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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057559
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】ニッケルに富んだ電池のリサイクル
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/54 20060101AFI20240417BHJP
   C22B 7/00 20060101ALI20240417BHJP
   C22B 26/12 20060101ALI20240417BHJP
   C22B 23/00 20060101ALI20240417BHJP
   C22B 3/06 20060101ALI20240417BHJP
   C22B 3/08 20060101ALI20240417BHJP
   C22B 3/10 20060101ALI20240417BHJP
   C22B 3/22 20060101ALI20240417BHJP
   B09B 3/70 20220101ALI20240417BHJP
【FI】
H01M10/54
C22B7/00 C
C22B26/12
C22B23/00 102
C22B3/06
C22B3/08
C22B3/10
C22B3/22
B09B3/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022205244
(22)【出願日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】17/964,412
(32)【優先日】2022-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522346431
【氏名又は名称】アセンド エレメンツ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】キム,キー-チャン
(72)【発明者】
【氏名】グラッツ,エリック
【テーマコード(参考)】
4D004
4K001
5H031
【Fターム(参考)】
4D004AA23
4D004AB03
4D004BA05
4D004CA22
4D004CA34
4D004CB31
4D004CC15
4D004DA06
4K001AA19
4K001AA34
4K001BA22
4K001DB02
4K001DB03
4K001DB04
4K001DB05
4K001DB16
5H031EE01
5H031EE04
5H031HH03
5H031HH06
5H031HH09
5H031RR02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ニッケルに富んだ電池のリサイクルを提供する。
【解決手段】高ニッケルリチウム電池からリチウムをリサイクルする方法であって、使用済みリチウム電池を攪拌して、少なくとも80%のニッケルのカソード材料を含む高ニッケルカソード材料の黒色塊を生成することと、黒色塊中のLiに対する浸出酸の0.4~0.70の範囲のモル比を達成するために、黒色塊中のリチウムのモル量に基づいて浸出酸の量を決定することと、決定した量の浸出酸を黒色塊に添加して、浸出混合物を形成することと、浸出混合物を混合し、60~80℃で1~6時間加熱することと、未溶解材料を除去するために、浸出混合物を1ミクロンのフィルター膜でろ過することと、ナノ濾過によって浸出混合物から溶解したニッケルを除去して、黒色塊から溶解したLiを含む硫酸リチウム溶液を生成することと、逆浸透及び蒸発によって硫酸リチウムを結晶形態に濃縮することと、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池からリチウムをリサイクルする方法であって、
電池のリサイクルの流れからのある量の浸出酸と充電材料のある量の粒状塊を組み合わせることであって、浸出酸の前記量は、前記粒状塊におけるリチウムのモル量に基づくことと、
前記組み合わされた粒状塊と浸出酸を加熱することと、
前記粒状塊からリチウムを回収することと、
を含む方法。
【請求項2】
