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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057546
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】証憑管理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20240417BHJP
【FI】
G06Q40/00 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022164374
(22)【出願日】2022-10-12
(71)【出願人】
【識別番号】394004402
【氏名又は名称】株式会社フォーバル
(74)【代理人】
【識別番号】100189197
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 幸子
(72)【発明者】
【氏名】小野 弘明
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB63
5L055BB63
(57)【要約】
【課題】証憑の電子データが大量であっても対応可能な証憑管理装置を提供する。
【解決手段】証憑管理装置1は、サーバ2内のプログラムにより作動し、インターネット等のネットワーク3を介して、ユーザ端末4、クライアント端末5、銀行データベース6、クレジットデータベース7、確認機関8に接続される。証憑選択画面20は、受信部11によって受信された未確定の証憑データ10が表示される読み込みエリア22と、証憑データ10の拡大画像が表示される作業エリア23と、証憑データ10から抽出された情報を表示させる抽出情報エリア24と、証憑9の分類である証憑分類を表示させる証憑分類エリア25を備えている。ユーザは、この証憑選択画面20により、証憑分類が推定された未確定の証憑データ10をまとめて閲覧できるので、証憑の処理が容易となる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
証憑に関するデータである証憑データを管理する証憑管理装置であって、
複数の前記証憑データを受信可能な受信部と、
複数の前記証憑データを表示させる表示部と、
前記表示部によって表示された前記証憑データに対して、前記証憑の分類である証憑分類を付与する分類付与部を備えていることを特徴とする証憑管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の証憑管理装置であって、
前記証憑データに記載された記載事項から前記証憑分類を推定して前記証憑データに対する推定分類を付与する推定部を備え、
前記表示部は、前記推定分類が付与された前記証憑データを表示させ、
前記分類付与部は、前記推定分類が付与された前記証憑データに対して前記証憑分類を付与することを特徴とする証憑管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の証憑管理装置であって、
前記推定分類が付与された複数の前記証憑データについて、前記証憑分類での検索が可能な検索部を備えていることを特徴とする証憑管理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の証憑管理装置であって、
前記表示部が、前記推定分類と、複数の分類候補を表示することを特徴とする証憑管理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の証憑管理装置であって、
前記表示部は、同一の仕訳対象について前記証憑データが複数あるときは、前記表示の際に前記仕訳対象について一つの証憑のみ表示することを特徴とする証憑管理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の証憑管理装置であって、
前記表示部は、同一の仕訳対象について前記証憑データが複数あるときは、前記表示の際に前記仕訳対象について、複数の前記証憑データを表示すること特徴とする証憑管理装置。
【請求項7】
請求項2に記載の証憑管理装置であって、
