(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057478
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】横開き包装用箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/54 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
B65D5/54 301K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164246
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】391019500
【氏名又は名称】朝日印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】老田 哲夫
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA05
3E060BC04
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE15
3E060CE18
3E060CE19
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA14
3E060DA16
3E060DA25
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】大きい開封部つまみ代を有して開封と再封が容易であり、既存の糊付け機常設の装置により安定的に糊付け作業を行うことができる横開き包装用箱を提供する。
【解決手段】一枚の箱体形成片12から成り、筒体に組み立てられた下面板14、後面板16、上面板18、前面板20と、下面板14に連接し前面板20の裏面に糊付けされる糊付片22を有する。前面板20には、一対の開封用破断線50で区切られた開封部56を備える。一対の開封用破断線50は、上面板18とは反対側に位置する側縁部20aに連続し、一対の開封用破断線50の間に位置する部分は、開封するために保持する開封部つまみ代56となる。糊付片22と前面板20は、帯状に糊が塗布されて互いに糊付けされる。糊64は、開封部つまみ代56に重なる位置を含んで塗布され、開封部つまみ代56に重なる位置には、糊64による接着を防ぐ非連結部62を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の箱体形成片から成り、筒体に組み立てられた下面板、後面板、上面板、前面板の4側面と、前記4側面の連接方向の一方の端部には、前記4側面の連接方向の他方の端部の裏面に糊付けされて前記筒体を保形する糊付片が設けられ、
前記4側面のうちの前記一方の端部の前記側面には、一対の開封用破断線で区切られた開封部が設けられ、前記一対の開封用破断線は前記側面に前記連接方向に形成されて前記一方の端部の側縁部に連続し、前記一対の開封用破断線の間に位置する部分は、前記開封用破断線を切断して前記開封部を開封するために保持する開封部つまみ代となり、
前記糊付片と前記一方の端部の前記側面は、前記糊付片の、前記連接方向に対して交差して横断する帯状に糊が塗布されて互いに糊付けされ、前記糊は、前記開封部つまみ代に重なる位置を含んで塗布され、
前記糊付片の、前記開封部つまみ代に重なる位置には、前記糊による連結を防ぐ非連結部が設けられていることを特徴とする横開き包装用箱。
【請求項2】
前記非連結部は、前記開封部つまみ代より小さく形成されている請求項1記載の横開き包装用箱。
【請求項3】
前記非連結部は、切離し用破断線で囲まれた切り離し部であり、組立状態で開封時に前記開封部つまみ代を保持して引き起こすと、前記切離し用破断線が切断され、前記開封部つまみ代に接着された前記切り離し部は、前記開封部つまみ代の裏面に接着された状態で前記糊付片から切除され、前記切り離し部は前記糊付片から取り外されて開封される請求項1記載の横開き包装用箱。
【請求項4】
前記非連結部は、前記糊付片を貫通する穴部である請求項1記載の横開き包装用箱。
【請求項5】
前記開封部には、前記側縁部とは反対側に向かって凸となる形状の切断線が設けられ、前記切断線の内側の部分は、前記側縁部とは反対側に向かって突出する再封用突起であり、前記再封用突起は前記糊付片の、前記切り離し部が切除されて形成されたスリット又は前記穴部に差し込まれて再封される請求項2,3又は4記載の横開き包装用箱。