充電材料の前記粒状塊は、少なくとも80モル%のニッケルを有するカソード材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記浸出酸の前記量は、充電材料の前記粒状塊におけるLiに対する前記浸出酸の0.4~0.7のモル比を達成することに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記充電材料の前記粒状塊は、リチウム系の充電材料を有する電池のリサイクルの流れから受け取られる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記リサイクルの流れは、少なくとも80%のニッケルのカソード材料を有する電池に基づく、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記粒状塊におけるLiに対する前記浸出酸のモル比は、0.045~0.6である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記組み合わされた粒状塊と浸出酸は、60~100℃に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記浸出酸は、硫酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記粒状塊から回収される前記リチウムは、10%未満のニッケルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記粒状塊から回収される前記リチウムは、3%~10%のニッケルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
充電材料、集電体及びケーシングの混合された塊を生成するために廃棄電池を攪拌することと、粒状形態の前記充電材料を分離することとを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
NMC811化学的特性に基づくバッテリーを含むリサイクルの流れから充電材料の前記粒状塊を調達することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
浸出剤は、硫酸、塩酸、酢酸、硝酸、ギ酸、シュウ酸、及びホウ酸からなる群から選択される酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
高ニッケルリチウム電池からリチウムをリサイクルする方法であって、
使用済みリチウム電池のリサイクルの流れを攪拌して、少なくとも80%のニッケルのカソード材料を含む高ニッケルカソード材料の黒色塊を生成することと、
前記黒色塊中のLiに対する浸出酸の0.4~0.70の範囲のモル比を達成するために、前記黒色塊中のリチウムのモル量に基づいて浸出酸の量を決定することと、
前記決定された量の浸出酸を前記黒色塊に添加して、浸出混合物を形成することと、
前記浸出混合物を混合し、60~80℃で1~6時間加熱することと、
未溶解材料を除去するために、前記浸出混合物を1ミクロンのフィルター膜でろ過することと、
ナノ濾過によって前記浸出混合物から溶解したニッケルを除去して、前記黒色塊から溶解したLiを含む硫酸リチウム溶液を生成することと、
逆浸透及び蒸発によって硫酸リチウムを結晶形態に濃縮することと、
を含む方法。
【請求項15】
前記浸出酸は、硫酸である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記モル比は、0.45~0.6の範囲である、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本特許出願は、2022年9月30日付けで出願された“NICKEL-RICH BATTERY RECYCLING”と題する(特許文献1)の利益を、米国特許法第119条(e)の下において主張するものであり、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
リチウムイオン(Li-イオン)電池は、電動モーターの急速な加速が求められる電気自動車(EV)及び電動工具などの高放電用途における二次(充電式)電池に適した化学物体である。リチウムイオン電池は、典型的には、銅又はアルミニウムの平面シートである集電体に適用又は堆積された充電材料、導電性粉末、及びバインダーを含む。充電材料は、典型的には、グラファイト又は炭素であるアノード材料、並びにリチウム、ニッケル、マンガン、コバルト、アルミニウム、鉄及びリンなどの所定の比の金属を含むカソード材料を含み、リチウムイオン電池のいわゆる「電池の化学的特性」を定義する。好ましい電池の化学的特性は、供給メーカー及び用途によって異なり、リチウムイオン電池のリサイクルの取り組みは、典型的には、リサイクルされた充電材料製品の電池の化学的特性の所定のモル比に従う。業界の傾向は、多くの場合、ニッケル、マンガン、及びコバルト(NMC)を5:3:2(532)、6:2:2(622)及び8:1:1(811)などのN:M:Cのモル比で使用することで、よりニッケルに富む化学的特性へと移行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国仮特許出願第63/412,025号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