前記推定部は、前記証憑データに記載された記載事項に、適格請求書発行事業者の登録番号があるときは、前記登録番号を含む事業者情報について、確認機関から入手した登録事業者情報と比較し、比較結果を前記表示部により表示することを特徴とする証憑管理装置。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の証憑管理装置として作動させるための証憑管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、証憑の電子データの取扱を容易とする管理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、仕訳入力された大量の会計データを処理するため、様々な会計ソフトウェアプログラム(以下、会計ソフトと略記する)が利用されている。近年では、インターネットを介したクラウド環境で動作可能な会計ソフトにより、社内に会計サーバを設置しなくても会計データを管理することが可能となってきた。このような会計ソフトで用いられる会計仕訳の技術により、領収書等をスキャナで読込みOCR(Optical Character Recognition)の機能でデータ化し、電話番号から勘定科目を推論したり、日付、金額等の入力作業を軽減したりすることが可能となった。
【0003】
特許文献1には、ユーザが携帯端末で写真撮影したレシートや領収書等の証憑に関する証憑データを仕訳の対象として、仕訳解析センターに送信するだけで、証憑の仕訳結果を即時にWeb画面上で確認することを可能とした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-235484号公報
【特許文献2】特開2022-031395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術において、証憑をスキャナに読ませるだけでは、その情報がどのような重みがあり仕訳作成に機能するかが分からず会計仕訳を自動的に作成することができなかった。このように従来の会計システムでは、仕訳に必要な内容を判断することができず、ユーザに判断が委ねられていたため、人手を介して情報を分類する必要があった。
【0006】
本願発明者等は、特許文献2に記載された会計装置及びプログラムを提供しており、仕訳データの証憑利用区分に応じて適切に仕訳を確定した仕訳データを仕訳データ記憶部に格納することで、上記不都合を解消している。
【0007】
一方で、今後は、証憑の取扱に関する法律の改正によって、証憑を全て電子データとして保存する必要が生じており、証憑の電子データの数が現在よりも一層増加することが予想される。
【0008】
証憑の電子データが増加すると、人的ミスやOCRの解析ミスによって、証憑の日付の間違いや、証憑の種類の間違いが発生し、さらに証憑が大量にあると、その証憑がどこにあるか探すのが困難となる。
【0009】
また、クレジットカードによる決済の場合、領収書とクレジット売上票が発行されるため、1回の決済において複数の証憑が発生するため、このような証憑をどのように取り扱うかが問題となる。
【0010】
さらに、今後いわゆるインボイス制度が本格的に導入されるが、取引先が適格請求書発行事業者でなければ、税制上の優遇措置を受けることができなくなるため、税務担当者には新たな負担が生じることになる。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑み、証憑の電子データが大量にある場合でも、容易に正確な取扱をすることが可能な証憑管理装置及びプログラムを提供することを目的とする。また、本発明は、1つの決済に対して複数の証憑が発生した場合でも証憑を正しく管理することができる装置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、インボイス制度の導入によって生じる担当者の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の証憑管理装置は、証憑に関するデータである証憑データを管理する証憑管理装置であって、複数の前記証憑データを受信可能な受信部と、複数の前記証憑データを表示させる表示部と、前記表示部によって表示された前記証憑データに対して、前記証憑の分類である証憑分類を付与する分類付与部を備えていることを特徴とする。
【0013】
本発明の証憑管理装置によれば、受信部で受信した複数の証憑データを表示部に表示させ、前記分類付与部により証憑分類を付与することができるので、大量の証憑データがある場合でも、容易に処理することができる。
【0014】
また、本発明の証憑管理装置において、前記証憑データに記載された記載事項から前記証憑分類を推定して前記証憑データに対する推定分類を付与する推定部を備え、前記表示部は、前記推定分類が付与された前記証憑データを表示させ、前記分類付与部は、前記推定分類が付与された前記証憑データに対して前記証憑分類を付与するようにしてもよい。当該構成によれば、証憑データに対して証憑分類を付与する際に、推定部による推定分類が表示されるので、迅速に証憑分類を付与することができる。
