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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057463
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】橋梁用常設足場
(51)【国際特許分類】
   E01D 22/00 20060101AFI20240417BHJP
   E01D 21/00 20060101ALI20240417BHJP
   E04G 5/08 20060101ALI20240417BHJP
   E04G 3/24 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
E01D22/00 A
E01D21/00 A
E04G5/08 B
E04G3/24 302H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164225
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】509338994
【氏名又は名称】株式会社IHIインフラシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】弁理士法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 耕一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 匠
(72)【発明者】
【氏名】吉川 真路
(72)【発明者】
【氏名】竹嶋 竜司
(72)【発明者】
【氏名】中村 善彦
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059EE10
2D059GG39
(57)【要約】
【課題】裏面パネルの強度を十分に確保することができるとともに、耐食性または耐錆性の高い裏面パネルを低コストで形成することのできる橋梁用常設足場を提供する。
【解決手段】裏面パネル30が、裏面パネル30の両側面及び下面を形成する外装部材31と、裏面パネル30内に配置された補強部材32とを有し、外部に露出する外装部材31が天板31a、端板31b及び補強部材32よりも耐食性または耐錆性の高い部材によって形成されているので、外部に露出しない天板31a、端板31b及び補強部材32を外装部材31よりも耐食性または耐錆性が低く安価な部材によって形成することにより、裏面パネル30の強度を十分に確保しつつ、耐食性または耐錆性の高い裏面パネル30を低コストで形成することができる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁の下方に作業者が載るための複数の裏面パネルを橋軸方向に並べて設置し、裏面パネルの橋軸直角方向の両側方に側面パネルを設けてなる橋梁用常設足場において、
前記裏面パネルは、少なくとも裏面パネルの下面を形成する外装部材と、裏面パネル内に配置される補強部材とを有し、
外装部材が補強部材よりも耐食性または耐錆性の高い部材によって形成されている
ことを特徴とする橋梁用常設足場。
【請求項2】
前記裏面パネルは、裏面パネルの上面を形成する天板を有し、
前記外装部材は裏面パネルの両側面及び下面を形成している
ことを特徴とする請求項1記載の橋梁用常設足場。
【請求項3】
前記補強部材が波板状に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の橋梁用常設足場。
【請求項4】
前記裏面パネルの橋軸直角方向の両端部を支持する複数の縦梁を備え、
縦梁は上フランジ及び下フランジを有する部材からなり、
下フランジ上に前記裏面パネルの端部が載置されるとともに、
裏面パネルの端部側上面と上フランジが固定板によって固定され、
固定板は上フランジ側から裏面パネルの上面側に向かって斜め下方に延びるように形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の橋梁用常設足場。
【請求項5】
隣り合う裏面パネル同士を連結する連結板を備え、
連結板は橋軸直角方向に延びるように形成されるとともに、隣り合う裏面パネルの上面同士を連結するように形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の橋梁用常設足場。
