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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057439
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164179
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522400548
【氏名又は名称】コンチネンタル オートノマス モビリティー ジャーマニー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Continental Autonomous Mobility Germany GmbH
【住所又は居所原語表記】Ringlerstrasse 17, 85057 Ingolstadt, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小原 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】望月 朋彦
(72)【発明者】
【氏名】野原 孝良
(72)【発明者】
【氏名】高橋 将寛
(72)【発明者】
【氏名】橋本 裕樹
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB05
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF33
5H181LL02
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】本開示は、自車両の乗員が感じる煩雑さを低減しつつ、自車両への他車両の接近を乗員に報知することを目的とする。
【解決手段】制御装置は、自車両の後方に接近する他車両の前記自車両への接近状態に関する状態情報を取得する取得部と、取得された前記状態情報に基づいて、前記自車両への前記他車両の接近を前記自車両の乗員に報知部を通じて報知する報知条件が成立し、かつ前記他車両が前記自車両への接近を直前に報知された車両と同じとなる場合は、前記報知部による報知を禁止する制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の後方に接近する他車両の前記自車両への接近状態に関する状態情報を取得する取得部と、
取得された前記状態情報に基づいて、前記自車両への前記他車両の接近を前記自車両の乗員に報知部を通じて報知する報知条件が成立し、かつ前記他車両が前記自車両への接近を直前に報知された車両と同じとなる場合は、前記報知部による報知を禁止する制御部と、
を備える、
制御装置。
【請求項2】
前記報知条件は、第1報知条件及び第2報知条件を含み、
前記制御部は、
前記第1報知条件及び前記第2報知条件の双方が成立した履歴がない場合に前記第1報知条件及び前記第2報知条件の一方が成立したとき、又は、前記第1報知条件及び前記第2報知条件の一方の成立に伴う報知を実行中に、前記成立した履歴がない前記第1報知条件及び前記第2報知条件の他方が成立した場合、前記報知部に報知を実行させる、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記他車両が前記自車両の後方における所定領域まで接近した場合に、前記第1報知条件を成立させ、
前記自車両と前記他車両との相対速度で割った相対衝突時間が所定値以下の場合に、前記第2報知条件を成立させる、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記他車両の前記自車両への接近状態が所定の状態にあり、かつ前記自車両の車速が所定値以上の場合に、前記報知条件を成立させる、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記他車両の前記自車両への接近状態が所定の状態となった後に、前記車速が所定値以上となった場合は、前記車速が所定値以上となったタイミングで前記報知条件を成立させ、
前記他車両の前記自車両への接近状態が所定の状態、かつ前記車速が所定値以上となった後に、前記車速が所定値未満となった場合は、前記車速が所定値未満となったタイミングで前記報知条件を不成立とさせる、
請求項4に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、接近する後方車両を運転者に対して適切に通知することができる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-129980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、運転者への通知後に後方車両が自車両から離間し、その後に再び後方車両が自車両に接近した際に通知を行うと、運転者が通知に対して煩雑さを感じるおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、自車両の乗員が感じる煩雑さを低減しつつ、自車両への他車両の接近を乗員に報知することができる制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る制御装置は、自車両の後方に接近する他車両の前記自車両への接近状態に関する状態情報を取得する取得部と、取得された前記状態情報に基づいて、前記自車両への前記他車両の接近を前記自車両の乗員に報知部を通じて報知する報知条件が成立し、かつ前記他車両が前記自車両への接近を直前に報知された車両と同じとなる場合は、前記報知部による報知を禁止する制御部と、を備える。
