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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057591
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】ヒートポンプを備える道路製造機
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/48 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
E01C19/48 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023172716
(22)【出願日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】22201075
(32)【優先日】2022-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596068349
【氏名又は名称】ヨゼフ フェゲーレ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アヒム ユール
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052BD11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】改良された加熱システムを備える、路面仕上げ機又は路面仕上げ機用の投入車両の形態である道路製造機を提供する。
【解決手段】舗装層を形成するための路面仕上げ機の形態又は路面仕上げ機に敷設材を搬送するための投入車両の形態である道路製造機であって、道路製造機は、トラクタ、主駆動源、シャシ、材料バンカー及び加熱システム11,11’を備え、加熱システムはヒートポンプを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装層(ES)を形成するための路面仕上げ機(2)の形態又は路面仕上げ機(2)に敷設材(B、B’)を搬送するための投入車両(13)の形態である道路製造機(1)であって、トラクタ(11,11’)、主駆動源(3,3’)、シャシ(4,4’)、材料バンカー(5,5’)及び加熱システム(11,11’)を備える道路製造機(1)であり、
前記加熱システム(11,11’)はヒートポンプ(14,14’)を備えることを特徴とする、道路製造機(1)。
【請求項2】
前記道路製造機(1)は路面仕上げ機(2)であり、前記加熱システム(11,11’)は、熱前記路面仕上げ機(2)のスクリード(8)を加熱することを特徴とする、請求項1に記載の道路製造機。
【請求項3】
前記道路製造機(1)は、前記道路製造機(1)のエネルギー貯蔵装置(29,29’)から前記主駆動源(3,3’)に電源供給し、前記加熱システム(11,11’)は、前記エネルギー貯蔵装置(29,29’)を冷却することを特徴とする、請求項1又は2に記載の道路製造機。
【請求項4】
前記ヒートポンプ(14,14’)は、少なくとも1つの蒸発器(15,15’)、1つの液化器(16,16’)、1つのコンプレッサ(17,17’)、及び/又は、1つの膨張弁(18,18’)を備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の道路製造機。
【請求項5】
前記加熱システム(11,11’)は、前記道路製造機(1)の少なくとも1つの第1の構成要素(12,12’)を加熱し、及び、前記道路製造機(1)の少なくとも1つの第2の構成要素(35,35’)を冷却することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の道路製造機。
【請求項6】
前記加熱システム(11,11’)は、前記加熱システム(11,11’)の第1の回路(21,21’)中を循環する第1の作動媒体(22,22’)、及び/又は、前記加熱システム(11,11’)の第2の回路(27,27’)中を循環する第2の作動媒体(28,28’)、及び/又は、前記加熱システム(11,11’)の第3の回路(30,30’)中を循環する第3の作動媒体(31,31’)を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の道路製造機。
【請求項7】
前記ヒートポンプ(14,14’)は、前記第2の作動媒体(28,28’)の第1の温度(T1,T1’)を第2の温度(T2,T2’)に高めることを特徴とする、請求項6に記載の路面仕上げ機。