【請求項6】
前記連結板には、連結板を裏面パネルの上面に締結するための締結部材を挿通する長孔が設けられ、
互いに隣り合う一方の裏面パネル側に配置される長孔は橋軸直角方向に長く、他方の裏面パネル側に配置される長孔は橋軸方向に長くなる向きに形成されている
ことを特徴とする請求項4記載の橋梁用常設足場。
【請求項7】
隣り合う裏面パネルの橋軸直角方向端部は、裏面パネルの上面側から端面側に亘って覆うようにL字形に形成された端部連結板によって連結されている
ことを特徴とする請求項1記載の橋梁用常設足場。
【請求項8】
前記側面パネルは、橋軸方向に延びる複数のパネル部材を上下方向に配列することによって形成され、
各パネル部材は前記裏面パネルの補強部材よりも耐食性または耐錆性の高い部材によって形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の橋梁用常設足場。
【請求項9】
前記側面パネルは、前記パネル部材を所定数ずつ一体に設けてなる複数のパネルユニットを上下方向に配列することによって形成されている
ことを特徴とする請求項8記載の橋梁用常設足場。
【請求項10】
前記パネル部材は、足場外部に望む外面が斜め下方に傾斜するように形成されている
ことを特徴とする請求項7記載の橋梁用常設足場。
【請求項11】
前記パネル部材の下面部には外部に通ずる貫通した複数の孔が設けられ、各孔は下方に配置される他のパネル部材の上面部と重ならない部分に設けられている
ことを特徴とする請求項10記載の橋梁用常設足場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁の点検等を行うために橋梁下に常設される橋梁用常設足場に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、道路橋、鉄道橋等の橋梁の保守、点検においては、橋梁の下面に取り付けられた検査路からの目視のみで行われる場合が多かった。また、橋梁全体を近接して点検する場合には、高所作業車や橋梁点検車を用いたり、或いは工事用の仮設足場を設置して行っていた。しかしながら、高所作業車や橋梁点検車を用いる場合は、作業用の路面を占有するため交通規制が必要となる。また、橋梁の下方が線路や河川など、車両が侵入できない場所では、高所作業車や橋梁点検車による点検を行うことができなかった。更に、工事用の仮設足場を設置して点検を行う場合は、仮設足場の設置及び撤去費用が別途必要になり、橋梁点検コストが高くつくという問題があった。
【0003】
そこで、橋梁下に恒久的に設置される常設足場を設けることにより、橋梁に近接した点検作業を常時行えるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この常設足場は、橋梁下に橋軸方向に延びる複数の縦梁を橋軸直角方向に間隔をおいて配置するとともに、各縦梁の間に作業者が載るための複数の裏面パネルを橋軸方向に並べて設置し、裏面パネルの橋軸直角方向の両側方に側面パネルを設けることにより構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-7206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の常設足場は、裏面パネルの強度を確保するために裏面パネルを鋼材(例えば、高耐食めっき鋼板)によって形成しているが、恒久的に設置される常設足場では鋼材の露出部分に腐食や錆が生じやすく、長期的な耐久性に劣るという問題点があった。また、鋼材の代わりにアルミ材やステンレス材を用いれば、裏面パネルの耐食性または耐錆性を高めることができるが、アルミ材やステンレス材は鋼材に比べて高価であるため、材料コストが高くなるという問題点があった。
【0006】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、裏面パネルの強度を十分に確保することができるとともに、耐食性または耐錆性の高い裏面パネルを低コストで形成することのできる橋梁用常設足場を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、橋梁の下方に作業者が載るための複数の裏面パネルを橋軸方向に並べて設置し、裏面パネルの橋軸直角方向の両側方に側面パネルを設けてなる橋梁用常設足場において、前記裏面パネルは、少なくとも裏面パネルの下面を形成する外装部材と、裏面パネル内に配置された補強部材とを有し、外装部材が補強部材よりも耐食性または耐錆性の高い部材によって形成されている。
