(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057545
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】安全装置用取り付け具、安全装置、および、飛行体
(51)【国際特許分類】
B64D 17/38 20060101AFI20240417BHJP
B64D 17/80 20060101ALI20240417BHJP
B64D 27/00 20060101ALI20240417BHJP
B64D 17/72 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
B64D17/38
B64D17/80
B64D27/00
B64D17/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164373
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127203
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】沖田 陽祐
(57)【要約】
【課題】飛行体への安全装置の取り付け位置の自由度を向上させつつ、安全装置の作動時の衝撃を緩衝可能な安全装置用取り付け具、安全装置、飛行体を提供する。
【解決手段】安全装置用取り付け具40は、第1部材41、第2部材42、第3部材43、を備える。第1部材41は、安全装置100に固定可能な第1天板部41aと、第1天板部41aの端部から立設された一対の第1側板部41b、41bと、を有する。第2部材42は、第1天板部41aに対向する位置に配設される第2天板部42aと、第2天板部42aから安全装置100と反対側に立設され、一対の第2側板部42b、42bの間において一対の第1側板部41b、41bと対向した状態で一対の第1側板部41b、41bにそれぞれ固定される一対の第2側板部42b、42bと、一対の第2側板部42b、42bの端部から延設され、飛行体に固定可能な一対の固定部42c、42cと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出物を射出する安全装置を飛行体に取り付ける際に用いられる安全装置用取り付け具であって、
前記安全装置と固定可能な第1天板部と、前記第1天板部から前記安全装置と固定される側と反対側に向けて立設された一対の第1側板部と、を有した第1部材と、
前記第1天板部に対向する位置に配設される第2天板部と、前記第2天板部から前記安全装置側と反対側に立設され、前記一対の第1側板部の間において前記一対の第1側板部と対向した状態で前記一対の第1側板部にそれぞれ固定される一対の第2側板部と、前記一対の第2側板部の端部から延設され、前記飛行体に固定可能な固定部と、を有した第2部材と、
を備えていることを特徴とする安全装置用取り付け具。
【請求項2】
板状部材と、前記板状部材の端部から延設され、各種装置を搭載可能な装置搭載部と、を有した第3部材をさらに備え、
前記第1天板部と前記第2天板部との間には、少なくとも前記板状部材を挿入可能な空間が形成されており、
前記空間に前記板状部材を挿入した状態で、前記板状部材が、前記第1部材および前記第2部材の少なくともいずれか一方に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の安全装置用取り付け具。
【請求項3】
収容器と、
前記収容器に収容されている射出物と、
前記射出物を射出する動力源を有したアクチュエータと、
前記収容器に取り付けられる請求項1に記載の安全装置用取り付け具と、
を備えていることを特徴とする安全装置。
【請求項4】
機体と、
請求項1に記載の安全装置用取り付け具によって前記機体に取り付けられた安全装置と、
前記機体に結合され、前記機体を推進させる推進機構と、
を備えていることを特徴とする飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パラシュート又はパラグライダー等の射出物を射出する安全装置を飛行体に取り付ける際に用いられる安全装置用取り付け具、当該安全装置用取り付け具を備えた安全装置、および、飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自律制御技術および飛行制御技術の発展に伴って、例えばドローンと呼ばれる複数の回転翼を備えた飛行体の産業上における利用が加速しつつある。ドローンは、例えば複数の回転翼を同時にバランスよく回転させることによって飛行し、上昇および下降は回転翼の回転数の増減によって行い、前進および後進は回転翼の回転数の増減を介して機体を傾けることによって成し得る。このような飛行体は今後世界的に拡大することが見込まれている。
