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特開2024-57503次元モデル生成装置および3次元モデル生成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005750
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】3次元モデル生成装置および3次元モデル生成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 17/20 20060101AFI20240110BHJP
   G01C 15/00 20060101ALN20240110BHJP
【FI】
G06T17/20
G01C15/00 103A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106102
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】591074161
【氏名又は名称】アジア航測株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】長尾(服部) 聡子
(72)【発明者】
【氏名】本間 亮平
(72)【発明者】
【氏名】新名 恭仁
(72)【発明者】
【氏名】若泉 拓磨
【テーマコード(参考)】
5B080
【Fターム(参考)】
5B080AA13
5B080AA17
5B080CA00
5B080FA00
5B080FA02
5B080GA00
(57)【要約】
【課題】屋根タイプを予め設定することなく、複雑な屋根構造を正確に再現する。
【解決手段】3次元点群データと、2次元次元建物外形線データとを取得する。3次元点群データ取得手段101と、3次元点群データと2次元建物外形線データとを位置情報を基に重ね合わせ、2次元建物外形線データが示す建物外形線内を所定サイズの格子メッシュに分割し、分割した格子メッシュを3次元点群データの分布傾向に基づいてグループ化することにより屋根面を推定する屋根面推定手段106と、格子メッシュに隣接する他の格子メッシュの情報に基づいて格子メッシュを補正することにより屋根面を補正する補正手段107と、補正手段107により補正された屋根面に基づいて3次元モデルを生成する3次元モデル生成手段120と、を備えたことにある。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元点群データと、2次元建物外形線データとに基づいて、3次元モデルを生成する3次元モデル生成装置であって、
前記3次元点群データと、前記2次元建物外形線データとを取得する取得手段と、
前記3次元点群データと前記2次元建物外形線データとを位置情報を基に重ね合わせ、前記2次元建物外形線データが示す建物外形線内を所定サイズの格子メッシュに分割し、前記分割した格子メッシュを前記3次元点群データの分布傾向に基づいてグループ化することにより屋根面を推定する屋根面推定手段と、
前記格子メッシュに隣接する他の格子メッシュの情報に基づいて格子メッシュを補正することにより前記屋根面を補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された屋根面に基づいて3次元モデルを生成する3次元モデル生成手段と、
を備えたことを特徴とする3次元モデル生成装置。
【請求項2】
前記屋根面推定手段は、
RANCACを用いた平面推定により、前記3次元点群データに屋根面を識別する屋根面番号を付与し、前記分割した格子メッシュ内の点群のうち最も数が多い屋根面番号を前記格子メッシュの屋根面番号とすることにより前記屋根面を推定する
ことを特徴する請求項1記載の3次元モデル生成装置。
【請求項3】
前記補正手段は、
前記格子メッシュうち前記3次元点群データが含まれない任意の格子メッシュを注目格子メッシュとしたときに、前記注目格子メッシュに隣接する8つの格子メッシュの屋根面番号のうち最も多い屋根面番号を注目格子メッシュの屋根面番号とすることにより、前記屋根面を補正する
ことを特徴とする請求項2記載の3次元モデル生成装置。
【請求項4】
前記補正手段は、
前記格子メッシュうち前記3次元点群データが含まれる任意の格子メッシュを注目格子メッシュとしたときに、前記注目格子メッシュが、前記注目格子メッシュの上下左右に隣接する4つの格子メッシュをそれぞれグループ化した屋根面のいずれにも所属しない場合、グループ無所属に設定することにより、前記屋根面を補正する
ことを特徴とする請求項1記載の3次元モデル生成装置。
【請求項5】
前記3次元モデル生成手段は、
前記補正手段により補正された屋根面の輪郭線と、前記2次元建物外形線データが示す建物外形線とが平面上重なる位置を建物外壁面とし、前記補正手段により補正された屋根面の輪郭線同士が重なり合う位置のうち、所定の落差閾値以上の落差がある位置を落差壁面とし、前記建物外壁面と前記落差壁面とを壁面モデルとして生成する壁面生成手段と、
前記補正手段により補正された屋根面に基づいて、3次元上で屋根面モデルを生成する屋根面生成手段と、
前記壁面生成手段により生成された壁面モデルと、前記屋根面生成手段により生成された屋根面モデルとを建物モデルとして統合する統合手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の3次元モデル生成装置。
【請求項6】
前記統合手段により統合された建物モデルのモデル面の頂点を水平面上での位置座標に基づいてグルーピングした第1グループを生成し、前記第1グループをさらにそれぞれ垂直方向の位置座標でグルーピングした第2グループを生成し、前記生成された第2グループ内に頂点が複数存在する場合には、任意の1つの頂点に統合する頂点補正手段と、
を備えたことを特徴とする請求項5記載の3次元モデル生成装置。
【請求項7】
3次元点群データと、2次元建物外形線データとに基づいて、3次元モデルを生成する3次元モデル生成装置が実行する3次元モデル生成プログラムであって、
前記3次元点群データと、前記2次元建物外形線データとを取得する取得ステップと、
前記3次元点群データと前記2次元建物外形線データとを位置情報を基に重ね合わせ、前記2次元建物外形線データが示す建物外形線内を所定サイズの格子メッシュに分割し、前記分割した格子メッシュを前記3次元点群データの分布傾向に基づいてグループ化することにより屋根面を推定する屋根面推定ステップと、
前記格子メッシュに隣接する他の格子メッシュの情報に基づいて格子メッシュを補正することにより前記屋根面を補正する補正ステップと、
前記補正ステップにより補正された屋根面に基づいて3次元モデルを生成する3次元モデル生成ステップと、
を有することを特徴とする3次元モデル生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点群データに基づいて3次元モデルを生成する3次元モデル生成装置および3次元モデル生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