【0015】
また、本発明の証憑管理装置において、前記推定分類が付与された複数の前記証憑データについて、前記証憑分類での検索が可能な検索部を備えるようにしてもよい。当該構成によれば、大量の証憑データがある場合でも検索部によって処理を行いたい証憑データを抽出することができるので、処理が容易となる。
【0016】
また、本発明の証憑管理装置において、前記表示部が、前記推定分類と、複数の分類候補を表示するようにしてもよい。当該構成によれば、推定分類に誤りがある場合には、分類候補から選択することができるので、証憑分類の付与を正確に行うことができる。
【0017】
また、本発明の証憑管理装置において、前記表示部は、同一の仕訳対象について前記証憑データが複数あるときは、前記表示の際に前記仕訳対象について一つの証憑のみ表示するようにしてもよい。当該構成によれば、1件の仕訳対象に複数の証憑データがある場合であっても、証憑データの表示の際に仕訳対象ごとにそれぞれ1件のみ表示されるので、仕訳を行う担当者が見やすくなり、表示に起因するミスを防止することができる。
【0018】
また、本発明の証憑管理装置において、前記表示部は、同一の仕訳対象について前記証憑データが複数あるときは、前記表示の際に前記仕訳対象について、複数の前記証憑データを表示してもよい。当該構成によれば、個別案件ごとに証憑データの詳細を知りたい場合にも対応することができる。
【0019】
また、本発明の証憑管理装置において、前記推定部は、前記証憑データに記載された記載事項に、適格請求書発行事業者の登録番号があるときは、前記登録番号を含む事業者情報について、確認機関から入手した登録事業者情報と比較し、比較結果を前記表示部により表示するようにしてもよい。
【0020】
適格請求書保存方式における適格請求書発行事業者か否かによって税額控除に関する取扱が異なることになるが、当該構成によれば、証憑に記載されている登録番号の適否を国税庁のインボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト等の確認機関から入手した登録事業者情報と比較することで、その登録番号の適否を確認することができる。これにより、いわゆるインボイス制度の導入によって増加する仕訳担当者の負担を軽減することができる。
【0021】
また、本発明は、コンピュータを上記各証憑管理装置として作動させる証票管理プログラムとしてもよい。当該プログラムは、各ユーザ端末にインストールされていてもよく、サーバに記憶されていてもよく、いわゆるクラウドコンピューティングシステムに実装されるものであってもよい。さらに、DVD等の記憶媒体に記憶されて取引されるものであってもよい。
【0022】
本発明の証憑管理装置及びプログラムによれば、証憑の電子データが大量にある場合でも、容易に正確な取扱をすることが可能となる。また、本発明によれば、1つの決済に対して複数の証憑が発生した場合でも証憑を正しく管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態の証憑管理装置の概要を示す説明図。
図2】本実施形態の証憑管理装置の作動を示すフローチャート。
図3】本実施形態の証憑管理装置における証憑選択画面の一例を示す説明図。
図4】本実施形態の証憑管理装置における検索画面の一例を示す説明図。
図5】本実施形態の証憑管理装置において1件の仕訳対象に複数の証憑がある場合の例を示す説明図。
図6】1件の仕訳対象に複数の証憑がある場合の表示例を示す説明図。
図7】本実施形態の証憑管理装置における証憑データの保管画面を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、図1図7を参照して、本発明の実施形態である証憑管理装置及びプログラムについて説明する。本実施形態の証憑管理装置1は、図1に示すように、サーバ管理会社等が運営するサーバ2内に記憶され、実行されるプログラムによって実現される装置である。サーバ2は、インターネット等のネットワーク3を介して、ユーザが使用するユーザ端末4、ユーザの顧客が使用するクライアント端末5、銀行が運営する銀行データベース6、信販会社が運営するクレジットデータベース7に接続されている。
【0025】
また、ネットワーク3には、いわゆるインボイス制度における適格者を確認する機関である確認機関8、例えば国税庁のインボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトが接続されている。