【0003】
一方で、上記のような飛行体の落下事故のリスクが危険視されており、飛行体の普及の妨げとなっている。こうした落下事故のリスクを低減するために、安全装置として飛行体用パラシュート装置が製品化されつつある。
【0004】
なお、たとえば、下記特許文献1においては、安全装置の底部が飛行体の機体の上部に直接接触した状態で連結部材によって固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国実用新案公告第207644648号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のような安全装置においては、飛行体の機体に取り付ける場合において、飛行体への取り付け位置は中央付近に限られてしまう。また、作動時の安全装置におけるパラシュート等の展開時および射出時の衝撃が、飛行体の機体への取り付け部分(たとえば、上記特許文献1の安全装置の下部)に直接かかりやすいため、当該取り付け部分の強度を上記衝撃に耐えうるものとする必要がある。一般的に、当該強度を向上するには、取り付け部分の厚みまたは幅を大きくするなどの対応を行うことになるので、全体として当該安全装置は大きくなってしまいやすい。
【0007】
そこで、本発明は、飛行体への安全装置の取り付け位置の自由度を従来よりも向上させるだけでなく、安全装置の取り付け部分を従来よりも大きくすることなく安全装置の作動時の衝撃を緩衝可能な安全装置用取り付け具、当該安全装置用取り付け具を備えた安全装置、および、飛行体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明は、射出物を射出する安全装置を飛行体に取り付ける際に用いられる安全装置用取り付け具であって、前記安全装置と固定可能な第1天板部と、前記第1天板部から前記安全装置と固定される側と反対側に向けて立設された一対の第1側板部と、を有した第1部材と、前記第1天板部に対向する位置に配設される第2天板部と、前記第2天板部から前記安全装置側と反対側に立設され、前記一対の第1側板部の間において前記一対の第1側板部と対向した状態で前記一対の第1側板部にそれぞれ固定される一対の第2側板部と、前記一対の第2側板部の端部から延設され、前記飛行体に固定可能な固定部と、を有した第2部材と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
(2) 上記(1)の安全装置用取り付け具においては、板状部材と、前記板状部材の端部から延設され、各種装置を搭載可能な装置搭載部と、を有した第3部材をさらに備え、前記第1天板部と前記第2天板部との間には、少なくとも前記板状部材を挿入可能な空間が形成されており、前記空間に前記板状部材を挿入した状態で、前記板状部材が、前記第1部材および前記第2部材の少なくともいずれか一方に固定されているものであってもよい。
【0010】
(3) 本発明の安全装置は、収容器と、前記収容器に収容されている射出物と、前記射出物を射出する動力源を有したアクチュエータと、前記収容器に取り付けられる上記(1)に記載の安全装置用取り付け具と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
(4)本発明の飛行体は、機体と、上記(1)に記載の安全装置用取り付け具によって前記機体に取り付けられた安全装置と、前記機体に結合され、前記機体を推進させる推進機構と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の安全装置用取り付け具によれば、飛行体への安全装置の取り付け位置の自由度を向上させることができる。また、本発明の安全装置用取り付け具によれば、上述の安全装置の飛行体側の取り付け部分を大きくすることなく、安全装置の作動時の衝撃を緩衝できる。また、本発明の安全装置および飛行体は、上述の安全装置用取り付け具による作用効果を享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る安全装置用取り付け具を安全装置に取り付けた状態を示す図であって、(a)が上側からの斜視図、(b)が下側からの斜視図である。
