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特開2024-5755直列キャパシタ降圧コンバータおよびそのコントローラ回路および制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005755
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】直列キャパシタ降圧コンバータおよびそのコントローラ回路および制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106110
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和樹
(72)【発明者】
【氏名】河野 明大
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS05
5H730BB03
5H730BB13
5H730DD04
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD31
5H730FF09
5H730FG07
(57)【要約】
【課題】出力電圧の変動を抑制した直列キャパシタ降圧コンバータを提供する。
【解決手段】コントローラIC200は、直列キャパシタ降圧コンバータを制御する。オシレータ220は、クロック信号CLKを生成する。制御ロジック回路210は、クロック信号CLKと同期して、直列キャパシタ降圧コンバータの複数のスイッチング素子を制御するための複数の制御信号を生成する。周波数コントローラ240は、直列キャパシタ降圧コンバータの出力電圧Voutにもとづいて、クロック信号CLKの周波数を制御する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列キャパシタ降圧コンバータのコントローラ回路であって、
クロック信号を生成するオシレータと、
前記クロック信号と同期して、前記直列キャパシタ降圧コンバータの複数のスイッチング素子を制御する複数の制御信号を生成する制御ロジック回路と、
前記複数の制御信号に応じて、前記複数のスイッチング素子を駆動する複数のドライバと、
前記直列キャパシタ降圧コンバータの出力電圧にもとづいて、前記クロック信号の周波数を制御する周波数コントローラと、
を備える、コントローラ回路。
【請求項2】
前記周波数コントローラは、前記出力電圧が所定のしきい値電圧より低いとき、前記クロック信号の周波数を低下させ、前記出力電圧が前記しきい値電圧より高いとき、前記クロック信号の周波数を上昇させる、請求項1に記載のコントローラ回路。
【請求項3】
前記周波数コントローラは、前記出力電圧が所定の電圧範囲の下限より低いとき、前記クロック信号の周波数を低下させ、前記出力電圧が前記所定の電圧範囲の上限より高いとき、前記クロック信号の周波数を上昇させる、請求項1に記載のコントローラ回路。
【請求項4】
直列キャパシタ降圧コンバータのコントローラ回路であって、
クロック信号を生成するオシレータと、
前記クロック信号と同期して、前記直列キャパシタ降圧コンバータの複数のスイッチング素子を制御する複数の制御信号を生成する制御ロジック回路と、
前記複数の制御信号に応じて、前記複数のスイッチング素子を駆動する複数のドライバと、
前記直列キャパシタ降圧コンバータの入力電流または出力電流を監視対象とし、監視対象の電流に応じて、前記クロック信号の周波数を制御する周波数コントローラと、
を備える、コントローラ回路。
【請求項5】
前記周波数コントローラは、前記出力電流と、前記クロック信号の周波数の関係を規定するテーブルを含む、請求項4に記載のコントローラ回路。
【請求項6】
前記直列キャパシタ降圧コンバータのカップルドインダクタを構成する2個のインダクタのインダクタンスの設計値がL、前記2個のインダクタの相互インダクタンスの設計値がM、直列キャパシタの容量の設計値がCrであるとき、式(1)
【数1】
で表される周波数fよりも高いスイッチング周波数の範囲で、前記クロック信号の周波数が制御される、請求項1から5のいずれかに記載のコントローラ回路。
【請求項7】
ひとつの半導体基板に一体集積化される請求項1から5のいずれかに記載のコントローラ回路。
【請求項8】
直列キャパシタ降圧コンバータの主回路と、
前記主回路に含まれるスイッチング素子を駆動する請求項1から5のいずれかに記載のコントローラ回路と、
を備える、直列キャパシタ降圧コンバータ。
【請求項9】
直列キャパシタ降圧コンバータの制御方法であって、
オシレータがクロック信号を生成するステップと、
前記クロック信号と同期して、前記直列キャパシタ降圧コンバータの複数のスイッチング素子を駆動するステップと、
前記直列キャパシタ降圧コンバータの出力電圧にもとづいて、前記クロック信号の周波数を制御するステップと、
を備える、制御方法。
【請求項10】
直列キャパシタ降圧コンバータの制御方法であって、
オシレータがクロック信号を生成するステップと、