【請求項8】
前記第3の回路(30,30’)中を循環する前記第3の作動媒体(31,31’)の温度(T)は、75℃~200℃、好ましくは100℃~150℃であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の路面仕上げ機。
【請求項9】
前記加熱システム(11,11’)は、空気流生成装置(23,23’)により、前記第1の作動媒体(22,22’)を前記第1の回路(21,21’)に供給することを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の道路製造機。
【請求項10】
前記第1の作動媒体(22,22’)は、前記道路製造機(1)のエネルギー貯蔵装置(29,29’)の少なくとも1つの冷却器(37,37’)と熱交換接触していることを特徴とする、請求項6~9のいずれか一項に記載の道路製造機。
【請求項11】
前記第3の作動媒体(31,31’)は前記第1の構成要素(12,12’)と熱交換接触していることを特徴とする、請求項6~10のいずれか一項に記載の道路製造機。
【請求項12】
前記第1の作動媒体(22,22’)及び/又は前記第2の作動媒体(28,28’)及び/又は前記第3の作動媒体(31,31’)は、不凍剤を含有することを特徴とする、請求項6~11のいずれか一項に記載の道路製造機。
【請求項13】
前記ヒートポンプ(14,14’)は前記トラクタ(11,11’)に配置されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の道路製造機。
【請求項14】
前記ヒートポンプ(14,14’)は前記第1の構成要素(12,12’)に配置されることを特徴とする、請求項3~11のいずれか一項に記載の道路製造機。
【請求項15】
舗装層(ES)を形成するための路面仕上げ機(2)の形態又は路面仕上げ機(2)に敷設材(B、B’)を搬送するための投入車両(13)の形態である道路製造機(1)の加熱システム(11,11’)の操作方法であって、前記道路製造機(1)は、トラクタ(11,11’)、主駆動源(3,3’)、シャシ(4,4’)及び材料バンカー(5,5’)を備え、前記加熱システム(11,11’)はヒートポンプ(14,14’)を備え、以下の手法ステップ:
-第1の作動媒体(22,22’)を第1の回路(21,21’)中において循環させるステップ、
-前記第1の作動媒体(22,22’)から第2の回路(27,27’)中を循環する第2の作動媒体(28,28’)に熱を伝達させるステップ、
-前記第2の作動媒体(22,22’)を圧縮することにより、前記第2の作動媒体(22,22’)の第1の温度(T1,T1’)を第2の温度(T2,T2’)に高めるステップ、
-前記第2の作動媒体(28,28’)から第3の回路(30,30’)中を循環する第3の作動媒体(31,31’)に熱を伝達させるステップ、
-前記第3の作動媒体(31,31’)から前記道路製造機(1)の第1の構成要素(12,12’)に熱を伝達させるステップ
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の、舗装層を形成するための路面仕上げ機の形態、又は、路面仕上げ機に敷設材を搬送するための投入車両の形態である道路製造機、及び、舗装層を形成するための路面仕上げ機の形態、又は、路面仕上げ機に敷設材を搬送するための投入車両の形態である道路製造機の少なくとも1つの第1の構成要素を加熱するためのシステムを操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5,096,331号明細書には、開口部により生じる循環高圧液体の圧力低下により液体を加熱し、これによりスクリードを加熱する主及び仕上げスクリード用予熱システムが開示されている。米国特許第5,899,630号明細書には、アスファルト舗装機の排気系統からの熱をアスファルト舗装機のスクリードに伝達することが可能である熱交換システムが開示されている。独国特許出願公開第198 36 650 A1号明細書においては、スクリード加熱のための液体摩擦の原理が用いられている。
【0003】
路面仕上げ機は、混合敷設材又は敷設材又は混合アスファルト材、例えばコンクリート、ビチューメン混合敷設材又はアスファルトの舗装を広場、小道又は道路に敷設するために利用される。このような路面仕上げ機は通常、一定量の混合敷設材を保管するための材料バンカーと、敷設する舗装を締固め及びプロファイリングするための、調高式路面仕上げ機のトラクタの機械フレームに固定されたスクリードとを有する。投入車両は敷設材を路面仕上げ機に搬送するために用いられ、通常は、前方材料バンカーと、路面仕上げ機における要求に対応して、敷設材を材料バンカーから後方に搬送して路面仕上げ機の材料バンカーに排出する搬送装置とを備える。