【
図3】
図1(a)に示した各部を分解して示した斜視図である。
【
図4】
図1(b)に示した各部を分解して示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る安全装置用取り付け具について、
図1~
図4を参照しながら説明する。
【0015】
図1(a)、(b)に示すように、安全装置100には、安全装置用取り付け具40が取り付けられている。なお、図示しないが、
図1(a)、(b)の状態で、安全装置100は安全装置用取り付け具40を介して、機体および推進機構(プロペラなど)を有した飛行体(図示せず)へ取り付けられる。
【0016】
図2に示すように、安全装置100は、アクチュエータ1と、アクチュエータ1の作動により一方向(
図1では上方向)に射出される射出物16と、アクチュエータ1および射出物16を収容する有底円筒状の収容蓋18(有底筒状部材)と、収容蓋18の開口端部を閉塞する略円盤状の底部21と、を備えている。なお、収容蓋18と底部21とで収容器を構成している。また、本実施形態において、射出物16はパラシュート又はパラグライダーである。
【0017】
アクチュエータ1は、摺動部材であるピストン部材10と、当該ピストン部材10を収容し、作動時に当該ピストン部材10が外方(
図1では上方向)に突出するための穴部13が設けられたシリンダ14と、シリンダ14の一端部がかしめ固定され、底部21の中央の穴部25を介して取り付けられる基台2(スクイブホルダ)と、ピストン部材10をシリンダ14内で移動させる動力源としてのガス発生器(マイクロガスジェネレータ等)17と、を備えている。
【0018】
基台2は、ピストン部材10を摺動させる動力を発生するガス発生器17をシリンダ14側において保持する略筒状部材2Aと、略筒状部材2Aのシリンダ14側と反対側に設けられたフランジ部2Bと、を備えている。
【0019】
フランジ部2Bは、底部21に取り付けるために用いられる複数の穴部2aと、ガス発生器17の下部の電極17bに通電用のコネクタ(図示せず)を嵌挿するために用いられる挿入口2bと、を備え、略U字状の略馬蹄形状(図示せず)に加工されたものである。穴部2aの内壁には、雌ねじが切られており、ボルト28が螺合するようになっている。
【0020】
ピストン部材10は、シリンダ14の内径とほぼ同じ外径の部分を備える本体部10aと、この本体部10aに接続され、上方に延びかつ本体部10aよりも小径の棒状部10bと、本体部10aおよび棒状部10bの内部に設けられた穴部10cと、棒状部10bの上端部に設けられた先端部10dと、本体部10aの周方向に設けられた溝部10eと、を有している。本体部10aの径は、穴部13の径よりも小さくなっている。すなわち、穴部13は、作動時のピストン部材10に対するストッパー機能を備えている。
【0021】
穴部10cは、本体部10aの下端部から棒状部10bの途中まで、中心軸に沿って形成されている。これにより、穴部10cが形成されていない場合に比べて、ピストン部材10は軽量化されている。
【0022】
先端部10dは、
図1に示したように、初期状態において、後述する収容蓋18の天板部18aの内部側に接するように構成されている。
【0023】
溝部10eには、周方向にO-リングなどのシール部材11が設けられている。
【0024】
底部21は、
図2に示したように、縁部から中心側の部分において当該縁部に沿って底面内側に立設された立設部21aと、底部21の底面内側に設けられ、底部21を補強する補強部材21bと、底部21の底面内側と底面外側とを連通する貫通孔21cと、を備えている。
【0025】
立設部21aの外側に、後述する収容蓋18の側部18bの開口端部の内側が接触した状態で、収容蓋18は底部21に係止可能となっている。なお、当該係止には、たとえば、スナップフィット方式の係止機構を用いることができる。この係止機構の例としては、(a)図示しないが、収容蓋18の開口端部の内壁部に設けられた凹部と、収容蓋18の内側に底部から立設した立設部21aの外壁側に設けられた凸部と、が係止してなるもの、(b)図示しないが、収容蓋18の開口端部の内壁側に設けられた凸部と、収容蓋18の内側に底部から立設した立設部21aの外壁側に設けられた凹部と、が係止してなるもの、などが挙げられる。なお、ここでの凸部は連続した環状の突起であってもよいし、独立した棒状の突起であってもよい。また、ここでの凹部は、凸部が環状の突起の場合、環状の溝部であり、凸部が独立した棒状の突起である場合は、環状の溝部でも、独立した窪みまたは穴であってもよい。
