(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024057619
(43)【公開日】2024-04-24
(54)【発明の名称】ウイルス感染と細菌感染を区別するためのマルチプレックスラテラルフローアッセイ
(51)【国際特許分類】
G01N 33/543 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
G01N33/543 521
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024019231
(22)【出願日】2024-02-13
(62)【分割の表示】P 2020561597の分割
【原出願日】2019-01-24
(31)【優先権主張番号】62/622,877
(32)【優先日】2018-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】レン フイミャオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ジアン
(72)【発明者】
【氏名】リウ グオホン
(57)【要約】
【課題】第1の分析物が高濃度で試料中に存在し、第2の別の分析物が高濃度の100万分の1の濃度を含むがこれに限定されない低濃度で試料中に存在する場合に、試料中の複数の対象分析物の存在及び濃度を検出するための改善されたラテラルフローアッセイを提供する。
【解決手段】本明細書中に記載されるラテラルフローアッセイ装置、システム、及び方法は、試料中の複数の対象分析物の濃度を測定し、1つ以上の対象分析物が試料中に高濃度で存在し、1つ以上の対象分析物が低濃度で存在する場合、複数の対象分析物の正確な濃度を決定することができる。第1の対象分析物が単一試料中の第2の対象分析物の100万分の1の濃度で単一試料中に存在する場合を含む、単一の試料が単一のアプリケーションにおける単一のラテラルフローアッセイに適用される場合に、複数の分析物の各々の正確な濃度を決定することができる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中に異なる濃度で存在する第1の対象分析物及び第2の対象分析物を検出する方法であって、
ラテラルフローアッセイを提供するステップを含み、
前記ラテラルフローアッセイは、
前記ラテラルフローアッセイの流路に結合された第1の複合体であって、標識と、前記第1の分析物に特異的に結合する抗体又はそのフラグメントと、前記第1の分析物とを含む前記第1の複合体と、
前記流路に結合され、前記第2の分析物に特異的に結合するように構成された第2の標識抗体又はそのフラグメントと、
前記第1の複合体の下流の第1の捕捉ゾーンであって、前記第1の分析物に特異的な第1の固定化捕捉剤を含む、前記第1の捕捉ゾーンと、
前記第2の標識抗体又はそのフラグメントの下流にある第2の捕捉ゾーンであって、前記第2の分析物に特異的な第2の固定化捕捉剤を含む前記第2の捕捉ゾーンと、を有し、
前記方法は、さらに、
前記第1の複合体及び前記第2の標識抗体又はそのフラグメントに前記試料を適用するステップと、
前記第2の標識抗体又はそのフラグメントに前記第2の分析物を結合して第2の複合体を形成するステップと、
前記流体試料及び前記第1の複合体を前記第1の捕捉ゾーンに流すステップであって、前記流体試料中の前記第1の分析物と前記第1の複合体とは、前記第1の捕捉ゾーン内の前記第1の固定化捕捉剤に結合するために競合するステップと、
前記流路内の前記第2の複合体を前記第2の捕捉ゾーンに流し、前記第2の複合体を前記第2の捕捉ゾーン内の前記第2の固定化捕捉剤に結合させるステップと、
前記第1の捕捉ゾーンにおいて前記第1の固定化捕捉剤に結合した前記第1の複合体からの第1のシグナルと、前記第2の捕捉ゾーンにおいて前記第2の固定化捕捉剤に結合した前記第2の複合体からの第2のシグナルとを検出するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の対象分析物が、前記試料中に存在する前記第2の対象分析物の濃度よりも約6桁大きい濃度で前記試料中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の対象分析物が、1から999μl/mlの間の濃度で前記試料中に存在し、第2の対象分析物が、1から999pg/mlの間の濃度で前記試料中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の対象分析物が、前記試料中に存在する前記第2の対象分析物の濃度よりも少なくとも1桁大きい濃度で試料中に存在し、その桁は、1桁、2桁、3桁、4桁、5桁、6桁、7桁、8桁、9桁、又は10桁を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
さらに、前記第1のシグナルを、前記試料中に存在する前記第1の対象分析物の濃度に相関させるステップと、前記第2のシグナルを、前記試料中の前記第2の対象分析物の濃度に相関させるステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の捕捉ゾーンにおいて前記第1の固定化捕捉剤に結合した前記第1の複合体から検出される前記第1のシグナルは、前記試料中の前記第1の分析物の濃度が減少するにつれて減少し、前記第2の捕捉ゾーンにおいて前記第2の固定化捕捉剤に結合した前記第2の複合体から検出される前記第2のシグナルは、前記試料中の前記第2の対象分析物の濃度が増加するにつれて増加する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
さらに、前記試料中の第3の対象分析物を検出する工程を含み、
前記ラテラルフローアッセイは、
前記流路に結合され、前記第3の分析物に特異的に結合するように構成された第3の標識抗体又はそのフラグメントと、
前記第3の標識抗体又はそのフラグメントの下流にある第3の捕捉ゾーンであって、前記第3の分析物に特異的な第3の固定化捕捉剤を含む前記第3の捕捉ゾーンと、を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第3の標識抗体又はそのフラグメントへ前記試料を適用する工程と、
前記第3の標識抗体又はそのフラグメントに前記第3の分析物を結合して第3の複合体を形成する工程と、
前記流路中の前記第3の複合体を前記第3の捕捉ゾーンに流し、前記第3の複合体を前記第3の捕捉ゾーン内の前記第3の固定化捕捉剤に結合させる工程と、
前記第3の捕捉ゾーンにおいて前記第3の固定化捕捉剤に結合した前記第3の複合体からの第3のシグナルを検出する工程と、
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のシグナル、前記第2のシグナル、及び前記第3のシグナルを、それぞれ、前記試料中の前記第1の分析物の濃度、前記第2の分析物の濃度、及び前記第3の分析物の濃度に相関させる工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の分析物、前記第2の分析物、及び前記第3の分析物のそれぞれの濃度に基づき、疾患状態、非疾患状態、又は無状態を示す工程をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記疾患状態がウイルス感染又は細菌感染であり、前記非疾患状態が炎症である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の対象分析物はC反応性タンパク質(CRP)を含み、前記第2の対象分析物はTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第3の対象分析物は、インターフェロンγ誘導タンパク質10(IP-10)を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記試料は、全血試料、静脈血試料、毛細血管血液試料、血清試料又は血漿試料である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記試料は、前記ラテラルフローアッセイに前記試料を適用する前に希釈されない、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
流体試料中に異なる濃度で存在する第1の対象分析物及び第2の対象分析物を検出するように構成されたラテラルフローアッセイであって、
前記ラテラルフローアッセイの流路に結合され、標識と、前記第1の分析物に特異的に結合する抗体又はそのフラグメントと、前記第1の分析物とを含む、第1の複合体と、
前記流路に結合され、前記第2の分析物に特異的に結合するように構成された第2の標識抗体又はそのフラグメントと、
前記第1の複合体の下流の第1の捕捉ゾーンであって、前記第1の分析物に特異的な第1の固定化捕捉剤を含む前記第1の捕捉ゾーンと、
前記第2の標識抗体又はそのフラグメントの下流の第2の捕捉ゾーンであって、前記第2の分析物に特異的な第2の固定化捕捉剤を含む前記第2の捕捉ゾーンと、
を有するラテラルフローアッセイ。
【請求項17】
前記第1の複合体及び前記第2の標識抗体又はそのフラグメントは、前記流体試料が前記第1の複合体及び前記第2の標識抗体又はそのフラグメントに適用されたときに、前記ラテラルフローアッセイの前記流路から分離される、請求項16に記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項18】
前記流体試料が前記第1の複合体及び前記第2の標識抗体又はそのフラグメントに適用されるときに、前記第2の標識抗体又はそのフラグメントが前記第2の分析物に結合して第2の複合体を形成する、請求項17に記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項19】
前記流体試料が適用された後、前記第1の捕捉ゾーン内の前記第1の固定化捕捉剤は、前記流体試料内を前記第1の捕捉ゾーンに流れた前記第1の複合体及び前記第1の分析物と競合的に結合する、請求項18に記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項20】
前記流体試料が適用された後、前記第2の捕捉ゾーン内の前記第2の固定化捕捉剤は、前記流体試料内を前記第2の捕捉ゾーンに流れた前記第2の複合体と結合する、請求項19に記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項21】
第1のシグナルは、前記第1の捕捉ゾーンにおいて前記第1の固定化捕捉剤に結合した前記第1の複合体から発せられ、第2のシグナルは、前記第2の捕捉ゾーンにおいて前記第2の固定化捕捉剤に結合した前記第2の複合体から発せられる、請求項20に記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項22】
前記第1の捕捉ゾーンにおいて前記第1の固定化捕捉剤に結合した前記第1の複合体から発せられる前記第1のシグナルは、前記流体試料中の前記第1の分析物の濃度が低下するにつれて低下し、前記第2の捕捉ゾーンにおいて前記第2の固定化捕捉剤に結合した前記第2の複合体から発せられる前記第2のシグナルは、前記流体試料中の前記第2の対象分析物の濃度が上昇するにつれて上昇する、請求項21に記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項23】
前記第1の対象分析物は、前記試料中に存在する前記第2の対象分析物の濃度よりも約6桁大きい濃度で前記試料中に存在する、請求項16に記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項24】
前記第1の対象分析物は1から999μl/mlの間の濃度で前記試料中に存在し、前記第2の対象分析物は1から999pg/mlの間の濃度で前記試料中に存在する、請求項16に記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項25】
前記第1の対象分析物は、前記試料中に存在する前記第2の対象分析物の濃度よりも少なくとも1桁大きい濃度で前記試料中に存在し、その桁は、1桁、2桁、3桁、4桁、5桁、6桁、7桁、8桁、9桁、又は10桁を含む、請求項16に記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項26】
前記第1の対象分析物はC反応性タンパク質(CRP)を含み、前記第2の対象分析物はTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)を含む、請求項16に記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項27】
前記流体試料は、全血試料、静脈血試料、毛細血管血液試料、血清試料、又は血漿試料である、請求項16に記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項28】
前記試料は、前記ラテラルフローアッセイに適用される前に希釈されない、請求項16に記載のラテラルフローアッセイ。
【請求項29】
流体試料を受け入れるように構成された流路と、
前記流路に結合された試料受容ゾーンと、
前記試料受容ゾーンの下流で前記流路に結合された検出ゾーンであって、第1の捕捉ゾーン、第2の捕捉ゾーン、及び第3の捕捉ゾーンを備え、前記第1の捕捉ゾーンは、第1の対象分析物に特異的な第1の固定化捕捉剤を含み、前記第2の捕捉ゾーンは、第2の対象分析物に特異的な第2の固定化捕捉剤を含み、前記第3の捕捉ゾーンは、第3の対象分析物に特異的な第3の固定化捕捉剤を含む、前記検出ゾーンと、
第1のフェイズにおいて前記流路に結合され、第2のフェイズにおいて前記流体試料の存在下で前記流路を前記検出ゾーンへ流れるように構成された第1の複合体であって、標識と、前記第1の対象分析物に特異的に結合する第1の抗体又はそのフラグメントと、前記第1の対象分析物を含む前記第1の複合体と、
前記第2の対象分析物に特異的に結合する第2の標識抗体又はそのフラグメントであって、前記第1のフェイズにおいて前記流路に結合され、前記第2のフェイズにおいて前記流体試料の存在下で前記流路を前記検出ゾーンへ流れるように構成された前記第2の標識抗体又はそのフラグメントと、
前記第3の対象分析物に特異的に結合する第3の標識抗体又はそのフラグメントであって、前記第1のフェイズにおいて前記流路に結合され、前記第2のフェイズにおいて前記流体試料の存在下で前記流路を前記検出ゾーンへ流れるように構成された前記第3の標識抗体又はそのフラグメントと、
を有するアッセイテストストリップ。
【請求項30】
前記流路は、標識されていない前記第1の対象分析物を含む前記流体試料を受け入れるように構成され、前記第1の固定化捕捉剤は、前記流体試料中の前記第1の複合体及び前記標識されていない前記第1の対象分析物と競合的に結合するように構成される、請求項29に記載のアッセイテストストリップ。
【請求項31】
前記流体試料は、さらに、前記流体試料中の標識されていない前記第1の分析物の濃度より6桁低い濃度で、標識されていない第2の分析物を含む、請求項30に記載のアッセイテストストリップ。
【請求項32】
前記流体試料は、さらに、前記流体試料中の標識されていない前記第1の分析物の濃度より6桁低い濃度で、標識されていない第3の分析物を含む、請求項30に記載のアッセイテストストリップ。
【請求項33】
前記第1の複合体は、前記第1の捕捉ゾーンに流れ、第3のフェイズにおいて前記第1の固定化捕捉剤と結合し、前記第2の対象分析物に結合した前記第2の標識抗体又はそのフラグメントは、前記第2の捕捉ゾーンに流れ、前記第3のフェイズにおいて前記第2の固定化捕捉剤と結合する、請求項29に記載のアッセイテストストリップ。
【請求項34】
前記第1の複合体は、前記第3のフェイズにおいて前記第1の捕捉ゾーンから第1のシグナルを発し、前記第2の対象分析物に結合した前記第2の標識抗体又はそのフラグメントは、前記第3のフェイズにおいて前記第2の捕捉ゾーンから第2のシグナルを発する、請求項33に記載のアッセイテストストリップ。
【請求項35】
前記流路は、標識されていない第1の対象分析物を含む流体試料を受け入れるように構成され、前記試料中の前記標識されていない第1の対象分析物の濃度が前記流体試料中で増加するにつれて、前記第1の捕捉ゾーンから発せられる前記第1のシグナルは減少する、請求項34に記載のアッセイテストストリップ。
【請求項36】
前記流体試料は、標識されていない第2の対象分析物をさらに含み、前記流体試料中の前記標識されていない第2の対象分析物の濃度が増加するにつれて、前記第2の捕捉ゾーンから発せられる前記第2のシグナルは増加する、請求項35に記載のアッセイテストストリップ。
【請求項37】
前記流路は、標識されていない第1の対象分析物を含む流体試料を受け入れるように構成され、前記第1の複合体は、前記第1のフェイズ又は前記第2のフェイズにおいて、前記標識されていない第1の対象分析物に特異的に結合しない、請求項29に記載のアッセイテストストリップ。
【請求項38】
前記第1の複合体は、前記第2のフェイズにおいて前記標識されていない第1の対象分析物と共に前記流路を前記第1の捕捉ゾーンへ流れるように構成される、請求項37に記載のアッセイテストストリップ。
【請求項39】
前記第1の複合体は、第3のフェイズにおいて前記第1の捕捉ゾーンで前記第1の固定化捕捉剤に結合するために前記標識されていない第1の対象分析物と競合するように構成される、請求項38に記載のアッセイテストストリップ。
【請求項40】
前記流体試料中の標識されていない第1の対象分析物の濃度が増加するにつれて、前記第1の捕捉ゾーンにおいて前記第1の固定化捕捉剤に結合した第1の複合体から発せられる第1の光シグナルは減少する、請求項39に記載のアッセイテストストリップ。
【請求項41】
前記流路は、第1の対象分析物を含む又は含まない流体試料を受け入れるように構成され、前記流体試料が第1の対象分析物を含まない場合、前記第1の複合体は、前記第2のフェイズにおいて前記第1の捕捉ゾーンで前記第1の固定化捕捉剤の全て又は実質的に全てに特異的に結合する、請求項29に記載のアッセイテストストリップ。
【請求項42】
前記流体試料が第1の対象分析物を含まない場合、前記第1の捕捉ゾーンに結合された前記第1の複合体から発せられる第1の光シグナルは、前記アッセイテストストリップの前記第1の捕捉ゾーンから発せられ得る最大の光シグナルである、請求項41に記載のアッセイテストストリップ。
【請求項43】
前記流体試料が第1の対象分析物を含む場合、前記第1の捕捉ゾーンに結合された前記第1の複合体から発せられる第1の光シグナルは、前記最大の光シグナルよりも小さい、請求項42に記載のアッセイテストストリップ。
【請求項44】
前記第1の固定化捕捉剤は、前記第1の対象分析物に特異的に結合する抗体又は抗体のフラグメントを含む、請求項29に記載のアッセイテストストリップ。
【請求項45】
前記第1の複合体は、第1のフェイズにおいて前記アッセイテストストリップの表面上に結合される、請求項29に記載のアッセイテストストリップ。
【請求項46】
前記第1の複合体を含む溶液を前記アッセイテストストリップの表面に噴霧し、当該溶液を乾燥することにより、前記第1の複合体が前記アッセイテストストリップの表面に結合される、請求項29に記載のアッセイテストストリップ。
【請求項47】
前記流体試料は、血液、血漿、尿、汗、及び唾液試料からなる群より選択される、請求項29に記載のアッセイテストストリップ。
【請求項48】
前記流体試料は、全血、静脈血、毛細血管血、血漿及び血清からなる群より選択される、請求項29に記載のアッセイテストストリップ。
【請求項49】
前記第1の対象分析物はC反応性タンパク質(CRP)を含み、前記第1の複合体はCRPに結合した抗CRP抗体又はそのフラグメントを含み、前記第2の対象分析物はTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)を含み、前記第3の対象分析物はインターフェロンγ誘導タンパク質10(IP-10)を含む、請求項29に記載のアッセイテストストリップ。
【請求項50】
請求項29に記載のアッセイテストストリップと、
光源と検出器とを備えるリーダと、
データ分析器と、
を有する診断テストシステム。
【請求項51】
前記リーダが前記アッセイテストストリップの前記第1の捕捉ゾーンから第1の光シグナルを検出し、その光シグナルが、前記テストストリップの前記第1の捕捉ゾーンについての用量応答曲線の最大光シグナルである場合、前記データ分析器は、前記流体試料中に第1の対象分析物がないという表示を出力する、請求項50に記載の診断テストシステム。
【請求項52】
前記リーダが、前記アッセイテストストリップの前記第1の捕捉ゾーンからの光シグナルを検出し、その光シグナルが前記最大光シグナルから1%の範囲内である場合、前記データ分析器は、前記流体試料中の第1の対象分析物の濃度が低いことを示す表示を出力する、請求項51に記載の診断テストシステム。
【請求項53】
前記リーダが、前記アッセイテストストリップの前記第1の捕捉ゾーンからの光シグナルを検出し、その光シグナルが前記最大光シグナルから5%の範囲内である場合、前記データ分析器は、前記流体試料中の第1の対象分析物の濃度が低いことを示す表示を出力する、請求項51に記載の診断テストシステム。
【請求項54】
前記リーダが、前記アッセイテストストリップの前記第1の捕捉ゾーンからの光シグナルを検出し、その光シグナルが前記最大光シグナルから10%の範囲内である場合、前記データ分析器は、前記流体試料中の第1の対象分析物の濃度が低いことを示す表示を出力する、請求項51に記載の診断テストシステム。
【請求項55】
前記リーダが、前記アッセイテストストリップの前記第1の捕捉ゾーンからの光シグナルを検出し、その光シグナルが前記最大光シグナルの90%以下である場合、前記データ分析器は、前記流体試料中に高濃度の第1の分析物が存在するという表示を出力する、請求項51に記載の診断テストシステム。
【請求項56】
前記リーダが、前記アッセイテストストリップの前記第1の捕捉ゾーンからの光シグナルを検出し、その光シグナルが前記最大光シグナル未満である場合、前記データ分析器は、前記流体試料中の第1の対象分析物の濃度の表示を出力する、請求項51に記載の診断テストシステム。
【請求項57】
