えており、
前記上側導体には、複数の開口部が形成されており、
前記上側導体は、中央部と、環状部と、複数の連結部とを有しており、
前記環状部は、前記中央部から離れて位置していると共に前記中央部を切れ目なく囲んでおり、
前記開口部は、平面視で、前記中央部と前記環状部との間に位置しており、
前記連結部のそれぞれは、前記中央部と前記環状部とを連結しており、
前記少なくとも1つの脚部は、前記環状部から延びており、
前記少なくとも1つの下側導体は、上下方向において前記上側導体から離れており、前記少なくとも1つの脚部に接続されており、
前記少なくとも1つの給電部は、前記上側導体から延びている
アンテナエレメント。
【請求項2】
請求項1記載のアンテナエレメントであって、
前記少なくとも1つの給電部は、二つの給電部を備えており、
前記中央部の中心と前記二つの給電部をそれぞれ結ぶ二つの仮想的な線は、平面視で90度をなしている
アンテナエレメント。
【請求項3】
請求項1記載のアンテナエレメントであって、
前記少なくとも1つの下側導体は、四つの下側導体を備えており、
前記少なくともの1つの脚部は、四つの脚部を備えており、
前記少なくとも1つの下側導体と前記少なくとも1つの脚部は、一対一に接続されている
アンテナエレメント。
【請求項4】
請求項1記載のアンテナエレメントであって、
前記上側導体、前記少なくとも1つの下側導体、前記少なくとも1つの脚部、前記少なくとも1つの給電部は、樹脂からなる支持部の上に設けられている
アンテナエレメント。
【請求項5】
請求項4記載のアンテナエレメントであって、
前記支持部には、前記上下方向において下方に凹んだ複数の凹部が形成されており、
前記複数の凹部は、前記複数の開口部に対して位置的にそれぞれ対応している
アンテナエレメント。
【請求項6】
請求項4記載のアンテナエレメントであって、
前記上側導体、前記少なくとも1つの下側導体、前記少なくとも1つの脚部、前記少なくとも1つの給電部は、平面視で、互いに重複していない
アンテナエレメント。
【請求項7】
請求項6記載のアンテナエレメントであって、
前記支持部は、前記中央部を支持する中央支持部と、前記環状部を支持する環状支持部と、前記複数の連結部をそれぞれ支持する複数の連結支持部とを少なくとも有しており、
前記中央支持部と前記環状支持部は、互いに離れて位置しており、前記連結支持部により連結されている
アンテナエレメント。
【請求項8】
請求項7記載のアンテナエレメントであって、
前記環状支持部は、前記上下方向において下方に凹んだ付加的凹部を有しており、
前記環状部は、前記付加的凹部を含め前記環状支持部の上面に沿って延びている
アンテナエレメント。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1つに記載のアンテナエレメントと、
グランド導体と、
前記アンテナエレメントと前記グランド導体との間に介在する誘電体と
を備えるアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナエレメント及びそれを備えるアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なパッチアンテナとしては、例えば、特許文献1に開示されたセラミック基板を備えるパッチアンテナが知られている。
【0003】
図11を参照すると、特許文献1に記載されたパッチアンテナ90は、アンテナベース基板92と、その表面に形成されたパッチ素子94と二つの給電導体96とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-221965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、一般的なセラミック基板を備えるパッチアンテナと比較して、小型化及び軽量化されたアンテナ装置並びにそれに用いられるアンテナエレメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1のアンテナエレメントとして、誘電体を介してグランド導体上に設けられることによりアンテナ装置を構成するアンテナエレメントであって、
前記アンテナエレメントは、上側導体と、少なくとも1つの下側導体と、少なくとも1つの脚部と、少なくとも1つの給電部を備えており、
前記上側導体には、複数の開口部が形成されており、
