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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057509
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/44 20060101AFI20240417BHJP
   B65D 21/02 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
B65D5/44 F
B65D21/02 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164307
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(71)【出願人】
【識別番号】522048476
【氏名又は名称】株式会社カネスエ
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(72)【発明者】
【氏名】野尻 佳佑
(72)【発明者】
【氏名】河原崎 孝文
【テーマコード(参考)】
3E006
3E060
【Fターム(参考)】
3E006AA03
3E006BA02
3E006CA01
3E006CA04
3E060AA03
3E060AB16
3E060BC02
3E060BC04
3E060CD02
3E060DA07
(57)【要約】
【課題】上下に積み重ね可能なトレー状でありながらも使い勝手が良い包装箱を提供する。
【解決手段】包装箱1は、筒状の胴部10、および胴部10の2つの開放端10aの一方を閉塞する閉塞部20を有し、胴部10は、互いに対向する一対の第1側板11、および一対の第1側板11に胴部折目線aを介して連接されることで一対の第1側板11を繋ぐ一対の第2側板12を有し、第1側板11は、2つの胴部折目線aを繋ぐように設けられる第1桟部形成折目線c1を有し、第2側板は、第1桟部形成折目線c1の端から閉塞部20とは反対側の開口側端縁12aにかけて胴部折目線aから漸次離隔するように設けられる2つの第2桟部形成折目線c2と、2つの第2桟部形成折目線c2の間において開口側端縁12a側から閉塞部20側に向けて延びるように設けられる角部追加折目線dを有する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の胴部、および前記胴部の2つの開放端の一方を閉塞する閉塞部を有する包装箱であって、
前記胴部は、互いに対向する一対の第1側板、および前記一対の第1側板に胴部折目線を介して連接されることで前記一対の第1側板を繋ぐ一対の第2側板を有し、
前記第1側板は、2つの前記胴部折目線を繋ぐように設けられる第1桟部形成折目線を有し、
前記第2側板は、前記第1桟部形成折目線の端から前記閉塞部とは反対側の開口側端縁にかけて前記胴部折目線から漸次離隔するように設けられる2つの第2桟部形成折目線と、2つの前記第2桟部形成折目線の間において前記開口側端縁側から前記閉塞部側に向けて延びるように設けられる角部追加折目線を有することを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱において、
前記第2側板は、2つの前記角部追加折目線を有することを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項2に記載の包装箱において、
2つの前記角部追加折目線は、前記閉塞部側に向けて互いに漸次離隔するように設けられることを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項1に記載の包装箱において、
前記第2桟部形成折目線は、前記第1桟部形成折目線側に全切線を有することを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種物品を収容する包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種物品を収容する包装箱として、段ボール等からなる一枚のブランクシートを折り曲げて製函される包装箱が普及している。この包装箱の中には、例えば4つの側板からなる筒状の胴部を有すると共に、この胴部の2つの開放端の一方を閉塞する閉塞部のみ、すなわち底板のみを有し、天板を有さないトレー状のものがある。