前記リーダが、前記アッセイテストストリップの前記第2の捕捉ゾーンから第2の光シグナルを検出した場合、前記データ分析器は、前記流体試料中の第2の対象分析物の濃度の表示を出力し、前記流体試料中の第2の対象分析物の前記表示された濃度は、前記流体試料中の前記第1の対象分析物の前記表示された濃度より6桁低い、請求項51に記載の診断テストシステム。
【請求項58】
前記リーダが、前記アッセイテストストリップの前記第3の捕捉ゾーンから第3の光シグナルを検出した場合、前記データ分析器は、前記流体試料中の第3の対象分析物の濃度の表示を出力し、前記流体試料中の第3の対象分析物の前記表示された濃度は、前記流体試料中の前記第1の対象分析物の前記表示された濃度より6桁低い、請求項51に記載の診断テストシステム。
【請求項59】
前記リーダが、前記アッセイテストストリップの前記第2の捕捉ゾーンからの第2の光シグナルを検出しない場合、前記データ分析器は、前記流体試料中に第2の対象分析物がないという表示を出力する、請求項50に記載の診断テストシステム。
【請求項60】
前記リーダが、前記アッセイテストストリップの前記第3の捕捉ゾーンからの第3の光シグナルを検出しない場合、前記データ分析器は、前記流体試料中に第3の対象分析物がないという表示を出力する、請求項50に記載の診断テストシステム。
【請求項61】
流体試料中の複数の対象分析物の各々の存在又は濃度を決定する方法であって、
前記第1のフェイズにおいて、前記第1の複合体、前記第2の標識抗体又はそのフラグメント、及び前記第3の標識抗体又はそのフラグメントがそれぞれ前記流路に結合されている場合に、請求項29に記載のアッセイテストストリップに前記流体試料を適用する工程と、
前記第2の分析物が前記流体試料中に存在する場合、前記第2の分析物を前記第2の標識抗体又はそのフラグメントに結合し、それにより第2の複合体を形成する工程と、
前記第3の分析物が前記流体試料中に存在する場合、前記第3の分析物を前記第3の標識抗体又はそのフラグメントに結合し、それにより第3の複合体を形成する工程と、
前記第1の複合体と、前記第2の複合体が形成された場合には当該第2の複合体と、前記第3の複合体が形成された場合には当該第3の複合体とを、前記流路から分離する工程と、
前記第2のフェイズにおいて前記流体試料を前記検出ゾーンへ流す工程と、
前記第1の捕捉ゾーンにおける前記第1の固定化捕捉剤に、前記第1の複合体を結合し、前記第2の複合体が形成された場合には、前記第2の捕捉ゾーンにおける前記第2の固定化捕捉剤に前記第2の複合体を結合し、前記第3の複合体が形成された場合には、前記第3の捕捉ゾーンにおける前記第3の固定化捕捉剤に前記第3の複合体を結合する工程と、
前記第1の捕捉ゾーンにおいて前記第1の固定化捕捉剤に結合した前記第1の複合体からの第1のシグナルを検出する工程と、
前記第2の複合体が形成される場合、前記第2の捕捉ゾーンにおいて前記第2の固定化捕捉剤に結合された前記第2の複合体からの第2のシグナルを検出する工程と、
前記第3の複合体が形成される場合、前記第3の捕捉ゾーンにおいて前記第3の固定化捕捉剤に結合された前記第3の複合体からの第3のシグナルを検出する工程と、
を有する方法。
【請求項62】
前記第1の対象分析物は、前記流体試料中に存在する前記第2の対象分析物の濃度よりも約6桁大きい濃度で前記流体試料中に存在する、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記第1の対象分析物は、1から999μl/mlの間の濃度で前記流体試料中に存在し、前記第2の対象分析物は、1から999pg/mlの間の濃度で前記流体試料中に存在する、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記第1の対象分析物が、前記流体試料中に存在する前記第2の対象分析物の濃度よりも少なくとも1桁大きい濃度で前記流体試料中に存在し、その桁は、1桁、2桁、3桁、4桁、5桁、6桁、7桁、8桁、9桁、又は10桁を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
さらに、前記第1のシグナルを、前記試料中に存在する前記第1の対象分析物の濃度に相関させる工程と、前記第2のシグナルを、前記試料中の前記第2の対象分析物の濃度に相関させる工程とを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
前記第1の捕捉ゾーンにおいて前記第1の固定化捕捉剤に結合した前記第1の複合体から検出される前記第1のシグナルは、前記試料中の前記第1の分析物の濃度が低下するにつれて低下し、前記第2の捕捉ゾーンにおいて前記第2の固定化捕捉剤に結合した前記第2の複合体から検出される前記第2のシグナルは、前記試料中の前記第2の対象分析物の濃度が上昇するにつれて上昇する、請求項61に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2018年1月27日出願の米国仮出願第62/622,877号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、ラテラルフローアッセイ装置、試験システム、及び方法に関する。より詳細には、本開示は、1つ以上の対象分析物が高濃度で存在し、1つ以上の対象分析物が低濃度で存在する場合を含む、試料中の複数の分析物の存在及び濃度を決定するためのラテラルフローアッセイ装置に関する。第1の対象分析物が単一試料中の第2の対象分析物の100万分の1の濃度で単一試料中に存在する場合を含む、単一の試料が単一のアプリケーションにおける単一のラテラルフローアッセイに適用される場合に、複数の分析物の各々の正確な濃度を決定することができる。
【背景技術】
【0003】
本明細書に記載されるラテラルフローアッセイを含むイムノアッセイシステムは、信頼性が高く、安価で、携帯可能で、迅速で、簡単な診断テストを提供する。ラテラルフローアッセイは、試料中の対象分析物の有無を迅速かつ正確に検出し、場合によっては定量することができる。有利には、ラテラルフローアッセイは、最小侵襲性であり、ポイントオブケア検査システムとして使用され得る。ラテラルフローアッセイは、多種多様な医学的又は環境的分析物を検出するために開発されてきた。サンドイッチ形式ラテラルフローアッセイにおいては対象分析物に対する標識抗体は、試料受容ゾーン内又はその近くのテストストリップ上に塗布される。標識抗体は、例えば、抗体に結合した検出用分子又は「標識」を含み得る。試料がテストストリップに塗布されると、試料中に存在する分析物は、標識抗体により結合され、標識抗体はテストストリップに沿って捕捉ゾーンに流れ、そこで、分析物に対する固定された抗体が、標識された抗体-分析物複合体に結合する。捕捉ライン上に固定化された抗体は、試料受容ゾーン内又はその近くに塗布された標識抗体とは異なるものであってもよい。捕捉された複合体が検出され、分析物の存在が判定される。分析物が存在しない場合、標識抗体はテストストリップに沿って流れるが、捕捉ゾーンを通過する。捕捉ゾーンにおけるシグナルの欠如は、分析物の不存在を示す。マルチプレックスアッセイは、ラテラルフローアッセイに適用される単一試料中に存在する2つ以上の対象分析物を検出するために開発され得るが、このようなアッセイは、抗体と対象分析物との間の交差反応性や、単一のテストイベント中に単一テストストリップに塗布された複数の対象分析物を、1つの光学リーダを用いて検出することができないこと、及び、有意に異なる濃度で単一試料中に存在する対象分析物を検出することができないことを含む、多くの欠点を有する。典型的には、高濃度の分析物を有する試料は、まず、高濃度の分析物の存在又は濃度について試験するために希釈されなければならない。このような希釈は、低濃度で試料中に存在する任意の対象分析物の濃度をさらに低下させ、低濃度分析物を検出不能にする。今日まで、マルチプレックスラテラルフローアッセイは、1つ以上の分析物が高濃度で存在し、且つ、1つ以上の分析物が低濃度で存在する試料中の複数の分析物の量及び存在を決定するのに適していない。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本開示の一態様は、第1の分析物が高濃度で試料中に存在し、第2の別の分析物が高濃度の100万分の1の濃度を含むがこれに限定されない低濃度で試料中に存在する場合に、試料中の複数の対象分析物の存在及び濃度を検出するための改善されたラテラルフローアッセイを提供することである。
【0005】
本開示の一実施形態において、異なる濃度で試料中に存在する第1の対象分析物及び第2の対象分析物を検出する方法が提供される。この方法は、ラテラルフローアッセイの流路に結合された第1の複合体を含むラテラルフローアッセイを提供することを含み、第1の複合体は、第1の分析物に特異的に結合する標識、抗体又はそのフラグメント、及び第1の分析物を含む。ラテラルフローアッセイはまた、流路に結合され、第2の分析物に特異的に結合するように構成された、標識された第2の抗体又はそのフラグメントを含む。ラテラルフローアッセイは、さらに、第1の複合体の下流に第1の捕捉ゾーンを含み、第1の捕捉ゾーンは、第1の分析物に特異的な第1の固定化捕捉剤を含む。ラテラルフローアッセイはまた、標識された第2の抗体又はそのフラグメントの下流に第2の捕捉ゾーンを含み、第2の分析物に特異的な第2の固定化捕捉剤を含む。本方法はまた、試料を第1の複合体及び標識された第2の抗体又はそのフラグメントに適用する工程と、標識された第2の抗体又はそのフラグメントに第2の分析物を結合させて第2の複合体を形成する工程とを含む。この方法は、さらに、流体試料及び第1の複合体を第1の捕捉ゾーンに流動させる工程を含み、流体試料中の第1の分析物及び第1の複合体は、第1の捕捉ゾーン内の第1の固定化捕捉剤に結合するように競合し、さらに、流路中の第2の複合体を第2の捕捉ゾーンに流動させ、第2の複合体を第2の捕捉ゾーン内の第2の固定化捕捉剤に結合させる工程を含む。この方法はまた、第1の捕捉ゾーンにおいて第1の固定化捕捉剤に結合した第1の複合体からの第1のシグナル、及び、第2の捕捉ゾーンにおいて第2の固定化捕捉剤に結合した第2の複合体からの第2のシグナルを検出する工程を含む。
【0006】
本開示の別の実施形態では、異なる濃度で流体試料中に存在する第1の対象分析物及び第2の対象分析物を検出するように構成されたラテラルフローアッセイが提供される。ラテラルフローアッセイは、ラテラルフローアッセイの流路に結合された第1の複合体であって、第1の分析物に特異的に結合する標識、抗体又はそのフラグメント及び第1の分析物を含む第1の複合体と、流路に結合され、第2の分析物に特異的に結合するように構成された標識された第2の抗体又はそのフラグメントと、第1の複合体の下流の第1の捕捉ゾーンであって、第1の分析物に特異的な第1の固定化捕捉剤を含む第1の捕捉ゾーンと、標識された第2の抗体又はそのフラグメントの下流の第2の捕捉ゾーンであって、第2の分析物に特異的な第2の固定化捕捉剤を含む第2の捕捉ゾーンとを含む。
【0007】
本開示のさらに別の実施形態では、アッセイテストストリップが提供される。アッセイテストストリップは、流体試料を受け入れるように構成された流路と、流路に結合された試料受容ゾーンと、試料受容ゾーンの下流で流路に結合された検出ゾーンとを含む。検出ゾーンは、第1の捕捉ゾーンと、第2の捕捉ゾーンと、第3の捕捉ゾーンとを含む。第1の捕捉ゾーンは、第1の対象分析物に特異的な第1の固定化捕捉剤を含み、第2の捕捉ゾーンは、第2の対象分析物に特異的な第2の固定化捕捉剤を含み、第3の捕捉ゾーンは、第3の対象分析物に特異的な第3の固定化捕捉剤を含む。アッセイテストストリップはまた、第1のフェイズで流路に結合され、第2のフェイズで流体試料の存在下で流路を検出ゾーンへ流れるように構成された、第1の複合体を含む。第1の複合体は、標識、第1の抗体又はそのフラグメントであって第1の対象分析物に特異的に結合するものと、第1の対象分析物とを含む。アッセイテストストリップは、さらに、第2の対象分析物に特異的に結合する標識された第2の抗体又はそのフラグメントを含み、標識された第2の抗体又はそのフラグメントは、第1のフェイズで流路に結合され、第2のフェイズで流体試料の存在下で流路を検出ゾーンへ流れるように構成されている。アッセイテストストリップはまた、第3の対象分析物に特異的に結合する標識された第3の抗体又はそのフラグメントを含み、第3の抗体又はそのフラグメントは、第1のフェイズで流路に結合され、第2のフェイズで流体試料の存在下で流路を検出ゾーンへ流れるように構成されている。
【0008】
本開示のさらに別の実施形態では、診断テストシステムが提供される。診断テストシステムは、上述したようなアッセイテストストリップと、光源と検出器とを含むリーダと、データ分析器とを含む。
【0009】
本開示の別の実施形態では、流体試料中の複数の対象分析物の各々の存在又は濃度を決定する方法が提供される。この方法は、第1の複合体、標識された第2の抗体又はそのフラグメント、及び標識された第3の抗体又はそのフラグメントがそれぞれ第1のフェイズで流路に結合される場合に、上述のアッセイテストストリップに流体試料を適用することを含む。本方法はまた、第2の分析物が流体試料中に存在する場合、標識された第2の抗体又はそのフラグメントに第2の分析物を結合し、それにより第2の複合体を形成する工程と、第3の分析物が流体試料中に存在する場合、標識された第3の抗体又はそのフラグメントに第3の分析物を結合し、それにより第3の複合体を形成する工程と、第1の複合体、形成された場合には第2の複合体、及び形成された場合には第3の複合体を、流路から分離する工程と、第2のフェイズで流体試料を検出ゾーンへ流動させる工程と、第1の複合体を第1の捕捉ゾーンにおける第1の固定化捕捉剤へ結合し、形成された場合には第2の複合体を第2の捕捉ゾーンにおける第2の固定化捕捉剤へ結合し、及び形成された場合には第3の複合体を第3の捕捉ゾーンにおける第3の固定化捕捉剤へ結合する工程と、第1の捕捉ゾーンの第1の固定化捕捉剤に結合した第1の複合体からの第1のシグナルを検出する工程と、第2の複合体が形成された場合、第2の捕捉ゾーンの第2の固定化捕捉剤に結合された第2の複合体からの第2のシグナルを検出する工程と、第3の複合体が形成された場合、第3の捕捉ゾーンの第3の固定化捕捉剤に結合した第3の複合体からの第3のシグナルを検出する工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】流体試料が試料受容ゾーンで適用される前後の、本開示による例示的なラテラルフローアッセイを示し、流体試料が、第1の対象分析物、第2の対象分析物、及び第3の対象分析物を含む場合を示す。
【
図1B】流体試料が試料受容ゾーンで適用される前後の、本開示による例示的なラテラルフローアッセイを示し、流体試料が、第1の対象分析物、第2の対象分析物、及び第3の対象分析物を含む場合を示す。
【
図2A】流体試料が試料受容ゾーンで適用される前後の、本開示による例示的なラテラルフローアッセイを示し、流体試料が対象分析物を含まない場合を示す。
【
図2B】流体試料が試料受容ゾーンで適用される前後の、本開示による例示的なラテラルフローアッセイを示し、流体試料が対象分析物を含まない場合を示す。
【
図3A】流体試料が試料受容ゾーンで適用される前後の、本開示による例示的なラテラルフローアッセイを示し、流体試料が、第1の対象分析物を含むが、第2又は第3の対象分析物を含まない場合を示す。
【
図3B】流体試料が試料受容ゾーンで適用される前後の、本開示による例示的なラテラルフローアッセイを示し、流体試料が、第1の対象分析物を含むが、第2又は第3の対象分析物を含まない場合を示す。
【
図4A】流体試料が試料受容ゾーンで適用される前後の、本開示による例示的なラテラルフローアッセイを示し、流体試料が、第2の対象分析物を含むが、第1又は第3の対象分析物を含まない場合を示す。
【
図4B】流体試料が試料受容ゾーンで適用される前後の、本開示による例示的なラテラルフローアッセイを示し、流体試料が、第2の対象分析物を含むが、第1又は第3の対象分析物を含まない場合を示す。
【
図5A】流体試料が試料受容ゾーンで適用される前後の、本開示による例示的なラテラルフローアッセイを示し、流体試料が、第3の対象分析物を含むが、第1又は第2の対象分析物を含まない場合を示す。
【
図5B】流体試料が試料受容ゾーンで適用される前後の、本開示による例示的なラテラルフローアッセイを示し、流体試料が、第3の対象分析物を含むが、第1又は第2の対象分析物を含まない場合を示す。
【
図6A】流体試料が試料受容ゾーンで適用される前後の、本開示による例示的なラテラルフローアッセイを示し、流体試料が、第1及び第3の対象分析物を含むが、第2の対象分析物を含まない場合を示す。
【
図6B】流体試料が試料受容ゾーンで適用される前後の、本開示による例示的なラテラルフローアッセイを示し、流体試料が、第1及び第3の対象分析物を含むが、第2の対象分析物を含まない場合を示す。
【
図7A】
図3A及び
図3Bに示したような例示的なラテラルフローアッセイについての例示的な用量応答曲線を示し、流体試料が最大150μg/mLの濃度のC反応性タンパク質(CRP)のみを含み、流体試料がTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)又はインターフェロンγ誘導タンパク質10(IP-10)などのいかなる追加の分析物も含まない場合を示す。
【
図7B】
図4A及び
図4Bに示したような例示的なラテラルフローアッセイについての例示的な用量応答曲線を示し、流体試料が最大1000pg/mLの濃度のIP-10のみを含み、流体試料がTRAIL又はCRPなどのいかなる追加の対象分析物も含まない場合を示す。
【
図7C】
図5A及び
図5Bに示したような例示的なラテラルフローアッセイについての例示的な用量応答曲線を示し、流体試料が最大500pg/mLまでの濃度のTRAILのみを含み、流体試料がIP-10又はCRPなどのいかなる追加の対象分析物も含まない場合を示す。
【
図8】試料受容ゾーン及び検出ゾーンを含む、本開示による例示的なラテラルフローアッセイ装置を示す。検出ゾーンは、流体試料中の、例えばCRP、IP-10及びTRAILであるがこれらに限定されない複数の分析物の存在及び/又は濃度の表示を含むのがよく、1つ以上の対象分析物が高濃度で存在する場合と、1つ以上の対象分析物が低濃度で存在する場合を含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に記載される装置、システム、及び方法は、試料中の複数の対象分析物の量又は存在を正確に決定する。本開示によるラテラルフロー装置、試験システム、及び方法は、1つ以上の対象分析物が高められた又は高い濃度で試料中に存在し、且つ、1つ以上の対象分析物が低濃度で試料中に存在する状況において、複数の対象分析物の存在又は量を正確に決定する。有利には、本明細書に記載されるラテラルフロー装置、試験システム、及び方法は、単一のテストイベントにおいて単一テストストリップなどの単一のラテラルフローアッセイに単一試料を適用した後に、大幅に異なる濃度で単一試料中に存在する対象分析物の存在又は量を決定する。したがって、本明細書に記載したラテラルフローフローアッセイは、分析物が大幅に異なる濃度範囲で存在する場合であっても、単一試料における複数の分析物を同時に検出することができる。
【0012】
本明細書中に記載されるラテラルフローアッセイは、高濃度で存在する1つ以上の分析物を検出するアッセイと低濃度で存在する1つ以上の分析物を検出するアッセイとの組み合わせを含む、単一のテストストリップ上の結合アッセイの組み合わせを使用することができる。本明細書に記載されているラテラルフローアッセイの単一のテストストリップは、対象の各分析物に特異的な別々の捕捉ゾーンを有する検出ゾーンを含むことができる。例えば、試料は、3つの対象分析物、即ち第1の対象分析物、第2の対象分析物、及び第3の対象分析物を含むことができる。したがって、ラテラルフローアッセイの検出ゾーンは、3つの捕捉ゾーン、即ち第1の対象分析物に特異的な第1の捕捉ゾーン、第2の対象分析物に特異的な第2の捕捉ゾーン、及び第3の対象分析物に特異的な第3の捕捉ゾーンを含むであろう。
【0013】
この非限定的な例において、第1の対象分析物は、例えば1-999μg/mlの範囲であるがこれに限定されない高濃度で試料中に存在し得る。本明細書に記載されるラテラルフローアッセイは、試料中の第1の対象分析物の濃度が0である場合、第1の捕捉ゾーンにおいて最大強度のシグナルを生成することができる。第1の対象分析物の濃度を増加させると、シグナルを最大強度シグナルから減少強度シグナルへ減少させ、これを第1の対象分析物の濃度に相関させることができる。この例では、第2の対象分析物及び第3の対象分析物は、例えば1-999pg/mlの範囲であるがこれに限定されない低濃度で試料中に存在し得る。本明細書に記載されるラテラルフローアッセイは、第2の捕捉ゾーン及び第3の捕捉ゾーンにおいて、第2の対象分析物及び第3の対象分析物の濃度の増加にそれぞれ相関して増加するシグナル強度により、シグナル強度を生成することができる。従って、本開示によるラテラルフローアッセイは、単一のテストストリップのような単一のアッセイを用いて高濃度及び低濃度の分析物を検出することができる。
【0014】
本開示によるラテラルフローアッセイは、単一のテストイベントにおいて単一のラテラルフローアッセイに適用される単一の希釈されていない試料中に大幅に異なる濃度で存在する複数の対象分析物の存在及び濃度を測定することができる。試料を希釈することなく、非常に異なる濃度(6桁の濃度差、あるいは100万倍の濃度差を含む)の複数の対象分析物の存在及び濃度を測定する能力は、大きな利点を提供する。例えば、本明細書に記載されるラテラルフローアッセイの実施形態は、例えば単一のラテラルフローアッセイテストストリップなどのラテラルフローアッセイに適用する前に希釈又は前処理されていない全血、静脈血、毛細血管血、血清、及び血漿試料中に存在する分析物を測定することができる。
【0015】
有利には、ラテラルフローアッセイの実施形態により、高濃度分析物が大きなダイナミックレンジ(大きなダイナミックレンジにわたって試料中に存在し得るCRPを含むが、これに限定されない)を有する場合であっても、高濃度分析物と同じ試料中に存在する低濃度分析物を同時に検出することができる。さらに、大幅に異なる濃度(100万分の1のオーダー)で単一試料中に存在する複数の対象分析物の濃度を同時に且つ正確に検出する能力は、診断上の大きな利点を有する。本開示のラテラルフローアッセイの非限定的な一実施例においては、単一のテストストリップからの光シグナルの測定は、患者におけるウイルス感染、細菌感染、又は感染の有無と相関させることができる。
