(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057584
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】携行型時計のベゼル又は風防を駆動するためのプレス装置
(51)【国際特許分類】
G04D 3/00 20060101AFI20240417BHJP
G04D 3/06 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
G04D3/00
G04D3/06
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023160697
(22)【出願日】2023-09-25
(31)【優先権主張番号】22201030.8
(32)【優先日】2022-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ユースレル
(57)【要約】
【課題】 単一の支持体を備えるプレス装置を用いて、ミドル部の寸法にかかわらず、単純かつ迅速に、風防又はベゼルを携行型時計ケースのミドル部に入れ込む。
【解決手段】 本発明は、風防又はベゼル(11)を携行型時計のミドル部(12)に入れ込むためのプレス装置(10)に関し、これは、ミドル部(12)を所定の位置に保持するための支持体(20)と、工具(33)が取り付けられる工具ホルダー(31)を支持するブラケット(30)とを備え、工具ホルダー(31)は、並進運動可能であり、ハンドリングメンバー(32)と連係して、ハンドリングメンバー(32)によってアクチュエートされたときに軸A-Aに沿ってブラケット(30)に対して摺動し、支持体(20)には、ミドル部(12)と連係してミドル部(12)を所定の位置に保持するように設計されている少なくとも2つの顎体(21)があり、各顎体(21)は、軸A-Aに直交する平面P内を動くことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風防又はベゼル(11)を携行型時計のミドル部(12)に入れ込むためのプレス装置(10)であって、
前記ミドル部(12)を所定の位置に保持するための支持体(20)と、
工具(33)が取り付けられる工具ホルダー(31)を支持するブラケット(30)とを備え、
前記工具ホルダー(31)は、並進運動可能であり、ハンドリングメンバー(32)と連係して、前記ハンドリングメンバー(32)によってアクチュエートされたときに軸A-Aに沿って前記ブラケット(30)に対して摺動し、
前記支持体(20)には、前記ミドル部(12)と連係して前記ミドル部(12)を所定の位置に保持するように設計されている少なくとも2つの顎体(21)があり、
各顎体(21)は、前記軸A-Aに直交する平面P内を動くことができ、
前記顎体(21)は、前記ミドル部(12)の内面に支持されるように設計されており、前記支持体(20)にある弾性メンバー(22)によって誘発されたときに、互いに離れる傾向にあり、これによって、前記ミドル部(12)にクランプ力を与える
ことを特徴とするプレス装置(10)。
【請求項2】
前記支持体(20)には、前記顎体(21)に運動学的に接続される接続メンバーがあり、これによって、前記支持体(20)は、誘発されたときに、弾性メンバー(22)によって与えられる力に抗して、前記顎体(21)を前記軸A-Aの方へと変位させる
ことを特徴とする請求項1に記載のプレス装置(10)。
【請求項3】
前記支持体(20)には、まっすぐな溝(240)が形成された基部(24)があり、
前記接続メンバーは、前記基部(24)に対して前記軸A-Aを中心として回転可能なように構成しているプレート(23)の形態であり、
前記接続メンバーには、らせん溝(230)が形成されており、
前記顎体(21)は、前記基部(24)と前記プレート(23)にある溝にて摺動可能に係合して、前記軸A-Aのまわりに前記プレート(23)が回転することによって、前記顎体(21)が前記軸A-Aに直交する平面内にて並進運動をする
ことを特徴とする請求項2に記載のプレス装置(10)。
【請求項4】
前記まっすぐな溝(240)には、T字状の断面があり、
前記顎体(21)にはそれぞれ、前記ミドル部(12)と連係するように意図された頭部(210)があり、
前記頭部(210)は、前記まっすぐな溝(240)の形状に対して相補的な形状である足部(211)に取り付けられ、
これによって、前記足部(211)は、前記まっすぐな溝のうちの1つのまっすぐな溝内にて摺動する
ことを特徴とする請求項3に記載のプレス装置(10)。
【請求項5】
前記弾性メンバー(22)は、ねじれ応力を受け、第1の端にて前記プレート(23)に、第2の端にて前記基部(24)に、接続される
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のプレス装置(10)。
【請求項6】
前記プレート(23)には、把持メンバー(25)があり、