【0007】
請求項1に係る制御装置では、取得部は、状態情報を取得する。そして、制御部は、取得部により取得された状態情報に基づいて、報知条件が成立し、かつ他車両が自車両への接近を直前に報知された車両と同じとなる場合は、報知部による報知を禁止する。これにより、当該制御装置では、自車両の乗員が感じる煩雑さを低減しつつ、自車両への他車両の接近を乗員に報知することができる。
【0008】
請求項2に係る制御装置は、請求項1において、前記報知条件は、第1報知条件及び第2報知条件を含み、前記制御部は、前記第1報知条件及び前記第2報知条件の双方が成立した履歴がない場合に前記第1報知条件及び前記第2報知条件の一方が成立したとき、又は、前記第1報知条件及び前記第2報知条件の一方の成立に伴う報知を実行中に、前記成立した履歴がない前記第1報知条件及び前記第2報知条件の他方が成立した場合、前記報知部に報知を実行させる。
【0009】
請求項2に係る制御装置では、報知条件は、第1報知条件及び第2報知条件を含む。そして、制御部は、第1報知条件及び第2報知条件の双方が成立した履歴がない場合に第1報知条件及び第2報知条件の一方が成立したとき、報知部に報知を実行させる。また、制御部は、第1報知条件及び第2報知条件の一方の成立に伴う報知を実行中に、成立した履歴がない第1報知条件及び第2報知条件の他方が成立した場合、報知部に報知を実行させる。これにより、当該制御装置では、各報知条件が成立した履歴を踏まえて、報知部に報知を実行させるか否かを決定することができる。
【0010】
請求項3に係る制御装置は、請求項2において、前記制御部は、前記他車両が前記自車両の後方における所定領域まで接近した場合に、前記第1報知条件を成立させ、前記自車両と前記他車両との相対速度で割った相対衝突時間が所定値以下の場合に、前記第2報知条件を成立させる。
【0011】
請求項3に係る制御装置では、制御部は、他車両が自車両の後方における所定領域まで接近した場合に第1報知条件を成立させる。また、制御部は、自車両と他車両との相対速度で割った相対衝突時間が所定値以下の場合に第2報知条件を成立させる。これにより、当該制御装置では、他車両が自車両に衝突する可能性が高まった場合に、各報知条件を成立させることができる。
【0012】
請求項4に係る制御装置は、請求項1において、前記制御部は、前記他車両の前記自車両への接近状態が所定の状態にあり、かつ前記自車両の車速が所定値以上の場合に、前記報知条件を成立させる。
【0013】
請求項4に係る制御装置では、制御部は、他車両の自車両への接近状態が所定の状態にあり、かつ自車両の車速が所定値以上の場合に、報知条件を成立させる。これにより、当該制御装置では、自車両の車速が所定値未満となる道路、例えば、一般道で報知が実行されることを防止できる。
【0014】
請求項5に係る制御装置は、請求項4において、前記制御部は、前記他車両の前記自車両への接近状態が所定の状態となった後に、前記車速が所定値以上となった場合は、前記車速が所定値以上となったタイミングで前記報知条件を成立させ、前記他車両の前記自車両への接近状態が所定の状態、かつ前記車速が所定値以上となった後に、前記車速が所定値未満となった場合は、前記車速が所定値未満となったタイミングで前記報知条件を不成立とさせる。
【0015】
請求項5に係る制御装置では、制御部は、他車両の自車両への接近状態が所定の状態となった後に、車速が所定値以上となった場合は、車速が所定値以上となったタイミングで報知条件を成立させる。また、制御部は、他車両の自車両への接近状態が所定の状態、かつ車速が所定値以上となった後に、車速が所定値未満となった場合は、車速が所定値未満となったタイミングで報知条件を不成立とさせる。これにより、当該制御装置では、他車両の自車両への接近状態及び自車両の車速を踏まえて、報知条件の成立又は不成立を決定することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本開示に係る制御装置では、自車両の乗員が感じる煩雑さを低減しつつ、自車両への他車両の接近を乗員に報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】車両のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2】制御装置の機能構成の例を示すブロック図である。
図3】決定処理の流れを示す第1のフローチャートである。
図4】決定処理の流れを示す第2のフローチャートである。