【0016】
本開示によるアッセイによって生成されるシグナルは、本明細書において、反射型標識(例えば、金ナノ粒子標識)によって生成される光シグナルの文脈で記載される。本開示の実施形態は、「光学的」シグナルに言及することにより本明細書中に記載されるが、本明細書中に記載されるアッセイは、検出可能なシグナルを生成するために、標識のためにいかなる適切な材料も用いることができ、これには、限定されるものではないが、蛍光シグナルを生成する蛍光型ラテックスビーズ標識、及びアッセイに関連する磁場の変化を示すシグナルを生成する磁性ナノ粒子標識が含まれることが理解されよう。
【0017】
本開示によれば、ラテラルフローアッセイ装置は、試料中の高濃度の分析物を検出するために設計された標識抗体を、同じ試料中の低濃度の分析物を検出するために設計された標識抗体と共に含む。例えば、試料は、高濃度の第1の対象分析物、低濃度の第2の対象分析物、及び低濃度の第3の対象分析物を含むことができる。高濃度の第1の対象分析物を検出するために、第1の複合体を、最初に、受容ゾーン又は標識ゾーンにおけるラテラルフローアッセイテストストリップの表面上、例えばコンジュゲートパッド上に結合させる。第1の複合体は、標識、第1の対象分析物に特異的に結合する第1の抗体、及び第1の対象分析物を含む。第1の複合体は、流体試料がテストストリップに適用されると、標識ゾーンから非結合になり、第1の対象分析物を含むことができるテストストリップの検出ゾーンに流体試料と共に移動する。検出ゾーンは、対象の各分析物に特異的な捕捉ゾーンを含み、したがって、第1の対象分析物を捕捉するための第1の捕捉ゾーン、第2の対象分析物を捕捉するための第2の捕捉ゾーン、及び第3の対象分析物を検出するための第3の捕捉ゾーンを含む。試料中の第1の複合体及び第1の対象分析物(存在する場合)は、第1の捕捉ゾーン内の第1の捕捉剤に結合する。第1の捕捉剤は、試料中に第1の対象分析物が存在しない場合、第1の複合体にのみ結合し、そうでなければ、第1の複合体と競合する。したがって、最大強度を有する第1の信号は、試料中に第1の対象分析物が存在しないときに、第1の捕捉ゾーンで生成される。第1の対象分析物が低濃度で試料中に存在する場合、第1の複合体は、比較的少量の第1の分析物と競合して第1の捕捉剤に結合し、その結果、最大強度を有する第1のシグナルと同一又は実質的に同等(分散の限られた範囲内)の第1のシグナルを生じる。第1の対象分析物が高濃度で試料中に存在する場合、第1の複合体は、比較的多量の第1の分析物と競合して第1の捕捉剤に結合し、その結果、最大強度を有する第1のシグナルよりも小さい第1のシグナルを生じる。
【0018】
第2の対象分析物(この非限定的な例においては低濃度で試料中に存在する)を検出するために、第2の対象分析物に特異的に結合する標識された第2の抗体を、最初に、受容ゾーン又は標識ゾーンにおけるラテラルフローアッセイテストストリップの表面上に、例えばコンジュゲートパッド上に結合させる。標識された第2の抗体は、流体試料をテストストリップに適用すると、標識ゾーンから結合が解除され、第2の対象分析物に結合して第2の複合体を形成する。第2の複合体は、流体試料と共にテストストリップの検出ゾーンに移動する。第2の複合体は、第2の捕捉ゾーンにおいて、第2の対象分析物に特異的な第2の捕捉剤に結合する。その結果、第2の対象分析物が試料中に存在するとき、第2の捕捉ゾーンにおいて第2のシグナルが生成される。第2の対象分析物が試料に存在しない(又は検出可能なレベル以下で存在する)場合、第2の複合体は形成されず(又は検出可能な量未満の第2の複合体しか形成されず)、したがって第2の複合体は第2の捕捉ゾーンで捕捉されない(又は検出可能な量の第2の複合体は第2の捕捉ゾーンで捕捉されない)。この状況では、標識された第2の抗体は、流体試料と共にテストストリップの検出ゾーンに移動するが、第2の捕捉ゾーン内の第2の捕捉剤には結合しない。その結果、第2の捕捉ゾーンにおいて第2のシグナルは検出されない。第2のシグナルのシグナル強度は、第2の対象分析物の濃度と相関し、増加したシグナル強度は、試料中の第2の対象分析物の増加した濃度と相関する。
【0019】
同様に、第3の対象分析物(この非限定的な例においては低濃度で試料中に存在する)を検出するために、第3の対象分析物に特異的に結合する標識された第3の抗体を、最初に、受容ゾーン又は標識ゾーンにおいて、ラテラルフローアッセイテストストリップの表面上、例えばコンジュゲートパッド上に結合させる。標識された第3の抗体は、流体試料をテストストリップに適用すると、標識ゾーンから結合が解除され、第3の対象分析物に結合して第3の複合体を形成する。第3の複合体は、流体試料と共にテストストリップの検出ゾーンに移動する。第3の複合体は、第3の捕捉ゾーンにおいて、第3の対象分析物に特異的な第3の捕捉剤に結合する。その結果、第3の対象分析物が試料中に存在する場合、第3の捕捉ゾーンにおいて第3のシグナルが生成される。第3の対象分析物が試料に存在しない(又は検出可能なレベル以下で存在する)場合、第3の複合体は形成されず(又は検出可能な量の第3の複合体は形成されず)、したがって第3の複合体は第3の捕捉ゾーンで捕捉されない(又は検出可能な量の第3の複合体が第3の捕捉ゾーンで捕捉されない)。この状況では、標識された第3の抗体は、流体試料と共にテストストリップの検出ゾーンに移動するが、第3の捕捉ゾーン内の第3の捕捉剤には結合しない。その結果、第3の捕捉ゾーンにおいて第3のシグナルは検出されない。第3のシグナルのシグナル強度は、第3の対象分析物の濃度と相関し、増加したシグナル強度は、試料中の第3の対象分析物の増加した濃度と相関する。
【0020】
上記の説明は、流体試料が、高濃度で存在する第1の対象分析物、低濃度で存在する第2の対象分析物、及び低濃度で存在する第3の対象分析物を含み得る状況を例示することを意図している。当業者であれば、実施例は例示的であることを意図しており、本明細書に記載されたラテラルフローアッセイに様々な改変及び変形を採用し得ることを認識するであろう。例えば、流体試料は、第1の分析物が高濃度で存在し、第2の分析物が低濃度で存在する2つの対象分析物のみを含んでもよい。あるいは、流体試料は、3つの対象分析物を含んでもよく、この場合、第1の対象分析物は高濃度で存在し、第2の対象分析物は高濃度で存在し、第3の対象分析物は低濃度で存在する。さらに、流体試料は、高濃度で存在する多数の分析物及び低濃度で存在する多数の分析物についての種々の反復を有する、3を超える(例えば4、5、6、7、8、9又は10)対象分析物を含んでもよい。様々な反復の各々において、高濃度の分析物の量及び存在と、低濃度の分析物の量及び存在との両方を、同時に且つ単一のラテラルフローアッセイ装置上で検出するために、ラテラルフローアッセイは上記のように設計される。
【0021】
当業者はまた、高濃度及び低濃度は相対的な用語であり、以下の非限定的な実施形態は、本開示を限定するものではなく例示を意図していることも認識するであろう。以下に記載されるいくつかの非限定的な実施において、第1の「低濃度」分析物は、同じ試料中に存在する第2の異なる「高濃度」分析物の100万分の1の濃度で試料中に存在する。本開示によるラテラルフローアッセイは、第2の異なる分析物の濃度よりも1桁、2桁、3桁、4桁、5桁、6桁、7桁、8桁、9桁、及び10桁高い濃度の第1の分析物を含むが、これらに限定されない、異なるオーダーの濃度で存在する分析物の存在及び濃度を測定することができる。
【0022】
特定の理論には束縛されないが、高濃度分析物及び低濃度分析物の同時検出及び定量のために、いずれも単一のラテラルフローアッセイの標識ゾーンに結合された、第2の対象分析物に特異的に結合する第2の標識抗体と共にある第1の複合体(標識、第1の対象分析物に特異的に結合する第1の抗体、及び第1の対象分析物を含む)の動作をここで説明する。いかなる特定の理論にも束縛されないが、第1の複合体は、シグナルが増加している場合(第1の分析物の濃度が低い場合)において従来のサンドイッチ型ラテラルフローアッセイ用量応答曲線の部分をマスクするために使用され、それにより、第1の対象分析物の濃度0において最大強度シグナルで始まり、次いで、比較的一定のまま(第1の分析物が低濃度)か又は減少する(第1の分析物が高濃度)、第1の捕捉ゾーンで第1の用量応答曲線を生成する。第2の対象分析物に特異的に結合する第2の(又は追加の)標識抗体は、第2の分析物の濃度の増加と共に増加するシグナル強度を生成する第2の用量応答曲線を第2の捕捉ゾーンにおいて生成する。本開示のラテラルフローアッセイは、特に、1つ以上の対象分析物が高濃度で存在し、1つ以上の対象分析物が低濃度で存在する場合に、試料中の複数の対象分析物の測定に関連する欠点を解決する。
【0023】
いくつかの状況において、例えば、流体試料は、複数の対象分析物を含んでもよく、1つ以上の対象分析物は高濃度で存在し、1つ以上の対象分析物は低濃度で存在する。特に、1つ以上の対象分析物は、低濃度で存在する1つ以上の対象分析物の量よりも数百万倍大きい量で試料中に存在してもよい。以前は、この問題に対処するために、大幅に異なる濃度で流体試料中に存在する分析物を検出するために、2つ以上の別個の試験が必要であった。例えば、高濃度の分析物を検出するために、試料中の高濃度の分析物を試験可能な濃度に減少させるために、試料を希釈してもよい。試料の希釈は、試料を希釈するという追加の物理的ステップを必要とする。さらに、希釈はまた、分析物の量を計算する追加のステップを必要とし、その結果、より複雑なアルゴリズムが必要となり、試料中の分析物の測定量の精度に影響を与える可能性がある。さらに、試料の希釈により、分析物の濃度が検出可能な範囲未満の低濃度になるので、試料の希釈は、低濃度で存在する分析物を検出する能力を排除する。したがって、高濃度の分析物の濃度を決定するために、高濃度及び低濃度の両方の分析物を有する単一の試料を希釈することができるが、この同じ試料は、従来のマルチプレックスアッセイで低濃度の分析物の濃度を決定するのには適していない。
【0024】
低濃度分析物を検出するために、サンドイッチ型ラテラルフローアッセイを使用することができる。従来のサンドイッチ型ラテラルフローアッセイは、高濃度分析物の量を正確に測定するのに適しておらず、場合によっては不可能である。従って、単一の試料中に存在する高濃度の分析物及び低濃度の分析物の両方を検出するには、以前は試料を複数の検出アッセイに適用することを必要とし、各アッセイは、対象分析物の特定のダイナミックレンジ内で特定の対象分析物の存在を検出するように特別に設計されている。
【0025】
対照的に、本明細書に記載されるラテラルフローアッセイは、単一の試験(例えば、単一のラテラルフローアッセイテストストリップへの流体試料の単一の適用)において、流体試料中の複数の分析物の存在及び/又は量を測定することができ、対象分析物の1つ以上は、流体試料中に高濃度で存在し、対象分析物の1つ以上は、流体試料中に低濃度で存在する。
【0026】
本明細書に記載されるラテラルフローアッセイは、さらなる有利な特徴を含む。例えば、第1の分析物が高濃度であるときに生成されるシグナルは、容易に検出可能であり(例えば、それらは、従来のリーダが典型的に識別可能な光信号の範囲内の強度を有し、かつ十分に離間されている)、第1の分析物が0又は低濃度のときに生成されるシグナルと用量応答曲線上で重複せず、高濃度及び非常に高濃度でさえも高精度の濃度読取値を計算するために使用することができる。いくつかの有利な実施形態において、第1の分析物が高濃度で存在するときに生成されるシグナルの強度レベルは、第1の分析物が低濃度で存在するときに生成されるシグナルの強度レベルと重ならない。
【0027】
本明細書に記載したラテラルフローアッセイの実施形態は、複数の対象分析物の相対濃度が疾患状態を示すような、複数の対象分析物の診断試験において特に有利である。1つの対象分析物が正常又は健康な状態を超える濃度で存在するが、他の対象分析物が正常又は健康な状態と比較して変化しない場合、特定の疾患状態の診断を確信を持って決定することができる。
【0028】
本開示のラテラルフローアッセイ装置、試験システム、及び方法により検出及び測定することができる分析物の例は、限定されないが、以下のタンパク質を含む:TRAIL、CRP、IP-10、PCT、及びMX1。本開示の実施形態は、TRAILタンパク質の可溶性及び/又は膜形態のいずれかを測定することができる。一実施形態では、TRAILの可溶性形態のみが測定される。
【0029】
装置、試験システム、及び方法の様々な態様は、添付の図面を参照して以下により詳細に説明される。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具体化することができる。本明細書の教示に基づいて、当業者は、本開示の範囲が、本開示の任意の他の態様とは独立して、又は組み合わせて実施されるかどうかにかかわらず、本明細書に開示された装置、試験システム、及び方法の任意の態様を包含することが意図されていることを理解すべきである。例えば、本明細書に記載する任意の数の態様を使用して、装置を実施してもよいし、方法を実施してもよい。
【0030】
特定の態様が本明細書に記載されているが、これらの態様の多くの変形および置換は、本開示の範囲内にある。いくつかの利益及び利点が記載されているが、本開示の範囲は、特定の利点、用途、又は目的に限定されることを意図していない。むしろ、本開示の態様は、異なる検出技術及び装置構成に広く適用可能であることを意図しており、そのいくつかは、図及び以下の説明において例として示されている。詳細な説明及び図面は、本開示を限定するものではなく、単なる例示であり、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される。
【0031】
本明細書に記載のラテラルフロー装置は、ラテラルフロークロマトグラフィーで使用される分析装置である。ラテラルフローアッセイは、本明細書に記載したラテラルフロー装置上で実行可能なアッセイである。ラテラルフロー装置は、テストストリップ上に実装されてもよいが、他の形態が適してもよい。テストストリップ形式では、分析物を含むと疑われる試験流体試料がストリップを通って流れる(例えば毛細血管作用によって)。ストリップは、紙、ニトロセルロース、及びセルロースのような吸水性材料から作られてもよい。流体試料は、試料リザーバに受け入れられる。流体試料は、分析物の存在、不在、及び/又は量を示すために分析物(存在する場合)が捕捉剤と相互作用する捕捉ゾーンへ、ストリップに沿って流れることができる。捕捉剤は、捕捉ゾーンに固定化された抗体を含むことができる。
【0032】
ラテラルフローアッセイはサンドイッチ形式で実施できる。本明細書に記載のサンドイッチ及びアッセイは、光シグナルを生成する反射型標識(金ナノ粒子標識など)の文脈で記載されるが、アッセイは、蛍光シグナルを生成するように構成されたラテックスビーズ標識、磁気シグナルを生成するように構成された磁性ナノ粒子標識、又は検出可能なシグナルを生成するように構成された任意の他の標識を含み得ることが理解されるであろう。サンドイッチ型ラテラルフローアッセイは、固体基板上の試料リザーバに付着された標識抗体を含む。試料を試料リザーバに塗布した後、標識抗体は試料中に溶解し、その後、抗体は、試料中の分析物上の第1のエピトープを認識して結合し、標識-抗体-分析物複合体を形成する。この複合体は、液体表面に沿って、試料リザーバから固体基板を通り、固定化抗体(「捕捉剤」と呼ばれることもある)が位置する捕捉ゾーン(「テストライン」と呼ばれることもある)に流れる。分析物が多量体であるか、又は同じモノマー上の複数の同一のエピトープを含む場合には、試料リザーバに付着された標識抗体は、捕捉ゾーンに固定化された抗体と同じであり得る。固定化された抗体は、分析物上のエピトープを認識して結合し、それにより、捕捉ゾーンで標識-抗体-分析物複合体を捕捉する。捕捉ゾーンにおける標識抗体の存在は、捕捉ゾーンにおいて検出可能な光シグナルを提供する。1つの非限定的な例において、金ナノ粒子は、比較的安価で安定であり、金ナノ粒子の表面プラズモン共鳴特性に基づいて容易に観察可能な色表示を提供するので、抗体を標識するために使用される。場合によっては、このシグナルは、分析物が試料中に存在するか否かなどの定性的情報を提供する。場合によっては、このシグナルは、試料中の分析物の量の測定などの定量的情報を提供する。
【0033】
ラテラルフローアッセイは、試料中の対象分析物の有無に関する情報などの定性的情報を提供することができる。例えば、捕捉ゾーンにおける任意の測定可能な光シグナルの検出は、対象分析物が試料中に(ある未知の量で)存在することを示すことができる。捕捉ゾーンに測定可能な光シグナルが存在しないことは、対象分析物が試料中に存在しないか、又は検出限界未満であることを示し得る。例えば、試料が対象分析物を含まない場合、試料は依然として標識剤を可溶化し、標識剤は依然として捕捉ゾーンに流れる。しかし、標識剤は、捕捉ゾーンで捕捉剤に結合しない。代わりに、捕捉ゾーンを流れ、コントロールライン(存在する場合)を通り、場合によってはオプションの吸収ゾーンに流れる。いくつかの標識剤は、コントロールライン上に堆積された制御剤に結合し、検出可能な光シグナルを発する。これらの状況において、捕捉ゾーンから放射される測定可能な光シグナルの不在は、対象分析物が試料中に存在しないことを示すものであり、コントロールラインから放射される測定可能な光シグナルの存在は、ラテラルフローアッセイの通常の動作中において、意図されたように、試料が試料受容ゾーンから捕捉ゾーンを通って捕捉ラインに移動したことを示すものである。
【0034】
いくつかのラテラルフロー装置は、試料中の対象分析物の量の測定などの定量的情報を提供することができる。特に、ラテラルフローアッセイは、分析物が低濃度で存在する場合に、信頼性の高い分析物の定量を提供することができる。ラテラルフロー装置から得られる定量的測定は、捕捉ゾーンで検出されるシグナルの強度を試料中の分析物の濃度と相関させる用量応答曲線を用いて得られる、所与の体積の試料中に存在する分析物の濃度であり得る。シグナルの例は、光シグナル、蛍光シグナル、及び磁気シグナルを含む。サンドイッチ型ラテラルフローアッセイでは、試料が対象分析物を含まない場合、試料中の分析物の濃度は0であり、分析物が標識剤に結合して標識-抗体-分析物複合体を形成することはない。この状況では、捕捉ゾーンに流れて捕捉抗体に結合する複合体は存在しない。したがって、捕捉ゾーンでは検出可能な光シグナルは観察されず、シグナルの大きさは0である。
【0035】
試料中の分析物濃度の増加に伴い、試料中の分析物濃度が増加するにつれて、シグナルが検出される。これは、分析物濃度が増加するにつれて、標識-抗体-分析物複合体の形成が増加するために起こる。捕捉ゾーンに固定化された捕捉剤は、捕捉ゾーンに流れる増加する複合体と結合し、その結果、捕捉ゾーンで検出されるシグナルの増加をもたらす。このようなアッセイは、分析物が低濃度で存在する場合に、信頼性の高い分析物の定量を提供する。
【0036】
しかしながら、低濃度で存在する対象分析物を定量するのに適した上述のアッセイは、高濃度で存在する対象分析物を定量するのには適していない。このような場合、分析物の濃度は、分析物に結合するために利用可能な標識剤の量を超え、その結果過剰の分析物が存在する可能性がある。このような状況では、標識剤に結合していない過剰の分析物が、標識-抗体-分析物複合体と競合して、捕捉ゾーン内の捕捉物質に結合する。捕捉ゾーン内の捕捉剤は、標識されていない分析物(換言すれば、標識剤に結合していない分析物)及び標識-抗体-分析物複合体に結合する。しかしながら、捕捉剤に結合する非標識分析物は、検出可能なシグナルを放出しない。試料中の分析物の濃度が増加するにつれて、(検出可能なシグナルを発する標識抗体分析物複合体の代わりに)捕捉剤に結合する非標識分析物の量が増加する。標識-抗体-分析物複合体の代わりに、より多くの非標識分析物が捕捉剤に結合するにつれて、捕捉ゾーンで検出されるシグナルは減少する。
【0037】
検出されたシグナルが最初に低濃度で増加し、検出されたシグナルが高濃度で減少するこの現象は、「フック効果」と呼ばれる。分析物の濃度が増加するにつれて、より多くの分析物が標識剤に結合し、シグナル強度の増加をもたらす。飽和濃度においては、標識剤は、試料からの分析物で飽和され(例えば、利用可能な量の標識剤は、試料からの分析物に全て又はほぼ全てが結合している)、検出されたシグナルは、最大シグナル強度に達している。試料中の分析物の濃度が最大シグナル強度を超えて増加し続けるにつれて、標識された試薬飽和点を超える過剰の分析物が標識剤-分析物と競合して捕捉剤に結合するために、検出されるシグナルが減少する。
【0038】
フック効果は「プロゾン(prozone)効果」とも呼ばれ、特に注目する分析物がサンプル中に高濃度で存在する状況においてラテラルフローアッセイに悪影響を及ぼす。フック効果は、不正確な試験結果につながる可能性がある。例えば、フック効果は、偽陰性又は不正確に低い結果をもたらす可能性がある。具体的には、不正確な結果は、試料が、テストストリップ上に付着された標識剤の濃度を超える高レベルの分析物を含む場合に生じる。このシナリオでは、試料をテストストリップ上に置くと、標識剤は飽和し、全ての分析物は標識されない。標識されていない分析物はアッセイを流れ、捕捉ゾーンで結合し、標識された複合体と競合し、それにより検出可能なシグナルを減少させる。したがって、単一の検出信号は低濃度と高濃度のどちらにも対応するので、装置(又は装置のオペレータ)は、光シグナルが低濃度に対応するのか高濃度に対応するのかを区別することができない。分析物のレベルが十分に大きい場合、分析物は標識された複合体と完全に競合し、捕捉ゾーンではシグナルが観察されず、偽陰性の検査結果がもたらされてしまう。
【0039】
高濃度と低濃度の両方で単一試料中に存在する複数の分析物を正確に定量するラテラルフロー装置の例
本明細書に記載のラテラルフローアッセイ、試験システム、及び方法は、多重サンドイッチ型ラテラルフローアッセイのこれら及び他の欠点に対処する。
図1A-
図6Bは、複数の対象分析物の量を正確に測定することができる例示的なラテラルフローアッセイを示し、単一試料中に1つ以上の対象分析物が高濃度で存在し、1つ以上の対象分析物が低濃度で存在する場合を示す。
図7A-