電池のリサイクルプロセスでは、使用済み電池のリサイクルの流れの中で、ニッケルに富んだカソード材料からリチウムが回収される。高いニッケル含有量のカソード材料の希酸浸出は、カソード材料中のリチウムのモル量に基づく硫酸の混合物を含む。高度に選択的な浸出により、ナノ濾過によって除去可能な少量のニッケルを有するリチウムに富む溶液が生成され、リサイクルの流れに含まれるリチウムの高効率の回収が達成される。リチウム含有量に基づく浸出酸の量と、リサイクルの流れの総黒色塊(black mass)に基づく水の量により、リサイクルの流れが811などの高ニッケルNMC電池に由来する場合、高度に選択的な、ほぼ純粋なリチウムの浸出が得られる。
【0005】
本明細書の構成は、多くの電気自動車が耐用年数を迎えるにつれて、有害な廃棄物源を生成する可能性のある充電材料から潜在的に大きなリサイクルの流れが生じるという認識に、部分的に、基づいている。残念なことに、EV電池のリサイクルに対する従来の手法は、電池の化学的特性において重要な比を形成するニッケル、マンガン、及びコバルトに焦点を当てる傾向がある。リチウムは、他のカソード材料金属に比べて比較的豊富にあるため、収益性の高いリサイクルの目標として多くの場合に見過ごされてきた。従って、本明細書の構成は、撹拌及び解体された電池からの混合されたリサイクルの流れに存在する粒状アノード及びカソード材料の黒色塊からリチウムを選択的に浸出させることによって、カソード材料からリチウムを回収することにより、従来のEV電池リサイクルの欠点を実質的に克服する。
【0006】
更なる詳細には、本明細書の構成は、高いモル比のニッケルを有するリチウム系の充電材料を有する電池からのリサイクルの流れにおける充電材料の粒状塊と、粒状塊におけるリチウムのモル量に基づく量の浸出酸とを組み合わせることにより、電池からLiをリサイクルする方法から得られる有益な向上を実証する。組み合わせれた粒状塊と浸出酸は、粒状塊からリチウムを回収するために加熱され、その結果、ニッケル、コバルト、及びマンガンなどの残留材料のわずかな不純物のみを有する、実質的に全てがリチウムの浸出選択性が得られる。
【0007】
図面の簡単な説明
上記及び他の特徴は、類似の参照文字が、異なる表示に渡り同じ部分を指す、添付の図面に示されるように、本明細書に開示される特定の実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに本発明の原理を示すことに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本明細書の構成での使用に適したリサイクル環境のコンテキスト図である。
図2図1の環境におけるリチウムリサイクルのフローチャートである。
図3】硫酸に対するリチウムの比に基づく浸出選択性のグラフである。
図4図1~3での浸出の定量的結果のチャートを示す。
図5】高くないニッケル充電材料を使用した浸出の逆の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な説明
以下に示すのは、少量のニッケルとごくわずかなコバルト及びマンガンを有するリチウムを選択的に生成するために、ニッケルに富んだ(NMC811、又は少なくとも80%のニッケルカソード材料)などの電池をリサイクルするための方法と手法の例である。リチウムイオン電池は、多くの用途に使用されており、電子機器、電気自動車、及びエネルギー貯蔵システムにとってますます重要になっている。新たなEV要件を満たすために、リチウム需要の増加は、天然資源(採掘、海又は湖水からの分離/濃縮)又は使用済みリチウムイオン電池からのリサイクルに負担をかける。関連する天然資源は限られており、従来のリサイクルプロセスは、環境に非常に悪影響を及ぼす。使用済み(寿命が尽きた及び/又は使い果たされた)リチウムイオン電池は、リチウムの存続可能な資源であり、ほとんどの天然資源よりも高いリチウム密度を表す。より高いエネルギー容量とより低い原材料費用により、高ニッケル三元又は四元電池が注目を集めている。高ニッケル電池は、5~10年以内に寿命を迎え、使用済みリチウムイオン電池の大部分を占める。使用済み電池からリチウムを保存するために、黒色塊からの初期段階のリチウム回収方法がますます重要になっている。従って、近い将来、使用済みEV電池の大部分を定義することになる、高ニッケルNMC又はNCMA電池からの初期段階の高度に選択的なリチウム浸出及び回収のための方法を開発することは有益である。