前記クロック信号と同期して、前記直列キャパシタ降圧コンバータの複数のスイッチング素子を駆動するステップと、
前記直列キャパシタ降圧コンバータの入力電流または出力電流を監視対象とし、監視対象の電流に応じて、前記クロック信号の周波数を制御するステップと、
を備える、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、直列キャパシタコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
入力電圧よりも低い電圧を生成するために、降圧機能を持つDC/DCコンバータが使用される。降圧機能を持つDC/DCコンバータとしては、降圧(Buck)型、昇降圧型、Cuk型、Zeta型、Sepic型などが知られている。
【0003】
用途によっては、降圧コンバータのバリエーションであるインタリーブ型や直列キャパシタ(Series Capacitor)型が採用される。インタリーブ型は、Buckコンバータを並列に接続し、入力同士、出力同士を共通に接続したものである。複数のBuckコンバータがインタリーブ動作することにより、高効率動作が実現される。インタリーブ型は、通常のバックコンバータと同じ降圧比を有する。
【0004】
直列キャパシタ型の降圧コンバータは、フェーズ数が2であるインタリーブ型の修正と考えることができ、直列キャパシタが追加された構成を有する。直列キャパシタ型の降圧コンバータは、降圧比をインタリーブ型の1/2倍と小さくできるため、小さな降圧比が必要なアプリケーションに適している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Stefano Saggini, Shuai Jiang, Mario Ursino, Chenhao Nan, "A 99% Efficient Dual-Phase Resonant Switched-Capacitor-Buck Converter for 48 V Data Center Bus Conversions", 2019 IEEE Applied Power Electronics Conference and Exposition (APEC)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は係る状況においてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、出力電圧の変動を抑制した直列キャパシタ降圧コンバータの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある態様は、直列キャパシタ降圧コンバータのコントローラ回路に関する。コントローラ回路は、クロック信号を生成するオシレータと、クロック信号と同期して、直列キャパシタ降圧コンバータの複数のスイッチング素子を制御する複数の制御信号を生成する制御ロジック回路と、複数の制御信号に応じて、複数のスイッチング素子を駆動する複数のドライバと、直列キャパシタ降圧コンバータの出力電圧にもとづいて、クロック信号の周波数を制御する周波数コントローラと、を備える。
【0008】
本開示の別の態様もまた、直列キャパシタ降圧コンバータのコントローラ回路に関する。コントローラ回路は、クロック信号を生成するオシレータと、クロック信号と同期して、直列キャパシタ降圧コンバータの複数のスイッチング素子を制御する複数の制御信号を生成する制御ロジック回路と、複数の制御信号に応じて、複数のスイッチング素子を駆動する複数のドライバと、直列キャパシタ降圧コンバータの入力電流または出力電流を監視対象とし、監視対象の電流に応じて、クロック信号の周波数を制御する周波数コントローラと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示のある態様によれば、出力電圧の変動を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る直列キャパシタ降圧コンバータの回路図である。
図2図2は、第1状態φ1における直列キャパシタ降圧コンバータ(主回路)の等価回路図である。
図3図3は、第2状態φ2における直列キャパシタ降圧コンバータ(主回路)の等価回路図である。
図4図4は、直列キャパシタ降圧コンバータの電流波形図である。
図5図5は、直列キャパシタ降圧コンバータの電流波形図である。
図6図6は、デッドタイムを考慮した直列キャパシタ降圧コンバータの動作を説明するタイムチャートである。
図7図7は、直列キャパシタ降圧コンバータの出力電流と出力電圧の関係を示す図である。
図8図8は、実施例1に係るコントローラICのブロック図である。
図9図9は、周波数コントローラとオシレータの構成例を示すブロック図である。
図10図10は、周波数コントローラとオシレータの構成例を示すブロック図である。
図11図11は、実施例2に係るコントローラICのブロック図である。
図12図12は、周波数コントローラの構成例を示すブロック図である。
図13図13は、出力電流とクロック信号の周波数の関係を示す図である。