【0004】
スクリード又はスクリードのスクリードプレート及び締固めユニット(タンパ及び押圧レッジ)に対する混合アスファルト材の付着を防ぐために、通常、電気加熱システムが路面仕上げ機のこれらのユニットに組み込まれている。電気加熱システムを組み込むことが可能な、路面仕上げ機及び投入車両の他の構成要素又は作業ユニット、並びに、その材料バンカー及び/又は搬送システムも存在する。例えば10kWのスクリード加熱性能及び約50%の操作時間では、10時間の作業日に約50kWhの電気エネルギーが必要とされる。これにより、相当なエネルギーコストが生じてしまう。さらに、電動式道路製造機における例えばスクリードといった作業ユニットの電気加熱では、例えば200l以上の範囲内といった高いアキュムレータ容量が要求されることとなる。従って、道路製造機の構造を適応させる必要があり、これがさらなるコストを引き起こすこととなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題に関して改良された加熱システムを備える、路面仕上げ機又は路面仕上げ機用の投入車両の形態である道路製造機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1又は請求項15に記載の特徴によって達成される。
【0007】
本発明は、舗装層を形成するための路面仕上げ機の形態である道路製造機、又、敷設材を路面仕上げ機に搬送するための投入車両の形態である道路製造機であって、道路製造機はトラクタ、主駆動源、シャシ、並びに、材料バンカー及び加熱システムを備える。本発明によれば、加熱システムはヒートポンプを備える。ヒートポンプは、低温で熱エネルギーを取り込み、これを使用可能な熱として、駆動エネルギーと共に、より高い温度で加熱されるべきシステム又は装置に伝達する機械であることが可能である。ヒートポンプを備える加熱システムの利点は、加熱システムの効率又は熱効率の向上である。これは、加熱システムに係るエネルギーコストの削減をもたらすことが可能である。電動式道路製造機に係る本発明のさらなる利点は、加熱に要求されるアキュムレータ容量、及び、従って、アキュムレータに必要な設置スペースを大きくする必要がないことである。ヒートポンプは、例えば空気-流体ヒートポンプ又は流体-流体ヒートポンプであることが可能である。主駆動源は、例えば電動機、水素エンジン、内燃機関及び/又はハイブリッドエンジンであることが可能である。効率を改善するために、ヒートポンプは、例えば、内燃機関により作動される電動機又は発電機による電気エネルギーによって駆動することが可能である。これにより、例えばスクリードの加熱効率は、約300~500%に達する可能性がある。
【0008】
ヒートポンプは、少なくとも1つの蒸発器、1つの液化器、1つのコンプレッサ及び/又は1つの膨張弁を備えることが可能である。ヒートポンプの回路において、作動媒体は例えば循環可能である。蒸発器は、周囲空気又は道路製造機の熱源から熱を引き出し、蒸発器中に位置する作動媒体又は液体を蒸発させ、これを気体状態とするよう構成されることが可能である。コンプレッサは、気体状の作動媒体を圧縮し、これにより、気体状の作動媒体の温度レベル及び圧力レベルを高めるよう構成されることが可能である。液化器は、気体状の作動媒体を凝縮させて、その熱を環境に放散させるよう構成されることが可能である。膨張弁によって、液化した作動媒体の圧力レベルを下げ、これにより、作動媒体を再度冷却することが可能である。ヒートポンプ、又は、ヒートポンプのコンプレッサ及び/若しくは膨張弁は、駆動源又はモータで作動させることが可能である。コンプレッサ及びモータは、個別に、又は、ユニットとして設計可能である。蒸発器、液化器、コンプレッサ及び膨張弁は、ヒートポンプのハウジング中に配置可能である。モータは、ヒートポンプのハウジング中に配置可能である。ヒートポンプ又はヒートポンプのモータは、それぞれ、道路製造機のエネルギー貯蔵装置、又は、エネルギー貯蔵装置に接続された電流インバータに電気的に接続されることが可能である。エネルギー貯蔵装置は、外部電源で充電可能である。エネルギー貯蔵装置は、道路製造機の主駆動源に電気供給が可能である。ヒートポンプの電源は、例えば、主駆動源によって駆動される発電機、又は、発電機によって充電可能なバッテリーであることが可能である。
