IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 長庚學校財團法人長庚科技大學の特許一覧

特開2024-57598慢性創傷治癒を促進するための医薬組成物製造のためのアマナラン(Bletilla Formosana(Hayata) Schiltr.)抽出物の使用
<>
  • 特開-慢性創傷治癒を促進するための医薬組成物製造のためのアマナラン(Bletilla  Formosana(Hayata)  Schiltr.)抽出物の使用 図1A
  • 特開-慢性創傷治癒を促進するための医薬組成物製造のためのアマナラン(Bletilla  Formosana(Hayata)  Schiltr.)抽出物の使用 図1B
  • 特開-慢性創傷治癒を促進するための医薬組成物製造のためのアマナラン(Bletilla  Formosana(Hayata)  Schiltr.)抽出物の使用 図2
  • 特開-慢性創傷治癒を促進するための医薬組成物製造のためのアマナラン(Bletilla  Formosana(Hayata)  Schiltr.)抽出物の使用 図3A
  • 特開-慢性創傷治癒を促進するための医薬組成物製造のためのアマナラン(Bletilla  Formosana(Hayata)  Schiltr.)抽出物の使用 図3B
  • 特開-慢性創傷治癒を促進するための医薬組成物製造のためのアマナラン(Bletilla  Formosana(Hayata)  Schiltr.)抽出物の使用 図4
  • 特開-慢性創傷治癒を促進するための医薬組成物製造のためのアマナラン(Bletilla  Formosana(Hayata)  Schiltr.)抽出物の使用 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057598
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】慢性創傷治癒を促進するための医薬組成物製造のためのアマナラン(Bletilla Formosana(Hayata) Schiltr.)抽出物の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/898 20060101AFI20240417BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
A61K36/898
A61P17/02
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023175789
(22)【出願日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】63/379,144
(32)【優先日】2022-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】520458635
【氏名又は名称】長庚學校財團法人長庚科技大學
(74)【代理人】
【識別番号】100183564
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 伸也
(72)【発明者】
【氏名】黄聰龍
(72)【発明者】
【氏名】張祐嘉
【テーマコード(参考)】
4C088
【Fターム(参考)】
4C088AB89
4C088BA08
4C088CA03
4C088MA55
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZA89
(57)【要約】      (修正有)
【課題】慢性創傷治癒を促進するための医薬組成物製造のための植物抽出物を使用する。
【解決手段】植物抽出物が、アマナラン(Bletilla formosana(Hayata)Schiltr.)抽出物の有効量を含む、被験体における慢性創傷治癒を促進するための医薬組成物製造のための植物抽出物の使用を提供する。
【選択図】図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体における慢性創傷治癒を促進するための医薬組成物製造のための植物抽出物の使用であって、前記植物抽出物が、アマナラン(Bletilla formosana(Hayata) Schiltr.)抽出物の有効量を含む、前記使用。
【請求項2】
前記医薬組成物が、前記アマナラン抽出物の医薬的に許容されうるキャリアーをさらに含む、請求項1の使用。
【請求項3】
前記医薬組成物が、非経口調製物および外用剤である、請求項1の使用。
【請求項4】
前記医薬組成物が皮膚局所調製物である、請求項1の使用。
【請求項5】
前記有効量が0.01mg/kg体重~100mg/kg体重である、請求項1の使用。
【請求項6】
前記有効量が1mg/kg体重~75mg/kg体重である、請求項1の使用。
【請求項7】
前記有効量が25mg/kg体重~50mg/kg体重である、請求項1の使用。
【請求項8】
前記慢性創傷が糖尿病性創傷を含む、請求項1の使用。
【請求項9】