【0026】
補強部材21bは、たとえば、底部21の中心側から縁部側にかけて放射状に延設された複数の部材であり、底部21の底面を補強しつつ、射出物16を支持するものである。
【0027】
収容蓋18は、
図1、
図2に示したように、略円盤状の天板部18aと、円筒状の側部18bと、を備えている略有底筒状の部材である。
【0028】
ガス発生器17は、シリンダ14の下方の開口端に圧入された状態で、ピストン部材10の後述の本体部10aの下方に配置されている。
【0029】
ガス発生器17は、点火器のみ用いても良いし、点火器およびガス発生剤を備えたガス発生器を用いても良い。また、火薬式の点火器により小型のガスボンベにおける封板を開裂させ、内部のガスを外部へと排出するハイブリッド型、ストアード型のガス発生器を用いてもよい。この場合、ガスボンベ内の加圧ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、窒素、二酸化炭素などの不燃性のガスあるいはこれらの混合物を用いることができる。また、加圧ガスが放出される際に確実にピストンを推進させるために、ガス発生剤組成物またはテルミット組成物等からなる発熱体をガス発生器に具備させてもよい。
【0030】
射出物16は、収容蓋18の内面と底部21の内面との間において、たとえばシリンダ14の外側面を取り巻くように折り畳まれて収容されている。なお、射出物16の一部には、第1の連結部材である連結部材(図示せず)の一端が接続されており、当該連結部材の他端は収容蓋18内部(たとえば、天板部18aのうちピストン部材10が突き当たる(接触する)位置以外の箇所に設けられたフックまたは穴部(図示せず)に括り付けられる)に接続されている。また、射出物16の他の一部には、第2の連結部材(図示せず)の一端が接続されており、当該第2の連結部材の他端はピストン部材10の先端部10dに接続されている。ここで、第2の連結部材の一端は、底部21またはペイロードに連結されていてもよいし、第2の連結部材は複数本の連結部材であってもよい。ここで、ペイロードとは、たとえば、「飛行体」、「荷物」、「空中または海中などの環境を測定する測定装置」、などのことである。
【0031】
以上のような構成において、安全装置100が搭載されるたとえば飛行体などが落下する際にガス発生器17が作動すると、
図1の初期状態から、当該作動により発生するガスの圧力によってピストン部材10はシリンダ14内を上方に推進する。これによって、収容蓋18の開口端部における底部21による係止が解除されて、収容蓋18の開口端部が開放されると共に、底部21から収容蓋18が外れ、収容蓋18は連結部材の一端を引っ張り上げつつ上方に射出される。続いて、当該連結部材にテンションがかかった状態になると、射出物16が引っ張り上げられるようにして収容蓋18側に射出される。そして、射出物16が展開した後、連結部材、ピストン部材10、シリンダ14、を介して、射出物16によって底部21を吊り下げた状態にする。
【0032】
なお、安全装置100は、飛行体の機体に、安全装置用取り付け具40を介して、取り付けられる。以下、安全装置用取り付け具40について具体的に説明する。
【0033】
図1、
図3、
図4に示したように、安全装置用取り付け具40は、第1部材41と、第2部材42と、第3部材43と、を備えている。
【0034】
第1部材41は、安全装置100に固定可能な第1天板部41aと、第1天板部41aの端部から安全装置100と固定される側と反対側に向けて立設された一対の第1側板部41b、41bと、を有している。
【0035】
第1天板部41aは、締結用のボルト(図示せず)の軸部が貫通可能な複数(本実施形態では4つ)の穴部41a1と、安全装置100の基台2のフランジ部2Bを挿入可能な穴部41a2と、を有している。なお、ボルトの軸部を、穴部41a1を介して安全装置100の底部21に設けられた穴部21d(
図4参照)に螺合することにより、第1天板部41aを安全装置100の底部21に固定できるようになっている。
【0036】
第1側板部41bのそれぞれには、後述する第2部材42の一対の第2側板部42b、42bのそれぞれに形成した複数(本実施形態では2つずつ)の穴部42b1の位置に対向するように形成された穴部41b1が、複数(本実施形態では2つずつ)設けられている。なお、第1側板部41bの第1天板部41aに対する傾斜角度は、飛行体(機体)の形状などに合わせて適宜変更してもよい。