【0008】
これにより、外部に露出する外装部材が補強部材よりも耐食性または耐錆性の高い部材によって形成されることから、外部に露出しない補強部材を外装部材よりも耐食性または耐錆性が低く安価な部材によって形成することにより、裏面パネルの強度を十分に確保しつつ、耐食性または耐錆性の高い裏面パネルを形成することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、裏面パネルの強度を十分に確保しつつ、耐食性または耐錆性の高い裏面パネルを低コストで形成することができるので、長期的な使用における裏面パネルの耐久性を高めることができるとともに、常設足場全体の材料コスト及び施工費用の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態を示す橋梁用常設足場の正面図
図2】常設足場の側面図
図3】常設足場の要部正面図
図4】裏面パネルの部分正面図
図5】外装部材の部分分解正面図
図6】裏面パネルの部分分解正面図
図7】裏面パネルの側面断面図
図8】裏面パネルの分解側面断面図
図9】裏面パネルの固定状態を示す要部正面図
図10】裏面パネルの連結状態を示す要部平面図
図11】裏面パネルの設置工程を示す要部分解斜視図
図12】連結板の取付工程を示す要部分解斜視図
図13】裏面パネルの連結状態を示す要部分解斜視図
図14】裏面パネルの連結状態を示す要部斜視図
図15】側面パネルの分解側面図
図16】側面パネルの部分背面側斜視図
図17】パネル部材の斜視図
図18】パネルユニットの斜視図
図19】本発明の一実施形態を示す側面パネルの部分背面側斜視図
図20】パネル部材の斜視図
図21】パネル部材の側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図18は本発明の一実施形態を示すもので、橋梁の点検等を行うために橋梁下に常設される橋梁用常設足場を示すものである。
【0012】
同図に示す橋梁1は、複数の主桁2上に床版3を設置したもので、各主桁2は橋脚4上に架設されている。
【0013】
本実施形態の常設足場10は、橋軸方向に延びる複数の縦梁20と、各縦梁20間に設けられる複数の裏面パネル30と、裏面パネル30の橋軸直角方向の両側方に設けられる側面パネル40とを備え、各裏面パネル30は各縦梁20によって支持されている。
【0014】
縦梁20は、互いに橋軸直角方向に間隔をおいて配置され、橋軸直角方向両端側に配置される縦梁20は溝形鋼からなり、橋軸直角方向中央側に配置される縦梁20はH形鋼からなる。縦梁20は、ウェブ20aの上端及び下端にそれぞれ上フランジ20b及び下フランジ20cを有し、下フランジ20c上に裏面パネル30の端部が載置されるようになっている。橋軸直角方向両端側に配置される縦梁20は、上下方向に延びる支柱21の下端に固定され、支柱21は横方向に延びる上下一対の水平材22と斜材22aとからなるトラスによって主桁2のウェブに固定されている。橋軸直角方向中央側に配置される縦梁20は、上下方向に延びる支柱23の下端に固定され、支柱23は横方向に延びる支持部材24によって主桁2のウェブに固定されている。
【0015】
裏面パネル30は、裏面パネル30の底面及び両側面をなすように断面コ字状に形成された外装部材31と、裏面パネル30の上面をなす天板31aと、外装部材31の長手方向両端部をそれぞれ覆う断面略コ字状の一対の端板31bと、外装部材31内に配置される波板状の補強部材32とからなり、外装部材31は、天板31a、端板31b及び補強部材32の材料(例えば、高耐食めっき鋼板)よりも耐食性または耐錆性の高い部材(例えば、アルミ板)によって形成されている。また、天板31aの幅方向両側には、後述する連結板34をネジ止めするためのネジ孔31cが天板31aの長手方向複数箇所に設けられている。
【0016】
補強部材32は、上下方向に交互に屈曲する断面コ字状の複数の屈曲部32aを幅方向に連続して形成してなり、各屈曲部32aの高さ寸法が外装部材31の内部の高さ寸法と等しくなるように形成されている。
【0017】