【0009】
加熱システムは、熱の回収のために、周囲空気及び/又は道路製造機の熱源からの熱を利用するよう構成されることが利点である。周囲空気は、空気熱交換器によってヒートポンプに供給可能である。熱源としては、例えば、道路製造機の冷却システムの廃熱を利用可能である。冷却システムは、道路製造機のエネルギー貯蔵装置又はアキュムレータをそれぞれ冷却するために、又は、道路製造機の主エネルギー源を冷却するために設けられることが可能である。冷却システムは、冷却器又は熱交換器を備えていることが可能である。加熱システムの作動媒体又は伝熱媒体は、冷却器を流通して、エネルギー貯蔵装置又は道路製造機の他の装置の廃熱をヒートポンプに伝達することが可能である。
【0010】
システムは、道路製造機の少なくとも1つの第1の構成要素を加熱し、及び、道路製造機の少なくとも1つの第2の構成要素を冷却するよう構成されることが、特にエネルギー的に効率的である。このシステムは、道路製造機の少なくとも第1の構成要素を加熱し、及び、同時に、道路製造機の少なくとも第2の構成要素を冷却するよう構成されることが可能である。路面仕上げ機の形態である道路製造機の第1の構成要素は、スクリード若しくはスクリードの一部、又は、路面仕上げ機の他の装置であることが可能である。路面仕上げ機の形態である道路製造機の第2の構成要素は、例えば、エネルギー貯蔵装置若しくはアキュムレータ、又は、主エネルギー源であることが可能である。
【0011】
加熱システムは、システムの第1の回路中を循環する第1の作動媒体、及び/又は、システムの第2の回路中を循環する第2の作動媒体、及び/又は、システムの第3の回路中を循環する第3の作動媒体を含んでいることが特に有利である。第1の回路は、閉鎖回路又は開放回路であることが可能である。閉鎖回路においては、同一の作動媒体が循環可能である。開放回路においては、循環する作動媒体は交換可能であり、例えば、作動媒体は、第1の回路に吸引され、及び、1回循環した後に第1の回路から送出されることが可能である。第2の回路は閉鎖回路であることが可能である。第3の回路は、閉鎖回路又は開放回路であることが可能である。第1の作動媒体及び/又は第3の作動媒体は、それぞれ、気体若しくは液体冷却媒体又は伝熱媒体を含有することが可能である。第2の作動媒体は、液体冷却媒体又は伝熱媒体をそれぞれ含有することが可能である。第1の作動媒体及び/又は第3の作動媒体は、水、空気、又は、これらの2種の混合物であることが可能である。第1の作動媒体としての周囲空気は、空気流生成装置又はファンにより第1の回路に供給可能である。周囲空気は、ファンによって第1の回路の第1の空気伝導管路に供給可能である。第1の空気伝導管路は、蒸発器又は蒸発器のハウジングにそれぞれ接続されることが可能であり、これにより、第1の作動媒体は、蒸発器と、又は、蒸発器中に位置する第2の作動媒体と熱交換接触される。第1の空気伝導管路は、第1の回路の管の一部であることが可能である。第1の作動媒体は管中を循環可能とされており、管は、蒸発器の周囲、又は、蒸発器のハウジングの周囲にそれぞれ部分的に巻かれており、これにより、第1の作動媒体は蒸発器と熱交換接触とされる。第1の作動媒体は、空気流生成装置、又は、例えば循環ポンプといったポンプにより第1の回路中を循環可能とされている。第1の作動媒体又は周囲空気はそれぞれ、第1の回路の第2の空気流流路から環境に放散可能である。第2の作動媒体は、ポンプ、例えば循環ポンプにより第2の回路中を循環可能とされている。第2の回路は、ヒートポンプのハウジング中に配置可能である。第3の作動媒体はポンプ、例えば循環ポンプにより第3の回路中を循環可能とされている。第3の作動媒体はチューブ中を循環可能とされており、チューブは部分的に、液化器又は液化器のハウジングの周囲に巻かれている。チューブは、耐圧管係合によりヒートポンプのハウジングと接続されることが可能である。
【0012】
ヒートポンプは、第2の作動媒体の第1の温度を第2の温度に高めるよう構成されていることが有利である。これにより、道路製造機の1つの構成要素が特に効率的に加熱される。
【0013】
第3の回路を循環する第3の作動媒体の温度は、75℃~200℃、好ましくは100℃~150℃であることが有利である。第3の作動媒体の温度は、125℃~175℃であることが可能である。第3の作動媒体の温度は125℃未満であることが可能である。この熱を、路面仕上げ機のスクリードの加熱に用いることが可能である。第3の回路を循環する第3の作動媒体の圧力値は、例えば1bar~3barであることが可能である。第2の圧力値は2barであることが可能である。
【0014】
