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特開2024-57597医療デバイス製造のための3Dプリンティングされた半完成部品およびその医療デバイス
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  • 特開-医療デバイス製造のための3Dプリンティングされた半完成部品およびその医療デバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057597
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】医療デバイス製造のための3Dプリンティングされた半完成部品およびその医療デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/70 20060101AFI20240417BHJP
   A61L 27/56 20060101ALI20240417BHJP
   A61L 27/18 20060101ALI20240417BHJP
   A61L 27/44 20060101ALI20240417BHJP
   A61L 27/46 20060101ALI20240417BHJP
   A61L 27/54 20060101ALI20240417BHJP
   A61L 27/42 20060101ALI20240417BHJP
   A61F 2/28 20060101ALI20240417BHJP
   A61F 2/30 20060101ALI20240417BHJP
   A61B 17/80 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
A61B17/70
A61L27/56
A61L27/18
A61L27/44
A61L27/46
A61L27/54
A61L27/42
A61F2/28
A61F2/30
A61B17/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023175706
(22)【出願日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】22201068
(32)【優先日】2022-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520113158
【氏名又は名称】クモビス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145791
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 志麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【弁理士】
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(72)【発明者】
【氏名】ブルヤス,アルノー
(72)【発明者】
【氏名】クリーガー,ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】レオンハルト,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】パマー,セバスチャン
【テーマコード(参考)】
4C081
4C097
4C160
【Fターム(参考)】
4C081AB02
4C081BB08
4C081CA18
4C081CA23
4C081CF02
4C081DB03
4C097AA01
4C097AA10
4C097BB01
4C097CC01
4C097DD02
4C097EE02
4C097EE08
4C097FF05
4C097MM03
4C160LL24
4C160LL26
4C160LL27
4C160LL28
4C160LL32
4C160LL62
(57)【要約】      (修正有)
【課題】医療用インプラントまたは医療機器を製造するための3Dプリンティングされた半完成部品を提供する。
【解決手段】医療用インプラントまたは医療機器を製造するための3Dプリンティングされた半完成部品100は、半完成部品100の予め定められた位置に設けられた少なくとも1つの機能特徴部10、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの医療デバイスを製造するための3Dプリンティングされた半完成部品(100)であって、
前記半完成部品(100)の予め定められた位置に設けられた少なくとも1つの機能特徴部(10)