【請求項6】
前記一対の開封用破断線は、前記一方の端部の前記側面に連接する他の側面に連続して形成されている請求項1,2,3又は4記載の横開き包装用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、開封用破断線で囲まれた開封部を有する横開き包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙製であり開封用破断線で囲まれた開封部を有する包装用箱がある。この種の包装用箱は、開封部に連続する開封部つまみ代を有するものがあり、開封部つまみ代を保持して引き上げると、開封用破断線が切断されて開口が形成され、収容されている内容物を開口から取り出すことができる。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている紙カートンは、天面パネルから延設したフラップパネルがこのフラップパネルより長い前面パネルの上部外側に接着されて箱体となる。天面パネルとフラップパネルに渡って一対の破断線が設けられ、これらの破断線により天面パネルとフラップパネルのそれぞれに開閉部分となる中間領域が区画されている。前面パネルにはフラップパネルの中間領域より内側に沿うように破断線が設けられ、この破断線により破断領域が区画されている。フラップパネルの先端には摘み片が突設されている。前面パネルの破断領域の下方には、この摘み片を差し込むための切込が設けられている。この紙カートンは、組み立てる時、前面パネルの破断領域に糊を塗布し、フラップパネルの中間領域にスポット貼りし、箱体となる。この紙カートンを開封する際は、摘み片を保持して引き上げる。これにより各破断線が切断され、前面パネルの破断領域は前面パネルから分離し、フラップパネルの中間領域に接着した状態で、中間領域がフラップパネルから開いて開口する。
【0004】
また、特許文献2に開示されている再封可能な紙箱は、底面板、左側面板、上面板、右側面板、糊代片の順に連接して胴部を形成し、糊代片が底面板の裏面に接着されて直方体状紙箱となる。上面板と右側面板には開封用の一対のジッパー様切り込みが設けられ、糊代片には、ジッパー用切り込みに連続する小さい略円弧状の開封用切り込みで囲まれた再封用突起片が設けられている。底面板の側縁部には、糊代片の再封用突起片が重なる位置に略台形状の開口用口と、再封用切り込みが設けられている。この再封可能な紙箱は、組み立てる時、糊代片の再封用突起が達しない側縁部に沿って直線的に横断して糊が塗布されて底面板に糊付けされ箱体となる。糊を直線的に横断して塗布するため、糊付け等を自動で行い製函するサック貼り機を使用することができる。この再封可能な紙箱を開封する際は、開封用口に露出する再封用突起片を指で下に押しながら、開封用切り込み及びジッパー用切り込みにしたがって上面板まで破り、開封する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3003926号公報
【特許文献2】特開平11-53032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記背景技術の特許文献1の場合、前面パネルの破断領域のみに糊を塗布してスポット貼りし、組み立てるため、塗布装置の設置やメンテナンスが必要であり、手間がかかる。特許文献2の場合は、糊を直線的に横断して塗布するため、一般的なサック貼り機を使用することができるが、再封用突起片に糊が付かないように、再封用突起片を側縁部に達しない小形にする必要があり、開封や再封がやりづらいという問題がある。また、再封時は開口用口に連続する再封用切り込みに、再封用突起片を差し込みづらく、ブランクシートの弾性により箱体が開く方向と反対方向に再封用突起片が凸となっているため、再封用突起片を引き抜く方向に力がかかり、抜けやすい。