第1の作動媒体は、道路製造機のエネルギー貯蔵装置の1つの冷却装置又は冷却器と少なくとも熱交換接触することが特に効率的である。冷却器は、例えば熱交換器であることが可能である。冷却器は、加熱システムの一部又は構成要素であることが可能である。冷却器は第1の回路と接続可能であり、これにより第1の作動媒体は冷却器を流通する。冷却器は、プレート熱交換器又はチューブであることが可能である。冷却器は、エネルギー貯蔵装置に配置可能であり、又は、エネルギー貯蔵装置に組み込まれることが可能である。第1の作動媒体は、管中において加熱された状態で蒸発器の周囲を循環して、その中の第2の作動媒体を蒸発させることが可能である。第1の作動媒体はさらに、第1の回路中において冷却された状態で冷却器に供給され、及び、エネルギー貯蔵装置の廃熱により加熱されることが可能である。これにより、エネルギー貯蔵装置の廃熱がヒートポンプの蒸発器に伝達されて、熱の生成に用いられる。
【0015】
第1の回路が開放回路であることも考えられる。ここでは、周囲空気をファンによって第1の回路の空気伝導管路に供給可能である。第1の量の第1の作動媒体は、蒸発器の周囲を循環した後に、第1の回路の第2の空気伝導管路から冷却された状態で環境に放散されることが可能である。第2の量の第1の作動媒体は、冷却された状態で第1の回路をさらに循環し、及び、冷却器を流通することが可能である。
【0016】
第3の作動媒体は、道路製造機の第1の構成要素と熱交換接触していることが有利である。第3の作動媒体は道路製造機の複数の構成要素と熱交換接触していることが可能である。第3の作動媒体は、少なくとも第1の構成要素又は第1の構成要素の一部を加熱するよう構成された熱交換器と熱交換接触していることが可能である。第3の作動媒体は熱交換器を流通可能である。少なくとも1つの熱交換器は、第1の構成要素又は第1の構成要素の一部に組み込まれていることが可能である。熱交換器は、プレート熱交換器又はチューブであることが可能である。熱交換器は、例えばスクリードプレート及び/又はタンパ及び/又はプレスレッジに取り付けられていることが可能である。第3の作動媒体は、耐圧式にヒートポンプのハウジング中に配置されたチューブ中の道路製造機の第1の構成要素に供給可能である。
【0017】
加熱システムは、第1の作動媒体及び/又は第2の作動媒体及び/又は第3の作動媒体が不凍剤を含有している場合には、よりさらに信頼性が高いものとなる。不凍剤は、例えばグリセリン及び/又はエチレングリコール及び/又はエタノールを含むことが可能である。
【0018】
一実施形態において、ヒートポンプ又はヒートポンプのハウジングはそれぞれ、トラクタに配置される。ヒートポンプのモータは、ヒートポンプのハウジング中に配置可能である。空気流生成装置はヒートポンプのハウジング又はトラクタの他の箇所に直接配置可能である。
【0019】
特に省スペースを実現する実施形態において、ヒートポンプ又はヒートポンプのハウジングはそれぞれ、第1の構成要素に配置される。これは、ヒートポンプから、第1の構成要素又は第1の構成要素に配置された熱交換器のそれぞれへの第3の作動媒体の供給経路が短くなるという利点を有する。これにより、供給経路に沿った熱損失を低減又は防止可能である。
【0020】
一実施形態において、道路製造機は路面仕上げ機であり、第1の構成要素は路面仕上げ機のスクリードである。スクリードは、路面仕上げ機のトラクタの機械フレームに固定されることが可能である。加熱システムは、路面仕上げ機のスクリード及び/又は少なくとも他の構成要素及び材料バンカー及び搬送装置の少なくとも一部を加熱するよう構成されることが可能である。スクリードの構成要素は、スクリードプレート及び/又はタンパ及び/又はプレスレッジであることが可能である。熱交換器は、スクリードのベーススクリード本体若しくはスクリード延長部のスクリードプレート、及び/又は、タンパ、及び/又は、プレスレッジに取り付けられることが可能である。熱交換器は、チューブ又はプレート熱交換器であることが可能である。熱交換器は、敷設材と接触することとなるようスクリードに配置されることが可能である。熱交換器は、スクリードのベーススクリード本体又はスクリード延長部のスクリードプレート、及び/又は、タンパ、及び/又は、プレスレッジに組み込まれることが可能である。
【0021】
代わりに、道路製造機は投入車両であることが可能である。加熱システムは、投入車両の少なくとも一構成要素並びに材料バンカー及び/又は搬送装置を加熱するよう構成されていることが可能である。
【0022】