3次元モデルを生成するために、一般にレーザスキャナデータを用いる手法がよく用いられている。
【0003】
レーザスキャナデータは、飛行機又はヘリコプター等の航空機に搭載したレーザスキャナから地表にレーザ光を照射し、これらの受光データを解析することで、3次元点群データを得る。そして、この3次元点群データを用いて3次元建物形状などの3次元モデルを生成する。
【0004】
この3次元建物形状などの3次元モデルの再構築において、近年、モデル詳細度LOD(Level of Detail)2レベルで自動生成する手法が切望されている。LOD2レベルでは、主に建物外形線や、屋根を構成する面、線および頂点の情報が必要となる。
【0005】
従来、空中写真やDSM(Digital Surface Model)データから二次元の建物外形線を見出す手法は多数提案されている。その中でも、屋根面や屋根輪郭線を抽出する手法として、予め定めた屋根形状タイプやこれらを組み合わせた屋根形状に限定した手法(例えば、特許文献1参照。)や、切妻屋根・寄棟屋根など屋根面数が少ない基本的な屋根形状を対象とした手法(例えば、特許文献2参照。)がよく知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2009-545032号公報
【特許文献2】特許第4880069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の技術では、屋根面数が多い建物や落差境界線を持つ複雑な形状を有する建物を正確に再現することが困難であった。
【0008】
例えば、特許文献1に記載の技術では、屋根形状タイプを予め設定する必要があるので、屋根形状タイプの存在しない屋根面数が多い建物を正確に再現することが困難となる。
【0009】
また、特許文献2に記載の技術では、屋根面数が少ない基本的な屋根形状を対象としているので、例えば階層構造になっている屋根のような複雑な屋根構造を正確に再現することが困難となる。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、複雑な屋根形状を有する建物を正確に再現する3次元モデル生成装置および3次元モデル生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を解決するため、本発明に係る3次元モデル生成装置の第1の特徴は、
3次元点群データと、2次元建物外形線データとに基づいて、3次元モデルを生成する3次元モデル生成装置であって、
前記3次元点群データと、前記2次元建物外形線データとを取得する取得手段と、
前記3次元点群データと前記2次元建物外形線データとを位置情報を基に重ね合わせ、前記2次元建物外形線データが示す建物外形線内を所定サイズの格子メッシュに分割し、前記分割した格子メッシュを前記3次元点群データの分布傾向に基づいてグループ化することにより屋根面を推定する屋根面推定手段 と、
前記格子メッシュに隣接する他の格子メッシュの情報に基づいて格子メッシュを補正することにより前記屋根面を補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された屋根面に基づいて3次元モデルを生成する3次元モデル生成手段と、
を備えたことにある。
【0012】
本発明に係る3次元モデル生成装置の第2の特徴は、
前記屋根面推定手段は、RANCACを用いた平面推定により、前記3次元点群データに屋根面を識別する屋根面番号を付与し、前記分割した格子メッシュ内の点群のうち最も数が多い屋根面番号を前記格子メッシュの屋根面番号とすることにより前記屋根面を推定することにある。
【0013】
本発明に係る3次元モデル生成装置の第3の特徴は、
前記補正手段は、前記格子メッシュうち前記3次元点群データが含まれない任意の格子メッシュを注目格子メッシュとしたときに、記注目格子メッシュに隣接する8つの格子メッシュの屋根面番号のうち最も多い屋根面番号を前記注目格子メッシュの屋根面番号とすることにより、前記屋根面を補正することにある。
【0014】
本発明に係る3次元モデル生成装置の第4の特徴は、
前記補正手段は、前記格子メッシュうち前記3次元点群データが含まれる任意の格子メッシュを注目格子メッシュとしたときに、前記注目格子メッシュが、前記注目格子メッシュの上下左右に隣接する4つの格子メッシュをそれぞれグループ化した屋根面のいずれにも所属しない場合、グループ無所属に設定することにより、前記屋根面を補正することにある。
【0015】
本発明に係る3次元モデル生成装置の第5の特徴は、
前記3次元モデル生成手段は、前記補正手段により補正された屋根面の輪郭線と、前記2次元建物外形線データが示す建物外形線とが平面上重なる位置を建物外壁面とし、前記補正手段により補正された屋根面の輪郭線同士が重なり合う位置のうち、所定の落差閾値以上の落差がある位置を落差壁面とし 、前記建物外壁面と前記落差壁面とを壁面モデルとして生成する壁面生成手段と、
前記補正手段により補正された屋根面に基づいて、3次元上で屋根面モデルを生成する屋根面生成手段と、
前記壁面生成手段により生成された壁面モデルと、前記屋根面生成手段により生成された屋根面モデルとを建物モデルとして統合する統合手段と、
をさらに備えたことにある。
【0016】
本発明に係る3次元モデル生成装置の第6の特徴は、
前記統合手段により統合された建物モデルのモデル面の頂点を水平面上での位置座標に基づいてグルーピングした第1グループを生成し、前記第1グループをさらにそれぞれ垂直方向の位置座標でグルーピングした第2グループを生成し、前記生成された第2グループ内に頂点が複数存在する場合には、任意の1つの頂点に統合する頂点補正手段と、
を備えたことにある。
【0017】
本発明に係る3次元モデル生成プログラムの第1の特徴は、
3次元点群データと、2次元建物外形線データとに基づいて、3次元モデルを生成する3次元モデル生成装置が実行する3次元モデル生成プログラムであって、
前記3次元点群データと、前記2次元建物外形線データとを取得する取得ステップと、
前記3次元点群データと前記2次元建物外形線データとを位置情報を基に重ね合わせ、前記2次元建物外形線データが示す建物外形線内を所定サイズの格子メッシュに分割し、前記分割した格子メッシュを前記3次元点群データの分布傾向に基づいてグループ化 することにより屋根面を推定する屋根面推定ステップと、
前記格子メッシュに隣接する他の格子メッシュの情報に基づいて格子メッシュを補正することにより前記屋根面を補正する補正ステップと、
前記補正ステップにより補正された屋根面に基づいて3次元モデルを生成する3次元モデル生成ステップと、を有することにある。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る3次元モデル生成装置および3次元モデル生成プログラムによれば、複雑な屋根形状を有する建物を正確に3次元モデルとして再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置の概略構成を示した概略構成図である。