【0007】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、大きい開封部つまみ代を有して開封と再封が容易であり、また糊付け機常設の装置により安定的に糊付け作業を行うことができる横開き包装用箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一枚の箱体形成片から成り、筒体に組み立てられた下面板、後面板、上面板、前面板の4側面と、前記4側面の連接方向の一方の端部には、前記4側面の連接方向の他方の端部の裏面に糊付けされて前記筒体を保形する糊付片が設けられ、前記4側面のうちの前記一方の端部の前記側面には、一対の開封用破断線で区切られた開封部が設けられ、前記一対の開封用破断線は前記側面に前記連接方向に形成されて前記一方の端部の側縁部に連続し、前記一対の開封用破断線の間に位置する部分は、前記開封用破断線を切断して前記開封部を開封するために保持する開封部つまみ代となり、前記糊付片と前記一方の端部の前記側面は、前記糊付片の、前記連接方向に対して直角方向に交差して横断する帯状に糊が塗布されて互いに糊付けされ、前記糊は、前記開封部つまみ代に重なる位置を含んで塗布され、前記糊付片の、前記開封部つまみ代に重なる位置には、前記糊による接着を防ぐ非連結部が設けられている横開き包装用箱である。前記非連結部は、前記開封部つまみ代よりも少し小さく形成されていると良い。
【0009】
前記非連結部は、切離し用破断線で囲まれた切り離し部であり、組立状態で開封時に前記開封部つまみ代を保持して引き起こすと、前記切離し用破断線が切断され、前記開封部つまみ代に接着された前記切り離し部は、前記開封部つまみ代の裏面に接着された状態で前記糊付片から切除され、前記切り離し部は前記糊付片から取り外されて開封される。前記非連結部は、前記糊付片を貫通した穴部から成るものである。
【0010】
前記開封部には、前記側縁部とは反対側に向かって凸となる形状の切断線が設けられ、前記切断線の内側の部分は、前記側縁部とは反対側に向かって突出する再封用突起であり、前記再封用突起は前記糊付片の、前記切り離し部が切除されて形成されたスリット又は前記穴部に差し込まれて再封される。
【0011】
前記一対の開封用破断線は、前記一方の端部の前記側面に連接する他の側面に連続して形成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の横開き包装用箱は、大きい開封部つまみ代を有して開封と再封が容易であり、糊付け機常設の装置により安定的に糊付け作業を行うことができる。また、一般的なストレートタックカートンと同様の製造方法で糊付け機常設装置を使用して製造することができるため、追加装置の設置作業やメンテナンスが不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明の第一実施形態の横開き包装用箱の斜視図(a)と開封した状態を示す斜視図(b)である。
【
図2】この発明の第一実施形態の横開き包装用箱の再封した状態を示す斜視図である。
【
図3】この発明の第一実施形態の横開き包装用箱の展開図である。
【
図4】この発明の第一実施形態の横開き包装用箱の折り畳み状態を示す正面図である。
【
図5】この発明の第二実施形態の横開き包装用箱の開封した状態を示す斜視図である。
【
図6】この発明の第二実施形態の横開き包装用箱の展開図である。
【
図7】この発明のその他の実施形態の横開き包装用箱の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1~
図4はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態の横開き包装用箱10は、略直方体の箱体であり、厚紙などの一枚のブランクシートを一体的に打ち抜いた箱体形成片12を組み立てることによって形成されている。
【0015】
図3は、箱体形成片12を表面から見た展開図であり、箱体形成片12は、箱体の筒状の4側面を形成する、下面板14、後面板16、上面板18、前面板20が、互いに平行に連接して形成されている。下面板14、後面板16、上面板18、前面板20は、連接している幅方向は同じ長さであり、連接方向の長さは、下面板14と上面板18が長くて互いにほぼ等しく、後面板16と前面板20は短くて互いにほぼ等しい。
【0016】
さらに下面板14の側縁部には、横開き包装用箱10の組立状態で前面板20の裏面に糊付けされる糊付片22が設けられている。糊付片22は、下面板14に連接している幅方向は下面板14とほぼ等しく、連接方向の長さは前面板20より少し短い。糊付片22、下面板14、後面板16、上面板18、前面板20は、各々折罫線24,26,28,30で区切られて設けられている。
【0017】
下面板14は、糊付片22と後面板16以外に他部材と連接していない。後面板16において、下面板14と上面板18との連接方向に対して直角な方向の両端部には、小さい台形状のフラップ32が折罫線34で区切られて各々設けられている。