本発明はさらに、舗装層を形成するための路面仕上げ機の形態、又は、路面仕上げ機に敷設材を搬送するための投入車両の形態である道路製造機の加熱システムを操作するための方法であって、道路製造機はトラクタ、主駆動源、シャシ及び材料バンカーを備え、加熱システムはヒートポンプを備え、この方法は、以下の手法ステップを含む:第1の作動媒体を第1の回路中において循環させるステップ;第1の作動媒体から第2の回路中を循環する第2の作動媒体に熱を伝達させるステップ;第2の作動媒体を圧縮することにより、第2の作動媒体の第1の温度を第2の温度に高めるステップ;第2の作動媒体から第3の回路中を循環する第3の作動媒体に熱を伝達させるステップ;第3の作動媒体から道路製造機の第1の構成要素に熱を伝達させるステップ。道路製造機の加熱システムに関して上記に開示されているすべての特徴は、本方法において個別に若しくは一緒に採用することが可能であり、又は、その逆も可能である。
【0023】
本発明はさらに、道路製造機の作業ユニットを加熱するための、周囲空気の熱、及び/又は、路面仕上げ機若しくは投入車両の形態である道路製造機の冷却システムの廃熱の使用に関する。道路製造機の加熱システム、又は、道路製造機の構成要素を加熱するための方法に関して上記に開示されているすべての特徴は、本方法において個別に若しくは一緒に採用することが可能であり、又は、その逆も可能である。
【0024】
本発明に係る実施形態を以下の図面に示す。図面においては以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、路面仕上げ機の形態である道路製造機の概略斜視図を示す。
図2図2は、投入車両の形態である道路製造機の概略斜視図を示す。
図3図3は、本発明に係る加熱システムの実施形態の概略図を示す。
図4図4は、本発明に係る加熱システムのさらなる実施形態の概略図を示す。
図5図5は、本発明に係る加熱システムのさらなる実施形態の概略図を示す。
図6図6は、本発明に係る加熱システムのさらなる実施形態の概略図を示す。
図7図7は、本発明に係る加熱システムのさらなる実施形態の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、斜め後方から見た斜視図で道路製造機1を示し、これは、舗装層ESを形成するための路面仕上げ機2である。路面仕上げ機2は自走式である。路面仕上げ機2は、トラクタM、主駆動源3、シャシ4、敷設材B(混合アスファルト材)を受け取るための材料バンカー5、制御プラットフォーム6、運転手屋根7、調高式にシャシ4に装着されると共に移動方向Rに牽引されるスクリード8、敷設材Bを、路面仕上げ機2の材料バンカー5からスクリード8、路面仕上げ機2の横方向分配装置10に供給する搬送ユニット9を有する。路面仕上げ機2は本発明に係る加熱システム11を備える。加熱システム11は少なくとも、例えばスクリード8といった路面仕上げ機2の第1の構成要素12を加熱するよう構成されている。
【0027】
図2は、斜め後方から見た斜視図で道路製造機1を示し、これは、背後で駆動されている路面仕上げ機2に敷設材B’を搬送するための投入車両13である。投入車両13は自走式であると共に、トラクタM’、主駆動源3’、シャシ4’、敷設材B’を受け取るための材料バンカー5’、制御プラットフォーム6’、運転手屋根7’、敷設材B’を投入車両13の材料バンカー5’から路面仕上げ機2の材料バンカー5’に搬送するための搬送ユニット9’を備える。投入車両13は、本発明に係る加熱システム11’を備える。加熱システム11’は少なくとも、例えば材料バンカー5’といった投入車両13の第1の構成要素12’を加熱するよう構成されている。
【0028】
図3は、本発明に係る加熱システム11,11’の実施形態を示す。加熱システム11,11’は、ヒートポンプ14,14’のハウジング20,20’に配置された蒸発器15,15’、液化器16,16’、コンプレッサ17,17’、膨張弁18,18’及び電動機19,19’を備えるヒートポンプ14,14’を開示する。ハウジング20,20’は、トラクタM,M’に配置されている。加熱システム11,11’の第1の回路21,21’においては、第1の作動媒体22,22’又は空気がそれぞれ循環している。周囲空気は、空気流生成装置23,23’によって第1の回路21の管25,25’の第1の空気伝導管路24,24’に供給されると共に、第2の空気伝導管路26,26’から排出される。第1の作動媒体22,22’は、例えばポンプ(図示せず)により第1の回路21中の管25,25’中を循環する。管25,25’の一部が熱交換のために蒸発器15,15’の周囲に巻かれている。
【0029】