【0003】
このようなトレー状の包装箱は、上部が開口していることから、内容物を視認可能であり、且つ内容物を容易に取り出し可能であるため、各種物品の保管や輸送に使用されるだけでなく、店頭にそのまま配置されて陳列棚として使用することも可能となっている。
【0004】
但し、トレー状の包装箱は、天板を有さないことから、そのままでは上下に積み重ねることが難しくなっている。このため、上下に積み重ね可能な所謂スタッキングトレーとして、側板の開口側の一部を内方に折り曲げて桟部を形成したもの(例えば、特許文献1参照)や、側板の開口側をコの字状に内方に折り返して額部を形成したものが存在している(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-354229号公報
【特許文献2】特開2002-114217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の包装箱は、上部の開口が桟板(桟部)によって部分的に閉塞されることから、そのままでは内容物を取り出し難く、また、桟板を引き起こして開口を広げる場合にも、差込片を差込穴から引き抜く手間を要するだけでなく、引き起こし後も桟板に連接された外覆板および差込片が邪魔になるという問題があった。
【0007】
また、上記特許文献2に記載の包装箱は、桟部によって上部の開口が部分的に閉塞されることはないものの、額部の分だけ外寸に対して収容量が小さくなるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑み、上下に積み重ね可能なトレー状でありながらも使い勝手が良い包装箱を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の包装箱は、筒状の胴部、および前記胴部の2つの開放端の一方を閉塞する閉塞部を有する包装箱であって、前記胴部は、互いに対向する一対の第1側板、および前記一対の第1側板に胴部折目線を介して連接されることで前記一対の第1側板を繋ぐ一対の第2側板を有し、前記第1側板は、2つの前記胴部折目線を繋ぐように設けられる第1桟部形成折目線を有し、前記第2側板は、前記第1桟部形成折目線の端から前記閉塞部とは反対側の開口側端縁にかけて前記胴部折目線から漸次離隔するように設けられる2つの第2桟部形成折目線と、2つの前記第2桟部形成折目線の間において前記開口側端縁側から前記閉塞部側に向けて延びるように設けられる角部追加折目線を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の包装箱によれば、まず第1側板および第2側板をそれぞれ第1桟部形成折目線および第2桟部形成折目線において山折りに(外側が凸となるように)折り曲げると共に、胴部折目線における第1桟部形成折目線および第2桟部形成折目線よりも開口側(上側)の部分を谷折りに(内側が凸となるように)折り曲げることで、容易に桟部を形成することが可能であり、また、これを元に戻す操作も容易に行うことができる。すなわち、桟部を形成して上下に積み重ね可能な状態と、桟部を引き起こして内容物の取り出しを容易化した状態の間の遷移を容易に行うことができる。
【0011】
また、本発明の包装箱によれば、桟部の形成と共に第2側板を角部追加折目線で山折りに折り曲げることで、一対の第2側板の開口側を、閉塞部によって拘束される閉塞部側よりも互いに離隔させると共に、一対の第1側板の開口側を、閉塞部側よりも互いに近接させることができる。これにより、桟部よりも上方に突出する第2側板に邪魔されることなく、桟部の上に別の包装箱を容易に載置することが可能になると共に、第1側板の立設部分の上端(第1桟部形成折目線が設けられた部分)を上の包装箱の閉塞部(底板)に当接させて、安定的に支持することが可能となる。
【0012】
従って、本発明の包装箱では、桟部によって外寸に対する収容量を確保しながらも、容易な製函および容易な内容物の取り出しが可能であり、さらに上下の積み重ねも容易且つ安定的に行うことが可能となっている。すなわち、本発明の包装箱によれば、上下に積み重ね可能なトレー状でありながらも使い勝手を良くすることができる。
【0013】