【0026】
サーバ2は、コンピュータシステムであり、CPU、GPU等のプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスク又はSSD(ソリッドステートドライブ)等の記憶装置、インターネット等のネットワークへの接続を行う通信部等を備えており、記憶装置内には本実施形態の証憑管理装置1を実行するためのコンピュータプログラム等が記憶されている。このコンピュータプログラムは、上記プロセッサによって実行され、以下に説明する各処理が行われる。
【0027】
本実施形態の証憑管理装置1は、形式については特に限定されず、システム用に用いられるプログラムとしては、ユーザ端末4をクライアントとするクライアントサーバ形式のプログラムであってもよく、サーバ2内のブログラムをユーザ端末4で実行するいわゆるSaaS(Software as a Service)形式のプログラムであってもよい。また、本実施形態の証憑管理装置1に用いられるプログラムは、DVD等の記憶媒体に記憶されてユーザ端末4にインストールされ、ユーザ端末4内で実行されるプログラムの形式であってもよい。
【0028】
ユーザ端末4は、ユーザが使用するパーソナルコンピュータであり、本体4a、ディスプレイ4b、キーボード4c、マウス4d、スキャナ4e等を備えている。スキャナ4eは、紙に印刷された証憑9を電子化して証憑データ10とすることができる。電子化された証憑データ10は、本体4aに内蔵されている記憶部(図示省略)に記憶される。ユーザ端末4は、ハードウエア的には特に制限はなく、ノートタイプのパーソナルコンピュータでもよく、いわゆるタブレット端末等の端末でもよい。
【0029】
クライアント端末5も、ユーザ端末4と同様に本体等(図示省略)とスキャナ5eを備えており、証憑9から証憑データ10を取得可能である。
【0030】
銀行データベース6には、銀行から提供されるデータである銀行データ6aが記憶されている。この銀行データ6aには、「取引日付」、「相手先」、「摘要」、「入金金額」、「出金金額」、及び「残高」等の情報が含まれている。
【0031】
クレジットデータベース7には、信販会社から提供されるデータであるクレジットデータ7aが記憶されている。このクレジットデータ7aには、「取引日付」、「商品の代金」、「商品の内容」、「支払金額」、「支払手数料額」、及び「支払可能残高」等の情報が含まれている。
【0032】
次に、本実施形態の証憑管理装置1の機能的構成について、図1を参照して説明する。証憑管理装置1は、証憑9が電子化された証憑データ10を受信可能な受信部11と、受信部11で受信された証憑データ10の証憑分類を推定して付与する推定部12と、証憑データ10と推定分類とを関連付けて記憶する記憶部13を備えている。
【0033】
また、証憑管理装置1は、証憑分類が確定していない未確定の証憑データ10と、推定分類と、複数の証憑分類を表示させる表示部14と、未確定の証憑データ10について、証憑分類での検索が可能な検索部15と、証憑データ10についての証憑分類を付与する分類付与部16を備えている。
【0034】
受信部11は、電子化された証憑データ10を受信する機能部である。証憑データ10は、ユーザの取引先から直接電子データとして送信されたものや、ユーザ端末4において紙に印刷された証憑9をスキャナ4eでデータ化したものが含まれる。
【0035】
推定部12は、証憑データ10を用いてその証憑9の証憑分類を推定する機能部である。推定部12は、証憑データ10内にテキストデータがあるときは、そのテキストデータを利用し、証憑データ10が画像データのときは、OCRを行って画像データをテキスト化する。証憑データ10が元々テキストデータを有しているときは、そのテキストデータは正確である。OCRを行ったときは、OCRの精度によって多少の変換ミス等が発生することがある。従って、推定部12によってなされた推定についても、ユーザが確認を行うか、或いはAI(人工知能)を利用する等の手段によって確認を行う必要がある。
【0036】
推定部12による推定は、証憑データ10に記載された記載内容と、記憶部13に記憶された証憑分類とを比較することにより行う。証憑分類は、例えば、領収書、請求書、クレジット御利用明細、住民税・源泉税の納付書等、予めデータテーブルとして記憶部13に記憶されている。推定部12は、両者の比較結果が所定のしきい値以上の場合に推定された結果を採用する。両者の比較結果が所定のしきい値未満の場合は、エラー表示等を行う。
【0037】