【0010】
図1は、本明細書の構成での使用に適したリサイクル環境の一実施形態のコンテキスト図である。図1を参照すると、電池リサイクル環境100において、リサイクルの流れ101は、使用済み電池105の攪拌(例えば、破砕、粉砕、微粉化)の結果として粒状化された、電池ケーシング110、集電体111、及び充電材料112をもたらす。攪拌され、解体された電池は、多くの場合、カソード材料(典型的にはNMC)とアノード材料(グラファイト及びカーボン)の両方の混合物を示す黒色塊を含む混合された配合になる。物理的なケーシング、並びに集電体及び内部接点から生じる鉄、アルミニウム、及び銅など、その他の様々な不純物も現れる場合がある。本明細書の特定の構成は、使用済みの高ニッケルNMC三元及び/又はNMCA四元リチウムイオン電池から希硫酸を用いてリチウムが選択的に浸出されることをもたらす。
【0011】
開示された手法は、電池のカソード金属中のNiのパーセントが80%以上である場合に最適である。カソード材料を含む黒色塊は、硫酸などの浸出酸の溶液及び水と共に浸出混合物120中で組み合わされる。格納容器122は、浸出酸(この実施形態では硫酸)と共に黒色塊を受け取る。好ましくは、リチウムに対する浸出酸のモル比は、0.4~0.7(例えば、0.45~0.7又は0.45~0.6)であり、水(体積)対黒色塊固体(重量)比は、1~5である。換言すれば、硫酸は、Liのモル量に基づき、水は、黒色塊の重量に基づく。
【0012】
格納容器122において、熱源124は、1時間~6時間の反応時間で60℃~100℃の反応温度をもたらす。格納容器122内の浸出液から得られる生成物130は、80~99%のリチウム浸出をもたらし、ニッケル浸出は、3~10%未満であり、コバルト及びマンガン浸出速度は、無視できる。浸出液中のニッケル不純物は、ナノ濾過によって除去できる。生成物130中のリチウムは、結晶化によりLiSOとして回収される、又はCa(OH)、CaO、Mg(OH)若しくはMgOを添加することによりLiOHに変換される、NaCOを添加することによりLiCOに変換される、又はNaF若しくはHFを添加することによりLiFに変換される。
【0013】
図2は、図1の環境におけるリチウムリサイクルのフローチャート200である。図1及び2を参照すると、Liイオン電池からリチウムをリサイクルする方法は、工程201で、高ニッケル(NMC811以上)の使用済み電池に基づくLiイオンリサイクルの流れを特定することを含む。リチウムの選択的浸出は、充電材料/黒色塊中のニッケル濃度が高い場合に最も容易に起こる。これは、ニッケルが浸出酸の存在下でNi3+からNi2+に容易に還元されるためであり得る。工程202において、高ニッケルのリチウム系の充電材料を有する電池からのリサイクルの流れにおいて、充電材料の粒状塊が受け取られ、工程203に示されるように、粒状塊中のリチウムのモル量に基づいて、浸出酸が粒状塊と組み合わされる。硫酸を浸出酸として使用することができ、代替的に、塩酸、酢酸、硝酸、ギ酸、シュウ酸、ホウ酸、又は他の適切な有機酸又は無機酸を、浸出溶液に過剰なニッケルを導入することなく、リチウムを選択的に溶解する能力に基づいて使用することができる。
【0014】
これは、工程204に示されるように、充電材料におけるLiに対するHSOの0.45~0.7のモル比を達成することに基づいて、浸出酸の量を計算する、或いは決定することを含む。酸の量は、約2~1のリチウム対硫酸塩であると一般化することができ、従って、酸の量は、黒色塊のカソード部分におけるリチウムのモル比に基づく。電池の構造によって、カソードとアノードの材料の比率が決まり、ほとんどの場合、ほぼ実質的に等しくなり、電池の化学的特性は、リチウムと組み合わされてカソード材料を定義する金属を示す。ニッケルがカソード材料の約80%である場合、浸出は最も選択的であることを思い出されたい。
【0015】
熱源124は、粒状塊と浸出酸との混合物120を加熱して粒状塊からリチウムを回収し、数時間に渡る高度に選択的なリチウム浸出を達成する。
【0016】