【0037】
第2部材42は、第2部材42を第1部材41に取り付けた際、第1天板部41aに対向する位置に配設される第2天板部42aと、第2天板部42aから安全装置100と反対側に立設され、一対の第2側板部42b、42bの間において一対の第1側板部41b、41bと対向した状態で一対の第1側板部41b、41bにそれぞれ固定される一対の第2側板部42b、42bと、一対の第2側板部42b、42bの先端部から延設され、飛行体(機体)に固定可能な一対の固定部42c、42cと、を有している。
【0038】
第2天板部42aには、第1天板部41aの穴部41a1に対応する位置に、穴部42a1が複数(本実施形態では4つ)設けられている。これにより、第1天板部41aを安全装置100の底部21に固定した後のボルト(図示せず)のヘッド部が、第2部材42を第1部材41に取り付ける際の邪魔にならないようにすることができる。なお、穴部42a1の径は、当該ボルト(図示せず)のヘッド部の径よりも大きく形成されている。また、第2天板部42aは、安全装置100の基台2のフランジ部2Bを挿入可能な穴部42a2を有している。穴部42a2は、穴部42a1とともに、第1部材41に対する第2部材42の位置合わせに用いることができる。
【0039】
一対の第2側板部42b、42bのそれぞれには、第1部材41の一対の第1側板部41b、41bのそれぞれに形成した複数(本実施形態では2つずつ)の穴部41b1の位置に対向するように形成された、穴部42b1が複数(本実施形態では2つずつ)設けられている。なお、第1部材41の一対の第1側板部41b、41bと、第2部材42の一対の第2側板部42b、42bとは、位置対応する穴部41b1、穴部42b1のそれぞれを介して、ボルト45とナット46とによって固定可能となっている。これにより、側部から工具を用いてボルト45とナット46とを締結するので、取り付け作業がしやすい。なお、第2側板部42bの第2天板部42aに対する傾斜角度は、第1側板部41bと同様、飛行体(機体)の形状などに合わせて適宜変更してもよい。
【0040】
一対の固定部42c、42cのそれぞれには、飛行体(機体)へ固定するためのボルト44が複数(本実施形態では2つずつ)設けられている。
【0041】
第3部材43は、板状部材43aと、板状部材43aの一端部から延設され、各種装置を搭載可能な装置搭載部43bと、を有している。
【0042】
板状部材43aは、複数(本実施形態では2つ)の穴部43a1と、安全装置100の基台2のフランジ部2Bを挿入可能な穴部43a2と、を有している。
【0043】
穴部43a1は、穴部42a1と同様、第1天板部41aを安全装置100の底部21に固定した後のボルト(図示せず)のヘッド部が、第3部材43を第1部材41と第2部材42との間に挟む際の邪魔にならないようにすることができる。
【0044】
穴部43a2は、穴部43a1とともに、第1部材41に対する第3部材43の位置合わせに用いることができるようになっている。また、第1部材41の一対の第1側板部41b、41bと、第2部材42の一対の第2側板部42b、42bと、について、位置対応する穴部41b1、穴部42b1のそれぞれを介して、ボルト45とナット46とによって固定する際、予め、板状部材43aを第1天板部41aと第2天板部42aとの間に挟み込んでおくことで、板状部材43aを第1部材41と第2部材42とに挟まれた状態で、第1部材41と第2部材42とに締め付け固定されるようになっている。すなわち、第1部材41と第2部材42とは、第1天板部41aと第2天板部42aとの間において、板状部材43aを挟み込むことが可能な空間を予め形成できるように構成されている。
【0045】
装置搭載部43bは、板状部材であって、安全装置100と反対側の面に各種装置および付属品等を取り付けることができるようになっている。ここで、各種装置および付属品等とは、たとえば、安全装置100に含まれるガス発生器17などを作動させるトリガー装置(制御装置、異常検出装置、環境測定装置、電源など)などの他、安全装置100に関わる種々の装置および付属品等のことである。
【0046】
次に、安全装置用取り付け具40(第1部材41、第2部材42、第3部材43)の安全装置100および飛行体(機体)への取り付け工程の一例について説明する。