表示部14は、ユーザ端末4やクライアント端末5等に、後述する証憑選択画面20や、検索画面30等の画面を表示させる機能部である。また、表示部14は、同一の仕訳対象に複数の証憑データ10が存在する場合に、複数の証憑データ10を結合する結合機能を備えている。
【0038】
検索部15は、後述する検索画面30において、検索情報を入力して証憑データ10の抽出を行う機能部である。検索情報としては、証憑分類や、証憑データ10の未確定情報等を挙げることができる。分類付与部16は、後述する証憑選択画面20における操作ボタン21の「更新」ボタンが該当する。
【0039】
次に、本実施形態の証憑管理装置1を用いて、ユーザが証憑データ10の管理を行う際の作動について、図1図7を参照して説明する。まず、ユーザは、ユーザ端末4で本実施形態の証憑管理プログラムを起動させ、ログイン処理を行う(STEP1)。ログイン後、図示しない作業選択画面から証憑処理を選択すると、図3に示す証憑選択画面20が表示される(STEP2)。
【0040】
証憑選択画面20は、各種操作を行う複数の操作ボタン21と、受信部11によって受信された未確定の証憑データ10が表示される読み込みエリア22と、証憑データ10の拡大画像が表示される作業エリア23と、証憑データ10から抽出された情報を表示させる抽出情報エリア24と、証憑9の分類である証憑分類を表示させる証憑分類エリア25と、証憑に関する処理を行った日付等を表示させる作業情報エリア26を備えている。
【0041】
操作ボタン21は、図3に示すように、追加、削除、取消、再読込、左矢印、右矢印、取得、及び更新の各機能が割り当てられている。それぞれのボタンは、キーボード4cにおいて「Altキー」を押しながら各機能に付された数字を入力することによりキーボード4cから選択することができる。
【0042】
読み込みエリア22では、証憑データ10が一覧となって表示される。読み込みエリア22には、証憑データ10を絞り込むための選択メニュー22aが設けられており、メニューとしては「全体」、「未確定」、又は「確定」等の項目を選択することができる。この選択メニュー22aを「未確定」とすることで、証憑分類が確定していない証憑データ10の一覧を表示させることができる。
【0043】
作業エリア23は、読み込みエリア22においてユーザに選択された証憑データ10の詳細が表示される。図3においては、読み込みエリア22の左上の証憑データ10が選択され、その証憑データ10が作業エリア23に表示されている。表示されている証憑データ10は、カメラ店の「領収書」であり、店名や電話番号、領収書の発行日、クレジットカード情報及び合計金額等が記載されている。
【0044】
抽出情報エリア24には、証憑データ10に記載された記載事項から読み取った情報が表示されている。具体的には、発生日付、取引先、及び金額が表示される。これらの情報は、証憑データ10が元々電子データであった場合は正確に読み取ることができるが、証憑データ10が元々紙の印刷の場合は、OCR機能により情報を読み取ることになるため、必ずしも正確なデータであるとは限らない。
【0045】
証憑分類エリア25には、証憑データ10に記載された記載事項から読み取った情報から、推定部12が推定した自動推論の結果が表示されている。この推定部12により推定された推定分類は、証憑データ10と関連付けられて記憶部13に記憶されている。図3に示す証憑データ10の場合、推定分類は、クレジット決済が行われた領収書である「領収書(クレジット)」であると推定されている。
【0046】
ユーザは、このこの証憑選択画面20において、未確定の証憑データ10について、推定部12によって推定された証憑分類を確認することができる。推定部12によって推定された証憑分類が正しい場合は(STEP3でYES)、「更新」の操作ボタン21をクリックすることにより、ユーザによる確認が行われ、証憑データ10の証憑分類が確定する(STEP4)。即ち、この「更新」の操作ボタン21が本発明の分類付与部に相当する。証憑データ10の証憑分類が確定すると、選択メニュー22aで「未確定」を選択した場合には、その確定した証憑データ10は、読み込みエリア22に表示されないようになる。
【0047】
ユーザにより証憑データ10の証憑分類が確定されると、作業情報エリア26に表示された情報も更新される。具体的には、作成日、送信者(ユーザの氏名)、及び証憑の拡張子の情報が更新される。証憑データ10の推定分類がユーザにより確定され、その他の情報が更新されると、確定された証憑分類及び更新された情報が証憑データ10と関連付けられて記憶部13に記憶される(STEP6)。
【0048】