図5】決定処理の流れを示す第3のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
まず、本実施形態に係る車両10の第1の実施形態について説明する。
図1は、車両10のハードウェア構成を示すブロック図である。車両10は「自車両」の一例である。
【0019】
図1に示すように、車両10は、制御装置20と、ECU(Electronic Control Unit)30と、センサ40と、モニタ41と、スピーカ42と、を含んで構成されている。
【0020】
制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、記憶部24、車内通信I/F(InterFace)25、入出力I/F26及び無線通信I/F27を含んで構成されている。CPU21、ROM22、RAM23、記憶部24、車内通信I/F25、入出力I/F26及び無線通信I/F27は、内部バス28を介して相互に通信可能に接続されている。
【0021】
CPU21は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU21は、ROM22又は記憶部24からプログラムを読み出し、RAM23を作業領域としてプログラムを実行する。CPU21は、ROM22又は記憶部24に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0022】
ROM22は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM23は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0023】
記憶部24は、eMMC(embedded Multi Media Card)又はUFS(Universal Flash Storage)等の記憶装置により構成され、各種プログラム及び各種データを格納する。記憶部24には、CPU21に後述する決定処理を実行させるための制御プログラム24Aが格納されている。
【0024】
車内通信I/F25は、ECU30と接続するためのインターフェースである。当該インターフェースは、CANプロトコルによる通信規格が用いられる。車内通信I/F25は、外部バス29に対して接続されている。なお、図示を省略しているが、ECU30は、車両10の機能毎に複数設けられている。
【0025】
入出力I/F26は、車両10に搭載されるセンサ40、モニタ41、及びスピーカ42と通信するためのインターフェースである。
【0026】
センサ40は、車両10の状態及び車両10の外部の状態を検出する検出装置である。当該センサ40は、一例として、車速センサ40A及びミリ波センサ40Bを含む。
【0027】
車速センサ40Aは、車両10の車速を検出するためのセンサであり、例えば、車輪に設けられている。また、ミリ波センサ40Bは、車両10の後方に接近する後方車両を検出するためのセンサであり、少なくとも車両10の後部に設けられている。ミリ波センサ40Bは、車両10の後方に送信波を送信し、後方の物体からの反射波を受信することで、後方車両の検出に用いられる。後方車両は「他車両」の一例である。
【0028】
モニタ41は、インストルメントパネル、又はメータパネル等に設けられ、車両10の機能に係る作動の提案、及び当該機能の説明に係る画像等を表示するための液晶モニタである。モニタ41は、入力機能を兼ねたタッチパネルとして設けてもよい。
【0029】
スピーカ42は、インストルメントパネル、センタコンソール、フロントピラー、又はダッシュボード等に設けられ、車両10の機能に係る作動の提案、及び当該機能の説明に係る音声等を出力するための装置である。モニタ41及びスピーカ42は「報知部」の一例である。
【0030】
無線通信I/F27は、外部と通信するための無線通信モジュールである。当該無線通信モジュールは、例えば、5G、LTE、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格が用いられる。
【0031】
次に、制御装置20の機能構成について説明する。
図2は、制御装置20の機能構成の例を示すブロック図である。
【0032】
図2に示すように、制御装置20のCPU21は、機能構成として、取得部21A及び制御部21Bを有する。各機能構成は、CPU21が記憶部24に記憶された制御プログラム24Aを読み出し、実行することにより実現される。
【0033】
取得部21Aは、車両10の後方に接近する後方車両の車両10への接近状態に関する状態情報を取得する。一例として、取得部21Aは、ミリ波センサ40Bの検出結果を状態情報として取得する。
【0034】
制御部21Bは、取得部21Aにより取得された状態情報に基づいて、車両10への後方車両の接近を車両10の乗員にモニタ41及びスピーカ42を通じて報知する報知条件が成立するか否かを決定する。第1の実施形態では、制御部21Bは、後方車両が車両10の後方における所定領域まで接近した場合に報知条件を成立させる。例えば、制御部21Bは、ミリ波センサ40Bの検出結果としての車両10と後方車両との車間距離を用いて、後方車両が車両10の後方における所定領域まで接近しているか否かを決定する。そして、制御部21Bは、後方車両が車両10の後方における所定領域まで接近しているか否かの決定に応じて、報知条件を成立又は不成立とする。