図2】本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置が備える屋根面推定手段により、色分けされた3次元点群データの一例を示している。(a)は、RANSACで抽出した屋根面の一例を示した平面図であり、(b)は、RANSACで抽出した屋根面の一例を示した側面図であり、(c)は、同一平面と考えられる面をマージした屋根面の一例を示した平面図であり、(d)は、同一平面と考えられる面をマージした屋根面の一例を示した側面図である。
図3】(a)は、飛び地が発生している屋根面の一例を示した図であり、(b)は、飛び地を分割した一例を示している。
図4】壁面を除外した一例を示した図である。
図5】本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置の屋根面推定手段によるノイズ除去の結果を示した図である。(a)は、ノイズ除去後の3次元点群データの一例を示しており、(b)は、ノイズとして除去された3次元点群データの一例を示している。
図6】本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置の屋根面推定手段による格子メッシュ分割処理を説明した説明図である。
図7】本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置の補正手段による小領域メッシュ補正処理を説明した説明図である。(a)は、小領域メッシュ補正処理前の屋根面を示しており、(b)は、小領域メッシュ補正処理後の屋根面を示している。
図8】本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置の補正手段による欠落メッシュ補完処理を説明した説明図である。
図9】本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置の補正手段による孤立メッシュ再補完処理を説明した説明図である。
図10】本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置の補正手段による統合処理を説明した説明図である。(a)は、統合処理前の屋根面の一例を示した図であり、(b)は、統合処理後の屋根面の一例を示した図である。
図11】本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置の補正手段による直線化処理を説明した説明図である。(a)は、直線化処理前の屋根面の一例を示した図であり、(b)は、直線化処理後の屋根面の一例を示した図である。
図12】本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置の地面探索手段による地面探索処理を説明した説明図である。
図13】本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置の屋根面生成手段による屋根面生成処理を説明した説明図である。
図14】本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置の屋根面生成手段による屋根面生成処理を説明した説明図である。
図15】本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置の壁面生成手段による壁面生成処理を説明した説明図である。
図16】本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置の頂点補正手段による頂点補正処理を説明した説明図である。
図17】本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置の頂点補正手段による頂点補正処理を説明した説明図である。
図18】本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置における処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一若しくは同等の部位や構成要素には、同一若しくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0021】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0022】
以下、本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置について説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置の概略構成を示した概略構成図である。
【0024】
図1に示すように、3次元モデル生成装置1は、3次元点群データ取得手段101と、クラスタ分割手段102と、3次元点群データ記憶手段103と、2次元建物外形線データ取得手段104と、2次元建物外形線データ記憶手段105と、屋根面推定手段106と、補正手段107と、屋根面データ記憶手段108と、地面探索手段111と、地面データ記憶手段112と、頂点補正手段115と、3次元モデルデータ記憶手段116と、3次元モデル生成手段120とを備えている。
【0025】
3次元点群データ取得手段101は、3次元点群データを取得する。3次元点群データは、例えば、飛行機やドローンなどの飛行体に、レーザスキャナ等を搭載して地上にレーザ光を発射し、その反射光に基づいて算出した座標データと、受光した時刻情報とを組み合わせた計測データである。なお、ここでは、3次元点群データは、上記のように飛行機やドローンによる計測データとしたが、飛行機やドローンから照射して取得した計測データに限らず、少なくとも3次元の座標データが含まれるデータであればよい。
【0026】
ここで、飛行体を何度か同じ場所の上空を飛行させ、同じ場所に対して複数の3次元点群データを取得する場合がある。この場合、レーザの照射角度などの違いによって、一部データ欠落が生じたり、ズレが生じたりすることがある。
【0027】
そのため、より確からしい3次元点群データを用いるため、3次元点群データを時刻ごとに分割しておき、扱い易くしておく必要がある。
【0028】
そこで、クラスタ分割手段102は、3次元点群データ取得手段101により取得された3次元点群データを、時刻ごとのクラスタに分割する。そして、クラスタ分割手段102は、分割したクラスタのうち、データ点数が多いクラスタの優先順位を高くする。そして、クラスタ分割手段102は、後述する建物外形線に対し、点群の被覆率が80(%)を超えるまでの優位順位の高いクラスタから順に採用する。
【0029】
3次元点群データ記憶手段103は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や、SSD(Solid State Drive)などの記憶媒体で構成されており、クラスタ分割手段102により採用されたクラスタに含まれる3次元点群データを記憶する。
【0030】