一方で、推定部12によって推定された証憑分類が正しくないい場合は(STEP3でNO)、証憑分類の修正等を行い(STEP4)、その上で「更新」の操作ボタン21をクリックする。これにより、推定された証憑分類についてユーザによる確認が行われ、証憑データ10の証憑分類が確定する(STEP5)。
【0049】
このように、本実施形態の証憑管理装置1では、ユーザが証憑選択画面20において、選択メニュー22aで「未確定」を選択することにより、未確定の証憑データ10の一覧を確認することができるため、ユーザが未確定の証憑データ10の処理を一括して行いたい場合に好適である。
【0050】
次に、ユーザが証憑データ10について仕訳処理を行う場合は(STEP7でYES)、図4に示す検索画面30において、証憑データ10の検索を行うことができる(STEP8)。検索画面30には、検索条件を入力する検索エリア31と、検索結果が表示される一覧表示エリア32と、一覧表示エリア32に示された案件のうち、ユーザがクリックして指定した案件の証憑データ10を表示させる証憑表示エリア33を備えている。
【0051】
検索エリア31では、証憑9の日付や証憑分類、履歴のありなし又は両方、取引先、金額、送信者(ユーザ)、或いはファイル作成日を指定して検索を行うことができる。この検索エリア31で指定された検索条件で検索を行った結果は、一覧表示エリア32に表示される。一覧表示エリア32では、訂正ボタン、証憑日付、取引先、金額、証憑分類、送信者、作成日、状態、及び事業者の各項目の表示が行われる。この事業者の表示については後述する。
【0052】
図4の検索画面30において、検索エリア31と一覧表示エリア32の右横には、証憑表示エリア33が設けられている。証憑表示エリア33には、一覧表示エリア32で選択された行の仕訳の対象となる証憑データ10が表示される。
【0053】
また、証憑表示エリア33には、証憑データ10の枚数を示す枚数表示33aと、証憑データ10が複数ある場合に各証憑データ10を順に表示させる移動ボタン33bと、リンク解除ボタン33c、回転ボタン33d、及びダウンロードボタン33eが設けられている。この検索画面30においては、証憑日付、証憑分類、履歴のありなし等の検索項目で証憑データ10の仕訳を行うことができる。
【0054】
次に、図5を参照して、1件の仕訳対象に複数の証憑データ10が存在する場合の作動について説明する。図5は、本実施形態の証憑管理装置1の表示部14により表示される買掛伝票入力画面40である。
【0055】
買掛伝票入力画面40は、処理月を選択する処理月エリア41と、買掛伝票の入力を行うための仕訳対象データを表示する仕訳一覧エリア42と各仕訳対象データの詳細な内容を示す伝票エリア43と、仕訳対象データに関連付けられている証憑データ10を表示させる証憑エリア44とを備えている。
【0056】
ここで、仕訳一覧エリア42において、1件の仕訳対象データをクリックすると、その仕訳対象データに関連付けられて記憶されている証憑データ10が証憑エリア44に表示される。図5においては、1件の仕訳対象に2枚の証憑データ10が関連付けられている。これは、本実施形態の証憑管理装置1における表示部14の結合機能により結合された証憑データ10である。
【0057】
仕訳を行う際には、銀行データベース6から入手する銀行データ6aと、クレジットデータベース7から入手するクレジットデータ7a等を受信部11によって受信し、サーバ2の記憶部13に記憶されているデータとのマッチングを行って自動仕訳を行うことができる。自動仕訳の詳細については、例えば、特開2019-200692号公報に記載されているため、ここでの説明は省略する。
【0058】
次に、図6を参照して、表示部14の結合機能により結合された証憑データ10の取扱について説明する。図6(A)は、1件の仕訳対象に2枚の証憑データ10が関連付けられた仕訳対象である。図6(A)においては、1件の仕訳対象について表示される証憑分類は「領収書」の1件の証憑データ10である。
【0059】
この状態から、図6(A)の表の左端の「+」模様を選択すると、図6(B)の状態となる。具体的には、1件の仕訳対象が2行に亘って複数表示され、それぞれの行に証憑分類として「領収書」と「クレジット御利用明細」が表示される。図6(B)の左上の「-」マークを選択すると、2行に亘って表示されていた仕訳対象が1行にまとめられ、証憑分類も「領収書」の1行のみが表示されるようになる。
【0060】
このように、本実施形態の証憑管理装置1によれば、1件の仕訳対象に複数の証憑データ10が存在する場合であっても、表示部14によって表示する際に、1行で表示可能とすることもでき、証憑データ10の数に応じて複数行の表示も行うことができる。