図14図14は、スイッチング周波数fSWを変化させたときの電流波形を説明する図である。
図15図15は、直列キャパシタ降圧コンバータを備える電子機器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0012】
一実施形態に係る直列キャパシタ降圧コンバータのコントローラ回路は、クロック信号を生成するオシレータと、クロック信号と同期して、直列キャパシタ降圧コンバータの複数のスイッチング素子を制御する複数の制御信号を生成する制御ロジック回路と、複数の制御信号に応じて、複数のスイッチング素子を駆動する複数のドライバと、直列キャパシタ降圧コンバータの出力電圧にもとづいて、クロック信号の周波数を制御する周波数コントローラと、を備える。
【0013】
直列キャパシタ降圧コンバータをデューティサイクル50%で動作させると、その降圧比は1/4倍となるが、出力電流に応じて、出力電圧が変動する。そこで、出力電圧を監視し、出力電圧に応じて、クロック信号の周波数を変化させることにより、ロードレギュレーションを改善できる。
【0014】
一実施形態において、周波数コントローラは、出力電圧が所定のしきい値電圧より低いとき、クロック信号の周波数を低下させ、出力電圧がしきい値電圧より高いとき、クロック信号の周波数を上昇させてもよい。
【0015】
一実施形態において、周波数コントローラは、出力電圧が所定の電圧範囲の下限より低いとき、クロック信号の周波数を低下させ、出力電圧が所定の電圧範囲の上限より高いとき、クロック信号の周波数を上昇させてもよい。
【0016】
一実施形態に係る直列キャパシタ降圧コンバータのコントローラ回路は、クロック信号を生成するオシレータと、クロック信号と同期して、直列キャパシタ降圧コンバータの複数のスイッチング素子を制御する複数の制御信号を生成する制御ロジック回路と、複数の制御信号に応じて、複数のスイッチング素子を駆動する複数のドライバと、直列キャパシタ降圧コンバータの入力電流または出力電流を監視対象とし、監視対象の電流に応じて、クロック信号の周波数を制御する周波数コントローラと、を備える。
【0017】
直列キャパシタ降圧コンバータをデューティサイクル50%で動作させると、その降圧比は1/4倍となるが、出力電流に応じて、出力電圧が変動する。そこで、出力電流もしくは入力電流を監視し、クロック信号の周波数を変化させることにより、ロードレギュレーションを改善できる。
【0018】
一実施形態において、周波数コントローラは、出力電流と、クロック信号の周波数の関係を規定するテーブルを含んでもよい。
【0019】
一実施形態において、直列キャパシタ降圧コンバータのカップルドインダクタを構成する2個のインダクタのインダクタンスの設計値がL、2個のインダクタの相互インダクタンスの設計値がM、直列キャパシタの容量の設計値がCrであるとき、式(1)
【数1】
で表される周波数fよりも高いスイッチング周波数の範囲で、クロック信号の周波数が制御されてもよい。
【0020】
一実施形態において、コントローラ回路は、ひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0021】
一実施形態に係る直列キャパシタ降圧コンバータは、直列キャパシタ降圧コンバータの主回路と、主回路に含まれるスイッチング素子を駆動する上述のいずれかのコントローラ回路と、を備える。
【0022】
(実施形態)
以下、好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、開示および発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示および発明の本質的なものであるとは限らない。
【0023】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0024】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に接続された(設けられた)状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0025】
また本明細書において、電圧信号、電流信号などの電気信号、あるいは抵抗、キャパシタ、インダクタなどの回路素子に付された符号は、必要に応じてそれぞれの電圧値、電流値、あるいは回路定数(抵抗値、容量値、インダクタンス)を表すものとする。
【0026】
本明細書において参照する波形図やタイムチャートの縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化され、あるいは誇張もしくは強調されている。
【0027】
図1は、実施形態に係る直列キャパシタ降圧コンバータ100の回路図である。直列キャパシタ降圧コンバータ100は、入力ライン102に供給された入力電圧Vinを降圧し、降圧後の出力電圧Voutを出力ライン104に発生する。
【0028】