また、本発明の包装箱において、前記第2側板は、2つの前記角部追加折目線を有することが好ましい。
【0014】
これによれば、角部追加折目線を第2桟部形成折目線に近づけて配置することが可能となるため、第1側板および第2側板をそれぞれ第1桟部形成折目線および第2桟部形成折目線で折り曲げて桟部を形成する際に、第2側板が角部追加折目線においてもより自然に折れ曲がるようにし、製函を容易化することができる。また、第2側板に手穴を設ける場合に、2つの前記角部追加折目線の間に手穴を設けることで、持ち易くすることができる。
【0015】
また、本発明の包装箱において、2つの前記角部追加折目線は、前記閉塞部側に向けて互いに漸次離隔するように設けられることが好ましい。
【0016】
これによれば、一対の第2側板を角部追加折目線で折り曲げた場合に、閉塞部側よりも開口側が離隔した状態をより確実に形成することが可能となるため、製函を容易にすると共に、積み重ね可能な状態における包装箱の形状を安定的に維持することができる。
【0017】
また、本発明の包装箱において、前記第2桟部形成折目線は、前記第1桟部形成折目線側に全切線を有することが好ましい。
【0018】
これによれば、桟部の形成時に最も鋭角に折り曲げられる第2桟部形成折目線を、複雑な折れ曲がり状態となる第1桟部形成折目線および胴部折目線との交点の近傍において折れ曲がり易くすることが可能となるため、製函をより容易化することができる。また、折り曲げられた全切線に生じる引っ掛かりによって、第2桟部形成折目線だけでなく、第1桟部形成折目線および胴部折目線における折れ曲がり状態を維持することが可能となるため、積み重ね可能な状態における包装箱の形状をより安定的に維持することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の包装箱によれば、上下に積み重ね可能なトレー状でありながらも使い勝手が良いという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る包装箱の概略斜視図である。
図2】包装箱の展開図である。
図3】AおよびBは、包装箱を製函する手順を示した概略斜視図である。
図4】2つの包装箱を上下に積み重ねた状態を示した概略図である。
図5】A~Cは、角部追加折目線の変形例を示した概略図である。
図6】A~Cは、角部追加折目線の変形例を示した概略図である。
図7】A~Cは、第2側板に中芯を潰した段潰し領域を設けた場合の例を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る包装箱1の概略斜視図であり、図2は、包装箱1の展開図であり、包装箱1の製函前のブランクシート1xの表面を示している。
【0022】
本実施形態の包装箱1は、天板を有さずに底板のみを有する溝切り形のものであり、表ライナ、裏ライナおよび中芯からなる両面段ボールを素材としている。包装箱1は、両面段ボールに溝切りおよびけい線入れを行って形成した平板状のブランクシート1xを折り曲げることでトレー状に製函される。
【0023】
図1に示されるように、包装箱1は、略八角筒状の胴部10と、胴部10の軸方向(図1における上下方向)両端における2つの開放端10aの一方(下側)を閉塞する閉塞部20(底板)と、胴部10の開口側(上側)を内方に折り曲げることで形成された2つの桟部30と、から構成されている。
【0024】
胴部10は、互いに対向する一対の第1側板11、および一対の第1側板11の対向方向と略直交する方向で互いに対向する一対の第2側板12から構成されている。従って、一対の第2側板12は一対の第1側板11を周方向の両端において繋いでおり、一対の第1側板11は一対の第2側板12を周方向の両端において繋いでいる。
【0025】
胴部10は、第1側板11と第2側板12の間の4つの角部13に加え、一対の第2側板12にそれぞれ2つの追加角部14が設けられることで八角筒状に構成されている。この1つの第2側板12における2つの追加角部14は、開口側端縁12aから角部13の閉塞部20側の端にかけて互いに漸次離隔するように設けられている。
【0026】
従って、胴部10は、大部分が八角筒状であるものの、閉塞部20側の開放端10aにおいては四角筒状となっている。また、追加角部14は第2側板12を折り曲げることで形成されているため、一対の第1側板11は、閉塞部20側から開口側に向けて互いに漸次近接しており、一対の第2側板12は、2つの追加角部14の間の部分が閉塞部20側から開口側に向けて互いに漸次離隔している。