【0061】
次に、いわゆるインボイス制度の導入によって、ユーザに生じる新たな負担を軽減する機能について説明する。インボイス制度においては、事業者が納税を行う際に、取引先が適格請求書発行事業者(以下「適格者」と省略する。)でなければ、自身の支払う消費税を控除することができなくなる。このため、会計処理においては、取引先が適格者であるか否かの確認が必要となる。
【0062】
本実施形態の証憑管理装置1では、証憑データ10に適格者の登録番号があるときは、推定部12が登録番号を含む事業者情報を当該証憑データ10から抽出する。事業者情報とは、その事業者の名称、住所、電話番号、免税事業者であるか否かの事業者区分等の情報である。また、推定部12は、確認機関8に対して、登録番号を含む事業者データ8aを照会し、証憑データ10から抽出された事業者情報と確認機関8から入手した登録事業者情報を比較する。この確認機関8は、例えば国税庁であり、実際に確認を行う際には、国税庁が公表しているインボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトを利用する。
【0063】
推定部12による比較結果が、所定のしきい値以上である場合は、表示部14が証憑データ10の一覧表示を行う際に、図4の一覧表示エリア32において、「事業者」欄に「適合」等と表示する。一方で、推定部12による比較結果が、所定のしきい値未満である場合は、一覧表示エリア32の事業者欄に「注意」等と表示する。
【0064】
これにより、ユーザは、証憑データ10に記載された事業者情報が、信用できるものであるか否かを一目で確認することができる。また、仮に一覧表示エリア32の事業者欄に「注意」と記載されている場合であっても、証憑データ10の読み取りの際のエラーであるおそれもあるが、その場合はユーザが証憑9の内容と確認機関8の記載内容とを確認すればよい。
【0065】
次に、図7を参照して、本実施形態の証憑管理装置1における証憑データ10の保管画面50について説明する。サーバ2の記憶部13に記憶された証憑データ10は、図7に示す保管画面50により管理することができる。
【0066】
図7において、保管画面50の左側には証憑データ10の拡大表示部51が設けられている。また、保管画面50には、バインダーのような表示形式で証憑データ10の見出しを表示するバインダー表示部52、管理者の情報と管理日時等を記録する管理内容表示部53と、バインダー表示部52において選択されたバインダーの内部に保存された証憑データ10を表示させる証憑表示部54が設けられている。また、バインダー表示部52には、経理部や各事業部ごとに証憑の管理を行うための部門メニュー52aが設けられている。
【0067】
証憑の取扱に関する法律の改正によって、証憑を全て電子データとして保存する場合、従来に比べて電子データとしての証憑の数が飛躍的に増加することになる。通常、電子データを記憶させる場合は、コンピュータ上で、デスクトップを介して階層が形成されたフォルダの中に保存することになる。しかしながら、このような階層構造は、必要な証憑に関する電子データへのアクセスを困難にするおそれがある。
【0068】
大量の証憑に対してアクセスする場合、従来のように紙媒体での管理であれば、書庫の中にキャビネットがあり、キャビネットの中にバインダーがあり、バインダーには背表紙が付いていたため、目的の証憑にアクセスすることが容易であった。
【0069】
本実施形態においては、従来の書庫が保管画面50にあたり、従来のキャビネットが部門メニュー52aにあたり、従来のバインダーがバインダー表示部52にあたる。このように、本実施形態の証憑管理装置1では、大量の証憑の電子データを、従来の紙媒体のときと同様に管理をすることができるので、従来のフォルダ管理等と比べて、非常にわかりやすく管理を行うことができる。
【符号の説明】
【0070】
1…証憑管理装置
2…サーバ
3…ネットワーク
4…ユーザ端末
4a…本体
4e…スキャナ
5…クライアント端末
5e…スキャナ
6…銀行データベース
7…クレジットデータベース
8…確認機関(インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト)
9…証憑
10…証憑データ
11…受信部
12…推定部
13…記憶部
14…表示部
15…検索部
20…証憑選択画面
30…検索画面
40…買掛伝票入力画面
50…保管画面

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7