【0018】
上面板18の、後面板16の折罫線34に隣接する部分には、矩形の端面板36が折罫線38で区切られて各々設けられている。端面板36は、下面板14、後面板16、上面板18、前面板20を筒体に組み立てた時の端部の開口を閉鎖する形状である。端面板36の、折罫線38とは反対側の端部には、差込片40が折罫線42で区切られて設けられている。上面板18の、折罫線38に近い位置には、開封用破断線44が各々設けられている。一対の開封用破断線44は、折罫線38に対して略平行に形成され、開封用破断線44の両端部は、折罫線28と折罫線30に達している。
【0019】
前面板20の、上面板18の折罫線38に隣接する部分には、フラップ32と線対称形状の小さい台形状のフラップ46が折罫線48で区切られて各々設けられている。前面板20には、上面板18の開封用破断線44に連続する一対の開封用破断線50が設けられている。各開封用破断線50は、折罫線30に連続する部分は開封用破断線44の延長線で折罫線48に対して略平行で折罫線30に対して略直角な直線であり、折罫線30から少し離れた位置で折り曲げられて一対の開封用破断線50が互いに近づくように形成されている。さらに各開封用破断線50は、前面板20の中央付近で再び折り曲げられて折罫線48に対して略平行で折罫線30に対して略直角な直線となり、互いに略平行となる。そして、前面板20の、折罫線30とは反対側の側縁部20aに達している。
【0020】
側縁部20aは、一対の開封用破断線50が連続する位置が略三角形に切り取られている。一対の開封用破断線50の間には、前面板20の中央付近、つまり一対の開封用破断線50が折り曲げられて互いに略平行となる角部の間に、折罫線30に向かって円弧状に凸となる切断線52が設けられている。切断線52の両端部は、小さい円弧を描いて折罫線30へ折り返されている。切断線52の内側の部分は、円弧状に折罫線30に向かって突出する再封用突起54である。
【0021】
折罫線28と、一対の開封用破断線44、一対の開封用破断線50、側縁部20aで囲まれた部分は、横開き包装用箱10を開封する際の開封部56となる。開封部56の、側縁部20aに近い部分は、開封部56を開封するために保持する開封部つまみ代58となる。
【0022】
糊付片22の、中央より少し折罫線24に近い位置には、矩形を描く切離し用破断線60が形成され、切離し用破断線60は折罫線24に沿う方向に長い矩形に形成されている。切り離し用破断線60の内側は、糊付片22と開封部つまみ代58の連結を容易に解除可能な非連結部である切り離し部62であり、切り離し部62は、横開き包装用箱10の組立状態で前面板20の開封部つまみ代58に重なる位置に設けられ、後述する糊64により開封部つまみ代58に接着される。
【0023】
横開き包装用箱10を開封する際は、切離し用破断線60が切断され切り離し部62が糊付片22から切り離され、開封部つまみ代58が糊付片22から連結解除される。切り離し部62は、開封部つまみ代58より同等もしくはやや小さく形成されている。詳しくは、切り離し部62の、折罫線24に対して略平行な方向の長さは、開封部つまみ代58の長さとほぼ同じもしくはやや短く、折罫線24に対して略直角な方向の長さは、開封部つまみ代58より短く、後述する糊64を帯状に塗布する際の塗布幅よりは少し長い。
【0024】
次に、この箱体形成片12の組み立て方法の一例について説明する。
図3は箱体形成片12を表面からみたものであり、以下、箱体形成片12の表面が凸となる折り方を正折り、裏面が凸になる折り方を逆折りと称する。
【0025】
まず、糊付片22の表面に糊64を塗布する。糊64は、糊付片22の、下面板14との連接方向に対して直角方向に交差して横断する直線の帯状、つまり折罫線24に対して略平行な帯状に塗布する。なお、切り離し部62を含んで塗布される位置に調整する。次に折罫線26を正折りし、さらに折罫線30を正折りして糊付片22の表面と前面板20の裏面を糊付けし、
図4に示す折り畳み状態となり、この状態で箱体形成片12による折り畳み状態の横開き包装用箱10が、商品である収容物を包装する工場等へ出荷される。糊付と折る順番は、上記以外でも良い。糊64は、糊付片22を直線の帯状に横断して塗布するため、糊付け機常設装置を使用することができ、自動的に折り畳み状態とすることができる。
【0026】