【0027】
第2側板12の2つの追加角部14の間には、長円形状の手穴12bが設けられている。また、第2側板12の開口側端縁12aには、三角形状の切り欠き12a1が2か所に設けられており(図2参照)、追加角部14は、この切り欠き12a1の最奥部(頂点)近傍から第2側板12の閉塞部20側の両隅に向けて延出している。また、第2側板12の閉塞部20側には、閉塞部20よりも下側に突出する台形状の突起12cが2か所に設けられている。
【0028】
閉塞部20は、一般的な溝切り形と同様の矩形状の底板となっている。本実施形態では、アメリカンロック方式で組み合わされる一対の第1フラップ21および一対の第2フラップ22から閉塞部20を構成しているが、例えばボトムロック方式やA式等のその他の方式で組み合わされる一対の第1フラップ21および一対の第2フラップ22から閉塞部20を構成するようにしてもよい。
【0029】
桟部30は、包装箱1を上下に積み重ねることを可能とするための部分である。桟部30は、閉塞部20と略平行な平行部31、および平行部31に対して傾斜した2つの傾斜部32から構成されている。平行部31は、第1側板11の開口側を山折りに(外側が凸となるように)折り曲げた部分であり、別の包装箱1が載置される部分である。また、傾斜部32は、第2側板12の開口側の両隅部側を山折りに折り曲げた部分であり、平行部31を支持する部分である。
【0030】
第1側板11および第2側板12を折り曲げて桟部30を形成することで、包装箱1は、第1側板11よりも第2側板12が開口側(上側)に突出した状態となる。従って、傾斜部32は、平行部31から上側に向けて斜めに延出している。
【0031】
図2に示されるように、ブランクシート1xにおける第1側板11および第2側板12は、胴部10の周方向となるX方向(図2における左右方向)において交互に配列されている。本実施形態では、第1側板11および第2側板12を、図2における左側から第2側板12、第1側板11、第2側板12、第1側板11の順に配置し、最も左側の第2側板12の左側に、継ぎ代15を配置している。この継ぎ代15は、最も右側に位置する第1側板11に接着されることで、筒状の胴部10を形成するためのものである。
【0032】
第1フラップ21は、ブランクシート1xにおいて第1側板11に対してX方向に直交するY方向(図2における上下方向)の一側(図2における下側)に配置されている。また、第2フラップ22は、ブランクシート1xにおいて第2側板12に対してY方向の一側に配置されている。従って、ブランクシート1xのy方向の一側には、閉塞部20を構成する一対の第1フラップ21および一対の第2フラップ22が配置されている。
【0033】
第1側板11および第2側板12は、それぞれ胴部10の周方向における寸法が異なる矩形板状に構成されており、本実施形態では、周方向の寸法が長い方を第1側板11としている。また、第1フラップ21および第2フラップ22は、アメリカンロック方式で組み合わせ可能な所定の形状に構成されている。
【0034】
第1側板11、第2側板12および継ぎ代15は、隣り合うもの同士が胴部折目線aを介して互いに連接されている。また、第1フラップ21は、第1フラップ折目線b1を介して第1側板11に連接され、第2フラップ22は、第2フラップ折目線b2を介して第2側板12に連接されている。換言すると、第1側板11、第2側板12、継ぎ代15、第1フラップ21および第2フラップ22は、ブランクシート1xにおいて、胴部折目線a、第1フラップ折目線b1および第2フラップ折目線b2によって画定されている。
【0035】
胴部折目線aは、製函時に折り曲げられることで角部13を形成するものであり、Y方向に延びる直線として設けられている。また、第1フラップ折目線b1および第2フラップ折目線b2は、製函時に第1フラップ21および第2フラップ22を折り曲げて閉塞部20を形成するためのものであり、X方向に延びる直線として同一直線上に設けられている。
【0036】
なお、本実施形態では、胴部折目線a、第1フラップ折目線b1および第2フラップ折目線b2は、一般的な溝切り形の包装箱と同様に、ブランクシート1xの裏面(包装箱1の内側面となる面)に設けられた押けい線から構成されている。