【0047】
まず、図示しないボルトの軸部を、穴部41a1を介して安全装置100の底部21に設けられた穴部21d(
図4参照)に螺合することにより、第1天板部41aを安全装置100の底部21に固定する(第1工程)。次に、ボルト44を用いて第3部材43を飛行体(機体)に設けた穴部(図示せず)へ取り付け固定する(第2工程)。続いて、第3部材43の板状部材43aを第1天板部41aと第2天板部42aとの間に挟み込みつつ、位置対応する穴部41b1、穴部42b1のそれぞれを介して、ボルト45とナット46とによって、第1部材41の一対の第1側板部41b、41bと、第2部材42の一対の第2側板部42b、42bと、を固定する(第3工程)。このとき、板状部材43aは、第1部材41と第2部材42とに挟まれた状態で、第1部材41と第2部材42とに締め付け固定される。なお、第1工程と第2工程とは、順番が前後してもよい。
【0048】
上記構成の安全装置用取り付け具40によれば、従来よりも、飛行体への安全装置100の取り付け位置の自由度を向上させることができる。また、第1部材41と第2部材42とは、側面から固定が可能なので、取り付けやすい。また、上記構成の安全装置用取り付け具40によれば、飛行体の機体を分解することなく、安全装置100を取り付けることができる場合もある。例えば、安全装置100を上面から取り付ける飛行体(機体)の場合、安全装置用取り付け具40によって安全装置と飛行体(機体)との間にスペースが形成され干渉しないため、安全装置100を飛行体(機体)の上面に取り付けやすい。
【0049】
また、上記構成によれば、安全装置100の底部21を安全装置用取り付け具40で支持しているので、従来よりも、安全装置100の作動時の衝撃(パラシュート等の射出物16の展開時のオープニングショック、ガス発生器17によるピストン部材10の作動時の射出衝撃など)を分散して緩衝することができる。すなわち、安全装置100の飛行体側の取り付け部分を従来よりも大きくすることなく、安全装置100の作動時の衝撃を緩衝できる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。たとえば、本発明には、以下の変形例が含まれる。
【0051】
上記実施形態では、ボルト45とナット46とによって、第1部材41の一対の第1側板部41b、41bと、第2部材42の一対の第2側板部42b、42bとを締結固定するものであるが、固定方法は、これに限られない。たとえば、クリップ、ブラッシュピン、ベルト、スライド式固定、接着固定など、従来から存在する固定方法を適宜用いて、第1部材41の一対の第1側板部41b、41bと、第2部材42の一対の第2側板部42b、42bと、を固定するものであってもよい。同様に、第2部材42(特に固定部42c)の飛行体(機体)への取り付けにおいても、ボルト44を用いたものに限られず、従来から存在する固定方法を適宜用いることができる。
【0052】
また、上記実施形態では、装置搭載部43bを、板状部材43aの一端部から立設して形成しているが、これに限られない。たとえば、板状部材43aの端部から延設されており、飛行体に合わせた構成となっていれば、板状部材43aに対してどのような角度で設けてもよいし、どのような形状としてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、第1天板部41aと第2天板部42aとの間に、第3部材43の板状部材43aを挟み込むことで、第3部材43を第1部材41と第2部材42とに挟まれた状態で固定するものであったが、これに限られない。たとえば、第1部材41および第2部材42のうち少なくともいずれか一方に、ボルトなどの締結具を始めとする従来から存在する様々な固定方法で固定することとしてもよい。
【0054】
また、上述した各種装置を安全装置用取り付け具40に搭載する必要がなければ、第3部材43を設けなくてもよい。すなわち、第1部材41および第2部材42だけでも、安全装置用取り付け具として機能する。このとき、第1天板部41aと第2天板部42aとの間において、板状部材43aを挟み込むことが可能な空間は必要がないので、第1天板部41aと第2天板部42aとは接触していてもよい。
【0055】
また、第1部材41の形状は、安全装置100の底部21の表面形状に合わせて、適宜変更してもよい。また、第2部材42の形状は、飛行体(機体)の取り付け部分の表面形状に合わせて、適宜変更してもよい。
【0056】