次に、収容物を収容し包装する工場において、折罫線24,26,28,30で下面板14、後面板16、上面板18、前面板20を各々90°に正折りして四角形の筒体にする。次に、一方の折罫線34,48でフラップ32,46を90°に正折りし、その外側に端面板36を折罫線38で90°に正折りし、さらに差込片40を折罫線42で正折りして下面板14の裏面側に差し込み、係止する。これにより、端面板36で筒体の一方の開口を閉鎖する。反対側の開口から収容物を入れ、他方の折罫線34,48でフラップ32,46を90°に正折りし、その外側に端面板36を折罫線38で90°に正折りし、さらに差込片40を折罫線42で正折りして下面板14の裏面側に差し込み、係止する。これにより、他方の端面板36で筒体の開口を閉鎖し、
図1(a)に示すように横開き包装用箱10による包装が完了する。
【0027】
横開き包装用箱10を開封して収容物を取り出す時は、開封部つまみ代58を保持して引き起こし、開封用破断線50と開封用破断線44を連続して切断し、折罫線28を回転軸として、開封部56を上面板18と前面板20から引き起こし、
図1(b)に示すように上面板18に開口66を形成して開封する。この状態で、開口66から収容物を取り出すことができる。この時、開封部つまみ代58に接着された切り離し部62は、開封部つまみ代58の裏面に接着された状態で切離し用破断線60が切断されて糊付片22から切除され、切り離し部62は糊付片22から取り外されて容易に開封する。糊付片22には、切り離し部62が切除された後に、矩形のスリット68が糊付片22を貫通して形成される。
【0028】
横開き包装用箱10を再封する時は、折罫線28,30を略直角に折り曲げて開封部56を開口66に閉じ、切断線52を開いて再封用突起54を裏面に突出させ、糊付片22に形成された切り離し部62のスリット68に差し込み、係止する。このとき、再封用突起54には、ブランクシートの弾性により開封部56が開口66から開く方向に力がかかる。しかし、再封用突起54は力がかかる方向に凸であるため、スリット68の、開口66に近い側縁部68a、つまり折罫線24とは反対側に位置する側縁部68aの裏面に引き込まれ、
図2に示すように、切断線52の両端部が側縁部68aに当接する位置で確実に係止される。
【0029】
この実施形態の横開き包装用箱10によれば、大きい開封部つまみ代58を有して開封と再封が容易であり、また既存の糊付け機常設の装置により安定的に糊付け作業を行うことができる。大きい再封用突起54を有し、この点からも再封が容易である。一般的なストレートタックカートンと同様の製造方法で糊付け機常設装置を使用して製造するため、追加装置の設置作業やメンテナンスが不要となる。糊64は、糊付片22を直線の帯状に横断して塗布するため、前面板20の側縁部20aに沿って長く接着することができ、確実に収容物を包装することができる。前面板20の開封部つまみ代58も糊付片22に糊付けされるが、開封時に開封部つまみ代58を保持して引き上げると、糊付片22の、開封部つまみ代58に接着された部分が切り離し部62として糊付片22から切除され、糊付片22との連結が解除され、弱い力で容易に開封することができる。
【0030】
次にこの発明の第二実施形態について
図5、
図6に基づいて説明する。なお、ここで上記実施形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略する。この実施形態の横開き包装用箱70は、略直方体の箱体であり、厚紙などの一枚のブランクシートを一体的に打ち抜いた箱体形成片72を組み立てることによって形成されている。
【0031】
図6は、箱体形成片72を表面から見た展開図であり、箱体形成片72は、糊付片22、下面板14、後面板16、上面板18、前面板20が、互いに平行に連接して形成されている。横開き包装用箱70の組立状態で前面板20の裏面に糊付片22が糊付けされる。
【0032】
糊付片22の、中央より少し折罫線24に近い位置には、変形した矩形の穴部74が形成されている。穴部74は、糊付片22と前面板20が糊64により連結を防ぐ非連結部である。穴部74は、糊付片22を貫通して形成され、折罫線24に沿う方向に長い矩形であり、開封部つまみ代58より同等もしくはやや大きく形成されている。詳しくは、穴部74の、折罫線24に対して略平行な方向の長さは、開封部つまみ代58の長さとほぼ同じもしくはやや長い。折罫線24に対して略直角な方向の長さは、開封部つまみ代58より短く、後述する糊64を帯状に塗布する際の塗布幅よりは少し長い。穴部74の、折罫線24とは反対側に位置する側縁部74aは、折罫線24に近い側縁部74bより長く形成され、折罫線24に対して略直角に位置する一対の側縁部74cは、側縁部74aの近傍で外側に広がっている。側縁部74cの形状は、横開き包装用箱70の組み立て状態で、開封部56を切除して箱体形成片72を開封した後の開封用破断線50の形状に沿うものである。