【0037】
第1側板11には、第1側板11を折り曲げて桟部30を形成するための第1桟部形成折目線c1が、2つの胴部折目線aを繋ぐように設けられている。より詳細には、第1桟部形成折目線c1は、第1フラップ折目線b1からY方向において所定の距離(本実施形態では、第1側板11のY方向寸法の約3/4)だけ離れた位置において、2つの胴部折目線aを繋ぐようにX方向に延びる直線に沿って(すなわち、第1フラップ折目線b1と略平行に)設けられている。
【0038】
本実施形態では、第1桟部形成折目線c1を、ブランクシート1xの裏面に設けられた押けい線c1aと、断続的に配置された7つの弧状の全切線(ブランクシート1xを厚み方向に貫通する切れ目線)c1bと、の組み合わせから構成している。このように押けい線c1aと全切線c1bを組み合わせることで、第1側板11を第1桟部形成折目線c1で折り曲げた場合に、全切線c1bに引っ掛かりを生じさせることができるため、第1桟部形成折目線c1における折れ曲がり状態を安定的に維持することが可能となる。
【0039】
なお、継ぎ代15は、第1側板11に接着されて桟部30の形成時に第1側板11と共に折り曲げられることとなる。従って、継ぎ代15の第1桟部形成折目線c1に対応する位置には、ブランクシート1xの裏面に設けられた押けい線から構成された第3桟部形成折目線c3が設けられている。
【0040】
第2側板12には、第2側板12を折り曲げて桟部30を形成するための2つの第2桟部形成折目線c2が、第1桟部形成折目線c1側の端から開口側端縁12aにかけて、胴部折目線aから漸次離隔するように設けられている。より詳細には、第2桟部形成折目線c2は、第1桟部形成折目線c1の胴部折目線aにおける端から切り欠き12a1にかけて、当該胴部折目線aに対して約42.5°の角度をなす方向の直線に沿って設けられている。
【0041】
また、本実施形態では、第2桟部形成折目線c2を、ブランクシート1xの裏面に設けられた押けい線c2aと、第1桟部形成折目線c1側において部分的に押けい線c2aに重ねて設けられた直線状の全切線c2bと、から構成することで、複雑な折れ曲がり状態となる第1桟部形成折目線c1および胴部折目線aとの交点の近傍において第2桟部形成折目線c2を折れ曲がり易くすると共に、全切線c2bにおいて生じる引っ掛かりによって折れ曲がり状態が安定的に維持されるようにしている。なお、本実施形態では、第2桟部形成折目線c2の全長の約25%の範囲に全切線c2bを設けている。
【0042】
第2側板12にはまた、第2側板12を折り曲げて追加角部14を形成するための2つの角部追加折目線dが設けられている。この角部追加折目線dは、切り欠き12a1における最奥部よりもやや第2桟部形成折目線c2側の位置から近傍の胴部折目線aの閉塞部20側(図の下側)の端に向けて延びる直線に沿って設けられている。従って、1つの第2側板12における2つの角部追加折目線dは、2つの第2桟部形成折目線c2の間において開口側端縁12a側から閉塞部20側に向けて互いに漸次離隔するように設けられている。
【0043】
本実施形態では、角部追加折目線dをこのように設けることで、一対の第2側板12を閉塞部20側よりも開口側が離隔した状態とする追加角部14を確実に形成することを可能としている。
【0044】
また、本実施形態では、角部追加折目線dのY方向に占める範囲を、角部追加折目線dの開口側端縁12a側の端から第2フラップ折目線b2までの距離の約60%とし、角部追加折目線dを胴部折目線aの閉塞部20側の端に到達させないことで、製函時に胴部折目線aを折り曲げる際に角部追加折目線dが不用意に折れ曲がるのを防止している。そして、角部追加折目線dを、ブランクシート1xの裏面に設けられた押けい線daと、断続的に押けい線d1に重ねて設けられた直線状の3つの全切線dbと、から構成することで、追加角部14を形成する際の角部追加折目線dの折れ曲がり易さを調整している。
【0045】
本実施形態ではさらに、角部追加折目線dの開口側端縁12a側の端を応力が集中する切り欠き12a1の最奥部から少しずらした位置に配置することで、角部追加折目線dにおける破断を防止しつつ、角部追加折目線dが適宜に折れ曲がり易くなるようにしている。また、切り欠き12a1の最奥部に適宜の丸みを設けることで、最奥部における応力集中を緩和させている。