を含む、3Dプリンティングされた半完成部品(100)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの機能特徴部(10)が多孔構造体を含むことを特徴とする、請求項1に記載の3Dプリンティングされた半完成部品(100)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの機能特徴部(10)が、前記半完成部品(100)の材料とは異なる材料から作られることを特徴とする、請求項1または2に記載の3Dプリンティングされた半完成部品(100)。
【請求項4】
前記半完成部品(100)が溶解フィラメント製法(FFF)によって製造されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の3Dプリンティングされた半完成部品(100)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの機能特徴部(10)が、前記3Dプリンティングされた半完成部品(100)をコンピュータ数値制御(CNC)機に接続するように構成および適合された、少なくとも1つの締結特徴部および/または装着点を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の3Dプリンティングされた半完成部品(100)。
【請求項6】
前記3Dプリンティングされた半完成部品(100)が、製造される前記少なくとも1つの医療デバイスの形状に少なくとも部分的に適合するように構成されている形状を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の3Dプリンティングされた半完成部品(100)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの医療デバイスが少なくとも1つの外科用インプラントを含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の3Dプリンティングされた半完成部品(100)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの機能特徴部(10)が、前記3Dプリンティングされた半完成部品(100)を使用することによって製造された前記少なくとも1つの医療用インプラントを患者の身体内の対象部分に接続するための少なくとも1つの固定特徴部を含み、
好ましくは、前記少なくとも1つの固定特徴部が少なくとも1つのねじ穴を含む
ことを特徴とする、請求項7に記載の3Dプリンティングされた半完成部品(100)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの医療デバイスが少なくとも1つの外科器具を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の3Dプリンティングされた半完成部品(100)。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の3Dプリンティングされた半完成部品(100)を使用することによって得られる、3Dプリンティングされた医療用インプラント。
【請求項11】
前記医療用インプラントが少なくとも1つの多孔構造体を含むことを特徴とする、請求項10に記載の3Dプリンティングされた医療用インプラント。
【請求項12】
前記少なくとも1つの多孔構造体の細孔が、0.05mm~5.0mmの間、好ましくは0.05mm~1.0mmの間の孔径を有することを特徴とする、請求項11に記載の3Dプリンティングされた医療用インプラント。
【請求項13】
前記少なくとも1つの多孔構造体の細孔が、
円形、
長方形、
ジャイロイド、
ひし形、または
シュワルツ三角形
の中から選択される細孔形状を有することを特徴とする、請求項11または12に記載の3Dプリンティングされた医療用インプラント。
【請求項14】
前記少なくとも1つの多孔構造体の細孔が相互接続されていることを特徴とする、請求項10から13のいずれか一項に記載の3Dプリンティングされた医療用インプラント。
【請求項15】
前記少なくとも1つの多孔構造体が、
ばねとして作用する少なくとも1つの部分、
非線形の機械的性質を有する少なくとも1つの部分、および/または、
移植後の前記インプラントの弾性変形を可能にする弾性性質を有する少なくとも1つの部分
のうちの1つまたは複数を含むことを特徴とする、請求項10から14のいずれか一項に記載の3Dプリンティングされた医療用インプラント。
【請求項16】
前記少なくとも1つの多孔構造体が前記インプラントの1つまたは複数の表面に設けられていることを特徴とする、請求項10から15のいずれか一項に記載の3Dプリンティングされた医療用インプラント。
【請求項17】
前記医療用インプラントが複数の異なる材料を含むことを特徴とする、請求項10から16のいずれか一項に記載の3Dプリンティングされた医療用インプラント。
【請求項18】
前記複数の異なる材料が、
少なくとも1つの高性能ポリマーであって、好ましくは、
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、
ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、
ポリフェニルスルホン(PPSU)、
ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、
ポリエーテルケトン(PEK)、
ポリアミドイミド(PAI)、もしくは
ポリエチレンイミン(PEI)、
から選択される高性能ポリマー、
1つまたは複数のセラミックフィラーを含む少なくとも1つの高性能ポリマーであって、好ましくは、前記1つまたは複数のセラミックフィラーが二相性リン酸カルシウム(BCP)または生体活性ガラスを含む、高性能ポリマー、
1つまたは複数のファイバー補強材料を含む、少なくとも1つの高性能ポリマー、
放射線不透過フィラーが充填された少なくとも1つの高性能ポリマー、ならびに/または、
少なくとも1つの薬剤装填材料であって、好ましくは前記薬剤が抗炎症剤および/もしくは抗生剤を含む、薬剤装填材料、
から選択されることを特徴とする、請求項17に記載の3Dプリンティングされた医療用インプラント。
【請求項19】
前記医療用インプラントが、
脊椎固定デバイス、
骨切り術ウェッジ、
完全体内プロテーゼ、
骨固定板、
頭蓋顎顔面(CMF)インプラント、および/または、
増強用もしくは骨置換用インプラント
のうちの1つであることを特徴とする、請求項10から18のいずれか一項に記載の3Dプリンティングされた医療用インプラント。
【請求項20】
請求項1から6のいずれか一項に記載の3Dプリンティングされた半完成部品(100)を使用することによって得られる、3Dプリンティングされた医療機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dプリンティングされた医療用インプラントや医療機器などの、医療用途向けの3Dプリンティングされたデバイスの分野に属する。
【背景技術】
【0002】
3Dプリンティング加工によって得られる医療用インプラントは、当技術分野で知られており、ここ数十年の間に重要性が増している。
【0003】
例えば、国際公開第2021094624(A1)号パンフレットは、3Dプリンティング工程を通じて得られる整形外科用インプラントを開示しており、前記整形外科用インプラントは、少なくとも1つの第1の部分および少なくとも1つの第2の部分を備え、第1の部分は、支持構造体を形成し、インプラントに剛性と機械的強度を与え、第2の部分は、向上した内部成長を可能にするために少なくとも部分的に生分解性材料から作られる。
【0004】
医療用インプラントを製造するための3Dプリンティング装置および方法が、例えば独国特許出願公開第102020126764(A1)号明細書から知られている。
【0005】
特に、溶解フィラメント製法(FFF:fused filament fabrication)は、インプラントのオッセオインテグレーション(インプラントと骨の結合)効果および初期安定性の向上を可能にすることから、3Dプリンティングされた医療用インプラントの製造に有利であることが証明されている。
【0006】
FFFは、3Dプリンティングされた医療機器の製造においても有効であることが証明されている。
【0007】
医療用インプラントや医療機器などの3Dプリンティングされた医療デバイスは、半完成部品を使用することによって製造されることがある。
【0008】
特に、前記半完成部品は、インプラントの外形を画定するために使用される押出し部片(例えば、高性能ポリマーからなる)である。
【0009】
例えば、半完成部品は、立方体、平行六面体、または円筒の形態であってもよい。代替的には、より複雑な形状も可能である。
【0010】
わずかなバリエーション(例えば、形状等の)を有するものであっても、医療用インプラントや医療機器などのいくつかの医療デバイスを、単一の半完成部品から開始して事後加工することができる。
【0011】
3Dプリンティングされた医療用インプラントの品質(例えば、歪み、公差、強度、靭性等)および特定の性質(例えば、微細構造体や表面特性)は、多くの科学的調査の対象となることが増えている。
【0012】
特に、強化された性質(例えば、改良されたオッセオインテグレーション、改良された骨伝導性、改良された機械的性質等)を有する、改良された医療用インプラントに対する必要性がある。
【0013】
また、改良された機械的性質を有し、3Dプリンティングによって容易に製造することができる外科器具に対する必要性もある。
【発明の概要】
【0014】
本発明の目的は、改良された機械的性質を有し、3Dプリンティングによって容易かつ利便に製造することができる、3Dプリンティングされた医療デバイスを得ることを可能にする解決法を提供することである。
【0015】
また、本発明の目的は、例えば改良されたオッセオインテグレーション、改良された骨伝導性、改良された骨置換、および/または増強の機械的性質等の点で、強化された性質を有する医療用インプラントを提供することである。
【0016】