また、天板部18aのうち、棒状部10bの上端部に設けられた先端部10dが接触する部分の厚みを、他の部位よりも厚くするなどして、部品の強度(衝撃強さ)を必要程度に強化してもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、基台2の一部が収容蓋18の外側に位置するように構成されたものであったが、基台2全体が収容蓋18の内側に位置するように構成されていてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では動力源としてガス発生器を採用したが、摺動部材がシリンダ内を推進するための駆動力を当該摺動部材に付与することが可能なものであればその構成は限定されるものではなく、たとえば、バネ等の弾性体、又は、ガスボンベによる圧力を用いたものなどを採用してもよい。
【0059】
また、上記実施形態の収容蓋18の形状は、射出物を射出できるものであれば、円筒状、四角筒状など、どのような形状としてもよい。
【0060】
また、上記実施形態においては、引出式(引張式とも呼ばれる)の射出装置を有している安全装置について説明したが、この引出式の射出装置としては、たとえば、ロケットを飛ばしてパラシュートを引き出す方式、アクチュエータで錘を飛ばしてからパラシュートを引き出す方式、アクチュエータで発射体を飛ばしてからパラシュートを引き出す方式、最初にパイロットシュートを射出し、当該パイロットシュートでパラシュートを引き出す方式、を用いることも可能である。また、これらの引出式の射出装置を有した安全装置の代わりに、内部から収容器の収容蓋を押し上げて収容器から取り外すとともに、収容器内のパラシュートを射出する押し出し式の射出装置を有した安全装置にも、本発明に係る安全装置用取り付け具を適用できる。また、本発明に係る安全装置用取り付け具は、その他の射出装置を有した安全装置にも適用可能である。
【0061】
また、上記実施形態において、射出物としてパラシュート又はパラグライダーを採用する場合、当該パラシュート又はパラグライダーがパッキングされていてもよい。なお、当該パッキングは作動時に破れるまたは剥がれるように構成されている。
【0062】
さらに、上記実施形態では、射出物として、パラシュート又はパラグライダーを挙げたが、これに限らず、揚力発生部材を含むものを射出物として射出してもよい。揚力発生部材としては、たとえば、パラフォイル、ロガロ型パラシュート、シングルサーフェース型パラシュート、飛行機の翼、プロペラ、バルーン等が挙げられる。また、揚力発生部材がコントロールラインを有する場合、安全装置は、コントロールラインを利用して、射出した揚力発生部材の傾斜角度の変更などを行うことができる操舵機構を備えておくことが望ましい。この操舵機構は、たとえば、揚力発生部材に連結された複数のコントロールラインをそれぞれ巻き取る複数のリールと、これらのリールの動力となるモータと、を備えたものであり、モータの駆動により、コントロールラインを巻き取ったり、出したりすることで、適宜、揚力発生部材を引っ張ったり、引っ張りを緩めたりすることができる。
【0063】
また、パラシュート又はパラグライダーの代わりに、ネット(網)を射出することが可能な安全装置を備えた飛行体としてもよい。これにより、タイミングを合わせて、フックまたは突起物などに向けてネットを射出すれば、当該フックまたは突起物に飛行体を引っ掛けることができる。その結果として、飛行体が地面へ落下衝突することを防止できる。また、パラシュート又はパラグライダーの代わりに、医薬品、荷物、などを射出することができるものであってもよい。
【0064】
また、アクチュエータによって、収縮させたまたは折り畳んだ浮き輪(フロート)を駆動機構(ガス発生器などを含む膨張装置など)とともに射出し、駆動機構によって当該浮き輪を膨張展開させることが可能な安全装置を備えた飛行体としてもよい。これにより、飛行体が水没することを防止できるととともに、飛行体が墜落した際の回収場所の目印とすることができる。
【0065】
また、アクチュエータによって、収縮させたまたは折り畳んだ浮き輪(フロート)およびパラシュートを駆動機構(ガス発生器などを含む膨張装置など)とともに射出し、駆動機構によって当該浮き輪およびパラシュートを展開させることが可能な安全装置を備えた飛行体であってもよい。これにより、飛行体の墜落時の落下速度を低減させるととともに、飛行体が水没することを防止でき、さらに飛行体が墜落した際の回収場所の目印とすることができる。