周囲空気の熱によって、蒸発器15,15’中の加熱システム11,11’の第2の回路27,27’を循環する第2の作動媒体28,28’が蒸発する。第2の作動媒体28,28’は気体状態でコンプレッサ17,17’に供給され、コンプレッサ17,17’により圧縮され、これにより加熱する。ここで、第2の作動媒体28,28’の第1の温度T1,T1’が第2の温度T2,T2’に昇温する。液化器16,16’において第2の作動媒体28,28’が凝縮されて、第2の作動媒体28,28’の熱が環境中に放散される。そして、第2の作動媒体28,28’は液体状態で膨張弁18,18’に供給される。膨張弁18,18’によって、第2の作動媒体28,28’の圧力レベルが下がり、第2の作動媒体28,28’はさらに冷却される。
【0030】
電動機19,19’は、路面仕上げ機2のエネルギー貯蔵装置29,29’の電流インバータW,W’によって電気的に駆動される。
【0031】
加熱システム11,11’の第3の回路30,30’において、例えば水及び不凍剤を含む第3の作動媒体31,31’又は液体はそれぞれ、例えばポンプ(図示せず)によりチューブ32,32’中を循環する。チューブ32,32’の一部が液化器16,16’の周囲に巻かれている。チューブ32,32’の一部はハウジング20,20’の外部に位置しており、チューブ32,32’の一部は、ハウジング20,20’に固定されている。液化器16,16’中の第2の作動媒体28,28’はその熱の一部が第3の作動媒体31,31’に伝えられ、冷却される。加熱された第3の作動媒体31,31’は、熱交換器33,33’に供給される。第3の作動媒体31,31’が熱交換器33,33’に流されて、構成要素12,12’が加熱される。熱交換器33は、例えばスクリード8のスクリードプレート34といった路面仕上げ機2の第1の構成要素12に配置可能である。熱交換器33’は、例えば材料バンカー5’といった投入車両13の第1の構成要素12’に配置可能である。その後、第3の作動媒体31,31’は液化器16,16’に排出されて、ここで再度加熱される。第3の回路を循環する第3の作動媒体の温度Tは125℃に達することが可能である。
【0032】
図4は、本発明に係る加熱システム11,11’のさらなる実施形態を示す。この実施形態は、第1の構成要素12,12’の加熱中に道路製造機1の第2の構成要素35,35’が加熱システム11,11’によって冷却される点で、図3に示す実施形態とは異なる。ここでは、第2の構成要素35,35’の廃熱が加熱システム11,11’の熱源36,36’として用いられる。第2の構成要素35,35’はエネルギー貯蔵装置29,29’であることが可能である。第1の回路21,21’中を循環する第1の作動媒体22,22’はヒートポンプ14,14’中の蒸発器15,15’との熱交換接触により冷却され、エネルギー貯蔵装置29,29’の冷却器37,37’に供給される。冷却された状態の第1の作動媒体22,22’は、エネルギー貯蔵装置29,29’を冷却すると共に、加熱されることとなる。第1の作動媒体22,22’は加熱された状態でヒートポンプ14,14’に供給され、蒸発器15,15’との熱交換接触によってその熱が第2の作動媒体28,28’に伝達されることとなる。上記のとおり、第3の作動媒体31,31’はヒートポンプ14,14’によって加熱されると共に、次いで、熱交換器33,33’によってその熱が第1の構成要素12,12’に放散される。
【0033】
図5は、本発明に係る加熱システム11,11’のさらなる実施形態を示す。この実施形態は、第2の作動媒体28,28’を蒸発させるためにエネルギー貯蔵装置29,29’の廃熱を使用するために、第1の回路21,21’がエネルギー貯蔵装置29,29’の冷却器37,37’に接続されている点で、図4に示されている実施形態とは異なる。空気流生成装置23,23’は、第1の回路21,21’に接続されて周囲空気を第1の回路21,21’の第3の空気伝導管路38,38’に供給し、この熱を第4の空気伝導管路39,39’から環境に再度放散させる。
【0034】
図6は、本発明に係る路面仕上げ機2のための加熱システム11のさらなる実施形態を示す。この実施形態は、ヒートポンプ14が路面仕上げ機2のスクリード8に配置されている点で、図4に示されている実施形態とは異なる。
【0035】
図7は、本発明に係る路面仕上げ機2のための加熱システム11のさらなる実施形態を示す。この実施形態は、ヒートポンプ14が路面仕上げ機2のスクリード8に配置されている点で、図3に示されている実施形態とは異なる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】