前記慢性創傷が糖尿病性足部潰瘍を含む請求項1の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験体における慢性創傷治癒を促進するための医薬組成物製造のための植物抽出物の使用、特に、被験体における慢性創傷治癒を促進するための医薬組成物製造のためのアマナラン(Bletilla formosana(hayata) schiltr.)抽出物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病(DM)は、インスリンおよび/またはインスリン生成機能の損傷によって引き起こされ、したがって高血糖症を引き起こす代謝性疾患である。DM患者は、しばしば、多くの合併症を有し、そのうちの1つが自己治癒障害である。
【0003】
糖尿病の創傷治癒の障害は、多様な要因、例えば血管変性、神経障害、免疫および生化学的要因に関連する。高血糖症は、血管硬化を引き起こし、これは循環遅延および微小血管機能不全につながり、組織酸素供給減少を引き起こす。高血糖症はまた、創傷への白血球遊走を減少させ、したがって、DM患者は感染に対してより脆弱であり、DMにおける末梢神経障害は、その領域の知覚麻痺を引き起こし、疼痛を感じる能力を減少させる可能性があり、これは創傷が直ちには認識されず、適切な治療を行えないことにつながりうる(Spampinato SF, Caruso GI, De Pasquale R, Sortino MA, Merlo S. The Treatment of Impaired Wound Healing in Diabetes: Looking among Old Drugs. Pharmaceuticals (Basel). 2020;13(4):60.)。
【0004】
糖尿病性足部潰瘍(DFU)は、DMの主な合併症であり、糖尿病患者の15%で生じることは注目に値する。DFUに関連するこのリスク要因は、神経障害、血管疾患および感染と見なされ、以前の研究によって、糖尿病患者における下肢切断のリスクは、非糖尿病患者におけるリスクの15~46倍であることもまた見出された。
【0005】
天然化合物は、豊富に供給され、多様な骨格を持つ利点があり、薬剤開発の重要な基剤である。1981~2019年、新規のFDA認可薬剤の半数近くが天然産物またはその誘導体に由来しており、例えばコカイン由来麻薬、モルヒネ由来鎮痛剤、癌治療用のビンクリスチン、ドキソルビシンおよびパクリタキセル、ならびに抗生物質としての真菌由来ペニシリンがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Spampinato SF, Caruso GI, De Pasquale R, Sortino MA, Merlo S. The Treatment of Impaired Wound Healing in Diabetes: Looking among Old Drugs. Pharmaceuticals (Basel). 2020;13(4):60.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、どの天然化合物が、慢性創傷治癒を促進するための新規薬剤として開発されるべき潜在能力を有するかを決定する研究を積極的に行う。
【課題を解決するための手段】
【0008】
アマナランを本発明の研究ターゲットとして選択する。
【0009】
本発明は、被験体における慢性創傷治癒を促進するための医薬組成物製造のためのアマナラン抽出物の使用である。
【0010】
本発明において、医薬組成物は、アマナラン抽出物の医薬的に許容されうるキャリアーをさらに含む。
【0011】
本発明において、前記慢性創傷は、糖尿病性創傷または糖尿病性足部潰瘍(DFU)を含む。
【0012】
本発明において、アマナラン抽出物の有効量は、0.01mg/kg体重~100mg/kg体重である。
【0013】
さらに、アマナラン抽出物の有効量は、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または
100mg/kg体重である。
【0014】
好ましい実施形態において、アマナラン抽出物の有効量は、1mg/kg体重~75mg/kg体重である。
【0015】
好ましくは、アマナラン抽出物の有効量は、25mg/kg体重~50mg/kg体重である。
【0016】
本発明において、前記被験体はヒトまたは哺乳動物である。
【0017】
アマナラン抽出物を医薬組成物になるよう形成する際、医薬組成物は、医薬的に許容されうる賦形剤を含んでもよく、特に、あらかじめ決定された溶媒または油、pH調整剤をさらに含んでもよく、望ましい場合、分散剤をさらに含んでもよい。本発明で用いられる溶媒の例には、限定されるわけではないが、水、エタノール、イソプロパノール、1,3-ブタンジオール、プロピレングリコール、グリセリン等が含まれる。本発明で用いられる油の例は、限定されるわけではないが、コーン油、ゴマ油、亜麻仁油、綿実油、大豆油、ピーナツ油、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、ミネラルオイル、スクアレン、ホホバ油、オリーブ油、月見草油、ボリジオイル、ブドウ種子油、ココナツ油、ヒマワリ油、シアバター、およびその任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0018】
溶媒および油は、単独でまたはその任意の組み合わせで用いられてもよい。
【0019】
有用な分散剤の例には、限定されるわけではないが、レシチン、有機モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ステアリン酸ソルビタン等が含まれる。これらの原材料もまた、単独でまたはその任意の組み合わせで用いられてもよい。