【0033】
次に、この箱体形成片72の組立方法の一例について説明する。まず、糊付片22の表面に糊64を塗布する。糊64は、糊付片22の、下面板14との連接方向に対して直角方向に交差して横断する直線の帯状、つまり折罫線24に対して略平行に帯状に塗布する。なお、穴部74を含んで塗布される位置に調整する。ただし、穴部74には塗布されない。以降、この横開き包装用箱70は、上記実施形態と同様の方法により組み立てられ、横開き包装用箱70による包装が完了する。
【0034】
横開き包装用箱70を開封して収容物を取り出す時は、開封部つまみ代58を保持して引き起こし、開封用破断線50と開封用破断線44を連続して切断し、折罫線28を回転軸として、開封部56を上面板18と前面板20から引き起こし、
図5に示すように上面板18に開口66を形成して開封する。この時、開封部つまみ代58は、穴部74に一致して糊付片22に接着されていないため、容易に開封できる。開封部56を切除して開封部つまみ代58が開いたところに穴部74が露出し、穴部74の側縁部74bは、前面板20の開封用破断線50の形状に沿う。
【0035】
横開き包装用箱70を再封する時は、開封部56を開口66に閉じ、切断線52を開いて再封用突起54を裏面に突出させ、糊付片22の穴部74に差し込み、係止する。このとき、再封用突起54には、ブランクシートの弾性により開封部56が開口66から開く方向に力がかかる。しかし、再封用突起54は力がかかる方向に凸であるため、穴部74の、開口66に近い側縁部74a、つまり折罫線24とは反対側に位置する側縁部74aの裏面に引き込まれ、切断線52の両端部が側縁部74aに当接する位置で確実に係止される。
【0036】
この実施形態の横開き包装用箱70によれば、上記第一実施形態と同様の効果を有する。開封部つまみ代58は、糊付片22の穴部74に重なる位置にあり、糊付片22に接着されていないため、上記第一実施形態の横開き包装用箱10のように切離し用破断線60を切断して接着された切り離し部62を切除する必要がなく、開封部つまみ代58をさらに弱い力で引き起こすことができ、開封が容易である。
【0037】
なお、この発明は上記各実施形態に限定されるものではない。包装用箱の大きさや形状は、収容物に合わせて変更可能であり、下面板、後面板、上面板、前面板の4側面は、何れの側面に開封部つまみ代が設けられていても良いが、通常は、前面板又は上面板に設けられていると良い。また、開封部と開封部つまみ代が、一つの側面に設けられていてもよい。例えば、
図7に示すように、横開き包装用箱の箱体形成片72が、糊付片22、前面板20、下面板14、後面板16、上面板18の並び順で設けられ、4側面を筒体に組み立てた時の端部の開口を糊付けにより閉鎖する内蓋片76と外蓋片78が設けられ、箱体形成片72の端部に位置する上面板18のみに、開封部56と開封部つまみ代58が設けられていてもよい。
図7に示す糊付片22には、穴部74ではなく切離し用破断線60で囲まれた切り離し部62が設けられてもよい。
【0038】
箱体形成片において、4側面の並び順は適宜変更可能である。4側面を筒体に組み立てた時の端部の開口を閉鎖する構造は、差込片を有する端面板以外でも良く、例えば内蓋片と外蓋片を設け、互いに糊付けして閉鎖するものでも良い。また、開封部、開封部つまみ代、再封用突起、切離し用破断線、穴部などの形状も、自由に変更可能である。各折罫線には、折り曲げ易いように破断線が設けられてもよい。各破断線は、ミシン線やジッパー線、ブランクシートの厚み方向の半切線など、適宜選択可能である。
【符号の説明】
【0039】
10,70 横開き包装用箱
12,72 箱体形成片
14 下面板
16 後面板
18 上面板
20 前面板
22 糊付片
24,26,28,30,34,38,42,48 折罫線
44,50 開封用破断線
52 切断線
54 再封用突起
56 開封部
58 開封部つまみ代
60 切離し用破断線
62 切り離し部
64 糊
74 穴部
76 内蓋片
78 外蓋片