図7Cは、本明細書に記載のラテラルフローアッセイから測定された光シグナルをグラフで示す例示的な用量応答曲線を提供し、具体的には、捕捉ゾーンで検出された光シグナルの大きさ(y軸に沿って測定される)と、アッセイに適用された試料中の分析物の濃度(x軸に沿って測定される)との間の関係を提供する。本開示によるアッセイは、光シグナルを生成する反射型標識の文脈で説明されるが、本開示によるアッセイは、蛍光シグナル、磁気シグナル、又は任意の他の検出可能なシグナルを生成するように構成された任意の適切な材料の標識を含み得ることが理解されよう。
【0040】
本明細書に記載のラテラルフローアッセイ装置、システム、及び方法は、試料中の複数の分析物の存在を検出し、濃度を決定することができ、1つ以上の分析物は高濃度で存在し、1つ以上の分析物は低濃度で存在する。いくつかの実施形態において、高濃度で存在する試料中の第1の対象分析物は、同じく試料中に存在するが低濃度、非常に低濃度、又は極度に低濃度第2の異なる対象分析物の量よりも1000万、900万、800万、700万、600万、500万、400万、300万、200万、100万、50万、10万、5万、1万、5000、1000、500、100、又は10倍多い量で存在してもよい。ある場合には、第2の対象分析物は、所与の体積の流体試料中に、第1の対象分析物と比較して、微小な量で存在する。例えば、高濃度分析物は10から100μg/mL(1000万から1億pg/mL)の量で存在してもよく、一方、低濃度分析物は10から100pg/mLの量で存在してもよい。
【0041】
図1A-
図6Bに示す例示的なラテラルフローアッセイ101は、試料受容ゾーン110、標識ゾーン120、及び検出ゾーン130を有するテストストリップを含み、検出ゾーンは、第1の捕捉ゾーン135、第2の捕捉ゾーン133、及び第3の捕捉ゾーン131を含む。
図1A及び
図1Bは、流体試料111が試料リザーバ110に適用される前後のラテラルフロー装置101を示し、流体試料は、第1の対象分析物112、第2の対象分析物113、及び第3の対象分析物114を含む。図示された例では、標識ゾーン120は、テストストリップ内の試料の流れの方向に沿った試料受容ゾーン110の下流にある。場合によっては、試料受容ゾーン110は、標識ゾーン120内に位置し、及び/又は標識ゾーン135と同一の広がりを有する。第1の捕捉剤136は、第1の捕捉ゾーン内に固定され、第2の捕捉剤134は、第2の捕捉ゾーン133内に固定され、第3の捕捉剤132は、第3の捕捉ゾーン131内に固定される。
【0042】
本開示の実施形態において、第1の複合体121は、標識ゾーン120上に結合される。第1の複合体121は、標識124、第1の対象分析物112に特異的に結合する第1の抗体、及び対象分析物112を含む。第2の標識抗体123は、標識ゾーン120上に結合される。第2の標識抗体123は、標識124、及び第2の対象分析物113に特異的に結合する第2の抗体を含む。第3の標識抗体122は、標識ゾーン123上に結合される。第3の標識抗体122は、標識124、及び第3の対象分析物114に特異的に結合する第3の抗体を含む。
図1A-
図6Bに示されるように、標識124は、第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122の各々について同一である。標識124は、第1の複合体112、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122のそれぞれについて同一であっても良いことが理解される。あるいは、標識は、第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122のそれぞれについて異なっていてもよい。したがって、標識は、複数の対象分析物のそれぞれについて同じ光シグナルを提供してもよいし、異なる光シグナルを提供してもよい。標識は、光シグナルを生成する反射型標識、蛍光シグナルを生成するように構成されたラテックスビーズ標識、磁気シグナルを生成するように構成された磁性ナノ粒子標識、又は検出可能なシグナルを生成するように構成された任意の他の標識であってもよい。
【0043】
例えば、標識は、視覚的、蛍光的、放射線的、又は機器的手段によって検出され得る任意の物質、化合物、又は粒子であり得る。標識は、例えば、ブリリアントブルー、3132ファストレッド2R、及び4230マラカイトブルーレイクなどの着色剤又はインクとして製造された顔料であり得る。標識は、例えば、青色ラテックスビーズ、金ナノ粒子、着色ラテックスビーズ、磁性粒子、炭素ナノ粒子、セレンナノ粒子、銀ナノ粒子、量子ドット、アップコンバージョン蛍光体、有機蛍光体、繊維染料、酵素、又はリポソームなどの粒子標識であり得る。
【0044】
場合によっては、第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122は、オペレータによるテストストリップの使用に先立って、テストストリップに形成され適用される。例えば、第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122は、テストストリップの製造中に標識ゾーン120に結合され得る。別の例において、第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122は、製造後であるが流体試料111をテストストリップに適用する前に、標識ゾーン120に結合される。第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122は、以下により詳細に議論される多数の方法でテストストリップに結合させることができる。
【0045】
したがって、本開示のラテラルフロー装置の実施形態では、いずれかの流体試料111がラテラルフロー装置101に適用される前に、第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122がテストストリップ上に形成及び結合される。1つの非限定的な実施形態では、いずれかの流体試料111がラテラルフロー装置101に適用される前に、第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122が形成され、テストストリップのコンジュゲートパッド上に結合される。さらに、本開示のラテラルフロー装置の実施形態では、第1の複合体121内の分析物は、流体試料111からの分析物ではない。
【0046】
テストストリップ101を使用してテストを実行するために、
図1A及び
図1Bに示すように、第1の対象分析物112、第2の対象分析物113、及び第3の対象分析物114を有する試料111は、試料受容ゾーン110上に付着される。標識ゾーン120が試料受容ゾーン110の下流にある図示された実施形態では、試料111内の第1の対象分析物112、第2の対象分析物113、及び第3の対象分析物114は、標識ゾーン120に流れ、結合された第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122と接触する。試料111は、第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122を可溶化する。一つの非限定的な例では、試料111は、第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122を溶解する。第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122を標識ゾーン120内のテストストリップの表面に保持していた結合が解除されるので、第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122は、もはやテストストリップの表面に結合されていない。第2の標識抗体123は、第2の複合体を形成する試料中の第2の対象分析物113に結合し、第3の標識抗体122は、第3の複合体を形成する試料中の第3の対象分析物114に結合する。
【0047】
第1の複合体121、第2の複合体、及び第3の複合体は、試料111中の第1の分析物112(結合していない)と共に、流体表面に沿って検出ゾーン130へ移動する。第1の捕捉ゾーン135の第1の捕捉剤136は、試料111からの第1の複合体121及び第1の分析物112に結合する。第2の捕捉ゾーン133の第2の捕捉剤134は、第2の複合体に結合し、第3の捕捉ゾーン131の第3の捕捉剤132は、第3の複合体に結合する。
【0048】
本開示の実施形態において、試料111中の第1の分析物112の量に応じて、第1の複合体121及び第1の分析物112は、第1の捕捉ゾーン135において第1の捕捉剤136に結合するために互いに競合する。第1の検出可能なシグナルは、第1の捕捉ゾーン135で検出され、この場合、第1の検出可能なシグナルは、試料中の第1の対象分析物112の存在下で最大強度のシグナルから減少する。なぜならば、第1の対象分析物112は、第1の捕捉ゾーンにおいて第1の捕捉剤136に結合するために第1の複合体121と競合するからである。逆に、第2の検出可能なシグナルは、第2の捕捉ゾーン133で検出され、試料中の第2の対象分析物113の濃度の増加と共に強度が増加する。なぜならば、第2の捕捉ゾーン133で検出可能なシグナルを放出する第2の複合体を第2の対象分析物113が形成するからである。同様に、第3の検出可能なシグナルは、第3の捕捉ゾーン131で検出され、第3の対象分析物114は第3の捕捉ゾーン131で検出可能なシグナルを放出する第3の複合体を形成するので、試料中の第3の対象分析物114の濃度の増加と共に第3の検出可能なシグナルの強度が増加する。
【0049】
したがって、本開示によるラテラルフロー装置は、標識、第1の対象分析物に特異的に結合する第1の抗体及び第1の対象分析物を含む第1の複合体と、第2の対象分析物に特異的に結合する第2の標識抗体と、第3の対象分析物に特異的に結合する第3の標識抗体とを含み、これらのそれぞれは、第1のフェイズ(例えば、流体試料をラテラルフロー装置に適用する前)においてラテラルフロー装置の標識ゾーンに結合し、次いで、後の第2のフェイズ(例えば、流体試料を試料受容ゾーンに適用したとき)においてテストストリップを通って移動する。第1の複合体は、第1の捕捉ゾーン内の第1の捕捉剤に結合することができ、第2の複合体は、第2の捕捉ゾーン内の第2の捕捉剤に結合することができ、第3の複合体は、第3のフェイズ(例えば、流体試料が検出ゾーンに流れた後)において第3の捕捉ゾーン内の第3の捕捉剤に結合することができる。かくして、本明細書に記載の第1の複合体、第2の標識抗体、及び第3の標識抗体は、最初にラテラルフロー装置の第1の領域(標識ゾーンなど)に配置され、次いで(流体と接触すると)、流体と共に、第1の領域の下流のラテラルフロー装置の他の領域に移動し、次いで、捕捉ゾーン内の捕捉剤に結合することができる。
【0050】
上述したように、流体試料111は、第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122を可溶化する。一実施形態では、試料111中の第1の対象分析物112は、このプロセスの間、第1の複合体121と相互作用しないか、または実質的に相互作用しない。特定の理論に拘束されることなく、本明細書に記載のラテラルフロー装置のこの実施形態においては、試料111が標識ゾーン120を流れる際に、第1の対象分析物112は、第1の複合体121に共役したり、結合したり、又は結びついたりすることはない。本明細書に記載のラテラルフロー装置の別の実施形態では、流体試料111が第1の複合体121を可溶化する際に、試料111中の第1の対象分析物112は、第1の複合体121と相互作用する。一つの非限定的な例では、特定の理論に拘束されることなく、試料111中の少なくとも一部の第1の対象分析物112は、第1の複合体121中に存在する第1の分析物と交換する。特定の理論に拘束されることなく、この実施形態において、第1の捕捉ゾーン135内の第1の捕捉剤136は、少なくとも一部の第1の複合体121に結合してもよく、ここで、第1の複合体121内の分析物は、試料111を介して装置101に導入された第1の対象分析物112である。
【0051】
図2A及び
図2Bに示すように、第1の対象分析物112、第2の対象分析物113、及び第3の対象分析物114がそれぞれ流体試料111に存在しない場合(又は検出可能なレベル以下で存在する場合)、第1の複合体121は、第1の捕捉ゾーン135において第1の捕捉剤136を飽和させる(例えば、第1の捕捉ゾーン135内の全ての第1の捕捉剤136の分子は、標識ゾーン120から流出した1つの第1の複合体121に結合する)。第2の対象分析物113の不在下では第2の複合体は形成されないので、第2の捕捉ゾーン133内の第2の捕捉剤134は、いかなる第2の複合体にも結合しない。第2の対象分析物113が検出可能なレベルより下で存在する状況では、検出可能な量の第2の複合体は形成されない。第3の対象分析物114の非存在下では第3の複合体が形成されないので、第3の捕捉ゾーン131における第3の捕捉剤132は、いかなる第3の複合体にも結合しない。第3の対象分析物114が検出可能なレベルより下で存在する状況では、検出可能な量の第3の複合体は形成されない。第1の捕捉ゾーン135で捕捉された第1の複合体121は、ラテラルフロー装置101の第1の捕捉ゾーン135から取得可能な最大強度シグナルである第1の検出可能な光シグナルを放射する。試料111に第1の対象分析物112が存在しない(又は検出可能なレベル以下である)シナリオにおいて、第1の捕捉ゾーン135で検出される第1の光シグナルは、第1の捕捉ゾーンで最大強度のシグナルである。これは、第1の捕捉ゾーン135で利用可能なすべての第1の捕捉剤136が第1の複合体121に結合しているためである。第2の対象分析物113が存在しない(又は検出可能なレベル以下である)場合、第2の複合体は形成されず(又は検出可能な量の第2の複合体が形成されない)、したがって、第2の捕捉剤134はいかなる第2の複合体(又は検出可能な量の第2の複合体)も捕捉せず、検出可能な第2のシグナルも観察されない。同様に、第3の対象分析物114が存在しない(又は検出可能なレベル以下である)場合、第3の複合体は形成されず(又は検出可能な量の第3の複合体が形成されない)、したがって、第3の捕捉剤132はいかなる第3の複合体(又は検出可能な量の第3の複合体)も捕捉せず、検出可能な第3のシグナルも観察されない。
【0052】
図3A-
図3Bはラテラルフローアッセイの例を示しており、ここでは、第1の対象分析物112のみが流体試料111に存在しているが、第2の対象分析物113及び第3の対象分析物114は、流体試料111中に存在しないか、又は検出可能レベル未満で存在している。この例では、第1の対象分析物112は、第1の捕捉ゾーン135で第1の捕捉剤136と結合するために第1の複合体121と競合する。その結果、第1の対象分析物112の濃度が試料111中で増加するにつれて、第1の捕捉ゾーン135で第1の捕捉剤136と結合する第1の対象分析物112の量が増加する。第1の対象分析物112は検出可能なシグナルを放出しないので、また、第1の複合体121の存在下で第1の捕捉ゾーン135で第1の捕捉剤136と結合する第1の複合体121の量が少ないので、第1の検出可能なシグナルは、第1の対象分析物112が試料111に存在しない場合に観察される最大シグナル強度と比較して減少する。
【0053】
図3A及び
図3Bの例示的なラテラルフローアッセイを表す例示的な用量応答曲線を、
図7Aに示す。
図7Aにおいて、第1の捕捉ゾーンで検出された第1の対象分析物に対するシグナル強度(ここでは、CRPと結合するように構成された第1の捕捉ゾーンから測定されたシグナル強度を正方形でプロットしたもの)は、試料中の第1の対象分析物の濃度が増加するにつれて減少する。対照的に、第2の対象分析物に対する第2のシグナル(ここでは、IP-10と結合するように構成された第2の捕捉ゾーンから測定したシグナル強度を三角形でプロットしたもの)及び第3の対象分析物に対する第3のシグナル(ここでは、TRAILと結合するように構成された第3の捕捉ゾーンから測定されたシグナル強度を円でプロットしたもの)は、試料中に第2の対象分析物及び第3の対象分析物が存在しない(又は検出可能なレベル未満である)ために増加しない。
【0054】
図4A-
図4Bは、第2の対象分析物113のみが流体試料111中に存在するが、第1の対象分析物112及び第3の対象分析物114は、流体試料111中に存在しないか、又は検出可能レベル未満で存在する、例示的なラテラルフローアッセイを示す。この例では、第2の対象分析物113は、第2の対象分析物113に特異的に結合する第2の標識抗体123に結合し、第2の複合体を形成する。第2の複合体は、流体試料111と共に検出ゾーン130に流れ、ここで、第2の複合体は、第2の捕捉ゾーン133において第2の捕捉剤134によって結合される。第2の検出可能なシグナルは、第2の捕捉ゾーン133において結合された第2の複合体から放出され、流体試料111中の第2の対象分析物113の存在を示す。第2の対象分析物113の濃度が試料111において増加するにつれて、第2の捕捉ゾーン133において結合された第2の複合体から放出された第2の検出可能なシグナルの強度が増加する。
【0055】
図4A及び
図4Bの例示的なラテラルフローアッセイを表す例示的な用量応答曲線を、
図7Bに示す。
図7Bにおいて、第2の対象分析物のシグナル強度(ここでは、IP-10と結合するように構成された第2の捕捉ゾーンから測定したシグナル強度を三角形でプロットしたもの)は、試料中の第2の対象分析物の濃度の増加に伴って増加する。第1の対象分析物のシグナル強度(ここでは、CRPと結合するように設定された第1の捕捉ゾーンから測定されたシグナル強度を正方形でプロットしたもの)は、第2の対象分析物の全ての濃度について、最大値(この例では約70AU(任意のシグナル強度単位))又は実質的に最大値に留まっており、これは、試料中に第1の対象分析物が存在しない(又は検出可能なレベル未満である)ことを示している。第3の対象分析物のシグナル強度(ここでは、TRAILと結合するように構成された第3の捕捉ゾーンから測定されたシグナル強度を円でプロットしたもの)は増加せず、試料中に第3の対象分析物が存在しない(又は検出可能なレベル未満である)ことを示している。
【0056】
図5A-
図5Bは、第3の対象分析物114のみが流体試料111中に存在するが、第2の対象分析物113及び第1の対象分析物112は、流体試料111中に存在しないか、又は検出可能なレベル未満で存在する、例示的なラテラルフローアッセイを示す。この例では、第3の対象分析物114は、第3の対象分析物114に特異的に結合する第3の標識抗体122に結合し、第3の複合体を形成する。第3の複合体は、流体試料111と共に検出ゾーン130に流れ、ここで、第3の複合体は、第3の捕捉ゾーン131において第3の捕捉剤132によって結合される。第3の検出可能なシグナルは、第3の捕捉ゾーン131において結合された第3の複合体から放出され、流体試料111中に第3の対象分析物114が存在することを示す。第3の対象分析物114の濃度が試料111において増加するにつれて、第3の捕捉ゾーン131において結合された第3の複合体から放出される第3の検出可能なシグナルの強度が増加する。
【0057】
図5A及び
図5Bの例示的なラテラルフローアッセイを表す例示的な用量応答曲線を、
図7Cに示す。
図7Cにおいて、第3の対象分析物のシグナル強度(ここでは、TRAILと結合するように構成された第3の捕捉ゾーンから測定されたシグナル強度を円でプロットしたもの)は、試料中の第3の対象分析物の濃度の増加とともに増加する。第1の対象分析物のシグナル強度(ここでは、CRPと結合するように設定された第1の捕捉ゾーンから測定されたシグナル強度を正方形でプロットしたもの)は、最大値又は実質的に最大値に留まっており(この例では、第3の対象分析物の全ての濃度について約70AU)、試料中に第1の対象分析物が存在しない(又は検出可能なレベル未満である)ことを示している。第2の対象分析物のシグナル強度(ここでは、IP-10と結合するように構成された第2の捕捉ゾーンから測定したシグナル強度を三角形でプロットしたもの)は増加せず、試料中に第2の対象分析物が存在しない(又は検出可能なレベル未満である)ことを示している。
【0058】
図6A-
図6Bは、第1の対象分析物112及び第2の対象分析物113のみが流体試料111に存在するが、第3の対象分析物114は、流体試料111において存在しないか、又は検出可能なレベル未満で存在する、例示的なラテラルフローアッセイを示す。この例示的なラテラルフローアッセイは、
図3A及び
図3Bと、
図4A及び
図4Bとの組み合わせであり、2つ以上の対象分析物が存在し得るが、対象分析物が必ずしも全て存在するとは限らない(必ずしも検出可能なレベルで存在するとは限らない)反復を例示している。この例では、試料中の第1の対象分析物112は、
図3A及び
図3Bを参照して上述した方法で、第1の捕捉ゾーン135において第1の捕捉剤136への結合するために第1の複合体121と競合する。第1の捕捉ゾーン135で検出される第1の検出可能なシグナルは、最大シグナル強度から第1の対象分析物112の濃度が増加するにつれて減少し、これは、流体試料111中の第1の対象分析物112の存在及び量を示す。同時に又はほぼ同時に、第2の対象分析物113は、標識ゾーン中の第2の標識抗体123と結合し、第2の複合体を形成する。第2の複合体は、検出ゾーンに流れ、第2の捕捉ゾーン133で第2の捕捉剤134に結合する。第2の検出可能なシグナルは、第2の対象分析物113の濃度の増加に伴って増加し、流体試料111中の第2の対象分析物113の存在及び量を示す。
【0059】
図1A-
図6Bは、第1の捕捉ゾーン135、第2の捕捉ゾーン133、及び第3の捕捉ゾーン131をテストストリップの長手方向軸線に垂直に配置し、第1の捕捉ゾーン135が試料受容ゾーン110から最も遠く、第3の捕捉ゾーン131が試料受容ゾーン110に最も近い状態を示す。この非限定的な例では、第1の複合体121は、第1の捕捉ゾーン135に到達し、第1の捕捉ゾーン135に固定された第1の捕捉剤136に結合する前に、第3の捕捉ゾーン131及び第2の捕捉ゾーン133を通って流れるだろう。これらの図は例示的なものであり、様々な反復、変更、及び修正が実現され得る。第1の捕捉ゾーン135、第2の捕捉ゾーン133、及び第3の捕捉ゾーン131の相対位置は、流体試料111が図示とは異なる順序で捕捉ゾーンを通って流れるように、