前記上側導体は、中央部と、環状部と、複数の連結部とを有しており、
前記環状部は、前記中央部から離れて位置していると共に前記中央部を切れ目なく囲んでおり、
前記開口部は、平面視で、前記中央部と前記環状部との間に位置しており、
前記連結部のそれぞれは、前記中央部と前記環状部とを連結しており、
前記少なくとも1つの脚部は、前記環状部から延びており、
前記少なくとも1つの下側導体は、上下方向において前記上側導体から離れており、前記少なくとも1つの脚部に接続されており、
前記少なくとも1つの給電部は、前記上側導体から延びている
アンテナエレメントを提供する。
【0007】
また、本発明は、第2のアンテナエレメントとして、第1のアンテナエレメントであって、
前記少なくとも1つの給電部は、2つの給電部を備えており、
前記中央部の中心と前記2つの給電部をそれぞれ結ぶ2つの仮想的な線は、平面視で90度をなしている
アンテナエレメントを提供する。
【0008】
また、本発明は、第3のアンテナエレメントとして、第1のアンテナエレメントであって、
前記少なくとも1つの下側導体は、4つの下側導体を備えており、
前記少なくともの1つの脚部は、4つの脚部を備えており、
前記少なくとも1つの下側導体と前記少なくとも1つの脚部は、一対一に接続されている
アンテナエレメントを提供する。
【0009】
また、本発明は、第4のアンテナエレメントとして、第1のアンテナエレメントであって、
前記上側導体、前記少なくとも1つの下側導体、前記少なくとも1つの脚部、前記少なくとも1つの給電部は、樹脂からなる支持部の上に設けられている
アンテナエレメントを提供する。
【0010】
また、本発明は、第5のアンテナエレメントとして、第4のアンテナエレメントであって、
前記支持部には、前記上下方向において下方に凹んだ複数の凹部が形成されており、
前記複数の凹部は、前記複数の開口部に対して位置的にそれぞれ対応している
アンテナエレメントを提供する。
【0011】
また、本発明は、第6のアンテナエレメントとして、第4のアンテナエレメントであって、
前記上側導体、前記少なくとも1つの下側導体、前記少なくとも1つの脚部、前記少なくとも1つの給電部は、平面視で、互いに重複していない
アンテナエレメントを提供する。
【0012】
また、本発明は、第7のアンテナエレメントとして、第6のアンテナエレメントであって、
前記支持部は、前記中央部を支持する中央支持部と、前記環状部を支持する環状支持部と、前記複数の連結部をそれぞれ支持する複数の連結支持部とを少なくとも有しており、
前記中央支持部と前記環状支持部は、互いに離れて位置しており、前記連結支持部により連結されている
アンテナエレメントを提供する。
【0013】
また、本発明は、第8のアンテナエレメントとして、第7のアンテナエレメントであって、
前記環状支持部は、前記上下方向において下方に凹んだ付加的凹部を有しており、
前記環状部は、前記付加的凹部を含め前記環状支持部の上面に沿って延びている
アンテナエレメントを提供する。
【0014】
また、本発明は、第1のアンテナ装置として、第1から第8までのアンテナエレメントのいずれか一つと、
グランド導体と、
前記アンテナエレメントと前記グランド導体との間に介在する誘電体と
を備えるアンテナ装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるアンテナエレメントにおいて、下側導体は上側導体とキャパシタを構成する。それによりアンテナエレメントの小型化を実現できる。また、上側導体には、複数の開口部が形成されており、それによってアンテナエレメントの軽量化が実現されている。このようなアンテナエレメントを備えるアンテナ装置も小型化かつ軽量化できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態によるアンテナ装置を示す斜視図である。
図2図1のアンテナ装置を示す上面図である。
図3図1のアンテナ装置を示す側面図である。
図4】本発明によるアンテナ装置の第1変形例を示す模式図である。
図5】本発明によるアンテナ装置の第2変形例を示す上面図である。支持部については、板状部のみが示されている。
図6】本発明によるアンテナ装置の第3変形例を示す上面図である。支持部については、板状部のみが示されている。