【0035】
また、制御部21Bは、取得部21Aにより取得された状態情報に基づいて、後方車両を識別する。例えば、制御部21Bは、ミリ波センサ40Bの検出結果に基づいて、車両10の真後ろを走行する後方車両の挙動の追跡又は物体検出等の識別処理を定期的に実行する。そして、制御部21Bは、一の識別処理の結果と、当該一の識別処理の直前に実行した識別処理の結果との特徴量の類似度を基に後方車両の同一性を識別する。
【0036】
そして、制御部21Bは、取得部21Aにより取得された状態情報に基づいて、報知条件が成立し、かつ識別された後方車両が車両10への接近を直前に報知された車両(以下、「直前車両」とする)と異なった場合は、モニタ41及びスピーカ42に報知を実行させる。この場合、当該報知として、モニタ41は所定の画像を表示し、スピーカ42は所定の音声を出力する。
【0037】
また、制御部21Bは、取得部21Aにより取得された状態情報に基づいて、報知条件が成立し、かつ識別された後方車両が直前車両と同じとなる場合は、モニタ41及びスピーカ42による報知を禁止する。つまり、この場合は、モニタ41及びスピーカ42による報知が実行されない。
【0038】
図3は、制御装置20による、車両10への後方車両の接近を乗員に報知するか否かを決定する決定処理の流れを示す第1のフローチャートである。CPU21が記憶部24から制御プログラム24Aを読み出して、RAM23に展開して実行することにより、決定処理が行われる。
【0039】
図3に示すステップS10において、CPU21は、状態情報を取得する。そして、CPU21は、ステップS11に進む。
【0040】
ステップS11において、CPU21は、ステップS10で取得した状態情報に基づいて、報知条件が成立するか否かを判定し、報知条件が成立すると判定した場合(ステップS11:YES)、ステップS12に進む。一方、CPU21は、報知条件が成立すると判定しない場合(ステップS11:NO)、決定処理を終了する。
【0041】
ステップS12において、CPU21は、ステップS10で取得した状態情報に基づいて、後方車両が直前車両と異なるか否かを判定し、直前車両と異なると判定した場合(ステップS12:YES)、ステップS13に進む。一方、CPU21は、後方車両が直前車両と異なると判定しない場合(ステップS12:NO)、決定処理を終了する。
【0042】
ステップS13において、CPU21は、モニタ41及びスピーカ42に報知を実行させる。そして、CPU21は、ステップS10に戻る。
【0043】
以上説明したように、第1の実施形態に係る制御装置20では、CPU21は、状態情報を取得する。そして、CPU21は、取得した状態情報に基づいて、報知条件が成立し、かつ後方車両が直前車両と同じとなる場合は、モニタ41及びスピーカ42による報知を禁止する。これにより、当該制御装置20では、車両10の乗員が感じる煩雑さを低減しつつ、車両10への後方車両の接近を乗員に報知することができる。
【0044】
ここで、上記の車両10は、運転制御として、乗員(運転者)の運転操作に基づいて走行する手動運転制御が行われる。しかし、これに限らず、当該車両10は、運転制御として、加減速、制動、及び操舵等を自動的に行う自動運転制御が行われ、当該自動運転制御により走行する車両(いわゆる自動運転車両)としてもよい。この場合、自動運転車両である車両10が自動運転制御を行っている間にも、上記の制御装置20によれば、乗員が感じる煩雑さを低減しつつ、車両10への後方車両の接近を乗員に報知することができる。
【0045】
(第2の実施形態)
次に、本実施形態に係る車両10の第2の実施形態について、上記実施形態との重複部分を省略又は簡略しつつ説明する。
【0046】
第2の実施形態では、報知条件は、第1報知条件及び第2報知条件を含む。そして、制御部21Bは、後方車両が車両10の後方における所定領域まで接近した場合に第1報知条件を成立させる。また、制御部21Bは、車両10と後方車両との相対速度で割った相対衝突時間、いわゆるTTC(Time to Collision)が所定値以下の場合に第2報知条件を成立させる。例えば、制御部21Bは、ミリ波センサ40Bの検出結果としての車両10と後方車両との車間距離及び相対速度を用いて、車両10と後方車両とのTTCを算出する。なお、制御部21Bは、各報知条件を成立させた場合、成立させた報知条件と対応する後方車両とを関連付けて、当該報知条件が成立した履歴(以下、「成立履歴」とする)を記憶部24に記憶させる。
【0047】
ここで、制御部21Bは、何れかの報知条件が成立した場合に、記憶部24に記憶された成立履歴に基づいて、車両10への後方車両の接近を乗員に報知するか否かの履歴判定を行う。具体的には、制御部21Bは、第1報知条件及び第2報知条件の一方が成立した場合に第1報知条件及び第2報知条件の双方についての成立履歴がないときは、履歴判定で「OK」の判定を下す。また、制御部21Bは、成立した一方の報知条件についての成立履歴がなく、かつ他方の報知条件の成立に伴う報知を実行中である場合は、履歴判定で「OK」の判定を下す。なお、制御部21Bは、上記2つのケース以外の場合については、履歴判定で「NG」の判定を下す。