2次元建物外形線データ取得手段104は、2次元建物外形線データ(2次元建物外形線データ)を取得する。2次元建物外形線データは、2次元の建物の外形線が描かれたベクトルデータであり、外形線は2次元の座標データを有している。
【0031】
2次元建物外形線データ記憶手段105は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や、SSD(Solid State Drive)などの記憶媒体で構成されており、2次元建物外形線データ取得手段104により取得された2次元建物外形線データ(2次元建物外形線データ)を記憶する。
【0032】
屋根面推定手段106は、3次元点群データと2次元建物外形線データとを位置情報を基に重ね合わせ、2次元建物外形線データが示す建物外形線内を所定サイズの格子メッシュに分割し、分割した格子メッシュを3次元点群データの分布傾向に基づいてグループ化することにより屋根面を推定する。
【0033】
例えば、屋根面推定手段106は、3次元点群データ記憶手段103に記憶された3次元点群データに基づいて、RANCAC(RANdom SAmple Consensus)を用いた平面推定により、3次元点群データに屋根面を識別する屋根面番号を付与し、分割した格子メッシュ内の点群のうち最も数が多い屋根面番号を格子メッシュの屋根面番号とすることにより屋根面を推定する。ここで、RANSACとは、外れ値を含むデータから、外れ値の影響を除外して数学モデルのパラメータを学習する手法のことである。
【0034】
より具体的には、屋根面推定手段106は、対象となる建物の点群(点群A0と呼ぶ)からRANSACによる平面フィッティングを行い、最も大きい平面(屋根面)を推定すると共に3次元平面式を取得する。次に推定した平面上の点群に屋根面番号を割り当てると共に、屋根面番号を割り当てた点群を点群A0から除外する(この点群を点群A1とする)。屋根面推定手段106は、点群A1に対してRANSACによる平面フィッティングを行い、平面の3次元平面式の取得と平面上の点群への屋根面番号の割当、点群の除外を行う。この処理の繰り返すことで、複数の平面の3次元平面式の取得と点群への屋根面番号の割り当てを行う。そして、残った点群が一定点数以下になった段階で屋根面抽出処理を終了する。この処理により、屋根面推定手段106は、屋根1面ごとに3次元平面式を得て、屋根面番号を与える。また、屋根面推定手段106は、同時に屋根面番号毎に異なる色を与え、どの屋根面に属する点か可視化しやすくするようにしてもよい。3次元点群データ そして、RANSACで抽出した屋根面が複数ある場合、任意の屋根面が既に取得済みの屋根面と類似している、すなわち、屋根面の法線ベクトルが近似(所定の角度範囲内)しており、かつ面間距離が近い場合は、既存面と同一であるとしてマージする。
【0035】
なお、ここでは、RANSACを用いて平面推定を行ったが、必ずしもRANSACに限らず、平面推定可能な手法を用いればよい。
【0036】
図2は、本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置1が備える屋根面推定手段106により、屋根面番号が付与されて色分けされた3次元点群データの一例を示している。(a)は、RANSACで抽出した屋根面の一例を示した平面図であり、(b)は、RANSACで抽出した屋根面の一例を示した側面図であり、(c)は、マージした屋根面の一例を示した平面図であり、(d)は、マージした屋根面の一例を示した側面図である。
【0037】
図2(a),(b)に示すように、RANSACで抽出した屋根面として、屋根面D101,D102,D103,D104が取得されている。
【0038】
屋根面D101と屋根面D102とは、法線ベクトルが近似しており、かつ面間距離が近いので、屋根面推定手段106は、より3次元点群データが多い屋根面D102へ屋根面D101をマージし、図2(c),(d)に示す屋根面D105を生成する。また、屋根面D103と屋根面D104とは、法線ベクトルが近似しており、かつ面間距離が近いので、屋根面推定手段106は、より3次元点群データが多い屋根面D103へ屋根面D104をマージし、図2(c),(d)に示す屋根面D106を生成する。
【0039】
屋根面推定手段106は、さらに、飛び地分割処理を実行する。具体的には、屋根面推定手段106は、RANSACによる屋根面を取得した後に、飛び地となっている屋根面を分割するために点間距離によるクラスタリングを行う。注目点からの距離が設定値以内にある近傍点は同一クラスタとすることで、連続的な点群を持つ領域は同一の屋根面となり、非連続で飛び地となっている3次元点群データは分離された屋根面となる。
【0040】
図3(a)は、飛び地が発生している屋根面の一例を示した図であり、図3(b)は、飛び地を分割した一例を示している。
【0041】
図3(a)に示すように、屋根面D201aと屋根面D201bとは、法線ベクトルが近似しているので、同じ屋根面D201として認識されている。
【0042】
そこで、屋根面推定手段106は、飛び地分割処理を実行することにより、屋根面D201aと屋根面D201bとを異なる屋根面として分割する。例えば、図3(b)に示すように、屋根面推定手段106は、屋根面D201aを屋根面D201として残し、屋根面D201bを屋根面D202として屋根面D201から分割する。
【0043】
また、屋根面推定手段106は、屋根面の法線ベクトルとz軸との角度が90(°)に近い、例えば、90±2(°)の範囲内にある屋根面に属する3次元点群データは壁面として除外する。
【0044】
図4は、壁面を除外した一例を示した図である。
【0045】
図4に示すように、3次元点群データD302は、法線ベクトルとz軸との角度が90(°)に近い、3次元点群データであるので、3次元点群データD302を壁面として除外する。
【0046】
そして、屋根面推定手段106は、ノイズ除去も実行する。具体的には、屋根面推定手段106は、RANSACによる屋根面の取得終了後における屋根面の3次元点群データをひとまとめにし、PCA(principal component analysis)分析を行う。PCA分析とは、相関のある多数の変数から相関のない少数で全体のばらつきを最もよく表す主成分と呼ばれる変数を合成する手法であり、多変量解析の1つの手法である。屋根面推定手段106は、PCA分析の結果、3次元点群データが、PCA分析結果点の分布状況(線形状、面形状、ランダム)のいずれに分類されるか判定し、「ランダム」に分類された3次元点群データをノイズとして除去し、3次元点群データ記憶手段103に記憶させる。
【0047】
図5は、本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置1の屋根面推定手段106によるノイズ除去の結果を示した図である。図5(a)は、ノイズ除去後の3次元点群データの一例を示しており、図5(b)は、ノイズとして除去された3次元点群データの一例を示している。
【0048】