即ち、裏面パネル30は、外装部材31内に補強部材32を配置するとともに、補強部材32の上方に天板31aを配置し、補強部材32の上面及び両側面と天板31a、補強部材32の下面と外装部材31とを、それぞれボルト止めにより固定した後、外装部材31の長手方向両端面を各端板31bでそれぞれ覆うとともに、各端板31bの上面部をボルト止めにより天板31bに固定することにより、裏面パネル30が組み立てられる。
【0018】
また、裏面パネル30は固定板33によって各縦梁20に固定される。その際、図9に示すように裏面パネル30の端部が縦梁20の下フランジ20c上にパッキン31d(例えばゴムシート)を介して載置される。固定板33は縦梁20の上フランジ20bの上面に固定される上側固定片部33aと、裏面パネル30の上面に固定される下側固定片部33bと、上側固定片部33aと下側固定片部33bとの間に形成される中間片部33cとからなり、中間片部33cは上フランジ20b側から裏面パネル30の上面側に向かって斜め下方に延びるように形成されている。裏面パネル30は、図13に示すように各縦梁20の間に橋軸方向に並べて配置されるとともに、長手方向両端部を下フランジ20c上に載置され、固定板33によって縦梁20に固定される。その際、固定板33の上側固定片部33aが縦梁20の上フランジ20bにボルト33dにより固定され、固定板33の下側固定片部33bが裏面パネル30の天板31bにボルト33dにより固定される。また、固定板33の中間片部33cが橋軸直角方向に向かって斜めに形成されているので、中間片部33cを垂直に形成した場合に比べ、橋軸直角方向の力に対して中間片部33cの変形が容易に生ずることがない。
【0019】
更に、固定板33によって縦梁20に固定された裏面パネル30は、隣り合う裏面パネル30と連結板34によって連結される。連結板34は裏面パネル30の長手方向(橋軸直角方向)に延びるとともに、裏面パネル30の長手方向の長さよりもやや短く形成されている。連結板34には裏面パネル30のネジ孔31cに螺合する締結部材としてのネジ35を挿通する長孔34a,34bが設けられ、互いに隣り合う一方の裏面パネル30側に配置される長孔34aは裏面パネル30の長手方向(橋軸直角方向)に長く、他方の裏面パネル30側に配置される長孔34bは裏面パネル30幅方向(橋軸方向)に長くなる向きに形成されている。即ち、連結板34は、図14に示すように互いに隣り合う裏面パネル30の上面にパッキン34c(例えばゴムシート)を介して載置されるとともに、各長孔34a,34bを挿通するネジ35を裏面パネル30のネジ孔31cに螺合することにより裏面パネル30に締結され、裏面パネル30同士が連結板34によって連結される。その際、各長孔34a,34bの長手方向が橋軸直角方向と橋軸方向に向いていることから、裏面パネル30同士の橋軸直角方向及び橋軸方向の位置ずれが吸収される。
【0020】
また、隣り合う裏面パネル30の長手方向の端部同士は、図13及び図14に示すように、裏面パネル30の上面側から端面側に亘って覆うようにL字形に形成された端部連結板36によって連結される。端部連結板36は、内側の面にパッキン36a(例えばゴムシート)を有し、各裏面パネル30にボルト37によって固定されている。
【0021】
側面パネル40は、橋軸方向に延びる複数のパネル部材41を上下方向に配列することによって形成され、パネル部材41は裏面パネル30の天板31a、端板31b及び補強部材32の材料(例えば、高耐食めっき鋼板)よりも耐食性または耐錆性の高い部材(例えば、アルミ板)によって形成されている。パネル部材41は、上面部41a、下面部41b及び前面部41cからなる断面台形状に折り曲げられた部材によって形成され、背面側は開放されるとともに、前面部41cは前下りに傾斜するように形成されている。
【0022】
また、側面パネル40は、パネル部材41を所定数ずつ一体に設けてなる複数のパネルユニット42を上下方向に配列することによって形成されている。本実施形態では、2つのパネル部材41からなるパネルユニット42を1つ、3つのパネル部材41からなるパネルユニット42を1つ、4つのパネル部材41からなるパネルユニット42を2つ用い、これらを上方から順に配列することによって側面パネル40を構成している。また、最上段のパネルユニット42の上部には前面が垂直なパネル部材42aが設けられている。
【0023】