これらの目的は、請求項1に記載の3Dプリンティングされた半完成部品、および請求項10に記載の3Dプリンティングされた医療用インプラントの提供によって達成される。
【0017】
本発明によれば、少なくとも1つの医療デバイスを製造するための3Dプリンティングされた半完成部品は、
半完成部品の予め定められた位置に設けられた少なくとも1つの機能特徴部、を含む。
【0018】
本発明は、少なくとも1つの医療デバイスを製造するための3Dプリンティングされた半完成部品を提供する。
【0019】
例えば、前記少なくとも1つの医療デバイスは、少なくとも1つの医療用インプラントを含んでもよい。
【0020】
代替的には、前記少なくとも1つの医療デバイスは、少なくとも1つの医療機器を含んでもよい。
【0021】
3Dプリンティングされた半完成部品は、医療用インプラントまたは医療機器などの単一の医療デバイスを製造するために使用することができる。
【0022】
代替的には、同じ3Dプリンティングされた半完成部品を、複数の医療デバイス、例えば複数の医療用インプラント、を製造するために使用することができる。
【0023】
これは、例えば、積み重ねることによって達成され得る。
【0024】
半完成部品は、半完成部品の予め定められた位置に設けられた少なくとも1つの機能特徴部を含む。
【0025】
特に、少なくとも1つの機能特徴部の位置は、製造される医療デバイス、例えば医療用インプラントまたは医療デバイス、の望まれる性質に基づいて定められる。
【0026】
わずかなバリエーション(例えば、形状等の)を有するものであっても、複数の医療デバイスを、3Dプリンティングされた半完成部品から事後加工することができる。
【0027】
さらに、3Dプリンティングされた半完成部品は、医療デバイス、例えば医療用インプラントまたは医療機器、を製造するための3Dプリンティング工程を実施するために、容易かつ確実にコンピュータ数値制御(CNC)機に締結され得る。
【0028】
少なくとも1つの医療デバイス、例えば医療用インプラントまたは医療機器は、当技術分野で知られる従来の3Dプリンティング工程を実施することによって製造され得る。
【0029】
本発明は、3Dプリンティングされた半完成部品の予め定められた位置に少なくとも1つの機能特徴部を設けることにより、強化された機械的性質を有し、より容易に3Dプリンティングによって利便に製造することができる、改良された医療デバイスを得ることが可能になるという基本的発想に基づいている。また、上記で定義されたような3Dプリンティングされた半完成部品の提供は、従来の3Dプリンティング工程だけを実施することによっては達成することのできない、強化された性質(例えば、改良されたオッセオインテグレーション、改良された骨伝導性、改良された機械的性質等)を有する、改良された3Dプリンティングされた医療用インプラントを得ることを可能にする。
【0030】
有利には、少なくとも1つの機能特徴部は、多孔構造体を含んでもよい。
【0031】
半完成部品の予め定められた位置に少なくとも1つの多孔構造体を設けることにより、複数の細孔を、医療デバイス、特に医療用インプラント、の1つまたは複数の望まれる位置に高精度で容易に形成することができる。
【0032】
有利には、少なくとも1つの機能特徴部は、半完成部品の材料とは異なる材料から作られ得る。
【0033】
これは、半完成部品の選択された部分に強化された強度を与える、および/または形状にその審美的外観を与えることを可能にする。
【0034】
特に、半完成部品は、溶解フィラメント製法(FFF)によって製造され得る。
【0035】
これは、改良された品質を有する半完成部品を得ることを可能にする。
【0036】
少なくとも1つの機能特徴部は、少なくとも1つの締結特徴部および/または装着点を含んでもよい。
【0037】
特に、前記少なくとも1つの締結特徴部および/または装着点は、3Dプリンティングされた半完成部品をコンピュータ数値制御CNC機、例えばCNCミルまたは旋盤、に接続するように構成および適合されてもよい。
【0038】
利便には、3Dプリンティングされた半完成部品は、製造される少なくとも1つの医療デバイスの形状に少なくとも部分的に適合するように構成されている形状を有してもよい。
【0039】
例えば、3Dプリンティングされた半完成部品は、製造される患者専用の医療用インプラントの形状と一致するような形状にされてもよい。
【0040】
これは、患者の解剖学的構造体により適合する医療デバイス、特に医療用インプラント、を得ることを可能にする。
【0041】
少なくとも1つの機能特徴部はまた、3Dプリンティングされた半完成部品を使用することによって製造された医療用インプラントを患者の身体内の対象部分に接続するための少なくとも1つの固定特徴部を含んでもよい。
【0042】
例えば、前記少なくとも1つの固定特徴部は、少なくとも1つのねじ穴を含んでもよい。
【0043】