図7】本発明によるアンテナ装置の第4変形例を示す上面図である。支持部については、板状部のみが示されている。
図8】本発明によるアンテナ装置の第5変形例を示す模式図である。
図9】本発明によるアンテナ装置の第6変形例を示す模式図である。
図10】本発明によるアンテナ装置の第7変形例を示す模式図である。
図11】特許文献1に開示されたパッチアンテナを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施の形態によるアンテナ装置10は、アンテナエレメント20と、支持部(誘電体)30と、グランド導体40とを備えている。換言すると、アンテナエレメント20は、支持部(誘電体)30を介してグランド導体40に設けられることによりアンテナ装置10を構成している。
【0018】
図1及び図2に示されるように、アンテナエレメント20は、上側導体201と、少なくとも一つの下側導体203と、少なくとも一つの脚部205と、少なくとも一つの給電部207とを備えている。
【0019】
図1及び図2から理解されるように、本実施の形態において、アンテナエレメント20は、支持部30の上に設けられている。即ち、上側導体201と、少なくとも1つの下側導体203と、少なくとも一つの脚部205と、少なくとも一つの給電部207とは、支持部30の上に設けられている。本実施の形態において、上下方向はZ方向である。+Z方向が上方であり、-Z方向が下方である。
【0020】
図1及び図2に示されるアンテナエレメント20は、たとえば、レーザーダイレクトストラクチャリング(LDS)工法を用いて形成することができる。詳しくは、金属錯体を分散した樹脂材料を用いて支持部30を作製する。支持部30の表面の所定領域にレーザー光を照射し、金属錯体を還元する。還元された金属を触媒核として、支持部30の表面の所定領域に選択鍍金を行う。こうして形成された鍍金膜が、アンテナエレメント20となる。この工法では、レーザー光を支持部30の上方から照射するので、形成された鍍金膜全体を上方から視認することができる。したがって、本実施の形態において、上側導体201、少なくとも1つの下側導体203、少なくとも1つの脚部205、少なくとも1つの給電部207は、平面視で、互いに重複していない。ただし、本発明は、これに限られない。アンテナエレメント20は、一つ以上の金属板を用いて形成されてもよい。その場合、アンテナエレメント20が自立構造を有していれば、支持部30に代えて平板状の誘電体板を用いることができる。この場合、アンテナエレメント20は、誘電体板上に搭載される。
【0021】
図3に示されるように、グランド導体40は、支持部30の直下に配置される。換言すると、アンテナ装置10は、グランド導体40の上に搭載される。グランド導体40として、絶縁体基板の上面及び下面の夫々の全面に導体層が形成された回路基板を用いることができる。この場合、上面の導体層と下面の導体層とは、ビア等を用いて互いに接続されていることが好ましい。
【0022】
図3に示されるように、本実施の形態において、支持部30の下面には、その略全面を覆うグランド層31が形成されている。支持部30の下に配置されるグランド導体40は、支持部30の下面に形成されたグランド層31に電気的に接続される。ただし、本発明は、これに限られない。支持部30の下面には、グランド層31が形成されていなくてもよい。
【0023】
図2に示されるように、本実施の形態において、上側導体201の外形は、平面視において略正方形である。ただし、本発明は、これに限られない。上側導体201の外形は、平面視において略正方形でなくてもよい。しかしながら、アンテナ装置10で円偏波による通信を行わせるため、上側導体201の外形は、平面視において略n回対称であることが好ましい。ここで、nは4の倍数である(以下、同じ)。
【0024】
図2に示されるように、上側導体201は、中央部211と、環状部213と、複数の連結部215とを有している。中央部211は、平面視において上側導体201の中心を含む部分である。環状部213は、上側導体201の外縁に沿った部分である。連結部215は、中央部211と環状部213とを連結する部分である。連結部215は、環状部213に連結される比較的広い領域である端部領域217を有している。ただし、中央部211と連結部215との境界、及び環状部213と連結部215との境界は、それぞれ明確なものではない。
【0025】