【0046】
第2側板12において、開口側端縁12aの2つの切り欠き12a1は、X方向両端の胴部折目線aからX方向に所定の間隔を空けて配置されている。また、手穴12bは、第2側板12のX方向における中間位置において、Y方向の中心が第1桟部形成折目線c1よりもやや第2フラップ折目線側となる位置に配置されている。
【0047】
突起12cは、第2フラップ22の第2フラップ折目線b2に接続して設けられたコの字状の全切線eによって画定されている。第2フラップ22において、2つの突起12cは、X方向両端の胴部折目線aからX方向に、切り欠き12a1より少し大きい間隔を空けて配置されている。
【0048】
次に、包装箱1を製函する手順について説明する。図3AおよびBは、包装箱1を製函する手順を示した概略斜視図である。
【0049】
包装箱1は、まずブランクシート1xにおける継ぎ代15の表面に接着剤を塗布した後に、X方向の両端の第1側板11および第2側板12を胴部折目線aで折り曲げて継ぎ代15を第1側板11の裏面に接着し、ブランクシート1xが2枚重ねに折り畳まれた状態の筒状体を形成する。通常、この作業は、印刷、けい線入れおよび打ち抜き等と共に、機械によって行われる。以降の作業は、手作業による場合と機械による場合がある。
【0050】
次に、筒状体を折り曲げられていない胴部折目線aで山折りに折り曲げ、一対の第1側板11同士を互いに離隔させることで、四角筒状の胴部10を形成する。上述のように、角部追加折目線dは、不用意に折れ曲がらないように構成されているため、スムーズに四角筒状の胴部10を形成することができる。
【0051】
次に、一対の第1フラップ21および一対の第2フラップ22を、第1フラップ折目線b1および第2フラップ折目線b2で内方に折り曲げてアメリカンロック方式で組み合わせ、底板となる閉塞部20を形成する。これにより、図3Aに示されるような第1状態の包装箱1が完成する。この第1状態の包装箱1は、桟部30が形成されておらず、上部が大きく開口しているため、内容物(図示省略)の収容および取り出しが容易な状態となっている。
【0052】
第1状態の包装箱1内に内容物を収容したならば、第1側板11および第2側板12を第1桟部形成折目線c1および第2桟部形成折目線c2で山折りに折り曲げると共に、胴部折目線aにおける第1桟部形成折目線c1および第2桟部形成折目線c2よりも開口側の部分を谷折りに(内側が凸となるように)折り曲げて桟部30を形成する。換言すると、第1側板11および第2側板12における第1桟部形成折目線c1および第2桟部形成折目線c2よりも開口側の部分を、第1桟部形成折目線c1および第2桟部形成折目線c2で内方に折り曲げて桟部30を形成する。
【0053】
このとき、第1桟部形成折目線c1、第2桟部形成折目線c2および胴部折目線aにおける折り曲げに起因して、図3Aに示されるように、一対の第2側板12は開口側が互いに離隔する方向に押されることとなる。これにより、第2側板12は角部追加折目線dおよびその延長線上で山折りに折り曲げられ、切り欠き12a1から角部13の閉塞部20側の端にかけて追加角部14が形成される。また、一対の第2側板12が角部追加折目線dで山折りに折り曲げられ、角部追加折目線dの間の部分が互いに離隔することで、第1側板11は、開口側が互いに近接することとなる。
【0054】
この結果、図3Bに示されるように、桟部30および追加角部14を有し、上下に積み重ねることが可能な第2状態の包装箱1が完成する。桟部30の形成では、第2桟部形成折目線c2が最も鋭角に折り曲げられることとなるが、全切線c2bによって容易に折り曲げることが可能となっている。また、追加角部14の形成も、角部追加折目線dの全切線dbによってスムーズに行われるようになっている。
【0055】
なお、先に一対の第2側板12の開口側を互いに離隔させるように押し開き、角部追加折目線dを予め山折りの状態とした上で、桟部30を形成するようにしてもよい。この場合、山折り状態の角部追加折目線dによって一対の第2側板12の開口側が互いに離隔し、胴部折目線aの開口側が鈍角な折れ曲がり状態に維持され易くなるため、第1側板11および第2側板12の第1桟部形成折目線c1および第2桟部形成折目線c2における折り曲げをより容易化することができる。