これによって、前記把持メンバーがユーザーによってアクチュエートされたときに、前記プレート(23)は、前記弾性メンバー(22)によって発生する力に抗して回転可能である
ことを特徴とする請求項5に記載のプレス装置(10)。
【請求項7】
前記顎体(21)は、前記軸A-Aのまわりにて均等に分布している
ことを特徴とする請求項1に記載のプレス装置(10)。
【請求項8】
前記支持体(20)には、前記基部(24)に接続された角度的ポジショニング要素(26)があり、
この角度的ポジショニング要素(26)は、前記ミドル部(12)と連係して、前記軸A-Aのまわりのあらゆる回転自由度をなくすように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載のプレス装置(10)。
【請求項9】
前記顎体(21)の少なくとも1つには、入れ込まれるべきベゼル(11)又は風防の前記ミドル部(12)に対する向き整合をガイドするためのグラフィック表現(212)がある
ことを特徴とする請求項8に記載のプレス装置(10)。
【請求項10】
前記支持体(20)には、前記弾性メンバー(22)のテンションを調整するように構成しているアダプターソール(27)があり、
このアダプターソール(27)は、前記弾性メンバー(22)の第2の端を取り付けることによって受け、回転可能に前記基部(24)に取り付けられ、
前記アダプターソール(27)には、前記基部(24)に対する回転に抗して前記アダプターソール(27)をロックするメンバーがある
ことを特徴とする請求項1に記載のプレス装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ技術の分野、特に、携行型時計(例、腕時計、懐中時計)の分野、例えば、アフターセールスサービス、の分野に属する。
【0002】
特に、本発明は、携行型時計のベゼル又は風防を携行型時計ケースのミドル部に入れ込むためのプレス装置に関する。
【背景技術】
【0003】
携行型時計に対するアフターセールスサービスを行うために、携行型時計の風防を取り外す必要がある場合がある。このために、従来技術の欧州特許文献EP3835888に記載されているような、携行型時計の風防を取り外すための工具が開発されている。
【0004】
サービス操作を行った後には、風防、そして必要に応じてベゼルを携行型時計ケースのミドル部に入れ込まなければならない。この操作を行うためのプレス装置がよく知られており、このプレス装置は、ユーザーが制御メンバーをアクチュエートするときに、工具ホルダーが摺動するブラケットとは反対側の所定の位置にミドル部を保持するための支持体を備える。工具ホルダーは、風防に圧力を与えて、ミドル部に形成された開口内に入れ込むように設計されている工具を担持する。
【0005】
一般的には、プレス装置の支持体は取り外し可能であり、寸法が異なるいくつかの支持体をユーザーが保有して、ユーザーがサービスを行うことがある異なる大きさの携行型時計ケースのミドル部に適合させることができる。したがって、ユーザーには、多種多様な携行型時計に対してサービスを行うことができるように、十分に多くの異なる支持体があることを確実にしなければならない。
【0006】
本発明は、これらの異なる支持体の必要性、特に、それらの保管や使用に関連する課題をなくすことを目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、単一の支持体を備えるプレス装置を用いて、ミドル部の寸法にかかわらず、単純かつ迅速に、風防又はベゼルを携行型時計ケースのミドル部に入れ込むことを可能にする手法を提供することによって、課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、本発明は、風防又はベゼルを携行型時計のミドル部に入れ込むためのプレス装置に関し、前記ミドル部を所定の位置に保持するための支持体と、工具が取り付けられる工具ホルダーを支持するブラケットとを備え、前記工具ホルダーは、並進運動可能であり、ハンドリングメンバーと連係して、前記ハンドリングメンバーによってアクチュエートされたときに軸A-Aに沿って前記ブラケットに対して摺動する。
【0009】
前記支持体には、前記ミドル部と連係して前記ミドル部を所定の位置に保持するように設計されている少なくとも2つの顎体があり、各顎体は、前記軸A-Aに直交する平面P内を動くことができ、このように、本発明の特徴のおかげで、支持体を変えずに、ベゼル又は風防を任意の大きさのミドル部に入れ込むためにプレス装置を用いることができる。
【0010】
特定の実施形態において、本発明は、さらに、単独で又は技術的に可能な任意の組み合わせに従って、以下の特徴のうちの1つ又は複数を有することができる。
【0011】
特定の実施形態において、前記顎体は、前記ミドル部の内面に支持されるように設計されており、前記支持体にある弾性メンバーによって誘発されたときに、互いに、すなわち、軸A-Aから、離れる傾向にあり、これによって、前記ミドル部にクランプ力を与えて、前記ミドル部を所定の位置に保持する。