図1及び図2から理解されるように、中央部211と、環状部213と、連結部215は、複数の開口部22を規定している。換言すると、上側導体201には、複数の開口部22が形成されている。開口部22の夫々は、平面視で、中央部211と環状部213との間に位置している。本実施の形態において、連結部215の数及び開口部22の数は、夫々四つである。開口部22を形成したことにより、金属材料の量を減らすことができ、軽量化を図ることができる。
【0026】
図2に示されるように、本実施の形態において、下側導体203の数、及び脚部205の数は、それぞれ四つである。また、本実施の形態において、給電部207の数は、二つである。換言すると、本実施の形態において、少なくとも一つの下側導体203は、四つの下側導体203を備えている。また、少なくとも一つの脚部205は、四つの脚部205を備えている。さらに、少なくとも一つの給電部207は、二つの給電部207を備えている。ただし、本発明は、これに限られない。下側導体203、脚部205及び給電部207の数は、それぞれ任意に設定可能である。本実施形態において、下側導体203の数と脚部205の数とは等しいが、これらは必ずしも等しい必要はない。
【0027】
図2に示されるように、本実施の形態において、下側導体203は、支持部30の角部に夫々配置されている。本実施の形態において、下側導体203の形状は、平面視においてL字形である。ただし、本発明は、これに限られない。下側導体203の夫々の形状は、任意に設定することができる。しかしながら、下側導体203は、平面視で、支持部30の中心に関して略n回対称に形成されることが好ましい。
【0028】
図1及び図2から理解されるように、下側導体203の夫々は、対応する脚部205に接続される。換言すると、少なくとも一つの下側導体203と少なくとも一つの脚部205とは、一対一に接続されている。
【0029】
図1に示されるように、支持部30は、中央支持部301と、環状支持部303と、少なくとも一つの連結支持部305と、少なくとも一つの給電支持部307と、板状部309とを有している。本実施の形態において、連結支持部305の数は四つである。また本実施の形態において、給電支持部307の数は二つである。
【0030】
図1及び図3から理解されるように、中央支持部301、環状支持部303、及び連結支持部305、及び給電支持部307は、板状部309の上面から上方へ突出している。中央支持部301、環状支持部303、及び連結支持部305は、複数の凹部32を規定している。換言すると、支持部30には、上下方向において下方へ凹んだ複数の凹部32が形成されている。凹部32は、上側導体201の開口部22と位置的に夫々対応している。凹部32が形成されたことにより、樹脂によるアンテナ装置10の損失を低減することができる。一方、環状支持部303は、上下方向において下方に凹んだ付加的凹部33を有している。
【0031】
図1及び図2から理解されるように、中央支持部301は、中央部211と対応しており、中央部211を支持している。環状支持部303は、環状部213と対応しており、環状部213を支持している。中央支持部301と環状支持部303とは互いに離れて位置しており、連結支持部305によって連結されている。連結支持部305は、連結部215と夫々対応している。連結支持部305の夫々は、対応する連結部215を支持している。給電支持部307は、給電部207と夫々対応している。給電支持部307の夫々は、対応する給電部207を支持している。
【0032】
図1及び図2に示されるように、本実施の形態において、中央部211は、中央支持部301の上面に設けられている。中央部211の外形は、平面視において略八角形である。
【0033】
図1及び図2に示されるように、本実施の形態において、環状部213は、付加的凹部33を含め環状支持部303の上面に沿って延びている。環状部213の形状は、平面視で、上側導体201の外形に沿った略正方形のフレーム形状である。環状部213は、平面視において、中央部211から離れて外側に位置し、中央部211を切れ目なく囲んでいる。付加的凹部33は、環状部213の各辺の長手方向中央部に位置している。
【0034】