【0066】
また、アクチュエータによってパラシュートを駆動機構(駆動部を備えた切断装置など)とともに射出し、当該パラシュートが展開した後に、駆動機構によって当該パラシュートと飛行体とを連結している複数の連結部材のうち一部を切断し、飛行体の機体の重心をずらして横向きにして落下させ、その後、飛行体の落下側の側面に設けられているエアバッグ装置を用いて地面などへの衝突の衝撃を緩和することが可能な安全装置を備えた飛行体としてもよい。
【0067】
また、アクチュエータによって、いわゆるパラモーターを駆動機構(電源などの駆動部を含む)とともに射出し、パラシュートまたはパラグライダーが完全に展開した後に、駆動機構によってモータを駆動させてプロペラを回転させることが可能な安全装置を備えた飛行体としてもよい。これにより、パラシュートまたはパラグライダーがプロペラに絡まることがない。なお、パラモーターとは、パラシュートまたはパラグライダーのハーネス部分に動力(モーターによるプロペラ回転機など)を設けて、推力を得て飛行可能なものである。
【0068】
また、アクチュエータによって音声発生装置を駆動機構(電源などの駆動部を含む)とともに射出し、駆動機構によって飛行体の墜落時に当該音声発生装置を作動させ、周囲に危険を報知することが可能な安全装置を備えた飛行体としてもよい。
【0069】
また、アクチュエータによって照明装置(フラッシュライトなど)を駆動機構(電源などの駆動部を含む)とともに射出し、駆動機構によって飛行体の墜落時に当該照明装置を作動させ、周囲に危険を報知することが可能な安全装置を備えた飛行体としてもよい。
【0070】
また、アクチュエータによって消火器を駆動機構(電源などの駆動部を含む)とともに射出し、駆動機構によって飛行体の墜落時に当該消火器を作動させて、飛行体の機体および周囲に消火剤を噴霧可能な安全装置を備えた飛行体としてもよい。
【0071】
また、アクチュエータによって、予め射出可能に搭載しておいたパラシュート付き搭載物(たとえば高価な装置類)を駆動機構とともに射出し、駆動機構によって当該パラシュート付き搭載物のパラシュートを展開させる安全装置を備えた飛行体としてもよい。これにより、当該パラシュート付き搭載物を重点的に保護することができる。
【0072】
また、アクチュエータによって、予め射出可能に搭載しておいたエアバッグ装置付き搭載物(たとえば高価な装置類)を駆動機構(ガス発生器などを含む膨張装置など)とともに射出し、駆動機構によって当該エアバッグ装置付き搭載物のエアバッグを膨張展開させる安全装置を備えた飛行体としてもよい。これにより、当該エアバッグ装置付き搭載物を重点的に保護することができる。
【0073】
また、アクチュエータによって救難信号送信装置を駆動機構(電源などの駆動部を含む)とともに射出し、駆動機構によって飛行体の墜落時に当該救難信号送信装置を作動させて、救難信号を外部に送信することが可能な安全装置を備えた飛行体としてもよい。これにより、飛行体が墜落した場合、墜落地点を特定することができる。
【0074】
また、アクチュエータによってパラシュート付きブラックボックス(フライトレコーダーなど)を駆動機構(ガス発生器などを含む膨張装置など)とともに射出し、駆動機構によって飛行体の墜落時に当該パラシュート付きブラックボックスのパラシュートを展開させる安全装置を備えた飛行体としてもよい。これにより、当該パラシュート付きブラックボックスを重点的に保護することができる。その結果として、飛行データを保護することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 アクチュエータ
2 基台
2A 筒状部材
2B フランジ部
2a、10c、13、21d、25、41a1、41a2、41b1、42a1、42a2、42b1、43a1、43a2 穴部
2b 挿入口
10 ピストン部材
10a 本体部
10b 棒状部
10d 先端部
10e 溝部
11 シール部材
14 シリンダ
16 射出物
17 ガス発生器
17b 電極
18 収容蓋
18a 天板部
18b 側部
18b2破断可能部
21 底部
21a 立設部
21b 補強部材
21c 貫通孔
28、44、45 ボルト
40 安全装置用取り付け具
41 第1部材
41a 第1天板部
41b 第1側板部
42 第2部材
42a 第2天板部
42b 第2側板部
42c 固定部
43 第3部材
43a 板状部材
43b 装置搭載部
46 ナット
100 安全装置