直列キャパシタ降圧コンバータ100は、主回路110およびコントローラIC(Integrated Circuit)200を備える。コントローラIC200は、ひとつの半導体基板に集積化されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。
【0029】
主回路110は、第1スイッチS1~第4スイッチS4、カップルドインダクタ112、直列キャパシタCr、出力キャパシタCoutを備える。
【0030】
第1スイッチS1は、第1端が入力ライン102と接続される。カップルドインダクタ112は、トランスであり、磁気的に結合する第1インダクタL1および第2インダクタL2を含む。第1インダクタL1および第2インダクタL2は、等しいインダクタンスLを有しており、また相互インダクタンスMを有する。第1インダクタL1および第2インダクタL2それぞれの第1端は、出力ライン104と接続される。
【0031】
第2スイッチS2は、第1インダクタL1の第2端と接地の間に接続される。直列キャパシタCrは、第1スイッチS1の第2端と第1インダクタL1の第2端の間に接続される。第3スイッチS3は、第1スイッチS1の第2端と第2インダクタL2の第2端の間に接続される。第4スイッチS4は、第2インダクタL2の第2端と接地の間に接続される。出力キャパシタCoutは、出力ライン104と接地の間に接続される。
【0032】
この例では、第1スイッチS1~第4スイッチS4がすべてNチャンネルMOSFETとして示されるがその限りでなく、その他のトランジスタを用いてもよい。また下側の第2スイッチS2および第4スイッチS4は、ダイオードなどの整流素子であってもよい。
【0033】
コントローラIC200は、第1スイッチS1~第4スイッチS4を制御し、出力ライン104に出力電圧Voutを発生させる。具体的には、コントローラIC200は、第1状態φ1と第2状態φ2を、デッドタイムTを挟みながら、所定のスイッチング周波数fSWで交互に繰り返す。
第1状態φ1:
第1スイッチS1=ON
第2スイッチS2=OFF
第3スイッチS3=OFF
第4スイッチS4=ON
【0034】
第2状態φ2:
第1スイッチS1=OFF
第2スイッチS2=ON
第3スイッチS3=ON
第4スイッチS4=OFF
【0035】
デッドタイムT
第1スイッチS1=OFF
第2スイッチS2=OFF
第3スイッチS3=OFF
第4スイッチS4=OFF
【0036】
第1状態φ1、第2状態φ2それぞれの長さがTONであるとき、スイッチング周波数fSWは、1/(2×TON)である。言い換えると、スイッチング周波数fSWで動作するとは、第1状態φ1および第2状態φ2を、TON=1/(2×fSW)の長さで繰り返すことをいう。
【0037】
以上が直列キャパシタ降圧コンバータ100の構成である。続いてその動作を説明する。
【0038】
図2は、第1状態φ1における直列キャパシタ降圧コンバータ100(主回路110)の等価回路図である。オンであるスイッチS1,S4は、単なる配線として示している。またカップルドインダクタ112は、励磁インダクタンスLmと、漏れインダクタンスLkを含む等価回路として示している。第1インダクタL1に流れる電流を第1コイル電流IL1、第2インダクタL2に流れる電流を、第2コイル電流IL2と称する。
【0039】
第1状態φ1では、直列キャパシタCr、第1インダクタL1(漏れインダクタンスLk)および出力キャパシタCoutが直列共振回路を形成しており、第1インダクタL1に共振電流Iresが流れる(IL1=Ires)。第2インダクタL2には、第1インダクタL1に流れる共振電流Iresのレプリカである共振電流Ires’と、励磁インダクタンスLmに流れる励磁電流Imの合計電流が流れるから、第2コイル電流IL2は、IL2=Ires’+Imとなる。
【0040】
図3は、第2状態φ2における直列キャパシタ降圧コンバータ100(主回路110)の等価回路図である。オンであるスイッチS2,S3は、単なる配線として示している。
【0041】
第2状態φ2では、直列キャパシタCr、漏れインダクタンスLkおよび出力キャパシタCoutが直列共振回路を形成しており、第2インダクタL2に共振電流Iresが流れる(IL2=Ires)。第1インダクタL1には、第2インダクタL2に流れる共振電流Iresのレプリカである共振電流Ires’と、励磁インダクタンスLmに流れる励磁電流Imの合計電流が流れるから、第1コイル電流IL1は、IL1=Ires’+Imとなる。
【0042】
第1状態φ1と第2状態φ2を交互に繰り返すと、定常状態では、直列キャパシタCrの両端間電圧は、Vin/2となり、カップルドインダクタ112に、残りのVin/2が印加される。第1インダクタL1と第2インダクタL2のインダクタンスが等しいとき、出力ライン104には、Vinの1/4倍の出力電圧Voutが発生する。
【0043】
直列キャパシタ降圧コンバータ100が、ZVS(Zero Voltage Switching)するための条件は、以下の通りである。
【0044】
・第1状態φ1から第2状態φ2への遷移