図1及び図2に示されるように、本実施の形態において、連結部215の数は、四つである。連結部215の夫々は、対応する連結支持部305の上面に設けられている。連結部215の夫々は、中央部211の八つの角のいずれかに対応するとともに、環状部213の四つの角に夫々対応している。連結部215の夫々は、対応する中央部211の角と対応する環状部213の角とを連結している。
【0035】
図1及び図3から理解されるように、本実施の形態において、中央部211と連結部215とは、上下方向と直交する特定平面上に位置している。環状部213は、部分的に特定平面上に位置している。環状部213は、上下方向において、特定平面よりも下方に位置する部分、即ち、付加的凹部33に対応する部分を有している。
【0036】
図1及び図2に示されるように、下側導体203は、板状部309の上面に設けられており、上下方向において上側導体201から離れている。詳しくは、下側導体203は、上下方向において上側導体201よりも下方に位置している。
【0037】
図1及び図2に示されるように、脚部205は、環状部213から延びている。本実施の形態において、脚部205は、平面視において環状部213の外縁から外側へ延びている。詳しくは、脚部205の夫々は、環状部213の四つ角のいずれかから斜め下方へ延びている。
【0038】
図1及び図2に示されるように、給電部207は、上側導体201から延びている。本実施の形態において、給電部207は、中央部211から環状部213のいずれかの角に向かって延びた後、凹部32の中央部へ延びている。ただし、本発明は、これに限られない。給電部207は、連結部215から延びていてもよい。
【0039】
図2から理解されるように、中央部211の中心と二つ給電部207をそれぞれ結ぶ二つの仮想的な線は、平面視で90度をなしている。詳しくは、給電部207の夫々と中央部211との接続点を給電点209とすると、中央部211の中心と二つ給電点209をそれぞれ結ぶ二つの仮想的な線は、平面視で90度をなしている。これにより、アンテナ装置10を用いて、二点給電方式による円偏波を用いた通信を実現することができる。
【0040】
図1から図3に示されるアンテナ装置10において、下側導体203の夫々は、上側導体201又は連結部215とキャパシタを構成する。即ち、下側導体203の存在は、アンテナ装置10の共振周波数に影響を与える。詳しくは、下側導体203の存在は、これらが存在しない場合に比べて共振周波数を低下させる。換言すると、下側導体203の存在は、所定の共振周波数を有するアンテナエレメント20の小型化を実現可能にし、もって、アンテナ装置10の小型化を実現可能にする。
【0041】
図1から図3に示されるアンテナ装置10において、下側導体203の形状及びサイズは、共振周波数の設定に影響する。加えて、環状部213の形状及びサイズも、共振周波数に影響する。上下方向において、環状部213を部分的に特定平面よりも下方に位置させるようにしたことで、環状部213全体を特定平面上に位置させた場合に比べ、共振周波数を低下させることができる。これにより、アンテナエレメント20の小型化を実現し、アンテナ装置10の小型化を実現することができる。
【0042】
図1から図3に示されるアンテナ装置10は、二点給電方式を採用している。詳しくは、給電部207の一方に第1入力信号を入力し、給電部207の他方に第1入力信号と位相が90度異なる第2入力信号を入力することにより、真円度の高い円偏波での通信をアンテナエレメント20に行わせることができる。真円度の高い円偏波での通信を実現するため、上側導体201の外形、下側導体203の配置は、略n回転対称であることが好ましい。
【0043】
以上、本発明について、実施の形態を掲げて説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変形、変更が可能である。
【0044】
(第1変形例)
図4を参照すると、アンテナエレメント20Aは、上側導体201Aと、少なくとも一つの下側導体203Aと、少なくとも一つの脚部205Aと、少なくとも一つの給電部207Aとを備えている。アンテナエレメント20Aは、支持部30(図1図3参照)を有していない。
【0045】
図4に示されるように、アンテナエレメント20Aは、グランド導体40Aの上方に、グランド導体40Aから離れて配置され、アンテナ装置10Aを構成する。アンテナエレメント20Aとグランド導体40Aとは、支持部材(図示せず)によって互いに固定される。アンテナエレメント20Aとグランド導体40Aとの間には、誘電体として空気が存在する。このように、本発明のアンテナ装置において、誘電体は空気であってもよい。なお、本変形例においても、環状部213Aは、図1から図3に示される環状部213と同様に、上下方向において特定平面よりも下方に位置する部分を有していてもよい。