図1A-
図6Bに図示されたものとは異なっていてもよい。例えば、第1の捕捉ゾーン、第2の捕捉ゾーン、及び第3の捕捉ゾーンは、テストストリップの長手方向軸線に対して垂直に、さまざまな順序(例:3、2、1;3、1、2;1、2、3;1、3、2;2、1、3;又は2、3、1)で配置されてもよい。さらに、捕捉ゾーンは、各捕捉ゾーンが試料受容ゾーンから等距離にあるように、テストストリップの長手方向軸線に対して垂直ではなく平行に配置されてもよい。
【0060】
ラテラルフロー装置101の第1の捕捉ゾーン135の最大強度シグナルを決定するための多くの方法がある。1つの非限定的な例では、ラテラルフロー装置101の特定の第1の捕捉ゾーン135から得られる最大強度シグナルを経験的に決定し、ルックアップテーブルに記憶することができる。場合によっては、最大強度シグナルは、既知の特徴及び構造のラテラルフロー装置101を試験することによって、例えば、第1の対象分析物の濃度がゼロ又はほぼゼロである試料が、既知の仕様及び構造のラテラルフロー装置101に適用されるときに得られる最大強度シグナルを平均することによって、経験的に決定される。別の非限定的な例では、ラテラルフロー装置101の特定の第1の捕捉ゾーン135から得られる最大強度シグナルは、ラテラルフロー装置101の既知の仕様及び構造(例えば、標識ゾーン120上に結合された第1の複合体121の量及び特定の特徴)を与えられた理論的計算を使用して決定することができる。
【0061】
さらに、本明細書では「最大強度シグナル」に言及しているが、予想される最大強度の特定の範囲内にあるシグナルは、実質的に「最大強度シグナル」と等価であると見なすことができることが理解されるだろう。さらに、「最大強度シグナル」は、最大強度光シグナル、最大強度蛍光シグナル、最大強度磁気シグナル、又は最大強度で生じる任意の他の種類のシグナルを指すことができることが理解されるだろう。1つの非限定的な例として、予想される最大強度シグナルの1%以内である第1の捕捉ゾーン135における検出シグナルは、第1の捕捉ゾーン135における予想される最大強度シグナルと実質的に等価であるとみなされる。最大強度シグナルが70AU又は約70AUである場合、約75.3AUから約70.7AUの範囲内の検出シグナルは、70AUの最大強度シグナルと実質的に等価であるとみなされるであろう。別の例として、
図7A-
図7Cを参照して説明した非限定的な実施形態では、予想される最大強度シグナルの10%以内である第1の捕捉ゾーン135における検出シグナルは、第1の捕捉ゾーン135における予想される最大強度シグナルと実質的に等価であるとみなされる。したがって、最大強度シグナルが70AU又は約70AUである
図7A-
図7Cに図示された例においては、約63AUから約77AUの範囲内の検出シグナルは、70AUの最大強度シグナルと実質的に等価であるとみなされる。これらの例は例示目的にのみ提供され、他の差異も許容され得る。例えば、本開示によるラテラルフローアッセイ装置において、予想される最大強度シグナルからの任意の適切な差異の範囲内(例えば、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、2.0%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、11%、12%、13%、14%、15%)にある第1の捕捉ゾーン135における検出シグナルは、第1の捕捉ゾーン135における予想される最大強度シグナルと実質的に等価であると見なすことができる。
【0062】
図7Aに示されるように、第1の対象分析物の濃度が増加するときの第1の捕捉ゾーン135における第1のシグナルの減少は、本開示によるラテラルフロー装置の実施形態では、有利には漸進的である。検出された第1のシグナルのこの漸進的な減少の結果として、本明細書に記載されるラテラルフロー装置の実施形態では、有利には、検出器が高分解能で第1のシグナルを正確に測定し、データ分析器が、第1の対象分析物の濃度を、濃度が高い場合に高精度で決定することを可能にする。
【0063】
さらに、本開示によるラテラルフロー装置中に高濃度で存在する対象分析物に関する用量応答曲線は、有利には、最大強度シグナルから始まり、この最大強度シグナルから減少する。これは、有利には、高濃度で存在する第1の分析物についての用量応答曲線において、信号が減少している線量応答曲線の部分におけるシグナルは、最大強度シグナルと同じ大きさを持たないことを意味する。さらに、試料中の第1の分析物の濃度が低いときの第1のシグナルは、最大強度シグナルと同じであるか又は実質的に同じである(例えば、それらは、上述したように最大強度シグナルと実質的に等価であると考えられる)ので、ゼロから低濃度の第1の分析物について、比較的一定の値(「最大強度シグナル」)で第1の光シグナルの平坦域が存在する(非限定的な例を参照して以下に詳細に説明する)。これは、有利には、第1の線量応答曲線のうち、第1のシグナルが減少している部分には、最大強度シグナルとほぼ同じ大きさの信号は存在しないことを意味する。したがって、本明細書に記載のラテラルフロー装置の実施形態においては、高濃度で存在する分析物に関して、偽陰性及び不正確に低い測定値が回避され、単一のラテラルフローアッセイに適用する前に、試料を希釈又は他の前処理をすることなく、単一試料中に存在する高濃度分析物及び低濃度分析物の両方の検出を可能にする。
【0064】
有利には、本明細書に記載されるラテラルフロー装置の実施形態では、第1の複合体121は、コンジュゲートパッド上への付着の前に、既知量の第1の対象分析物を含むように予め配合され得る。いくつかの態様において、既知濃度の第1の対象分析物を、抗体又は抗体のフラグメント及び標識分子と共に、テストストリップから分離された反応容器中でインキュベートする。インキュベーションの間、第1の対象分析物は、上記のように第1の複合体121を形成するために、抗体及び標識分子に共役、結合、又は結びつけられる。インキュベーションの後、第1の複合体121は、正確な既知の濃度で溶液に直接添加されるか、又は、コンジュゲートパッド上に噴霧される前に、過剰の遊離した第1の対象分析物を除去するために単離される。第1の複合体121を含む溶液は、上述の標識ゾーン120などのテストストリップに塗布される。付着中、第1の複合体121は、テストストリップの表面上に結合される。1つの非限定的な例において、第1の複合体121は、テストストリップのコンジュゲートパッド上に結合される。有利には、第1の複合体121は、オペレータが流体試料をテストストリップに適用するまで、テストストリップの表面に物理的に結合され、化学的に安定であり続けることができ、その後、第1の複合体121は、テストストリップから結合を解除し、上述したように流体試料と共に流れる。
【0065】
同様に、第2の標識抗体123及び第3の標識抗体122は、別々に製剤化することができる。例えば、第2の対象分析物に特異的に結合する第2の抗体を標識分子と共にインキュベートして、第2の標識抗体123を形成することができる。第2の標識抗体123は、第1の複合体121の付着と同様に、又は任意の他の適切な方法で、テストストリップ上に付着され得る。第2の標識抗体123は、オペレータが流体試料をテストストリップに適用するまで、テストストリップの表面に物理的に結合し、化学的に安定であり続けることができ、その後、第2の標識抗体123はテストストリップから結合を解除し、流体試料中に存在する任意の第2の分析物に結合し、上述のように流体試料と共に流れる。同様の方法を、第3の標識抗体、又はさらなる対象分析物の検出のための任意のさらなる標識抗体又は複合体に用いることができる。
【0066】
いくつかの実施形態において、第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122は、それぞれ、約0.1-20μL/テストストリップの範囲の量で付着される。いくつかの実施形態において、第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122は、それぞれ、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20μL/テストストリップの量で、標識ゾーンに付着される。1つの非限定的な例において、第1の複合体121は、約3μL/cmの量で付着され、第2の標識抗体123は、約7μL/cmの量で付着され、第3の標識抗体122は、約7μL/cmの量で付着されている。
【0067】
第1の複合体121を含む溶液、第2の標識抗体123を含む溶液、及び第3の標識抗体122を含む溶液は、多くの異なる方法でテストストリップに適用することができる。一例では、溶液は、エアジェット技術を用いて溶液を噴霧することによって、標識ゾーン120に適用される。別の例では、溶液は、溶液を注入すること、溶液を噴霧すること、テストストリップ上に付着又は擦り付けられる粉末又はゲルとして溶液を配合すること、又は第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122を適用するための任意の他の適切な方法によって付着される。いくつかの実施形態では、付着後、コンジュゲートパッドを加熱又は空気を吹き付けることにより、第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122が、付着後のテストストリップの表面上で乾燥される。テストストリップの表面上の第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122を乾燥させるための他の機構は適切である。例えば、真空又は凍結乾燥を用いて、コンジュゲートパッド上の第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122を乾燥させることもできる。
【0068】
場合によっては、第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122は、付着前に溶液に添加されず、代わりにテストストリップに直接適用される。第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122は、圧縮圧力又は真空圧力をテストストリップの表面上の第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122に加えること、及び/又は凍結乾燥された粒子の形態の第1の複合体121、第2の標識抗体123、及び第3の標識抗体122をテストストリップの表面に適用することを含むが、これらに限定されない任意の適切な方法を用いて直接的に適用され得る。
【0069】
本明細書に記載するラテラルフローアッセイの実施形態は、試料受容ゾーン110に適用された試料が意図したように検出ゾーン130に流れたことを確認するように構成されたコントロールライン又はゾーンを含む必要はない。通常の動作環境下では、試料が第1の捕捉ゾーン135に流れた場合、何らかの検出可能なシグナルが常に第1の捕捉ゾーン135から放出される。有利には、第1の捕捉ゾーン135は、第3の捕捉ゾーン131及び第2の捕捉ゾーン133の両方の下流に配置され、第1の捕捉ゾーン135が効果的にコントロールライン又はゾーンとして機能するように、試料111が意図されたように3つの捕捉ゾーンのすべてを通って流れたことを視覚的に示すことができる。通常の動作環境下では、試料が第1の捕捉ゾーン135に流れた場合には、例え第1の対象分析物が試料中に極めて低濃度で存在しても、検出可能なシグナルが常に第1の捕捉ゾーン135から放出される。これは、本開示のラテラルフロー装置が、ゼロ又は低濃度の第1の対象分析物に対して最大強度シグナル又はその近傍に留まる第1の用量応答曲線を生成するためである。サンプル中の第1の分析物112の生理学的に可能な高濃度の存在下でさえ、第1の捕捉ゾーン135上のシグナルは、ラテラルフローアッセイの注意深い設計により、大幅に減少するが完全には消失しないことがある。従って、試料が試料受容ゾーン110に適用された後の第1の捕捉ゾーン135において検出可能なシグナルが存在しないことは、ラテラルフローアッセイが意図したようには作動しなかった(例えば、試料が意図されたように第1の捕捉ゾーン135に流れなかったか、または別の例として、第1の捕捉ゾーン135における固定化された第1の捕捉剤136は欠陥又は故障している)ことの指標として使用することができる。したがって、本開示によるラテラルフロー装置の実施形態のさらなる利点は、第1の捕捉ゾーン135がコントロールラインとして機能する能力であり、それにより、別個のコントロールラインがテストストリップから完全に省略されることを可能にする。しかしながら、コントロールラインは、ノイズを正規化するため、又は血清中の分析物からの干渉を検出するための観察ラインを含むがこれらに限定されない様々な目的のために、本明細書に記載されるラテラルフロー装置の実施形態に含まれ得ることが理解されるであろう。
【0070】
場合によっては、ラテラルフロー装置は1つ以上のコントロールゾーンを含む。コントロールゾーンは、検出ゾーン内にあってもよく、又は検出ゾーンとは別個にあってもよい。いくつかの態様において、コントロールゾーンはポジティブコントロールゾーンであってもよく、ウシ血清アルブミン(BSA)などのタンパク質と共役した小分子を含み得る。小分子に特異的に結合するポジティブコントロール標識抗体は、コンジュゲートパッド上に付着され得る。ポジティブコントロール標識抗体を流体試料で再水和すると、抗体はポジティブコントロールゾーンに向かって流れ、小分子に結合してセミサンドイッチを形成する。ポジティブコントロールゾーンで生成されるポジティブコントロールシグナルは、流体試料中に存在する複数の分析物の存在及び濃度とは無関係であり、したがって、比較的一定の強度を維持する。しかしながら、不均一なパッド材料によってコンジュゲートパッド上に付着されたポジティブコントロール標識抗体の量のばらつきのために、ポジティブコントロールゾーンで生成されたポジティブコントロールシグナルの強度及び各捕捉ゾーンで生成されたシグナルの強度は、同じ試料で試験されたとしても、装置毎にわずかに変動し得る。ポジティブコントロールゾーン及び捕捉ゾーンにおけるシグナルの装置から装置への強度の変化は同じである。従って、ポジティブコントロールゾーンは、捕捉ゾーンで生成される相対的シグナル強度をより良く測定するための基準線として使用することができ、従って、ポジティブコントロールゾーンは、より正確な分析物濃度を提供することができる。
【0071】
ラテラルフローアッセイはさらにネガティブコントロールゾーンを含んでもよい。ネガティブコントロールゾーンは、捕捉ゾーンで使用される抗体と同じ種からのネガティブコントロール抗体を含むことができる。いくつかの血液試料からのいくつかの成分は、イムノアッセイを妨害し得る。このような干渉物質が1つの試料中に存在する場合、それは捕捉ゾーンにおけるシグナル強度に干渉するだけでなく、ネガティブコントロールゾーンにおけるシグナル強度にも干渉する。本明細書に開示されるリーダ及びデータ分析器の実施形態は、ネガティブコントロールゾーンから得られるシグナル測定値を処理して、任意の計算を訂正するか、又はオペレータに無効な結果であることを通知することができる。
【0072】
以下の非限定的な実施例は、本明細書に記載されるラテラルフロー装置、試験システム、及び方法の特徴を例示するものであり、決して本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0073】
実施例1
高濃度と低濃度の両方で蛋白質を定量するためのラテラルフローアッセイの準備
以下の例は、本明細書に記載されるように、複数の対象分析物を定量するためのラテラルフローアッセイの準備を記載する。この非限定的な例において、対象となる分析物は、単一試料中のタンパク質:C反応性タンパク質(CRP)、インターフェロンγ誘導タンパク質10(IP-10)、及びTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)である。この非限定的な例では、CRPは血清試料中に高められた又は高い濃度で存在し、一方IP-10又はTRAILは血清試料中に低濃度で存在する。
【0074】
CRPは血漿中に存在するタンパク質である。炎症及び感染に反応してCRP値が上昇する。CRPは炎症と感染のマーカーであり、炎症と感染の診断に使用できる。被験者の血清中のCRPレベルの上昇は、被験者における炎症及び/又は細菌感染と相関し得る。健康なヒト被験者におけるCRPの正常値は約1μg/mLから約10μg/mLである。軽度の炎症及び細菌感染時のCRP濃度は10-40μg/mLであり、活性の炎症や細菌感染時のCRP濃度は40-200μg/mLであり、重度の細菌感染及び熱傷の場合はCRP濃度は200μg/mLを超える。CRP値の測定やチャート化は、疾患の進行状況や治療効果の判定に有用である。
【0075】
CRPは、例えば約1μg/mLから約10μg/mLの低濃度から200μg/mLを超える非常に高い濃度までの広いダイナミックレンジで血漿中に存在する。CRPは、場合によっては高い感度で測定できるが、そのような測定は典型的には特異度が低い(例えば、CRPの測定は濃度の微小な変化に非常に敏感であるが、単一の濃度測定は複数の病態に相関することもあれば、全く病態と相関しないこともある(炎症又は他の非疾患状態))。本明細書に記載するラテラルフロー装置、試験システム、および方法の実施形態は、有利には、CRPを非常に高い感度で測定しながら、同じ単一試料中に低濃度で存在する対象分析物の濃度を測定することを可能にし、それにより、全体としてのマルチプレックスアッセイの特異性を高めることができる。このように、本開示の実施形態は、単一試料が単一アッセイに適用される前に希釈または前処理されない状況を含む単一テストイベントにおいて単一ラテラルフローアッセイに適用された単一試料を用いて、CRPの濃度の100万分の1の濃度で存在する追加の対象分析物の濃度とともに、その大きなダイナミックレンジにわたるCRPの濃度を非常に正確に測定する。例えば、単一の試料は、希釈していない全血試料;希釈していない静脈血試料;希釈していない毛細血管の血液試料;希釈していない血清試料;希釈されていない血漿試料であり得る。
【0076】
IP-10は、ウイルス感染時に血漿中で高度に上昇し、細菌感染時には血漿中で中等度にしか上昇しないタンパク質である。健常なヒト被験者におけるIP-10の正常濃度は100-300pg/mL程度、細菌感染時のIP-10の濃度は300-500pg/mL程度であり得る。ウイルス感染時のIP-10の濃度は500-1000pg/mL程度である。
【0077】
TRAILは、ウイルス感染中に血漿中で上昇するタンパク質であり、細菌感染中にTRAILのレベルは抑制され得る。健康なヒト被験者におけるTRAILの正常レベルは約20-100pg/mLの範囲である。ウイルス感染中のTRAILの濃度は20-500pg/mLの範囲である。
【0078】
CRP、IP-10及びTRAILの濃度又は存在を測定するためのアッセイは、低濃度の分析物の検出及び高濃度の分析物の同時検出を必要とする。実際、CRP濃度はIP-10及び/又はTRAILの濃度よりも100万倍高い可能性がある。CRPの軽度増加、IP-10の増加、及びTRAILの検出はウイルス感染を示す可能性がある。CRP及びIP-10のレベル上昇の検出及びTRAILの非検出は、細菌感染を示す可能性がある。IP-10及びTRAILの検出がなく、CRPレベルの上昇のみの検出は、炎症を示す可能性がある。CRP、IP-10、又はTRAILのいずれも検出されないこと(あるいは約1μg/mLから約10μg/mLの健康な被験者の範囲内でのCRPの検出)は、感染について陰性の結果の可能性があり、これは、被験者がウイルス又は細菌感染に罹患している可能性が低いことを示す。
【0079】
この非限定的例に従って準備されたアッセイは、CRPの濃度が高く、IP-10又はTRAILの濃度が低い場合でも、全血又は全血試料の画分におけるCRP、IP-10、及びTRAIL(対象分析物)の存在及び濃度を決定するために使用することができる。アッセイは、標識、CRPに特異的に結合する第1の抗体又はそのフラグメント、及びCRPを含む複合体を含む。アッセイは、IP-10に特異的に結合する標識された第2の抗体又はそのフラグメント、及びTRAILに特異的に結合する標識された第3の抗体又はそのフラグメントをさらに含む。
【0080】
アッセイを準備するために、抗CRP抗体を金ナノ粒子とインキュベートし、標識抗CRP抗体を形成した。この標識抗体をCRPとインキュベートし、CRPに結合した標識抗体の複合体を形成した。この複合体を含む溶液をエアジェットで噴霧し、複合体を1.8μL/テストストリップの量でコンジュゲートパッド(標識ゾーン)上に付着させた。
【0081】
抗IP-10抗体を金ナノ粒子とインキュベートし、標識抗IP-10抗体を形成した。標識された抗IP-10抗体を含む溶液をエアジェットで噴霧することによって、標識された抗IP-10抗体をコンジュゲートパッド(標識ゾーン)上に7μL/テストストリップの量で付着させた。抗TRAIL抗体を金ナノ粒子とインキュベートして標識抗TRAIL抗体を形成した。標識された抗TRAIL抗体を含む溶液をエアジェットで噴霧することによって、標識された抗TRAIL抗体を7μL/テストストリップの量でコンジュゲートパッド(標識ゾーン)上に付着させた。コンジュゲートパッドを加熱して、複合体、並びにコンジュゲートパッドに対する標識抗IP-10抗体及び標識抗TRAIL抗体のそれぞれを乾燥させた。
【0082】
コンジュゲートパッド上に付着した抗体-標識-CRP複合体の量は、試験システムがCRPの上昇したレベルを定量することを可能にする捕捉ゾーンでの最適範囲の光シグナルを提供するために必要な量の複合体を確保するために慎重に考慮された。コンジュゲートパッド上に過剰量の複合体を付着させると、用量反応曲線がシフトし、定量可能なCRP濃度が過度に高くなる(非常に高濃度のCRP(存在すれば)に対しては潜在的に光シグナルを発生させるが、軽度から高濃度に対しては光シグナルを発生させない)。コンジュゲートパッド上に十分な量の複合体を付着させないと、用量反応曲線がもう一方の方向にシフトし、その結果、非常に高いCRP濃度は定量化できないが比較的低いCRP濃度の定量化を可能にするシグナルが生じる。