【0020】
本発明の好ましい態様において、医薬組成物は、注射可能調製物または非経口調製物および外用剤であり、前記外用剤は、限定されるわけではないが、クリーム、軟膏、ジェル、洗浄液、パッチ、吸入剤、エアロゾル、および座薬等を含む。
【0021】
医薬組成物を外用剤として用いる際、適切な外部皮膚調製物を基材として用いてもよく、既知の方法にしたがって、水溶液、非水性溶媒、懸濁物、エマルジョン、ジェル、クリーム、軟膏または凍結乾燥調製物を用いてもよく、そして滅菌してもよい。
既知の方法を用いることにより、かつ既知の軟化剤、乳化剤および増粘剤または当該技術分野に知られる他の材料を添加することにより、組成物の形態にしたがって、ジェル、クリームおよび軟膏の形態の組成物を適切に調製してもよい。
【0022】
軟化剤、例えばトリメチロールプロパン、ポリエチレングリコールおよびグリセロール、例えばプロピレングリコール、エタノールおよびイソセチルアルコールの溶媒、ならびに純水を添加することによって、ジェル型組成物を調製してもよい。
【0023】
本明細書において用いられる際、用語「有効量」は、個体に投与した際に有効な結果を達成しうる、あるいはin vivoまたはin vitroで所望の活性を有する量である。慢性創傷治癒を促進する場合、未治療またはビヒクル群と比較した際、有効臨床転帰には、疾患または状態と関連する症状の度合いまたは重症度の改善、および/または個体の寿命の延長、および/または個体の生活の質の改善が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1A図1は、アマナラン抽出物「-W+EA」がヒト包皮線維芽細胞株Hs68の細胞遊走を有効に刺激することを示す。図1Aは、細胞遊走の染色画像を示す。
図1B図1は、アマナラン抽出物「-W+EA」がヒト包皮線維芽細胞株Hs68の細胞遊走を有効に刺激することを示す。図1Bは、細胞遊走の折れ線グラフを示す。
図2図2は、糖尿病性創傷治癒アッセイのフローチャーを示す。
図3A図3は、アマナラン抽出物「-W+EA」の糖尿病性創傷に関する治癒効果を示す。図3Aは、未治療群、対照群および-W+EA治療群の創傷治癒画像を示し。
図3B図3は、アマナラン抽出物「-W+EA」の糖尿病性創傷に関する治癒効果を示す。図3Bは、未治療群、対照群および-W+EA治療群の創傷治癒速度の折れ線グラフを示す。:p<0.05および**:p<0.01は、未治療群に比較した際の有意差を示す。一方、@:p<0.05および@@:p<0.01は、ビヒクル群に比較した際の有意差を示す。
図4図4は、-W+EAの局所適用が、糖尿病性創傷の治癒を促進するのみであり、糖尿病自体を治療しないことを示す。
図5図5は、実験動物に関する-W+EAの血液生化学アッセイを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本実施形態は、最適な例を記録するのみであり、本発明を制限することは意図されない。
【0026】
(アマナラン抽出物の調製)
本発明において、抽出物の調製に用いられるアマナラン試料は、アマナランの根、茎、または葉、あるいは根、茎および葉の混合物より選択された。前記アマナラン試料を乾燥し、すりつぶした後、使用の準備ができるまで、-20℃で保管した。
【0027】
本発明において、まず、アマナラン試料を再蒸留水(ddHO)に室温で添加し、次いで超音波ショックを行い、上層上清および残渣を得た。凍結し、乾燥した後、酢酸エチルによって残渣を精製し、抽出し、次いで、本発明のアマナラン抽出物を得て、これを「-W+EA」と名付けた。
【0028】
(in vitro創傷治癒アッセイ)
本発明において、in vitro創傷治癒能を評価するため、-W+EAを用いた。
【0029】
ヒト包皮線維芽細胞株Hs68(Bioresource Collection and Research Centerより購入;BCRC番号60038)を、10%ウシ胎児血清(FBS)および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S)を含むダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM)中で培養し、細胞を、37℃、5%COの条件で、インキュベーター中で培養した。
【0030】
Hs68細胞を24ウェル培養プレート中で培養し、細胞を3群に分け、それぞれ、対照群(基底)、低用量-W+EA群(0.1μg/mLの-W+EA投与)および高用量-W+EA群(1μg/mLの-W+EA投与)と名付けた。次いで、製造者の指示にしたがって、in vitro創傷治癒アッセイのため、IBIDI培養インサート(GmbH、ドイツより購入)を用いた。
【0031】
IBIDI培養インサートを24ウェル培養プレートのウェル内に入れ、上部に穏やかに押し付けて、IBIDI培養インサートとウェルとが緊密に付着することを確実にした。IBIDI培養インサートは、500μm厚の壁によって分離された2つのウェルで構成される。等量のHs68細胞(4.5x10細胞)をIBIDI培養インサートの2つのウェルに分け、24時間培養し、培地をFBS不含培地と交換し、IBIDI培養インサートを穏やかに取り除いて、500μmのギャップを形成し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)によって洗浄した。