また、本発明は、上記に定義されたような3Dプリンティングされた半完成部品を使用することによって得られる、3Dプリンティングされた医療用インプラントを提供する。
【0044】
有利には、医療用インプラントは、少なくとも1つの多孔構造体を含む。
【0045】
多孔構造体は、患者の身体内の目標部位に移植された後の医療用インプラントのオッセオインテグレーションを向上させるように構成および適合されてもよい。
【0046】
この目的のために、少なくとも1つの多孔構造体の細孔は、0.05mm~5.0mmの間の孔径を有してもよい。
【0047】
好ましくは、少なくとも1つの多孔構造体の細孔は、0.05mm~1.0mmの間の孔径を有する。
【0048】
細孔は、円形形状を有してもよい。
【0049】
代替的には、細孔は、長方形形状を有してもよい。
【0050】
代替的には、細孔は、ジャイロイド形状を有してもよい。
【0051】
代替的には、細孔は、ひし形形状を有してもよい。
【0052】
代替的には、細孔は、シュワルツ三角形形状を有してもよい。
【0053】
孔径および形状は、製造される医療用インプラントの望まれる性質に基づいて選択される。
【0054】
少なくとも1つの多孔構造体の細孔は、相互接続されていてもよい。
【0055】
これは、目標部位に移植された後の医療用インプラントのオッセオインテグレーションをさらに向上させることを可能にする。
【0056】
また、少なくとも1つの多孔構造体は、医療用インプラントの機械的性質に影響を与える、および/またはそれを向上させるように構成および適合されてもよい。
【0057】
この目的のために、少なくとも1つの多孔構造体は、ばねとして作用する少なくとも1つの部分を含んでもよい。
【0058】
これは、コンプライアント機構を有する、例えば微小運動をある程度許容する、医療用インプラントを得ることを可能にする。
【0059】
また、少なくとも1つの多孔構造体は、非線形の機械的性質を有する少なくとも1つの部分を含んでもよい。
【0060】
これも、コンプライアント機構を有する医療用インプラントを得ることを可能にする。
【0061】
また、少なくとも1つの多孔構造体は、弾性性質を有する少なくとも1つの部分を含んでもよい。
【0062】
これは、移植後のインプラントの弾性変形を可能にし、それにより、患者に対して一定の動きの自由度を可能にする。
【0063】
少なくとも1つの多孔構造体は、インプラントの1つまたは複数の表面に設けられ得る。
【0064】
これは、特に、少なくとも1つの多孔構造体がオッセオインテグレーションを向上させるために設けられる場合に有利である。
【0065】
有利には、3Dプリンティングされた医療用インプラントは、複数の異なる材料を含んでもよい。
【0066】
それにより、医療用インプラントの性質をその医療用途に従ってより好適に調節することが可能となる。
【0067】
特に、医療用インプラントは、少なくとも1つの高性能ポリマーを含んでもよい。
【0068】
特に、少なくとも1つの高性能ポリマーは、
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、
ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、
ポリフェニルスルホン(PPSU)、
ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、
ポリエーテルケトン(PEK)、
ポリアミドイミド(PAI)、または
ポリエチレンイミン(PEI)、から選択されてもよい。
【0069】
また、医療用インプラントは、1つまたは複数のセラミックフィラーを含む少なくとも1つの高性能ポリマーを含んでもよい。
【0070】
例えば、二相性リン酸カルシウム(BCP:biphasic calcium phosphate)または生体活性ガラスが、セラミックフィラーとして使用され得る。
【0071】
1つまたは複数のセラミックフィラーを設けることにより、骨伝導性およびオッセオインテグレーションを向上させることが可能となる。
【0072】
また、医療用インプラントは、1つまたは複数のファイバー補強材料を含む少なくとも1つの高性能ポリマーを含んでもよい。
【0073】
医療用インプラントの予め定められた位置に1つまたは複数のファイバー補強材料を設けることにより、医療用インプラントの機械的性質をその医療用途に従ってより好適に調節することが可能となる。
【0074】
また、医療用インプラントは、放射線不透過フィラーが充填された少なくとも1つの高性能ポリマーを含んでもよい。
【0075】
放射線不透過フィラーを設けることにより、医療用インプラントの予め定められた部位をX線/CTで可視にすることができる。
【0076】
また、医療用インプラントは、少なくとも1つの薬剤装填材料を含んでもよい。
【0077】
薬剤装填材料を設けることにより、予め定められた標的部位への部位限定薬剤送達を提供することが可能となる。
【0078】
有利には、薬剤は抗炎症剤を含んでもよい。
【0079】