【0048】
そして、制御部21Bは、上記の履歴判定で「OK」の判定を下し、かつ識別された後方車両が直前車両と異なった場合に、モニタ41及びスピーカ42に報知を実行させる。
【0049】
次に、第2の実施形態における決定処理の流れについて説明する。図4は、決定処理の流れを示す第2のフローチャートである。
【0050】
図4に示すステップS20において、CPU21は、状態情報を取得する。そして、CPU21は、ステップS21に進む。
【0051】
ステップS21において、CPU21は、ステップS20で取得した状態情報に基づいて、何れかの報知条件、具体的には、第1報知条件及び第2報知条件の少なくとも何れかが成立するか否かを判定し、成立すると判定した場合(ステップS21:YES)、ステップS22に進む。一方、CPU21は、第1報知条件及び第2報知条件の少なくとも何れかが成立すると判定しない場合(ステップS21:NO)、決定処理を終了する。
【0052】
ステップS22において、CPU21は、記憶部24に記憶された成立履歴に基づいて履歴判定を行い、当該履歴判定で「OK」の判定を下した場合(ステップS22:YES)、ステップS23に進む。一方、CPU21は、当該履歴判定で「OK」の判定を下さない場合(ステップS22:NO)、決定処理を終了する。
【0053】
ステップS23において、CPU21は、ステップS20で取得した状態情報に基づいて、後方車両が直前車両と異なるか否かを判定し、直前車両と異なると判定した場合(ステップS23:YES)、ステップS24に進む。一方、CPU21は、後方車両が直前車両と異なると判定しない場合(ステップS23:NO)、決定処理を終了する。
【0054】
ステップS24において、CPU21は、モニタ41及びスピーカ42に報知を実行させる。そして、CPU21は、ステップS20に戻る。
【0055】
以上説明したように、第2の実施形態に係る制御装置20では、報知条件は、第1報知条件及び第2報知条件を含む。そして、CPU21は、第1報知条件及び第2報知条件の双方についての成立履歴がない場合に第1報知条件及び第2報知条件の一方が成立し、かつ識別された後方車両が直前車両と異なる場合に、モニタ41及びスピーカ42に報知を実行させる。また、CPU21は、第1報知条件及び第2報知条件の一方の成立に伴う報知を実行中に、成立履歴がない第1報知条件及び第2報知条件の他方が成立し、かつ識別された後方車両が直前車両と異なる場合に、モニタ41及びスピーカ42に報知を実行させる。これにより、当該制御装置20では、各報知条件が成立した履歴を踏まえて、モニタ41及びスピーカ42に報知を実行させるか否かを決定することができる。
【0056】
また、上記の制御装置20では、CPU21は、後方車両が車両10の後方における所定領域まで接近した場合に第1報知条件を成立させる。また、CPU21は、車両10と後方車両とのTTCが所定値以下の場合に第2報知条件を成立させる。これにより、当該制御装置20では、後方車両が車両10に衝突する可能性が高まった場合に、各報知条件を成立させることができる。
【0057】
(第3の実施形態)
次に、本実施形態に係る車両10の第3の実施形態について、上記実施形態との重複部分を省略又は簡略しつつ説明する。
【0058】
第3の実施形態では、制御部21Bは、後方車両の車両10への接近状態が所定の状態にあり、かつ車両10の車速が所定値以上の場合に、報知条件を成立させる。当該所定の状態は、後方車両が車両10の後方における所定領域まで接近した状態、又は車両10と後方車両とのTTCが所定値以下の状態である。
【0059】
次に、第3の実施形態における決定処理の流れについて説明する。図5は、決定処理の流れを示す第3のフローチャートである。
【0060】
図5に示すステップS30において、CPU21は、状態情報を取得する。そして、CPU21は、ステップS31に進む。
【0061】
ステップS31において、CPU21は、ステップS30で取得した状態情報に基づいて、後方車両の車両10への接近状態が所定の状態にあるか否かを判定し、所定の状態にあると判定した場合(ステップS31:YES)、ステップS32に進む。一方、CPU21は、後方車両の車両10への接近状態が所定の状態にあると判定しない場合(ステップS31:NO)、決定処理を終了する。
【0062】
ステップS32において、CPU21は、車速センサ40Aから車両10の車速を取得し、取得した車両10の車速が所定値以上であるか否かを判定し、所定値以上であると判定した場合(ステップS32:YES)、ステップS33に進む。一方、CPU21は、車両10の車速が所定値以上であると判定しない場合(ステップS32:NO)、決定処理を終了する。
【0063】