第1状態φ1の直後のデッドタイムT中において、IL1≧0であるとき、第2スイッチS2のボディダイオードに電流IL1が流れており、第2スイッチS2の両端間電圧が小さくなる。このときに、第2状態φ2に遷移、すなわち第2スイッチS2をターンオンすると、第2スイッチS2のZVSが成立する。なお、電流IL1,IL2は、出力ライン104に向かう向きを正にとる。
【0045】
またデッドタイムT中において、IL2<0であるときに、回生電流によって、第3スイッチS3と第4スイッチS4の接続ノードの電圧が上昇し、第3スイッチS3の両端間電圧が小さくなる。このときに、第2状態φ2に遷移、すなわち第3スイッチS3がターンオンすると、第3スイッチS3のZVSが成立する。
【0046】
・第2状態φ2から第1状態φ1への遷移
第2状態φ2の直後のデッドタイムT中において、IL1<0であるとき、回生電流によって、第1スイッチS1と第2スイッチS2の接続ノードの電圧が上昇し、第1スイッチS1の両端間電圧が小さくなる。このときに第1状態φ1に遷移、すなわち第1スイッチS1をターンオンすると、第1スイッチS1のZVSが成立する。
【0047】
またデッドタイム中において、IL2≧0であるとき、第4スイッチS4のボディダイオードに電流IL2が流れており、第4スイッチS4の両端間電圧が小さくなっている。このときに、第1状態φ1に遷移、すなわち第4スイッチS4をターンオンすると、第4スイッチS4のZVSが成立する。
【0048】
図4は、直列キャパシタ降圧コンバータ100の電流波形図である。スイッチング周波数fswは、主回路110の共振周波数fと一致しており、共振電流Iresがゼロとなるタイミングで、第1状態φ1と第2状態φ2が遷移する。ここではデッドタイムは省略している。図4は、第1スイッチS1~第4スイッチS4を理想スイッチとした場合の、すなわち第1スイッチS1~第4スイッチS4が寄生容量を含まないとした場合の電流波形を示している。
【0049】
第1状態φ1の終わりのタイミングでは、第1インダクタL1の電流IL1は正もしくはゼロ(IL1≧0)、第2インダクタL2の電流IL2は負(IL2<0)であるから、上述のZVSの条件を満たしている。
【0050】
同様に、第2状態φ2の終わりのタイミングでは、第1インダクタL1の電流IL1は負(IL1<0)であり、第2インダクタL2の電流IL2は正もしくはゼロ(IL2≧0)であるから、上述のZVSの条件を満たしている。
【0051】
このように、直列キャパシタ降圧コンバータ100は、共振周波数fでスイッチングすることにより、ZVSの条件を満たすことができ、高効率動作が可能である。
【0052】
図5は、直列キャパシタ降圧コンバータ100の電流波形図である。図4では、MOSFETの寄生容量を無視した波形を示したが、実際には、寄生容量が存在する。この寄生容量により、デッドタイムを跨ぐ電流の不連続が抑制される。コイル電流IL1,IL2は連続となり、第1状態φ1と第2状態φ2では、デッドタイムに関して時間軸上で対称な波形を有する。
【0053】
図6は、デッドタイムを考慮した直列キャパシタ降圧コンバータ100の動作を説明するタイムチャートである。図6は、スイッチング周波数fSWが共振周波数fと等しいときの動作を示しており、第1状態φ1と第2状態φ2の長さTONはそれぞれ、共振周期T(=1/f)の1/2である。
【0054】
図7は、直列キャパシタ降圧コンバータ100の出力電流Ioutと出力電圧Voutの関係を示す図である。入力電圧Vinは48Vであり、降圧比1/4倍のとき、出力電圧Voutは12Vとなる。図7には、異なる複数のスイッチング周波数で動作させたときの特性が示される。ここでは共振周波数fは314kHzである。
【0055】
同じ周波数でみると、出力電流Ioutが増加するにしたがい、出力電圧Voutは低下していく。同じ出力電流Ioutでみると、スイッチング周波数が高い方が、出力電圧Voutは高くなる傾向がある。以下では、出力電圧Voutを安定化可能なコントローラIC200について説明する。
【0056】
(実施例1)
図8は、実施例1に係るコントローラIC200のブロック図である。コントローラIC200は、制御ロジック回路210、オシレータ220、周波数コントローラ240を備える。コントローラIC200は、第1出力ピンOUT1~第4出力ピンOUT4、フィードバックピンFBを備える。第1出力ピンOUT1~第4出力ピンOUT4は、第1スイッチS1~第4スイッチS4のゲートと接続される。フィードバックピンFBには、直列キャパシタ降圧コンバータ100の出力電圧Voutを示す電圧フィードバック信号Vfbが入力される。
【0057】
オシレータ220は、スイッチング周波数を規定するクロック信号CLKを生成する。オシレータ220は、発振周波数が可変に構成されてる。制御ロジック回路210は、クロック信号CLKと同期して、デッドタイムを挟みながら、第1状態φ1と第2状態φ2を交互に繰り返す。ドライバDR1~DR4は、制御ロジック回路210が発生する制御信号に応じて、対応するスイッチS1~S4を駆動する。
【0058】