また、薬剤は、抗生剤を含んでもよい。
【0080】
3Dプリンティングされた医療用インプラントは、脊椎固定デバイス、例えば脊椎ケージであり得る。
【0081】
また、3Dプリンティングされた医療用インプラントは、骨切り術ウェッジであり得る。
【0082】
また、3Dプリンティングされた医療用インプラントは、例えば膝、臀部、または肩等のための完全体内プロテーゼであり得る。
【0083】
また、3Dプリンティングされた医療用インプラントは、骨固定板であり得る。
【0084】
また、3Dプリンティングされた医療用インプラントは、頭蓋顎顔面(CMF:Cranio Maxillo Facial)インプラント、例えば頭蓋インプラントまたはアンレー(onlay)であり得る。
【0085】
また、3Dプリンティングされた医療用インプラントは、増強用もしくは骨置換用インプラントであり得る。
【0086】
本発明はさらに、上記で定義されたような3Dプリンティングされた半完成部品を使用することによって得られる3Dプリンティングされた医療機器を提供する。
【0087】
本発明のさらなる詳細および利点が、次いで以下の図面との関連で開示される。
【図面の簡単な説明】
【0088】
図1】特に脊椎ケージを製造するための、本発明の一実施形態に係る3Dプリンティングされた半完成部品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0089】
図1は、本発明の一実施形態に係る、少なくとも1つの医療デバイスを製造するための3Dプリンティングされた半完成部品100を示す。
【0090】
本実施形態では、3Dプリンティングされた半完成部品100は、医療用インプラントを製造するために構成および適合される。
【0091】
特に、半完成部品100は、脊椎ケージ(図示せず)を製造するために構成および適合されている。
【0092】
図示されていないが、本発明の3Dプリンティングされた半完成部品は、他の種類の外科インプラントを製造するために構成および適合されてもよい。
【0093】
図示されていないが、本発明の3Dプリンティングされた半完成部品は、外科器具を製造するために構成および適合されてもよい。
【0094】
半完成部品100は、機能特徴部10を含む。
【0095】
図示されていないが、半完成部品100は、半完成部品100の予め定められた位置に設けられた、追加的な機能特徴部も含んでもよい。
【0096】
図の実施形態では、機能特徴部10は多孔構造体10を含む。
【0097】
多孔構造体10は、半完成部品100の材料とは異なる多孔材料で作られる。
【0098】
図の実施形態では、半完成部品100は、非多孔材料12で作られる。
【0099】
多孔構造体10は、半完成部品100の非多孔材料12を囲むように配置される。
【0100】
さらに、多孔構造体10は、半完成部品100の非多孔材料12によって画定される空洞14を埋めるように配置される。
【0101】
有利には、半完成部品100は、溶解フィラメント製法(FFF)により製造される。
【0102】
FFFは、当技術分野でよく知られている3Dプリンティング法であり、したがって簡潔にするためにこれ以上説明されない。
【0103】
図示されていないが、少なくとも1つの機能特徴部10は、3Dプリンティングされた半完成部品100を、コンピュータ数値制御(CNC)機、例えばCNCミルまたは旋盤、に接続するための少なくとも1つの締結特徴部および/または装着点を備えてもよい。
【0104】
利便には、3Dプリンティングされた半完成部品は、製造される少なくとも1つの医療デバイス、この場合には医療用インプラント、の形状に少なくとも部分的に適合するように構成されている形状を有してもよい。
【0105】
特に、本実施形態では、半完成部品100は、脊椎ケージの形状に少なくとも部分的に適合するように構成されている形状を有する。図示されていないが、少なくとも1つの機能特徴部は、少なくとも1つの医療用インプラント、例えば脊椎固定デバイス、骨切り術ウェッジ、または骨固定板、を患者の身体内の対象部分に接続するための少なくとも1つの固定特徴部をさらに含んでもよい。
【0106】
例えば、前記少なくとも1つの固定特徴部は、少なくとも1つのねじ穴を備えてもよい。
【0107】
本発明はまた、3Dプリンティングされた医療用インプラント(図示せず)を提供する。
【0108】
3Dプリンティングされた医療用インプラントは、例えば脊椎ケージ等の脊椎固定デバイスであり得る。
【0109】
代替的には、3Dプリンティングされた医療用インプラントは、骨切り術ウェッジであり得る。
【0110】
さらなる代替形態として、3Dプリンティングされた医療用インプラントは、骨固定板であり得る。
【0111】
また、3Dプリンティングされた医療用インプラントは、例えば膝、臀部、または肩用の完全体内プロテーゼであり得る。
【0112】
さらに別の代替形態によると、3Dプリンティングされた医療用インプラントは、頭蓋顎顔面(CMF)インプラント、例えば頭蓋インプラントまたはアンレーであり得る。