【0083】
この例では、コンジュゲートパッドに付加する最適量の抗体-標識-CRP複合体により、コンジュゲートパッドに50ngのCRPが付着し、これは70.06AUのシグナルに相当する。この量において、捕捉ゾーンで捕捉剤と結合するために競合する際の試料中の非標識CRPと抗体-標識-CRP複合体との比が、非標識CRP濃度の最適範囲にわたって強い光シグナルを生成し、それによってシグナルの適切な分解能を得ることができ、試料中の上昇したCRP濃度を正確に定量することができる。加えて、コンジュゲートパッド上に付着した標識抗IP-10抗体及び標識抗TRAIL抗体の量は、テストストリップ当たり約260ngであった。
【0084】
さらに、検出ゾーンを有するアッセイを準備した。検出ゾーンは、対象分析物毎の捕捉ゾーンを含む。かくして、検出ゾーンは、CRPに特異的に結合する第1の固定化捕捉剤を含む第1の捕捉ゾーン、IP-10に特異的に結合する第2の固定化捕捉剤を含む第2の捕捉ゾーン、及びTRAILに特異的に結合する第3の固定化捕捉剤を含む第3の捕捉ゾーンを含む。
【0085】
この例では、抗CRP抗体を0.75μL/cmで2.4mg/mLの量で第1の捕捉ゾーンに付着させ、抗IP-10抗体を0.75μL/cmで2.4mg/mLの量で第2の捕捉ゾーンに付着させ、抗TRAIL抗体を0.75μL/cmで3mg/mLの量で第3の捕捉ゾーンに付着させた。
【0086】
この例では、検出ゾーンは、ポジティブコントロール捕捉ゾーンとネガティブコントロール捕捉ゾーンも含む。ポジティブコントロール捕捉ゾーンは、アッセイが適切に機能することを確実にするために準備される。この例では、ポジティブコントロール捕捉ゾーンは、ビオチンで誘導体化された固定化ウシ血清アルブミン(BSA-ビオチン)を含む。流体試料と再水和しポジティブコントロール捕捉ゾーンに流れた、テストストリップ上に存在する標識された抗ビオチン抗体を、固定化されたBSA-ビオチンが捕捉し、アッセイが適切に機能することを示す。標識された抗ビオチン抗体は、ポジティブコントロールラインで捕捉され、ポジティブコントロールシグナルは、アッセイが適切に機能することを示す。ポジティブコントロールシグナルは、対象検体の濃度の精度を高めるために、第1の捕捉ゾーン、第2の捕捉ゾーン、及び第3の捕捉ゾーンの相対的シグナル強度を決定するための基準線としても使用されてよい。
【0087】
ネガティブコントロール捕捉ゾーンは、流体試料中に存在し得る干渉成分に対する固定化抗体を含む。このような干渉成分は、第1の捕捉ゾーン、第2の捕捉ゾーン、又は第3の捕捉ゾーンと干渉し、それにより、誤ったシグナル強度を引き起こす可能性がある。また、干渉成分は、ネガティブコントロール捕捉ゾーンに結合する。本明細書に開示されるリーダ及びデータ分析器の実施形態は、ネガティブコントロールゾーンから得られたシグナル測定値を処理して、第1の捕捉ゾーン、第2の捕捉ゾーン、及び第3の捕捉ゾーンで測定された信号を補正するか、または試験が無効であったことをオペレータに警告することができる。
【0088】
実施例2
単一マルチプレックスラテラルフローアッセイを用いたCRP、IP-10、又はTRAILの定量
IP-10及びTRAILと比較してCRPの濃度は大幅に変化するため、サンドイッチ型ラテラルフローアッセイは、CRPが高濃度で存在する場合にCRPを定量すると共に、IP-10及びTRAILが(低濃度又は高濃度で)存在する場合にIP-10及びTRAILの濃度を同時に定量するのには一般的に不適当である。典型的な体積の試料中にいかなる濃度で存在する場合でも、IP-10及びTRAILは、1-999pg/mLのオーダーで存在するが、対照的に、CRPは、同じ典型的な体積の試料中に存在する場合、1-999μg/mLのオーダーの濃度で存在する。CRPの上昇した濃度を測定するには、以前は試料の連続希釈を必要としていたため、非効率的かつ面倒なプロセスとなり、また、既に低濃度になっているIP-10及びTRAILの濃度を検出不可能な濃度まで低下させてしまっていた。しかしながら、本明細書に記載されているラテラルフロー装置、試験システム、及び方法を用いて、高濃度のCRP及び大幅に低濃度のIP-10及びTRAIL(例えばCRPの100万分の1の濃度)を、正確に、信頼性よく、かつ迅速に定量することができる。
【0089】
実施例1で準備したラテラルフローアッセイを、下記の表1に記載した種々の濃度のCRP、IP-10、又はTRAILを含む試料と接触させた。流体試料は、表1に示される量のCRP、IP-10、又はTRAILを45μLのヒト血清中に添加することによって調製した。試料をラテラルフローアッセイで受け取り、30秒後、45μLのHEPES緩衝液で追跡した。10分後、光シグナルを測定した。
図7A-
図7Cは、ラテラルフローアッセイについて得られた用量応答曲線を示す。
図7Aは、IP-10又はTRAILが存在しない場合のCRP濃度の上昇に対する用量反応曲線を示す。
図7Aにおいて、CRPの用量反応曲線のシグナル強度(正方形でプロット)は、CRP濃度の増加とともに減少し、試料中に存在する非標識CRPと抗体-標識-CRP複合体との競合に一致している。
図7Aにおいて、IP-10(三角形でプロット)及びTRAIL(円でプロット)についての用量応答曲線のシグナル強度は、0又はほぼ0のままであり、試料中にIP-10及びTRAILが存在しない(IP-10及びTRAILが検出可能レベル以下である)ことを示す。
【0090】
図7Bは、CRP又はTRAILが存在しないIP-10の濃度増加に対する用量反応曲線を示す。
図7Bでは、IP-10に対する用量応答曲線のシグナル強度(三角形)は、IP-10の濃度の増加とともに増加する。
図7Bでは、TRAILに対する用量応答曲線のシグナル強度(円)は、0又はそれに近い値のままであり、試料中にTRAILが存在しない(又は検出可能レベル未満のレベルでTRAILが存在する)ことを示す。更に、CRPに対する用量反応曲線に対するシグナル強度(正方形)は、シグナル最大(70AU付近)のままであり、試料中にCRPが存在しないこと(又は検出可能レベル未満のCRPの存在)を示す。
【0091】
図7Cは、CRP又はIP-10が存在しない状態で、TRAIL濃度を増加させた場合の用量反応曲線を示す。
図7Cでは、TRAILの濃度が増加するにつれて、TRAILの用量応答曲線のシグナル強度(円)が増加する。
図7Cでは、IP-10の用量応答曲線のシグナル強度(三角形)がゼロまたはそれに近いままであり、試料中にIP-10が存在しないこと(又は検出可能レベル未満のIP-10の存在)を示している。更に、CRPに対する用量反応曲線のシグナル強度(正方形)は、シグナル最大(70AU付近)のままであり、試料中にCRPが存在しないこと(又は検出可能レベル未満のCRPの存在)を示す。
表1:CRP、IP-10及びTRAILのラテラルフローアッセイ
【0092】
実施例3
単一マルチプレックスラテラルフローアッセイを用いたCRP、IP-10、及びTRAILの同時定量
実施例2は、血清試料中のCRP、IP-10、又はTRAILを同時に検出するための単一のマルチプレックスラテラルフローアッセイを示す。この実施例は、さらに、血清試料中のCRP、IP-10、及びTRAILのいずれか1つ以上の組み合わせの存在を検出するための単一のラテラルフローアッセイを示す。
【0093】
実施例1で準備したラテラルフローアッセイを、以下の表2に記載するように、CRP、IP-10、及びTRAILの組み合わせを含む試料と接触させた。流体試料は、ヒト血清置換物45μL中に、表2に示すように、40μg/mLの量のCRP、500pg/mLの量のIP-10、又は250pg/mLの量のTRAILのいずれか、又はそれらの組み合わせを添加することにより調製された。試料をラテラルフローアッセイで受け取り、30秒後、45μLのHEPES緩衝液で追跡した。10分後、光シグナルを観測した。
図8は、表2の各条件のラテラルフローアッセイ装置を示す。
図8は、以下の条件(左から右へ)の下での6つのラテラルフローアッセイ装置を示す:CRP、IP-10、及びTRAILのそれぞれの存在(
図1A及び
図1Bも参照);CRP、IP-10、TRAILの不存在(
図2A及び
図2Bも参照);CRP単独の存在(
図3A及び
図3Bも参照);IP-10単独の存在(
図4A及び
図4Bも参照);TRAIL単独の存在(
図5A及び
図5Bも参照);CRPとIP-10の両方の存在(
図6A及び
図6Bも参照)。
図8において、試料中にCRPが存在しないラテラルフローアッセイは、CRP捕捉ゾーンで最大シグナル強度をもたらす一方、CRPが試料中に存在したラテラルフローアッセイは、CRP捕捉ゾーンでシグナル強度を減少させる。逆に、IP-10又はTRAILの存在は、それぞれIP-10捕捉ゾーン又はTRAIL捕捉ゾーンにおけるシグナル強度を増加させる。CRP、IP-10、及びTRAILの組み合わせを有する試料は、それぞれの分析物の存在を示し、炎症、ウイルス感染、又は細菌感染の測定に使用することができる。
表2:CRP、IP-10、及びTRAILの組み合わせを試験するためのラテラルフローアッセイ
【0094】
実施例2及び3は、1つ又は複数の対象分析物が高濃度で存在し、1つ又は複数の対象分析物が低濃度で存在する場合において、高濃度で存在する1つ又は複数の対象分析物の濃度が低濃度で対象分析物の量の数100万倍の量で存在する場合であっても、複数の対象分析物の濃度を決定するための本明細書に記載された例示的ラテラルフローアッセイの有効であることを示す。実施例2及び3は、低濃度の2つの分析物を測定するための2つのサンドイッチ型ラテラルフローアッセイを、単一のテストストリップ上で高濃度の分析物を検出するように構成されたサンドイッチ型アッセイと組み合わせて使用するが、本開示は、他の構成にも適用可能であることが理解されるであろう。別の非限定的な例として、本明細書に記載されるラテラルフローアッセイは、単一のテストストリップ上で高濃度の2つの分析物を検出するように構成された2つのサンドイッチ型アッセイと組み合わせて、低濃度の1つの分析物を測定するための1つのサンドイッチ型ラテラルフローアッセイを用いることができる。
【0095】
有利には、本開示によるラテラルフローアッセイは、CRPの濃度を10μg/mLを超える濃度で正確に測定することを可能にし、同時にIP-10及びTRAILの濃度を30及び1000pg/mLの間の濃度で正確に測定することを可能にする。これは、炎症状態、ウイルス感染状態、又は細菌感染状態などのようにCRP、IP-10、及びTRAILの1つ以上が存在し得る疾患及び非疾患状態を正確に診断するのに特に有利である。本開示によるラテラルフローアッセイは、単一のアッセイにおいてCRP、IP-10、及びTRAILのそれぞれの濃度を決定することによって、炎症、ウイルス感染、又は細菌感染を区別することができる。CRP、IP-10及びTRAILは、単一の試験事象において単一のアッセイに適用される単一の試料中に存在し得る。
【0096】
さらに、本願明細書に記載されるラテラルフロー装置は、試料を希釈する必要なしに、1回の単一アッセイで試料中の複数の分析物の上昇した濃度を定量する。高濃度の分析物を定量するためのアッセイは、しばしば、アッセイ上の分析物の総量を減少させるために試料を希釈する。希釈には、さらなる計算と同様に追加の物理的ステップが必要である。加えて、希釈は、高濃度の分析物に有用であり得るが、低濃度の分析物を検出する能力を低下させてしまうので、低濃度の分析物は希釈により害を被る。したがって、希釈は、低濃度及び高濃度の分析物の両方を検出するための単一のアッセイには適していない。本開示のラテラルフローアッセイは、1回の試験後に検出ゾーンで得られたシグナルに基づいて、複数の分析物濃度における微小差を決定することができる。
【0097】
本開示によるラテラルフローアッセイを用いた状態診断法
本明細書で提供されるいくつかの実施形態は、医学的状態を診断するためにラテラルフローアッセイを使用する方法に関する。いくつかの態様において、本方法は、本明細書に記載されるようなラテラルフローアッセイを提供することを含む。いくつかの態様において、本方法は、ラテラルフローアッセイの試料リザーバにおいて試料を受け取ることを含む。
【0098】
いくつかの実施形態において、試料は、環境又は生物学的供給源を含む供給源から得られる。いくつかの実施形態において、試料は、1つ以上の対象分析物を有することが疑われる。いくつかの実施形態において、試料は、対象分析物を有することが疑われない。いくつかの実施形態において、試料は、複数の分析物の不在又は存在の検証のために得られ、分析される。いくつかの態様において、試料は、試料中の複数の分析物の量のために得られ、分析される。いくつかの実施形態において、試料中に存在する1以上の分析物のいずれか1つの量は、健康な被験者に存在する正常な値よりも少ないか、健康な被験者に存在する正常な値であるか、又は正常な被験者に存在する正常な値よりも多い。
【0099】
いくつかの実施形態では、ラテラルフローアッセイの試料リザーバで試料を受け取ることは、試料をラテラルフローアッセイと接触させることを含む。試料は、スポイト又は他のアプリケータのように、外部適用により試料を試料リザーバに導入することによって、ラテラルフローアッセイに接触してもよい。いくつかの実施形態では、例えば、テストストリップが試料を保持する容器に浸漬される場合のように、試料リザーバを試料に直接浸漬してもよい。いくつかの実施形態において、試料は、試料リザーバに注ぎ込まれ、滴下され、噴霧され、配置され、又は他の方法で接触され得る。
【0100】
本開示の実施形態における複合体は、対象分析物に特異的に結合する抗体、標識、及び対象分析物を含み、試料リザーバ内又は下流のコンジュゲートパッド(又は標識ゾーン)上に付着され得る。装置は、第1の対象分析物、標識、及び第1の対象分析物に特異的に結合する抗体を有する第1の複合体を含むことができる。この複合体は、試料中に高濃度で存在し得る分析物の存在及び/又は量を決定するために使用される。したがって、オペレータが、高濃度で存在する2つ以上の対象分析物の存在及び/又は量を決定することに関心がある場合、付加的な複合体を装置に含めてもよい。
【0101】
さらに、装置は、対象分析物に特異的に結合する抗体及び標識を含むが対象抗体を含まない標識抗体を、含んでもよい。装置は、第2の対象分析物に特異的に結合する第2の抗体と標識とを含む第2の標識抗体をさらに含んでもよく、装置はまた、第3の対象分析物に特異的に結合する第3の抗体及び標識を含む第3の標識抗体を含んでもよい。標識抗体は、低濃度で試料中に存在し得る分析物の存在及び/又は量の決定のために使用される。したがって、オペレータが、より多くの第2の対象分析物及び第3の対象分析物の存在及び/又は量を決定することに関心がある場合には、追加の標識抗体を装置に含めてもよい。標識抗体は、試料リザーバの内部又は下流のコンジュゲートパッド(又は標識ゾーン)上に付着され得る。
【0102】
第1の複合体、第2の標識抗体、及び第3の標識抗体は、物理的又は化学的結合によりコンジュゲートパッド上に結合され得る。試料は、試料が試料リザーバに添加された後、第1の複合体、第2の標識抗体、及び第3の標識抗体を可溶化し、第1の複合体、第2の標識抗体、及び第3の標識抗体をコンジュゲートパッドに保持していた結合を開放する。第2の標識抗体は、第2の対象分析物が試料中に存在する場合、第2の対象分析物に結合して第2の複合体を形成する。第3の標識抗体は、第3の対象分析物が試料中に存在する場合、第3の対象分析物に結合して第3の複合体を形成する。第1の対象分析物を含む又は第1の対象分析物を含まない試料と、第1の複合体と、第2の複合体(第2の対象分析物が試料中に存在する場合)と、第3の複合体(試料中に第3の対象分析物が存在する場合)とは、ラテラルフローアッセイを通って検出ゾーンまで流体の前面に沿って流れる。検出ゾーンは、各複合体を捕捉するための捕捉ゾーンを含むことができる。例えば、検出ゾーンは、第1の複合体を捕捉するための第1の捕捉ゾーンと、第2の複合体を捕捉するための第2の捕捉ゾーンと、第3の複合体を捕捉するための第3の捕捉ゾーンとを含むことができる。第1の捕捉ゾーンに固定化された第1の捕捉剤は、第1の分析物(存在する場合)及び第1の複合体と結合する。第1の複合体が第1の捕捉ゾーンで第1の捕捉剤に結合すると、標識からの第1のシグナルが検出される。第1のシグナルは、本明細書に記載する光シグナルを含むことができる。低濃度の第1の分析物が試料中に存在する場合(例えば健康レベル以下のレベル)、第1の捕捉ゾーンにおける最大強度シグナルが検出される。高濃度の第1の分析物(例えば健康値を超える値)では、第1のシグナルの強度は、試料中の第1の分析物の量に比例して減少する。第1のシグナルは、第1の対象分析物についての用量応答曲線上の値と比較され、試料中の第1の分析物の濃度が決定される。
【0103】
第2の捕捉ゾーンに固定化された第2の捕捉剤は、第2の複合体に結合する。第2の複合体が第2の捕捉ゾーンで第2の捕捉剤に結合すると、標識からの第2のシグナルが検出される。第2のシグナルは、本明細書に記載される光シグナルを含むことができ、第1のシグナルと同じ波長であってもよく、又は第1のシグナルとは異なる波長であってもよい。第2の分析物の濃度が増加するにつれて、第2の複合体の形成が増加し、その結果、第2の捕捉ゾーンにおいて第2の捕捉剤によって捕捉される第2の複合体の量が増加し、その結果、第2のシグナル強度が増加する。
【0104】
第3の捕捉ゾーンに固定化された第3の捕捉剤は、第3の複合体に結合する。第3の複合体が第3の捕捉ゾーンで第3の捕捉剤に結合すると、標識からの第3のシグナルが検出される。第3のシグナルは、本明細書に記載される光シグナルを含むことができ、第1のシグナル又は第2のシグナルと同じ波長であってもよく、又は第1のシグナル又は第2のシグナルと異なる波長であってもよい。第3の分析物の濃度が増加すると、第3の複合体の形成が増加し、その結果、第3の捕捉ゾーンにおいて第3の捕捉剤によって捕捉される第3の複合体の量が増加し、その結果、第3のシグナル強度が増加する。
【0105】
いくつかの態様において、第1の分析物は、高濃度で存在する。第1の分析物の高い濃度は、健康なレベルを超える第1の分析物の濃度を指すことができる。従って、第1の分析物の高濃度は、健康なレベルよりも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、200%、又はそれ以上大きい第1の分析物の濃度を含むことができる。いくつかの態様において、第1の対象分析物は、約1から約10μg/mLの量で健康な個人の血清中に存在するC反応性タンパク質(CRP)を含む。したがって、試料中のCRP濃度の上昇は、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、又は200μg/mL以上の量を含む。
【0106】
いくつかの態様において、第2の分析物は、高濃度で存在する。第2の分析物の高い濃度は、健康なレベルを超える第2の分析物の濃度を指すことができる。従って、第2の分析物の高濃度は、健康なレベルよりも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、200%、又はそれ以上高い第2の分析物の濃度を含むことができる。いくつかの態様において、第2の対象分析物は、健康な個人の血清中に約100から約300pg/mLの量で存在するインターフェロンγ誘導タンパク質10(IP-10)を含む。したがって、試料中のIP-10の高濃度は、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490又は500pg/mL以上の量を含む。
【0107】
いくつかの態様において、第3の分析物は、高濃度で存在する。第3の分析物の高濃度は、健康なレベルを超える第3の分析物の濃度を指すことができる。従って、第3の分析物の高濃度は、健康なレベルより5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、200%、又はそれ以上高い第3の分析物の濃度を含むことができる。いくつかの態様において、第3の対象分析物は、健康な個人の血清中に約1から約15pg/mLの量で存在するTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)を含む。したがって、試料中のTRAILの高濃度は、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、又は200pg/mL以上の量を含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、第1の分析物、第2の分析物、第3の分析物、またはそれらの組み合わせが試料中に高濃度で存在することが決定されると、対象者は特定の疾患と診断される。例えば、CRP濃度が上昇しているが、IP-10又はTRAILの上昇がない場合、炎症を示すことができる。IP-10及びCRP濃度が上昇しているが、TRAILの上昇がないことは、細菌感染を示すことができる。CRP、IP-10、及びTRAILのすべての濃度の上昇は、ウイルス感染を示すことができる。いくつかの実施形態では、炎症の診断は、CRPの濃度が15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、又は200μg/mL以上であるが、IP-10及びTRAILの両方の濃度が健康な範囲内であると判定された場合に行われる。いくつかの実施形態では、細菌感染の診断は、CRPの濃度が15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は200μg/mL以上であり、IP-10の濃度が310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、または500pg/mL以上であるが、TRAILの濃度が健康な範囲内であると判定された場合に行われる。いくつかの実施形態では、ウイルス感染症の診断は、CRP濃度が低濃度で存在し、IP-10及びTRAIL濃度の両方が上昇している場合に行われる。非限定的な例では、ウイルス感染の診断は、CRP濃度が上昇していない(例えば、約1μg/mLから約10μg/mLの間)と決定され、IP-10濃度が310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490又は500pg/mL以上であり、TRAILの濃度が20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、又は500pg/mL以上であると判定されたときに行われる。