周波数コントローラ240には、フィードバック電圧Vfbが入力される。周波数コントローラ240は、フィードバック電圧Vfbにもとづいて、オシレータ220の発振周波数、すなわちクロック信号CLKの周波数を制御する。
【0059】
具体的には、周波数コントローラ240は、出力電圧Voutが所定のしきい値電圧Vthより低いとき、言い換えると、フィードバック電圧Vfbが、しきい値電圧Vthに対応する基準電圧Vrefより低いときに、クロック信号CLKの周波数を低下させる。また周波数コントローラ240は、出力電圧Voutがしきい値電圧Vthより高いときに、言い換えると、フィードバック電圧Vfbが基準電圧Vrefより高いときに、クロック信号CLKの周波数を上昇させる。
【0060】
周波数コントローラ240やオシレータ220の構成は特に限定されず、公知技術を用いればよい。
【0061】
図9は、周波数コントローラ240Aとオシレータ220Aの構成例を示すブロック図である。オシレータ220Aは、デジタルコードF_CNTに応じて周波数が制御可能なDCO(Digital Controlled Oscillator)である。DCOの構成は特に限定されないが、たとえばリングオシレータで、遅延素子であるインバータのバイアス電流を、デジタルコードに応じて可変に構成したものであってもよい。あるいはDCOは、キャパシタの充放電を繰り返すオシレータであってもよく、キャパシタの充電電流を、デジタルコードに応じて可変に構成したものであってもよい。
【0062】
周波数コントローラ240Aは、コンパレータ242およびアップダウンカウンタ244を含む。コンパレータ242は、フィードバック電圧Vfbを、所定のしきい値電圧Vrefと比較し、比較結果に応じたアップダウン信号UP/DNを生成する。アップダウンカウンタ244は、アップダウン信号UP/DNに応じて、カウントアップまたはカウントダウンする。アップダウンカウンタ244のカウント値が、デジタルコードF_CNTとしてオシレータ220に供給される。
【0063】
コンパレータ242は、ヒステリシスコンパレータであってもよい。あるいは、コンパレータ242は、ウィンドウコンパレータであってもよい。
【0064】
別の制御例では、周波数コントローラ240Aは、出力電圧Voutが、所定の目標電圧範囲の下限Vminより低いとき、言い換えると、フィードバック電圧Vfbが、下限Vminに対応する基準電圧Vthlより低いときに、クロック信号CLKの周波数を低下させる。また周波数コントローラ240Aは、出力電圧Voutが、所定の目標電圧範囲の上限Vmaxより高いとき、言い換えると、フィードバック電圧Vfbが、上限Vmaxに対応する基準電圧Vthhより高いときに、クロック信号CLKの周波数を上昇させる。
【0065】
図10は、周波数コントローラ240Bとオシレータ220Bの構成例を示すブロック図である。オシレータ220Bは、アナログ制御電圧Vcntに応じて周波数が制御可能なVCO(Voltage Controlled Oscillator)である。VCOの構成は特に限定されず、リングオシレータであってもよいし、キャパシタの充放電を繰り返すオシレータであってもよい。
【0066】
周波数コントローラ240Bは、コンパレータ242およびチャージポンプ回路246を含む。コンパレータ242は、フィードバック電圧Vfbを、所定のしきい値電圧Vrefと比較し、比較結果に応じたアップダウン信号UP/DNを生成する。チャージポンプ回路246は、アップダウン信号UP/DNに応じて、電圧レベルが上昇または下降するアナログ制御電圧Vcntを生成する。
【0067】
以上がコントローラIC200の構成である。実施例1に係るコントローラIC200によれば、フィードバック電圧Vfbが基準電圧Vrefに近づくように、オシレータ220の発振周波数、すなわち直列キャパシタ降圧コンバータ100のスイッチング周波数が変化する。これにより出力電流Ioutの変動にかかわらず、出力電圧Voutを安定化することができ、ロードレギュレーションを改善できる。
【0068】
(実施例2)
図11は、実施例2に係るコントローラIC200Cのブロック図である。コントローラIC200Cは、制御ロジック回路210、オシレータ220、周波数コントローラ250を備える。コントローラIC200Cの電流検出ピンCSには、直列キャパシタ降圧コンバータ100の出力電流Ioutを示す電流検出信号Vcsが入力される。出力電流Ioutの検出方式は特に限定されず、公知技術を用いればよい。
【0069】
周波数コントローラ250は、直列キャパシタ降圧コンバータ100の出力電流Ioutを示す電流検出信号Vcsを受ける。周波数コントローラ250は、電流検出信号Vcsに応じて、コントローラIC200の発振周波数を制御する。
【0070】
図12は、周波数コントローラ250の構成例を示すブロック図である。オシレータ220は、デジタル制御可能なDCOである。周波数コントローラ250は、A/Dコンバータ252およびテーブル254を含む。A/Dコンバータ252は、電流検出信号Vcsをデジタル信号Dcsに変換する。
【0071】