【0046】
(第2変形例)
図5を参照すると、アンテナエレメント20Bにおいて、上側導体201の中央部211Bの形状は、平面視で、略正方形である。このように、上側導体201の中央部211Bの形状は、任意に設定することができる。ただし、円偏波による通信を実現する上で、中央部211Bの形状はn回対称であることが好ましい。
【0047】
アンテナエレメント20Bにおいて、給電部207Bの夫々は、中央部211Bの四つの角のいずれかに接続されている。本変形例においても、中央部211Bの中心と二つ給電部207Bをそれぞれ結ぶ二つの仮想的な線は、平面視で90度をなしている。詳しくは、給電部207Bの夫々と中央部211Bとの接続点を給電点209とすると、中央部211Bの中心と二つ給電点209をそれぞれ結ぶ二つの仮想的な線は、平面視で90度をなしている。
【0048】
(第3変形例)
図6を参照すると、アンテナエレメント20Cにおいて、連結部215Cの夫々は、中央部211Cの八つの辺のいずれかに対応している。連結部215Cの夫々は、対応する中央部211Cの辺と対応する環状部213Cの角とを連結している。また、給電部207Cは、平面視で、連結部215Cに形成されたスロット219内に配置されている。給電部207Cは、平面視で、中央部211Cのいずれかの辺から環状部213Cの角へ向かって延びている。
【0049】
(第4変形例)
図7を参照すると、アンテナエレメント20Dは、ダミースロット219Dを有する点で、第3変形例のアンテナエレメント20Cと異なっている。アンテナエレメント20Dは、第3変形例のアンテナエレメント20Cと比べて、金属材料を減らすことができ、アンテナエレメント20Dを軽量化することができる。
【0050】
(第5変形例)
図8を参照すると、アンテナエレメント20Eは、上側導体201Eの中央部211Eが、上下方向において、連結部215Eの端部領域217Eよりも下方に位置している点で、第1変形例のアンテナエレメント20Aと異なっている。このように、本発明のアンテナエレメントにおいて、上側導体の中央部と連結部とは、部分的に同一平面上に位置していなくてもよい。なお、アンテナエレメント20Eは、平面視で、図5図6又は図7に示される形状を有してよい。また、上側導体201Eの環状部213Aは、上下方向において特定平面よりも下方に位置する部分を有していてもよい。
【0051】
(第6変形例)
図9を参照すると、アンテナ装置10Fは、アンテナエレメント20Aとグランド導体40Aとの間に誘電体34が充填されている点で、図4のアンテナ装置10Aと異なっている。また、図10を参照すると、アンテナ装置10Gは、アンテナエレメント20Eとグランド導体40Aとの間、及び中央部211Eの上方の空間に誘電体34が充填されている点で、図8のアンテナ装置10Eと異なっている。いずれの場合も、誘電体34として、エポキシ樹脂、テフロン(登録商標)など、様々な樹脂を用いることができる。このように、本発明のアンテナ装置において、誘電体として、様々な部材を用いることができる。
【符号の説明】
【0052】
10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G アンテナ装置
20,20A,20B,20C,20D,20E アンテナエレメント
201,201A,201E 上側導体
203,203A 下側導体
205,205A 脚部
207,207A,207B,207C 給電部
209 給電点
211,211A,211B,211C,211E 中央部
213,213A 環状部
215,215A,215C,215E 連結部
217,217A,217E 端部領域
219 スロット
219D ダミースロット
22 開口部
30 支持部(誘電体)
301 中央支持部
303 環状支持部
305 連結支持部
307 給電支持部
309 板状部
32 凹部
33 付加的凹部
34 誘電体
40,40A グランド導体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11