開示された手法は、リチウムをリサイクルするための簡易で独自の費用対効果の高い方法を提供する。一般的な構成では、高ニッケルNMC又はNMCA黒色塊(BM)が、既知量の希硫酸溶液に分散される(HSO/カソードモル比=0.45~0.70、HO(v)/BM(w)比=1~5)。次いで、混合物を60~100℃で1~6時間撹拌する。反応後、混合物を1ミクロンのフィルター膜で濾過する。次いで、ナノ濾過(NF)によりニッケル不純物を除去する。ナノ濾過から不純物が除去された透過物は、硫酸リチウム溶液である。この溶液を、逆浸透(RO)濾過によって更に濃縮し、次いで更なる蒸発によって濃縮物から硫酸リチウムを結晶化させる。RO濃縮液中のリチウムは、炭酸ナトリウムを添加することによりLiCO沈殿物として、又はフッ化ナトリウム又はフッ化水素酸により沈殿させることによりハロゲン化リチウムとして回収することができる。RO濃縮物中の硫酸リチウムは、カルシウム、水酸化マグネシウム、又は酸化マグネシウムを添加し、副生成物であるカルシウム又は硫酸マグネシウムの沈殿物を限外濾過によって除去し、次いで、濾液からLiOHを結晶化することによって、水酸化リチウムに変換することもできる。
【0017】
図3は、硫酸に対するリチウムの比に基づく浸出選択性のグラフ300である。図3では、Li(301)の浸出パーセントが、Ni(303)の浸出パーセントと共に示されており、これは、実質的に純粋な硫酸リチウムを生成するために後で除去することができ、水平軸305におけるLiに対する硫酸の様々な比である。開示された結果は、高いリチウム浸出及び選択性を示している。好ましくは10%以下である、Liと共に浸出されるNiのパーセントはごくわずかである。浸出したCoとMnの量は、無視できる。
【0018】
図4は、図1~3での浸出の定量的結果のチャート400を示す。図4を参照すると、リチウムに対する浸出酸のモル比を変動させた3回の浸出試験が示されており、Niの浸出が最小限であるLiの実質的な回収を実証している。
【0019】
図5は、高くないニッケル充電材料を使用した浸出の逆の結果500を示している。上に示したように、NMC-811の場合のように少なくとも80%のNiであるカソード材料中の高いニッケル含有量は、実質的に全てのリチウムの浸出回収の高度に選択的な性質に寄与する。図5は、NMC-622などのより低いニッケル充電材料との違いを示している。リチウム(501)は、依然として浸出金属の大部分を占めているが、他のカソード材料の金属は、より多くの望ましくない量で現れる。例えば、Ni含有量(503)は、2番目に高い浸出収率であり、Co(505)とMn(507)がそれに続く。
【0020】
特定の構成では、高ニッケルリチウム電池からリチウムをリサイクルするための開示された方法は、使用済みリチウム電池のリサイクルの流れを攪拌して、少なくとも80%ニッケルのカソード材料を含む高ニッケルカソード材料の黒色塊を生成すること、及びHSO-Liの0.4~0.70の間の範囲のモル比、又は一般に約2~1のリチウム対酸のモル比、又はより具体的には硫酸の1.0~1.2モルに対するLiの2.0モルのモル比を達成するために、黒色塊中のリチウムのモル量に基づいて硫酸の量を決定することを含む。この手法では、決定された量の硫酸と黒色塊を組み合わせて浸出混合物を形成し、次いで浸出混合物を混合して60~80℃で1~6時間加熱する。浸出混合物は、黒色塊から未溶解材料を除去するために1ミクロンのフィルター膜で濾過され、溶解したニッケルは、ナノ濾過によって浸出混合物から除去されて、黒色塊から溶解したLiを含む硫酸リチウム溶液が得られる。逆浸透及び蒸発によって硫酸リチウムを結晶形態に濃縮することにより、リサイクルされた充電材料前駆体を回収することができる。
【0021】
本明細書で定義されるシステム及び方法は、その実施形態を参照して具体的に示され、説明されてきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における様々な変更を行うことができることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0022】
100 電池リサイクル環境
101 リサイクルの流れ
105 電池
110 電池ケーシング
111 集電体
112 充電材料
120 浸出混合物
120 混合物
122 格納容器
124 熱源
130 生成物
200 フローチャート
201 工程
202 工程
203 工程
204 工程
300 グラフ
301 Liの浸出パーセント
303 Niの浸出パーセント
305 水平軸
400 チャート
500 結果
501 リチウム
503 Ni
505 Co
507 Mn
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】