テーブル254は、電流検出信号Vcsと発振周波数の関係、言い換えると、デジタル信号DcsとデジタルコードF_CNTの関係を規定するルックアップテーブルである。オシレータ220は、デジタルコードF_CNTに応じた周波数で発振する。
【0072】
図13は、出力電流Ioutとクロック信号CLKの周波数fCLKの関係を示す図である。図7に示すように、出力電流Ioutが大きくなるほど、出力電圧Voutを目標電圧(たとえば12V)とするスイッチング周波数は、低くなる。図13の関係は、図7の出力電流-出力電圧特性にもとづいて定めることができる。
【0073】
実施例2によれば、出力電流Ioutに応じて、適切なスイッチング周波数を選択することで、出力電圧Voutを目標レベルに保つことができ、ロードレギュレーションを改善できる。
【0074】
続いて、スイッチング周波数の可変範囲について説明する。
【0075】
本発明者らは、スイッチング周波数が、共振周波数よりも低くなる状況、言い換えると、第1状態φ1および第2状態φ2であるオン時間TONが、共振時間の1/2(共振半周期)Tr/2よりも長くなる状況が発生すると、以下の問題が発生することを認識した。
【0076】
図6を参照すると、TONが共振半周期Tr/2に比べて長すぎると、第1状態φ1から第2状態φ2に遷移するタイミングにおいて、電流Iが負電流となり、ZVSの条件を満たさなくなってしまう。
【0077】
図14は、スイッチング周波数fSWを変化させたときの電流波形を説明する図である。スイッチング周波数fSWが低いと(図中、最下段)、言い換えると、オン時間TONが長くなると、デッドタイムTに移行するタイミングにおいて、第1インダクタL1の電流IL1が負電流となる。デッドタイムT中、電流IL1はさらに低下していくため、デッドタイムTを長くしても短くしても、IL1≧0とはならず、ZVSの条件を満たすことができず、効率が悪化する。
【0078】
これに対して、スイッチング周波数fSWが高い場合(図中、最上段)、言い換えると、オン時間TONが短くなると、デッドタイムTに移行するタイミングにおいて、第1インダクタL1の電流IL1と第2インダクタL2の電流IL2は、両方とも正となる。この場合には、デッドタイムTを長くとることにより、IL1>0、IL2<0の状態を作り出すことができ、ZVSの条件を満たすことができる。
【0079】
そこで、実施例1あるいは実施例2で説明した、スイッチング周波数の動的制御を導入する場合、出力電流Ioutが大きい重負荷状態において、低いスイッチング周波数fSWが選択されることとなる。スイッチング周波数fSWに何らの制限が無い場合、ZVSの条件を満たさなくなり、効率が低下してしまう。
【0080】
そこで、オシレータ220の発振周波数を、共振周波数より高い範囲で可変とすることが好ましい。デッドタイムTの長さは、共振周波数fが想定される範囲において最低値を取ったときに、ZVSの条件を満たすように決めるとよい。
【0081】
具体的には、式(1)で決まる周波数fよりも、クロック信号CLKの周波数、すなわちスイッチング周波数fSWを高く設定する。
【数2】
【0082】
Lは、第1インダクタL1および第2インダクタL2のインダクタンスの設計値であり、Mは、第1インダクタL1および第2インダクタL2の相互インダクタンスの設計値であり、Crは、直列キャパシタの容量の設計値である。
【0083】
たとえばスイッチング周波数fSWは、周波数fの1.05倍の周波数を下限として、可変とすることができる。より好ましくは、スイッチング周波数fSWは、周波数fの1.1倍の周波数を下限として、可変とすることができる。下限を、式(1)で規定されるfよりも高く定めることで、実際の共振周波数がばらついた場合においても、現実的なデッドタイムTの長さで、ZVSの条件を満たすことができる。
【0084】
(用途)
図15は、直列キャパシタ降圧コンバータ100を備える電子機器700の一例を示す図である。電子機器700の好適な一例はサーバーである。元来、サーバーには12Vの電源線が引き込まれていたため、内部回路710は12Vで動作するように設計されている。内部回路710は、CPU(Central Processing Unit)やメモリ、LAN(Local Area Network)のインタフェース回路と、12Vの電圧を降圧するDC/DCコンバータなどを含みうる。
【0085】
近年、電線に流れる電流を減らすために、バス電圧を12Vから48Vに置き換える動きが進められている。この場合に、48Vの電源電圧を12Vに降圧する電源回路720が必要となる。上述したゲインが1/4倍の直列キャパシタ降圧コンバータ100は、こうした電源回路720に好適に用いることができる。
【0086】
電子機器700はサーバーに限定されず、車載機器であってもよい。従来の自動車のバッテリは12Vあるいは24Vが主流であるが、ハイブリッド車両では、48Vシステムが採用される場合があり、この場合も48Vのバッテリ電圧を、12Vに変換する電源回路が必要とされる。このような場合に、1/4倍の直列キャパシタ降圧コンバータ100を好適に利用することができる。
【0087】