【0113】
さらに他の代替形態によると、3Dプリンティングされた医療用インプラントは、増強用または骨置換用インプラントであり得る。
【0114】
医療用インプラントは、上記で説明された半完成部品100などの3Dプリンティングされた半完成部品を使用することによって得られる。
【0115】
半完成部品は、半完成部品の予め定められた位置に設けられた少なくとも1つの機能特徴部を含む。
【0116】
ある実施形態では、インプラントは、少なくとも1つの多孔構造体を含む。
【0117】
少なくとも1つの多孔構造体は、移植後の医療用インプラントのオッセオインテグレーションを向上させるために適合され得る。
【0118】
そのような場合には、少なくとも1つの多孔構造体がインプラントの1つまたは複数の表面に設けられることが好ましい。
【0119】
少なくとも1つの多孔構造体の細孔は、0.05mm~5.00mmの間の孔径を有する。
【0120】
好ましくは、少なくとも1つの多孔構造体の細孔は、0.05mm~1.0mmの間の孔径を有する。
【0121】
少なくとも1つの多孔構造体の細孔は、円形、長方形、ジャイロイド、ひし形、またはシュワルツ三角形の中から選択される細孔形状を有する。
【0122】
本実施形態では、少なくとも1つの多孔構造体の細孔は、相互接続されている。
【0123】
代替の構成では、少なくとも1つの多孔構造体の細孔は、相互接続されていなくてもよい。
【0124】
多孔構造体はまた、医療用インプラントの機械的性質に影響を与え、それを向上させるように構成および適合されてもよい。
【0125】
この目的のために、少なくとも1つの多孔構造体は、ばねとして作用する少なくとも1つの部分を含み、それによりコンプライアント機構を有する医療用インプラントを得ることを可能にしてもよい。
【0126】
追加的にまたは代替的には、少なくとも1つの多孔構造体は、非線形の機械的性質を有する少なくとも1つの部分を含んで、やはりコンプライアント機構を有する医療用インプラントを得ることを可能にしてもよい。
【0127】
追加的にまたは代替的には、少なくとも1つの多孔構造体は、移植後のインプラントの弾性変形を可能にする弾性性質を有する少なくとも1つの部分を含み、それにより、患者に対して一定の動きの自由度を可能にしてもよい。
【0128】
さらなる実施形態では、任意で上記の実施形態の1つまたは複数の特徴と組み合わせて、医療用インプラントは、複数の異なる材料を含む。
【0129】
特に、医療用インプラントは、少なくとも1つの高性能ポリマーを含んでもよい。
【0130】
好ましくは、前記高性能ポリマーは、
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、
ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、
ポリフェニルスルホン(PPSU)、
ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、
ポリエーテルケトン(PEK)、
ポリアミドイミド(PAI)、または
ポリエチレンイミン(PEI)、から選択される。
【0131】
また、医療用インプラントは、1つまたは複数のセラミックフィラーを含む少なくとも1つの高性能ポリマーを含んでもよい。
【0132】
例えば、二相性リン酸カルシウム(BCP)または生体活性ガラスが、セラミックフィラーとして使用され得る。
【0133】
1つまたは複数のセラミックフィラーの添加により、骨伝導性およびオッセオインテグレーションを向上させることが可能となる。
【0134】
また、医療用インプラントは、1つまたは複数のファイバー補強材料を含む少なくとも1つの高性能ポリマーを含んでもよい。
【0135】
医療用インプラントの予め定められた位置に1つまたは複数のファイバー補強材料を設けることにより、医療用インプラントの機械的性質をその医療用途に従ってより好適に調節することが可能となる。
【0136】
また、医療用インプラントは、放射線不透過フィラーが充填された少なくとも1つの高性能ポリマーを含んでもよい。
【0137】
放射線不透過フィラーを設けることにより、医療用インプラントの予め定められた部位をX線/CTで可視にすることができる。
【0138】
また、医療用インプラントは、少なくとも1つの薬剤装填材料を含んでもよい。
【0139】
薬剤装填材料を設けることにより、予め定められた標的部位への部位限定薬剤送達を提供することが可能となる。
【0140】
有利には、薬剤は抗炎症剤を含んでもよい。
【0141】
また、薬剤は抗生剤を含んでもよい。
【0142】
図示されていないが、本発明はさらに、上記で説明された3Dプリンティングされた半完成部品100を使用することによって得られる医療機器を提供する。
【符号の説明】
【0143】
100 3Dプリンティングされた半完成部品
10 機能特徴部(多孔構造体)
12 非多孔材料
14 空洞
図1
【外国語明細書】