パネルユニット42は各パネル部材41の背面全体を覆う背面板43を有し、背面板43には上下方向に積み重ねられた複数のパネル部材41の背面側が固定されている。この場合、各パネル部材41の側面は側面板44によって覆われており、側面板44はパネル部材41と同様の耐食性または耐錆性の高い部材(例えば、アルミ板)によって形成されている。背面板43には後述する胴縁47に取り付けるためのL字状の取付部材45が設けられ、取付部材45は背面板43の上端側及び下端側に取り付けられている。また、背面板43には手指で把持するための把持部46が設けられ、図示していないが把持部46は背面板43の幅方向複数箇所に設けられている。
【0024】
各パネルユニット42は、支柱21の上下方向複数箇所に設けられた胴縁47に取り付けられる。即ち、パネルユニット42の各取付部材45を胴縁47に図示しないボルト等によって固定することにより、パネルユニット42が支柱21に固定される。その際、パネルユニット42の把持部46を把持して取付作業を行うことができる。
【0025】
以上のように構成された常設足場10は橋梁1の下方に常設され、裏面パネル30上で橋梁1の点検作業を行うことができる。この場合、裏面パネル30の外装部材31の下面及び側面パネル40のパネル部材41は外部に露出しているが、裏面パネル30の外装部材31及びパネル部材41は耐食性または耐錆性の高い部材によって形成されていることから、鋼材に比べて腐食や錆が容易に発生することがない。尚、支柱21,23、支持部材22,24及び胴縁47は、外装部材31及びパネル部材41よりも耐食性または耐錆性の低い部材(例えば、高耐食めっき鋼板)によって形成されている。
【0026】
このように、本実施形態の橋梁用常設足場によれば、裏面パネル30が、裏面パネル30の両側面及び下面を形成する外装部材31と、裏面パネル30内に配置される補強部材32とを有し、外部に露出する外装部材31が天板31a、端板31b及び補強部材32よりも耐食性または耐錆性の高い部材によって形成されているので、外部に露出しない天板31a、端板31b及び補強部材32を外装部材31よりも耐食性または耐錆性が低く安価な部材によって形成することができる。これにより、裏面パネル30の強度を十分に確保しつつ、耐食性または耐錆性の高い裏面パネル30を低コストで形成することができるので、長期的な使用における裏面パネル30の耐久性を高めることができるとともに、常設足場全体の材料コスト及び施工費用の低減を図ることができる。
【0027】
この場合、補強部材32が波板状に形成されているので、補強部材32を薄い板厚で強度の高い形状にすることができ、補強部材32の軽量化を図ることができる。
【0028】
また、裏面パネル30の橋軸直角方向の両端部を支持する縦梁20が上フランジ20b及び下フランジ20cを有する部材からなり、下フランジ上20cに裏面パネル30の端部が載置されるとともに、裏面パネル30の端部側上面と上フランジ20bが固定板33によって固定され、固定板33は上フランジ20b側から裏面パネル30の上面側に向かって斜め下方に延びるように形成されているので、固定板33を垂直に延びるように形成した場合に比べ、橋軸直角方向の力に対する変形が容易に生ずることがなく、縦梁20による裏面パネル30の支持強度を高めることができる。
【0029】
更に、隣り合う裏面パネル30同士を連結する連結板34が橋軸直角方向に延びるように形成されるとともに、隣り合う裏面パネル30の上面同士を連結するように形成されているので、裏面パネル30同士を連結板34により橋軸直角方向に亘って隙間なく繋ぐことができるとともに、裏面パネル30上の連結板34による段差を極めて小さくすることができる。
【0030】
この場合、連結板34には、連結板34を裏面パネル30の上面に締結するためのネジ35を挿通する長孔34a,34bが設けられ、互いに隣り合う一方の裏面パネル30側に配置される長孔34aは橋軸直角方向に長く、他方の裏面パネル30側に配置される長孔34bは橋軸方向に長くなる向きに形成されているので、裏面パネル30同士の橋軸直角方向及び橋軸方向の位置ずれを吸収することができ、裏面パネル30の連結作業を効率よく行うことができる。
【0031】
また、隣り合う裏面パネル30の橋軸直角方向端部は、裏面パネル30の上面側から端面側に亘って覆うようにL字形に形成された端部連結板36によって連結されているので、裏面パネル30を上面側のみならず端面側も連結することができ、各裏面パネル30の連結強度をより高めることができる。