その他、電子機器700は、産業機器、OA機器であってもよいし、オーディオ機器などの民生機器であってもよい。
【0088】
(付記)
本開示に含まれる技術は、以下のように把握することができる。
【0089】
(項目1)
直列キャパシタ降圧コンバータのコントローラ回路であって、
クロック信号を生成するオシレータと、
前記クロック信号と同期して、前記直列キャパシタ降圧コンバータの複数のスイッチング素子を制御する複数の制御信号を生成する制御ロジック回路と、
前記複数の制御信号に応じて、前記複数のスイッチング素子を駆動する複数のドライバと、
前記直列キャパシタ降圧コンバータの出力電圧にもとづいて、前記クロック信号の周波数を制御する周波数コントローラと、
を備える、コントローラ回路。
【0090】
(項目2)
前記周波数コントローラは、前記出力電圧が所定のしきい値電圧より低いとき、前記クロック信号の周波数を低下させ、前記出力電圧が前記しきい値電圧より高いとき、前記クロック信号の周波数を上昇させる、項目1に記載のコントローラ回路。
【0091】
(項目3)
前記周波数コントローラは、前記出力電圧が所定の電圧範囲の下限より低いとき、前記クロック信号の周波数を低下させ、前記出力電圧が前記所定の電圧範囲の上限より高いとき、前記クロック信号の周波数を上昇させる、項目1に記載のコントローラ回路。
【0092】
(項目4)
直列キャパシタ降圧コンバータのコントローラ回路であって、
クロック信号を生成するオシレータと、
前記クロック信号と同期して、前記直列キャパシタ降圧コンバータの複数のスイッチング素子を制御する複数の制御信号を生成する制御ロジック回路と、
前記複数の制御信号に応じて、前記複数のスイッチング素子を駆動する複数のドライバと、
前記直列キャパシタ降圧コンバータの入力電流または出力電流を監視対象とし、監視対象の電流に応じて、前記クロック信号の周波数を制御する周波数コントローラと、
を備える、コントローラ回路。
【0093】
(項目5)
前記周波数コントローラは、前記出力電流と、前記クロック信号の周波数の関係を規定するテーブルを含む、項目4に記載のコントローラ回路。
【0094】
(項目6)
前記直列キャパシタ降圧コンバータのカップルドインダクタを構成する2個のインダクタのインダクタンスの設計値がL、前記2個のインダクタの相互インダクタンスの設計値がM、直列キャパシタの容量の設計値がCrであるとき、式(1)
【数3】
で表される周波数fよりも高いスイッチング周波数の範囲で、前記クロック信号の周波数が制御される、項目1から5のいずれかに記載のコントローラ回路。
【0095】
(項目7)
ひとつの半導体基板に一体集積化される項目1から6のいずれかに記載のコントローラ回路。
【0096】
(項目8)
直列キャパシタ降圧コンバータの主回路と、
前記主回路に含まれるスイッチング素子を駆動する項目1から7のいずれかに記載のコントローラ回路と、
を備える、直列キャパシタ降圧コンバータ。
【0097】
(項目9)
直列キャパシタ降圧コンバータの制御方法であって、
オシレータがクロック信号を生成するステップと、
前記クロック信号と同期して、前記直列キャパシタ降圧コンバータの複数のスイッチング素子を駆動するステップと、
前記直列キャパシタ降圧コンバータの出力電圧にもとづいて、前記クロック信号の周波数を制御するステップと、
を備える、制御方法。
【0098】
(項目10)
直列キャパシタ降圧コンバータの制御方法であって、
オシレータがクロック信号を生成するステップと、
前記クロック信号と同期して、前記直列キャパシタ降圧コンバータの複数のスイッチング素子を駆動するステップと、
前記直列キャパシタ降圧コンバータの入力電流または出力電流を監視対象とし、監視対象の電流に応じて、前記クロック信号の周波数を制御するステップと、
を備える、制御方法。
【0099】
実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにさまざまな変形例が存在すること、またそうした変形例も本開示に含まれ、また本発明の範囲を構成しうることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0100】
100 直列キャパシタ降圧コンバータ
102 入力ライン
104 出力ライン
106 接地ライン
110 主回路
112 カップルドインダクタ
Lk 漏れインダクタンス
Lm 励磁インダクタンス
M 相互インダクタンス
DR1,DR2,DR3,DR4 ドライバ
L1 第1インダクタ
L2 第2インダクタ
Cr 直列キャパシタ
S1 第1スイッチ
S2 第2スイッチ
S3 第3スイッチ
S4 第4スイッチ
Cout 出力キャパシタ
200 コントローラIC
210 制御ロジック回路
220 オシレータ
240 周波数コントローラ
242 コンパレータ
244 アップダウンカウンタ
250 周波数コントローラ
252 A/Dコンバータ
254 テーブル
700 電子機器
710 内部回路
720 電源回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15