【0032】
2μg/mL Hoechst 33342によって核を10分間染色し、次いで、1xPBSによって洗浄した。核染色細胞を、それぞれ、0.1μg/mL -W+EAおよび1μg/mL -W+EAで処理し、Citation 5イメージシステム(Biotek、英国)によって、処理0、6、9、12および24時間後に観察した。
【0033】
図1Aおよび図1Bに示されるように、対照群に比較して、低用量-W+EA群および高用量-W+EA群のどちらでも、細胞遊走が観察され、-W+EAが創傷治癒を有効に促進することが立証された。
【0034】
(糖尿病性創傷治癒アッセイ)
本発明のすべての動物実験は、IACUC、Chang Gung Universityの認可の下に行われた。
【0035】
本発明の糖尿病性創傷治癒アッセイのフローチャートを図2に示す。
【0036】
最初に、本発明の糖尿病動物モデルを確立するため、体重20~25グラムの8~9週齢C57BL/6雄マウスを選択した。4時間絶食させた後、マウスにpH4.5のクエン酸緩衝液中に溶解した55mg/kg体重のストレプトゾトシン(STZ)を連続5日間、腹腔内注射した。STZ注射中、最初の4日間は、通常の食餌および3%グルコース水を与えて糖尿病を誘導し、最終日にはグルコース水の代わりに通常の水を与えた。
【0037】
上記スケジュールで、STZ注射の72時間後、マウスを4時間絶食させ、尾を突き刺して出血させ、Contour Plusポータブル血糖測定器(Ascensia、英国)を用いて、空腹時血漿グルコース値を測定した。150~250mg/dLの空腹時血漿グルコース値を有するマウスを前糖尿病とみなし、>250mg/dLの空腹時血漿グルコース値を有するマウスを糖尿病と見なし、続く実験に用いた。すべてのマウスの空腹時血漿グルコース値は>250mg/dLであった。
【0038】
糖尿病動物モデルを確立した後、糖尿病性創傷治癒動物モデルを確立した。
【0039】
総数20匹の雄C57BL/6糖尿病マウスを実験に用い、これらを:未治療群(5匹のマウス)、ビヒクル群(25% Pluronic F-127およびDMSO混合物、5匹のマウス)、低用量-W+EA群(25mg/kg -W+EA、5匹のマウス)および高用量-W+EA群(50mg/kg -W+EA、5匹のマウス)と称する4群にランダムに分けた。
【0040】
麻酔下で、背部領域の糖尿病マウスの体毛を、剃刀により、かつ脱毛クリームを用いて除去し、医療テープを背部皮膚に適用して、皮膚が伸びるのを防いだ。次いで、無菌生検パンチを用いて、1つは左、1つは右に、各々直径6mmの2つの全層創傷を生成した。
【0041】
実験プロセス中、すべての創傷を、円形のノッチがある医療テープで固定して、創傷のギャップを維持した。医療テープを用いて、創傷周囲の皮膚を固定し、創傷治癒中、創傷面積の計算に影響を及ぼす可能性がある皮膚の収縮を防いだ。左側の創傷にはいかなる治療も行わず、一方、右側の創傷を毎日、ビヒクル群溶液(25% Pluronic F-127およびDMSO混合物)、25mg/kgの-W+EA、および50mg/kgの-W+EAで2週間治療し、毎日、創傷の写真を撮影した。
【0042】
毎日撮影した写真にしたがって、Image J分析ソフトウェアによって創傷面積を測定し、第0日に比較した創傷治癒の割合として表した。
【0043】
創傷治癒の結果を図3Aおよび3Bに示す。図3Aは、未治療群、ビヒクル群、低用量-W+EA群および高用量-W+EA群の創傷治癒写真を示し、図3Bは、折れ線グラフで例示された定量化創傷面積を提示する。未治療およびビヒクル群に比較して、-W+EAで治療されたマウスは、有意な創傷治癒有効性を示すことが観察された。
【0044】
-W+EAの局所適用が、糖尿病性創傷の治癒を促進するのみであり、糖尿病自体を治療しないことをさらに確認するため、第1週および第2週中、各マウスの空腹時血糖レベルを測定した。図4に結果を示すように、すべてのマウスの空腹時血糖レベルは上昇し続け、-W+EAの局所適用条件下で、糖尿病性創傷治癒のみが促進され、糖尿病は治療されなかったことが確認された。
【0045】
(血液生化学アッセイ)
図5に示すように、血液生化学値を通じて、-W+EAは、実験動物において、肝毒性(GOTおよびGPTレベルによって示される)または腎毒性(CREおよびBUNレベルによって示される)を引き起こさなかったことが観察されうる。これは、本発明の-W+EAが、実験動物に関して、高い安全性プロファイルを有することを示す。
【0046】
本発明は、当業者がこれを作製し、用いるために十分に詳細に記載され、例示されてきているが、本発明の精神および範囲から逸脱しない、多様な代替法、修飾および改善が明らかであるはずである。
【0047】
当業者は、本発明が、本来的なものとともに、目的を実行し、言及される目標および利点を得るためによく適応されることを容易に認識する。細胞、動物、およびプロセス、ならびにこれらを産生するための方法は、好ましい実施形態の代表であり、例示であり、本発明の範囲に対する制限としては意図されない。本発明の修飾および他の使用が、当業者には思い浮かぶであろう。これらの修飾は、本発明の精神内に含まれ、請求の範囲によって定義される。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
【外国語明細書】