【0012】
特定の実施形態において、前記支持体には、前記顎体に運動学的に接続される接続メンバーがあり、これによって、前記支持体は、応力が与えられたときに、弾性メンバーによって与えられる力に抗して、前記顎体を前記軸A-Aの方へと変位させる。
【0013】
特定の実施形態において、前記支持体には、まっすぐな溝が形成された基部があり、前記接続メンバーは、前記基部に対して前記軸A-Aを中心として回転可能なように構成しているプレートの形態であり、前記接続メンバーには、らせん溝が形成されている。前記顎体は、前記基部と前記プレートにある溝にて摺動可能に係合して、前記軸A-Aのまわりに前記プレートが回転することによって、前記顎体が前記平面内にて並進運動をする。
【0014】
特定の実施形態において、前記まっすぐな溝には、T字状の断面があり、前記顎体にはそれぞれ、前記ミドル部と連係するように意図された頭部があり、前記頭部は、前記まっすぐな溝の形状に対して相補的な形状である足部に取り付けられ、これによって、前記足部は、前記まっすぐな溝のうちの1つのまっすぐな溝内にて摺動する。
【0015】
特定の実施形態において、前記弾性メンバーは、ねじれ応力を受け、第1の端にて前記プレートに、第2の端にて前記基部に、接続される。
【0016】
特定の実施形態において、前記プレートには、把持メンバーがあり、これによって、前記把持メンバーがユーザーによってアクチュエートされたときに、前記プレートは、前記弾性メンバーによって発生する力に抗して回転可能である。
【0017】
特定の実施形態において、前記顎体は、前記軸A-Aのまわりにて均等に分布している。
【0018】
特定の実施形態において、前記支持体には、前記基部に接続された角度的ポジショニング要素があり、この角度的ポジショニング要素は、前記ミドル部と連係して、前記軸A-Aのまわりのあらゆる回転自由度をなくすように構成している。
【0019】
特定の実施形態において、前記顎体の少なくとも1つには、入れ込まれるべきベゼル又は風防の前記ミドル部に対する向き整合をガイドするためのグラフィック表現がある。
【0020】
特定の実施形態において、前記支持体には、前記弾性メンバーのテンションを調整するように構成しているアダプターソールがあり、このアダプターソールは、前記弾性メンバーの第2の端を取り付けることによって受け、回転可能に前記基部に取り付けられ、前記アダプターソールには、前記基部に対する回転に抗して前記アダプターソールをロックするメンバーがある。
【0021】
添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによって、本発明の別の特徴及び利点が明らかになる。この説明は、例示として与えられるものであり、限定するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の好ましい実施形態に係るプレス装置の斜視図であり、このプレス装置には、携行型時計ケースのミドル部を所定の位置に保持する支持体があり、このミドル部にベゼルが入れ込まれる。
【
図2】
図1に示しているプレス装置の支持体の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、風防又はベゼル11を携行型時計ケースのミドル部12に入れ込むためのプレス装置10を示しており、このプレス装置10には、自由度が一切なくミドル部12を所定の位置に保持するように設計されている支持体20があり、この支持体20は、前記風防又はベゼル11が入れ込まれたときに前記風防又はベゼル11を受ける。
【0024】
プレス装置10には、さらに、この入れ込む操作を行うために、工具ホルダー31を支持するブラケット30があり、この工具ホルダー31は、並進運動可能であり、ハンドリングメンバー32がユーザーによってアクチュエートされたときに、ハンドリングメンバー32と連係して、例えば、係合する開口内にて、軸A-Aに沿って前記ブラケット30に対して摺動する。当然、軸A-Aは、図面に示しているように、ミドル部12の中心に対応するように意図されている。
【0025】
当業者によく知られているプレス装置のチャックのような工具33は、例えば、クランプ、磁化、ねじ込み、又は他の任意の適切な手段によって、工具ホルダー31に取り付けられる。
【0026】
特に、ハンドリングメンバー32を、
図1に示している本発明の例示的実施形態において示しているように、回転可能なレバーによって形成することができる。特に、工具ホルダー31は、ラック(
図1では見えない)を形成するために長さの一部に沿ってノッチが形成されたシャフトを備えることができ、このラックの歯は、ハンドリングメンバー32とともに装備される歯車と連係し、この歯車はレバーに取り付けられる。
【0027】
有利なことに、支持体20は、調整可能な半径方向の寸法を有し、この寸法は、軸A-Aに直交する平面P内にて定められる。ここで、「半径方向」という用語は、支持体20によって所定の位置に保持されるように意図されたミドル部12の半径方向の寸法を意味するように用いられる。