図5(b)に示す、PCA分析結果点の分類として「ランダム」に分類された3次元点群データがノイズとして削除されることにより、図5(a)に示すように、ノイズが除去された3次元点群データを得ることができる。
【0049】
屋根面推定手段106は、3次元点群データ記憶手段103に記憶された3次元点群データと、2次元建物外形線データ記憶手段105に記憶された2次元建物外形線データとを位置情報を基に重ね合わせ、2次元建物外形線データが示す建物外形線内を所定サイズの格子メッシュに分割する。
【0050】
図6は、本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置1の屋根面推定手段106による格子メッシュ分割処理を説明した説明図である。
【0051】
図6(a)に示すように、3次元点群データD401と、2次元建物外形線データD402とが位置情報を基に重ね合わされている。
【0052】
屋根面推定手段106は、2次元建物外形線データD402が示す建物外形の最長辺を基準辺D402aとして、建物外形を矩形で囲むようにバウンディングボックスD403を生成する。
【0053】
屋根面推定手段106は、図6(b)に示すように、生成したバウンディングボックスD403を基に、2次元建物外形線データD402が示す建物外形線内を所定サイズの矩形の格子メッシュに分割する。
【0054】
屋根面推定手段106は、分割した格子メッシュを3次元点群データD401の分布傾向に基づいてグループ化することにより屋根面を推定する。具体的には、屋根面推定手段106は、RANCACを用いた平面推定により、3次元点群データD401に屋根面を識別する屋根面番号を付与し、分割した格子メッシュ内の点群のうち最も数が多い屋根面番号を格子メッシュの屋根面番号とすることにより屋根面を推定する。これにより、格子メッシュごとに屋根面が一つだけ決定され、同一の屋根面がグループ化されて一つの屋根面として推定される。
【0055】
図6(b)に示すように、例えば、格子メッシュがグループ化されて屋根面D404aや、屋根面D404bなどが推定されている。
【0056】
なお、図6(b)に示すように、2次元建物外形線データD402が示す建物外形線内で、3次元点群データD401が存在しない箇所D404については、未設定格子メッシュとする。
【0057】
補正手段107は、格子メッシュに隣接する他の格子メッシュの情報に基づいて格子メッシュを補正することにより屋根面を補正する。具体的には、補正手段107は、小領域メッシュ補正処理、欠落メッシュ補完処理、孤立メッシュ再補完処理を実行する。
【0058】
図7は、本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置1の補正手段107による小領域メッシュ補正処理を説明した説明図である。図7(a)は、小領域メッシュ補正処理前の屋根面を示しており、図7(b)は、小領域メッシュ補正処理後の屋根面を示している。
【0059】
図7(a)に示すように、補正手段107は、同一の屋根面内で連続している格子メッシュの個数を計数する。図7(a)に示した例では、屋根面D501~D505が推定されており、この屋根面D501~D505内にそれぞれ連続する格子メッシュが含まれている。例えば、屋根面D503の格子メッシュ数は24(個)であり、屋根面D504の格子メッシュ数は17(個)であり、屋根面D505の格子メッシュ数は9(個)であるとする。
【0060】
補正手段107は、屋根面内で連続している格子メッシュの個数が予め設定された閾値Th1未満の場合は、その屋根面に含まれる格子メッシュを小領域として未設定メッシュに設定する。
【0061】
例えば、閾値Th1を30(個)として設定されているとすると、図7(b)に示すように、屋根面D503~D505に含まれる格子メッシュ数は、それぞれ30(個)未満であるので、屋根面D503~D505を小領域D513~D515として、この小領域D513~D515に含まれる格子メッシュは未設定メッシュとして設定される。
【0062】
一方、屋根面D501~D502に含まれる格子メッシュ数は、それぞれ30(個)以上であるので、屋根面D501~D502に含まれる格子メッシュは、そのまま屋根面D501~D502に属する格子メッシュとされる。
【0063】
また、補正手段107は、欠落メッシュ補完処理を実行する。具体的には、補正手段107は、格子メッシュうち3次元点群データD401が含まれない任意の格子メッシュを注目格子メッシュとしたときに、注目格子メッシュに隣接する8つの格子メッシュの屋根面番号のうち最も多い屋根面番号を注目格子メッシュの屋根面番号とすることにより、屋根面を補正する。なお、屋根面番号とは屋根面を一意に識別するための番号である。
【0064】
図8は、本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置1の補正手段107による欠落メッシュ補完処理を説明した説明図である。
【0065】
図8に示すように、例えば、格子メッシュうち3次元点群データD401が含まれない任意の格子メッシュD600を注目格子メッシュとしたときに、この注目格子メッシュD600に隣接す格子メッシュは、8近傍の格子メッシュD601~D608となる。
【0066】
この格子メッシュD601~D608のうち、3次元点群データD401が含まれ、最多の屋根面を注目格子メッシュD600が対応する屋根面とする。
【0067】
ここでは、格子メッシュD601~D608のうち、格子メッシュD605~D608のみに、3次元点群データD401が含まれている。格子メッシュD601~D604は、3次元点群データD401が含まれない未設定格子メッシュである。格子メッシュD605~D608は、全て同一の屋根面であるので、補正手段107は、最多の屋根面として注目格子メッシュD600を格子メッシュD605~D608が属する屋根面に統合する。
【0068】
そして、補正手段107は、格子メッシュD600に隣接する3次元点群データD401が含まれない格子メッシュD601~D604のいずれかを注目格子メッシュとして、同様に欠落メッシュ補完処理を実行する。このようにして、補正手段107は、建物外形内の未設定メッシュが全て補完されるまで欠落メッシュ補完処理を実行する。
【0069】
また、補正手段107は、孤立メッシュ再補完処理を実行する。具体的には、補正手段107は、格子メッシュうち3次元点群データD401が含まれる任意の格子メッシュを注目格子メッシュとしたときに、注目格子メッシュが、注目格子メッシュの上下左右に隣接する4つの格子メッシュをそれぞれグループ化した屋根面のいずれにも所属しない場合、グループ無所属に設定することにより、屋根面を補正する。
【0070】
図9は、本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置1の補正手段107による孤立メッシュ再補完処理を説明した説明図である。
【0071】
図9(a)に示した例では、3次元点群データD401が含まれる任意の格子メッシュD700を注目格子メッシュとしたときに、注目格子メッシュD700は、注目格子メッシュD700の上下左右に隣接する4つの格子メッシュのうち、右側にある格子メッシュD701が所属する屋根面と同一の屋根面に所属している。この場合、補正手段107は、注目格子メッシュD700を補正しない。