【0056】
第2状態の包装箱1において、桟部30は、傾斜部32が接続された第2側板12によって支持されることとなるが、追加角部14の形成によって第2側板12の剛性が向上し、平行部31よりも上方に突出した部分が撓み難くなることから、桟部30は十分な耐荷重性を有するものとなっている。また、図3Bに示されるように、別の包装箱1を平行部31上に載置した場合に平行部31に加わる下向きの力は、傾斜部32を介して第2側板12の角部追加折目線dよりも第1側板11側の部分を引っ張るように作用し、追加角部14における折れ曲がり状態を維持しようとするため、何かの拍子に追加角部14が消失して第2側板12の剛性が低下するといった事態は起こり難くなっている。
【0057】
さらに、本実施形態では、第1桟部形成折目線c1の全切線c1bおよび第2桟部形成折目線c2の全切線c2bにおいて生じる引っ掛かりにより、包装箱1の第2状態における形状は安定的に維持されるようになっている。なお、本実施形態では、第1桟部形成折目線c1の全切線c1bを弧状とすることで、人の手の触れやすい位置に鋭利な突起が生じるのを回避し、包装箱1の安全性を高めている。
【0058】
第2状態の包装箱1から内容物を取り出す場合には、第2状態のまま取り出してもよいが、桟部30を引き起こして第1状態とすることで、開口を広げて取り出しを容易化することができる。また、第1状態と第2状態の間の遷移は、従来のトレー状の包装箱における差込片の抜き差し等を必要としないため、容易且つ迅速に行うことが可能となっている。すなわち、包装箱1では、桟部30によって外寸に対する収容量を確保しながらも、容易な製函および容易な内容物の取り出しが可能となっている。
【0059】
次に、包装箱1の積み重ねについて説明する。図4AおよびBは、第2状態の2つの包装箱1を上下に積み重ねた状態を示した概略図である。なお、図4Aは、第1側板11側から見た場合を示しており、図4Bは、第2側板12側から見た場合を示している。
【0060】
図4Aに示されるように、一対の第2側板12の間隔は上側が広がっているため、第2側板12に邪魔されることなく、包装箱1の桟部30(平行部31)に別の包装箱1を載置し、容易に包装箱1を上下に積み重ねることが可能となっている。また、上方に突出した一対の第2側板12によって図4Aにおける左右方向の横ずれが防止されるだけでなく、傾斜した傾斜部32によって上側の包装箱1は適切な位置に案内されるようになっている。
【0061】
また、図4Bに示されるように、一対の第1側板11の間隔は上側が狭まっているため、下側の第1側板11の立設部分の上端(第1桟部形成折目線c1が設けられた部分)を上側の包装箱1の閉塞部20に当接させて上側の包装箱1を下側の包装箱1によって安定的に支持することが可能となっている。また、上側の包装箱1の突起12cが下側の包装箱1の2つの桟部30の間に入り込むことで、図4Bにおける左右方向の横ずれが防止されるようになっている。
【0062】
次に、包装箱1の変形例について説明する。図5A~Cおよび図6A~Cは、角部追加折目線dの変形例を示した概略図であり、ブランクシート1xにおける第2側板12の表面を示している。
【0063】
図5Aに示されるように、角部追加折目線dは、胴部折目線aの中間部に到達するように設けられるものであってもよく、さらにこの場合、2つの角部追加折目線dの閉塞部20側の端同士を繋ぐように補助折目線fを設けるようにしてもよい。
【0064】
また、図5Bに示されるように、角部追加折目線dは、胴部折目線aと略平行に設けられるものであってもよい。また、図5Cに示されるように、角部追加折目線dは、胴部折目線aと略平行な部分と平行でない部分とから構成されるものであってもよく、この場合さらに、2つの角部追加折目線dの曲折部同士を繋ぐように補助折目線fを設けるようにしてもよい。
【0065】
また、図6Aに示されるように、角部追加折目線dは、1つの第2側板12に1つだけ設けられるものであってもよい。また、図6Bに示されるように、角部追加折目線dは、途中で2つに分岐するように設けられるものであってもよい。また、図6Cに示されるように、1つの第2側板12に3つ以上の角部追加折目線dを設けるようにしてもよい。
【0066】