【0109】
炎症、細菌感染又はウイルス感染を含む状態の診断は、1つの対象分析物(CRPなど)の濃度が他の対象分析物(IP-10やTRAILなど)よりも大幅に多い量で存在する場合でも、本明細書に記載される単一のラテラルフローアッセイ装置上の単一の試料の単一の適用から行うことができる。したがって、単一の装置は、低濃度で存在する分析物よりも1000万、900万、800万、700万、600万、500万、400万、300万、200万、100万、50万、10万、5万、1万、5000、1000、500、100、又は10倍多い量で存在する対象分析物の存在及び/又は濃度を正確に決定することができる。
【0110】
本開示によるラテラルフロー装置、試験システム、及び方法の上述の実施例は、単一のラテラルフローアッセイ(例えば単一のラテラルフローアッセイテストストリップ)に適用された単一試料中のCRP、TRAIL、及びIP-10の存在及び/又は濃度を、単一の適用で検出する。本開示は、これらの実施例に限定されないことが理解されよう。例えば、別の非限定的な例では、本開示によるラテラルフロー装置、試験システム、及び方法は、単一の適用において、単一のラテラルフローアッセイ(例えば単一のラテラルフローアッセイテストストリップ)に適用された単一の試料におけるCRP、TRAIL、及びMx1の存在及び/又は濃度を検出することができる。さらなる非限定的な例においては、本開示によるラテラルフロー装置、試験システム、及び方法は、単一の適用において、単一のラテラルフローアッセイ(例えば単一のラテラルフローアッセイテストストリップ)に適用される単一の試料におけるCRP、PCT、及びIP-10の存在及び/又は濃度を検出することができる。さらに別の非限定的な例では、本開示によるラテラルフロー装置、試験システム、及び方法は、単一の適用において単一のラテラルフローアッセイ(例えば単一のラテラルフローアッセイテストストリップ)に適用された単一の試料におけるCRP、PCT、及びMx1の存在及び/又は濃度を検出することができる。さらに別の非限定的な例において、本開示によるラテラルフロー装置、試験システム、及び方法は、単一の適用における単一のラテラルフローアッセイ(例えば単一のラテラルフローアッセイテストストリップ)に適用される単一の試料におけるCRP、TRAIL、IP-10、Mx1、及びPCT(またはこれらの任意の組み合わせ)の存在及び/又は濃度を検出することができる。さらに別の非限定的な例において、本開示による、ラテラルフロー装置、試験システム、及び方法は、単一の適用における単一のラテラルフローアッセイ(例えば単一のラテラルフローアッセイテストストリップ)に適用される単一試料におけるCRP及び/又はTRAIL、IP-10、Mx1、及びPCTのいずれかの存在および/または濃度を検出することができる。これらの非限定的な実施例に列挙される特定の分析物は、本開示を限定するのではなく例示するものであることが理解されるであろう。また、任意の対象分析物は、ここに記載されるラテラルフロー装置、試験システム、及び方法を用いて検出及び測定することができる。
【0111】
高濃度分析物の存在及び濃度を検出できる本開示によるマルチプレックスラテラルフローアッセイの追加の実施形態
本開示によるラテラルフロー装置、試験システム、及び方法は、1つ以上の対象分析物が試料中に高濃度または高濃度で存在し、1つ以上の対象分析物が試料中に低濃度で存在する状況において、複数の対象分析物の存在又は量を正確に決定する。有利には、本明細書に記載されるラテラルフロー装置、試験システム、及び方法は、単一試験事象において単一試料を単一テストストリップなどの単一のラテラルフローアッセイに適用した後に、大幅に異なる濃度で単一試料中に存在する対象分析物の存在又は量を決定する。したがって、本明細書に記載されるラテラルフローアッセイは、分析物が大幅に異なる濃度範囲で存在する場合であっても、単一試料において複数の分析物を同時に検出することができる。試料中に高濃度で存在する1以上の対象分析物の存在又は量を決定する例示的なラテラルフロー装置、試験システム、及び方法は、
図1A-
図6Bに示した非限定的な実施形態を参照して上述した。さらなる例示的な実施形態は、2018年6月25日に出願された国際出願第PCT/US2018/039347号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0112】
本開示のマルチプレックスラテラルフロー装置、試験システム、及び方法は、付加的な技術を用いて、試料中に高濃度で存在する1つ以上の対象分析物の存在又は量を決定することができる。例えば、2018年12月3日に出願され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/US2018/063586号に記載されている付加的なラテラルフロー装置、試験システム、及び方法は、本開示によるマルチプレックスラテラルフロー装置、試験システム、及び方法において実施して、試料中に高濃度で存在する1以上の対象分析物の存在又は量を決定することができる。
【0113】
国際出願第PCT/US2018/063586号に記載の実施形態は、流体試料を受けるように構成された流路と、流路に連結された試料受容ゾーンと、捕捉ゾーンと、標識抗体又はそのフラグメントと、捕捉ゾーンの上流の流路における特大粒子とを含むアッセイテストストリップに関する。捕捉ゾーンは、試料受容ゾーンの下流の流路に結合され、対象分析物(例えばCRPだがこれに限定されない)に特異的な固定化捕捉剤を含む。標識抗体又はそのフラグメントは、対象分析物に特異的な捕捉ゾーンの上流の流路に連結される。特大粒子は、対象分析物に特異的な抗体又はそのフラグメントに結合されて、流体試料がアッセイテストストリップ上に受け取られたときに捕捉ゾーンの上流に留まるサイズ及び寸法の抗体結合特大粒子を形成する。本実施例における流路は、対象分析物(例えばCRPだがこれに限定されない)を含む流体試料を受け取るように構成される。標識抗体又はそのフラグメント、及び抗体結合特大粒子は、対象分析物に特異的に結合するために競合する。標識抗体又はそのフラグメントは、流体試料がアッセイテストストリップ上に受け取られるとき、捕捉ゾーンへの流路において、結合された対象分析物とともに流れるように構成される。対象分析物に結合した標識抗体は、捕捉ゾーンで捕捉され、検出可能なシグナルを発する。
【0114】
場合によっては、流路は、対象分析物(例えばCRPだがこれに限定されない)を含む、又は含まない流体試料を受け入れるように構成される。抗体結合特大粒子は、既知量の対象分析物に特異的に結合し、それによって、捕捉ゾーンの上流に既知量の対象分析物を保持する。
【0115】
この実施例におけるアッセイテストストリップは、捕捉ゾーンの下流にコントロールゾーンを含む。コントロールゾーンは、対象分析物に結合せず捕捉ゾーンを通過して流れる標識抗体又はそのフラグメントに特異的に結合する抗体を含む。流体試料が対象分析物を含まない場合、標識抗体又はそのフラグメントは、コントロールゾーンに流れ、コントロールゾーンのみで光シグナルを放射し、流体試料中に対象分析物が存在しないことを示す。固定化捕捉剤は、対象分析物に特異的な抗体又はそのフラグメントを含む。いくつかの態様において、抗体結合特大粒子は、テストストリップの表面上に結合される。ある態様において、特大粒子は、金粒子、ラテックスビーズ、磁性ビーズ、又はシリコンビーズを含む。一部の実施形態では、特大粒子の直径は約1μmから約15μmである。いくつかの態様において、流体試料は、全血、静脈血、毛細血管血、血漿、血清、尿、汗、又は唾液試料からなる群より選択される。ある態様において、対象分析物は、C反応性タンパク質(CRP)を含み、特大粒子に結合された抗体又はそのフラグメントは、CRPに結合した抗CRP抗体又はそのフラグメントを含む。
【0116】
CRPのような(ただし、これに限定されない)高濃度の対象分析物の存在及び濃度を測定するための上述の実施形態は、大幅に異なる濃度で試料中に存在する複数の対象分析物を検出するために、本開示による単一のマルチプレックスラテラルフローアッセイテストストリップに含めることができる。例えば、本開示によるラテラルフロー装置、試験システム、及び方法の実施形態は、単一のテストストリップ上で、単一試料中の低濃度の2つの分析物(例えば、
図4A-
図4B、
図5A-
図5B、及び実施例2及び3を参照して上述した第2の対象分析物113及び第3の対象分析物114など)を測定するための2つのサンドイッチ型ラテラルフローアッセイを、単一の試験事象において単一のテストストリップに適用された同じ単一試料中の高濃度の対象分析物(例えばCRPだがこれに限定されない)を検出するように構成された国際出願第PCT/US2018/063586号に記載されたサンドイッチ型アッセイと組み合わせて、採用することができる。
【0117】
本開示によるラテラルフローアッセイを含む試験システムの例
本明細書に記載のラテラルフローアッセイ試験システムは、ラテラルフローアッセイ試験装置(例えばテストストリップ)と、試験装置の全部又は一部を受け入れるように構成されたポートを含むハウジングと、光源及び光検出器を含むリーダと、データ分析器と、それらの組み合わせとを含むことができる。ハウジングは、プラスチック、金属、又は複合材料を含む様々な材料のうちの任意の1つで構成することができる。ハウジングは、診断テストシステムの構成要素のための保護筐体を形成する。ハウジングはまた、テストストリップをリーダに対して機械的に登録するレセプタクルを画定する。レセプタクルは、多種多様な異なるタイプのテストストリップのいずれかを受けるように設計されてもよい。いくつかの実施形態において、筐体は、ベンチ上、現場、家庭、又は家庭、商業、若しくは環境用の施設を含む様々な環境においてラテラルフローアッセイを実施する能力を可能にする可搬型装置である。
【0118】
リーダは、テストストリップの検出ゾーンの露出領域を光学的に検査し、検出ゾーン内の複数の捕捉ゾーンを検出することができる1つ以上の光電子部品を含むことができる。いくつかの実施形態では、リーダは、少なくとも1つの光源及び少なくとも1つの光検出器を含む。いくつかの実施形態では、光源は、半導体発光ダイオードを含むことができ、光検出器は、半導体フォトダイオードを含むことができる。テストストリップによって使用される標識の性質に応じて、光源は、特定の波長範囲内の光又は特定の偏光を有する光を放射するように設計され得る。例えば、標識が量子ドットなどの蛍光標識である場合、光源は、標識からの蛍光発光を誘導する波長範囲の光でテストストリップの捕捉ゾーンの露出領域を照射するように設計される。同様に、光検出器は、捕捉ゾーンの露出領域からの光を選択的に捕捉するように設計されてもよい。例えば、標識が蛍光標識である場合、光検出器は、標識によって放射される蛍光の波長範囲内の光、又は特定の偏光の光を選択的に捕捉するように設計される。一方、標識が反射型標識である場合、光検出器は、光源によって放射された光の波長範囲内の光を選択的に捕捉するように設計される。これらの目的のために、光検出器は、捕捉された光の波長範囲又は偏光軸を規定する1つ以上の光学フィルタを含むことができる。標識からのシグナルは、発色基質からの色を検出するための目視観察又は分光光度計、例えば125Iを検出するガンマカウンターのような放射線を検出する放射線カウンター、又は特定の波長の光の存在下で蛍光を検出する蛍光光度計を用いて分析することができる。酵素結合アッセイを使用する場合、分光光度計を使用して、対象分析物の量の定量分析を行うことができる。本明細書に記載のラテラルフローアッセイは、所望であれば、自動化するか、又はロボット的に実施することができ、複数の試料からのシグナルを同時に検出することができる。さらに、各対象分析物の標識が同一であるか又は異なる場合を含めて、複数の対象分析物について複数のシグナルを検出することができる。
【0119】
データ分析器はリーダによって得られたシグナル測定値を処理します。一般に、データ分析器は、デジタル電子回路またはコンピュータハードウェア、ファームウェア、又はソフトウェアを含む任意のコンピューティング環境又は処理環境に実装することができる。いくつかの実施形態では、データ分析器は、プロセッサ(例えば、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はASIC)及びアナログ-デジタル変換器を含む。データ分析器は、診断テストシステムのハウジング内に組み込むことができる。他の実施形態では、データ分析器は、有線又は無線接続を介して診断テストシステムと通信することができるコンピュータなどの別個の装置内に配置される。また、データ分析器は、データ分析のために、又は結果をレビューするために、無線接続を介して外部ソースへ結果を転送するための回路を含んでもよい。
【0120】
一般的に、結果表示器は、アッセイ試験の1つ以上の結果を示すための様々な異なる機構のいずれか1つを含むことができる。いくつかの実施形態では、結果表示器は、例えば、アッセイ試験の完了を示すために起動される1つ以上のライト(例えば発光ダイオード)を含む。他の実施形態では、結果表示器は、アッセイ試験結果を提示するための英数字ディスプレイ(例えば、2又は3文字の発光ダイオードアレイ)を含む。
【0121】
本明細書に記載のテストシステムは、リーダ、データ分析器、及び結果表示器を含む診断テストシステムの動作中のコンポーネントに電力を供給する電源を含むことができる。電源は、例えば、交換可能なバッテリ又は再充電可能なバッテリによって実施することができる。他の実施形態では、診断テストシステムは、外部ホスト装置(例えば、USBケーブルで接続されたコンピュータ)によって電力供給されてもよい。
【0122】
例示的なラテラルフロー装置の特徴
本明細書に記載のラテラルフロー装置は、試料リザーバ(試料受容ゾーンとも呼ばれる)を含むことができ、そこで流体試料は、例えばラテラルフロー装置に存在する免疫クロマトグラフィーテストストリップだがこれに限定されないテストストリップに導入される。一例では、試料は、スポイト又は他のアプリケータのように、外部適用によって試料リザーバに導入され得る。試料は、試料リザーバ上に注ぎ込まれ得るか、又は発現され得る。別の例では、テストストリップが試料を保持する容器内に浸漬される場合のように、試料リザーバを試料内に直接浸漬することができる。
【0123】
本明細書に記載のラテラルフロー装置は、固体支持体又は基材を含むことができる。適切な固体支持体としては、ニトロセルロース、反応トレイのウェルの壁、マルチウェルプレート、試験管、ポリスチレンビーズ、磁性ビーズ、膜、及び微粒子(ラテックス粒子など)が挙げられるが、これらに限定されない。標識剤によるアクセスを可能にする十分な多孔性及び捕捉剤を固定化するための適切な表面親和性を有する任意の適切な多孔質材料を、本明細書に記載されるラテラルフロー装置に使用することができる。例えば、ニトロセルロースの多孔質構造は、多種多様な試薬、例えば捕捉剤に対して優れた吸収及び吸着特性を有する。ナイロンも同様の特性を有し、好適である。ミクロ多孔質構造は、水和状態のゲル構造を有する材料と同様に有用である。
【0124】
有用な固体支持体のさらなる例には、以下のものが含まれる:天然高分子炭水化物及び寒天、アガロース、架橋アルギン酸、置換及び架橋グアーガム、特に硝酸及びカルボン酸とのセルロースエステル、混合セルロースエステル、及びセルロースエーテルのような、合成的に修飾、架橋又は置換された誘導体;架橋又は修飾ゼラチンを含むタンパク質及び誘導体などの窒素含有天然ポリマー;ラテックスやゴムなどの天然炭化水素ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル及びその部分加水分解された誘導体を含むビニルポリマー、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、例えばポリエステルやポリアミドのような上記重縮合物の共重合体及び三元重合体、並びに、ポリウレタン又はポリエポキシドのような他のポリマーなど、好適な多孔質構造で調製することができる合成ポリマー;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルカリ及びアルカリ土類金属のケイ酸塩、アルミニウム及びマグネシウムを含むアルカリ土類金属及びマグネシウムの硫酸塩又は炭酸塩のような多孔質無機材料;粘土、アルミナ、タルク、カオリン、ゼオライト、シリカゲル、ガラスなどのアルミニウム又はケイ素の酸化物又は水和物(これらの材料は、上記のポリマー材料と共にフィルタとして使用することができる);前記の種類の混合物又は共重合体、例えば、既存の天然ポリマー上で合成ポリマーの初期化重合することにより得られるグラフトコポリマー。
【0125】
本明細書に記載されるラテラルフロー装置は、ニトロセルロースなどの多孔質固体支持体をシート又はストリップの形態で含むことができる。このようなシート又はストリップの厚さは、広い範囲、例えば、約0.01mmから0.5mm、約0.02mmから0.45mm、約0.05mmから0.3mm、約0.075mmから0.25mm、約0.1mmから0.2mm、又は約0.11mmから0.15mmの範囲で変えることができる。このようなシート又はストリップの孔のサイズは、同様に、広い範囲、例えば、約0.025から15ミクロン、より具体的には、約0.1から3ミクロンの範囲で変化し得る。しかしながら、孔径は、固体支持体の選択における限定要素であることは意図されていない。適用可能な場合、固体支持体の流量もまた、広い範囲、例えば、約12.5から90秒/cm(50から300秒/4cm)、約22.5から62.5秒/cm(90から250秒/4cm)、約25から62.5秒/cm(100から250秒/4cm)、約37.5から62.5秒/cm(150から250秒/4cm)、又は約50から62.5秒/cm(200から250秒/4cm)の範囲内で変化させることもできる。本明細書に記載の装置の特定の実施形態では、流量は約35秒/cm(140秒/4cm)である。本明細書に記載の装置の他の特定の実施形態では、流量は約37.5秒/cm(150秒/4cm)である。
【0126】
固体支持体の表面は、薬剤(例えば、捕捉試薬)の支持体への共有結合を引き起こす化学プロセスによって活性化され得る。後述するように、固体支持体は、コンジュゲートパッドを含むことができる。イオン相互作用、疎水性相互作用、共有結合相互作用などを含むがこれらに限定されない、多くの他の適切な方法を、薬剤(例えば、捕捉試薬)を固体支持体へ固定化するために使用することができる。
【0127】
物理的に制約されている場合を除き、固体支持体は、フィルム、シート、ストリップ、又はプレートのような任意の適切な形状で使用することができ、又は紙、ガラス、プラスチックフィルム、又は織物のような適切な不活性担体上にコーティングし、又は接着若しくは積層することができる。
【0128】
本明細書に記載されるラテラルフロー装置は、捕捉試薬を含む膜又は他のタイプの材料などのコンジュゲートパッドを含むことができる。コンジュゲートパッドは、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリアミド、ポリカーボネート、ガラス繊維、メンブレン、ポリエーテルスルホン、再生セルロース(RC)、ポリテトラ-フルオレチレン(PTFE)、ポリエステル(例:ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート(例えば、4,4-ヒドロキシジフェニル-2、2’-プロパン)、酸化アルミニウム、混合セルロースエステル(例えば、酢酸セルロースと硝酸セルロースの混合物)、ナイロン(例えば、ポリアミド、ヘキサメチレンジアミン、及びナイロン66)、ポリプロピレン、PVDF、高密度ポリエチレン(HDPE)+核剤「二安息香酸アルミニウム」(DBS)(例:80 u 0.024 HDPE DBS(Posex))、及びHDPEであり得る。
【0129】
本願明細書に記載されるラテラルフロー装置は、高濃度(μg/mLの10sから100s)及び低濃度(pg/mLの1sから10s)のような、大幅に異なる濃度で試料中に存在する複数の対象分析物に対して非常に感度が高い。「感度」とは、疾患を有すると正しく識別された実際の陽性の割合(例えば、ある症状を有すると正しく識別された、感染し、潜伏し、又は症状のある被験者の割合)をいう。感度は、真の陽性の数を真の陽性の数と偽陰性の数の合計で割ったものとして計算することができる。
【0130】
本願明細書に記載のラテラルフロー装置は、多くの異なる種類の試料中の複数の対象分析物を正確に測定することができる。試料は、生物学的及び環境的試料と同様に、任意の供給源から得られた試料又は培養物を含むことができる。生物学的試料は、動物(ヒトを含む)から得ることができ、流体、固体、組織及び気体を含む。生物学的試料は、尿、唾液、及び、血漿や血清などの血液生成物を含む。しかしながら、そのような例は、本開示に適用可能な試料の種類を制限するものと解釈されるべきではない。
【0131】
いくつかの実施形態において、試料は、環境中の複数の分析物を検出するための環境試料である。いくつかの態様において、試料は、被験体由来の生物学的試料である。いくつかの態様において、生物学的試料は、末梢血、血清、血漿、腹水、尿、脳脊髄液(CSF)、痰、唾液、骨髄、滑液、房水、羊水、耳垢、母乳、気管支肺胞洗浄液、精液(前立腺液を含む)、カウパー液又は射精前液、女性射精液、汗、糞便物質、毛髪、涙、嚢胞液、胸水及び腹腔液、心膜液、リンパ液、糜汁、胆汁、間質液、月経、膿、皮脂、吐物、吐物、膣分泌物、粘膜分泌物、便、膵液、副鼻腔洗浄液、気管支肺吸引液、又は他の洗浄液を含むことができる。
【0132】