【0072】
一方、図8(b)に示すように、3次元点群データD401が含まれる任意の格子メッシュD710を注目格子メッシュとしたときに、注目格子メッシュD710は、注目格子メッシュD710の上下左右に隣接する4つの格子メッシュD711~D714のうち、右側にある格子メッシュD711が所属する屋根面とは異なる屋根面に所属している。また、格子メッシュD712~D714は未設定メッシュであるから、注目格子メッシュD710は、注目格子メッシュD710の上下左右に隣接する4つの格子メッシュD711~D714をそれぞれグループ化した屋根面のいずれにも所属していない。
【0073】
そこで、補正手段107は、図9(c)に示すように、注目格子メッシュD710を孤立メッシュと認定し、グループ無所属である未設定メッシュD720に設定することにより、屋根面を補正する。
【0074】
このようにして、補正手段107は、全ての孤立メッシュを未設定メッシュに変更した後に、欠落メッシュ補完処理を再度実行する。これにより、適切な屋根面に所属させることができる。
【0075】
また、補正手段107は、屋根面ごとに格子メッシュを統合する。
【0076】
図10は、本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置1の補正手段107による統合処理を説明した説明図である。(a)は、統合処理前の屋根面の一例を示した図であり、(b)は、統合処理後の屋根面の一例を示した図である。
【0077】
図10(a)に示すように、補正手段107は、屋根面ごとに格子メッシュを統合し、統合後のポリゴンが建物外形線外にはみ出さないように、建物外形線で切り出し、屋根輪郭線を得る。すなわち、補正手段107は、建物外形線からはみ出した部分を削除することにより屋根輪郭線を生成する。
【0078】
また、補正手段107は、屋根輪郭線を直線化する。
【0079】
図11は、本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置1の補正手段107による直線化処理を説明した説明図である。(a)は、直線化処理前の屋根面の一例を示した図であり、(b)は、直線化処理後の屋根面の一例を示した図である。
【0080】
図11(a)に示すように、補正手段107は、補正手段107による統合処理により生成された屋根面境界線の共通線分D800を取得する。
【0081】
そして、補正手段107は、共通線分D800のうち、閾値Th2以上の長さの部分を抽出し、直線化非対象線分D802に設定する。一方、補正手段107は、共通線分D800のうち、閾値Th2未満の長さの部分を抽出し、これを直線化対象線分D801,D803に設定する。これにより、共通線分D800に対し、直線化対象D801およびD802と、直線化非対象D802とを設定する。
【0082】
そして、図11(b)に示すように、補正手段107は、直線化対象D801およびD802に対して、例えばDouglas-Peucker等により直線化を行い、直線化された屋根面境界線D805を生成する。
【0083】
屋根面データ記憶手段108は、補正手段107により補正された屋根面データ(2次元屋根面輪郭線データおよび屋根面方程式)を記憶する。
【0084】
地面探索手段111は、建物が設置されている地面の高さ(z座標)を探索する。
【0085】
図12は、本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置1の地面探索手段111による地面探索処理を説明した説明図である。
【0086】
図12に示すように、地面探索手段111は、建物外形線D901のバウンディングボックスD902を生成する。
【0087】
そして、地面探索手段111は、バウンディングボックスD902の上下左右を+α(m)(ここでは、αの初期値:1mとする)拡張した拡張範囲D903を設定し、設定した拡張範囲D903内にある3次元点群データD401を取得する。なお、3次元点群データD401を取得する際の高さ方向の制限はない。
【0088】
地面探索手段111は、拡張範囲D903内から3次元点群データD401を取得できた場合、取得できた3次元点群データD401の最小高さ点を地面の高さとし、処理を終了する。
【0089】
一方、拡張範囲D903内から3次元点群データD401を取得できなかった場合、地面探索手段111は、探索範囲をさらに拡張する。ここでは、地面探索手段111は、バウンディングボックスD902の上下左右を+α(m)(ここでは、α:5mとする)拡張した拡張範囲D904を設定し、設定した拡張範囲D904内にある3次元点群データD401を取得する。
【0090】
同様に、地面探索手段111は、拡張範囲D904内から3次元点群データD401を取得できた場合、取得できた3次元点群データD401の最小高さ点を地面の高さとし、処理を終了する。
【0091】
一方、拡張範囲D904内から3次元点群データD401を取得できなかった場合、地面探索手段111は、探索範囲をさらに拡張する。ここでは、地面探索手段111は、バウンディングボックスD902の上下左右を+α(m)(ここでは、α:20mとする)拡張した拡張範囲D905を設定し、設定した拡張範囲D905内にある3次元点群データD401を取得する。
【0092】
同様に、地面探索手段111は、拡張範囲D905内から3次元点群データD401を取得できた場合、取得できた3次元点群データD401の最小高さ点を地面の高さとし、処理を終了する。
【0093】
一方、拡張範囲D905内から3次元点群データD401を取得できなかった場合、地面探索手段111は、高さ(z座標)を「0」として処理を終了する。
【0094】
なお、ここでは、拡張範囲D905内から3次元点群データD401を取得できなかった場合、地面探索手段111は、高さ(z座標)を「0」として処理を終了したが、拡張範囲は3回の拡張に限らず、何回拡張するようにしてもよい。
【0095】
地面データ記憶手段112は、取得した地面データ(地面の高さデータ)を記憶する。
【0096】
3次元モデル生成手段120は、屋根面データと地面データとに基づいて3次元モデルを生成する。3次元モデル生成手段120は、屋根面生成手段121と、壁面生成手段122と、底面生成手段123と、統合手段124とを有する。
【0097】
屋根面生成手段121は、屋根面データ記憶手段108に記憶された屋根面データ(2次元屋根面輪郭線データおよび屋根面方程式)に基づいて、3次元上の屋根面モデルを生成する。
【0098】
図13図14は、本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置1の屋根面生成手段121による屋根面生成処理を説明した説明図である。図13(a)は平面図であり、図13(b)は側面図である。
【0099】
図13(a),(b)に示すように、屋根面生成手段121は、階層構造を有するか否かを判定する。