また、図示は省略するが、角部追加折目線dの長さ、位置および方向は特に限定されるものではなく、包装箱1の各部の寸法や素材の種類等に応じて適宜の長さ、位置および方向を採用することができる。また、角部追加折目線dは、図5Cに示されるような複数の直線の組み合わせからなるものであってもよいし、曲線からなるものであってもよいし、曲線と直線の組み合わせからなるものであってもよい。
【0067】
また、角部追加折目線dは、押けい線daおよび全切線dbから構成されるものに限定されず、例えば押けい線daのみから構成されるものであってもよいし、半切線のみから構成されるものであってもよいし、押けい線daおよび半切線から構成されるものであってもよい。
【0068】
同様に、第1桟部形成折目線c1、第2桟部形成折目線c2および第3桟部形成折目線c3は、例えば押けい線のみから構成されるものであってもよいし、半切線のみから構成されるものであってもよいし、押けい線および半切線から構成されるものであってもよい。胴部折目線a、第1フラップ折目線b1および第2フラップ折目線b2についても同様である。また、各折目線に全切線や半切線を設ける場合、その形状および向きは、特に限定されるものではなく、任意の形状および向きを採用することができる。
【0069】
図7A~Cは、第2側板12に中芯を潰した段潰し領域12dを設けた場合の例を示した概略図であり、ブランクシート1xにおける第2側板12の表面を示している。なお、図7A~Cでは、段潰し領域12dを斜線で示している。
【0070】
これらの例では、第2側板12に裏面側から段潰し加工を施し、切り欠き12a1から近傍の胴部折目線aの第2フラップ折目線b2側(閉塞部20側)に向けて漸次拡幅しながら延びる帯状の段潰し領域12dを設けている。このような段潰し領域12dを設けることで、切り欠き12a1から延びる2つの境界線12d1および12d2によって、第2桟部形成折目線c2および角部追加折目線dを構成することができる。すなわち、桟部30を形成する際に、第2側板12が段潰し領域12dの境界線12d1および12d2において山折りに折り曲げられるようにすることができる。
【0071】
この場合にも、段潰し領域12dの形状、位置および範囲は特に限定されるものではなく、包装箱1の各部の寸法や素材の種類等に応じて適宜の形状、位置および範囲を採用することができる。例えば、角部追加折目線dを構成する境界線12d2は、図7Aに示されるように、近傍の胴部折目線aに到達するものであってもよいし、図7Bに示されるように、第2フラップ折目線b2に到達するものであってもよいし、図示は省略するが、胴部折目線aと第2フラップ折目線b2の間の端縁に到達するものであってもよい。
【0072】
また、図7Cに示されるように、境界線12d2を胴部折目線a等に到達させず、境界線12d1と境界線12d2を繋ぐ境界線12d3を有する段潰し領域12dを設けるようにしてもよい。
【0073】
また、図示は省略するが、境界線12d1または12d2に重ねて半切線や全切線を設けるようにしてもよいし、図7Cに示される例の境界線12d2の延長線上に押けい線、半切線または全切線を設けることで、角部追加折目線dを境界線12d2から延長するようにしてもよい。
【0074】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の包装箱は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、包装箱の各部の寸法および寸法比は、特に限定されるものではない。また、包装箱の素材は、特に限定されるものではなく、両面段ボール以外の各種段ボール、厚紙、各種樹脂段ボールまたは樹脂板等であってもよい。
【0075】
また、上述の実施形態において示した作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したものに過ぎず、本発明による作用および効果は、これらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0076】
1 包装箱
10 胴部
10a 開放端
20 閉塞部
11 第1側板
12 第2側板
12a 開口側端縁
a 胴部折目線
c1 第1桟部形成折目線
c2 第2桟部形成折目線
c2b 全切線
d 角部追加折目線

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7