本明細書中で使用される場合、「分析物」は、一般に、検出されるべき物質を指す。例えば、分析物は、抗原性物質、ハプテン、抗体、及びそれらの組み合わせを含み得る。分析物は、毒素、有機化合物、タンパク質、ペプチド、微生物、アミノ酸、核酸、ホルモン、ステロイド、ビタミン、薬物(治療目的で投与されるもの及び不正の目的で投与されるものを含む)、薬物中間体又は副産物、細菌、ウイルス粒子、及び上記物質の代謝産物又は抗体を含むが、これらに限定されない。いくつかの分析物の具体例は以下を含む:フェリチン;クレアチニンキナーゼMB(CK-MB);ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG);ジゴキシン;フェニトイン;フェノバルビトール;カルバマゼピン;バンコマイシン;ゲンタマイシン;テオフィリン;バルプロ酸;キニジン;黄体形成ホルモン(LH);卵胞刺激ホルモン(FSH);エストラジオール、プロゲステロン;C反応性タンパク(CRP);リポカリン;IgE抗体;サイトカイン;TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL);ビタミンB2ミクログロブリン;インターフェロンγ誘導蛋白10(IP-10);インターフェロン誘導GTP結合蛋白質(ミクソウイルス(インフルエンザウイルス)抵抗性1、MX 1、MxA、IFI-78 K、IFI78、MX、MXダイナミンのようなGTPase1とも呼ばれる);プロカルシトニン(PCT);糖化ヘモグロビン(グリーヘモグロビン);コルチゾール;ジギトキシン;N-アセチルプロカインアミド(NAPA);プロカインアミド;風疹IgGや風疹IgMなどの風疹に対する抗体;トキソプラズマ症IgG(Toxo-IgG)やトキソプラズマ症IgM(Toxo-IgM)などのトキソプラズマ症に対する抗体;テストステロン;サリチル酸塩;アセトアミノフェン;B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg);抗B型肝炎コア抗原IgGやIgM(抗HBC)などのB型肝炎コア抗原に対する抗体;ヒト免疫不全ウイルス1及び2(HIV1及び2);ヒトT細胞白血病ウイルス1型及び2型(HTLV);B型肝炎e抗原(HBeAg);B型肝炎e抗原抗体(抗HBe);インフルエンザウイルス;甲状腺刺激ホルモン(TSH);チロキシン(T4);総トリヨードサイロニン(Total T3);遊離トリヨードチロニン(Free T3);カルチノ胚抗原(CEA);リポタンパク質、コレステロール、トリグリセリド;及びαフェトプロテイン(AFP)。乱用薬物及び規制薬物には、下記が含まれるがこれらに限定されない:アンフェタミン;メタンフェタミン;アモバルビタール、セコバルビタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、バルビタールなどのバルビツール酸;リブリウム及びバリウムなどのベンゾジアゼピン類;大麻やマリファナなどのカンナビノイド;コカイン;フェンタニル;LSD;メタカロン;ヘロイン、モルヒネ、コデイン、ヒドロモルホン、ヒドロコドン、メサドン、オキシコドン、オキシモルホン及びアヘンのようなオピエート類;フェンシクリジン;及びプロポキシフェン。対象とする生物学的又は環境的物質の目的のために、追加の分析物を含めることができる。
【0133】
本開示は、1つ以上の対象分析物が高濃度で存在し、1つ以上の対象分析物が低濃度で存在する場合を含む、試料中の複数の分析物の存在及び濃度を決定するためのラテラルフローアッセイ装置、試験システム、及び方法に関する。上述のように、本明細書で使用される場合、「分析物」は、一般に、検出されるべき物質、例えばタンパク質を指す。本明細書に記載されるラテラルフローアッセイ装置、試験システム、及び方法によって検出され得るタンパク質の例は、限定されないが、以下を含む。
【0134】
TRAIL:TNF関連アポトーシス誘導リガンド(Apo2L、Apo-2リガンド、CD253としても知られる);代表的なRefSeq DNA配列はNC_000003.12;NC_018914.2;及びNT_005612.17であり、代表的なRefSeq Protein配列のアクセッション番号はNP_001177871.1;NP_001177872.1;及びNP_003801.1である。TRAILタンパク質は、腫瘍壊死因子(TNF)リガンドファミリーに属する。
【0135】
CRP:C反応タンパク質;代表的なRefSeq DNA配列はNC_000001.11;NT_004487.20;及びNC_018912.2であり、代表的なRefSeq Protein配列のアクセッション番号はNP_000558.2である。
【0136】
IP-10:ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド10;代表的なRefSeq DNA配列はNC_000004.12;NC_018915.2;及びNT_016354.20であり、RefSeq Protein配列はNP_1556.2である。
【0137】
PCT:プロカルシトニンはカルシトニンというホルモンのペプチド前駆体である。このタンパク質の代表的なRefSeq アミノ酸配列はNP_000558.2である。代表的なRefSeq DNA配列はNC_000001.11、NT_004487.20、NC_018912.2を含む。
【0138】
MX1:インターフェロン誘導GTP結合蛋白質Mx1(インターフェロン誘導タンパク質p78、インターフェロン調節抵抗性GTP結合タンパク質MxAとしても知られる)。このタンパク質の代表的なRefSeqアミノ酸配列はNP_001138397.1;NM_001144925.2;NP_001171517.1;及びNM_001178046.2である。
【0139】
本開示によるラテラルフローアッセイ装置、試験システム、及び方法は、TRAILタンパク質の可溶性形態及び/又は膜形態のいずれかを測定することができる。一実施形態では、TRAILの可溶性形態のみが測定される。
【0140】
本明細書に記載されるラテラルフロー装置は、標識を含むことができる。標識は、分析物、分析物類似体、検出試薬、又は分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的又は化学的手段によって検出可能な結合パートナーに結合した又は結合可能な分子又は組成物を含む、多くの異なる形態を取ることができる。標識の例としては、酵素、コロイド状金粒子(金ナノ粒子とも呼ばれる)、着色ラテックス粒子、放射性同位体、補助因子、リガンド、化学発光剤又は蛍光剤、タンパク質吸着銀粒子、タンパク質吸着鉄粒子、タンパク質吸着銅粒子、タンパク質吸着セレン粒子、タンパク質吸着硫黄粒子、タンパク質吸着テルル粒子、タンパク質吸着炭素粒子、及びタンパク質結合色素嚢が挙げられる。化合物(例えば、検出試薬)の標識への結合は、共有結合、吸着プロセス、キレート剤などにおけるような疎水性結合及び/又は静電結合、又はこれらの結合及び相互作用の組み合わせにより行われることができ、及び/又は結合基を含んでもよい。
【0141】
「特異的結合パートナー(又は結合パートナー)」という用語は、関与する分子の三次元構造に依存する特異的な非共有結合相互作用によって相互作用する一対の分子のメンバーを指す。特異的結合パートナーの典型的な対には、抗原/抗体、ハプテン/抗体、ホルモン/受容体、核酸鎖/相補的核酸鎖、基質/酵素、阻害剤/酵素、炭水化物/レクチン、ビオチン/(ストレプト)アビジン、受容体/リガンド、及びウイルス/細胞受容体、又はそれらの種々の組合せが含まれる。
【0142】
本明細書中で使用される、用語「免疫グロブリン」又は「抗体」とは、特定の抗原に結合するタンパク質を指す。免疫グロブリンは、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体及びヒト化抗体、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメントを含み、これらに限定されないが以下のクラスの免疫グロブリンを含む:IgG、IgA、IgM、IgD、IbE、及び分泌免疫グロブリン(sIg)。免疫グロブリンは一般に2本の同一の重鎖と2本の軽鎖からなる。しかしながら、用語「抗体」及び「免疫グロブリン」は、一本鎖抗体及び二本鎖抗体も包含する。簡単にするために、本明細書を通して用語「標識抗体」又は「捕捉抗体」が使用されるが、本明細書において使用される用語「抗体」は、抗体全体又はその任意のフラグメントを指す。したがって、対象分析物に特異的に結合する標識抗体に言及する場合、その用語は、対象分析物に特異的に結合する標識抗体又はそのフラグメントを指すことが企図される。同様に、捕捉抗体に言及する場合、その用語は、対象分析物に特異的に結合する捕捉抗体又はそのフラグメントを指す。
【0143】
本開示によるラテラルフロー装置、試験システム、及び方法における抗体は、ポリクローナル抗体を含むことができる。本明細書に開示された対象分析物のいずれかを測定するためのポリクローナル抗体は、限定されるものではないが、以下の1つ以上の活性免疫により血清から産生された抗体を含む:ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ニワトリ、アヒル、モルモット、マウス、ロバ、ラクダ、ラット及びウマ。本開示によるラテラルフロー装置、試験システム、及び方法における抗体は、モノクローナル抗体を含むことができる。
【0144】
TRAILを測定するための抗体には、TRAILを測定するためのモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体が含まれる。いくつかの実施形態では、TRAIL抗体は、可溶性TRAIL及び/又はTRAILの細胞外ドメイン、例えばアミノ酸90-281に結合する。TRAILを測定するためのモノクローナル抗体の例には、限定されないが、以下のものが含まれる:マウス、モノクローナル(55B709-3)IgG;マウス、モノクローナル(2E5)IgG1;マウス、モノクローナル(2E05)IgG1;マウス、モノクローナル(M91292)IgG1κ;マウス、モノクローナル(IIIIF6)IgG2b;マウス、モノクローナル(2E1-1B9)IgG1;マウス、モノクローナル(RIK-2)IgG1、κ;マウス、モノクローナルM181IgG1;マウス、モノクローナルVI10EIgG2b;マウス、モノクローナルMAB375IgG1;マウス、モノクローナルMAB687IgG1;マウス、モノクローナルHS501IgG1;マウス、モノクローナルクローン75411.11マウスIgG1;マウス、モノクローナルT8175-50IgG;マウス、モノクローナル2B2.108IgG1;マウス、モノクローナルB-T24IgG1;マウス、モノクローナル55B709.3IgG1;マウス、モノクローナルD3IgG1;ヤギ、モノクローナルC19IgG;ウサギ、モノクローナルH257IgG;マウス、モノクローナル500-M49IgG;マウス、モノクローナル05-607IgG;マウス、モノクローナルB-T24IgG1;ラット、モノクローナル(N2B2)、IgG2a、κ;マウス、モノクローナル(1A7-2B7)、IgG1;マウス、モノクローナル(55B709.3)、IgG及びマウス、モノクローナルB-S23*IgG1、ヒトTRAIL/TNFSF10MAb(クローン75411)、マウスIgG1、ヒトTRAIL/TNFSF10MAb(クローン124723)、マウスIgG1、ヒトTRAIL/TNFSF10MAb(クローン75402)、マウスIgG1。
【0145】
TRAILを測定するための抗体は、以下の非包括的なリストからエピトープを標的化するために開発された抗体を含む:マウスミエローマ細胞株NSO由来組換えヒトTRAIL(Thr95-Gly281 アクセッション#P50591)、マウスミエローマ細胞株、NSO由来組換えヒトTRAIL(N末端Met及び6‐Hisタグを有するThr95-Gly281 アクセッション#P50591)、E.coli由来、(Vall l4-Gly281、N末端Met有り/無し アクセッション#:Q6IBA9)、ヒト血漿由来TRAIL、ヒト血清由来TRAIL、組換えヒトTRAILであって、最初のアミノ酸が位置85-151の間にあり、最後のアミノ酸が位置249-281にあるもの。
【0146】
CRP測定用抗体には、CRP測定用モノクローナル抗体及びCRP測定用ポリクローナル抗体がある。CRP測定用モノクローナル抗体の例としては、以下のものが挙げられるがこれらに限定されない:マウス、モノクローナル(108-2A2);マウス、モノクローナル(108-7G41D2);マウス、モノクローナル(12D-2C-36)、IgG1;マウス、モノクローナル(1G1)、IgG1;マウス、モノクローナル(5A9)、IgG2a カッパ;マウス、モノクローナル(63F4)、IgG1;マウス、モノクローナル(67A1)、IgG1;マウス、モノクローナル(8B-5E)、IgG1;マウス、モノクローナル(B893M)、IgG2b、ラムダ;マウス、モノクローナル(C1)、IgG2b;マウス、モノクローナル(C11F2)、IgG;マウス、モノクローナル(C2)、IgG1;マウス、モノクローナル(C3)、IgG1;マウス、モノクローナル(C4)、IgG1;マウス、モノクローナル(C5)、IgG2a;マウス、モノクローナル(C6)、IgG2a;マウス、モノクローナル(C7)、IgG1;マウス、モノクローナル(CRP103)、IgG2b;マウス、モノクローナル(CRP11)、IgG1;マウス、モノクローナル(CRP135)、IgG1;マウス、モノクローナル(CRP169)、IgG2a;マウス、モノクローナル(CRP30)、IgG1;マウス、モノクローナル(CRP36)、IgG2a;ウサギ、モノクローナル(EPR283Y)、IgG;マウス、モノクローナル(KT39)、IgG2b;マウス、モノクローナル(N-a)、IgG1;マウス、モノクローナル(N1G1)、IgG1;モノクローナル(P5A9AT);マウス、モノクローナル(S5G1)、IgG1;マウス、モノクローナル(SB78c)、IgG1;マウス、モノクローナル(SB78d)、IgG1及びウサギ、モノクローナル(Y284)、IgG。
【0147】
IP-10測定用抗体には、IP-10測定用モノクローナル抗体及びIP-10測定用ポリクローナル抗体が含まれる。IP-10測定用モノクローナル抗体としては、以下のものが含まれるがこれらに限定されない:IP-10/CXCL10マウス抗ヒトモノクローナル(4D5)抗体(LifeSpan Biosciences)、IP-10/CXCL10マウス抗ヒトモノクローナル(A00163.01)抗体(LifeSpan Biosciences)、マウス抗ヒトIP-10(AbD Serotec)、ウサギ抗ヒトIP-10(AbD Serotec)、IP-10ヒトmAb6D4(Hycult Biotech)、マウス抗ヒトIP-10モノクローナル抗体クローンB-C50(Diaclone)、マウス抗ヒトIP-10モノクローナル抗体B-C55(Diaclone)、ヒトCXCLlO/IP-10MAbクローン33036(R&D Systems)、CXCL10/INP10抗体1E9(Novus Biologicals)、CXCL10/INP10抗体2C1(Novus Biologicals)、CXCL10/INP10抗体6D4(Novus Biologicals)、CXCL10モノクローナル抗体M01Aクローン2C1(Abnova Corporation)、CXCL10モノクローナル抗体(M05)、クローン1E9(Abnova Corporation)、CXCL10モノクローナル抗体、クローン1(Abnova Corporation)、IP-10抗体6D4(Abeam)、IP10抗体EPR7849(Abeam)、IP10抗体EPR7850(Abeam)。
【0148】
IP-10を測定するための抗体はまた、以下の非包括的なリストからエピトープを標的化するために開発された抗体を含む:組換えヒトCXCLlO/IP-10、77アミノ酸(aa 22-98)及びN末端Hisタグインターフェロンγ誘導性タンパク質10(長さ125 aa)を含む非グリコシル化ポリペプチド鎖、77アミノ酸断片(22-98)を含み、アミノ末端ヘキサヒスチジンタグを有する8.5kDaの全分子量を有するE.Coliで産生されたIP-10Hisタグヒト組換えIP-10、N末端Metを有するE.coli由来ヒトIP-10(Val22-Pro98)、ヒト血漿由来IP-10、ヒト血清由来IP-10、最初のアミノ酸が位置1-24の間にあり、最後のアミノ酸が位置71-98にある組換えヒトIP-10。
【0149】
プロカルシトニン(PCT)測定用抗体としては、PCT測定用モノクローナル抗体及びPCT測定用ポリクローナル抗体が挙げられる。PCT測定用モノクローナル抗体は、限定されることなく以下を含む:マウス、モノクローナルIgG1;マウス、モノクローナルIgG2a;マウス、モノクローナルIgG2b;マウス、モノクローナル44D9IgG2a;マウス、モノクローナル18B7IgG1;マウス、モノクローナルG1/G1-G4IgG1;マウス、モノクローナルNOD-15IgG1;マウス、モノクローナル22A11IgG1;マウス、モノクローナル42IgG2a;マウス、モノクローナル27A3IgG2a;マウス、モノクローナル14C12IgG1;マウス、モノクローナル24B2IgG1;マウス、モノクローナル38F11IgG1;マウス、モノクローナル6F10IgG1。
【0150】
MxA測定用抗体は、MxA測定用モノクローナル抗体及びMxA測定用ポリクローナル抗体を含む。MxA測定用モノクローナル抗体には、限定されることなく以下を含む:マウス、モノクローナルIgG;マウス、モノクローナルIgG1;マウス、モノクローナルIgG2a;マウス、モノクローナルIgG2b;マウス、モノクローナル2G12IgG1;マウス、モノクローナル474CT4-1-5IgG2b;マウス、モノクローナルAM39、IgG1;マウス、モノクローナル4812IgG2a;マウス、モノクローナル683IgG2b。
【0151】
本開示によるラテラルフロー装置は、捕捉剤を含む。捕捉剤は、遊離(非標識)分析物及び/又は標識された分析物(例えば、本明細書に記載される第1の複合体、第2の複合体、又は第3の複合体)を含む、分析物に結合することができる固定化剤を含む。捕捉剤は、(i)標識された対象分析物、(ii)標識された分析物又は標識されていない分析物、又は(iii)補助的な特異的結合パートナーに対して特異的で、間接アッセイにおけるように、それ自体が分析物に対して特異的な、標識されていない特異的結合パートナーを含む。本明細書で使用される場合、「補助的な特異的結合パートナー」は、分析物の特異的結合パートナーに結合する特異的結合パートナーである。例えば、補助的特異的結合パートナーは、別の抗体に特異的な抗体、例えばヤギ抗ヒト抗体を含み得る。本明細書に記載されるラテラルフロー装置は、1以上の捕捉エリア又は捕捉ゾーンを含む領域であって検出可能なシグナルが検出され得る領域である「検出エリア」又は「検出ゾーン」を含むことができる。本明細書に記載されるラテラルフロー装置は、捕捉試薬が固定されるラテラルフロー装置の領域である「捕捉エリア」を含むことができる。本明細書に記載されるラテラルフロー装置は、2つ以上の捕捉エリアを含み得る。場合によっては、異なる捕捉試薬が異なる捕捉エリアに固定化される(例えば、第1の捕捉エリアにおける第1の捕捉試薬及び第2の捕捉エリアにおける第2の捕捉試薬)。複数の捕捉エリアは、ラテラルフロー基板上で互いに任意の向きを有することができる。例えば、第1の捕捉エリアは、流体の流れの経路に沿った第2の(またはその他の)捕捉エリアに対して遠位又は近位であり得、逆もまた同様である。あるいは、第1の捕捉エリア及び第2の(又はその他の)捕捉エリアは、流体が同時に又はほぼ同時に捕捉エリアに接触するように、流体の流れの経路に垂直な軸に沿って整列されてもよい。
【0152】
本開示によるラテラルフロー装置は、ラテラルフロー装置の通常動作中に捕捉剤の移動が制限されるように固定化された捕捉剤を含む。例えば、固定化された捕捉剤の移動は、流体試料がラテラルフロー装置に適用される前後に制限される。捕捉剤の固定化は、障壁、静電相互作用、水素結合、生体親和性、共有結合相互作用又はそれらの組み合わせなどの物理的手段によって達成することができる。
【0153】
本開示によるラテラルフロー装置は、生物学的物質を検出、同定し、場合によっては定量することができる。生物学的化合物は、原核生物細胞系、真核生物細胞系、哺乳動物細胞系、微生物細胞系、昆虫細胞系、植物細胞系、混合細胞系、天然に存在する細胞系、又は合成的に操作された細胞系を含み得る生物によって産生される化学的又は生化学的化合物を含む。生物学的製剤には、タンパク質、多糖類、脂質、核酸などの大型高分子のほか、一次代謝産物、二次代謝産物、天然産物などの低分子が含まれる。
【0154】
説明、具体例及びデータは、例示的な実施形態を示すが、例示として与えられており、本開示の様々な実施形態を限定することを意図しないことを理解されたい。本開示内の様々な変更および修正は、本明細書に含まれる説明及びデータから当業者に明らかになり、したがって、本開示の様々な実施形態の一部と考えられる。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中に異なる濃度で存在する第1の対象分析物及び第2の対象分析物を検出する方法であって、
ラテラルフローアッセイを提供するステップを含み、
前記ラテラルフローアッセイは、
前記ラテラルフローアッセイの流路に結合された第1の複合体であって、標識と、前記第1の分析物に特異的に結合する抗体又はそのフラグメントと、前記第1の分析物とを含む前記第1の複合体と、
前記流路に結合され、前記第2の分析物に特異的に結合するように構成された第2の標識抗体又はそのフラグメントと、
前記第1の複合体の下流の第1の捕捉ゾーンであって、前記第1の分析物に特異的な第1の固定化捕捉剤を含む、前記第1の捕捉ゾーンと、
前記第2の標識抗体又はそのフラグメントの下流にある第2の捕捉ゾーンであって、前記第2の分析物に特異的な第2の固定化捕捉剤を含む前記第2の捕捉ゾーンと、を有し、
前記方法は、さらに、
前記第1の複合体及び前記第2の標識抗体又はそのフラグメントに前記試料を適用するステップと、
前記第2の標識抗体又はそのフラグメントに前記第2の分析物を結合して第2の複合体を形成するステップと、
前記流体試料及び前記第1の複合体を前記第1の捕捉ゾーンに流すステップであって、前記流体試料中の前記第1の分析物と前記第1の複合体とは、前記第1の捕捉ゾーン内の前記第1の固定化捕捉剤に結合するために競合するステップと、
前記流路内の前記第2の複合体を前記第2の捕捉ゾーンに流し、前記第2の複合体を前記第2の捕捉ゾーン内の前記第2の固定化捕捉剤に結合させるステップと、
前記第1の捕捉ゾーンにおいて前記第1の固定化捕捉剤に結合した前記第1の複合体からの第1のシグナルと、前記第2の捕捉ゾーンにおいて前記第2の固定化捕捉剤に結合した前記第2の複合体からの第2のシグナルとを検出するステップと、
を含む、方法。
【外国語明細書】