【0100】
具体的には、屋根面生成手段121は、屋根面データ(2次元屋根面輪郭線データおよび屋根面方程式)に基づいて、屋根面輪郭が他の屋根面輪郭内に含まれているか否かの包含確認を行う。そして、屋根面生成手段121は、包含確認結果に基づいて、屋根面の階層構造(親子関係)を認識する。
【0101】
図13(a),(b)に示した例では、屋根面生成手段121は、屋根面E101の屋根面輪郭内に屋根面E102および屋根面E103の屋根面輪郭が含まれていると認識する。また、屋根面生成手段121は、屋根面E102の屋根面輪郭内に屋根面E104の屋根面輪郭が含まれていると認識する。屋根面E105は、階層構造を有していない。
【0102】
また、階層構造を有していない場合、2次元の屋根面輪郭を投影することにより2次元の屋根面輪郭を取得する。
【0103】
図14に示すように、階層構造を有していない場合、屋根面生成手段121は、屋根面データ記憶手段108に記憶された屋根面データ(2次元屋根面輪郭線データおよび屋根面方程式)に基づいて、2次元上の屋根輪郭線(頂点E201~E204を結ぶ輪郭線)を、RANSACで推定した平面E205(屋根面方程式:ax+by+cz+d=0で示す平面)に投影することで3次元上の屋根面の輪郭線(頂点E211~E214を結ぶ輪郭線)を取得する。
【0104】
これにより、屋根面生成手段121は、屋根面データに基づいて、2次元上の屋根輪郭線から3次元上の屋根面の輪郭線を生成し、屋根面モデルを生成することができる。
【0105】
壁面生成手段122は、屋根面データ記憶手段108に記憶された2次元屋根面輪郭線データと、地面データ記憶手段112に記憶された地面データとに基づいて、3次元上の壁面モデルを生成する。
【0106】
図15は、本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置1の壁面生成手段122による壁面生成処理を説明した説明図である。図15(a)は平面図であり、図15(b)は斜視図である。
【0107】
壁面生成手段122は、屋根輪郭線と建物外形線を総当たりで、最外壁線(建物外壁面の位置)または落差境界壁線(落差壁面の位置)を判定する。具体的には、図15(a),(b)に示すように、壁面生成手段122は、屋根面データ記憶手段108に記憶された2次元屋根面輪郭線データが示す2次元上の屋根面の輪郭線E301と、2次元建物外形線データD402が示す建物外形線E302とが平面上重なる位置を最外壁線E310(建物外壁面の位置)とする。
【0108】
同様に、壁面生成手段122は、屋根面データ記憶手段108に記憶された2次元屋根面輪郭線データが示す2次元上の屋根面の輪郭線E303と、2次元建物外形線データD402が示す建物外形線E302とが平面上重なる位置を最外壁線E311(建物外壁面の位置)とする。
【0109】
また、壁面生成手段122は、屋根面データ記憶手段108に記憶された2次元屋根面輪郭線データが示す2次元上の屋根面の輪郭線同士、すなわち、2次元上の屋根面の輪郭線E301と、2次元上の屋根面の輪郭線E303とが重なり合う位置のうち、所定の落差閾値以上の落差がある位置を落差境界壁線(落差壁面の位置)E312とする。
【0110】
そして、壁面生成手段122は、地面探索手段111により算出された高さ(z座標)と、屋根面生成手段121により生成された3次元上の屋根面の輪郭線と、建物外壁面の位置(最外壁線)と、落差壁面の位置(落差境界壁線)とに基づいて壁面モデルを生成する。
【0111】
これにより、図15(b)に示すように、壁面生成手段122は、最外壁線E310と地面探索手段111により算出された地面の高さ(z座標)とに基づいて、輪郭線E310aを算出し、最外壁線E310と3次元上の屋根面の輪郭線とに基づいて、輪郭線E310bを算出する。
【0112】
また、図15(b)に示すように、壁面生成手段122は、最外壁線E310と3次元上の屋根面の輪郭線とに基づいて、輪郭線E312aを算出し、最外壁線E311と3次元上の屋根面の輪郭線とに基づいて、輪郭線E312bを算出する。
【0113】
これにより、壁面生成手段122は、3次元上の壁面を生成することができる。
【0114】
底面生成手段123は、地面データ記憶手段112に記憶された地面データに基づいて、3次元上の底面を生成する。具体的には、底面生成手段123は、地面探索手段111により算出された地面の高さ(z座標)と、2次元建物外形線データD402とに基づいて、3次元上の底面モデルを生成する。
【0115】
統合手段124は、屋根面生成手段121により生成された3次元上の屋根面モデルと、壁面生成手段122により生成された3次元上の壁面モデルと、底面生成手段123により生成された3次元上の底面モデルとを統合して、3次元の建物モデルを生成する。
【0116】
頂点補正手段115は、統合手段124により統合された建物モデルのモデル面の頂点を水平面上での位置座標に基づいてグルーピングした第1グループを生成し、第1グループをさらにそれぞれ垂直方向の位置座標でグルーピングした第2グループを生成し、生成された第2グループ内に頂点が複数存在する場合には、任意の1つの頂点に統合する。
【0117】
図16図17は、本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置1の頂点補正手段115による頂点補正処理を説明した説明図である。
【0118】
図16(a)に示すように、頂点補正手段115は、統合手段124により統合された建物モデルE400のモデル面の頂点を水平面(x-y平面)上でグルーピングした第1グループE410~E460を生成する。
【0119】
図16(b)に示すように、頂点補正手段115は、第1グループE410をさらに垂直方向の位置座標(z座標)でグルーピングした第2グループE411,E412を生成する。同様に、頂点補正手段115は、第1グループE420をさらに垂直方向の位置座標(z座標)でグルーピングした第2グループE421,E422を生成し、第1グループE430をさらに垂直方向の位置座標(z座標)でグルーピングした第2グループE431,E432を生成し、第1グループE440をさらに垂直方向の位置座標(z座標)でグルーピングした第2グループE441,E442を生成し、第1グループE450をさらに垂直方向の位置座標(z座標)でグルーピングした第2グループE451,E452を生成し、第1グループE460をさらに垂直方向の位置座標(z座標)でグルーピングした第2グループE461,E462を生成する。
【0120】
そして、頂点補正手段115は、生成された第2グループ内に頂点が複数存在する場合には、任意の1つの頂点に統合する。
【0121】
図17(a)は、統合による補正前の第2グループの一例を示しており、図17(b)は、統合による補正後の第2グループの一例を示している。
【0122】
図17(a)に示すように、第2グループE421には、P1(x1,y1,z1)の頂点と、P2(x2,y2,z2)の頂点とが含まれている。また、第2グループE422には、P3(x3,y3,z3)の頂点と、P4(x4,y4,z4)の頂点とが含まれている。