【0028】
このようにして、あらゆるミドル部の寸法に支持体を適合させることができ、取り外し可能な支持体の必要性をなくし、取り付け操作を容易にすることができる。
【0029】
特に、支持体20には、軸A-Aのまわりにて均等に分布する、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、の顎体21、があり、この顎体21は、ミドル部12を所定の位置に保持するようにクランプすることによってミドル部12と連係するように設計されている。各顎体21は、下において詳細に説明するように、平面P内を動くことができる。本発明のこの例示的実施形態において、支持体20には、対で互いに直径方向の反対側にある6つの顎体21がある。この特徴は、ケースのミドル部12に与えられる力の分布が最適であることを確実にする。
【0030】
本発明の好ましい実施形態において、顎体21は、支持体20において配置された弾性メンバー22の効果の下で、互いに、すなわち軸A-Aから、離れる傾向があり、これによって、ミドル部12の内面に支持されて、このミドル部12にクランプ力を与えることができる。したがって、所定の位置に保持されている間は、ミドル部12の可視面を損傷してしまうリスクがない。
【0031】
また、顎体21は、有利なことに、軸A-Aに直交する平面内にある上側支持面上にて、ミドル部12、特にその肩部、を支持するように設計されている。この特徴は、入れ込み操作中に工具33が発生させる力がミドル部12によって前記上側支持面に伝達されるかぎり、入れ込み操作中のミドル部12の安定性に寄与する。
【0032】
顎体21を変位させるために、支持体20には、接続メンバーがあり、この接続メンバーは、顎体21に運動学的に接続されて、弾性メンバー22によって与えられる力に抗して誘発されたときに、下記のように、支持体20は顎体21を、軸A-Aの方へと、すなわち、互いに近くなる方へと、動かす。接続メンバーは、
図1~3に示している本発明の好ましい例示的実施形態において、プレート23の形態である。
【0033】
本発明の好ましい実施形態において、
図3の分解図に示しているように、支持体20には、ブラケット30に対して固定される基部24がある。プレート23は、例えば、滑りベアリング、ボールベアリング又は他の適当な手段を利用して、軸A-Aを中心として基部24上に回転可能に取り付けられる。
【0034】
基部24には、軸A-Aに直交する平面内にて長手方向に、例えば、軸A-Aを通過する長手方向の軸に沿って、形成されているまっすぐな溝240があり、このまっすぐな溝240は、軸A-Aのまわりにて均等に分布する。プレート23には、軸A-Aのまわりにて均等に分布した、らせん溝230があり、各らせん溝230は、まっすぐな溝240に部分的に対向し、また、このらせん溝230は、軸A-Aに直交する平面内において長手方向に延在している。らせん溝230は、好ましくは、曲がっている。
【0035】
図示しているように、基部24とプレート23にはそれぞれ、特定の数のまっすぐな溝240と、顎体21の数に対応する数のらせん溝230があり、これによって、各顎体21は、まっすぐな溝240とらせん溝230内にて摺動可能に係合する。したがって、軸A-Aを中心とするプレート23の回転は、軸A-Aに直交する軸に沿って顎体21を並進運動させ、これらの顎体21は、前記プレート23の回転方向に応じて、互いに離れたり近づいたりする。
【0036】
同様に、基部24にらせん溝230があり、プレート23にまっすぐな溝240があることを考えることができる。
【0037】
図1~3に示しているように、本発明の好ましい例示的な実施形態において、まっすぐな溝240は、プレート23に対向するように開いている開口部から底部側へと形成されているT字形の断面を有する。
【0038】
また、この好ましい実施形態において、顎体21にはそれぞれ、プレート23上に載置される頭部210があり、顎体21は、この頭部210を利用して、ミドル部12と連係するように意図されており、各頭部210は、足部211に取り付けられる。
図3に示しているように、足部211はそれぞれ、一方では、第1の部分2110を介してらせん溝230を通り抜け、他方では、第2の部分2111を介してまっすぐな溝240内にて係合する。足部211の第2の部分2111は、有利なことに、並進運動を行うように単一の自由度に制約されるように、まっすぐな溝240の形状に対して相補的な形状である。したがって、プレート23の回転は、各らせん溝230を、その側壁の1つを介して、連係する足部211の第1の部分2110に推力を与えるように強いて、これによって、この足部211の第2の部分2111が並進運動をし、したがって、各顎部21が摺動する。
【0039】
顎体21は、必要に応じて交換することができるように取り外し可能であることができ、これによって、プレス装置10のメンテナンス操作を単純化することができる。図示しており