ステップS33において、CPU21は、ステップS30で取得した状態情報に基づいて、後方車両が直前車両と異なるか否かを判定し、直前車両と異なると判定した場合(ステップS33:YES)、ステップS34に進む。一方、CPU21は、後方車両が直前車両と異なると判定しない場合(ステップS33:NO)、決定処理を終了する。
【0064】
ステップS34において、CPU21は、モニタ41及びスピーカ42に報知を実行させる。そして、CPU21は、ステップS30に戻る。
【0065】
以上説明したように、第3の実施形態に係る制御装置20では、CPU21は、後方車両の車両10への接近状態が所定の状態にあり、かつ車両10の車速が所定値以上の場合に、報知条件を成立させる。これにより、当該制御装置20では、車両10の車速が所定値未満となる道路、例えば、一般道で報知が実行されることを防止できる。
【0066】
ここで、後方車両の車両10への接近状態が所定の状態にある場合は、同時に車両10の車速が所定値以上となっていることが多い。しかし、当該接近状態が所定の状態になるタイミングと車両10の車速が所定値以上となるタイミングとが前後する場合、CPU21は、次のタイミングで報知条件が成立したと判定する。
【0067】
具体的には、CPU21は、制御部21Bの機能として、後方車両の車両10への接近状態が所定の状態となった後に、車両10の車速が所定値以上となった場合は、当該車速が所定値以上となったタイミングで報知条件を成立させる。この場合、CPU21は、識別された後方車両が直前車両と異なれば、当該報知条件が成立したタイミングでモニタ41及びスピーカ42に報知を実行させる。
【0068】
また、CPU21は、制御部21Bの機能として、後方車両の車両10への接近状態が所定の状態、かつ車両10の車速が所定値以上となった後に、当該車速が所定値未満となった場合は、当該車速が所定値未満となったタイミングで報知条件を不成立とさせる。この場合、CPU21は、当該報知条件を不成立とさせたタイミングでモニタ41及びスピーカ42からの報知を停止させる。
【0069】
以上の構成より、第3の実施形態に係る制御装置20では、後方車両の車両10への接近状態及び車両10の車速を踏まえて、報知条件の成立又は不成立を決定することができる。
【0070】
(その他)
上記実施形態では、ミリ波センサ40Bを用いて後方車両を検出することとしたが、当該後方車両を検出する検出装置はこれに限定されない。例えば、ミリ波センサ40Bに代えて又は加えて、カメラ及びライダー(LIDAR:Laser Imaging Detection and Ranging)等を用いて後方車両を検出してもよい。検出装置としてカメラを用いる場合、制御装置20のCPU21は、車両10の後方をカメラに撮影させ、前後の撮影画像に含まれる情報(例:ナンバープレート)を基に後方車両の同一性を識別する。また、車両10が走行中の道路が2車線以上ある場合は、上記の検出装置を用いて後方車両の横方向位置を検出し、車両10と別車線を走行中の車両を決定処理の処理対象から除外することが望ましい。
【0071】
上記実施形態において、成立した一方の報知条件(例:第1報知条件)についての成立履歴がない場合に他方の報知条件(例:第2報知条件)の成立に伴う報知を実行中であるときは、CPU21は、以下の制御を行ってもよい。上記の場合、CPU21は、何れかの報知条件が成立したことに基づいて行われる報知(以下、「通常報知」とする)とは報知態様を異ならせてもよい。具体的には、上記の場合、CPU21は、通常報知よりも報知時間を長くしたり、通常報知からモニタ41の表示内容を変更したり、通常報知からスピーカ42の出力内容を変更したりしてもよい。
【0072】
上記実施形態では、モニタ41を「報知部」の一例としたが、当該「報知部」となる表示装置はこれに限定されない。例えば、HUD(Head-Up Display)及び電子インナーミラー等の他の表示装置を「報知部」の一例としてもよい。また、モニタ41及びスピーカ42の双方を「報知部」の一例とすることに限らず、モニタ41及びスピーカ42の何れか一方を「報知部」の一例としてもよい。
【0073】
なお、上記実施形態でCPU21がソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した決定処理をCPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、決定処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0074】
また、上記実施形態では、制御プログラム24Aが記憶部24に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。制御プログラム24Aは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、制御プログラム24Aは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 車両(自車両)
20 制御装置
21A 取得部
21B 制御部
41 モニタ(報知部)
42 スピーカ(報知部)
図1
図2
図3
図4
図5