【0123】
このように、第2グループ内に頂点が複数含まれていることがあり、これは誤差と考えることができる。また、z1はz2以上であるとする。
【0124】
そこで、頂点補正手段115は、図17(b)に示すように、P2(x2,y2,z2)の座標をP1(x1,y1,z1)の座標と同一にすることにより、P2(x2,y2,z2)をP1(x1,y1,z1)に統合する。これにより、より高い(z座標の値が大きい)頂点に統合することができる。
【0125】
また、頂点補正手段115は、P3(x3,y3,z3)とP4(x4,y4,z4)とは、同一の第1グループに所属している。そこで、P3とP4のx座標およびy座標をP1のx座標およびy座標に統合する。また、頂点補正手段115は、P3のz座標をP4のz座標に統合する。
【0126】
これにより、P4をP3に統合し、P3(x1,y1,z3)とP4(x1,y1,z3)を得ることができる。
【0127】
なお、ここでは、P2をP1に統合したが、P1をP2に統合するようにしてもよい。また、P4をP3に統合したが、P3をP4に統合するようにしてもよい。
【0128】
3次元モデルデータ記憶手段116は、頂点補正手段115により頂点が補正された3次元モデルデータを記憶する。
【0129】
図18は、本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置1における処理手順を示したフローチャートである。
【0130】
図18に示すように、ステップS101において、3次元点群データ取得手段101は、3次元点群データを取得する。
【0131】
ステップS103において、2次元建物外形線データ取得手段104は、2次元建物外形線データを取得する。
【0132】
ステップS105において、クラスタ分割手段102は、クラスタ分割処理を実行する。具体的には、クラスタ分割手段102は、3次元点群データ取得手段101により取得された3次元点群データを、時刻ごとのクラスタに分割し、分割したクラスタのうち、データ点数が多いクラスタの優先順位を高くし、建物外形線に対し、点群の被覆率が80(%)を超えるまでの優位順位の高いクラスタから順に採用する。
【0133】
ステップS107において、屋根面推定手段106は、3次元点群データ記憶手段103に記憶された3次元点群データに基づいて、RANSAC(RANdom SAmple Consensus)を用いて屋根面を推定する。
【0134】
ステップS109において、補正手段107は、格子メッシュに隣接する他の格子メッシュの情報に基づいて、小領域メッシュ補正処理を実行する。具体的には、補正手段107は、同一の屋根面内で連続している格子メッシュの個数を計数し、屋根面内で連続している格子メッシュの個数が予め設定された閾値Th1未満の場合は、その屋根面に含まれる格子メッシュを小領域として未設定メッシュに設定する。
【0135】
ステップS111において、補正手段107は、欠落メッシュ補完処理を実行する。具体的には、補正手段107は、格子メッシュうち3次元点群データD401が含まれない任意の格子メッシュを注目格子メッシュとしたときに、注目格子メッシュに隣接する8つの格子メッシュが最も多く含まれる屋根面に注目格子メッシュを統合することにより、屋根面を補正する。
【0136】
ステップS113において、補正手段107は、孤立メッシュ補完処理を実行する。格子メッシュうち3次元点群データD401が含まれる任意の格子メッシュを注目格子メッシュとしたときに、注目格子メッシュが、注目格子メッシュの上下左右に隣接する4つの格子メッシュをそれぞれグループ化した屋根面のいずれにも所属しない場合、グループ無所属に設定することにより、屋根面を補正する。
【0137】
ステップS115において、地面探索手段111は、建物が設置されている地面を探索する。
【0138】
ステップS121において、屋根面生成手段121は、屋根面データ記憶手段108に記憶された屋根面データ(2次元屋根面輪郭線データおよび屋根面方程式)に基づいて、3次元上の屋根面モデルを生成する。
【0139】
ステップS123において、壁面生成手段122は、屋根面データ記憶手段108に記憶された2次元屋根面輪郭線データと、地面データ記憶手段112に記憶された地面データとに基づいて、3次元上の壁面モデルを生成する。
【0140】
ステップS125において、底面生成手段123は、地面データ記憶手段112に記憶された地面データに基づいて、3次元上の底面を生成する。
【0141】
ステップS127において、統合手段124は、屋根面生成手段121により生成された3次元上の屋根面モデルと、壁面生成手段122により生成された3次元上の壁面面モデルと、底面生成手段123により生成された3次元上の底面モデルとを統合して、3次元の建物モデルを生成する。
【0142】
ステップS129において、頂点補正手段115は、3次元の建物モデルの頂点を補正する。具体的には、頂点補正手段115は、統合手段124により統合された建物モデルのモデル面の頂点を水平面上での位置座標に基づいてグルーピングした第1グループを生成し、第1グループをさらにそれぞれ垂直方向の位置座標でグルーピングした第2グループを生成し、生成された第2グループ内に頂点が複数存在する場合には、任意の1つの頂点に統合する。
【0143】
以上のように、本発明の一実施形態である3次元モデル生成装置1によれば、3次元点群データと、2次元建物外形線データとを取得する。3次元点群データ取得手段101と、3次元点群データと2次元建物外形線データとを位置情報を基に重ね合わせ、2次元建物外形線データが示す建物外形線内を所定サイズの格子メッシュに分割し、分割した格子メッシュを3次元点群データの分布傾向に基づいてグループ化することにより屋根面を推定する屋根面推定手段106と、格子メッシュに隣接する他の格子メッシュの情報に基づいて格子メッシュを補正することにより屋根面を補正する補正手段107と、補正手段107により補正された屋根面に基づいて3次元モデルを生成する3次元モデル生成手段120と、を備えたことにある。
【0144】
これにより、屋根形状タイプを予め設定することなく、複雑な屋根構造を正確に再現することができる。
【0145】
なお、上述した実施形態は、コンピュータにインストールしたプログラムを実行させることにより実現することもできる。
【符号の説明】
【0146】
1 3次元モデル生成装置
101 3次元点群データ取得手段
102 クラスタ分割手段
103 3次元点群データ記憶手段
104 3D建物外形線データ取得手段
105 3D建物外形線データ記憶手段
106 屋根面推定手段
107 補正手段
108 屋根面データ記憶手段
111 地面探索手段
112 地面データ記憶手段
115 頂点補正手段
116 3次元モデルデータ記憶手段
120 3次元モデル生成手段
121 屋根面生成手段
122 壁面生成手段
123 底面生成手段
124 統合手段
図1
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