【0032】
更に、側面パネル40は、橋軸方向に延びる複数のパネル部材41を上下方向に配列することによって形成され、各パネル部材41は裏面パネル30の補強部材32よりも耐食性または耐錆性の高い部材によって形成されているので、長期的な使用における側面パネル40の耐久性を高めることができる。
【0033】
この場合、側面パネル40は、パネル部材41を所定数ずつ一体に設けてなる複数のパネルユニット42を上下方向に配列することによって形成されているので、パネル部材41を所定数ずつに分けて設置することができ、現場での設置作業を容易に行うことができる。また、パネルユニット42の数やパネル部材41の数が異なる複数のパネルユニット42の組み合わせにより、常設足場の仕様に応じて任意の高さの側面パネル40を形成することができ、汎用性を高めることができる。
【0034】
更に、パネル部材41は、足場外部に望む前面部41cが斜め下方に傾斜するように形成されているので、前面部41cの下端で水切りすることができ、各パネル部材41間からの雨水の浸入を防止することができる。
【0035】
尚、前記実施形態では、裏面パネル30と連結板34との間に設けられるパッキン34cと、裏面パネル30と端部連結板36との間に設けられるパッキン36aと、裏面パネル30と縦梁20との間に設けられるパッキン31dとを備えたものを示したが、これらのパッキンを用いないものであってもよい。
【0036】
図19乃至図21は側面パネルの他の実施形態を示すものであり、前記実施形態と同一の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0037】
本実施形態の側面パネル50は、前記実施形態と同様、橋軸方向に延びる複数のパネル部材51を上下方向に配列することによって形成され、パネル部材51は裏面パネル30の補強部材32の材料(例えば、高耐食めっき鋼板)よりも耐食性または耐錆性の高い部材(例えば、アルミ板)によって形成されている。パネル部材51は、上面部51a、下面部51b及び前面部51cからなる断面台形状に折り曲げられた部材によって形成され、背面側は開放されるとともに、前面部51cは前下りに傾斜するように形成されている。下面部51bには、外部に通ずる貫通した複数の孔51dが設けられ、図21に示すように、孔51dは下面部51bの前側略半分の範囲(下方に配置される他のパネル部材51の上面部51aと重ならない部分)のみに設けられている。
【0038】
また、側面パネル50は、パネル部材51を所定数ずつ一体に設けてなる複数のパネルユニット52を上下方向に配列することによって形成されている。パネルユニット52におけるパネル部材51の組み合わせは前記実施形態と同様である。
【0039】
パネルユニット52は各パネル部材51を連結する縦長の連結板53を有し、連結板53には上下方向に積み重ねられた複数のパネル部材51の背面側が固定され、図示していないが連結板53はパネルユニット52の幅方向複数箇所に設けられている。この場合、各パネル部材51の背面側は連結板53以外の部分が開放され、各パネル部材51の側面は側面板54によって覆われている。連結板53には胴縁47に取り付けるためのL字状の取付部材55が設けられ、取付部材55は連結板53の上端側及び下端側に取り付けられている。
【0040】
各パネルユニット52は、支柱21の上下方向複数箇所に設けられた胴縁47に取り付けられる。即ち、パネルユニット52の各取付部材55を胴縁47に図示しないボルト等によって固定することにより、パネルユニット52が支柱21に固定される。
【0041】
本実施形態によれば、各パネル部材51の下面部51bには外部に通ずる複数の孔51dが設けられているので、各孔51dによって換気や採光を行うことができる。
【0042】
尚、前記各実施形態は、本発明の実施例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0043】
1…橋梁、10…常設足場、20…縦梁、30…裏面パネル、31…外装部材、32…補強部材、33…固定板、34…連結板、34a,34b…長孔、36…端部連結板、40…側面パネル、41…パネル部材、42…パネルユニット、50…側面パネル、51…パネル部材、51d…孔、52…パネルユニット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21