図3の分解図において詳細に見ることができる例示的な実施形態において、各頭部210は、足部211に形成されたねじ山にねじをねじ込むことによって足部211に取り付けられる。
【0040】
好ましくは、弾性メンバー22は、ねじり応力を与えられるように設計され、プレート23が基部24に対して回転するように、第1の端がプレート23に、そして、第2の端が基部24に、接続される。弾性メンバー22は、例えば、らせんねじりばねである。
【0041】
図1~3に示している例示的な実施形態において、プレート23には、有利なことに、把持メンバー25があり、これによって、弾性メンバー22が発生させる力に抗してユーザーがプレート23を回転させることができる。そして、弾性メンバー22は、
図2に示しているように、可能なかぎり軸A-Aに近づくまで、例えば、顎体21が極端な当接位置に到達するまで、顎体21を互いに近づけるように応力を与えられることができ、これによって、これらの顎体21上にて、風防又はベゼルを入れ込まなければならないミドル部12が係合することが可能になる。ミドル部12は、ユーザーが把持メンバー25を放すと、所定の位置に保持される。そして、特に、プレート23は、弾性メンバー22の作用の下で回転して、顎体21をミドル部12に接触させ、これによって、クランプ力を前記ミドル部12に与える。
【0042】
把持メンバー25は、
図1~3においてユーザーが取り扱うように意図されたハンドルの形態であるものを示している。しかし、本発明の他の実施形態において、把持メンバーは、プレート23に運動学的に接続され制御モジュールによって制御される電気モーターによって構成していてもよい。
【0043】
支持体20には、角度的ポジショニング要素26があることができ、この角度的ポジショニング要素26は、
図1~3に示しているように、基部24に接続され、ミドル部12と連係して、軸A-Aのまわりのミドル部12のあらゆる潜在的な回転自由度をなくすように構成している。この角度的ポジショニング要素26は、ミドル部12が所定の位置に保持されることをさらに確実にすることに加えて、工具33が所定の位置に配置されたときの工具33に対する完璧なポジショニングを確実にする。
【0044】
図1~3において、このような角度的ポジショニング要素26は、基部24の周部に連結されるアームによって支持されるシャフトによって形成され、このシャフトは、並進運動可能であり、ミドル部12にある開口、例えば、リュウズのシャフトを受けるように意図された開口、内にて係合するように意図されている。
【0045】
有利なことに、支持体20には、さらに、弾性メンバー22のテンションを調整するためのアダプターソール27があることができ、これは、結果的に、支持体20が与えることができる力の強度を調整することができる。このソール27は、基部24の下に載置され、この基部24に取り外し可能に取り付けられ、弾性メンバー22の第2の端を受けて取り付けられる。
【0046】
ソール27は、例えば軸A-Aを中心とする、前記基部24に対する回転自由度があって、弾性メンバー22のテンションが、基部24に対するソール27の角位置に応じて変わるように構成している。ソール27には、さらに、回転ロック用メンバーがあり、この回転ロック用メンバーは、例えば、
図3に示しているように、一方では、中心がソール27の回転軸と一致する円弧に沿って延在しているソール27にある溝271を通り抜けて係合するように、他方では、まっすぐな溝240と反対側の基部24の面に形成されるねじ山に係合するように、設計されている、ねじ270によって形成される。このようにして、ねじをねじ込んだり緩めたりすることによって、ソール27と基部24の相対的回転が自由となったり自由でなくなったりする。好ましくは、ソール27には、溝271及び基部24にあるねじ山に係合する複数のねじ270がある。また、ピンなどの他の回転ロック用メンバーも可能である。
【0047】
有利なことに、本発明のおかげで、例えば、前記ベゼル11が装飾されていたりインデックスを有していたりする場合、又は前記風防に拡大要素がある場合に、ベゼル11又は風防がミドル部12に入れ込まれているときに、ミドル部12に対するベゼル11又は風防の向き整合を制御することが可能になる。特に、顎体21の頭部210には、ミドル部12に入れ込まれるベゼル11又は風防の角位置をガイドするために、例えば支持面上に、グラフィック表現212があることができる。特に、グラフィック表現212を、ユーザーがベゼル又は風防を向き整合させなければならない基準点を提供するように、作ることができる。
【符号の説明】
【0048】
10 プレス装置
11 ベゼル
12 ミドル部
20 支持体
21 顎体
22 弾性メンバー
23 プレート
24 基部
25 把持メンバー
26 角度的ポジショニング要素
27 アダプターソール
30 ブラケット
31 工具ホルダー
32 ハンドリングメンバー
33 工具
210 頭部
211 足部
212 グラフィック表現
230 らせん溝
240 まっすぐな溝
270 ねじ
【外国語明細書】